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不法就労外国人を雇用して家宅捜索
不法就労外国人を雇用して家宅捜索
不法就労の外国人労働者を雇用して家宅捜索を受けた場合の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県伊勢原市在住のAは、伊勢原市内にある会社を経営する会社経営者です。
Aは、昨今の売り手市場から人材確保に苦慮していて、日本人や正規の手続きを踏んだ外国人労働者を雇用することが困難となっていました。
そんな時、就職エージェントを名乗るXがAの会社に来て、Aに対して「ウチなら最低限の金で外国人を雇用することができるよ」との営業説明を受けました。
そこでAは、Xから紹介を受けてきた外国人ら8名を雇用しました。
しかし、後日神奈川県伊勢原市を管轄する伊勢原警察署の警察官が突然Aの会社に来て「捜索差押許可状」という書類をAに見せ、オフィスや作業場などに行って雇用に関する書類や従業員のタイムカード、帳簿などを押収していきました。
Aは、家宅捜索を受けた場合、今後どうなるのかについて刑事事件専門の弁護士に無料相談をしました。
〈ケースは全てフィクションです。〉
【不法就労の外国人を雇用した場合の問題】
日本に外国人が滞在する際、入国の際に付された在留資格の中・期限内で活動をすることができます。
在留資格には、例えば外交や宗教、医療、教育、留学などの資格があるほか、配偶者(夫または妻)が日本人の場合等については永住者として在留する資格が与えられます。
そして、例えば留学での在留であればアルバイトが出来るのは1週間の内28時間以内(風俗営業は禁止)等の制限があります。
しかし、外国人の中には、それらの資格で入国してきたものの、期限内に出国しなかったり在留資格外である就労をしたりといった不法滞在・不法就労をする人もいます。
不法就労している外国人の方が退去強制されることは勿論ですが、不法就労の外国人を雇用した方は出入国管理及び難民認定法(通称:入管法)に違反します。
これは、ケースのAのように例え当該外国人が不法就労であることを知らなかった場合でも、無過失の場合以外には刑事罰を課せられる可能性があります。
無過失の場合とは、例えばAは在留資格認定証明書を確認したものの、確認した書類は不法就労の外国人が偽造していた場合等があてはまります。
つまり、雇用者が在留資格・在留期間の確認を怠った場合であれば、過失があるとして刑事罰の対象となるのです。
入管法73条の2第1項 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 (略)
同条2項 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第十九条第二項の許可を受けていないこと。
三 当該外国人が第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。
【家宅捜索について】
憲法上、自分の住居や所持品等については、侵入・捜査・押収を受けることがないという権利が保障されています。
捜査機関はこれを承諾(家主や所有者の許可)を得た上で捜索をすることも出来ますが、家主や所有者はそれを拒む権利もあります。
そこで、捜査機関は裁判所に令状を請求し、許可が下りた場合に強制的に捜索を行う場合があります。
これが強制捜査です。
家宅捜索については、捜索の許可状が必要であるとともに捜索の結果見つかった証拠物件については差し押さえる必要があります。
これらの要素を兼ねた令状が、捜索差押許可状です。
家宅捜索の場合、通常は捜索許可状と差押許可状を別個に請求するわけではなく、捜索差押許可状1枚で、自宅やオフィスといった私的領域での捜索を行い、証拠物件を差し押さえるという流れになります。
なお、家宅捜索が行われることと逮捕されることは別で、逮捕をする場合には逮捕状を別途請求(場合によっては事後的に請求)する必要があります。
そのため、家宅捜索を受けた場合に必ずしも逮捕されるわけではありませんが、家宅捜索で押収された証拠物件を鑑定した結果違法であることを確認して逮捕するという場合もあります。
神奈川県伊勢原市にて、ご本人又はご家族の方が不法就労の外国人雇用した結果、伊勢原警察署の警察官から家宅捜索を受けた場合は、あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
公務執行妨害罪での違法捜査
公務執行妨害罪での違法捜査
俗に言う転び公妨で逮捕され、別件の捜査を受けるといった違法捜査を受けた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市宮前区在住のAは、川崎市宮前区にて自営業をしています。
ある日、Aは川崎市宮前区にあるスナックに入ったところ、隣の席に座っていた覚せい剤の売人Xが「気持ち良い薬を持ってるよ」等と言ってきたため、AはXから覚せい剤を購入しました。
その帰り道、川崎市宮前区を管轄する宮前警察署の警察官がAの歩き方を不審に思い、呼び止めて職務質問をしようと声をかけました。
しかし、Aは頑なにそれを拒み続けました。
