神奈川県横浜市神奈川区で逮捕(殺人罪と正当防衛)①
◇事例◇
神奈川県横浜市神奈川区在住のAさんは,夜中1時頃近所を散歩していたところ,後ろから見ず知らずのBさんに声を掛けられました。
Aさんは,夜中に知らない人に声を掛けられたことを奇妙に思い,無視をして歩き出しました。
それに対して,逆上したBさんは,持っていた包丁でAさんに襲い掛かりました。
Aさんはとっさに包丁を抑えつけ,もみ合いになりました。
そしてその途中で,Aさんは自己を守るためBさんの胸部に包丁を刺しました。
病院に搬送された後,Bさんは命をひきとりました。
その後,神奈川県横浜市神奈川区を管轄する神奈川警察署の警察官は殺人罪でAさんを逮捕しました。
(事実を基にしたフィクションです。)
◇殺人罪◇
~刑法 199条~
人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
殺人罪のいう「殺す」とは,他人の生命を断絶することです。
過失で人を死なせてしまった場合は,殺人罪ではなく「過失致死罪」にあたります。
殺害の方法には、撲殺,刺殺,絞殺などの物理的な方法だけでなく,精神的な傷害を与えて死亡させるなどの心理的な方法によるものまで,多岐にわたって認められます。
心理的な方法とは,強度の心臓疾患を抱えている人に,強い精神的ショックを与えて殺害するような場合のことも含みます。
殺人の手段も,殺意の有無を見分ける重要な手掛かりとなります。
例えば,包丁で刺したことで人を殺した場合,複数回にわたって刺していると殺意が認められやすいということです。
それは,複数回刺すという行為は一回刺す時よりも死ぬ危険が大きいことが自明であり,単に傷つけるだけのつもりだったとは考えづらいからです。
また,殺す意思があって実際に行動したものの,相手が死ななかった場合は「殺人未遂罪」が適用されます。
殺人未遂であっても,殺人しようとした罪は非常に重くとらえられており,殺人罪と変わらない刑罰が科されます。
ただし,未遂の場合は刑を減軽される可能性が高いです。
なお,実行に着手したが,自分の意思によって途中からやめたため所期の結果が発生しなかった場合は中止未遂といいます。
この場合は,必ず刑を減刑または免除されます。
▼余談ですが,殺人罪のいう「人」として認められるかどうかには様々な考え方あります。
つまり脳死している人を殺した者や,胎児を殺した者は殺人罪に問われるのかといった問題があります。
〇「人」がいつ始まるか
・体外において独立して生きていける可能性があると判断された段階
・胎児の体が母体から全て出た段階
・胎児の体が母体の外から見えた段階
・へその緒が切られた後、胎児が胎盤呼吸から肺呼吸へ移行した段階
以上のような考え方があり,その中で日本の刑法上では,『胎児の体が母体の外から見えた段階』から「人」として認められるという考え方が一般的です。
〇「人」がいつ終わるか
・自発呼吸が完全に停止した時に死亡とする説
・心臓の拍動が完全に停止した時に死亡とする説
・①【自発呼吸が完全に停止】②【心臓が完全に停止】③【瞳孔反射の消滅】の3つをもとに死亡と認定する説
・脳機能が完全に停止して元に戻らない状態を死亡とする説
以上のような考え方の中で,日本の刑法上では,『①【自発呼吸が完全に停止】②【心臓が完全に停止】③【瞳孔反射の消滅】の3つ』により「人」として終わりであるという考え方が一般的です。
◇今回の事例について◇
今回の場合,Aさんは襲ってきたBさんに対して,包丁を刺し,死にいたらしめています。
つまり,今回のAさんの行為は殺人罪の構成要件に該当します。
しかし,もとはと言えばBさんが襲ってきたことに始まる事件であることも事実です。
Aさんの行為は正当防衛には当たらないのでしょうか。
次回の『神奈川県横浜市神奈川区で逮捕②』の記事で解説したいと思います。
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