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取調べでの黙秘権について刑事弁護士に質問

2020-05-07

取調べでの黙秘権について刑事弁護士に質問

ワンクリック詐欺を繰り返した事件で、取調べでの黙秘権がどのような意味を持つのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県川崎市多摩区在住のAは、川崎市多摩区の会社に勤める会社員です。
Aは生活苦からキャッシングなどで多額の借金を負っていました。
そこで、インターネットに詳しい友人と一緒にワンクリック詐欺のサイトを立ち上げ、そのURLを違法に購入したメールアドレス帳を用いて無作為に送信しました。
URLのリンクをクリックした場合、「ご登録ありがとうございます。」というメッセージが出て、「1週間以内に指定口座に会員登録料金5万円を振り込まなかった場合法的措置を取ります」として振込口座を書いていました。
その結果、メールを受け取った人の中から6人の者がメールを見て、それぞれが5万円を振込んだため、Aらは計30万円を手に入れました。

後日、被害者から被害届を受けた川崎市多摩区を管轄する多摩警察署の警察官は、Aらをワンクリック詐欺で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ワンクリック詐欺について】

ワンクリック詐欺は架空請求詐欺の一種です。
架空請求詐欺には、法務省を謳ったハガキ・封筒を送りつけてきたり、ケースのようにアダルトサイトに登録したと見せかけて支払わなければ法的措置を講ずるといった脅しをかけてきたりといった手法で、ありもしない契約をあるかのように見せて、契約する意思がない人に金を振り込ませる手法の詐欺です。
最近では現金を振り込ませるのではなく、ウェブマネーカードに振り込みをさせたり通販サイトのギフト券等を購入させ送らせたりして、利益を得る場合もあります。

これらの行為は詐欺罪に当たります。
詐欺罪は刑法246条1項と同2項があり、条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
同2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

ケースのようなワンクリック詐欺では、料金を直接振り込ませたりギフト券を遅らせたりした場合については「財物を交付させた」として1項詐欺が、プリペイドカードの番号を伝えて指定した振り込まさるような場合は「不法に利益を得た」として2項詐欺が、それぞれ成立します。

【黙秘権とは】

黙秘権という言葉は広く一般に知られている言葉かと思います。
改めてご説明すると、被疑者には自分の意思に反して何も言わなくて良いとされるものです。
法的には、憲法38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められているほか、刑事訴訟法では刑事訴訟法198条2項で「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ自己の意思に話して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められています。
つまり、取調べで被疑者には黙秘権という権利が憲法上保障されていて、検察官や警察官は取調べを行う前に被疑者に黙秘権があることについて説明しなければならないと定められているのです。

黙秘権を使うことで考えられるメリットとしては、
①主観面での争いがある(故意の有無が罪状に大きく影響する)場合などで、捜査機関に有利な調書を作成されない。
②主観面以外の証拠収集が困難な場合(捜査機関が客観証拠を収集できない状況にある)に被疑者にとって不利な証拠が作成されない。
③被疑者が事件についての記憶が曖昧な状態(うろ覚えな状態)で供述をしないことで、不合理な供述調書の作成を避けることが出来る。
といった点が挙げられます。

一方で、黙秘権を行使することで、取調べがより厳しいものになったり、身体拘束の判断を行う際に事実上の不利益な理由になる可能性があるというデメリットがあることも事実です。
黙秘権を行使すべきか否かについては事案によって判断が分かれるため、刑事事件専門の弁護士から説明を受けることをお勧めします。

【取調べ対応は刑事弁護士に依頼!】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、ご依頼いただいた事件での取調べ対応についても積極的に行っています。
在宅でこれから取調べを受ける方については勿論のこと、既に身柄を拘束されている方については早急に取調べ対応を行う必要があると考えられます。

神奈川県川崎市多摩区にて、ご家族の方がワンクリック詐欺で逮捕・勾留されていて、黙秘権についてお知りになりたい方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
担当事務が24時間365日受付をしています。

少年の下着泥棒で釈放

2020-05-05

少年の下着泥棒で釈放

20歳未満の少年が、他人の家に干してあった下着泥棒したという事件で、逮捕された少年を釈放するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県茅ヶ崎市在住のAは、茅ヶ崎市内にある会社に勤める19歳の会社員です。
Aはある日の仕事から終わって帰宅している最中、茅ヶ崎市内の路上にて、一軒家の塀越しに女性ものの下着が干してあることに気が付きました。
Aは深く考えず、玄関から庭に入って干していた下着を盗んで家に持ち帰りました。