すると、宮前警察署の警察官は、あたかもAから押し倒されたかのように倒れこみ、「公妨だ、公妨だ!」と言って起き上がり、Aを公務執行妨害罪で現行犯逮捕しました。
Aに手錠をかけ、Aの所持品検査を行ったところ、覚せい剤が出てきたため後日覚せい剤取締法違反(単純所持)で通常逮捕しました。
※「公妨」は、公務執行妨害罪の略称です。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【公務執行妨害罪とは】
公務執行妨害罪は、公務中の公務員(国家公務員・地方公務員(警察官などを含む))に対して、公務を妨害する行為をした場合に適用される罪です。
妨害の手法は様々で、公務員に対する直接の暴行のみならず、公務員に対する脅迫や公務員が公務で使用する者に対しての有形力の行使についても公務執行妨害罪の対象となる可能性があります。
たとえば、通常の暴行罪が「二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」であるのに対し、公務執行妨害罪は「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」と、より重い刑罰が用意されています。
ただし、公務執行妨害罪は公務員の身体・生命を守るためのものではなく、「公務」を保護するための法律なのです。
【違法捜査が疑われる場合は弁護士へ】
そもそも違法捜査はどうして起こるのか、という疑問があるかもしれません。
我が国では令状主義が採用されているため、例え被疑者が法禁物(違法薬物や銃刀法違反にあたる銃砲刀剣類等)を所持している恐れがある場合でも、すぐに捜査ができるわけではなく、捜査機関は捜査・押収する「正当な理由」がある場合に裁判所に対してそれを主張し、捜索差押許可状などの令状の交付を受けて初めて行うことができます。(強制捜査)
そのため、通常捜査機関は、法禁物を所持していると疑われる相手に対して任意で聴取(職務質問)や所持品検査を求めますが、それに応じる人ばかりだとは限りません。(任意捜査)
そこで、任意捜査に協力をしないものの法禁物を所持している疑いがある相手に対し、強制捜査の令状請求が難しい場合に、捜査機関があたかも被疑者から暴行を受けたように装い、公務執行妨害罪を理由に相手を逮捕し、所持品検査を行うという事例が存在します。
これが、俗に転び公妨・当たり公妨等と呼ばれる手法です。
転び公妨・当たり公妨は、当然適法な捜査ではありません。
そして、刑事司法では、そのような違法捜査は禁止されており、違法に収集された証拠については証拠能力を有さないとされています。
ケースについて言うと、Aが所持していた覚せい剤は転び公妨によりAを公務執行妨害罪で逮捕した後、所持品検査を行った際に出てきています。
この覚せい剤については、たとえ100%Aが所持していた物であっても、証拠能力を有しないがために覚せい剤の所持とならず、無罪になる可能性があります。
神奈川県川崎市宮前区にて、転び公妨のような違法捜査によって収集された証拠を基に嫌疑をかけられている方やそのご家族の方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
刑事事件専門の弁護士が無料相談、又は初回接見を行い、当時の状況について伺った上で違法捜査の可能性についてご説明致します。
私文書偽造事件で情状弁護を依頼
私文書偽造事件で情状弁護を依頼
公文書を除く重要な書類を勝手に書き換えた、あるいは作成した場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県茅ヶ崎市在住のAは、茅ヶ崎市内の会社に勤める会社員です。
Aはいわゆる営業職として契約を獲得することについてのノルマを課せられていたところ、その月の契約件数がノルマに達成しなかったため、苦肉の末、茅ヶ崎市内に住む、以前契約をしていた顧客Vの名前や住所、連絡先を契約書に記入し、Vの名字が書かれた印鑑を購入し押印して提出しました。
後日、Vは身に覚えのない請求が来たためAの会社に問い合わせたところ、Aが契約書を偽造していたことが発覚しました。
Aの会社は、茅ヶ崎市を管轄する茅ヶ崎警察署に被害届を提出しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【私文書偽造とはどのような罪か】
文書を偽造した場合にどのような罪に当たるかについては、その文書が公文書なのか私文書なのか、その文書に押印がなされているかなされていないか、という点が問題となります。
公文書とは運転免許証や健康保険証、住民票などの公務所や公務員が作成する書類を指します。
一方で私文書とは、公文書にはあたらないものの権利・義務を証明するような書類を指すもので、私人間で締結した契約書の他に、申請書や委任状などが挙げられます。
ケースについて見ると、Aは、Vに無断で私人間で締結される契約書を作成しています。
また、契約に際してVの名字である印鑑を購入し、偽造した契約書に押印しています。
これは、いわゆる架空契約(俗に言う「てんぷら」)と呼ばれる行為であり、有印私文書偽造罪に当たる可能性があります。
更に、Aは偽造した契約書をAの会社に提出しているため、偽造私文書行使罪が適用されることも考えられます。
