Archive for the ‘財産事件’ Category

年金の不正受給で弁護士に

2020-04-10

年金の不正受給で弁護士に

年金受給者である家族が亡くなったにもかかわらず、その後も不正に年金を受給していた場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市南区在住のAは、横浜市南区にある会社に勤める会社員です。
Aには同居している74歳の母Xが居ましたが、ある日自宅に帰ったところ、心臓発作で倒れていて、既に脈はありませんでした。
AはXが隣人との接触を断っていて友人などもいないことを利用し、Xの死を誰にも伝えず(死亡届を出すことなく)、違法に近くにある山にXの御遺体を持って行き、地中深くに埋めました。
その後、毎年Xの誕生月に「年金受給権者現況届」という書類が自宅に届いていましたが、そこにXが自筆署名しなければならない箇所に署名捺印をして提出し、Xが受給していた金額の年金を受け取っていました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【死者の年金を不正に受け取った場合の罪】

「秋深き 隣は何を する人ぞ」という松尾芭蕉の句がありますが、現代社会に於いて隣人がどのような人か、知らないという方も多いでしょう。
それを利用し、本当は亡くなった人がいるにも関わらずそれを届け出ず、年金を不正受給しているという事例がございます。

これは年金受給者に限ったことではありませんが、人が死亡した際には死亡届を届け出る必要があります。
具体的には、親族・同居者・家主・地主・家屋管理人・土地管理人・後見人といった立場の人は、関係者の死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡地の市区町村に届出る必要があるのです。(戸籍法86条以下)
これに加え、亡くなった方が年金受給者だった場合、死後14日以内に国民年金・厚生年金の資格喪失届を提出する必要があります。

我が国の年金制度では、毎年「年金受給権者現況届」という書類が届く為、受給するためには存命の年金受給者がこの届を出すことで、継続して年金が支給されます。(住民基本台帳システムにより省略されている場合もあります。)
年金受給者が年金受給権者現況届を提出しなかった(できなかった)場合や、資格喪失届が提出されることで、年金は支給停止します。

ケースのような事例では、年金受給権者現況届を偽造し、資格喪失届を提出しないことで、
不正に年金を受給するという手口となります。
以下で、どのような罪に当たるのかを検討致します。

①有印私文書偽造罪・偽造有印私文書行使罪
Aは、年金の受給権者であるXが死亡したにも関わらず、毎年届く年金受給権者現況届に署名・捺印しています。
この行為は、有印私文書偽造に当たり、これを提出することは偽造有印公文書を行使する罪に当たります。
偽造有印私文書偽造・行使の場合の条文は以下のとおりです。

刑法159条1項 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

②詐欺罪
年金受給権者が死亡しているにもかかわらず、年金受給権者が生きている(死亡していない)として年金機構等の年金を支給する機関を騙し、それにより年金を不正に受給しています。
これは、詐欺罪に当たる行為です。
詐欺罪についての条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

(その他)戸籍法違反
ケースの場合、Xが死亡したことについて市町村に死亡届を提出していません。
これは、戸籍法に違反する行為です。
刑事罰を課されることはありませんが、行政法上の制裁を受けることがあります。

籍法137条 正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。

ここで見て頂いたとおり、年金を不正受給する行為は違法であり、裁判になり刑事罰を受ける可能性があります。
神奈川県横浜市南区にて、年金の不正受給をして捜査が入っている、あるいは年金の不正受給に心当たりがあるという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

振り込め詐欺で自首

2020-04-08

振り込め詐欺で自首

振り込め詐欺事件に関わってしまったものの自首したいという場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県南足柄市在住のAは、南足柄市内にてアルバイトで生計を立てています。
アルバイト代だけでは生活費が足りず、貯金もないことから、インターネットにて短期間でできるアルバイトを探しました。
すると、時給1万円で出来る極秘アルバイトというサイトに行き当たりました。
Aがそのサイトで応募すると、「国家機密だから詳細は明かすことが出来ないが、南足柄市内の指定された場所に行き、中身について確認をせずに持ち帰り、遠く離れたポストに行って中身を指定された住所に郵便で送れ」という指示がありました。
指示どおり、Aは南足柄市内の一軒家に行き、紙袋に入った本のようなものを受取り指定された住所に郵便で送ったところ、後日1万円の入った封筒が自宅に届きました。
そのようなことを3回ほど繰り返したのですが、ある日ネットニュースで特殊詐欺の受け子が逮捕されたという記事を見て、自分の行為も特殊詐欺の一端を担っているのではないかと不安になりました。
そこで、家族にも相談した上で南足柄市を管轄する松田警察署に自首したいと考えましたが、その前に一度刑事事件専門の弁護士に無料相談をした方が良いのではないかと考えました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【特殊詐欺について】

