Archive for the ‘暴力事件’ Category

【解決事例】酒に酔って喧嘩するも前科を回避

2022-08-31

【解決事例】酒に酔って喧嘩するも前科を回避

酒に酔ってしまった状態で他人とトラブルになり喧嘩に発展したという事案で前科を回避したという解決事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県川崎市多摩区在住のAさんは、川崎市多摩区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、酒を飲んで酔っ払った状態で川崎市多摩区内の駅を利用したところ、駅構内で一般客Vさんとの間で「肩が当たった」「当たっていない」という口論になり、それがエスカレートして暴力行為に至る喧嘩に発展しました。
駅員による通報を受けて臨場した川崎市多摩区を管轄する多摩警察署の警察官は、AさんとVさんの相互の話を聞いたうえで、両当事者からの被害届を受理しました。
Aさんとしては自身に非がある点があるとしたうえで、前科などをつけないかたちで事件を終わらせたいと考え、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をお受けになり、依頼をされました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【喧嘩について】

いわゆる喧嘩について、凶器などを用いずに行った場合には、被害者の怪我の結果により以下のような罪にあたります。

・暴行罪(刑法208条)
結果:殴る蹴るなどの暴力行為をしたものの被害者が怪我などをしなかった場合
罰条:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料

・傷害罪(刑法204条)
結果:暴行の結果、被害者が怪我をした場合の他、被害者が重大な心理的ストレスを受けたような場合
罰条:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金

・殺人未遂罪(刑法199条・同203条)
結果:被害者を殺害しようと暴行したところ、被害者が死亡はしなかった場合
罰条:死刑又は無期若しくは5年以上の懲役で、刑を減免することができる

・傷害致死罪(刑法205条)
結果:被害者を殺害する意思はなかったものの、暴行をした結果被害者が死亡した場合
罰条:3年以上の有期懲役

・殺人罪(刑法199条)
結果:被害者を殺害しようと暴行をした結果、被害者が死亡した場合
罰条:死刑又は無期若しくは5年以上の懲役

Aさんの事例では、Vさんがむち打ちの状態になっていたということから、傷害罪で捜査を受けることになりました。
他方で、AさんもVさんから暴力行為を受けたため、暴行罪の被害者として被害届を提出したという状態でした。

【前科を回避する弁護活動】

喧嘩で双方が被害届を提出するなどして捜査が開始された場合、両当事者はそれぞれ取調べを受け、それぞれ刑事罰が科せられる恐れがあります。
初犯で被害者の怪我の程度が軽い場合、略式手続による罰金刑などの可能性が高いですが、罰金刑であってもいわゆる前科がつきます。
国家資格をお持ちの方や、会社に事件が発覚している方は勿論のこと、前科を回避したいとお思いの方は少なからずおられるでしょう。
前科を回避するための弁護活動は事件により異なりますが、
・事件を起こしたという事実を認めている場合には示談交渉などを行う
・否認している事件であれば取調べで自身の記憶をしっかりと主張し、裁判で証拠について争う
などの対応が必要にあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、刑事事件を起こしてしまった方の相談を無料で行うことができます。
神奈川県川崎市多摩区にて、喧嘩をしてしまい暴行罪や傷害罪などの事件に発展し、前科を回避したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談を御利用ください。
ご家族が逮捕・勾留されている場合は≪初回接見≫をご案内します。

【解決事例】近隣トラブルで弁護士に依頼

2022-08-28

【解決事例】近隣トラブルで弁護士に依頼

近隣トラブルで住居侵入罪や器物損壊罪で刑事罰を科される可能性があったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県相模原市南区在住のAさんは、相模原市南区内で自営業をしていました。
Aさんの住居はアパートの1階ですが、2階の住人Vさんが夜遅くまで友人らと酒を飲んで騒いでいて、眠れない日々が続いていました。
Aさんは管理会社に連絡して注意をしてもらいましたが一向に改善しませんでした。
そこでAさんは、嫌がらせ目的でVさんの留守を狙ってVさんの住居スペースにある窓ガラスを割って侵入し、Vさんが出て行くよう仕向けました。
Vさんは帰宅後、自宅の窓ガラスが割られていることに気付いて警察に通報し、臨場した相模原市南区を管轄する相模原南警察署の警察官は、捜査の結果Aさんによる犯行であるとして取調べを行い、Aさんは罪を認めました。

