Archive for the ‘刑事事件’ Category
下着泥棒の窃盗事件
下着泥棒の窃盗事件
下着泥棒の窃盗事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,ある日の夕方,神奈川県相模原市南区にある知人女性(Vさん)が住むアパートに侵入し,下着8点を盗んだ疑いで,神奈川県相模原南警察署の警察官により逮捕されてしまいました。
神奈川県相模原南警察署の警察官から告げられた逮捕罪名(被疑罪名)は,住居侵入罪と窃盗罪であるといいます。
Aさんは,神奈川県相模原南警察署の警察官の取調べに対し,「部屋に入って下着を盗んだのは間違いない」と住居侵入罪・窃盗罪の容疑を認めています。
Aさんが下着泥棒として,住居侵入罪・窃盗罪の容疑で逮捕されたと聞いたAさんのご家族は,刑事弁護士に刑事弁護をお願いしようと考えています。
刑事事件例の下着泥棒の窃盗事件では,刑事弁護士はどのような刑事弁護活動ができるのでしょうか。
(2021年7月21日にMBC南日本放送に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【窃盗罪とは】
刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑事事件例の下着泥棒事件は,下着という「他人の財物」を,「窃取」すなわち無断で持ち出しているため,刑法235条の窃盗罪が成立するでしょう。
【住居侵入罪とは】
刑法130条
正当な理由がないのに,人の住居…に侵入し…た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
刑事事件例の下着泥棒事件では,Vさんの自宅という「人の住居」に,「侵入」すなわち人の意思に反して立ち入っているため,住居侵入罪が成立するでしょう。
以上の,住居侵入罪と窃盗罪は,住居侵入罪を手段として,窃盗罪という目的を達成したと考えられ,その結果,住居侵入罪と窃盗罪は一つのまとまった犯罪(科刑上一罪)として,刑事裁判にかけられることになる可能性があります。
【初回接見とは】
刑事事件例の下着泥棒事件のように,警察によりいきなり逮捕されてしまうと,逮捕された住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方は精神的に動揺していると考えられる上,警察による取調べや留置施設での生活など不慣れなこと強いられ,精神的にも肉体的にも大きな負担となると考えられます。
このような警察による捜査の対象として弱者の地位にある住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方を精神的にサポートし,また憲法上・法律上認められた諸権利を行使できるように助言していくのが刑事弁護士の役割であるといえます。
例えば,住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方には,刑事訴訟法上,黙秘権が保障されており,たとえ警察による取調べであったとしても,「自分の意思」に反して供述する必要はありません。
刑事訴訟法198条2項
前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
しかし,そもそも法律の知識に劣る住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方は,このような黙秘権を行使することを知らない,どのような場合に行使すればよいか分からないというような場合も十分考えられます。
そこで,刑事弁護士が住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方と速やかに接見(面会)し,①現在,住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方がどのような地位に置かれているのか,②住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方の権利としてどのようなことができるのか,そして,③今後,住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方はどのような処分・判決を受ける可能性があるのかを教えてあげることが大切です。
なお,このような接見交通権も,刑事訴訟法上,住居侵入事件・窃盗事件の被疑者の方に与えられた弁護人選任権の裏返しとして,同じく刑事訴訟法上,刑事弁護士に保障されています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
被疑者の方の権利保護のため,迅速な初回接見サービスを提供しています。
初回接見サービスに関する詳細は,こちらを参照ください。
下着泥棒の窃盗事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
業務上横領事件(情報漏洩事件)
業務上横領事件(情報漏洩事件)
業務上横領事件(情報漏洩事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県相模原市中央区に本社を置くV株式会社に勤務するAさんは,V株式会社のシステムファイルの保管責任者でした。
Aさんは,情報を漏洩する目的で,当該システムファイルを外部に持ち出しコピーをして,また元の位置に戻しておきました。
その後,Aさんの情報漏洩行為(業務上横領行為)が発覚し,V株式会社で大問題となってしまいました。
(東京地方裁判所判決昭和60年2月13日を参考に作成したフィクションです。)
【業務上横領罪とは】