その後Aは何度か下着泥棒を繰り返していましたが、下着を盗まれたVは下着泥棒の被害に遭ったことに気が付き、茅ヶ崎市を管轄する茅ヶ崎警察署の警察官に被害届を提出しました。
その後の茅ヶ崎警察署の捜査により、Aによる犯行であることが発覚したため、茅ヶ崎警察署の警察官はAを下着泥棒をしたことにより通常逮捕しました。

Aの家族は、Aが逮捕されたと聞き刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に釈放を依頼しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【下着泥棒で成立する罪】

下着泥棒をした場合の罪には、以下のようなものが考えられます。

①住居侵入罪
AはVの家の庭に入っています。
これは、住居侵入の罪に当たる可能性があります。
住居侵入罪の条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

「正当な理由」とは「違法に」という意味であり、下着泥棒目的で侵入する行為は「正当な理由」に当たりません。
また、ケースのAが入った庭のような塀で囲まれた場所を法的に「囲繞地(いにょうち)」と呼びますが、囲繞地についても「住居」に含まれます。

②窃盗罪
下着泥棒ということで、他人の物を盗む行為になります。
これは、窃盗罪に当たります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

③事後強盗罪
仮に、Aが下着泥棒をしている最中に目撃者が現れたとして、その人から捕まえられないようにしたり通報されないようにしたりする目的で相手に暴行を加えた場合、②より罪が重い事後強盗罪にあたる可能性があります。
事後強盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

同236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪と市、五年以上の有期懲役に処する。

【少年が逮捕された場合の釈放】

20歳未満が違法行為を起こした場合には成人の場合とは異なる少年事件として、手続きが進められていきます。
ただし、捜査段階では成人事件と同様の扱いがなされることも少なくありません。
少年が逮捕された場合、釈放されなければ勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に送致される場合を除き、警察署内の留置施設に身柄を拘束されることが一般的です。
留置施設の状況は警察署により異なりますが、原則雑居房になるため成人の刑事事件を起こした人と接触するという点で少年の教育上良くない話を聞く機会があるかもしれません。

一方で独居房の場合はほとんど誰とも話をしない生活になるため、とりわけ少年の場合には孤独に耐えかねるという方も多いでしょう。

少年を精神的苦痛から解き放つという点でも、捜査段階でしっかりと弁護士と打ち合わせをして取調べに挑む必要があるという点でも、少年事件では可能な限り早急に釈放を求める弁護活動を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、未成年者であるお子さんが逮捕されたことで釈放を求める弁護活動をお求めになる方も多くおられます。

少年事件では、早期の釈放を求めるためにも、逮捕された後直ぐに早期に弁護士を付けることをお勧めします。
神奈川県茅ヶ崎市にて、未成年者であるお子さんが下着泥棒をしたことにより逮捕・勾留され、釈放を求める弁護活動をお求めの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

キャッシュカードを売って逮捕?

2020-05-03

キャッシュカードを売って逮捕?

銀行のキャッシュカード通帳を他人に売ったり渡したりした場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市中区で飲食店に勤務するAには借金がありました。
借金の返済のために借金を繰り返すという状況だったAですが、遂に借金が返済できなくなり、インターネット上で「ブラックリストの方歓迎!即日融資」と書かれたサイトにアクセスして登録しました。
その後すぐに連絡が来て、「指定された銀行のキャッシュカードを指定された場所に送ることで10万円をお渡しします。」と言われました。
そこで、Aは自宅近くの銀行に行って口座を新設して、そのキャッシュカードを指定された場所に送りました。
更にその数日後、再びAに連絡が来て、「あなたの口座に10万円を振り込みました。」と言われました。
AがATMに行って通帳記帳をしたところ、知らない名義から162万円の入金があり、その後数日に分けて150万円がキャッシュカードにて引き出されていました。
Aは銀行に行ってキャッシュカードを紛失したとして、解約して現金12万円を受けとりました。

ところが後日、横浜市中区を管轄する山手警察署の警察官が自宅に来て、Aを逮捕しました。
逮捕された旨の連絡を受けたAがどのような罪に問われるのか、刑事事件を専門とする弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【キャッシュカードや通帳を売ってしまった場合の罪】

ケースのように、融資などを装って通帳やキャッシュカードを送らせるという事件が発生しています。
しかし、送ってしまった通帳キャッシュカードは、最終的に振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺に使われる蓋然性が極めて高いのです。
つまり、知らないうちにそれらの犯罪を手助けしてしまっているのです。
そのような事情もあり、通帳キャッシュカードを渡す行為自体が罪に問われる可能性があります。

①詐欺罪(特殊詐欺の目的を知っていた場合)
仮に「相手が特殊詐欺に利用する」ということを知ってい乍ら手助けなどをした場合、特殊詐欺についての共謀共同正犯・幇助犯になる可能性があります。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