Aさんは当事務所の無料相談を行い、近隣トラブルでは当事者間での合意が特に難しいということを知り、ご依頼されるに至りました。
依頼を受けた弁護士は、Vさんと連絡を取り、Aさんに代わって謝罪をするとともに合意に向けた提案を進めました。
Vさんとの交渉は難航しましたが、結果としてVさんはAさんが引越しの費用等を負担することで合意し、示談締結と相成りました。

Aさんはその後検察官送致されましたが、検察官はAさんが反省していることや示談が成立していることを踏まえ、Aさんを不起訴処分としました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【近隣トラブルについて】

誰しもが生活をするうえで、近隣住民の声や生活音、行動について不快に思ったことがあるのではないでしょうか。
多くの場合は双方が我慢をしたり謝罪する等して解決することもありますが、解決に至らず刑事事件に発展するという事例も少なからずあります。

では、近隣トラブルがどのような罪にあたるのかという点ですが、当事者の行動によって異なります。
今回の事例以外にも、過去に以下のような無料相談・弁護を経験したことがあります。

・被害者の悪口陰口を書いた紙を自宅近くに貼ったり回覧板に混ぜ込んだ
(名誉毀損罪又は侮辱罪)

・郵便受けの中身を見て、書類を無断で捨てた
(窃盗罪、器物損壊罪、信書開封罪、信書隠匿罪)

・実際に文句を言った結果、被害者と殴り合いの喧嘩に発展した
(暴行罪又は傷害罪)

・駐車スペース以外に駐車していた車や自転車が通行の迷惑に感じ傷を付けた
(器物損壊罪)

・家の壁に傷を付けた
(建造物等損壊罪)

Aさんの近隣トラブル事案では、嫌がらせ目的で
①窓ガラスを割って
②室内に侵入している
ことから、①器物損壊罪及び②住居侵入罪
が成立します。
条文は以下のとおりです。

①器物損壊罪
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

②住居侵入罪
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

【近隣トラブルでの弁護活動】

近隣住民とのトラブルが勃発した場合、双方の話し合いで終了することが望ましいのですが上記のような刑事事件に発展してしまうという事例も少なくありません。
近隣トラブルが刑事事件に発展した場合、当事者同士で和解を進めることも理論上は可能ですが、実際には被害届等を既に提出し関わりたくないと考えている被害者の方も少なくありません。
そのため、第三者である弁護士が代理人として、和解に向けた示談交渉等を行っていくことが有効でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまで数多くの近隣トラブルによる刑事事件について携わってまいりました。
神奈川県相模原市南区にて、近隣トラブルがきっかけで器物損壊罪や住居侵入罪などの刑事事件に発展し、被害者との和解を望んでいるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。
刑事事件の見通しや、どのような弁護活動が有効であるか等について、ご説明いたします。

【解決事例】酒に酔って自動車を傷つけるも告訴取消

2022-07-14

【解決事例】酒に酔って自動車を傷つけるも告訴取消

お酒に酔ってしまい、自動車に傷を付ける器物損壊事件を起こし被害者の方から刑事告訴されたものの、示談交渉により告訴取消となり不起訴を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横須賀市在住のAさんは、横須賀市内での仕事を終え、一人で酒を飲んでいました。
そして深夜の帰り道、横須賀市内で駐車場に駐車されていた他人の車に足蹴りする方法で傷をつけ、その場を離れました。
被害者の刑事告訴を受けて捜査を開始した横須賀市内を管轄する浦賀警察署の警察官は、Aさんを器物損壊事件の被疑者として取調べを開始しました。
Aさんは告訴取消を求め、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談を受けたのち依頼をされました。

依頼を受けた弁護士が被害者と接触したところ、被害に遭った車は自動車の修理会社に駐車されていた言わばお客様の車だったということもあり、大変お怒りでした。
弁護士としては、Aさんに代わって関係者すべてに丁寧に説明・謝罪し、弁済についての説明を行ったところ、最終的に謝罪を受け入れてくださり、示談書の締結・告訴取消に納得してくださいました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【器物損壊事件について】