ご案内のとおり、振り込め詐欺やオレオレ詐欺といった特殊詐欺は今なお深刻な被害状況であり、その被害は認知件数だけで1万数千件、金額にして毎年数百億円となっています。
中でも高齢者が被害に遭う事案は多く、ある年の犯罪白書によると特殊詐欺被害者の多くが高齢者であり、特に70歳以上の女性が全体の40パーセントを占めるという結果になっています。

一方で加害者側(被疑者・被告人)を見てみると、特殊詐欺の場合は単独犯ではなく、指示役とは別に電話をかける架け子やキャッシュカード・現金などを受け取る受け子、受け取ったキャッシュカード等を基にATM等で金を引き出す出し子と言ったいくつかの役割分担がなされていて、とりわけ受け子や出し子といった直ぐに逮捕されるようなリスクを伴う役割については、お金に困っている若者が利用され担う事例も少なくないようです。
中には、ケースのように特殊詐欺の一端を担っているということ自体知らされずに任されることもありますが、少しでも違和感を抱いてい乍ら犯罪に加担してしまった場合、詐欺罪等の罪に問われる可能性があります。

【自首する前に弁護士へ】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では無料相談(要予約)を行っていますが、自首をしたいと考えて無料相談に来られる方もおられます。
自首は、刑法42条1項で「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定されています。
そのため、例えば捜査機関の捜査対象になっていた場合には自首は成立しません。

自首した場合には逮捕される場合と、在宅で捜査が進められる場合があります。
いずれの場合でも、警察官などの捜査機関は自首したことについての調書を作成する必要があります。(刑事訴訟法245条、同241条、同242条)
また、自首した際に警察官が員面調書(司法警察員面前調書、俗に供述調書、ks)を作成することが多いです。
員面調書は被疑者の他に関係者が対象となる場合がありますが、被疑者の場合、員面調書の作成に際して取調べが行われるため、その前に弁護士に相談・依頼をすることをお勧めします。
神奈川県南足柄市内にて、特殊詐欺に加担してしまった可能性があるため自首をしたいとお考えの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
弊所にて、1度限り無料でのご相談が出来ます。

窃盗事件で取調べ対応

2020-03-20

窃盗事件で取調べ対応

窃盗事件を繰り返した場合の取調べ対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市都筑区に住むAは、横浜市都筑区にてアルバイトで生計を立てています。
アルバイトだけでは生活が出来なくなったAは、家電量販店にて白物家電を万引きし、それをインターネットオークションやフリーマーケットアプリにて転売することで利益を得ていました。
直近3カ月の間で、万引きは11回、被害金額は21万円ほどとなっています。
しかし、万引きに気がついた家電量販店の店長は、横浜市都筑区を管轄する都筑警察署に連続窃盗事件での被害届を提出しました。
都筑警察署の警察官は、捜査の結果Aによる連続窃盗事件であると裏付け捜査を行った上で、Aを窃盗罪で通常逮捕しました。
Aが逮捕されたと知ったAの家族は、Aが取調べを受ける際のアドバイスをして欲しいと考え、刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼して、取調べ対応をお願いしました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【連続窃盗事件について】

一口に連続窃盗事件と言っても、いくつかのパターンがあります。
一例ですが、本当に飲食に困ってしまい自分の飲食するものを万引きしたというパターン、趣味で集めている物を買えないあるいは金を使うのが惜しいと思って万引きをするパターン、初めから転売目的で万引きをしてそれを生計の全部あるいは一部にするパターン、窃盗症などの精神的な病気のために万引きを繰り返すパターンなど、様々です。

窃盗罪は刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
窃盗事件での量刑は、被害者との間で示談締結がなされているか(被害届が取下げられているか)、前科前歴がないか、被害金額はいくらか、窃盗の回数・スパンはどの程度か、窃盗の目的は何か、といった事情が考慮されます。