偽造私文書行使罪は、自身で私文書を偽造していない場合でも、偽造した私文書を使った場合に成立する罪です。
ただし、私文書偽造罪が適用された場合、その偽造私文書を行使した罪については牽連関係にあるとして一罪として処理されます。
その他、架空契約の事案ではお金の請求等がなされる場合もあり、その場合は詐欺罪や詐欺未遂罪が適用されることも考えられます。
(有印私文書偽造罪)
刑法159条1項 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(偽造私文書行使罪)
刑法161条1項 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
【裁判で情状弁護を依頼】
有印私文書偽造罪や偽造私文書行使罪の場合、罰金刑がないため、略式起訴ではなく正式起訴される可能性があります。
正式起訴された場合、被疑者は被告人という立場に代わり、裁判を受けることになります。
裁判では、検察官は被告人が有罪である証拠を提示し、裁判官に懲役○○年などと求刑することになります。
一方弁護士は、被告人が無実を主張しているのであれば、無罪を求めて証拠について争います。
しかし、被告人が罪を認めている場合には、有罪ではあるが厳しい刑にならぬような弁護活動を行います。
その一つが情状弁護です。
情状弁護では、例えば被告人としてはノルマが厳しくやむにやまれぬ事情から行為に及んだことやその反省、今後について家族の監督体制が整っていること、被害の回復に努めていることなどを主張し、求刑より軽い刑を求めます。
神奈川県茅ヶ崎市にて有印私文書偽造罪や偽造私文書行使罪に問われ、情状弁護をお求めの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
落書きをして刑事事件に
落書きをして刑事事件に
他人の物や自宅に落書きをした場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市神奈川区在住のAは、横浜市神奈川区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは近隣住民とVの間で騒音についてのトラブルを起こしてしまい、口論になりました。
一夜明けても怒りが収まらないAは、Vの自宅の壁や、駐車場に置いていた自動車等に落書きをしました。
後日、Vは横浜市神奈川区を管轄する神奈川警察署に被害届を出したため、Aは捜査の対象となっています。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【他人の物に落書きをした場合】
・器物損壊罪
ケースについて見たところ、自動車に落書きをする行為については、器物損壊罪に当たる可能性があります。
器物損壊罪というと、何かを破壊するようなイメージをお持ちの方もおられるかもしれませんが、器物損壊罪の言う「損壊」については、単に物の一部または全部を破壊する行為のみならず、効用を損壊した場合にも適用されます。
その為、壊すだけでなく落書きについても損壊とされて器物損壊罪が適用される可能性があります。
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
・軽犯罪法違反
他人の物に落書きをしたものの、例えば水で洗い流せば落ちるような落書きや、一般人であっても購入できるシンナーや薬品などを利用すれば容易に落ちるような落書きについては、原状回復が容易であるとして器物損壊罪には当たらない可能性があります。
仮に、ケースでAが容易に原状回復ができる程度の落書きをした場合について、器物損壊罪の適用ができない場合でも軽犯罪法に違反する可能性があることになります。
軽犯罪法33条 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
※その他に、例えば選挙ポスターなどを傷つけた場合や公文書・私文書を傷つけた場合には器物損壊罪や軽犯罪法以外の罪に問われる可能性があります。
【他人の家・マンション等に落書きをした場合】
・建造物等損壊罪
ケースのAは、自動車のみならずV自宅の壁に落書きをしています。
自宅の壁に落書きした場合、器物損壊罪ではなく建造物等損壊罪が適用される可能性があります。
なお、例えば被害者宅の壁などを損壊させた結果住人等が死傷した場合については、建造物等損壊致死傷罪が適用されます。
刑法260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
・軽犯罪法違反
≪詳細は【他人の物に落書きした場合】の欄をご参照ください。≫
【落書き問題について、弁護士に無料で相談】
これまで見てきたとおり、落書きは単なるいたずらに留まらず、刑事事件化し、逮捕されたり刑罰を受けたりする可能性がある罪です。
たかが落書きと高を括るのではなく、弁護士に相談した上で自首・出頭したり、示談交渉等を進めたりする必要があります。
また、罪に問われた場合、それがどのような罪に当たるのかによって裁判での量刑に大きく影響する点にも注意が必要です。
