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暴力行為による傷害事件

2023-09-30

暴力行為による傷害事件

暴力行為による傷害事件は、社会に深刻な影響を与える問題です。
被害者だけでなく、加害者もその後の人生に大きな影響を受ける可能性があります。
この記事では、傷害事件における刑事と民事の側面、関連する法律や罰則について詳しく解説します。

傷害罪の基本的な要件

傷害罪とは、他人に対して身体的な傷害を加える行為を指します。
日本の刑法においては、第204条に「人を傷害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。
傷害罪の成立には、加害者が故意に他人を傷つける行為をしたことが必要です。
ただし、「過失傷害」という別の罪もあり、これは加害者が不注意から他人を傷つけた場合に適用されます。

具体的な傷害の程度や状況によって、罪の重さや罰則が変わることがあります。
例えば、武器を使用した場合や、集団で暴行を働いた場合は、より重い罰が科される可能性が高くなります。
このように、傷害罪の要件や適用される法律は複雑であり、具体的なケースによって大きく異なる場合があります。

刑事事件としての傷害

刑事事件における傷害は、主に日本の刑法第204条に基づいて処罰されます。 この法律には、傷害を行った者は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。 しかし、実際の判例や犯罪の状況によって、刑罰の内容が変わる可能性があります。

特に、武器を使用した場合や殺意があった場合などは、傷害罪ではなく「殺人未遂」や「凶器使用(暴力行為等処罰ニ関スル法律)」など、他の罪が適用されることもあります。 また、被害者が死亡した場合は、刑法第205条の「傷害致死罪」や同第199条の「殺人罪」が適用される可能性があり、その場合は前者につき3年以上の懲役刑が、後者につき死刑または無期もしくは5年以上の懲役刑が科されます。

さらに、反社会的勢力が関与している場合や、前科がある場合は、更に重い刑罰が科される可能性があります。 このように、刑事事件としての傷害は多くの要素によって、適用される罰則が大きく変わることがあります。

民事事件としての傷害

傷害事件は刑事事件だけでなく、民事事件としても取り扱われることがあります。
この場合、主に民法第709条に基づき、加害者に賠償責任が生じます。
賠償責任とは、加害者が被害者に対して、精神的・身体的・経済的な損害を補填する責任です。

具体的な賠償内容は、被害者の医療費、休業補償、精神的苦痛に対する慰謝料など、多岐にわたります。
この賠償額は、具体的な損害の状況や、加害者と被害者の双方の状況によって決定されます。
通常、賠償責任は民事訴訟を通じて確定しますが、和解によっても解決することがあります。

なお、刑事事件での有罪判決が出た場合、それが民事訴訟での賠償責任を強く裏付ける証拠となることが一般的です。
しかし、逆に言えば、刑事事件で無罪となったからといって、民事上の賠償責任が無くなるわけではありません。
これは刑事と民事が異なる目的と基準で運用されるためです。

刑事事件と民事事件の主要な違い

傷害事件が起こった場合、その事件は刑事事件と民事事件の二つの側面を持ちます。
しかし、これらは異なる目的と基準で運用されるため、その違いを理解することは非常に重要です。

刑事事件では、国(検察)が加害者に対して訴えを起こし、公の秩序を保つために適切な罰を科すことが目的です。
一方で、民事事件では、被害者自身が加害者に対して訴えを起こし、損害の補填を求めることが主な目的です。

また、刑事事件では「疑わしきは罰せず」の原則があり、有罪判決には高い証明責任が求められます。
それに対し、民事事件では「相当確率」の基準で判決が下されることが多く、証明責任は相対的に低いです。

このように、刑事事件と民事事件はそれぞれ異なる側面を持つため、一つの傷害事件でも、それぞれに適切に対処する必要があります。

共犯者や幇助者が関与した場合の罪と罰

傷害事件においては、単独の加害者だけでなく、共犯者や幇助者が関与する場合もあります。
このような状況においては、その関与の度合いによって罪と罰が変わることがあります。

共犯者とは、主犯と一緒に犯罪行為を企てて実行する者を指します。
共犯者は主犯と同様に傷害罪やその他の関連する罪で起訴される可能性があり、その罰則もほぼ同等になります。

一方で、幇助者は犯罪行為自体には参加していないが、何らかの形で犯罪を助ける行為をした者を指します。
例えば、武器の提供や逃走の手助けなどが該当します。
幇助者は「傷害の幇助」などとして起訴され、その罰則は通常、主犯よりも軽くなります。

特に注意すべきなのは、社会的に見てその責任の重さが大きな共犯者や幇助者には、通常よりも重い刑罰が科される可能性があるという点です。
具体的な罰則は、犯罪の性質や関与の程度、過去の犯罪履歴などによって大きく変動します。

加害者と被害者の心的影響と法的処遇

傷害事件は、加害者と被害者双方に心的な影響を与える可能性があります。
この心的影響は、法的処遇にも影響を与えることがあるため、理解しておくことが重要です。

被害者に対する心的影響は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や不安障害、抑うつ症状など多岐にわたります。
このような精神的ダメージは、民事訴訟において慰謝料として計算される場合があります。