窃盗事件によって被害に遭った店舗にとっては大きな損害であり、ともすれば窃盗事件の被害が原因で店を維持できなくなる可能性もあることから、示談には応じないという店舗や会社も少なくありません。
例えば窃盗事件1件で前科がない場合は、しっかりと示談を行うことが出来れば不起訴になる可能性が高いですが、被害店舗側が示談をしないという判断をした場合には罰金などとなり、前科が付く可能性もあります。
更に、示談の有無にかかわらず、ケースのようにあらかじめ転売を目的として繰り返し窃盗を繰り返しているような悪質な連続窃盗事件については、たとえ前科がなかったとしても、公判請求されて裁判になる可能性が高いです。

【取調べ対応について】

連続窃盗事件では、取調べ対応が重要になってきます。
とりわけケースのように短期間で連続して窃盗事件を起こしてしまった場合、記憶が曖昧になっていることも少なくなりません。
しっかりと記憶を喚起して調書を作成しなければ、本当はやっていない事件までやったという書類を作成してしまうことに繋がりかねません。
このような事件では、自身の記憶を喚起するとともに、覚えていない事件については捜査機関に証拠を見せてもらうなどして記憶をはっきりとさせた上で供述を進めていかなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまでケースのような連続窃盗事件についても取り扱いがあります。
ご依頼を受けた場合、適当なタイミングで適当な回数の接見を行い、その都度取調べの状況を確認した上で次回取調べ時のアドバイスを行います。
神奈川県横浜市都筑区にて、ご家族の方が連続窃盗事件を起こしてしまい、取調べを初めとしたアドバイスをして欲しいとお思いの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

ご予約用フリーダイヤル:0120-631-881(24時間365日受付)

値札の貼り替えが見破られて子どもが逮捕

2020-03-12

値札の貼り替えが見破られて子どもが逮捕

お子さんが、古本屋などで商品に貼られている値札をより安いシールに貼り替えることで本来よりも安い値段で商品を買おうとしたものの見破られてしまい、逮捕されたという事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市西区在住のAは、横浜市内の高校に通う高校生です。
Aは保護者から貰った小遣いを元手に買い物をしていましたが、その金も底を尽きかけています。
しかし乍ら、欲しい漫画があったため、横浜市西区内の古本屋に行き値段を確認しようと考えたところ、欲しかった本のシールタイプの値札(440円)が剥がれかけていました。
そこでAは、その値札を剥がし、代わりに110円コーナーに陳列されていた漫画の値札を丁寧に剥がして本来440円で販売されていた商品の本に貼り付けました。
その結果、店員は疑うことなく会計を行いました。

以降、Aは同様の手口で4回、計11冊の本で440円の値札を110円に貼り替え、会計を行いました。
しかし、5回目に同じようなことをしたところ、精算の際に古本屋の店長に止められ、バックヤードに連れていかれました。
その後、通報を受けて駆け付けた横浜市西区を管轄する戸部警察署の警察官は、Aを詐欺未遂罪で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【値札の貼り替えが刑事事件に】

とりわけ中古の商品を販売している店舗では、バーコードではなくシンプルな値札が貼られている場合も少なくありません。
この値札は簡単に貼ったり剥がしたりすることが出来るというメリットがある反面、客が勝手に値札を貼り替えることができることにもなりかねず、実際にそのような事件が発生しています。

値札の貼り替え事件については、詐欺罪が適用される可能性があります。
詐欺罪は、①被疑者が被害者を騙すことによって(欺罔行為)②被害者が騙されてしまい(錯誤)、③被害者が被疑者に財物あるいは財産上の利益を渡すことであり、④①~③の間に因果関係があることで成立します。
ケースのAは、これまで幾度かの事件で①本来440円で販売するはずの本を、値札を貼り替えることで110円として被害者を騙し、②店員が値札の貼り替えに気が付かず錯誤に陥ってしまい、③Aは110円を払っただけで商品を受け取っています。
これは詐欺罪の構成要件を満たす可能性があります。
また、事件当日、Aは同様の手口で商品の値札を貼り替えたのですが、結果的に店長に気が付かれてしまい購入には②あるいは③に至らなかったことから、詐欺未遂罪に当たる可能性があります。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