神奈川県横浜市神奈川区にて、他人の物や建物等に落書きをしてしまい、被害届を提出された、あるいは提出されそうという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
横浜駅近くの事務所にて、刑事事件専門の弁護士とのご相談が無料で行えます。
ご予約は0120-631-881まで。
放火をした場合に問題となる罪
放火をした場合に問題となる罪
昨今報道等で話題となっている「放火」をした場合に問題となる罪やその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県三浦郡葉山町在住のAは、三浦郡葉山町内にて生活している年金受給者です。
Aは夫Vと共に生活しているのですが、Vは寝たきりの状態であるためいわゆる老老介護を行っていました。
そして、Aについても心身ともに疲弊し、軽度の認知症との診断を受けました。
ある日、AはVから「介護が出来ていない。」「これまで誰のおかげで生きてこられたと思っているんだ」等といった罵詈雑言を浴びせられました。
そこでカッとなったAは、寝たきりのVがいる自宅の入り口にストーブ用の軽油を撒き、ライターで火をつけました。
近隣住民が放火に気付き通報した結果、三浦郡葉山町を管轄する葉山警察署の警察官は、Aを現住建造物等放火罪で現行犯逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【放火についての罪】
ご案内のとおり、本年京都にて戦後最悪の放火殺人事件が発生しました。
日常生活に必要不可欠な「火」ですが、ともすれば自分や他人の生命を奪いかねない極めて危険な凶器にもなり得ます。
当然、我が国の刑法等は放火を処罰対象としていますが、放火した物が何かによって適用される罪が異なります。
・現住建造物等放火罪
ケースや京都で発生した放火事件のように、人が住んでいる住宅や人が仕事をしている職場などに放火をする行為は現住建造物等放火罪という罪に当たり、殺人罪同様の厳しい処罰規定を設けられています。
つまり、結果的に幸いにも死傷者が生じなかった場合であっても、殺人をした場合と同様の刑事処罰を受ける可能性があるということになるのです。
刑法108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
・非現住建造物等放火罪
人が住んでおらず、且つその時点で人がいない場所に放火した場合には非現住建造物等放火罪が適用されます。
これは、独身の方が自分の家に放火した場合や、他人を殺害してその証拠隠滅を図る目的等で家に放火した場合に適用されます。
ただし、公共の危険を生じさせずに(例えば、隣近所が遠く離れていて延焼の心配がない場合等)自分が所有する建造物に放火する行為は不可罰となります。
刑法109条1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
同条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
・建造物等以外放火罪
上記(現住建造物等放火罪・非現住建造物等放火罪)に当てはまらない物を放火した場合には、建造物等以外放火罪が適用されます。
ただし、こちらについても公共の危険を生じさせなかった場合には不可罰となります。
刑法110条1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
同条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
・森林法違反
放火した対象が森林だった場合、刑法ではなく森林法に違反する場合があります。
森林に放火する行為は、木の性質上燃えやすいことや木々が密集しているために燃え広がる可能性が高く、立地によっては消火活動も容易ではないため、極めて危険な行為です。
森林法202条1項 他人の森林に放火した者は、二年以上の有期懲役に処する。
同条2項 自己の森林に放火した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
同条3項 前項の場合において、他人の森林に延焼したときは、六月以上十年以下の懲役に処する。
同条4項 前二項の場合において、その森林が保安林であるときは、一年以上の有期懲役に処する。
【放火の罪で弁護活動】
繰り返しになりますが、放火は極めて危険な犯罪で、処罰も重いものになっています。
中でもケースのような現住建造物等放火罪については、裁判員裁判対象事件となっています。
ケースについて言うと、弁護士は逮捕後今後の見通しの説明や取調べでの対応についてのご説明をするほか、釈放・保釈を求める弁護活動を行います。
また、裁判になる可能性が極めて高いため、法廷で例えばAについては認知症の診断を受けているところ、放火をした時点で自分の行動を理解していたのか(責任能力の問題)や、責任能力があった場合には老老介護による疲れ等といった情状面を主張するといった弁護活動が考えられます。
神奈川県三浦郡葉山町にて、ご家族が現住建造物等放火罪で逮捕されて刑事事件を専門とする弁護士をお探しの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
ソープランド(性風俗)の営業で刑法犯に?