一方、加害者にも心的影響がある場合があり、その状態が刑事責任に影響を与えることがあります。
例えば、精神的に不安定な状態で行動した場合、刑事訴訟において「心神喪失」や「心神耗弱」を主張することができる場合があります。
これにより、刑罰が軽減される可能性があります。

しかし、心的影響を法的処遇に反映させるためには、医療専門家による診断や証言が通常は必要です。
また、このような心的影響を考慮に入れた判決が下されるかどうかは、裁判官の判断に大きく依存します。

傷害事件の防止と対策

傷害事件は後から対処するだけでなく、事前に防止することが最も重要です。
個人レベルでも社会レベルでも、様々な対策が考えられます。

個人レベルでは、自分自身や身近な人が暴力に走らないよう、ストレスマネジメントや対人スキルの向上が有効です。
また、危険な状況を感じた場合には、速やかにその場を離れる、または警察や周囲の人々に助けを求めることが重要です。

社会レベルでは、暴力行為や傷害事件の発生リスクを減らすための教育プログラムや啓発活動が効果的です。
さらに、警察や関連機関が早期に介入し、適切な処罰とフォローを行う体制を整えることも重要です。

特に、学校や職場など、特定のコミュニティ内での傷害事件に対しては、そのコミュニティが持つルールや文化も見直しを行うべきです。
例えば、いじめやパワハラが暴力行為につながるケースも少なくないため、これらの問題に対する意識改革が必要です。

このようにして、傷害事件の防止と対策には多角的なアプローチが求められます。
それぞれのレベルでの取り組みが、傷害事件を減少させる鍵となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介

本記事では、傷害事件における罪と罰、刑事事件と民事事件の違い、共犯者や幇助者の関与、加害者と被害者の心的影響、そして防止と対策について詳しく解説しました。 このような複雑で多面的な問題に対処するためには、法的な知識と手続きが不可欠です。

そこで、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部を紹介します。 同事務所は、傷害事件を始めとした刑事事件に特化した法律サービスを提供しています。 刑事事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士が在籍しており、在宅の刑事事件は無料で相談を受けることができるほか、家族が逮捕・勾留されている場合には初回接見サービス(有料)をご利用いただけます。

何か問題や疑問が生じた場合には、専門の法律家に相談することが最も確実な解決方法です。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、そのようなニーズに応える存在として、皆様のサポートを積極的に行っています。

【お客様の声】睡眠薬を飲ませて傷害罪に

2023-08-06

【お客様の声】睡眠薬を飲ませて傷害罪に

被害者に睡眠薬を飲ませたことで傷害罪により逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市中区在住のAさんは、事件当日、横浜市中区のVさんの家を訪れた際、Vさんの隙を見てVさんの飲み物に睡眠薬を入れ、それに気付かず飲み物を飲んでVさんが寝たことを確認し、その間に猥褻(わいせつ)な行為をしました。
後日、Vさんと保護者の被害申告を受けた横浜市中区を管轄する伊勢佐木警察署の警察官は、Aさんを傷害罪で逮捕しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【睡眠薬を飲ませる行為は傷害罪に】

今回のAさんの事例は、Vさんの意に反して睡眠薬を飲み物に入れ、よってVさんを眠らせました。
この場合に、暴行罪や傷害罪の成立が検討されます。

(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

暴行罪のいう暴行とは「人の身体に対する不法な有形力の行使」と定義されています。
そのため、殴る蹴るといった直接的な暴力だけでなく、大きな音を鳴らす、近くに石を投げるといった行為でも成立するおそれがあります。

傷害罪のいう傷害について、判例は「人の生理的機能の障害によってその健康状態を不良に変更すること」とする生理的機能障害説に立っていることから、出血した・あざができたといった明白な怪我などは勿論のこと、性病を隠して性行為をして性病に罹患させた場合や腐敗物を食べさせて腹下しにしたという場合にも傷害罪が成立します。

本件で問題となった、Vさんの意に反して睡眠薬を飲ませるという行為は、
・結果として被害者が眠ることがなかったとしても「人の身体に対して不法な有形力を行使した」として暴行罪に
・被害者が眠ってしまった場合には「人の生理的機能の障害によってその健康状態を不良に変更すること」に該当するとして傷害罪
それぞれ罪が成立すると考えられます。

また、AさんはVさんにわいせつな行為をしたことから、準強制わいせつ罪・準強制わいせつ致傷罪でも起訴されました。

【睡眠薬を飲ませた事件での保釈請求】

今回のAさんの事件では、逮捕されスマートフォンのデータを解析したところ同様の手口での犯行を繰り返し行っていたことが発覚しました。
そのため、事件ごとに逮捕・勾留されました。

逮捕され、勾留が認められると、勾留請求から最大20日間勾留されます。
更に、勾留期間に釈放されず起訴された場合、起訴後勾留が行われます。
起訴後勾留は2ヶ月間で、その後も1ヶ月毎に身体拘束の期間が続きます。

弁護士は、依頼を受けた直後から捜査を担当する検察官・警察官に対し、余罪捜査の状況と再逮捕の予定について逐一確認を行いました。
そして、捜査が終了して再逮捕の予定がないことを確認したうえで、裁判所に対して保釈請求を行いました。

