【解決事例】殺人予備事件で早期解決

刃物を示す行為により問題となる銃刀法違反や殺人予備などの罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市瀬谷区在住のAさんは横浜市瀬谷区内の飲食店でアルバイトをしていましたが、店舗責任者の社員Vさんから執拗に嫌がらせを受けていました。
我慢の限界を感じたAさんは、事件当日、自宅から包丁を持って職場に行き、これ以上嫌がらせを受けないためにVさんに刃物を見せて脅かそうと考えました。
しかし、刃物を示す行為の前段階でAさんが包丁を持っていることが発覚したため、Vさんは警察に通報し、通報を受けて臨場した瀬谷警察署の警察官は、Aさんを殺人予備罪と銃刀法違反で現行犯逮捕しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【刃物を示す行為とその前後で問題となる罪】

今回のAさんの事件では、Aさんが
①包丁を持っていた
②その包丁を示して被害者Vさんを脅そうとしたがそこに至らなかった
③そのため、結果としてAさんはVさんを死傷させていない
ということになります。

銃刀法違反の問題≫
まず、職場に包丁を持ってきた①の行為について、正当な理由なく包丁を所持していたとして銃刀法違反に該当します。
銃刀法は、正式名称を「銃砲刀剣類所持等取締法」と言い、その22条で
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。
と定められています。
罰条は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。(同法31条の18第2項2号)

≪暴力行為処罰法違反の問題≫
次に、②の行為を実際に行っていた場合、これは暴力行為処罰法1条に違反します。
正式名称は「暴力行為等処罰ニ関スル法律」というもので、1条は銃や刃物を示して暴行や脅迫を行った場合に成立します。
罰条は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。

また、③については、刃物などの凶器を用いて人を怪我させた場合、暴力行為処罰法1条の2第1項に違反します。
罰条は「1年以上15年以下の懲役」です。

≪殺人罪の問題≫
更に、刃物を持ち出した目的が被害者を殺害するというものだった場合、殺人罪が問題となります。
殺人罪は、ご案内のとおり加害者が被害者を殺害する意図をもって行った行為の結果、被害者が死亡したという場合に問題となる罪です。
刑法199条に規定されていて、罰条は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と定められています。

また、加害者が被害者を殺害しようと実行行為に至ったものの被害者は怪我をした程度で済んだ(死亡しなかった)という場合について、殺人罪は結果犯といって「被害者の死亡」という結果が伴うことが要件となっているため殺人罪にあたりませんが、刑法203条で「第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。」と規定されているため、殺人未遂罪にあたります。
未遂罪については、刑法43条で「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」と定められています。

事例について検討したところ、Aさんは包丁を持ってきていますが、実際にそれを示したり、Vさんの身体に刺すなどの実行行為は行っていません。
このような場合、殺人罪や殺人未遂罪には該当しませんが、殺人の準備行為にあたるとして殺人予備罪が適用される恐れがあります。
刑法201条では、殺人予備罪について「第199条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。」と定められています。
Aさんは殺人予備罪と銃刀法違反で逮捕されてしまいましたが、殺人罪を犯す目的で刃物を持ち出したわけではなく、あくまで脅しを目的にしていたため、(逮捕時と起訴の罪名が異なることは少なからずありますが)殺人予備罪については成立しない可能性が高い事案でした。

【殺人予備事件での弁護活動】

刃物を持ち出してそれを示すことで嫌がらせを受けないようにする、という行為は殺人予備罪は成立しないまでも暴力行為処罰法1条や銃刀法に違反する行為であり、Vさんが恐怖や不安を感じたことは事実です。
そのため、依頼を受けた弊所の弁護士はすぐに被害者との示談交渉を行った結果、Vさんとは弁済の取り決めの無い宥恕条項(VさんがAさんの行為について刑事処罰を望まないという趣旨の約定)を設けた示談書の締結に応じて頂きました。
示談書締結後すぐに検察官に釈放を求める交渉を行ったところ、検察官はこれ以上の身柄拘束が必要ないと考え、Aさんを釈放しました。
最終的に、Aさんは銃刀法違反と殺人予備罪という罪名ではありましたが、刑事処罰を科さない「不起訴」というかたちで事件を終えることが出来ました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県横浜市瀬谷区にて、殺人予備罪や銃刀法違反などの罪で家族が逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所横浜支部の初回接見サービスを御利用ください。(有料)
弁護士が接見を行い、事件の内容や今後の見通しについて御説明します。

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