ソープランド(性風俗)の営業で刑法犯に?
ソープランド等の性風俗営業を行う場合に問題となる法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市磯子区在住のAは、横浜市磯子区のとあるマンションの一室にて、完全予約制のいわゆるソープランドを営んでいました。
しかし、それについて行政への届出を行っていなかったため、違法なソープランドという形で営業をしていたことになります。
横浜市磯子区を管轄する磯子警察署の警察官は以前からAのソープランドをマークしていて、いわゆる内偵捜査を行っていました。
そして、警察官は証拠が固まったとして、Aを風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風俗営業法)違反で通常逮捕しました。
Aの家族は、自宅に突然警察官が来たため、すぐに刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【性風俗営業で問題となる法律について】
街中でしばし、いわゆる性的な風俗営業をしている店舗を見かけることがあるかと思います。
性風俗営業は仕事として行われているという点で憲法22条の定める職業選択の自由によって保護されています。
一方で、誰でもどこででも営業して良いというのでは青少年の健全な育成やまちづくりといった観点から望ましくありません。
そういった事情などを踏まえ、我が国では、性風俗店舗を開設する際にはある程度の規制を受けます。
・「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(通称:風俗営業法・風営法・風適法)
性風俗に限らず、風俗営業(一部のバー・喫茶店、キャバレー、麻雀店、パチンコ・スロット店、接待飲食等営業等)については、風俗営業法上の許可や届出を要します。
ケースのような俗に言うソープランド(以前はトルコ風呂と呼ばれていたもの)については、風俗営業法上の「店舗型性風俗特殊営業」に定義されます。
店舗型性風俗特殊営業については、風俗営業法上27条1項で届出を要件としています。
この届出について、営業所所在地の都道府県の公安委員会は届出があった旨の書類を交付する必要があるのですが、それには風俗営業法28条1項・2項の定める「禁止区域」(例えば学校・図書館・児童福祉施設等の周辺)ではないこと等のルールがあります。
風俗営業法27条1項 店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、店舗型性風俗特殊営業の種別に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。(以下略)
風俗営業法52条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四 第二十七条第一項、第三十一条の二第一項、第三十一条の七第一項、第三十一条の十二第一項又は第三十一条の十七第一項の届出書を提出しないで性風俗関連特殊営業を営んだ者
・「売春防止法」
我が国では、昭和32年に施行された売春防止法により、対価を支払って性行為をするいわゆる売春行為が禁止されました。
そのため、ソープランド等の性風俗営業店に於て俗に言う本番行為(性行為)をすることは売春防止法に違反します。
そして売春防止法は、①実際に本番行為を行なった当事者だけでなく、②売春をさせたり売春をしていることを知っていながら資金提供や場所の提供する行為も禁止されています。
そして、②については処罰規定が設けられています。
売春防止法12条 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
同法13条1項 情を知つて、第十一条第二項の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、五年以下の懲役及び二十万円以下の罰金に処する。
同法13条2項 情を知つて、前条の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
このように、神奈川県横浜市磯子区にてソープランド等の性風俗営業を行っている中で刑事事件化する可能性がある、又は刑事事件化してしまったという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
強盗致傷罪で執行猶予②
強盗致傷罪で執行猶予②
強盗致傷罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
前回の記事では強盗致傷罪について説明したので、今回は執行猶予について説明します。
【ケース】
Aは、神奈川県横浜市緑区内の公園を散歩していたところ、ベンチの上にブランド物の財布が置いてあることに気づきました。
そこで、周囲に人がいないのを確認し、財布を持って足早にその場を去ろうとしました。