他人の車に蹴りを入れる等して車に傷を付ける行為は、器物損壊罪として扱われます。
条文は以下のとおりです。
なお、前3条とは、「公用文書等毀棄罪」「私用文書等毀棄罪」「建造物等損壊及び同致死傷罪」を指します。

刑法261条 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

【親告罪について】

刑法に規定されている罪のうち、
・親書開封罪、秘密漏洩罪
・未成年者略取、誘拐罪
・名誉毀損罪、侮辱罪
・過失傷害罪
・使用分初頭毀損罪、器物損壊罪、信書隠匿罪
その他、家族間での窃盗や詐欺といった親族相盗例にあたる罪などは、親告罪と規定されています。
なお、強制性交等罪(当時の強姦罪)や強制わいせつ罪については、以前は親告罪でしたが平成29年の法改正で非親告罪になりました。

親告罪は、「告訴がなければ公訴を提起することができない」と定められています。
親告罪の対象事件を起こした場合、捜査機関は被疑者を捜査することはできますが、証拠を集めた場合でも被害者等の刑事告訴がなければ被疑者を起訴することができない、ということです。

【告訴取消を求めて弁護士へ】

親告罪で捜査を受けている場合、刑事告訴を回避する、あるいは告訴を取り下げることができれば、起訴されることはなく刑事裁判には発展しないことになります。
そのため、被害者に対して謝罪と賠償を行い告訴を取り下げてもらえないかと交渉することが重要な弁護活動になります。

とはいえ、当事者間でこのやりとりをすることはトラブルに発展する可能性があり、お勧めできません。
告訴取消を求める弁護活動は、法律の専門家である弁護士に委任して進めることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件で示談交渉を行ってきた実績があります。
神奈川県横須賀市にて、器物損壊罪で捜査を受けていて告訴取消を求める弁護活動について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。
ご家族が逮捕されている場合の≪初回接見≫はこちら。

【解決事例】銃刀法違反で逮捕されるも早期釈放

2022-07-02

銃刀法違反で逮捕されたものの、身柄解放活動により早期に釈放され最終的には不起訴という結果を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県川崎市麻生区在住のAさんは、川崎市麻生区内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは家族と口論になってしまい、それを見た家族が不安になり警察に通報したところ、川崎市麻生区を管轄する麻生警察署の警察官により「まずはお話を聞きたいのでAさん以外の方は麻生警察署に来てください」と言いました。
それを見たAさんは、ついカッとなり、川崎市麻生区内の小売店で包丁を購入して麻生警察署に行き、包丁を見せて「逮捕するなら逮捕してみろ」と麻生警察署の警察官を挑発するような行動をとりました。
麻生警察署の警察官は、Aさんを銃刀法違反で現行犯逮捕しました。

逮捕後すぐに連絡を受けた弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士は、初回接見を行い、Aさんが反省していることと精神的に不安定な部分があることを確認し、ご家族に報告しました。
報告を受けたAさんの家族は当事務所に依頼をされたため、弁護士は早期の身柄解放活動を行った結果、Aさんは勾留請求されましたが勾留されることなく釈放され、最終的に不起訴という結果を獲得しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【銃刀法違反について】

Aさんの事例で問題になったのは、家庭内での喧嘩ではなく、刃物を持って警察署に行ったという点です。
このように、正当な理由がなく包丁などの刃物を持っていた場合、銃刀法(正式名称は銃砲刀剣類所持等取締法)が問題となります。
条文は以下のとおりです。

銃刀法22条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
(罰条:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金(銃刀法31条の18第2項2号))

なお、上記規定に当てはまらなかった場合でも、軽犯罪法に違反する恐れがあります。
条文は以下のとおりです。

軽犯罪法1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
2号 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

【早期釈放に向けた弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士は、依頼を受けた当日にAさんの配偶者・親から事情を伺い、Aさんの考えとAさんの家族の考えをそれぞれまとめた書類を作成しました。
そして、その書類をもとに、まずは勾留請求前の担当検察官に対して「Aさんの捜査を行ううえで身柄拘束が必要ない。」という主張をしましたが、検察官は勾留の必要があると考え勾留請求しました。
次に、勾留請求先の裁判所に対して、改めて「Aさんの捜査において身柄拘束の必要がない。」という主張をしたところ、裁判所は、勾留は必要ないと判断して勾留請求を却下しました。
よって、Aさんは逮捕から72時間以内に釈放されることになりました。

