年金の不正受給で弁護士に

年金の不正受給で弁護士に

年金受給者である家族が亡くなったにもかかわらず、その後も不正に年金を受給していた場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市南区在住のAは、横浜市南区にある会社に勤める会社員です。
Aには同居している74歳の母Xが居ましたが、ある日自宅に帰ったところ、心臓発作で倒れていて、既に脈はありませんでした。
AはXが隣人との接触を断っていて友人などもいないことを利用し、Xの死を誰にも伝えず(死亡届を出すことなく)、違法に近くにある山にXの御遺体を持って行き、地中深くに埋めました。
その後、毎年Xの誕生月に「年金受給権者現況届」という書類が自宅に届いていましたが、そこにXが自筆署名しなければならない箇所に署名捺印をして提出し、Xが受給していた金額の年金を受け取っていました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【死者の年金を不正に受け取った場合の罪】

「秋深き 隣は何を する人ぞ」という松尾芭蕉の句がありますが、現代社会に於いて隣人がどのような人か、知らないという方も多いでしょう。
それを利用し、本当は亡くなった人がいるにも関わらずそれを届け出ず、年金を不正受給しているという事例がございます。

これは年金受給者に限ったことではありませんが、人が死亡した際には死亡届を届け出る必要があります。
具体的には、親族・同居者・家主・地主・家屋管理人・土地管理人・後見人といった立場の人は、関係者の死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡地の市区町村に届出る必要があるのです。(戸籍法86条以下)
これに加え、亡くなった方が年金受給者だった場合、死後14日以内に国民年金・厚生年金の資格喪失届を提出する必要があります。

我が国の年金制度では、毎年「年金受給権者現況届」という書類が届く為、受給するためには存命の年金受給者がこの届を出すことで、継続して年金が支給されます。(住民基本台帳システムにより省略されている場合もあります。)
年金受給者が年金受給権者現況届を提出しなかった(できなかった)場合や、資格喪失届が提出されることで、年金は支給停止します。

ケースのような事例では、年金受給権者現況届を偽造し、資格喪失届を提出しないことで、
不正に年金を受給するという手口となります。
以下で、どのような罪に当たるのかを検討致します。

①有印私文書偽造罪・偽造有印私文書行使罪
Aは、年金の受給権者であるXが死亡したにも関わらず、毎年届く年金受給権者現況届に署名・捺印しています。
この行為は、有印私文書偽造に当たり、これを提出することは偽造有印公文書を行使する罪に当たります。
偽造有印私文書偽造・行使の場合の条文は以下のとおりです。

刑法159条1項 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

②詐欺罪
年金受給権者が死亡しているにもかかわらず、年金受給権者が生きている(死亡していない)として年金機構等の年金を支給する機関を騙し、それにより年金を不正に受給しています。
これは、詐欺罪に当たる行為です。
詐欺罪についての条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

(その他)戸籍法違反
ケースの場合、Xが死亡したことについて市町村に死亡届を提出していません。
これは、戸籍法に違反する行為です。
刑事罰を課されることはありませんが、行政法上の制裁を受けることがあります。

籍法137条 正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。

ここで見て頂いたとおり、年金を不正受給する行為は違法であり、裁判になり刑事罰を受ける可能性があります。
神奈川県横浜市南区にて、年金の不正受給をして捜査が入っている、あるいは年金の不正受給に心当たりがあるという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

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