【子どもが逮捕された場合の弁護活動】

ケースのような事件の場合、14歳以上であれば子どもであっても逮捕される可能性があります。
また、連日同店舗で犯行を繰り返す事件の場合、被害店舗の経営者が内定調査を行っている場合があるほか、家宅捜索や本人の供述の結果、この件だけでなく余罪があることが発覚し、捜査に必要として勾留の決定がつく可能性があります。

弁護士としては、子どもが逮捕され、勾留されるということは精神的に大きな負担となることから、被疑者である子どもに証拠の隠滅や逃亡の恐れがないことを確認した上で、捜査機関や裁判所に釈放するよう求める弁護活動を行うことが考えられます。
釈放された場合でも捜査は続きますが、子どもも保護者の方も、逮捕・勾留されている場合に比べて精神的に安定した状態で取調べを受けることが出来るかと思います。

神奈川県横浜市西区にて、お子さんが古本屋にて値札の貼り替えによる詐欺事件を起こして逮捕された場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
まずは弁護士が初回接見という形で逮捕されているお子さんのもとに赴き、どのような事件でどれくらいの余罪があるかなどを確認した上で今後の見通しについてご説明致します。(初回接見は有料です。)

嫌がらせで物を盗む

2020-03-11

嫌がらせで物を盗む

嫌がらせ目的で知人の物を盗んで隠した場合の示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県秦野市在住のAは、秦野市内の会社に勤める会社員です。
会社に嫌いな上司VがいたAは、Vに嫌がらせをしようと企図しました。
そこで、Vが使用している机の引き出しからV愛用の高級万年筆(購入価格34万円)を盗み、同僚Xが使用している机の引き出しの奥深くにしまい込みました。
万年筆が無くなったことに気が付いたVは、秦野市を管轄する秦野警察署に被害届を提出しました。
警察官の捜査の結果、高級万年筆はXが使用する机の引き出しにあったものの、Aによる行為であることが発覚しました。

嫌疑をかけられているAは、嫌がらせ目的で物を盗んだ場合に問題となる罪はどのようなものか、また、示談をする場合には弁護士に依頼をした方が良いのか、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に無料相談をしました。
≪ケースは全てフィクションです。≫

【嫌がらせ目的で物を盗む行為】

・窃盗罪について
他人の物を盗むという事件の場合、まずは窃盗罪の適用が検討されるでしょう。
窃盗罪は、刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。

一見するとAの行為は窃盗罪のように思われますが、窃盗罪の成立には「不正領得の意思」が必要とされています。
不正領得(不法領得)の意思とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいう」とされています。
確かに、Aは権利者であるVの所有権を排除して占有を移転しています。
しかし、Aは自分の物として高級万年筆を使おう、あるいは転売しようとして盗んだわけではなく、あくまでVに嫌がらせをする目的で高級万年筆を盗んでいます。
そのため、窃盗罪は成立しないと考えられます。

・器物損壊罪について
器物損壊罪と言うと、他人の物を壊した場合を想像するかもしれません。
刑法では、器物損壊罪を「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定めています。(法261条)
このうち「損壊」について、判例通説は「その物の効用を害する行為を指す」という効用侵害説に立っています。
被害者が自分の物として使用できない状況に陥ることは、その物の効用を害するということが言えるため、ケースのような嫌がらせ目的で物を盗む行為は器物損壊罪に当たる可能性があります。

【知人との示談を弁護士に依頼】

ケースの場合、AとVとは部下と上司との関係であり、連絡先も承知していると考えられます。
しかし、一般の方同士で示談を行うことは危険を孕みます。
例えば、示談書の内容面で不備があり、刑事事件の処分に影響しない場合や、刑事事件としては解決したものの民事訴訟のリスクを残したままになってしまうという場合が考えられます。
そのため、知人との示談交渉・示談締結であっても、法律の専門家である弁護士に依頼をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士はこれまで数多くの刑事事件での示談交渉・示談締結を行ってまいりました。
中には、ケースのように上司と部下の関係や、友人知人といった近しい関係でのトラブルによる刑事事件についても、解決の事例がございます。