釈放された後も、Aさんは在宅で仕事をし乍ら捜査を受けました。
弁護士は担当検察官に対して
・Aさんが今回の事件について深く反省している
・Aさんは釈放後にメンタルクリニックに通っている
・Aさんの家族が、再犯防止のためAさんを全力でサポートしている
といった事情を主張しました。
最終的に、担当検察官はAさんに対して刑事処罰を科す手続きに付さない、「不起訴」という判断を下しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
銃刀法違反事件の場合、被害者がいる事件ではないので、示談交渉のような効果的な弁護活動がありません。
その中で、どのような弁護活動ができるのか、事件内容をもとに検討していく必要があります。

神奈川県川崎市麻生区にて、銃刀法違反事件などの刑事事件でご家族が逮捕され早期の釈放を求める場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービス(有料)をご利用ください。
また、在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

【解決事例】殺人予備事件で早期解決

2022-06-08

刃物を示す行為により問題となる銃刀法違反や殺人予備などの罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市瀬谷区在住のAさんは横浜市瀬谷区内の飲食店でアルバイトをしていましたが、店舗責任者の社員Vさんから執拗に嫌がらせを受けていました。
我慢の限界を感じたAさんは、事件当日、自宅から包丁を持って職場に行き、これ以上嫌がらせを受けないためにVさんに刃物を見せて脅かそうと考えました。
しかし、刃物を示す行為の前段階でAさんが包丁を持っていることが発覚したため、Vさんは警察に通報し、通報を受けて臨場した瀬谷警察署の警察官は、Aさんを殺人予備罪と銃刀法違反で現行犯逮捕しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【刃物を示す行為とその前後で問題となる罪】

今回のAさんの事件では、Aさんが
①包丁を持っていた
②その包丁を示して被害者Vさんを脅そうとしたがそこに至らなかった
③そのため、結果としてAさんはVさんを死傷させていない
ということになります。

銃刀法違反の問題≫
まず、職場に包丁を持ってきた①の行為について、正当な理由なく包丁を所持していたとして銃刀法違反に該当します。
銃刀法は、正式名称を「銃砲刀剣類所持等取締法」と言い、その22条で
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。
と定められています。
罰条は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。(同法31条の18第2項2号)

≪暴力行為処罰法違反の問題≫
次に、②の行為を実際に行っていた場合、これは暴力行為処罰法1条に違反します。
正式名称は「暴力行為等処罰ニ関スル法律」というもので、1条は銃や刃物を示して暴行や脅迫を行った場合に成立します。
罰条は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。

また、③については、刃物などの凶器を用いて人を怪我させた場合、暴力行為処罰法1条の2第1項に違反します。
罰条は「1年以上15年以下の懲役」です。

≪殺人罪の問題≫
更に、刃物を持ち出した目的が被害者を殺害するというものだった場合、殺人罪が問題となります。
殺人罪は、ご案内のとおり加害者が被害者を殺害する意図をもって行った行為の結果、被害者が死亡したという場合に問題となる罪です。
刑法199条に規定されていて、罰条は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と定められています。

また、加害者が被害者を殺害しようと実行行為に至ったものの被害者は怪我をした程度で済んだ(死亡しなかった)という場合について、殺人罪は結果犯といって「被害者の死亡」という結果が伴うことが要件となっているため殺人罪にあたりませんが、刑法203条で「第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。」と規定されているため、殺人未遂罪にあたります。
未遂罪については、刑法43条で「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」と定められています。

事例について検討したところ、Aさんは包丁を持ってきていますが、実際にそれを示したり、Vさんの身体に刺すなどの実行行為は行っていません。
このような場合、殺人罪や殺人未遂罪には該当しませんが、殺人の準備行為にあたるとして殺人予備罪が適用される恐れがあります。
刑法201条では、殺人予備罪について「第199条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。」と定められています。
Aさんは殺人予備罪と銃刀法違反で逮捕されてしまいましたが、殺人罪を犯す目的で刃物を持ち出したわけではなく、あくまで脅しを目的にしていたため、(逮捕時と起訴の罪名が異なることは少なからずありますが)殺人予備罪については成立しない可能性が高い事案でした。