②詐欺罪(銀行で新規口座を開設した行為)
相手の目的を知っていると否とに関わらず、「自分が使うつもりはないのに、銀行を騙して口座を新規開設して通帳キャッシュカードを交付させた」場合には、詐欺罪が適用されます。
銀行口座を開設した経験のある方はお判りでしょうか、銀行口座は名義人が利用することを目的に開設することを前提としていて、約款などに明記されているほか、行員から確認されることもあります。
自分が使わないにもかかわらず銀行で通帳やキャッシュカードを交付させる行為は相手を欺罔する行為に当たり、銀行を錯誤に陥れて財物(キャッシュカード通帳)を交付させているため、詐欺罪に該当します。

③犯収法違反(通帳やキャッシュカードを売った・渡した行為)
たとえ②のように口座の新規開設をしておらず、自分が使っていた口座の通帳キャッシュカードであっても、他人に売ったり譲渡したりする行為は犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称、犯収法)に違反します。
該当条文は以下のとおりです。

犯収法28条1項 他人になりすまして特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるものを譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。(以下略)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまでキャッシュカード通帳を渡してしまった、あるいは口座情報を教えてしまったという詐欺事件・犯収法違反事件での弁護活動についても経験がございます。
神奈川県横浜市中区にて、ご自身がキャッシュカード通帳を売ってしまった、渡してしまった、あるいはご家族がそのような罪で逮捕されているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

執行猶予中の脱法ハーブ所持・使用事件

2020-05-01

執行猶予中の脱法ハーブ所持・使用事件

以前に脱法ハーブを所持・使用して執行猶予付き有罪判決を受けたにも拘らず、執行猶予期間中に再度脱法ハーブを所持・使用して逮捕された場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県相模原市中央区在住のAは、相模原市中央区にある会社に勤める会社員です。
Aはダイエットを目的に合法ハーブと称するティーバックタイプのものをインターネット上で購入し、それを飲んでいました。
しかし、Aが購入していた合法ハーブとは、実際には薬機法に違反する成分を含む脱法ハーブ(危険ドラッグ)であり、相模原市中央区を管轄する相模原警察署により逮捕され、裁判で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けました。

ところが、判決を受けて半年後から、Aは再び同じ脱法ハーブを購入して飲用していました。
相模原市中央区を管轄する相模原警察署の警察官は、Aの自宅で別件の家宅捜索中に購入した脱法ハーブが見つかったため、Aを薬機法違反で現行犯逮捕しました。
Aは、接見に来た刑事事件専門の弁護士に、執行猶予期間中に再度事件を起こしてしまった場合どのような見通しになるのか、質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【脱法ハーブについて】

覚せい剤や大麻などと同様、社会問題になっている薬物の一つに危険ドラッグがあります。
そして、危険ドラッグには固形・液体様々な形状のものがあり、お香やアロマなどと聞こえの良い名称で呼ばれることも多いです。

ケースのような合法ハーブと称されるものについても、医薬品医療機器法(通称:薬機法)に違反する成分を含む脱法ハーブ(違法薬物)にあたるものがあり、これは危険ドラッグの一種です。
脱法ハーブは、大麻草で言うTHCのような精神作用を及ぼす成分を有する花や草というわけではなく、植物の形態をとっている物に合成化学物質を添付することで作られているのです。
脱法ハーブは大麻や覚せい剤、麻薬と言った我が国で禁止されている違法薬物と類似した化学構造を持つため、精神毒性作用や精神依存性を持つものがほとんどだと言われています。

脱法ハーブをはじめとする危険ドラッグは医薬品医療機器等法で所持や使用、輸出入、製造等が禁止されていて、Aのように所持や使用をした場合には起訴されて裁判になり、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金、又はその両方」に処される可能性があります。(薬機法76条の4、同法84条26号)

【執行猶予期間中の再犯】

執行猶予期間中に再度事件を起こしてしまった場合について、解説致します。

1、もう一度執行猶予が付く可能性が低い
そもそも執行猶予とは、裁判の判決にて言い渡されるもので、有罪であることを前提に、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言い渡しを受けた」際に、「一年以上五年以下の期間」を定めてその刑の執行を猶予するという制度です。(刑法25条1項)
あくまで猶予するだけで刑の言い渡しが無かったことになるわけではありません。
そして、執行猶予の対象者は①禁錮以上の刑に処されたことがない者、②①であっても刑の執行が終わった場合や執行の免除を受けた日から5年間が経過している者、③②の他に前回は全部執行猶予であり、今回が一年以下の懲役又は禁錮の判決で、「情状に特に酌量すべきものがある」ときが対象となります。
よって、ケースのAのように執行猶予期間中に再度事件を起こした場合、上記①~③に当てはまらない可能性が高く、執行猶予がつかないことになります。

