飲み会で潰れた友人を放置して死亡
飲み会で酒に酔って潰れてしまった友人を放置して帰ってしまった結果、その友人が死亡してしまったことで書類送検された場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市港南区在住のAは、横浜市港南区にある会社に勤める会社員です。
Aは幹事として横浜市港南区内の飲食店にて友人Vほか4名と飲酒と食事をしていたものの、飲み足りなかったために横浜市内に住む参加者の部屋で二次会を繰り広げました。
しかし終電がなくなりそうになったため、Aは家に帰ろうとしました。
その際、友人Vは酒の飲み過ぎにより酔い潰れてしまったため、なかなか動くことが出来ませんでした。
Aは駅に向かう途中まではVに肩を貸して歩いていたのですが、終電の時刻ギリギリになったため、Vを道端に放置して自分は終電の列車に乗って帰ってしまいました。
道端に置き去りにされたVは、路上で横になったまま嘔吐してしまい、その吐しゃ物をのどに詰まらせたことによる窒息状態により死亡しました。
翌朝、近隣住民がVの死に気付き、消防と警察に通報しました。
臨場した横浜市港南区を管轄する港南警察署の警察官は捜査を行った結果、Aらの行為が保護責任者遺棄致死の罪に当たる可能性があるとして、捜査を行いました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【保護責任者遺棄致死罪について】
ケースのAをはじめ、死亡したVと一緒に酒を飲んでいたメンバーは、例えばVに対して暴行などをしたわけでもなければ、酒を一気飲みさせるなどの危険な行為をしたわけではありません。
そのような場合でも、保護責任者遺棄致死罪が適用され、刑事処罰を受ける可能性があるのです。
保護責任者遺棄致死罪は、刑法218条で「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する」と規定されています。
保護責任者遺棄致死という罪は、例えば乳幼児にとっての保護者や、要介護者にとっての看護・介護者など、生命を保護する義務がある人がその義務を怠った結果、要保護者が亡くなった場合に適用されるのです。
条文に列挙されているうち、老年者とは高齢の方、幼年者とは乳幼児、身体障碍者は身体に障碍があって介護が必要な方など、イメージが湧きやすいかと思います。
一方で、病者については、怪我や病気で介助などが必要な場合を想像しがちです。
しかし、判例は、酒を飲んで泥酔している者を遺棄した結果死亡した場合にも、保護責任者遺棄致死罪を適用しています。
泥酔している者は、例えば寒空で放置をされて凍死したり、道端で寝転がって車やバイクに轢かれたり、レッドツェッペリンのドラマーであるジョン・ボーナムのように吐瀉物を誤嚥して窒息死したりという可能性があり、しっかりと介助しなければなりません。
もちろん、一緒に酒を飲んだ人全員に生命を保護する義務があるというわけではありません。
ケースのように、泥酔している者を送り届ける人や、泥酔している者を家に留めている場合、未成年者と一緒に酒を飲んでいた成人の者等であれば、生命を保護する義務があると評価されるでしょう。
【書類送検について弁護士に相談】
泥酔が原因で被害者が死亡した場合の保護責任者遺棄致死事件では、偶発的に起こった事故という側面もあるため、逮捕・勾留される可能性は高くありません。
しかし、書類送検という形で立件され、刑事事件化する可能性があります。
書類送検であっても、起訴されて裁判になったり、略式手続きにより罰金となり前科が付く場合があります。
神奈川県横浜市港南区にて、泥酔している者を放置したことにより保護責任者遺棄致死罪の嫌疑をかけられている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。