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は,10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は,「業務上自己の占有する他人の物を横領」した場合に成立する財産犯です。
業務上横領罪の「業務」とは,社会生活上の地位に基づき,反復・継続して行われる事務のうち,金銭その他の財物を委託を受けて保管することを内容とする職業もしくは職務をいいます。
業務上横領罪の「占有」は,委託信任関係に基づくものである必要があります。
刑事事件例では,これらの成立要件は満たされると考えられます。
また,業務上横領罪の「横領」とは,自己の占有する他人の物について,不法領得の意思が実現する一切の行為をいいます。
この不法領得の意思とは,最高裁判所判決昭和24年3月8日によれば,「他人の物の占有者が委託の任務に背いて,その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされています。
換言すれば,業務上横領罪の「横領」とは,被疑者の方と被害者の方との間にあった委託信任関係に背いて,物を売ったり,消費したり,持ち逃げしたりするなど,本来所有者でなければできないような処分をする意思のことです。
【情報漏洩事件と業務上横領罪】
刑事事件例の資料は,V株式会社が多大な費用と長い期間をかけて開発したコンピューターシステムの機密資料であって,その内容自体に経済的な価値があり,かつ,所有権者であるV株式会社以外の者がV株式会社の許可なしにコピーすることは許されないものであると考えられます。
そのため,AさんがV株式会社の許可を受けずにほしいまま刑事事件例の資料をコピーする目的をもってこれをV株式会社外に持ち出すにあたっては,その間,所有者であるV株式会社を排除し,刑事事件例の資料を自己の所有物と同様にその経済的用法に従って利用する意図があったと認められると考えられます。
よって,Aさんには,業務上横領罪の成立に必要な不法領得の意思(他人の物の占有者が委託の任務に背いて,その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思)があったといえると考えられます。
そして,実際にAさんは,当該システムファイルを外部に持ち出しコピーをしているため,不法領得の意思が実現する一切の行為である業務上横領罪の「横領」があったといえます。
以上から,Aさんには,業務上横領罪が成立すると考えらえます。
【業務上横領事件(情報漏洩事件)と刑事弁護活動】
刑事事件例では,Aさんの情報漏洩行為(業務上横領行為)が発覚し,V株式会社で大問題となってしまいました。
この後,V株式会社がAさんの情報漏洩行為(業務上横領行為)を問題視した場合,V株式会社はAさんを業務上横領罪で刑事告訴する可能性があります。
V株式会社がAさんを業務上横領罪で刑事告訴した場合,警察(刑事事件例では神奈川県相模原警察署が管轄となると考えられます。)はAさんに対する業務上横領罪の容疑での捜査を本格化すると考えられます。
そして,その後,Aさんによる業務上横領事件(情報漏洩事件)は検察庁に送られ,起訴されてしまう可能性があります。
そこで,業務上横領事件(情報漏洩事件)を起こしてしまった場合,すぐに刑事弁護士を付けて,刑事裁判や刑事事件化を避けることができるようにする必要があると考えられます。
刑事弁護士は,刑事事件の依頼者の方から受任をうけた後,業務上横領事件の被害者の方であるV株式会社の担当者の方と連絡を取り,何とか示談という方向で話を進めてもらえないかと,示談交渉に着手します。
この示談交渉が上手くいけば,刑事裁判や刑事事件化を避けることができる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
業務上横領事件(情報漏洩事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
同級生の殺人未遂事件
同級生の殺人未遂事件
同級生の殺人未遂事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県川崎市中原区の県立高校で,同級生をナイフで切り付け殺害しようとしたとして,高校2年生のAさん(16歳)が殺人未遂罪の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは,放課後の教室内で同級生(Vさん,16歳)を果物ナイフで切り付け,殺害しようとしました。
殺人未遂事件の被害を受けたVさんが近くにいた教員に「切られた」と助けを求め教員が119番通報し,Vさんは顔や首、手などを切られ重傷を負いましたが,命に別状はありませんでした。
Aさんは逃走しましたが,学校からおよそ数百メートル離れたところで,神奈川県中原警察署の警察官に取り押さえ,現行犯逮捕されました。
調べに対し,Aさんは「殺そうと思って切りつけた」と殺人未遂罪の容疑を認めています。
(2021年6月16日にサンテレビに掲載された記事をもとに作成したフィクションです。)
【殺人未遂罪とは】
刑法199条(殺人罪)
人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
刑法203条(殺人未遂罪)
第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。
刑事事件例では,Aさんは,殺意をもって,Vさんをナイフで切り付けています。
そして,Vさんは,命に別状はなかったものの,顔や手首などに重傷を負いました。
このような場合,Aさんは殺人罪の実行に着手し,殺人罪の結果に至らなかったといえ,Aさんには殺人未遂罪が成立します。
【殺人未遂事件と少年事件】
刑事事件例の殺人未遂事件を起こした当時,Aさんは高校2年生(16歳)でした。