2、執行猶予が付かなかった場合、前回猶予された刑についても服することになる
執行猶予期間中に再度事件を起こして禁錮以上の刑に処された場合、前回の事件についての執行猶予が取り消されます。(必要的取消)
例えばケースのAが今回の事件で懲役1年2月の実刑判決を受けた場合、前回の懲役1年が取り消されるため刑務所に行く期間は(未決勾留期間や仮釈放などを考慮せず)単純計算で2年2月になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
弊所では、執行猶予期間中に事件を起こしてしまったというご連絡も暫し頂戴します。
執行猶予期間中の再犯については、再度の執行猶予が取れるかどうか、取れないのであればせめて今回の事件が少しでも軽い刑罰にならないか、といった点がポイントになってくるかと思います。
神奈川県相模原市中央区にて、ご自身やご家族の方が刑事事件を起こしてしまったという場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

薬物事件での即決裁判手続

2020-04-29

薬物事件での即決裁判手続

覚せい剤等を使用していた場合などの薬物事件での即決裁判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【ケース】
神奈川県川崎市中原区在住のAは、川崎市中原区内にある会社の役員です。
Aは友人に勧められたことがきっかけで覚せい剤を使用していましたが、売人の逮捕をきっかけに捜査が進められた結果、川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官により覚せい剤使用の嫌疑で逮捕されました。
Aは被疑事実を認めていて、早い段階で執行猶予付きの判決が言い渡されないか、初回接見に来た弁護士に相談しました。
刑事事件専門の弁護士は、即決裁判手続について説明しています。
≪ケースは全てフィクションです。≫

【即決裁判手続とは】

即決裁判手続は、事案が明白であり、軽微で争いがなく、執行猶予が見込まれる事件について、速やかに公判期日を指定して、相当な方法により審理を行い、原則として即日に執行猶予判決を言い渡す手続です。
即決裁判手続は、2004年の刑事訴訟法改正により新設されました。

覚せい剤取締法違反事件の場合、自白しており、所持や使用のような比較的単純な事案では、即決裁判手続に付される可能性があります。

即決裁判手続の要件

1.事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれるなど。即決裁判手続で審理するのが相当と認められる事件であること。(刑事訴訟法350条の2第1項)
2.死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮にあたる罪ではないこと。(同法350条の2第1項但書)
3.被疑者の書面による同意があること。(同法350条の2第2項・3項)
4.被疑者に弁護人があるときは、弁護人の書面による同意があるか、少なくとも意見を留保していること。(同法350条の2第1項)

これらの要件を満たす場合、検察官による即決裁判手続の申立てが行われます。

【即決裁判手続のメリット】

即決裁判手続は、起訴からできるだけ早い時期に公判期日が指定され、原則として1回の審理で即日執行猶予判決が言い渡されます。
そのため、被告人にとっては、起訴後速やかに公判期日が開かれ、執行猶予判決となるメリットがあります。
つまり、
①通常の裁判よりも早く公判期日が開かれるので、事件が終了するまでの期間が短縮される。
②通常の裁判は、少なくとも、公判期日1回と判決期日1回が設けられるので、2回裁判所に足を運ばなければならないが、即日判決言い渡しだと1回だけで済む。
③必ず執行猶予判決が言い渡される。
ので、被告人にとっては有利な制度となっています。

このようなメリットがあるため、争いがなく執行猶予が確実に見込まれるような事件であれば、捜査段階で検察官に即決裁判の申し立てをするよう働きかけるのもよいでしょう。

しかし、即決裁判手続では、被告人の出頭義務が緩和され、検察官の冒頭陳述も省略され証拠調べも適当と認める方法で行われるなど、手続が簡略化されています。
また、即決裁判手続により審理でなされた判決については、事実誤認を理由とする控訴・上告ができません。

このような重大な効果が生じるため、即決裁判手続に付すには、被告人および弁護人の同意が必要とされています。
弁護人は、即決裁判手続の趣旨、審理手続、メリットおよびデメリットを十分に被告人に説明した上で、同意するか否かの判断をするよう適切なアドバイスをすることが求められます。

【薬物事件で弁護士へ】

薬物事件を起こし、即決裁判手続や執行猶予にならないかとお考えの方は、薬物事件を含めた刑事事件に精通する弁護士にしっかりご相談ください。
刑事事件に精通する弁護士は、捜査段階から、取り調べ対応についてのアドバイスや再犯防止に向けた取り組みなどを行い、即決裁判手続を申し立てるよう検察官に働きかけます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、薬物事件を含めた刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
神奈川県川崎市中原区にて、ご家族の方が覚せい剤を所持したことによる薬物事件の被疑者になっている場合で即決裁判手続について知りたいという方がおられましたら弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部(フリーダイヤル0120-631-881)にご連絡ください。
刑事事件・少年事件専門弁護士が、迅速かつ適切に弁護いたします。