そうしたところ、背後から「何してるんですか。それ私の財布ですよ。」という声が聞こえ、その直後に掴んでいた財布に手を掛けられました。
Aさんはパニックになり、声の主Vさんから財布をひったくって逃走しました。
これにより、Vさんはバランスを崩して転倒し、全治1週間程度の怪我を負いました。
この件でVさんから被害届を受けた緑山警察署が捜査を開始し、後日Aさんは強盗致傷罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に執行猶予になる余地がないか尋ねました。
(フィクションです。)
【執行猶予の概要】
執行猶予とは、有罪となった場合に言い渡された刑について、その執行を一定期間猶予する制度のことです。
たとえば、「懲役3年、執行猶予5年」であれば、裁判の確定後(判決言い渡しの2週間後)から5年間は懲役刑を受ける必要がなく、執行猶予が取り消された場合にその日から3年間懲役刑を受けることになります。
執行猶予は裁判官の裁量により付されるものですが、そもそも執行猶予を付するかどうかの判断ができる事件自体が法律上限られています。
具体的には、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が言い渡される事件です。
その事件について、更裁判官が事件の内容や被告人の反省の程度などの事情を考慮して執行猶予に付するかどうかを決めることになります。
ちなみに、前科がある場合については執行猶予のハードルが一気に高くなり、内容次第では法律上執行猶予を付することができなくなります。
執行猶予というのは更生の余地があるか見るものなので、今回の事件のみで判断が下されるわけではない点に注意が必要です。
【強盗致傷事件において執行猶予となる余地はあるか】
強盗致傷罪の法定刑は無期または6年以下の懲役であり、その下限は執行猶予を付することができる「3年以下の懲役」を超過しています。
だからといって、執行猶予がつく可能性がないかというとそうではありません。
まず、有罪となった場合に言い渡される刑は、犯した罪の法定刑の範囲に限られるわけではありません。
たとえば、被害者との間で示談が成立している場合、被告人に刑の減軽を認めるべきだとして言い渡される刑の範囲が軽くなる可能性があります。
詳しくは刑法に規定されていますが、強盗致傷罪であれば示談の成立により刑の下限が3年の懲役となる可能性があります。
また、検察官の判断によりますが、最終的に裁判の対象とする罪が軽くなることもあります。
たとえば、逮捕の段階では強盗致傷罪だったものが、捜査の進展や裁判での証明の困難さなどにより起訴の段階で強盗罪になるというかたちです。
このように元の罪より軽い罪で起訴されると、責任を負う罪が変わることにより、執行猶予の可能性は高まります。
以上のように、たとえ逮捕の段階では重い罪が疑われていたとしても、事件の内容や進展次第では執行猶予の可能性が残っていることがあります。
まずは諦めずに弁護士に相談してみることが賢明だと言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、執行猶予の獲得を目指して力の限りを尽くします。
ご家族などが強盗致傷罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら)
強盗致傷罪で執行猶予①
強盗致傷罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回の記事では、強盗致傷罪について詳しく見ていきます。
【ケース】
Aは、神奈川県横浜市緑区内の公園を散歩していたところ、ベンチの上にブランド物の財布が置いてあることに気づきました。
そこで、周囲に人がいないのを確認し、財布を持って足早にその場を去ろうとしました。
そうしたところ、背後から「何してるんですか。それ私の財布ですよ。」という声が聞こえ、その直後に掴んでいた財布に手を掛けられました。
Aさんはパニックになり、声の主Vさんから財布をひったくって逃走しました。
これにより、Vさんはバランスを崩して転倒し、全治1週間程度の怪我を負いました。
この件でVさんから被害届を受けた緑山警察署が捜査を開始し、後日Aさんは強盗致傷罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に執行猶予になる余地がないか尋ねました。
(フィクションです。)
【置き引きから強盗致傷罪に?】
上記事例のように、置き忘れなどにより置いてある物を持ち去る行為のことを置き引きと呼ぶことがあります。
置き引きについては、被害者が被害品を身につけたりしていたわけではないことから、被害品への支配が及んでいたと言えるかどうかが問題となります。
この支配の有無は、成立する罪が窃盗罪になるのか、それよりも軽い占有離脱物横領罪になるのかという点で重要な意味があります。
支配があったかどうかは様々な事情を考慮して判断されますが、たとえば被害者が被害品から離れて間もないということであれば、窃盗罪となる可能性が高いでしょう。