神奈川県秦野市にて、嫌がらせの目的で知人の高級万年筆を盗んで隠すなどの器物損壊事件を起こしてしまい、示談についてお知りになりたい方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

転売目的でマスクを窃盗

2020-03-08

転売目的でマスクを窃盗

転売する目的で他人の物を盗む窃盗事件での量刑について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県南足柄市に住むAは、南足柄市内でアルバイトをしています。
Aは、昨今のマスク不足の状況を見て、マスクを高値で転売すれば儲けることができると考えました。
そこで、南足柄市内の病院にあたかも患者の見舞いに来ているような装いをして、医師や看護師が使用するためのマスク系400枚を盗みました。
後日、マスクの窃盗に気が付いた病院の職員は、南足柄市を管轄する松田警察署に窃盗罪で被害届を提出しました。
松田警察署の警察官は、監視カメラ等で解析をした結果、Aによる窃盗事件であるとして、Aを窃盗罪で通常逮捕しました。

なお、Aは400枚のマスクをインターネット上で転売し、2万3000円の利益を得ていました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【窃盗事件について】

ケースの事例は全てフィクションですが、地域によっては新型コロナウイルスや花粉症が原因と考えられるマスク不足が深刻な状況であり、実際にマスクの窃盗事件が発生していると報道されています。
なお、マスクの転売については国民生活安定緊急措置法の施行規則により禁止するとして、3月中旬以降のマスク転売をした場合には刑罰(5年以下の懲役か300万円以下の罰金)を受ける可能性があります。

ケースの事例では、窃盗罪と建造物侵入罪の適用が考えられます。

窃盗罪について
窃盗罪は、他人の物を勝手にとることで成立する罪です。
刑法235条は窃盗罪について、「他人の物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と定めています。
当然、病院に置いてあるマスクは「財物」と認められるため、窃盗罪が適用されます。

②建造物侵入罪
ケースのAは、転売するためのマスクを盗む目的で、患者の見舞客を装って病院に侵入しています。
これは、建造物侵入罪に当たる可能性があります。
刑法130条は建造物侵入罪について、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と定めています。
窃盗目的で病院に侵入する行為は、当然「正当な理由」には当たりません。

【転売目的の窃盗罪での量刑】

窃盗罪は、上述したとおり10年以下の懲役か、50万円以下の罰金という刑罰が用意されています。
懲役は、刑法12条で無期又は有期として、有期の場合は1カ月以上20年以下の期間、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせると定めています。
また、罰金については刑法15条で1万円以上と定めています。
つまり、窃盗罪の場合、懲役刑であれば1カ月以上10年以下の範囲で懲役刑を言い渡すことが出来、罰金刑であれば1万円以上50万円以下の罰金刑を言い渡すことが出来るということになっています。
これを量刑と呼びますが、量刑については個々の事件について、例えば被告人が初犯なのか同種の再犯があるのかや、窃盗の回数・金額はどうなのか等を考慮した上で、判断がなされます。
そして、ケースのような転売目的での窃盗事件の場合、自分で使用するために物を盗んだ窃盗事件に比べ、より重い量刑となるため、初犯でも金額や回数によっては実刑になる可能性があります。

転売目的で窃盗事件を起こした場合、すぐに刑事事件専門の弁護士に弁護活動を依頼する必要があります。
神奈川県南足柄市にて、ご家族の方が転売目的で病院のマスクを盗んでしまった窃盗事件を起こした場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
当事務所の弁護士がご家族のもとに接見に行った上で、量刑の見通しなどについてご説明致します。

アポ電強盗事件で保釈

2020-02-18

アポ電強盗事件で保釈

アポ電強盗事件を起こしてしまった場合の保釈を求める弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAは、横浜市保土ヶ谷区内の会社に勤める会社員です。
Aはギャンブル依存症で自己の資金を使い果たし、遂には闇金にまで手を出してしまいました。
その返済期限が近づき、返済しようにも出来ない状況に陥ったAは、インターネット上にある電話番号帳で横浜市保土ヶ谷区在住の高齢者と思しき家の連絡先に連絡をして、「日本銀行協会」という架空の団体に成りすまし、住所と自宅のタンス預金を確認しました。
そしてタンス預金がある自宅を確認した上で、後日、横浜市保土ヶ谷区内の高齢者V宅へ行き、Vが自宅のドアを開けるや否や持参した包丁を突き付けた上で、「有り金はどこにある」とAを脅迫した上で現金400万円を奪い、逃走しました。