体液をかけて逮捕②暴行罪

2020-04-27

体液をかけて逮捕②暴行罪

体液をかけて逮捕された事件で、特に暴行罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事例】

神奈川県横浜市泉区在住の会社員Aは、ストレス発散を目的に、横浜市泉区にて通行中の歩行者Vに対してペットボトルを用いて自身の体液をかけたという事件です。
通報を受けて臨場した横浜市泉区を管轄する泉警察署の警察官は、Aを逮捕しました。
≪詳細は、前回のブログ「体液をかけて逮捕①器物損壊罪」をご参照ください。≫
(※令和2年4月14日YAHOO!ニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

【体液をかけて暴行罪?】

前回のブログでは、体液を人にかけることで器物損壊罪の成立の可能性があるということを取り上げました。
今回は、器物損壊罪以外に成立する可能性のある犯罪について触れていきます。

Aがかけた体液がVの所持品や衣服ではなくVの身体にかかった場合には、暴行罪が成立する可能性があります。

刑法第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

前回取り上げた器物損壊罪同様、「人に体液をかける」という行為と暴行罪という犯罪名が結びつかないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、この暴行罪に関しても、一般にイメージされている「暴行」と、暴行罪のいう「暴行」に違いがあるのです。

暴行罪の「暴行」とは、他人の身体に対して不法な有形力の行使をすることを指します。
一般によくイメージされる、他人を殴ったり蹴ったりして直接的に暴力を振るうことももちろん暴行罪の「暴行」に当たります。
これに加えて、他人の身体に直接触れなくとも他人の身体に向けて不法な有形力の行使があればよいことから、例えば他人の身体に物を投げつけたりするような行為も暴行罪の「暴行」となりえます。

過去の裁判例では、他人に塩を数回振りかけたという行為が暴行罪に問われたケースで、「刑法第208条の暴行は、人の身体に対する不当な有形力の行使を言うものであるが、右の有形力の行使は、所論のように、必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受忍すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当するものと解すべき」とされ、塩を他人に振りかける行為が暴行罪の「暴行」に当たるとされました(福岡高判昭和46.10.11)。

このように暴行罪の「暴行」を考えると、体液を他人にかけるという行為でも暴行罪が成立する可能性があることがお分かりいただけると思います。

暴行罪は、器物損壊罪とは異なり親告罪ではありません。
そのため、被害者と示談ができたからといって必ずしも不起訴処分を獲得できるとは限りません。
しかし、被害者への謝罪・弁償ができているかどうか、被害者の処罰感情のおさまりがあるのかどうかといった事情は、起訴・不起訴を大きく左右します。
また、逮捕されてしまっているような場合には、釈放を求める弁護活動の際にも(被疑者にとって)有利な事情となりますから、器物損壊事件の際と同様に、刑事事件を専門とする弁護士に相談・依頼することが効果的でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕されているご家族の方に対し、1度に限り初回接見というサービスを提供しています。(有料)
初回接見では、逮捕されている方に詳細な事件の事情を伺った上で適当なアドバイスを行うほか、接見報告にて御依頼者様に今後の見通しなどについてご説明致します。
神奈川県横浜市泉区にて、体液をかけるなどした暴行事件でお困りの際は、遠慮なく弊所へお問い合わせください。
専門スタッフがご相談者様の状況ごとに合ったサービスをご案内いたします。
ご連絡先:0120-631-881

体液をかけて逮捕①器物損壊罪

2020-04-25

体液をかけて逮捕①器物損壊罪

体液をかけて逮捕された事件で、特に器物損壊罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【事例】

神奈川県横浜市泉区在住のAは、横浜市泉区にある会社に勤める会社員です。
Aは仕事のストレスが溜まり、それを解消する目的で横浜市泉区の路上にて、歩いていた女性Vの顔や衣服に、容器に入れた自身の体液をいきなりかけました。
Vが驚き悲鳴をあげたことから、Aはその場から逃走しましたが、通報を受けて駆けつけた神奈川県泉警察署の警察官が捜査を開始しました。
神奈川県泉警察署警察官による捜査の結果、AのDNAが採取された体液のものと一致し、Aは神奈川県泉警察署に器物損壊罪で逮捕されました。
(※事例は令和2年4月14日付・YAHOO!ニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

