業務上横領事件(情報漏洩事件)

2021-07-13

業務上横領事件(情報漏洩事件)

業務上横領事件(情報漏洩事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

神奈川県相模原市中央区に本社を置くV株式会社に勤務するAさんは,V株式会社のシステムファイルの保管責任者でした。
Aさんは,情報を漏洩する目的で,当該システムファイルを外部に持ち出しコピーをして,また元の位置に戻しておきました。
その後,Aさんの情報漏洩行為(業務上横領行為)が発覚し,V株式会社で大問題となってしまいました。
(東京地方裁判所判決昭和60年2月13日を参考に作成したフィクションです。)

【業務上横領罪とは】

刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は,10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は,「業務上自己の占有する他人の物を横領」した場合に成立する財産犯です。

業務上横領罪の「業務」とは,社会生活上の地位に基づき,反復・継続して行われる事務のうち,金銭その他の財物を委託を受けて保管することを内容とする職業もしくは職務をいいます。
業務上横領罪の「占有」は,委託信任関係に基づくものである必要があります。
刑事事件例では,これらの成立要件は満たされると考えられます。

また,業務上横領罪の「横領」とは,自己の占有する他人の物について,不法領得の意思が実現する一切の行為をいいます。
この不法領得の意思とは,最高裁判所判決昭和24年3月8日によれば,「他人の物の占有者が委託の任務に背いて,その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされています。

換言すれば,業務上横領罪の「横領」とは,被疑者の方と被害者の方との間にあった委託信任関係に背いて,物を売ったり,消費したり,持ち逃げしたりするなど,本来所有者でなければできないような処分をする意思のことです。

【情報漏洩事件と業務上横領罪】

刑事事件例の資料は,V株式会社が多大な費用と長い期間をかけて開発したコンピューターシステムの機密資料であって,その内容自体に経済的な価値があり,かつ,所有権者であるV株式会社以外の者がV株式会社の許可なしにコピーすることは許されないものであると考えられます。

そのため,AさんがV株式会社の許可を受けずにほしいまま刑事事件例の資料をコピーする目的をもってこれをV株式会社外に持ち出すにあたっては,その間,所有者であるV株式会社を排除し,刑事事件例の資料を自己の所有物と同様にその経済的用法に従って利用する意図があったと認められると考えられます。

よって,Aさんには,業務上横領罪の成立に必要な不法領得の意思(他人の物の占有者が委託の任務に背いて,その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思)があったといえると考えられます。
そして,実際にAさんは,当該システムファイルを外部に持ち出しコピーをしているため,不法領得の意思が実現する一切の行為である業務上横領罪の「横領」があったといえます。

以上から,Aさんには,業務上横領罪が成立すると考えらえます。

【業務上横領事件(情報漏洩事件)と刑事弁護活動】

刑事事件例では,Aさんの情報漏洩行為(業務上横領行為)が発覚し,V株式会社で大問題となってしまいました。
この後,V株式会社がAさんの情報漏洩行為(業務上横領行為)を問題視した場合,V株式会社はAさんを業務上横領罪刑事告訴する可能性があります。

V株式会社がAさんを業務上横領罪刑事告訴した場合,警察(刑事事件例では神奈川県相模原警察署が管轄となると考えられます。)はAさんに対する業務上横領罪の容疑での捜査を本格化すると考えられます。
そして,その後,Aさんによる業務上横領事件(情報漏洩事件)は検察庁に送られ,起訴されてしまう可能性があります。

そこで,業務上横領事件(情報漏洩事件)を起こしてしまった場合,すぐに刑事弁護士を付けて,刑事裁判や刑事事件化を避けることができるようにする必要があると考えられます。
刑事弁護士は,刑事事件の依頼者の方から受任をうけた後,業務上横領事件の被害者の方であるV株式会社の担当者の方と連絡を取り,何とか示談という方向で話を進めてもらえないかと,示談交渉に着手します。
この示談交渉が上手くいけば,刑事裁判や刑事事件化を避けることができる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
業務上横領事件(情報漏洩事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

ページの上部へ戻る