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放火未遂事件で逮捕

2021-06-08

放火未遂事件で逮捕

放火未遂事件逮捕された場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県横浜市都築区にある神社において,自ら用意した衣服などに火をつけ,壁を燃やそうとしたとして,非現住建造物放火未遂罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは自ら用意した衣服に火をつけた段階で警備員に確保されたため,神社に火が放たれることはなかったといいます。
Aさんは,神奈川県都築警察署の警察官による放火未遂事件に関する取調べに対して,非現住建造物放火未遂罪の容疑を認めています。
(2021年5月26日にFNNプライムオンラインに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【非現住建造物放火未遂罪とは】

刑法109条1項
放火して,現に人が住居に使用せず,かつ,現に人がいない建造物…を焼損した者は,2年以上の有期懲役に処する。

刑法112条
…第109条第1項の罪の未遂は,罰する。

非現住建造物放火未遂罪とは,非現住建造物放火罪の実行に着手し(非現住建造物放火罪に予定された結果が発生する現実的な危険を含む行為を行い),非現住建造物放火罪の成立要件の一部を満たしたものの,結局,非現住建造物放火罪の結果が発生しなかったため,非現住建造物放火罪が未完成に終わった段階を犯罪の一つと規定したものをいいます。

まず,非現住建造物放火未遂罪の目的物(の一つ)は「現に人が住居にしようせず,かつ,現に人がいない建造物」です。
この非現住建造物放火未遂罪の「現に人が住居にしようせず,かつ,現に人がいない建造物」であるというためには,建造物を物理的・機能的に見て,人の住居や現に人がいる部分に延焼する可能性がないといえる必要があります。
これは,建造物を物理的・機能的に見て,人の住居や現に人がいる部分に延焼する可能性がある場合には,人の生命・身体に危険が生じる可能性が高いとして,現住建造物放火未遂罪が成立するからです。

刑事事件例では,神社を物理的・機能的に見たときに,人の住居や現に人がいる部分に延焼する可能性がないとして,非現住建造物放火未遂罪の目的物にあたると考えられたのでしょう。

次に,非現住建造物放火未遂罪は,上述のように,非現住建造物放火罪の実行に着手し(非現住建造物放火罪に予定された結果が発生する現実的な危険を含む行為を行っ)た場合に成立します。
具体的には,目的物への直接の点火,又は媒介物(例えば新聞紙)への点火があれば,非現住建造物放火罪の実行の着手(非現住建造物放火罪に予定された結果が発生する現実的な危険を含む行為を行うこと)があったと考えられます。
この場合,非現住建造物放火未遂罪の「放火して」という要件を満たすことになります。

刑事事件例では,Aさんは,神社に放火するために,自ら用意した衣服などに火をつけており,ここに非現住建造物放火未遂罪の「放火して」という成立要件を満たす行為があったと考えられます。

そして,非現住建造物放火未遂罪は,上述のように,結局,非現住建造物放火罪の結果が発生しなかったため,非現住建造物放火罪が未完成に終わった場合に成立します。
具体的には,火が媒介物を離れ,目的物が独立して燃焼を継続するに達しなかった場合,非現住建造物放火罪の「焼損」という結果が発生しなかったと考えられます。
この場合,非現住物建造物放火罪が未完成に終わったといえ,非現住建造物放火未遂罪が成立することになります。

刑事事件例では,Aさんは,結局神社に火をつけることができずに終わっているため,火が媒介物を離れ,目的物が独立して燃焼を継続するに達しなかった,すなわち現住建造物放火罪の「焼損」という結果が発生しなかったといえると考えられます。

以上より,Aさんには非現住建造物放火未遂罪が成立すると考えられます。

【放火未遂事件の刑事弁護活動とは】

刑事事件例のように,非現住建造物放火未遂事件を起こしてしまった場合の刑事弁護活動について解説します。

非現住建造物放火未遂事件を含む放火事件は,公共の危険を生じさせる重大犯罪の一つと考えられます。
そのため,非現住建造物放火未遂罪で起訴されると実刑判決を受けてしまう恐れもあります。
そこで,刑事事件に強い刑事弁護士を選任することで,不起訴処分や執行猶予付き判決を得られるようにしていく必要があります。