【体液をかけて器物損壊罪?】

事例でAが行った体液をかけるという事件で成立しうる犯罪の1つが、器物損壊罪です。
今回の事例の基となった事件でも、逮捕容疑は器物損壊罪となっています。

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪という犯罪名と体液をかけるという行為がなかなか一致しない方もいらっしゃることでしょう。
器物損壊罪の条文の「他人の物を損壊し」という言葉からは、物を壊した時に成立するように見えます。
しかし、実は器物損壊罪の「他人の物を損壊し」という条文中にある「損壊」とは、物理的に物を破壊することのみを指しているわけではありません。

一般に、器物損壊罪の「損壊」とは、広く物本来の効用を失わせしめる行為を含むものをされています。
先程触れたような、物自体を物理的に破壊してしまうことはもちろん、「その物を使えないだろう」という状態にしてしまうことも器物損壊罪の「損壊」に当たるのです。
例えば、花瓶を割ってしまうことは花瓶を使えなくしてしまう行為ですから、もちろん器物損壊罪の「損壊」となります。
そして、他人の食器に放尿するといった行為も器物損壊罪の「損壊」に当たります(大判明42・4・16)。
というのも、放尿されただけであれば、食器自体が物理的に壊れて使えなくなるわけではありませんが、他人が放尿した食器を再び食器として使おうと思える人は少ないでしょう。
となると、その食器は「食器」としての効用が失われてしまうわけですから、器物損壊罪のいう「損壊」にあたり得るのです。

この「損壊」の意味を考えてみると、今回のAの事例で器物損壊罪が成立することも納得できるのではないでしょうか。
AはVの顔や衣服に自身の体液をかけており、その行為がVの持ち物を物理的に壊したとはなりません。
しかし、所有者であるVからすれば、他人の体液をかけられた衣服などをまた着用しようとは思えないと考えることは自然なことでしょう。
そうなると、AがVの衣服などの効用を失わせしめる行為をした=器物損壊罪が成立すると考えられるのです。

【器物損壊罪と弁護活動】

器物損壊罪は、「親告罪」と言われる、「告訴」がなければ起訴できない犯罪です。
「告訴」とは、被害者などの告訴権者が、犯罪被害にあったことの申告をすることと犯人の処罰を求めることです(犯罪被害にあったことの申告のみの場合は「被害届(の提出)」にとどまります。)。
つまり、起訴される前に告訴を取り下げてもらったり告訴をしない約束をしてもらったりできれば、不起訴処分となることになります。
不起訴となれば刑罰を受けることも前科がつくこともないため、器物損壊事件では謝罪・弁償をして示談を締結していくことを目指す弁護活動が考えられます。

しかし、特に今回のAのような器物損壊事件では、被害者が直接犯人やその関係者とコンタクトを取ることは考えづらいです。
性犯罪的な側面もあることから、処罰感情や恐怖も強いと考えられるためです。
だからこそ、弁護士という立場の第三者を介しての謝罪・弁償の交渉を進めることが有効と考えられるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、器物損壊罪などの刑事事件を専門としています。
逮捕されている方向けの初回接見サービスも、逮捕直後からご利用いただけます。
神奈川県横浜市泉区にて、ご自身やご家族の方が体液をかけて器物損壊事件の被疑者になってしまったという場合、まずはお気軽に当事務所までご連絡ください。

ゴミ置き場に放火して建造物等以外放火罪 

2020-04-23

ゴミ置き場に放火して建造物等以外放火罪 

建物以外の物に放火をしたという建造物等以外放火事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
神奈川県横須賀市在住のAは、横須賀市内の会社に勤める会社員です。
Aは、家賃の支払いを忘れてしまったことで大家から厳しく責められたことを逆恨みし、嫌がらせをしてやろうと考え、ゴミ置き場に置かれたゴミに火をつけました。
火が上がっていることに気づいた大家がすぐに消火活動を行ったことで、燃え広がることはありませんでしたが、放火の可能性があると考えた大家は横須賀市を管轄する横須賀警察署に通報しました。
その後の捜査機関の捜査を経て横須賀警察署から建造物等以外放火の疑いで取調べに呼ばれることになったAは、刑事事件を専門とする弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この事例はフィクションです)

【建造物等以外放火罪】

今回の事例のように火をつけたものが建造物等以外であった場合には、建造物等以外放火罪となる可能性があります。
建造物等とは、現住建造物等放火罪、非現住建造物等放火罪に規定されている「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」を指し、この建造物等以外が建造物等以外放火罪の客体となります。
建造物等以外放火罪は刑法第110条に規定されており、起訴されて有罪が確定すれば「1年以上10年以下の懲役」が科されます。
なお、放火した物が自己の所有する物であった場合には、「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」と軽い罰則が規定されています。