上記事例において、Aさんは強盗致傷罪を疑われています。
この記事をご覧の方の中には、上記事例が強盗致傷罪と言えるほどのものなのか疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
以下では、なぜ今回のようなケースで強盗致傷罪が成立しうるのか見ていきます。
本来、強盗罪は、暴行または脅迫を加えて他人から財産を奪取した場合に成立する罪です。
そのため、窃盗の前に暴行または脅迫を加えていなければ、強盗罪が成立する余地はないように思えます。
ですが、強盗罪に類似の罪として事後後強盗罪というものが存在します。
事後強盗罪は、窃盗罪が以下のいずれかの目的で暴行または脅迫を加えた場合に成立するものです。
・盗んだ物が取り返されるのを防ぐ目的
・逮捕を免れる目的
・罪跡(証拠)を隠滅する目的
上記事例のAさんは、パニックになってはいるものの、財布を確保するか逮捕を免れる目的はあったと考えられます。
そして、財布をひったくるという行為は、不法な有形力の行使として「暴行」と評価される可能性があります。
そうすると、Aさんには事後強盗罪に当たると見込まれます。
事後強盗罪は「強盗として論ずる」とあることから、法定刑や他の罪との関係が強盗罪と同様になります。
他人に死傷の結果を生じさせた場合には、強盗致死傷罪となる余地が生じてきます。
ここでの死傷は、強盗の機会に生じてさえいれば、故意かどうかを問わないと考えられています。
上記事例では、AさんがVさんから財布を取り返されそうになり、それをひったくったことでVさんが転倒して怪我を負うに至っています。
このようなケースでは、強盗の機会に傷害が生じたとして、強盗致傷罪に当たる可能性はあるでしょう。
強盗致傷罪の法定刑は、無期または6年以上の懲役という非常に重いものです。
これに対して、執行猶予獲得のためにどう弁護活動を行うかについては、次回の記事で説明します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、強盗致傷罪を含む様々な犯罪の弁護活動を行います。
ご家族などが強盗致傷罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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名誉毀損事件で示談
名誉毀損罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【ケース】
Aは、多数の従業員を擁するX株式会社(神奈川県川崎市所在)の従業員です。
Xには、Aが密かに行為を寄せていたBと、個人的に性格が合わず嫌っていたVがいました。
ある日、Aが私用で市内を歩いていたところ、BとVが仲睦まじげに手をつないで歩く姿が目に入りました。
AはVに強い嫉妬を覚え、会社があるビルの1階にて「↓この人は誰にでも股を開く売女です。」という内容の文書とVの顔写真を貼りました。
この貼り紙の存在がVの知るところとなり、Aは他の社員から「Vが犯人探しに躍起になってて、川崎警察署に届け出ることも考えてるみたい。」と聞きました。
Aから相談を受けた弁護士は、名誉毀損罪に当たる可能性を指摘したうえで、示談について説明しました。
【名誉毀損罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
公の場で他人の名誉を毀損するような言動をした場合、名誉毀損罪が成立する可能性があります。
まず、「公然と」とは、不特定または多数人が名誉毀損に当たる事実を認識できる状態を指すと考えられています。
不特定または多数人が実際に事実を認識していなくとも、それが可能だったのであれば「公然と」に当たりうる点には注意が必要です。
次に、「名誉を毀損した」とは、人の社会的評価を低下させるおそれのある状態を生じさせたことを指すと考えられています。
「毀損した」とあるものの、人の評価は目に見えるものではないことから、生活が害されるなどの具体的な結果の発生を要しないものとされています。
最後に、「その事実の有無にかかわらず」とあることから、名誉毀損の内容が真実だろうが虚偽だろうが名誉毀損罪の成否には関係ありません。
以上から、上記事例のAには名誉毀損罪が成立する可能性があると言えるでしょう。
【名誉毀損事件における示談】
刑事事件において示談が重要であることは、今更言うまでもないことかと思います。
今回は、名誉毀損事件における示談のメリットについて考えてみます。
第一に、のちに民事裁判で損害賠償が請求されるのを防ぐことが期待できます。
一般に、名誉毀損は精神的苦痛を受けるものであり、それを理由として民事上の責任を追及されることが十分ありえます。
ここで、示談を交わして今後民事訴訟を行わないと約束できれば、あとあと事件が蒸し返されて示談金とは別に金銭を請求されるという事態を回避できます。
第二に、告訴の取消しによりほぼ確実に不起訴を獲得することが期待できます。