横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官は、捜査の結果Aによるアポ電強盗事件であると断定し、Aを強盗罪で通常逮捕しました。
Aの家族はAが逮捕されたと聞き、保釈はいつから可能になるか、その見通しはどうか、刑事事件を専門とする弁護士に見通しについて尋ねました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【アポ電強盗について】

アポ電とはアポイントメント(appointment約束・予約)電話を指します。
アポ電強盗は、ケースのように事前に金融機関の関係者や警察官などを装って電話をかけ、被害者の自宅にタンス預金等現金がいくらあるかを確認した後、現金がある自宅に赴き強盗をはたらきます。

アポ電強盗を実行して成功した場合、強盗罪に問われます。
強盗罪は、暴行や脅迫をして、被害者の財産を強取することで成立します。
刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

加えて、強盗する際に被害者の自宅に入る行為が住居侵入罪に当たる可能性もあります。
住居侵入罪は、他人の家に侵入したり、退去を命じられても退去しない場合に成立します。
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

また、仮に強盗に成功しなかった場合であっても、アポ電をした時点で強盗未遂罪に問われる可能性があります。
未遂についての条文は以下のとおりです。
刑法43条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

【保釈について弁護士に相談】

我が国では、①身柄を拘束された人が②起訴された後に身柄を解放するための手続きであり、③裁判所が保釈決定を下した後に④保釈保証金を納付することで、被告人は保釈されます。

そのため、逮捕されて勾留された後も、起訴されるまでは保釈は出来ません。
また、起訴された後も、弁護士等が裁判所に保釈の請求をして、裁判所が保釈決定を下さなければ、保釈金を納付することができません。
保釈請求は形式的に行われるだけでなく、被告人が逃亡しないための監督体制や環境が整っているということをしっかりと裁判所・検察庁に主張していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの保釈請求を行っていて、その大半で実際に保釈が認められています。
神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて、ご家族がアポ電強盗をして逮捕され、保釈についての見通しを聞きたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

口座売買で自首を検討

2020-02-13

口座売買で自首を検討

自身の銀行口座を他人に売ったり渡したりした場合の自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県厚木市在住のAは、厚木市内でアルバイトをして生活しています。
Aは、生活に困ったことからインターネット上で割のいいアルバイトを探していたところ、「簡単1時間で3万円のバイト」という広告を見つけ、クリックしました。
そこに記載されていた仕事内容は、指定された銀行の口座を開設するか既存の口座のキャッシュカード・通帳を指定された郵送先に郵送したところ、それ以降業者との間で連絡が途絶えました。
当初はお金が振り込まれないにもかかわらず連絡が取れなくなり頭に来たAですが、その後インターネットで調べたところ、口座売買が犯罪にあたりお金が振り込まれていなかったとしても罪に問われる可能性があることを知りました。
怖くなったAは、口座売買がどのような罪に当たるのか、口座売買をした場合には厚木市内を管轄する厚木警察署に自首をした方が良いのではないかと考え、刑事事件専門の弁護士に相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【口座売買について】

オレオレ詐欺や振り込め詐欺など、様々な形で手を変え品を変え行われている特殊詐欺は、今なお深刻な被害を引き起こしています。
警察庁のホームページによると、昨年11月末時点で認知された特殊詐欺被害総額は273億円となっています。
データによると、特殊詐欺事件ではオレオレ詐欺や架空請求、還付金等詐欺といった手口での被害が多いようです。
これらの事件では、いわゆる「受け子」が直接現金を受け取りに行くケースもありますが、銀行口座などに振り込まさるという手口も少なくありません。
そのため、特殊詐欺の首謀者は銀行口座を取得する必要がありますが、自分の名前で口座を開設してしまうと捜査の対象となりやすいため、銀行口座を買い取る等といった方法でキャッシュカードや通帳を取得します。