建造物等以外放火罪では、単に放火すれば成立するというわけではなく、公共の危険が生じることが成立の要件となります。

【公共の危険について】

公共の危険とは、放火行為により、建造物等に延焼する危険に限ったことではなく、不特定又は多数人の生命身体又は建造物等以外の財産に対する危険も含まれます。
放火時に公共の危険が生じるかどうかの認識は必要ありません。
公共の危険が生じたといえるかには、法律的判断が必要となってきますので、公共の危険は生じていない、と主張していきたいという場合には刑事事件に強い弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。
また、今回の事例のAは、建造物等以外放火罪となりましたが、ゴミ置き場の位置や状況によっては、現住建造物放火となってしまう可能性もあります。

【放火罪には弁護士を】

「放火行為」とは燃焼する可能性を認識しながら火をつけることです。
直接点火することのみならず燃え移るとわかっていながら別のものに火をつけることや、延焼するとわかっていながらあえて消火措置をとらないことも放火行為に当たる可能性があります。
そして、刑法には今回の事例の建造物等以外放火罪以外にも、人がいる建造物等に火をつける現住建造物等放火罪、人がいない建造物等の場合の非現住建造物放火罪が規定されています。
放火罪は、建造物等以外放火罪であっても罰金の規定がなく、懲役に下限が設けられている非常に重い罪です。
さらに、非現住建造物等放火罪なら「2年以上の有期懲役」とさらに重く規定されていますし、現住建造物等放火罪となれば、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と死刑まで法定されています。
罰金刑の規定のない罪では、略式手続による罰金となることがないため、起訴されてしまうと、刑事裁判を受けることになります。
このような重い罰則に対する弁護活動には、刑事事件に強い弁護士が必要になるでしょう。

建造物等以外放火罪などの方か及び失火の罪で逮捕されている方や、取調べを受けている最中の方、そのご家族がおられましたら、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

執行猶予中の万引き事件 執行猶予は取消されるのか?

2020-04-21

執行猶予中に万引き事件を起こすと執行猶予取消されるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

◇執行猶予中の犯行◇

横浜市鶴見区に住む主婦のAさんは、令和元年12月1日、横浜簡易裁判所で、万引き(窃盗罪)の件で「懲役10月 4年間執行猶予」の判決の言い渡しを受けました。
しかし、Aさんは、それから4か月後の令和2年4月1日、横浜市鶴見区のスーパーで万引きをしたとして保安員に現行犯逮捕され、スーパーに駆け付けた警察官に身柄を引き渡されました。
一方、逮捕の通知を受けたAさんの夫は、妻が逮捕されてしまったことから執行猶予が取り消されて刑務所に行かなければならないのではないかと心配になり、刑事事件に強い弁護士に、Aさんとの接見を依頼することにしました。
(フィクションです)

◇「執行猶予」とは◇

執行猶予とは、被告人(起訴され刑事裁判を受ける人=Aさん)が有罪であることは間違いないものの、被告人に酌むべき事情が認められ、そのまま刑務所に服役させるには可哀そうなため、一定期間、刑務所に行くことを見送ることとし、その一定期間が経過したのちは正式に刑務所に行かなくてよいこととする、という制度のことをいいます。
Aさんは、令和元年12月1日に「懲役10月 4年間執行猶予」という判決を受けています。
この裁判でAさんに酌むべき事情が認められたことから、Aさんは執行猶予付き判決を受けることができたのでしょう。
そして、執行猶予がついたということは、Aさんは「懲役10月」という刑に服さず、社会内での更生が許されたわけです。
そして、その許された期間である4年間を何事もなく無事経過すれば、10か月刑務所に行きなさいという効力が消滅する、これが執行猶予の制度です。
なお、執行猶予期間の起算点は控訴期間(14日間)が経過した日の翌日、つまり確定日からですから、これをAさんの場合にあてはめると令和元年12月15日から(4年間)ということになります。

ということは、Aさんは、今回の万引き時(令和2年4月1日時)はいまだ執行猶予期間中であり、Aさんは執行猶予期間中に万引きを犯したということになります。

◇執行猶予の取消し◇

上記のように、執行猶予というのは、刑務所に行くことを免除したのではなく、あくまで「見送る」こと(猶予すること)にすぎません。
したがって、その執行猶予期間中に万引きなどの犯罪を犯せば、執行猶予が取り消される可能性が非常に高いのです。

刑法は執行猶予が取り消される場合として

①必要的取消し(必ず取消される)
②裁量的取消し(取り消される場合がある)

の2つの場合を定めています。

~必要的取消しについて~

執行猶予が必ず取り消されるのは、執行猶予期間中にさらに罪を犯し、その罪につき

禁錮以上の実刑に処せられた場合(刑法26条1号)