刑事弁護士を選任することで行い得る刑事弁護活動の一つとしては,非現住建造物放火未遂事件の被害者の方と示談をすることが挙げられます。
非現住建造物放火未遂事件の被害者の方は,重要な建造物が焼損してしまう危険のある行為をした被疑者の方に対して,強い処罰感情を抱いている可能性があります。
刑事事件例においても,先代から引き継ぎ,守ってきた歴史と伝統のある神社を燃やそうとした非現住建造物放火未遂事件の被疑者の方に対して,強い敵対心や猜疑心を持っているとも考えられます。
そこで,第三者的立場を有する刑事弁護士に間に入ってもらい,円滑に示談交渉を進めることが大切です。。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
放火未遂事件逮捕された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

公務員の収賄事件(加重収賄事件)

2021-06-04

公務員の収賄事件(加重収賄事件)

公務員の収賄事件加重収賄事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

横浜市職員であるAさん(50歳)は,担当する横浜市発注工事の入札業務において,受注会社側から横浜市発注工事の入札予定価格を漏らすよう依頼を受け,その見返りとしてビール券を受け取った上,上記横浜市発注工事の入札予定価格を漏らしたとして,収賄罪加重収賄罪)の容疑で逮捕されました。
(2021年5月17日に共同通信に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【加重収賄罪とは】

刑法197条の3第1項前段
公務員が前2条の罪を犯し,よって不正な行為をし,又は相当な行為をしなかったときには,1年以上の有期懲役に処する。

刑法197条第1項
公務員が,その職務に関し,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をしたときは,5年以下の懲役に処する。
この場合において,請託を受けたときは,7年以下の懲役に処する。

加重収賄罪は,賄賂の対価として不正な職務行為が行われた場合において,刑罰を加重して処罰するために定められた犯罪です。
刑事事件例のように,「公務員が,その職務に関し,賄賂を収受し…た」「場合において,請託を受け」,「よって不正な行為をし,又は相当な行為をしなかった」とき,その公務員には加重収賄罪(収賄後枉法罪,刑法197条の3第1項前段)が成立します。

以下では,加重収賄罪が成立するための要件の意義について解説します。
まず,加重収賄罪の「賄賂」とは,公務員の職務行為に対する対価をしての不正な報酬をいいます。
この加重収賄罪の「賄賂」には,金銭,物品,情交など,人の需要または欲望を満たすに足りる一切の利益が含まれます。

ここで,過去の判例(大審院判決昭和11年5月14日)では,たとえ社交儀礼としての贈与であっても,公務員の職務と賄賂に対価の関係性があれば,その金額の多寡を問わず,加重収賄罪の「賄賂」に当たると判示されました。

次に,この加重収賄罪の「賄賂を収受」する行為とは,供与された賄賂を自己にものとする意思で取得することをいいます。
そして,加重収賄罪が成立するためには,上記「賄賂を収受」する行為が,「その職務に関し」て行われること,すなわち,公務員の職務と賄賂に対価の関係性があることが必要です。

また,加重収賄罪の「請託を受け」る行為とは,公務員が一定の職務行為を行うことの依頼を受けることをいいます。
最後に,加重収賄罪の「不正な行為をし,又は相当な行為をしなかったとき」とは,公務員の職務に違反する積極的・消極的行為をなすことをいいます。

【刑事事件例と加重収賄罪】

刑事事件例では,公務員であるAさんは,受注会社側から横浜市発注工事の入札予定価格を漏らすよう依頼を受け,その見返りとしてビール券を受け取った上,横浜市発注工事の入札予定価格を漏らしています。

Aさんがビール券を受け取る行為は,人の需要または欲望を満たすに足りる一切の利益を自己にものとする意思で取得したとして,加重収賄の「賄賂」を「収受」する行為に当たると考えられます。
また,受注会社側からの依頼は,公務員が一定の職務行為を行うことの依頼であり,加重収賄罪の「請託を受け」る行為があったと考えられます。
そして,Aさんは横浜市発注工事の入札予定価格をリークしており,この行為は加重収賄罪の「不正な行為」に当たると考えられます。