このように,犯罪(刑事事件例では殺人未遂罪)を犯した者が20歳未満である場合,その者には少年法が適用されます。
少年法が適用された殺人未遂事件は,家庭裁判所に殺人未遂事件が送致される前までは,基本的には,成年と同じ刑事手続(刑事訴訟法に規定された手続)を踏むことになりますが,家庭裁判所に殺人未遂事件で送致された後は,少年法に規定された少年事件独自の手続を踏むことになります。
殺人未遂事件において少年法が適用される場合,特に注意すべき点は,刑事処分を相当とする逆走(成年と同じ刑事手続に戻すこと)が行われる可能性がある点です。
すでに述べたように,少年事件には少年法独自のルールが適用されますが,家庭裁判所が死刑,懲役又は禁錮に当たる罪を犯した少年については,その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは,逆送すること(成年と同じ刑事手続に戻すこと)ができるとされています。
少年が殺人未遂事件のような重大な少年事件を起こしたような場合,少年審判において逆送(成年と同じ刑事手続きに戻すこと)の決定になされてしまう可能性があるのです。
少年事件において,刑事処分相当を理由とする逆送(成年と同じ刑事手続に戻すこと)を防ぐためには,家庭裁判所の裁判官や調査官に対して,刑事処分が相当ではないことを主張する必要があります。
ここで,刑事処分が相当であるか否かの判断は,保護処分によって少年の矯正が見込まれるか,社会感情や被害感情をどの程度のものであるかといった要素を考慮してなされます。
そのため,殺人未遂事件で逆送(成年と同じ刑事手続に戻すこと)を避けるためには,少年審判において,保護処分によって少年の矯正が十分見込まれ,被害感情や社会感情も著しいものではないこと等を示していく必要があります。
また,刑事事件例のような同級生への殺人未遂事件は,加害者であるAさんと被疑者であるVさんとの間に,教室内で何らかのトラブルがあったと考えられます。
そのため,少年事件(殺人未遂事件)を担当する家庭裁判所の調査官・裁判官からは,殺人未遂事件の動機やいきさつなどを詳しく追及されたり,質問されたりすることが考えられますので,適切な回答ができるようにする必要もあるでしょう。
少年審判は,少年の将来が大きく左右される重大な手続きですので,刑事事件に強い刑事弁護士・少年付添人を選任し,十分な法的支援を受け,後悔のない少年審判ができるようにすることが大切でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
同級生の殺人未遂事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
クレジットカードの窃盗・詐欺事件
クレジットカードの窃盗・詐欺事件
クレジットカードの窃盗・詐欺事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,現金を盗もうと考え,神奈川県川崎市幸区にあるV1宅に侵入し,タンスの中を物色したところ,茶封筒があり,それを取り出して中を見ると現金10万円が入っていたので,ポケットにしまって引き上げました。
自宅に帰る途中,もう一度中を見ると,V1名義のクレジットカードが現金に紛れて入っているのに気付きました。
そこで,Aさんは,このクレジットカードを利用しようと考え,翌日,加盟店であるV2デパートに行き,V1さんを装って同カードを使い5万円相当のカメラを購入しました。
その代金相当額は信販会社からV2デパートに支払われたといいます。
その後,Aさんは,神奈川県幸警察署の警察官により住居侵入罪・窃盗罪と,詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
【住居侵入罪とは】
刑法130条
正当な理由がないのに,人の住居…に侵入し…た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
Aさんが,V1さん宅に現金を盗むとの目的で立ち入る行為は,住居侵入罪の「侵入」に当たります。
よって,Aさんには,住居侵入罪が成立します。
【窃盗罪とは】
刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
Aさんが,現金10万円が入っていた茶封筒をポケットにしまった行為は,窃盗罪の「窃取」にあたります。
また,Aさんが,気付かずにクレジットカードも無断で持ち去った行為についても,Aさんはおよそ「他人の物」を盗もうと考えており,そこに窃盗行為の認識があったといえると考えられます。
そのため,クレジットカードを無断で持ち去る行為についても,窃盗罪の故意(犯罪事実の認容・認識)があったといえると考えられます。
よって,Aさんには窃盗罪が成立します。
【詐欺罪とは】
刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
Aさんが,クレジットカードの名義人であるV1さんを偽って,クレジットカードを使って,5万円相当のカメラを購入した行為は,詐欺罪の「人を欺いて財物を交付させた」行為にあたります。
ここで,V2デパートは,信販会社から代金相当額の支払を受けており,詐欺罪の経済上の損害がないとも思われますが,V2デパートは,Aさんがクレジットカード名義人でないと気付いていれば,Aさんにカメラを交付することはなかったと考えられます。
そのため,V2デパートにはカメラを交付したこと自体に詐欺罪の経済的損害があったと考えられます。
以上より,Aさんには,詐欺罪が成立すると考えられます。
【クレジットカードの窃盗・詐欺事件】
クレジットカードの窃盗・詐欺事件を起こしてしまった場合,クレジットカードの名義人の方(窃盗事件の被害者の方)とクレジットカードによる詐欺行為を受けた店舗(詐欺事件の被害店舗)に財産的損害が発生しており,被害者の方は2名ということになります。