保釈請求を受けた裁判所の裁判官は、検察官に意見を求めた上で、保釈を認めるか否かについて検討します。
検察官は、Aさんを保釈すると証拠隠滅する恐れがあると主張し保釈に反対の意見を示していましたが、弁護士は具体的な証拠隠滅のおそれがないこと、保釈後の監督体制がしっかりと整っていることなどを主張したところ、保釈が認められました。
Aさんは保釈された後も裁判の期日に出廷し判決が言い渡されたため、保釈保証金は没取されることなく、全額返金されました。
なお、判決は執行猶予付きの懲役刑でしたので、刑務所に行くことなく生活しています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、釈放して欲しい・起訴後に保釈して欲しいというかたの依頼を数多く受けてきました。
神奈川県横浜市中区にて、家族が被害者に睡眠薬を飲ませたことで傷害罪で逮捕され釈放・保釈を求めている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【解決事例】傷害事件で被害者代理人との示談交渉

2023-07-09

【解決事例】傷害事件で被害者代理人との示談交渉

見知らぬ相手に対して暴行を加え傷害事件を起こしてしまったという事例で、被害者の代理人弁護士と示談交渉をした、という事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県川崎市川崎区在住のAさんは、川崎市川崎区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、川崎市川崎区にある駅構内で面識のないVさんと肩がぶつかった・ぶつかっていないの口論に発展し、AさはVさんを引き倒し、Vさんを怪我させました。
駅員の通報を受けて臨場した、川崎市川崎区を管轄する川崎臨港警察署の警察官は、Aさんを傷害罪で現行犯逮捕しました。
Aさんの逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、当事務所の弁護士による初回接見サービス(有料)を利用し事件内容を把握したうえで、弁護を依頼されました。

弁護士は依頼後すぐに担当検察官に連絡し、Aさんの勾留が不要である旨の主張をしたところ、検察官はAさんの勾留請求を行いませんでした。
その後弁護士はVさんとの示談交渉を開始しましたが、Vさんは代理人弁護士に弁護を依頼されたため、相手方代理人弁護士と示談交渉を行い、示談締結と相成りました。
担当検察官は、Aさんが反省していることや示談によりVさんの被害回復がなされていること、被害届が取下げられたこと等を踏まえ、Aさんを不起訴にしました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【傷害事件について】

今回の事例で、Aさんは駅構内でのもめごとから一方的に手を出してVさんを引き倒したかたちになりました。
正当防衛が認められる場合等特殊な場合を除き、どのような理由があれ相手に暴行を加えた場合には暴行罪が成立しますし、その結果被害者が怪我をした場合には傷害罪が適用されます。
暴行罪と傷害罪の条文は以下のとおりです。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【被害者代理人との示談交渉】

まず原則として、示談は当事者間での合意を意味しますので、加害者と被害者の両方が弁護士に依頼をしていなくても、両当事者同士で示談交渉・示談締結を行うことは可能です。
しかし、
・加害者は法律の知識がない場合が多く、法的に有効は示談書を締結できるか不安
・被害者はそもそも加害者に連絡先を教えたり連絡を取ったりすることが不安
という場合がほとんどでしょう。
そのため、加害者側が弁護士に弁護を依頼して、示談交渉を行う場合が一般的です。

加害者側から依頼を受けた弁護士は、被害者に対して可能な限り丁寧な説明を行い、示談締結を目指します。
当然、守秘義務があるため、加害者に連絡先を伝えることはありません。
よって、被害者が弁護士に弁護を依頼しなくても、スムーズに示談締結に至る場合がほとんどです。
しかし、被害者の中には不安を感じ、被害者自身も弁護士に弁護を依頼する場合があります。
加害者と被害者の両方が弁護士に弁護を依頼している場合、弁護士同士で示談交渉が行われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、暴行罪・傷害罪など数多くの粗暴犯事件での弁護を経験してきました。
Aさんの事例のように、被害者が弁護士に依頼している場合もあり、その場合は被害者代理人弁護士との示談交渉が重要になります。
神奈川県川崎市川崎区にて、揉めごとから暴行罪・傷害罪に発展し、被害者代理人弁護士との示談交渉を希望する場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

【解決事例】恐喝事件での現場共謀

2023-03-12

【解決事例】恐喝事件での現場共謀

被害者からお金などを脅し取る恐喝事件について、直接的な加害者ではないものの、事件に関与したとして現場共謀により逮捕されたものの不起訴になったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市金沢区在住のAさんは、横浜市金沢区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、友人Xさんから「車を出してほしい」と言われ、二つ返事で了承しました。
AさんはXさんから指定された場所に車で行ったところ、Xさんの友人YさんとZさんがいて、3人を車に乗せました。
次に、Xさんの指示で横浜市金沢区のVさんの家に行って、Vさんを拾いました。
Aさんは良く分からない中で4人を載せて車を運転したところ、XさんはVさんに対して「お前が俺のスケに手を出したんだから、相応の対価は必要だよな」「(YさんとZさんを挿して)ワシの部下も動いてんだから、分かってんだろうな」等と言い、Vさんが「払います」と言ったところ、XさんはAさんに銀行のATMに行くよう指示し、VさんにATMで100万円を引き出させ、Xさんはその100万円を受け取り、Aさんは車代と称して10万円を受け取りました。