です。
ここで「禁錮以上」とは禁錮のほか懲役を含みますが罰金は含みません。

~裁量的取消しについて~

執行猶予が取り消される可能性があるのは、執行猶予期間中に罪を犯し、

・罰金に処せられた場合(刑法26条の2第1号)
・保護観察の遵守事項を遵守せず、情状が重いとき(刑法26条の2第2号)

などです。

~Aさんの場合は?~

万引きは窃盗罪にあたります。窃盗罪の罰則は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですから、Aさんが今回の万引きで起訴され刑事裁判で有罪とされれば懲役でも罰金でも処罰される可能性があるのです。
そして、懲役で処罰された場合は必要的に前の執行猶予が取り消され罰金で処罰された場合でも前の執行猶予が取り消される可能性がある、ということになります。
もっとも、以上はAさんが起訴された場合の話ですから、起訴前の逮捕されただけの段階で執行猶予が取り消されるということはありません。
執行猶予期間中に再犯し、執行猶予が取り消されるのを避けたいという方は、今回の事件でまずは不起訴処分の獲得を目指す必要があります。

◇執行猶予中に事件を起こしてしまった方は◇

執行猶予中に事件を起こしてしまった方は、まず刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
『執行猶予中の犯行=実刑(刑務所に服役)』ではありません。
刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士は、わずかな可能性を信じ、お客様を権利を守るために全力で弁護活動を行っております。
執行猶予中の犯行であっても、諦めずに一度ご相談ください。
刑事事件のご相談は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお問い合わせください。

強盗罪と恐喝罪の違い

2020-04-19

強盗罪恐喝罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。 

◇強盗罪で逮捕◇

神奈川県横浜市に住むAさんは、ある日の夜中、人通りの少ない路上を歩いていたVさんの背後から、Vさんに対し、左手に持っていた刃物を突き付け、「金を出せ、騒ぐと殺すぞ」などと言いました。
Aさんはそのまま刃物を突き付けながら、Vさんんから現金2万円入りの財布を右手で受け取り、その場から逃走しました。
後日Aさんは、神奈川県警本部捜査第一課強盗罪通常逮捕されました。
(フィクションです)

◇強盗罪◇

強盗罪刑法236条に規定されています。

刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいますが、強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は、相手方の反抗を抑圧する程度に強いものでなければならないとされています。そして、程度であるか否かは

・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人、相手方の性別、年齢、体力

などを総合的に考慮して判断されます。

「強取」とは、上記の「暴行」「脅迫」により、相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。
通常は、犯人が被害者自身から直接財物を奪取することが多いと思いますが、必ずしもその必要はなく、反抗を抑圧された被害者から交付を受けてもよいとされています。

強盗の機会に、人を負傷させた場合は強盗致傷罪が成立するおそれがあり、法定刑は無期又は6年以上の懲役です。また、死亡させたときは死刑又は無期懲役です。なお、「人」とは必ずしも被害者に限らず、強盗を目撃した目撃者、目撃者から依頼を受けて犯人を捕まえようとした通行人なども含まれます。

◇恐喝罪◇

恐喝罪刑法249条に規定されています。

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に脅迫行為が行われることが多いと思われます。
ただし、暴行や脅迫の程度は、強盗罪と異なり「相手方の反抗を抑圧するに至らない程度」であることが必要とされています。
つまり強盗罪よりは、やや程度の落ちる脅迫行為である必要だということです。
規定上も、強盗罪と異なり「財物を交付させた」とあります。
つまり、相手方に一定の処分行為をする余地を認めているのが恐喝罪ということになり、よって、強盗罪よりも程度の弱い脅迫行為で恐喝罪が成立するとされるのです。

強盗罪の「暴行」「脅迫」か恐喝罪の「恐喝」かは、上記で述べた基準(・犯行の時刻・場所その他周囲の状況、・凶器使用の有無、・凶器の形状性質、・凶器の用い方など犯行の手段方法、・犯人、相手方の性別、年齢、体力、・その他個々の事情など)をもとに判断され、個々の事案の具体的状況により結論は異なります。

◇刑事事件に強い弁護士に相談◇

刑事事件において、ある犯罪に当たると疑われても、ふたを開けてみると「実は別の犯罪だった」ということがよくあります。強盗罪についても同じことがいえ、「強盗罪で逮捕されたものの恐喝罪で起訴された」、あるいは、「強盗罪で起訴されたが裁判で恐喝罪と認定された」などという場合です。仮に、このような事態となれば、適用される刑罰も異なり、量刑もだいぶことなりますから、強盗罪が成立するか恐喝罪が成立するかは大きな違いということになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、強盗罪恐喝罪をはじめとする刑事事件、少年事件専門の法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

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