振り込め詐欺の首謀者が詐欺の被疑者となることは固より、銀行口座を売買したり譲渡したりした場合にも罪に問われるのです。

口座売買に関係する罪には以下のようなことが考えられます。

①特殊詐欺に使われることを知っていた場合
口座が特殊詐欺に使用されることを知りながらキャッシュカードや通帳を渡した場合、詐欺幇助の罪に問われる可能性があります。

刑法62条1項 正犯を幇助した者は、従犯とする。
同条2項 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
同法63条 従犯の刑は、正犯の刑を減刑する。
同法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

②特殊詐欺に使われることを知らず、既に持っている口座を渡した場合
既に持っている使っていない口座を渡した場合、犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称、犯収法)に違反します。
犯収法では、銀行等との契約により交付された預金通帳やキャッシュカードを他人に渡した場合、お金をもらっていてもいなくても、「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められています。

犯収法28条2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
※反復継続して行っていた場合、更に重い罪に処されます。

③②で新規に口座を開設した場合
口座売買や口座を他人に渡す目的で銀行口座を開設した場合、その行為が詐欺罪に当たる可能性があります。
これは、銀行等の金融機関は、その約款等で「契約者本人が利用すること」を前提としてキャッシュカードや通帳を交付しているからです。
つまり、銀行に嘘をつき、銀行側がそれを信じて、キャッシュカードや通帳を交付した、という行為が詐欺罪の構成要件を満たすことになります。
詐欺罪の条文については①をご参照ください。

【自首を検討して弁護士へ】

自首をすることで被疑者が得られるメリットはございますが、自首したその場で逮捕される可能性もあるため、自首の前には準備が必要です。
そのため、自首を検討されている方は、まずは弁護士に無料相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、自首を検討されている方からのご相談もお受けしています。

自首前に必要な弁護活動としては、自首前に弁護士と捜査機関とで調整をしたり、事前にお話を伺った上で書類を作成したり、事前に取調べ対応を行ったりといったことが考えられます。

神奈川県厚木市にて、口座売買をしてしまい、自首を検討しているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に無料でご相談することができます。

未成年者によるひったくり事件

2020-02-12

未成年者によるひったくり事件

20歳未満の未成年者がひったくり事件を起こしてしまった場合の刑事弁護活動、付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県川崎市川崎区在住のA(18歳)は、川崎市川崎区にて派遣のアルバイトをしています。
ある日、Aは川崎市川崎区の路上を歩いていたところ、お金持ちに見える高齢者Vが銀行から封筒を持って出ていくのが見えました。
生活が厳しかったAは、Vの封筒を奪ってやろうと思い、乗っていた自転車でVのすぐ脇まで走り、Vが手に持っていた封筒を奪い取ろうとしました。
しかし、Vが封筒を離すまいと抵抗したため、もみ合いになってしまいました。

その後、Aはひったくり事件の被疑者として川崎市川崎区を管轄する川崎臨港警察署の警察官は

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ひったくりはどのような罪に当たるか】

ひったくりは、主として路上で鞄や財布などを奪ってそのまま逃走していく行為を指します。
神奈川県内で平成29年に発生したひったくり事件は326件、平成30年は216件、令和元年は206件(暫定値)となっています。
被害者は女性が82.5%と男性に比べ圧倒的に多く、年齢は60歳以上が35.0%と多いですが20歳代も20.9%と少なくありません。※
ひったくりと聞くと何やら古典的な犯罪手口のように思われますが、今なお身近に発生している事件なのです。

ひったくり行為をして問題となる罪には以下のようなものが挙げられます。
①窃盗罪
他人の物を盗ることで成立する罪です。
刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の懲役に処する。」と定められています。
ひったくりは、路上で他人が持っている財布や鞄等を盗んでいくことで成立する行為であるため、窃盗罪が成立する可能性があります。

②強盗罪
相手に対して暴行や脅迫を用いて相手の金品を奪った場合、強盗罪が成立する可能性があります。
強盗罪は刑法236条1項で「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。」と定められています。
例えば凶器を突きつけたり、ひったくりする直前に相手に対して暴行脅迫をした場合にはこの罪が適用されます。

③事後強盗罪
例えひったくりの前は暴行・脅迫をしなかったとしても、ひったくりをしようとした者の所有者が抵抗した場合に無理やり奪い取って相手を怪我させた場合等は事後強盗罪として扱われます。
事後強盗罪は刑法238条で規定されていて、法定刑は強盗罪と同様「五年以上の有期懲役」です。