被害に遭ったVさんは、横浜市金沢区を管轄する金沢警察署の警察官に相談しました。
後日、AさんとXさん、Yさん、Zさんは同じタイミングで恐喝罪で逮捕されました。

【恐喝罪について】

今回問題となっているのは、主としてXさんが、Vさんに対して金を要求し、従わなければ危害を加えるような発言をしています。
そして、Vさんから100万円を受け取りました。
この場合に問題となるのは、恐喝罪です。
条文は以下のとおりです。

刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

【現場共謀と幇助犯】

今回の事件について、恐喝のいわゆる主犯格はXさんでした。
かたやAさんは、車でVさんの家に行き、Vさんを車に乗せた時点では、Xさんが恐喝するということを知りませんでした。

ここで問題となるのが、Aさんは恐喝事件に関与したが、それは共犯者に該当するのか、単に手助けをしただけの幇助犯に当たるのか、という点です。
条文では、以下のとおり規定されています。

(共同正犯)
刑法60条 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

(幇助犯)
刑法62条1項 正犯を幇ほう助した者は、従犯とする。
(従犯減軽)
刑法63条 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

よって、AさんがXさんの共犯者として正犯と評価された場合、Xさんと同じ程度の罪に問われます。
また、AさんがXさんの手助けをしただけの幇助犯として評価された場合、Xさんに比べて刑は減刑されます。
共同正犯(共犯者)として扱われるか、幇助犯として扱われるのかは、事件についてどこまで知っていてどのような役割を果たしたのか、という点で分かれます。
Aさんは、車にVさんを載せた時点ではまだ恐喝事件について知らなかったと言えます。
しかし、車内で恐喝事件が行われていて、Xさんの指示に従い銀行のATMにVさんを連れて行っているという状況から、現場共謀が認められ、Aさんも共犯者として共同正犯の罪に問われる可能性がありました。

今回のAさんの事件では、弁護活動の結果Aさんは不起訴になりましたが、もし共犯者として共同正犯の罪で起訴された場合、幇助犯として評価するべきであるとの主張を行う可能性がありました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県横浜市金沢区にて、家族が恐喝事件で逮捕され、現場共謀が認められる可能性があるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【解決事例】児童虐待を疑われるも不起訴処分に

2023-02-21

【解決事例】児童虐待を疑われるも不起訴処分に

児童虐待をしたと疑われ捜査を受けたものの不起訴処分になったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県相模原市南区在住のAさんは、相模原市南区内の会社に勤務する会社員です。
AさんにはVさん(10歳)とXさん(2歳)の2人の子どもがいました。
事件当日、VさんがXさんを数発叩いて泣かせてしまいました。
それを見たAさんは怒ってしまいVさんを床に叩きつけたところ、Vさんは顔面から流血してしまいました。
それを見たAさんは冷静になり、慌てて相模原市内の病院に連れて行きました。
問診をした医師は、AさんとVさんにどうして怪我をしたのか問い、Aさんは咄嗟にVさんが転んだ旨説明しました。
しかし、AさんはVさんの前で嘘をつくことはマズイと考え、直後に自身が叩きつけたことを認めました。
その後、病院から通報を受けた児童相談所によってVさんは一時保護され、児童相談所からの通報を受けた相模原市内を管轄する相模原南警察署の警察官は児童虐待事件として捜査を開始しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【児童虐待について】

・児童虐待の現状

自身の子ども等に対して行われるいわゆる虐待は年々増加傾向にあります。
厚生労働省の令和3年度速報値によると、児童虐待数は、対応したものだけで過去最多の207,659件でした。
もっとも、これは氷山の一角であり、認知されていない事件はこれ以上に多いと考えられます。
児童虐待には、
①直接的な身体的虐待
②暴力などに依らない心理的虐待
③食事などを与えない等のネグレクト
④性的虐待
などがあります。
児童虐待をした場合には、事例のように病院や児童相談所のほか、学校や近隣住民などから連絡が来る場合が少なくありません。

・児童虐待で問題となる罪

児童虐待の場合、他人に対して事件を起こした場合の罪と同じ罪を科せられる場合もあれば、違う場合もあります。
例えば、実子や連れ子などに③のネグレクトをした場合には保護責任者遺棄の罪に問われる可能性がありますし、④のわいせつな行為や性行為をした場合には監護者わいせつ監護者性交の罪に問われる可能性があります。
一方、Aさんのように①の直接的な身体的虐待をした場合には、他人に対して行った際に成立する暴行罪傷害罪殺人未遂罪が適用されることが一般的です。

また、児童虐待が疑われる事案では、刑事事件の手続きとは別に、お子さんが児童相談所の一時保護所に一時保護されます。

【児童虐待の疑いをかけられたら弁護士へ】

児童虐待は、密室での出来事がほとんどです。
当事務所、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部には、「児童虐待はしていないのに虐待を疑われている」ため相談に訪れる方もおられます。
児童虐待をしていないが疑われているという場合には、その旨を主張していく必要があります。