【殺人予備事件での弁護活動】

刃物を持ち出してそれを示すことで嫌がらせを受けないようにする、という行為は殺人予備罪は成立しないまでも暴力行為処罰法1条や銃刀法に違反する行為であり、Vさんが恐怖や不安を感じたことは事実です。
そのため、依頼を受けた弊所の弁護士はすぐに被害者との示談交渉を行った結果、Vさんとは弁済の取り決めの無い宥恕条項(VさんがAさんの行為について刑事処罰を望まないという趣旨の約定)を設けた示談書の締結に応じて頂きました。
示談書締結後すぐに検察官に釈放を求める交渉を行ったところ、検察官はこれ以上の身柄拘束が必要ないと考え、Aさんを釈放しました。
最終的に、Aさんは銃刀法違反と殺人予備罪という罪名ではありましたが、刑事処罰を科さない「不起訴」というかたちで事件を終えることが出来ました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県横浜市瀬谷区にて、殺人予備罪や銃刀法違反などの罪で家族が逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所横浜支部の初回接見サービスを御利用ください。(有料)
弁護士が接見を行い、事件の内容や今後の見通しについて御説明します。

【解決事例】夫婦喧嘩で殺人未遂も不起訴処分

2022-04-12

【解決事例】夫婦喧嘩で殺人未遂も不起訴処分

夫婦喧嘩で近隣住民が通報したことで殺人未遂で逮捕されたが不起訴を獲得することができたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県横浜市磯子区在住のAさんは、事件以前は奥さんに暴力を振るうような行為はしたことがなかったのですが、事件当日はお酒も相まって奥さんに対して暴力を加えてしまいました。
被害者である奥さんは暴力を受けて悲鳴を上げたため、近隣住民が通報し、臨場した横浜市磯子区を管轄する磯子警察署の警察官はAさんを逮捕しました。
なお、被害者である奥さんの怪我はほとんどありませんでしたが、Aさんは奥さんの首を絞めるようなかたちになっていたため、殺人未遂罪での逮捕になりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、地名や事例の一部を変更しています。≫

【夫婦喧嘩と刑事事件】

夫婦の関係は様々であることは言わずもがなですが、暴力が絡んでしまうと、刑事事件に発展します。
警察庁の発表によると、夫婦喧嘩を含めたいわゆる「DV」は18年連続の増加傾向であり、潜在化している事件は更に多いと考えられます。

家庭内の問題でもある夫婦喧嘩ですが、逮捕・勾留された方や被害者自身も含め、ことの重大さを認識していない場合が少なくありません。
しかし、夫婦喧嘩で通報された、あるいは通報した場合、捜査に必要であるとして逮捕される場合が少なくありません。
また、逮捕された場合、家庭内であるからこそ被害者に対する口裏合わせのおそれがあるなどとして勾留される可能性が高いと言えます。
被害者の怪我の程度が軽かった今回の事例でも、Aさんは逮捕・勾留されてしまったため、20日以上の身柄拘束のおそれがありました。

【夫婦喧嘩での弁護活動】

勾留された直後に依頼を受けた弊所弁護士は、すぐに奥さんから事件の経緯や今のお気持ち、生活状況などを伺いました。
すると、奥さんとしても大事にする気持ちはなく、担当警察官から執拗に迫られた被害届の作成や診断書の提出を頑なに拒否していて、むしろAさんとの早期の関係修復を求めていることが分かりました。
更に、Aさんがこのまま勾留されてしまうとAさんの職場復帰が難しくなり、その後の生活やローンの支払いが出来なくなってしまい、そのような状況は望んでいないということを確認しました。
そこで、その御意向を「上申書」というかたちで書類にし、御依頼の翌日には検察官に示した結果、Aさんは釈放されました。
また、被害者による処罰感情がないことを踏まえ、担当検察官はAさんに対し不起訴を決定しました。
結果として、Aさんは早期の釈放刑事処罰の回避という結果を得ることができました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、夫婦喧嘩・DVなどの家庭内の問題から生じた刑事事件について多数の取り扱い経験があります。
神奈川県横浜市磯子区にて、夫婦喧嘩が発端で家族が殺人未遂罪で逮捕・勾留され、釈放や不起訴を求めている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御相談下さい。
ご家族が逮捕・勾留されている場合、初回接見の御案内を致します。

