神奈川県相模原市中央区の危険ドラッグ事件
【ケース】
神奈川県相模原市中央区在住のAは、相模原市中央区内の学校に通う17歳です。
Aは、成人の先輩Xから勧められて「合法ハーブ」を使用したところ気持ちがよくなったため、合法ハーブを少量購入して、自宅に置いていました。
しかし、Aの両親はAの自宅から合法ハーブが出てきたため、「これは危険ドラッグではないか」と思い、Aを自首・出頭させようと思いました。
(フィクションです。)
【危険ドラッグについて】
法的な定義はありませんが、一般的に危険ドラッグとは、麻薬や覚せい剤といった既に規制されている成分(化学構造)を少々変えている薬物を指します。
危険ドラッグも麻薬や覚せい剤と同様精神に作用するものですが、その成分によっては、麻薬や覚せい剤より更に危険な作用を及ぼす場合も少なくありません。
また、危険ドラッグを濫用して自動車を運転したことで他者を巻き込む重大事件事故も発生していました。
このように、危険ドラッグは危険な薬物なのですが、化学構造を変化させることで規制の対象から外れるようにしていたことから、法整備が追い付かず、いたちごっこのような状態になっていました。
そこで、平成19年に危険ドラッグを指定薬物として規制することができるように薬事法(現在の薬機法)を改正し、平成25年以降からは危険ドラッグを包括して指定する(つまり、1種類1種類法や政令で定める必要がないように)法改正を行っています。
(危険ドラッグという名称が厚生労働省により選定されたのは、平成26年です。)
現在、危険ドラッグについては、麻薬取締法や覚せい剤取締法とは別に、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器法(薬機法)・旧薬事法)で「指定薬物」と定義され(医薬品医療機器法2条15項)、よって下記の規制がなされています。
・危険ドラッグの製造等の禁止(医薬品医療機器法76条の4、84条26号)
指定薬物(危険ドラッグ)を、診断や治療、予防等以外の目的で①製造②輸入③販売④授与⑤所持⑥購入⑦譲り受け⑧医療目的以外の使用、をすることを禁止しています。
これに反した場合、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科(懲役も罰金もどちらも科すという意味)する。」と定められています。
・業として危険ドラッグを製造等する行為の禁止(医薬品医療機器法83条の9)
業として(反復・継続して不特定多数の人に対して)指定薬物(危険ドラッグ)を①製造②輸入③販売④授与⑤所持した場合、「五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められています。
・危険ドラッグを輸出入する行為(関税法109条1項、同69条の11第1項1号の2)
指定薬物(危険ドラッグ)を輸入した場合、「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められています。
ケースの場合、Aは自分で使用する目的で危険ドラッグを所持し、使用していたことから、医薬品医療機器法76条の4に違反します。
【自首・出頭の前に弁護士へ相談】
自首とは、罪を犯した人が警察などの捜査機関の発覚前に捜査機関に出向くことを指します。
自首は、刑法42条1項で「…自首したときは、その刑を減軽することができる。」と定められています。
罪を犯した人が警察署に行くことで「自首」になるか、「出頭」になるかは、捜査担当の警察官に確認をしなければ分かりません。
いずれの場合であっても、自分から警察官に事件を申告するという行為は、その後の身柄拘束のリスクを下げる等のメリットがあります。
ただし、あくまでリスクを下げるというだけで、自首や出頭をした場合でも、薬物事案や重大事件の場合は捜査のために身柄拘束が必要と判断され、逮捕されるという場合がほとんどです。
しかし、逮捕された場合でも、身柄拘束の期間が短くなるなどの可能性はあります。
加えて、ケースのような少年事件の場合、最終的に家庭裁判所に送致されて審判が開かれることになりますが、保護者が「子どもが危険ドラッグを所持していることに気づいた」として自首・出頭した場合、裁判官の判断にプラスに働く可能性があります。
神奈川県相模原市中央区にて、お子さんが危険ドラッグを所持していたことに気が付き、自首・出頭を検討されている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。