今回のAさんの事例では、実際に投げ飛ばしたことは事実でした。
そのため弁護士は、
・日常的に暴行を加えていたわけではないこと
・事実を認め反省していること
・再犯防止のために家族一丸となって育児に励む環境調整を行っていること
等を主張した結果、Aさんは不起訴になり、一時保護も解除されました。

神奈川県相模原市南区にて、児童虐待を疑われ捜査を受けている、家族が児童虐待の疑いで逮捕されているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合は事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合は初回接見サービス(有料)をご案内します。

【解決事例】幼稚園での暴行で不起訴

2023-02-03

【解決事例】幼稚園での暴行で不起訴

幼稚園で勤務する幼稚園教諭が園児への暴行で捜査を受けたものの不起訴となった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県秦野市在住のAさんは、秦野市内の幼稚園で幼稚園教諭として勤務していました。
事件当日、発達障がいがある園児のVさんが暴れてしまい、他の園児を巻き込む可能性がありました。
AさんはVさんに「どうしたの」「やめてよ」と声をかけましたが、全く応答してくれませんでした。
そこで、Aさんは、Vさんの注意を自身に向けるため、Vさんの頬を2度、叩きました。
それを見ていた別の幼稚園教諭は、Aさんの行為が暴行に当たる可能性があるとして、園とVさんの保護者に報告しました。
Vさんの保護者の被害届を受理した秦野警察署の警察官は、Aさんに対し、暴行の嫌疑で取調べを行いました。
Aさんは指導をするうえでやむを得ない行為であったことが理解されると考えていたのですが、数回に亘る取調べののち、秦野警察署の警察官から「検察庁に書類を送るから、検事さんから連絡があるかもしれません」という説明を受けたため、当事務所の弁護士による無料相談を受け、自身の行為がどのような問題になるのか、前科が付いてしまうのか、等の相談をされました。
その後依頼を受けた弁護士は、検察官の取調べが行われる前に、丁寧に内容を聞き取った「Aさんの主張」を書面化し、検察官に提出しました。
検察官は、弁護士とのやり取りと、Aさんの取調べを踏まえ、Aさんを不起訴としました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【暴行罪について】

今回、幼稚園教諭であるAさんは園児であるVさんの頬を2度叩きました。
その結果、特にVさんがケガをした等の事情はありませんでした。
この場合、Aさんは暴行罪に問われる可能性がありました。
暴行罪の条文は以下のとおりです。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

【不起訴を求める弁護活動】

Aさんの行為は、上記のとおり暴行罪に当たるものであり、決して許される行為ではありません。
Aさん自身、罪は認めていました。
他方で、Vさんをそのままにしてしまうと、他の園児を傷つける可能性やVさん自身を傷つけてしまう(自傷行為)恐れがあり、Aさんとしてはやむを得ずとってしまった行動でした。
また、AさんはVさんに対し謝罪の念を抱いていました。

そうした点を主張した結果、Aさんは不起訴処分となったと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、暴行罪などの粗暴犯事件を数多く取り扱ってきました。
神奈川秦野市にて、幼稚園教諭などの立場の方が仕事中に園児などを殴る等して暴行の罪に問われていて、不起訴処分を求める弁護活動について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受ける事ができます。
家族が暴行罪などで逮捕された場合はこちら。

【解決事例】性行為中のトラブルで被害申告前に対応

2023-01-30

【解決事例】性行為中のトラブルで被害申告前に対応

双方同意の上での性行為をしたものの、その際にトラブルが生じ、その件で謝罪金を求められていたが被害申告前に解決したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県南足柄市在住のAさんは、南足柄市内の会社に勤める会社員です。
Aさんには内妻がいましたが、その人とは別の既婚者Vさんといわゆる不倫関係にありました。
その後Vさんとは関係解消しましたが、VさんはAさんに対し、交際中に性行為をした際に膣内が傷つけられたことがあり、その謝罪金を求めました。
実際にAさんは性行為中にVさんが痛がっていたことがあったため、Vから提示された金額を毎月支払っていました。
ところが、突然Vさんが感情的になり「納得がいかないので南足柄市の松田警察署に訴えてやる」と言われ、不安になり当事務所の弁護士による無料相談を受けその後弁護を依頼されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【今回問題となる可能性のあった罪】

性的な行為の最中に被害者を傷つけたという場合、まずは強制性交等致傷罪が検討されます。
条文は以下のとおりです。

(強制性交致傷等)
刑法181条2項 第177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。
(強制性交等罪)
刑法177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等致傷罪は法定刑が「無期又は6年以上の懲役」とされていて、裁判員裁判対象事件です。
強制性交等致傷罪で起訴され有罪となった場合、厳しい刑事処罰が科せられる可能性があります。

但し、今回の事例については、不倫関係のあった相手に対し、合意の上で性行為をしていて、その際に膣内が傷ついた、という事件であり、「暴行又は脅迫を用いて性交」等を行っているわけではありません。
そのため、もし立件された場合でも、強制性交等致傷罪は適用されません。
また、AさんはVさんに暴行を加えようとして怪我させたわけでもないため、傷害罪も適用されないでしょう。
この場合、過失傷害罪の適用が考えられます。
条文は以下のとおりです。

刑法209条1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
※罰金は原則1万円以上、科料は1,000円以上1万円未満です。