会社の上司への傷害事件 横浜市中区

2022-03-07
傷害事件を起こし逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

横浜市中区の傷害事件

会社員男性Aさん(20代・男性)は、日頃から仕事のことで注意を受けていた上司Vさんに対し、Vさんの頬を殴る暴行を加えてしまいました。
その結果、上司Vさんは、鼻骨を折って鼻血が出てしまいました。
他の社員が警察に通報したことで、Aさんは神奈川県伊佐木警察署により、傷害罪の疑いで逮捕されました。
Aさんの逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、刑事事件を扱う法律事務所へ相談することにしました。
(フィクションです。)

傷害罪について


 傷害罪 刑法第204条

 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金により処する


傷害罪に該当する傷害とは、人の生理的機能に障害を加えることと解されるのが一般的です。

 

暴行行為が傷害罪ではなくなるケース

傷害事件で検挙される方の多くは、被害者に対し殴る蹴るなどの暴行を加えた結果、相手にケガを負わせてしまったことが原因であることが多いです。
上記したAさんの事件では、上司に暴行を加えたことにより、相手の骨を折るなどのケガを負わせているため、Aさんの行為は傷害罪にあたると考えられます。

しかし、暴行を加えると言っても、その内容によっては傷害罪が適用されないケースもあります。

例えば、被害者に対し「殺すぞ」と言って相手の首を絞めて相手にケガを負わせた場合、罪名が傷害ではなく殺人未遂に切り替わる可能性があります。

また、被害者に暴行を加えたが、結果的にケガがなかった場合は、暴行罪が成立する可能性があります。

被害者に対し暴行を加えた場合、どのような罪名で処罰されるかは、事件を起こした方の主観面や、暴行の方法はどのようなものだったか、その暴行によりどのような結果が発生したのか等、様々な要素を検討する必要があります。
もし、ご自身が被害者に暴行を加えたことで警察からの取調べを受けている場合や、ご家族が傷害事件を起こし逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談下さい。

 

傷害事件でご家族が逮捕されたら

もし、ご家族が傷害事件を起こし逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部初回接見サービスをご利用下さい。
弊所の初回接見サービスでは、弁護士が留置されているご本人様と1回限りの接見をし、ご本人様から伺った内容をもとに、ご家族へ今後の事件の見通しなどを説明致します。
その後、正式に弁護人のご依頼をいただきましたら、被害者様への示談交渉を行うなど、ご本人様に科される刑罰を少しでも軽くするための活動が可能となります。

まずは、フリーダイアル ☎0120-631-881 へご予約のお電話をして下さい。
早朝・深夜もご予約可能です。
ご家族が逮捕されてしまった方、ご自身が事件を起こし捜査機関からの取調べを受けている方からのお電話をお待ちしております。

傷害事件で正当防衛を主張したい②

2021-11-30

傷害事件で正当防衛を主張したい②

傷害事件正当防衛を主張したい場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
この記事は,傷害事件正当防衛を主張したい①の続きになります。

【自ら正当防衛状況を招いた場合,正当防衛が認められるか】

ここで,刑事事件例では,Aさんは,Vさんが殴ってきたからやり返したのだとして正当防衛を主張していますが,事件の経緯を遡って観察してみれば,Vさんが殴ってきたのは,Aさんが最初にて手を出したからであると分かります。
このように,被疑者の方が,相手方の侵害を挑発する結果となった場合,この相手方の侵害に対して正当防衛として反撃行為を行うことは正当防衛として認められるのでしょうか。

この問題については,最高裁判所決定平成20年5月20日では,相手方の方の攻撃は,被疑者の方の暴行に触発された,その直後における近接した場所での一連,一体の事態ということができ,被疑者の方は不正の行為により自ら侵害を招いたといえるから,相手方の攻撃が被疑者の方の暴行の程度を大きく超えるものではないなどの事実関係においては,傷害事件の被疑者の方の傷害行為は,何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえないというべきである旨示されています。