クレジットカードの窃盗・詐欺事件を起こしてしまった場合であっても,執行猶予や減刑,正式起訴回避といった寛大な判決や寛大な処分を避けるためには,示談をすることが非常に重要となりますが,この示談交渉も,既に述べた被害者の方の数ぶんだけ行う必要があります。
示談交渉の内容としては,窃盗事件の被害者の方との示談においては,被害品の返還,被害弁償,被害者の方の自宅がある地域への出入り禁止などを,法的拘束力を持った示談書で約束することが考えられます。
一方,詐欺事件の被害店舗との示談においては,被害品の返還,被害弁償,被害店舗への立ち入り禁止などを,同じく法的拘束力のある示談書で誓約することが考えられます。
このような被害者の方が複数存在する示談は,起訴や裁判の日程との関係で速やかに行う必要があるため,刑事事件に詳しい刑事弁護士にしかなしえないと思われます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,窃盗事件や詐欺事件などの刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
クレジットカードの窃盗・詐欺事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
傷害・暴行事件(法律の錯誤)
傷害・暴行事件(法律の錯誤)
傷害・暴行事件(法律の錯誤)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県川崎市川崎区に住むAさんは,同区内の飲食店において,V1さんと口論になりました。
V1さんの態度に激高したAさんは,V1さんの顔面を1発殴り,出血させました。
Aさんは,Aさんの傷害事件を目撃したV2さんにより取り押さえられそうになりましたが,警察官でもないV2さんに捕まえられる理由はないと考えて,「関係ないだろ,ひっこんでろ」と言い,V2さんを突き飛ばし転倒させました(V2さんに怪我はありませんでした)。
その後,Aさんは,神奈川県川崎警察署の警察官により傷害罪,暴行罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
【V1さんに対する傷害事件】
刑法204条
人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑事事件例では,Aさんは,V1さんの顔面を殴り,生理機能の障害(これは傷害罪の「傷害」にあたります。)を生じさせているため,Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。
【V2さんに対する暴行事件】
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑事事件例では,Aさんは,V2さんを突き飛ばしており,V2さんの身体に対する物理力を行使(これは暴行罪の「暴行」にあたります。)しており,Aさんには暴行罪にあたる行為を行っていると考えられます。
しかし,Aさんは,警察官でもないV2さんに捕まえられる理由はないと考え,自分の暴行行為を合法(適法)と誤信しています。
このように自己の暴行行為が法律に違反していない,自己の暴行行為は許されていると誤信した場合,Aさんには暴行罪が成立するのでしょうか。
【法律の錯誤とは】
刑法38条3項
法律を知らなかったとしても,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできない。
ただし,情状により,その刑を軽くすることができる。
暴行罪のような犯罪を故意に犯した者に責任を負わせること(故意責任)の本質は,暴行行為のような犯罪事実を認識した場合,暴行行為を止めるという反対動機を形成が可能であるのにも関わらず,あえて行為に及んだ点に重い非難をすることができる点にあると考えられています。
そして,暴行行為の違法性の意識がなかったとしても,違法性の意識の可能性があれば,暴行行為を止めるという反対動機を形成することができるといえます。
そのため,刑法38条3項は,自分の行為(暴行行為)が違法であることを知らなかったとしても,自分の行為(暴行行為)が違法であることを知ることができる可能性があった場合,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできない,と読めることになります。
刑事事件例においては,Aさんは,V2さんを突き飛ばすことは違法なことであると認識できた可能性はあったと考えられます。
したがって,Aさんには,やはり暴行罪が成立すると考えられます。
【傷害・暴行事件を起こしたら】
既に述べたように,Aさんには,V1さんに対する傷害罪,V2さんに対する暴行罪が成立すると考えられます。
このように被害者の方が複数いる場合,侵害された法益がV1さん,V2さんのそれぞれの身体であるため,示談交渉をする場合には被害者の方それぞれと進める必要があります。
示談交渉はスピードが大切であるため,被害者の方が複数いる刑事事件であっても,刑事事件に強い弁護士を選任し,示談交渉を円滑に進めていくことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害・暴行事件(法律の錯誤)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください(弁護士費用については,こちらをご参照ください。)。
事後強盗罪の共犯事件
事後強盗罪の共犯事件
事後強盗罪の共犯事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,神奈川県鎌倉市の公園において,友人であるBさんを見つけました。