【被害申告の前に弁護士に依頼】

Aさんに科せられる可能性がある罪は過失致傷罪という比較的軽微なものであると考えられますが、何も対応しなければ
・Vさんから言われたまま謝罪金を支払い続ける
・Vさんが被害申告した場合には警察官等の家宅捜索を受ける等して家族に発覚
・捜査に必要と判断された場合には逮捕・勾留される可能性もある
ことが考えられました。

依頼を受けた弁護士は、まずはAさん自身にしっかりとお話を聞きました。
次に、電話でVさんのお話をしっかりと聞こうとしたところ、Vさんは弁護士との話でも感情的になってしまい、最初は一方的な罵詈雑言を受けました。
しかし、弁護士が粘り強く電話・メールでの説明を続けたところ、冷静になり、これ以上の追加の請求は行わないこと、被害申告は行わないこと、等の意向を確認することができました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、刑事事件化・被害申告される前の事件についても取り扱っています。
被害者がいる事件の場合、当事者間での謝罪・弁済・示談締結等の対応は必要不可欠ですが、加害者―被害者の当事者間だけでそれを行うことは極めて難しいと言えます。
神奈川県南足柄市にて、不倫相手、あるいは元不倫相手との性交中に相手を怪我させてしまい、強制性交等致傷罪過失傷害などで被害申告を行うと言われた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。
どのような罪に当たるのか、必要な弁護活動はどのようなものか、等についてご説明致します。

【解決事例】恐喝事件で保護観察処分

2022-09-30

【解決事例】恐喝事件で保護観察処分

恐喝で問題となる罪と、保護処分の一種である保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横須賀市在住のAさんは、事件当時、横須賀市内の高校に通う高校1年生でした。
事件当日、Aさんは同級生Vさんに対して、怪我をさせない程度の暴力を振るい現金を要求し、実際に受け取りました。
後日、横須賀市内を管轄する田浦警察署の警察官は、Aさんを恐喝罪で通常逮捕しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【恐喝事件について】

現代では恐喝という言葉はなじみが薄いという方もおられるかもしれません。
恐喝罪の条文は以下のとおりです。

刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝罪は、他人に対して暴行や脅迫などを用いて被害者を脅し、その結果被害者の財物(財産的価値があるものを意味し、必ずしも現金である必要はありません。)を交付させた場合に成立します。

令和3年版の犯罪白書によると、令和2年における恐喝事件の検挙人員は1,515人でした。
統計を見ると、平成14年以降は減少傾向にあります。
少年事件に関していうと、検挙人員は395人でした。

【保護観察処分とは】

今回のAさんは、事件当時20歳未満だったため少年法のいう「少年」に該当します。(少年法2条1項)
より具体的に言うと、罪を犯した14歳以上の少年に該当するため、犯罪少年に該当します。

犯罪少年については、まずは捜査機関による捜査が行われます。
これは成人の刑事事件と同様で、捜査機関は必要に応じて逮捕・勾留することもできます。
(勾留に代わる観護措置という手続きもありますが、神奈川県ではそう多くない印象です。)

次に、捜査が終了した時点、あるいは勾留期間満了を迎えた時点で、少年は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、少年が犯罪に至った経緯について調べるため、家庭裁判所調査官による調査が行われます。
調査は、少年の学校での成績や態度のほか、少年本人や少年の保護者との面談などのかたちで行われます。
また、少年鑑別所という施設で一定期間生活し、その生活態度を確認したり心理検査を行うという観護措置の決定を受けることもあります(観護措置は在宅で行われる場合もありますが、原則として少年鑑別所で生活することになります。)。

家庭裁判所調査官による調査が終わった後、家庭裁判所の裁判官は審判を行う必要があるかどうか判断します。
少年に保護処分が必要でないと判断した場合、審判不開始の決定が行われ、手続きは終了します。
※以下で記載する%の数字は令和3年犯罪白書による、家庭裁判所で終局処理した少年【43,872人】をもとにした割合です。
審判不開始となった少年は約45%でした。
また、≪特定少年≫を含め、一定以上の重大事件については、少年に保護処分を課すのではなく刑事処罰を科す必要がある事案として、検察官送致(いわゆる逆送)されます。
逆送は約6%でした。

反対に、裁判官が少年に保護処分が必要であると判断した場合、審判が行われます。
審判は、成人の刑事事件とは違い、非公開の審判廷で行われ、事実認定などの手続きは緩やかであり、主として少年の再犯防止のためにどのような保護処分が行われるべきか検討されます。
裁判官は、調査を行った調査官意見書、少年鑑別所に送致された場合の鑑別所意見書、及び審判廷での少年の受け答えを踏まえ、少年に対する保護処分(あるいは児童相談所長送致)を検討します。
保護処分には、
・少年院送致
保護観察処分
・児童自立支援施設送致
があります。
また、審判が行われるまでに家庭環境が調整され、少年の内省が深まっている場合には、保護処分をしない不処分の判断を下すこともできます。(約18%)