ただし,相手方の軽微な反撃行為が予想される挑発に対して相手方が予想以上に重大な法益を侵害する行為をしてきた場合等には,これに対し防衛行為を行うことは,正当防衛が成立する余地があると考えられています。

つまり,自招行為の態様やその際の被疑者の方の認識,自招行為と相手方の侵害との時間的場所的接着性,侵害行為の程度等を考慮して,正当防衛が成立する可能性があると考えられています。

刑事事件例では,Aさんの当初の暴行行為がVさんの暴行行為を招いています。
このVさんの行為が「予想以上に重大な法益を侵害する行為」にあたれば正当防衛が成立する余地があるといえることになります。
反対に,Vさんの行為が「被疑者の方の暴行の程度を大きく超えるものではない」場合には正当防衛は成立しないことになると考えられます。

このような事情は,刑事弁護士が被疑者の方から詳しい傷害事件の経緯を聴取しないことには,なかなか傷害事件の真相や詳細が判明せず,正当防衛の成否も断言できません。
そこで,傷害事件正当防衛を主張したい場合には,まずは刑事弁護士に接見を頼み,被疑者の方から傷害事件を起こしてしまった経緯について聞いてもらえるように手配することが必要であると考えられます。

初回接見は,刑事弁護士逮捕勾留されて身体拘束されている被疑者の方から刑事弁護に関する重要な情報を聞き出したり,反対に,被疑者の方にとって必要な知識や情報を伝えたりする重要な機会です。
そして,このような趣旨から,初回接見は何よりもスピードが大切であり,初回接見をすみやかに行ってくれる刑事弁護士に依頼することが必要不可欠であるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害事件正当防衛を主張したい場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

傷害事件で正当防衛を主張したい①

2021-11-25

傷害事件で正当防衛を主張したい①

傷害事件正当防衛を主張したい場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
この記事は,傷害事件正当防衛を主張したい①になります。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県横浜市西区の自宅付近のごみ集積所において,Vさんがごみを捨てているのを目撃しました。
日頃からVさんのごみ出しの方法について不満をもっていたAさんは,Vさんのごみの捨て方を巡ってVさんと口論となってしまいました。
Vさんの態度に激高したAさんは,Vさんの頬を1回殴り,そのまま走って逃げてしまいました。
そして,Vさんは,Aさんを追いかけ,仕返しにAさんの背中や首を殴打しました。
Aさんは,Vさんの攻撃により転倒してしまいましたが,さらにやり返そうと護身していた特殊警棒を使って,Vさんを殴打し,Vさんに全治3週間の怪我をさせました。
Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されてしまいましたが,正当防衛を主張したいと考えています。
(最高裁決定平成20年5月20日を参考に作成したフィクションです。)

【正当防衛とは】

刑事事件例では,Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されてしまいましたが,正当防衛を主張したと考えています。
そこで,以下では,Aさんの傷害行為に正当防衛が成立するかどうかを考えてみたいと思います。

刑法36条1項
急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない

急迫の侵害に対してとっさに反撃行為に出ることは,人間のいわば本能的な行動であるとして,刑法36条1項は正当防衛の成立を認めています。

正当防衛の成立要件は,①条文上の「急迫不正の侵害」の部分にあたる急迫不正の侵害と,②条文上の「に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為」の部分にあたる防衛の意思,反撃行為,防衛行為の相当性です。

まず,正当防衛の成立要件である急迫不正の侵害とは,法益(刑法を定めることによって守られる利益)の侵害が現に存在しているか,又は間近に押し迫っている,違法な,法益に対する実害又は危険を生じさせる行為のことをいいます。

また,正当防衛の成立要件である防衛の意思とは,自己が急迫不正の侵害にさらされていることを意識し,かつ,その侵害を排除するために加害者に立ち向かう旨の意識のことをいいます。
この正当防衛の成立要件である防衛の意思は,逆上していたり,攻撃の意思があったりしても,かねてから憎悪の念を持ち攻撃を受けたのに乗じ積極的に加害する意図さえなければよいと考えられています。 
これは,正当防衛行為は,すでに述べた通り,人間のいわば本能的な行為であると考えられているからです。