※出典:神奈川県警察署HP
https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesd0030.htm

【未成年者が逮捕されたら】

14歳以上20歳未満の少年であれば、捜査機関は逮捕することができます。(14歳未満の少年は触法調査の対象となりますが、触法調査には逮捕を認める根拠条文がないことから逮捕は出来ません。最も、一時保護等の方法で身柄を拘束される可能性はあります。)

逮捕された少年は、72時間以内に成人の刑事事件同様勾留されるか、勾留に代わる観護措置がなされるなどして、長期間身柄を拘束されるリスクがあります。
心身共に未成熟である未成年者が逮捕された場合、心理的ストレスは計り知れません。
また、家族が面会を行おうとしても時間は15分ほどで、警察官らの立ち合いもあるため、少年の負担軽減には足りないことも考えられます。(共犯者がいる事件等、接見禁止決定が付きそもそも一般面会が出来ない場合もあります。)
そのため弁護士は、未成年者が逮捕された場合には成人の刑事事件以上に頻繁に接見に行き、少年とのコミュニケーションを積極的にとる必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、未成年者が逮捕された少年事件についても数多くの経験と実績がございます。
神奈川県川崎市川崎区にて、未成年者のお子さんひったくりをして逮捕されたという場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見(有料)をご利用ください。

スマホを拾って転売

2020-01-02

スマホを拾って転売

スマートフォンを拾ったものの警察署に届出せずに中古携帯電話ショップに転売してしまった場合の刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市南区在住のAは、横浜市南区にて自営業を営んでいます。
ある日、Aが仕事の帰りに横浜市南区を歩いていたところ、誰かのスマートフォンが落ちていることに気が付きました。
それを見たAは、最寄りの交番や警察署に届けることなく、拾って自分の鞄に入れ、スマートフォンを初期化した上で横浜市南区内の家電リサイクルショップに持って行って転売し、現金2万円を手に入れました。

後に被害者の被害届提出を受けて横浜市南区を管轄する南警察署の警察官は、捜査の結果Aを通常逮捕しました。
逮捕の知らせを聞いたAの家族は、Aの行為がどのような罪に問われるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【他人の落とし物を取る行為】

①公道や大型商業施設などで落とし物を取る場合
道端や商業施設のトイレなどに落ちていた他人の落とし物を拾った場合、遺失物横領罪が適用されます。
遺失物横領罪の条文は以下のとおりです。
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

②旅館やゴルフ場、公衆浴場などで落とし物を取る場合
例えば旅館について部屋に入ったところ前の利用客が忘れて行ったスマートフォンが落ちていた、あるいは公衆浴場でコインロッカーを開けたところ前に使っていた人がスマートフォンを忘れて帰っていた、という場合について、①とは異なり窃盗罪が適用される可能性があります。
そのような忘れ物については、今なお旅館や公衆浴場の管理者に占有されていると評価される可能性があるためです。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

③公共の場所に置いていた物を取る場合
これについても、窃盗罪が適用されます。
①はあくまで所有者が気づかないうちにその物を逸していた状況(占有が離脱した状態)を指しますが、あくまで置いて行ったものについては、たとえ公共の場所に置いてあったとしても遺失物には当たらず、遺失物横領罪は適用されません。

【他人の物を勝手に転売する行為】

他人の物を勝手に拾って転売する行為自体がすぐに犯罪に当たるわけではありません。
ただし、転売する際に、例えば家電リサイクルショップの店員に対して「自分の物だが使わなくなったため売ります」などと嘘の意思を表示して転売した場合、詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

なお、Aが転売する際、家電リサイクルショップの店員が、当該スマートフォンが窃盗によって手に入れられた物や拾った物であることを承知していながら買い取った場合、盗品等譲有償譲受罪に問われる可能性があります。(刑法256条2項「十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。」)

 

以上でご覧いただいたように、他人の落とし物を取る行為は、その態様によって問題となる罪が異なります。
どの罪にあたるかによって刑罰が大きく異なるため、刑事事件専門の弁護士に早期に依頼し、事実をしっかりと確認した上で適切な弁護活動を行っていく必要があります。

神奈川県横浜市南区にて、ご家族の方が他人の落とし物であるスマートフォンを拾ってそれを転売したことで逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
ご連絡先:0120-631-881

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