保護観察処分について、割合としては約28%で、保護処分のなかでは最も高い数字です。
保護観察処分を言い渡された少年は、原則として20歳に達するまでの期間を保護観察期間と定められ、遵守事項を定められます。
遵守事項には、再び罪を起こさないことは勿論のこと、保護司(あるいは保護観察官)の面談を受けること、生活実態に関する資料の提出といったものがあるほか、特別遵守事項として性依存症などの処遇プログラムを受ける等、事案に即したルールが設けられます。
このルールに違反した場合、少年は少年院や刑務所に送致される場合があります。

保護観察処分は、他の保護処分と異なり、通常の社会生活を行いながら更生を図る制度であり、少年にとって負担が少ないと言えます。
しかし、保護観察処分に付するためには社会内で家族などの監督体制が整っていることが重要です。
今回の事例では、Aさんが事件について内省を深めていて、Aさんの保護者はAさんが二度と再犯に走らないための監督を約束していて、Aさんが保護者と良好な関係を築いているということを主張し、保護観察処分に至りました。

神奈川県横須賀市にて、お子さんが恐喝などの事件で逮捕されてしまい、保護観察処分を含めた終局処分の見通しについて知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が初回接見を行い、お子さんから事情を聞いたうえで今後の手続きや見通しについて御説明します。(有料)

【解決事例】喧嘩で刑事事件に発展した場合の示談交渉

2022-09-18

【解決事例】喧嘩で刑事事件に発展した場合の示談交渉

喧嘩で刑事事件に発展した場合に問題となる罪と、示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市金沢区在住のAさんは、横浜市金沢区内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは横浜市金沢区内の路上で通行人Vさんと肩がぶつかった―ぶつかっていないの口論に発展し、その後AさんはVさんの肩などを叩く暴行を加え、喧嘩に発展しました。
Aさんは怪我こそしていませんがVさんは軽傷を負っていました。
Vさんからの通報を受けて臨場した横浜市金沢区を管轄する金沢警察署の警察官は、Aさんを傷害罪で、Vさんを暴行罪で、それぞれ捜査しました。
警察署での取調べを終えたAさんは書類送検されたのち、担当検察官の取調べを受けた際、「弁護士を入れて示談する選択肢もありますよ。その場合、示談交渉の経過次第で終局処分を待ちます。」と言われ、当事務所の無料相談を受けて弁護を依頼されました。
依頼を受けた当事務所の弁護士は、検察官と交渉し、弁護士限りでVさんの連絡先を開示して頂くことが出来ました。
Vさんとの示談交渉の末、Vさんとの間で「本件示談の成立ののち双方は相手方の刑事処罰を求めない」旨の約定を設けた示談書の締結に至りました。

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【喧嘩で問題となる罪】

今回のAさんは、路上で見知らぬVさんとの間で些細なことで口論になり、喧嘩に発展しました。
喧嘩で問題となる罪には、以下のようなものが考えられます。

<暴行罪・傷害罪>
まず、相手に対する暴力行為では暴行罪・傷害罪が検討されます。
暴行罪は相手に対する不法な有形力の行使であり、暴行によって相手が怪我を負った場合には傷害罪が適用されます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

<殺人未遂罪・殺人罪>
暴行罪や傷害罪で収まらない場合の罪に、殺人未遂罪や殺人罪が挙げられます。
殺人罪は、喧嘩の結果相手を殺す、あるいは死ぬかもしれないという意思をもって相手に暴力行為を行うことで成立する罪です。
結果として被害者が死亡しなかった場合には殺人未遂罪が適用されます。

捜査機関としては殺人未遂罪や殺人罪には殺意の立証が必要です。
取調べで相手を殺す意思があったことを供述することや、客観的に見て相手が死んでしまうだろうと思われる行動(例えば、刃物を持ち出した、ゴルフクラブを持ち出した、相手の頭部を繰り返し殴った等)といった部分から評価されます。

<暴力行為処罰法違反>
もし喧嘩の際に刃物を持ち出した場合、暴力行為処罰法違反で検挙されることも考えられます。
これは、喧嘩の結果相手が死傷したか否かを問わず、成立する罪です。

暴力行為処罰法の条文は以下のとおりです。
非常に読み辛い内容ですが、「凶器を示し」て「刑法208条(=暴行罪)」「の罪を犯した」者に対して、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すると定めているのです。

暴力行為処罰法1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

<決闘罪>
事前通告をした上で戦いを行う、いわゆる決闘をした場合には「決闘罪ニ関スル件」に当たる可能性もあります。
ケースの場合、Aは決闘を挑んだうえ決闘を行っていたため、以下の条文は問題となります。

決闘罪ニ関スル件第一条 決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第二条 決闘ヲ行ヒタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス

【弁護士に示談交渉を依頼】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、Aさんのように「担当検察官から弁護士に依頼しての示談交渉を勧められた」という相談が日々寄せられます。
検察官の判断で、あるいは弁護士の交渉により、示談交渉の経過次第で起訴/不起訴の判断を待ってもらえる場合もあります。
神奈川県横浜市金沢区にて、路上で発生したトラブルで喧嘩に発展してしまい暴行罪や傷害罪で捜査を受けていて、示談交渉について知りたい、あるいは検察官に示談交渉を勧められた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。