さらに,正当防衛の成立要件である反撃行為は,侵害者に向けられたものでなければならないと考えられています。

加えて,正当防衛の成立要件である防衛行為の相当性とは,急迫不正の侵害に対する反撃行為が,自己又は他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであることをいいます。
この正当防衛の成立要件である防衛行為の相当性が認められるためには,必ずしもその防衛行為が唯一の方法である必要はありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害事件正当防衛を主張したい場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

この記事は,傷害事件正当防衛を主張したい②に続きます。

正当防衛に引き続く傷害事件

2021-11-09

正当防衛に引き続く傷害事件

正当防衛に引き続く傷害事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県横浜市港北区の屋外喫煙所において,Vさんから顔面を殴打されるなどの暴行を受けました。
これに対して,反撃として,AさんもVさんの顔面を殴打するなどの暴行を加えました(以下,第1暴行と呼びます)。
Vさんは転倒して後頭部を打ち付け動かなくなりましたが,AさんはVさんに対してさらに足蹴りしたり,踏みつけたりするなどの暴行を加えました(以下,第2暴行と呼びます)。
Vさんは,数時間後に病院に搬送されましたが,第1暴行後の転倒により後頭部を打ち付けたことを原因として死亡しました。
その後,Aさんは,傷害罪の容疑で逮捕されました。
このような正当防衛に引き続く傷害事件を起こしてしまった場合,正当防衛はどこまで成立し,Aさんにはどのような刑事罰が科されてしまうのでしょうか。 
(刑事事件例は,最高裁判所決定平成20年6月25日を参考に作成したフィクションです。)

【第1暴行と正当防衛について】

刑法36条
急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。

正当防衛は,刑法36条に規定されています。
正当防衛の成立要件は,①急迫不正の侵害があること(侵害行為が現に存在しているか,又は間近に押し迫っていること),②防衛の意思をもって反撃行為に及んだこと,③その防衛行為に相当性があること(防衛行為が必要最小限度であること)です。
なお,正当防衛の成立要件である防衛行為に相当性があれば,その反撃行為によってたまたま重大な結果が生じたとしても,その反撃行為が正当防衛にならなくなってしまうということはありません。

刑事事件例では,傷害事件の内容が複雑ですので,既に述べたように,第1暴行と第2暴行に分けて考えていきます。

まず,第1暴行行為についてですが,Aさんは,現実にVさんによって顔面を殴られており,この反撃として,Vさんの顔面を殴り返しています。
この場合,Vさんによる顔面殴打行為という急迫不正の侵害,防衛の意思としてのAさんの反撃する意思,Vさんに殴られたので殴り返したという防衛の相当性が認められると考えられます。
よって,第1暴行行為(結果としては傷害致死罪)には正当防衛が成立すると考えられます。

【第2暴行と傷害罪について】

次に,第2暴行行為についてですが,Aさんは,Vさんが転倒して後頭部を打ち付け動かなくなった後,Vさんに対してさらに足蹴りしたり,踏みつけたりするなどの暴行を加えています。

このように,正当防衛に引き続く傷害事件を起こしてしまった場合,その傷害行為にも正当防衛が成立するのでしょうか。

この問題点については,最高裁判所決定平成20年6月25日では,第1暴行行為と第2暴行行為は,時間的,場所的には連続しているものの,第1暴行行為と第2暴行行為の間に,被害者の方による顔面殴打行為という急迫不正の侵害が止んでいるにも関わらず,第2暴行行為を行った場合には,第2暴行行為について正当防衛は成立せず,傷害罪が成立すると判示しています。

この判例を踏まえると,Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

傷害罪は刑法204条により,「人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められており,最長で15年の懲役刑(実刑)を科されてしまう可能性のある重大な犯罪です。
正当防衛に引き続く傷害事件を起こしてしまった場合には,傷害事件を起こしてしまった経緯や動機などを刑事弁護士に情状として主張してもらって,寛大な刑事罰で済むようにしてもらうことをお薦めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
正当防衛に引き続く傷害事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら