傷害・暴行事件(法律の錯誤)

2021-06-29

傷害・暴行事件(法律の錯誤)

傷害暴行事件(法律の錯誤)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

神奈川県川崎市川崎区に住むAさんは,同区内の飲食店において,V1さんと口論になりました。
V1さんの態度に激高したAさんは,V1さんの顔面を1発殴り,出血させました。
Aさんは,Aさんの傷害事件を目撃したV2さんにより取り押さえられそうになりましたが,警察官でもないV2さんに捕まえられる理由はないと考えて,「関係ないだろ,ひっこんでろ」と言い,V2さんを突き飛ばし転倒させました(V2さんに怪我はありませんでした)。
その後,Aさんは,神奈川県川崎警察署の警察官により傷害罪暴行罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

【V1さんに対する傷害事件】

刑法204条
人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑事事件例では,Aさんは,V1さんの顔面を殴り,生理機能の障害(これは傷害罪の「傷害」にあたります。)を生じさせているため,Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

【V2さんに対する暴行事件】

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑事事件例では,Aさんは,V2さんを突き飛ばしており,V2さんの身体に対する物理力を行使(これは暴行罪の「暴行」にあたります。)しており,Aさんには暴行罪にあたる行為を行っていると考えられます。

しかし,Aさんは,警察官でもないV2さんに捕まえられる理由はないと考え,自分の暴行行為を合法(適法)と誤信しています。
このように自己の暴行行為が法律に違反していない,自己の暴行行為は許されていると誤信した場合,Aさんには暴行罪が成立するのでしょうか。

【法律の錯誤とは】

刑法38条3項
法律を知らなかったとしても,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできない。
ただし,情状により,その刑を軽くすることができる。

暴行罪のような犯罪を故意に犯した者に責任を負わせること(故意責任)の本質は,暴行行為のような犯罪事実を認識した場合,暴行行為を止めるという反対動機を形成が可能であるのにも関わらず,あえて行為に及んだ点に重い非難をすることができる点にあると考えられています。
そして,暴行行為の違法性の意識がなかったとしても,違法性の意識の可能性があれば,暴行行為を止めるという反対動機を形成することができるといえます。

そのため,刑法38条3項は,自分の行為(暴行行為)が違法であることを知らなかったとしても,自分の行為(暴行行為)が違法であることを知ることができる可能性があった場合,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできない,と読めることになります。

刑事事件例においては,Aさんは,V2さんを突き飛ばすことは違法なことであると認識できた可能性はあったと考えられます。
したがって,Aさんには,やはり暴行罪が成立すると考えられます。

【傷害・暴行事件を起こしたら】

既に述べたように,Aさんには,V1さんに対する傷害罪,V2さんに対する暴行罪が成立すると考えられます。

このように被害者の方が複数いる場合,侵害された法益がV1さん,V2さんのそれぞれの身体であるため,示談交渉をする場合には被害者の方それぞれと進める必要があります。
示談交渉はスピードが大切であるため,被害者の方が複数いる刑事事件であっても,刑事事件に強い弁護士を選任し,示談交渉を円滑に進めていくことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害暴行事件(法律の錯誤)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください(弁護士費用については,こちらをご参照ください。)。

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