名誉毀損罪は、被害者の告訴がなければ裁判を行うことができない親告罪という類型に属します。
そのため、検察官が起訴する前に被害者と示談をし、告訴を取り消してもらえば、検察官としては不起訴にせざるを得なくなります。
以上のように、名誉毀損事件においては、示談によって民事上の責任(損害賠償)も刑事上の責任(有罪となった場合に科される刑罰)も回避できる可能性があります。
少しでも示談の効果を高めるなら、ぜひ示談交渉を弁護士に依頼しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、事件の内容に合わせて最適な示談交渉を行います。
名誉毀損罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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神奈川県川崎市川崎区で少年の投石事件
神奈川県川崎市川崎区で少年の投石事件
走行中の列車に投石をした場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部がご説明致します。
【ケース】
神奈川県川崎市川崎区在住のAは、川崎市内の高校に通う高校3年生(17歳)です。
Aは、川崎市川崎区内の塾に通っているのですが、塾内で同級生らから嫌がらせ行為を受けていて、ストレスが溜まっていました。
そこで、Aはストレスを解消させるために、川崎市川崎区内の鉄道敷地内に立ち入り、レールのわきに敷き詰められているバラスト(レール等を支えるための石)をいくつか拾ってレールを離れ、その直後に走ってきた列車に向かってバラストを投げつけました。
投石の被害を受けた列車は緊急停止したため、Aはそれを見て興奮しつつ、投石した現場から逃走しました。
後日、川崎市川崎区を管轄する川崎臨港警察署の警察官は、Aを投石したことにより通常逮捕しました。
突然警察官が自宅に来てAの衣類等を押収したうえで、Aを通常逮捕しました。
Aの家族は、自分の子どもが突然逮捕されてしまい、警察官からも何も説明を受けていなかったため、弁護士に初回接見を依頼してはじめて、子どもが投石したという事実を知りました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【走行中の列車に投石した場合の罪】
ご案内のとおり、走行中の列車に投石することは、人を死傷させる可能性が高い極めて危険な行為です。
投石をした場合に問題となる罪には、下記のようなものがあります。
①器物損壊罪
走行中の列車に投石をした場合、列車の側面や窓ガラスを傷つけたり割ったりする可能性があります。
投石と列車についた傷との因果関係が認められれば器物損壊罪が適用されます。
刑法251条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
②往来危険罪
公共交通機関である列車や、その標識などを損壊するなどの方法により列車の往来を妨害した場合、往来危険罪が適用されます。
投石した場合、列車を危険にさらして列車の往来を妨害する行為であると考えられますので、往来危険罪が適用される可能性が高いです。
刑法125条1項 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。
③傷害罪
傷害罪は故意犯なので、暴行の意思をもって傷害を生じた場合に適用される罪です。
しかし、列車に投石することで運転手や乗客乗員が窓ガラスを破損するなどして怪我をさせることが想像できてなお投石をして危険をおかした場合、未必の故意が認められる可能性があります。
そうすると、傷害罪が適用されます。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
【観護措置回避を求めて弁護士へ】
ケースの場合には17歳の高校3年生ですので、少年事件として扱われます。
少年事件では、捜査の終了後(身柄拘束をされた場合は勾留期間の終了後)に家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所では審判不開始というケースもありますが、通常は審判が行われて少年に保護処分が必要か否かを判断します。
その際、審判を円滑に進めるため、必要に応じて少年に観護措置を行います。
観護措置は在宅で行うことも出来ますが、大抵は少年鑑別所に送致され、観察や検査を受けることになります。
実際に観護措置を行うメリットも多々ありますが、身柄を拘束されるという性質上デメリットも生じることも少なくありません。
とりわけケースのように高校3年生の場合は、その後の人生の選択にも大きな影響を与えます。
神奈川県川崎市川崎区にて、お子さんが投石をしたことで警察官に逮捕され、観護措置決定回避を求める付添人活動をお求めの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、観護措置回避の見通し等についてご説明致します。