裁判員裁判

裁判員制度とは

裁判員制度とは、一定の重大犯罪について、国民(有権者)の中から選任された裁判員が裁判官ととともに、刑事裁判に関与する日本独自の制度のことです。

具体的には、抽選で選ばれた国民が「裁判員」として、裁判に参加し、最終的に被告人が有罪であるか否か、有罪であれば懲役〇年などのような刑の重さを決めて判決とします。

このような判断は、原則として裁判官3名と裁判員6名の合議体で、裁判官と裁判員が十分に合議した上で、多数決をとり、基本的には単純過半数によって決められます。

この裁判員制度が導入された理由は、国民が刑事裁判における判決までの判断過程に参加することにより、国民の感覚を裁判に反映させ、社会常識に沿った妥当な判決に近づけるようにするためです。

ちなみに、英米法諸国などで採用されている陪審員制度では、刑の重さは職業裁判官が判断しますが、裁判員制度は、刑の重さを決めることにも選任された国民が参加するという点で陪審員制度と異なります。

裁判員制度が適用される一定の重大犯罪の種類

裁判員制度の対象となる事件は、

①法定刑に死刑または無期刑を含む事件と、
②短期1年以上の法定刑が定められている犯罪のうち故意の犯罪行為で人を死亡させた事件です。

基本的には、国民の関心が高いと考えられる重大事件が対象とされています。

具体的には、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、強制性交等致死傷罪(旧 強姦致死傷罪)、強制わいせつ致死傷罪、保護責任者遺棄致死罪、現住建造物等放火罪などが挙げられます。

裁判員裁判と通常裁判(裁判官のみによる裁判)の違い

裁判員は、法律の専門家ではない一般の方が選任されます。

一般の方にとって、裁判はなじみが薄いものでしょうし、また裁判員としての義務を国民に課す制度であることから、制度設計上、裁判員にはできるだけ負担をかけないようにとの配慮がされています。

例えば、裁判員対象事件では、必ず公判前整理手続が実施されます。

公判前整理手続とは、公判手続の前に、弁護人、検察官、裁判官の三者で、争点や証拠を整理する手続のことです。

これによって、裁判員にとって分かりやすい、計画的で充実した公判となることが期待できます。

さらに、公判手続の審理計画の見通しを立てることができるようになり、連日開廷による公判の早期終了が可能となります。

公判前整理手続においては、証拠の採否決定まで行うことができ、この段階で裁判員の関与しない判断については全て終わらせておくことができます。

また、従来、審理が長期化する要因となっていた鑑定についても、公判開始前に鑑定を実施する旨の決定をして、その結果を予定された公判審理の中で報告させることができるようになっています。

裁判員裁判における弁護士の重要性

公判前整理手続における弁護士の役割の重要性

裁判員裁判における公判前整理手続において、弁護士は、被告人に有利になるように適切な主張と立証の準備をすることになります。

弁護士が被告人に有利な主張と立証の準備をするためには、公判前整理手続においてすることができる検察官に対する証拠開示請求を駆使し、検察官が持っている被告人に有利な証拠や、主張の糸口となる証拠を開示させなければなりません。

このように、公判前の段階においても弁護士が果たすべき役割は大きいといえるでしょう。

裁判員選任手続における弁護士の役割の重要性

裁判員選任手続において、被告人に対して個人的な恨みを抱いている人、犯罪行為について過度な厳罰化の意向を有している人などが裁判員に選任されると、被告人にとっては公平でなく不当な裁判が行われる可能性が高くなります。

被告人には公平な裁判を受ける権利が憲法上保障されており、人権保障の観点から、できる限り公平な裁判が行われるよう裁判員の選任にも厳しい目を向ける必要があります。

弁護士が裁判員の選任手続に関与し、裁判員候補者の中に不公平な裁判をするおそれのある人がいないかチェックして、そのような人が裁判員に選ばれることを阻止します。

裁判員裁判における弁護士の役割の重要性

裁判員は、法律の専門家ではない一般の方から選任されます。

そのため、裁判員にわかりやすい裁判という観点から、弁護士も通常の裁判の場合以上に、入念な準備や丁寧な対応を心掛けなければなりません。

具体的には、わかりやすい言葉で事実や証拠に関する説明をし、通常の裁判の場合より丁寧に慎重に検察官に対する反論をしていかなければなりません。

また、弁論の要旨を記載した書面等についても、言葉の選択や視覚的な見やすさなどの点で配慮が必要です。

このような、弁護士の主張・立証が裁判員に伝わりやすくするための工夫をすることで、裁判員を納得させることを目指します。

もっとも、以上のような弁護活動をするには、豊富な知識と経験や、非常に高い弁護技術が求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所-横浜支部は、数多くの刑事事件を経験し、裁判員裁判での弁護経験もあります。

裁判員裁判対象事件の被告人となりそうな方・なってしまった方は、ぜひ弊所にご相談ください。

裁判員に選ばれた方へ

裁判員を保護するための制度

裁判員の職務を行うために休暇を取得しても不利益な取り扱いをすることの禁止

裁判員・裁判員候補者などを特定する情報を公にすることの禁止

裁判中に当該事件について裁判員らと接触することの禁止

以上は一例であり、これらのほかにも、裁判員法には、裁判員を保護する制度が種々さだめられています。

裁判員の禁止事項(罰則あり)

裁判員は、独立してその職務を行い、法令に従い公平誠実にその職務を行わなければなりません。

このような職務を確保するため、裁判員には一定の禁止事項と罰則が定められています。

裁判員として知りえた秘密などを漏らした場合
→6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

裁判員候補者が質問票に虚偽の記載をした場合
→50万円以下の罰金、30万円以下の過料

裁判員候補者が裁判所の呼び出しに応じない・公平な裁判をする旨の宣誓を拒んだ場合
→10万円以下の過料

裁判員選任を辞退できる場合

裁判員選任は、原則として辞退できませんが、以下にあたる場合は、辞退することができます。

①70歳以上の人

②学生、生徒

③一定のやむを得ない理由があって、裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人。

「やむを得ない理由」としては、例えば、以下のようなものがあります。

・重い病気又はケガ
・親族・同居人の介護・養育
・事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある
・父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある
・妊娠中又は出産の日から8週間を経過していない
・重い病気又はケガの治療を受ける親族・同居人の通院・入退院に付き添う必要がある
・妻・娘の出産に立ち会い、又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある
・住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に行くことが困難である。

裁判員裁判でお悩みの方はいつでも弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

刑事事件、少年事件を専門的に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。

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