家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

【解決事例】恐喝事件で接見禁止一部解除・不起訴へ

2022-09-12

【解決事例】恐喝事件で接見禁止一部解除・不起訴へ

恐喝事件を起こしてしまった場合の罪と接見禁止一部解除や不起訴へ向けた弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市中区在住のAさんは、横浜市中区にある会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは友人らと一緒に横浜市中区にあるコンビニエンスストアの駐車場で遊んでいたところ、友人の一人が見知らぬ男性Vさんと目が合ったことがきっかけで因縁をつけることになり、Aさんらは集団でVさんを囲み、「山に行ってもらうか金を支払うか選べ」と言い、現金1万円を受け取りました。
数日後、Aさんのもとに横浜市中区を管轄する山手警察署の警察官が来て、Aさんを恐喝罪で通常逮捕しました。
自宅でAさんの逮捕を目の当たりにしていたAさんの家族は、事件の内容すら分からない中、当事務所の初回接見を利用し事件の内容を把握されました。
その後弁護活動の依頼を受けた当事務所の弁護士は、
接見禁止が付いているAさんについて、家族が事件に関与していないことを主張し、Aさんの家族だけは接見禁止の例外として面会できるよう申請し、認容
②示談交渉により被害者に対する謝罪と弁済の実現
③共犯者と関わらないことの制約、示談締結などの状況を踏まえ不起訴の意見を述べ実現
といった弁護活動を行いました。
恐喝罪は罰金刑が設けられていないため、Aさんは起訴されて前科がつくだけでなく実刑判決を受ける可能性すらあった事件でしたが、無事不起訴となったことで、その後の生活への影響を最小限にとどめることができました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【恐喝事件について】

恐喝事件について、条文は以下のとおりです。

刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝とは、被害者やその家族に対する暴行や脅迫をすることで、金や物を交付させる場合に成立します。
今回Aさんたちが行った行為は、Vさんに対して金を払わなければ山に置き去りにされるのではないかと思わせる等脅迫し、1万円を支払わせたというものですので、恐喝罪が適用されます。

なお、恐喝罪に似た罪として強盗罪があります。
強盗罪は、暴行又は脅迫を用いる点では恐喝罪と同じですが、「他人の財物を強取」することで成立するという点で、被害者が自ら金や物を加害者に交付する恐喝罪とは異なります。
強盗罪の罰条は「5年以上の懲役」であり、最大で20年の懲役刑が科せられる恐れがあるため、恐喝罪が適用されるか強盗罪が適用されるかという点は極めて重要です。

【接見禁止一部解除について】

まず原則として、逮捕された被疑者との面会は認められていませんが、勾留されている被疑者に対しては、留置施設での面会が認められています。
面会は制限があるものの家族は勿論のこと友人などでも可能です。

但し、勾留に際し裁判官が検察官の請求を踏まえて、あるいは裁判官の判断で、職権で接見禁止の決定を下すことができます。
接見禁止が認められた場合、弁護士以外は(たとえ家族であっても)面会は認められていません。
今回のAさんの恐喝事件は、一緒に事件を起こしたといわゆる共犯者が複数人いました。
共犯者がいる事件では、面会を認めると口裏合わせの恐れがあるとして接見禁止がつく場合が一般的です。
(例えば、事件を起こし勾留されたAさんの面会を行ったXさんが、その後にYさんの面会を行い「Aさんが罪はすべてYさんが被るよう言っていた」と言ったら、その後Yさんが「事件は単独犯です。」などと言って、Aさんが罪を免れようとする恐れがあります。また、Aさんが「証拠になる○○を捨てておいて」と言ったのちXさんが証拠を破棄する恐れもあります。但し、一般の方の面会では警察官が立ち会いますので、このような単純な口裏合わせはできません。)

とはいえ、Aさんの家族の方は口裏合わせや証拠破棄などの証拠隠滅行為をしたいわけではなく、ただAさんの心身の状態が心配であり、制約があっても面会をしたいという意向でした。
そこで弁護士は、Aさんの家族が事件に関与しているわけではなく、証拠隠滅が疑われるようなことはしないと誓約していることを示した結果、裁判所はAさんの家族だけは接見禁止の例外として面会を認める、接見禁止一部解除の決定を下しました。

【不起訴へ向けた弁護活動】

恐喝罪は被害者に恐怖の念を抱かせ金などを出させる悪質な事件であり、厳しい刑事罰が科せられる恐れがあります。
恐喝罪には罰金刑や科料が設けられていないため、検察官が証拠を集め刑事罰を科すべき事案であると判断した場合、略式手続に附することはできず、必ず正式裁判になります。
刑事裁判では、家庭環境や事件の内容について不特定多数の傍聴人の前で話す必要があり、精神的な負担も大きいと考えられます。
そのため、不起訴に向けた弁護活動を求める方も多いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、今回の事例を含め恐喝事件で不起訴を獲得したという事例が少なからずございます。
神奈川県横浜市中区にて、ご家族が恐喝事件で逮捕され勾留されてしまい、接見禁止が付いてしまった場合に、接見禁止一部解除や不起訴に向けた弁護活動にはどのようなものがあるか知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービスをご利用ください。(有料)
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が逮捕・勾留されている方のもとに接見に伺い、事件の内容や余罪について丁寧に確認したうえで、経験に基づき今後の流れや見通しについてしっかりとご説明いたします。

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