Bさんは,息を切らしており,手には高級ブランドバッグを持っていました。
すると,公園内にVさんが走りこんできて,Bさんに向かって,「この泥棒。バッグを返せ。現行犯逮捕してやる。」と言いました。
一切の事情を把握したAさんは,Bさんと意思を通じて,Bさんを逃がすために,共にVさんに暴行を加えて,その反抗を抑圧しました。
事後強盗事件に被害を受けたVさんは,神奈川県鎌倉警察署の警察官に事後強盗事件の被害を訴え,Aさんは事後強盗罪の共犯(共同正犯)として,逮捕されました。
(フィクションです。)
【事後強盗罪とは】
刑法238条
窃盗が,財物を得てこれを取り返させることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪証を隠滅するために,暴行又は脅迫したときは,強盗として論じる。
事後強盗罪は,刑法238条に規定された財産犯です。
事後強盗罪を犯した者は,「強盗として論じ」られ,刑法236条1項の強盗罪に規定された「5年以上の有期懲役」に科せられます。
Bさんは窃盗犯人であり,逮捕を逃れる目的で,Vさんに対して事後強盗罪の「暴行」を行っているため,Bさんには事後強盗罪が成立すると考えられる一方,Aさんは,Bさんと共に,Vさんへの暴行という事後強盗罪の「暴行」を行っていますが,Aさんは暴行に加担したのみで,窃盗とは無関係です。
この場合でも,Aさんには事後強盗罪の共犯(共同正犯,60条)が成立するのでしょうか。
刑法65条1項
犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは,身分のない者であっても,共犯とする。
事後強盗罪の性質は,窃盗という身分(性質,地位,状態)のある者しか犯すことにできない犯罪(身分犯といいます。)と考えることができます。
とすると,Aさんは,事後強盗罪という「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功した」といえることになります。
この場合,Aさんが「身分のない者であっても,共犯」(共同正犯)として扱われます。
そのため,Aさんには,事後強盗罪の共犯(共同正犯)が成立することになります。
【事後強盗罪の共犯事件について】
刑事事件例のAさんのように,Aさんは,Bさんと共に,Vさんへの暴行という事後強盗罪の「暴行」を行っていますが,Aさんは暴行に加担したのみで,窃盗とは無関係という場合であっても,事後強盗罪の共犯(共同正犯)が成立する可能性があります。
刑法60条
2人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする。
事後強盗罪の共犯(共同正犯)が成立する場合には,その者には「正犯」として,事後強盗罪の刑罰である「5年以上の有期懲役」に科せられます。
そのため,たとえ犯罪(事後強盗罪)の一部にしか関与していないという場合であっても,自分には犯罪(事後強盗罪)が成立しないのだと安易に考えず,刑事事件に詳しい刑事弁護士に相談し,適切な刑事弁護活動を受けることをお薦めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
事後強盗罪の共犯事件でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
銀行の背任事件
銀行の背任事件
銀行の背任事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県横浜市泉区にあるV銀行W支店の貸付担当者であるAさんには,旧友でありIT企業を経営するBさんがいました。
ある日,Aさんは,Bさんから,「会社の財務状況が急激に悪化し,倒産の恐れもある」と相談を受けました。
そこで,Aさんは「友人の頼みだから」と考え,Bさんの会社には十分な担保はなかったものの,担保ができたとの虚偽の書類を作成した上で,V銀行W支店の支店長に融資をさせました。
その後,B会社の経営状態はさらに悪化し,倒産したことをきっかけに,Aさんによる背任事件が明らかになりました。
Aさんは神奈川県泉警察署の警察官により背任罪の容疑で捜査を受けています。
(フィクションです。)
【背任罪とは】
刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が,自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で,その任務に背く行為をし,本人に財産上の利益を加えたときは,5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
背任罪は,刑法247条に規定された財産犯です。
背任罪を犯した者には,「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。
【横領罪(業務上横領罪)とは】
刑法252条1項
自己の占有する他人の物を横領した者は,5年以下の懲役に処する。
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は,10年以下の懲役に処する。
横領罪は刑法252条に,業務上横領罪は刑法253条に規定された財産犯です。
横領罪を犯した者には「5年以下の懲役」,業務上横領罪を犯した者には「10年以下の懲役」が科せられます。
【刑事事件例ではどのような犯罪が成立するか】
刑事事件例では,AさんはV銀行W支店の貸付担当者であり,実質的にV銀行W支店の金銭の処分を任された地位にあります。
この場合,Aさんは,業務上横領罪の「他人の物」(V銀行W支店の金銭)を「占有」していたとも考えられる一方,背任罪の「他人のためにその事務を処理する者」に当たるとも考えられます。
このとき,Aさんには業務上横領罪が成立するのでしょうか,背任罪が成立するのでしょうか。
ここで,既に述べた通り,横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」,業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」であり,背任罪の法定刑である「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」よりも重いものとなっています。
この場合,横領罪又は業務上横領罪と,背任罪の関係については,横領罪又は業務上横領罪が背任罪の特別規定であると考えられます。
そのため,第一に横領罪又は業務上横領罪が成立するかどうかを考え,横領罪又は業務上横領罪の成立が否定された場合には,第二に背任罪が成立するかどうかを考えるということになると考えられます。
【横領罪(業務上横領罪)と背任罪の違い】
横領罪又は業務上横領罪の「横領」とは,委託信任関係に背いて,権限なく所有者でなければできないような処分をすることをいいます。
すなわち,横領罪又は業務上横領罪の「横領」とは,委託された権限外にある行為のことをいいます。
となると,一応は権限の範囲内でなされたたが,実質的には任意に背く行為は,横領罪又は業務上横領罪の「横領」ではなく,背任罪の「背任」に当たる可能性があることになります・
刑事事件例では,Aさんは銀行の行員であるから,貸付行為は一応はAさんに与えられた権限に含まれると考えられるため,背任罪の「背任」に当たるかどうかを検討することになります。
【背任罪の成立要件とは】
改めて背任罪の「背任」に当たるかどうかを検討すると,背任罪の「他人のためにその事務を処理する者」とは,他人の財産上の事務を処理する者のことをいいます。
また,背任罪の「任務に背く行為」とは,誠実な事務処理者としてなすべきものと法的に期待されているところに反する行為をいいます。
刑事事件例では,Aさんは貸付先として適しているかを判断し,融資するというV銀行W支店の事務を処理する者であったということができます。
また,Aさんは,虚偽の書類を作成し,支払能力について誤った判断をさせており,ここに背任罪の「任務に背く行為」があったというと考えられます。
さらに,背任罪の「財産上の利益」があったといえるかどうかは,経済的観点から評価すべきであると考えられています。
そのため,刑事事件例のように実質的な価値の低い貸金債権を取得したことは十分な反対給付があったとはいえず,ここに背任罪の「財産上の利益」があったと考えられます。
以上より,Aさんには,背任罪が成立すると考えられます。
このように,Aさんにどのような犯罪が成立するかということについては,刑事事件に関する専門的な犯罪が必要であるため,刑事事件を起こしてしまった場合に,自分にはどのような犯罪が成立し,今後どのような刑事処分が科せられるかどうかは,専門家である刑事弁護士に判断をあおることが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
銀行の背任事件でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
医師による虚偽診断書作成事件
医師による虚偽診断書作成事件
医師による虚偽診断書作成事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(医師)は,神奈川県横浜市瀬谷区の病院において,刑事事件の裁判継続中の被告人Bさんの担当医をしていました。
Aさんは,横浜地方検察庁からの病状に関する照会に対して,虚偽の記載をした回答書を提出しました。
その後,Aさんは,神奈川県瀬谷警察署の警察官により,虚偽診断書作成罪の容疑で捜査を受けました。
(2019年11月8日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【虚偽診断書作成罪とは】
刑法160条
医師が公務所に提出すべき診断書,検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは,3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
虚偽診断書作成罪は,刑法160条に規定された文書偽造の罪です。
虚偽診断書作成罪を犯した者には,「3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金」が刑罰として科せられます。
【虚偽診断書作成罪の成立要件とは】
虚偽診断書作成罪は,医師が,「公務所に提出すべき」「診断書」に虚偽の記載をしたときに成立します。
虚偽診断書作成罪の「公務所に提出すべき」とは,公務所への提出が予定されていることをいいます。
また,虚偽診断書作成罪の「診断書」とは,医師が診察の結果に関する判断を表示して人の健康状態を証明するために作成する文書のことをいいます。
さらに,虚偽診断書作成罪の「虚偽の記載をした」とは,客観的事実及びそれに基づく判断に関する虚偽の記載をすることをいいます。
以上の虚偽診断書作成罪の要件を満たす場合,被疑者の方には虚偽診断書作成罪が成立します。
【虚偽診断書作成事件の刑事弁護活動】
虚偽診断書作成事件の刑事弁護活動として行えることは,虚偽診断書作成事件の被疑者・被告人の方が,虚偽診断書作成罪の容疑を認めているのか,それとも否認しているのかによって異なります。
虚偽診断書作成事件の被疑者・被告人の方が虚偽診断書作成罪の容疑を認めている場合,虚偽診断書作成事件を捜査する検察官に対して不起訴処分をしてもらえないか説得したり,もし虚偽診断書作成罪で起訴がされてしまったときには執行猶予判決や減刑ができないかと裁判官を説得したりすることができると考えられます。
一方,虚偽診断書作成事件の被疑者・被告人の方が虚偽診断書作成事件の容疑を否認している場合,虚偽診断書作成罪の成立を争う法廷弁護活動を行うことができると考えられます。
例えば,虚偽の記載ではなく,説明不十分な記載をしたにとどまるため,虚偽と判断するには合理的な疑いを差し込む余地があるなどと主張していくことが考えられます。
このように,虚偽診断書作成事件の刑事弁護活動は,虚偽診断書作成事件の被疑者・被告人の方の意思を聞いたうえで,有利になるような刑事弁護方針を立てなければなりません。
そのため,早い段階で刑事弁護士に虚偽診断書作成事件の経緯や内容を伝えた上で法的助言をあおいだり,刑事弁護士を選任したりする必要があると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
虚偽診断書作成事件を含む刑事事件に詳しい刑事弁護士が,初回接見や初回無料相談などの刑事弁護活動を行っています。
医師による虚偽診断書作成事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
建造物等以外放火事件で逮捕
建造物等以外放火事件で逮捕
建造物等以外放火事件で逮捕された場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,神奈川県横浜市旭区のVさんの民家敷地内に駐車されていた乗用車(Vさん所有)に火を付け,全焼させたとして,建造物等以外放火罪の容疑で逮捕されました。
AさんとVさんは知人関係にあったといいます。
Aさんが建造物等以外放火罪の容疑で神奈川県旭警察署の警察官により逮捕されたと聞いたAさんの両親は,建造物等以外放火事件に詳しい刑事弁護士を探しています。
(2021年3月4日に静岡新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【建造物等以外放火罪とは】
刑法110条1項(他人所有建造物等以外放火罪)
放火して,前2条に規定する物以外を焼損し,よって公共の危険を生じさせた者は,1年以上10年以下の懲役に処する。
刑法110条2項(自己所有建造物等以外放火罪)
前項の物が自己の所有に係るときは,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
建造物等以外放火罪は,刑法108条・刑法109条に規定されている物である建造物等以外を客体とする放火罪です。
刑法110条1項では建造物等以外放火罪の中でも他人所有の建造物以外を客体とする場合を規定しています(他人所有建造物等以外放火罪といいます)。
刑法110条2項では建造物等以外放火罪の中でも自己所有の建造物以外を客体とする場合を規定しています(自己所有建造物等以外放火罪といいます)。
刑法110条1項の他人所有建造物等以外放火罪は他人所有の建造物以外を客体とすることから,刑法110条2項の自己所有建造物等以外放火罪とは違い,他人の財産を侵害しています。
そのため, 刑法110条1項の他人所有建造物等以外放火罪は,刑法110条2項の自己所有建造物等以外放火罪と比較して,より重い刑罰が科せられています。
【(他人所有)建造物等以外放火罪の成立要件】
(他人所有)建造物等以外放火罪の成立要件は,①放火して,②前2条に規定する物以外を③焼損し,④よって公共の危険を生じさせたことです。
(他人所有)建造物等以外放火罪の①「放火して」とは,目的物・媒介物に点火することをいいます。
(他人所有)建造物等以外放火罪の②「前2条に規定する物以外」とは,刑法108条・109条に規定されている「建造物,艦船又は鉱坑」以外をいいます。
(他人所有)建造物等以外放火罪の③「焼損し」とは,火が媒介物を離れて,目的物が独立して燃焼を継続する状態に達することをいいます。
(他人所有)建造物等以外放火罪の④「よって公共の危険を生じさせた」とは,延焼による不特定または多数人の生命・身体・財産に対する危険を生じさせることをいいます。
そして,(他人所有)建造物等以外放火罪の被疑者の方が上記「公共の危険」を発生させることを認識している必要はないと考えられています。
以上の(他人所有)建造物等以外放火罪の成立要件を満たす場合,被疑者の方には(他人所有)建造物等以外放火罪が成立することになります。
【建造物等以外放火事件で逮捕されたら】
建造物等以外放火事件で逮捕された場合,すぐに刑事弁護士に連絡し,少しでも早く刑事弁護士に相談することが重要です。
建造物等以外放火事件で逮捕されている場合には,すぐに刑事弁護士が接見に行き,建造物等以外放火事件の事情を聞いたうえで,建造物等以外放火事件を捜査する警察官や検察官による取調べにどのように対応すべきかを具体的に法的見地からアドバイスします。
そして,建造物等以外放火事件の被疑者が身体拘束を受けている場合には,早期の身柄解放を目指し,すぐに身柄解放活動に取り掛かります。
また,建造物等以外放火罪は被害者の方が存在する犯罪であるため,建造物等以外放火事件の被害者の方に対して,正式な謝罪や被害弁償を行うための示談交渉活動を開始します。
示談が成立した場合,早期の身柄解放や処罰の軽減が見込まれる可能性が高くなるため,刑事弁護士はすぐに示談交渉に取り掛かります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物等以外放火事件で逮捕された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
虚偽書き込みの名誉毀損事件
虚偽書き込みの名誉毀損事件
虚偽書き込みの名誉毀損事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,SNS(会員制交流サイト)において,特定の警察官を騙って,Vさんが法律違反をしているとの虚偽の内容を書き込み,Vさんの名誉を傷つけたとして,神奈川県宮前警察署の警察官により名誉毀損罪の容疑で捜査を受けています。
Aさんは,神奈川県宮前警察署の警察官により名誉毀損事件の捜査を受け,事の重大さに気が付き,名誉毀損事件に強い刑事弁護士をつけることを考えています。
(2021年4月20日に静岡新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【名誉毀損罪とは】
刑法230条1項
公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
名誉毀損罪は,「人の名誉」を保護するために規定された犯罪です。
具体的に名誉毀損罪の「人の名誉」とは,人に対する積極的な社会評価(外部的名誉)といいます。
名誉毀損罪の保護法益がこの人に対する積極的な社会評価(外部的名誉)であることから,名誉毀損罪が成立するための要件として「公然と」事実を摘示することが要求されています。
これは,名誉毀損罪の「公然と」とは,摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態のことをいいますが,不特定または多数人への事実の摘示であれば人に対する積極的な社会評価(外部的名誉)が毀損されると類型的に考えられるからです。
また,名誉毀損罪の「事実を摘示」とは,人の社会的評価を低下させるのに足りる具体的な事実を摘示することをいいます。
この名誉毀損罪の摘示された事実は,真実であるか偽りであるかを問わないと考えられています。
なお,この名誉毀損罪の「事実を摘示」という要件を満たさない場合,名誉毀損罪は成立しませんが,侮辱罪(刑法231条)が成立する可能性があります。
さらに,名誉毀損罪は,以上のように公然と事実を摘示することにより,「人の名誉を毀損した」場合に成立すると規定されていますが,被害者の方の社会的評価を低下させるに足りる事実を公然と摘示すればよく,現実に名誉が毀損される必要はないと考えられています。
【名誉毀損罪が成立しない場合とは】
刑法230条の2
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない(第1項)。
前項の規定の適用については,公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は,公共の利害に関する事実とみなす(第2項)。
前条1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない(第3項)。
名誉毀損罪に関する特則として刑法230条の2が規定されています。
この名誉毀損罪に関する特則規定は,一定の要件が満たされる場合,特に表現の自由を保障する観点から名誉毀損罪を「罰しない」とされています。
具体的には,刑法230条の名誉毀損罪に該当する行為が①公共の利害に関する事実に係るものであり,かつ,②その目的がもっぱら公益を図ることにあったと認められ,さらに,③摘示された事実が真実であることの証明があった場合,名誉毀損行為の違法性が無くなり,名誉毀損罪が犯罪として成立しないことになります。
なお,刑法230条の2第2項では,公訴提起前の人の犯罪事実に関する事実に関する場合,①公共の利害に関する事実に係るものとみなされると規定されています。
また,刑法230条の2第3項では,公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に関する場合,①公共の利害に関する事実に係るものであり,かつ,②その目的がもっぱら公益を図ることにあったとみなされると規定されています。
これは,公訴提起前の人の犯罪事実に関する事実に関する場合や公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に関する場合,①又は②の要件が満たされることが明らかで,その証明が不要とされているからです。
【名誉毀損事件の刑事弁護活動】
刑事事件では,Aさんは,神奈川県宮前警察署の警察官により名誉毀損事件の捜査を受け,事の重大さに気が付き,名誉毀損事件に強い刑事弁護士をつけることを考えています。
このような名誉毀損事件において,刑事事件に強い刑事弁護士を付けることのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
この点,刑事事件に強い刑事弁護士は,刑事事件に関する豊富な知識と経験から,名誉毀損事件で捜査を受けている被疑者の方に寛大な処分・判決が下されるよう,名誉毀損事件を担当する検察官や裁判官に対して,処分意見書や法廷弁護活動において働きかけていきます。
例えば,名誉毀損事件の被疑者・被告人の方から名誉毀損事件後の反省の様子や今後の更生方法について,刑事弁護士が聞き取って書面化したり,刑事裁判においては被告人質問や証人尋問という形で伝えていったりすることができると考えられます。
このような刑事弁護活動をすることができれば,刑事事件例のような名誉毀損事件においては,もちろん事件を取り巻く事情(前科前歴の有無や犯行の悪質性等)にもよりますが,不起訴処分を獲得したり,公開の法廷で行われる正式裁判を避けて罰金処分(略式命令)を得たりすることができる可能性があると考えられます。
また,上述した「名誉毀損罪が成立しない場合」にあたると考えられる場合,名誉毀損罪の成立を争うための刑事弁護活動を行うことができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
虚偽書き込みの名誉毀損事件でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。