以上から,Aさんには加重収賄罪が成立すると考えられます。

【加重収賄罪と刑事弁護活動】

加重収賄罪を犯した者には「1年以上の有期懲役」が科せられますが,この有期懲役の長期は20年です(刑法12条)。
加重収賄罪を犯してしまった場合,適切な刑事弁護活動を受けなければ,このような重い刑罰が科されてしまう可能性が考えられます。
そこで,刑事事件に強い刑事弁護士を付け,適切な刑事裁判対応を受けることで,加重収賄罪の被疑者・被告人の方に有利な事情を主張し,寛大な処分・判決を獲得できるようにすることが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
公務員の収賄事件加重収賄事件)でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

無言電話の傷害事件

2021-06-01

無言電話の傷害事件

無言電話の傷害事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,職場の上司であるVさん(神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住)の態度に不満を持っていました。
そこで,Aさんは,Vさんに嫌がらせをしてやろうと考え,約3か月にわたり合計約1000回,非通知で無言電話を掛け続けました。
Vさんは繰り返される無言電話を受けて,約1か月の治療が必要な抑うつ状態になってしまい,神奈川県保土ヶ谷警察署に被害を訴えました。
その結果,Aさんは神奈川県保土ヶ谷警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(2021年5月21日に読売新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【無言電話は犯罪になるのか】

刑事事件例では,AさんはVさんに対して約3か月にわたり合計約1000回,非通知で無言電話を掛け続け,その結果,Vさんを約1か月の治療が必要な抑うつ状態にしています。
このAさんの行為(無言電話)はどのような犯罪になるのでしょうか。
また,その犯罪ではどのような刑罰が科されてしまうのでしょうか。

刑法204条
人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

人(被害者の方)の身体を「傷害」した者には,傷害罪が成立します。
傷害罪では,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。

この傷害罪の成立要件である「傷害」とは,人(被害者の方)の生理機能の障害,すなわち健康状態を害することをいうと考えられています。
そうすると,刑事事件例の無言電話を執拗に掛け続け,被害者の方に何等かの精神疾患を負わせた場合,その行為者には傷害罪が成立することになります。

このような暴行(人の身体に対する物理力の行使のことを指します。)によらない傷害(傷害罪)も成立する可能性があるのです。

【無言電話の傷害事件の刑事弁護活動】

刑事事件例のように無言電話の傷害事件を起こしてしまった場合,すみやかに刑事弁護士を選任し,刑事弁護を受けることが大切です。
無言電話の傷害事件では,刑事弁護士による示談交渉を受けることが有効であると考えられます。
というのは,無言電話の傷害事件は被害者の方が存在する刑事事件であり,示談を通して被害者の方に正式な謝罪や損害賠償を行うことができれば,無言電話の傷害事件によって生じた被害を回復させ,被害者の方の処罰感情を緩和させる効果が期待できるからです。

また,刑事事件例では,Aさんは,職場の上司であるVさんの態度に不満を持っていました。
このような事情から,AさんとVさんの中は不仲,少なくとも良好ではない関係にあったと考えられますので,Aさんが直接Vさんと連絡を取ることはかえってVさんの感情を逆撫でてしまう恐れもあります。
このような場合,第三者的立場にある刑事弁護士傷害事件の被疑者の方と被害者の方の間に入れて示談交渉をすることで,感情的にならずに話がスムーズに進み,話合いが円滑にまとまる効果が期待できます。

そして,刑事弁護士は様々な刑事事件を通して,示談交渉のスキル・ノウハウを有しているため,傷害事件の被疑者の方が安心して示談交渉を任せることができると考えられます。
弊所で受任した過去の刑事事件においても,刑事事件発覚当初こそ被害者の方の処罰感情が大きかったものの,刑事弁護士による示談交渉を通して,刑事事件の被害者の方に被疑者の方が有していた事情を汲み取ってもらったり,一定の理解を示してもらったりすることで,円満な示談締結ができたというケースがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
無言電話の傷害事件刑事事件に強い刑事弁護士をお探しの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

女子高校生への神奈川県青少年保護育成条例違反事件

2021-05-28

女子高校生への神奈川県青少年保護育成条例違反事件

女子高校生への神奈川県青少年保護育成条例違反事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

大学4年生のAさんは,当時高校2年生で17歳であった女子高校生(Vさん)に対して,ホテルでみだらな行為をした疑いで,神奈川県青少年保護育成条例違反の容疑で逮捕されました。
AさんとVさんは,スマートフォンのマッチングアプリで知り合い,二人の間に金銭の授受はありませんでしたが,真剣な交際関係はありませんでした。
(刑事事件例はフィクションです。)

【神奈川県青少年保護育成条例とは】

神奈川県青少年保護育成条例は,「…青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止することにより、青少年の健全な育成を図ること」等を目的として制定された条例です(神奈川県青少年保護育成条例1条)。

神奈川県青少年保護育成条例のいう「青少年」の定義については,神奈川県青少年保護育成条例7条に規定されています。
具体的には,神奈川県青少年保護育成条例のいう「青少年」とは,「満18歳に達するまでの者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を除く。)」をいうと規定されています。

【神奈川県青少年保護育成条例違反とは】

神奈川県青少年保護育成条例31条
1項 何人も,青少年に対し,みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2項 何人も,青少年に対し,前項の行為を教え,又は見せてはならない。
3項 第1項に規定する「みだらな性行為」とは,健全な常識を有する一般社会人からみて,結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい,同項に規定する「わいせつな行為」とは,いたずらに性欲を刺激し,又は興奮させ,かつ,健全な常識を有する一般社会人に対し,性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。

神奈川県青少年保護育成条例では,青少年に対するみだらな性行為やわいせつな行為,上記行為を教えたり見せたりする行為を禁止しています。
この神奈川県青少年保護育成条例31条の規定に違反した場合,その者には「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられることになります(神奈川県青少年保護育成条例53条1項)。

ここで,神奈川県青少年保護育成条例53条7項では,「当該青少年の年齢を知らないことを理由として,…処罰を免れることができない。ただし,当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは,この限りでない。」と規定されています。

この神奈川県青少年保護育成条例53条7項の規定により,たとえ被疑者の方が,被害者の方の年齢が18歳未満であることを知らなかったとしても,年齢を知らないことにつき過失があると判断された場合には,被疑者の方には神奈川県青少年保護育成条例違反の罪が成立する可能性が生じることになります。
例えば,被害者の方に年齢を確認したとしても,被害者の方が年齢を口頭で偽ったのみで,被疑者の方が被害者の言葉をそのまま信じたにすぎないという場合には,年齢を知らないことにつき過失があるとして,被疑者の方には神奈川県青少年保護育成条例違反の罪が成立する可能性があるのです。

刑事事件例のように神奈川県青少年保護育成条例違反事件の被疑者の方が大学4年生の方である場合,大学卒業や就職を控えており,神奈川県青少年保護育成条例違反の容疑での逮捕・勾留による長期の身体拘束により,今後の社会生活に大きな影響を及ぼしかねません。
このような神奈川県迷惑行為防止条例違反事では,刑事弁護士は,身柄解放活動示談交渉を通して,神奈川県迷惑行為防止条例違反事被疑者の方の社会復帰や更生に尽力していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
女子高校生への神奈川県青少年保護育成条例違反事件でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

車の窃盗事件(少年事件)

2021-05-25

車の窃盗事件(少年事件)

車の窃盗事件少年事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(18歳,専門学生)は,神奈川県横浜市戸塚区の高級住宅街にある会社役員のVさんの住宅から,1000万円相当の高級車1台を盗みました。
その後,神奈川県戸塚警察署の警察官による捜査の結果,Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは,盗んだ車は既に転売していましたが,Vさんの自宅に設置していた防犯カメラの映像からAさんによる窃盗事件の犯行が発覚したといいます。
(2021年5月19日に東海テレビニュースに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【窃盗罪について】

刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑事事件例では,Aさんは,Vさんの車を盗んでおり,このAさんの行為は「他人の財物を窃取した」として窃盗罪に当たります。

【少年事件について】

少年法1条(この法律の目的)
この法律は,少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。

少年法2条(少年,人,保護者)
この法律で「少年」とは,20歳に満たない者をいい,「成人」とは,満20歳以上の者をいう。

少年事件とは,20歳に満たない者(少年・少女)を捜査・処分の対象とする事件のことをいいます。
少年事件には,「少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的」として,少年法という特別法が適用されます。
少年は,成人と比べて精神的に未熟であり,自分を取り巻く環境に影響を受けやすく,外部からの教育的働きかけにより短期間で更生し得るといえるため,成人とは異なり,教育的手段を施すことができる少年法が適用されるのです。

具体的には,少年事件については,全ての事件を家庭裁判所に送致すること(少年法41条),少年事件が家庭裁判所に移された後には,観護措置という身体拘束がなされる可能性があること(少年法17条),少年審判で付される処分は刑罰ではなく,保護処分であることなどが大きな特徴であるといえます。

【窃盗事件の少年付添人活動について】

少年法10条(付添人)
少年及び保護者は,家庭裁判所の許可を受けて,付添人を選任することができる。ただし,弁護士を付添人に選任するには,家庭裁判所の許可を要しない。

少年事件における少年付添人は,徹底して少年の立場に立ち,少年の意見や考えを裁判官や家庭裁判所調査官などへ代弁する援助者としての役割を果たします。
少年事件において刑事弁護士が,弁護人や付添人として,少年と話をし,面接を繰り返すことで,少年自身の内省を促したり,少年を取り巻く環境の調整を行ったりすることは少年の更生や立ち直りにとって大きな力となる可能性があります。

そして,少年事件においては,少年事件に関する専門的知識や経験を有する少年付添人を選任することはもちろん,その少年付添人が真摯に少年と向き合い,信頼関係を構築することができるかということが非常に重要なポイントとなるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件少年事件に強い刑事弁護士・少年付添人による初回接見サービス初回無料法律相談を行っています。
車の窃盗事件少年事件)でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

置き引き事件(窃盗事件)

2021-05-21

置き引き事件(窃盗事件)

置き引き事件窃盗事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県横浜市南区のパチンコ店において,他の客(Vさん)が置き忘れた財布を無断で持ち去り,現金1万円を無断で抜き取りました。
そして,Aさんは,財布から現金を抜き取った後,素知らぬ顔で財布だけを「落とし物」と言ってパチンコ店の店員に届け出ました。
その後,店に財布を取りに戻ったVさんが財布の中のお金がないことに気付き,Aさんによる置き引き事件窃盗事件)が発覚しました。
その結果,Aさんは神奈川県南警察署の警察官により窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(2021年5月17日にHBC北海道ニュースに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【置き引きは何罪になるのか】

一般に,置き引き(置いてあった他人の財物を無断で持ち去る行為のことをいいます。)が何等かの犯罪になるという認識は浸透していると思います。
それでは,置き引きは具体的にいかなる犯罪に当たるのでしょうか。
この点,置き引きは実際の刑事事件例の状況によって,窃盗罪(刑法235条)か占有離脱物横領罪(刑法254条)に該当する可能性があります。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗罪の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は,「他人の財物」を窃取した場合に成立する犯罪です。
この窃盗罪の「他人の財物」とは,他人が占有する財物を意味します。
そして,この窃盗罪における占有とは,財物に対する事実上の支配のことをいいます。

刑法254条(占有離脱物横領罪)
遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

占有離脱物横領罪は,「占有を離れた他人の物」を横領した場合に成立する犯罪です。
この占有離脱物横領罪の「占有を離れた他人の物」とは,占有者の意思に基づかずにその占有を離れた物で,誰の占有にも属していないもの又は委託関係に基づかないで偶然行為者の占有に帰属したものをいいます。

以上,窃盗罪占有離脱物横領罪の成立要件を見てきましたが,結局のところ,窃盗罪占有離脱物横領罪の違いは,他人(被害者の方)の財物に対する占有(事実的支配)があったか否かという点にあることが分かります。
そうすると,軽い気持ちで置き引きをしてしまった場合であっても,その他人(被害者の方)の財物に占有(事実的支配)があると認められた場合,刑の軽い占有離脱物横領罪ではなく,刑の重い窃盗罪が成立してしまう可能性があるのです。

【置き引き事件(窃盗事件)を起こしたら】

もし置き引き事件窃盗事件)を起こしてしまい,窃盗罪の容疑で逮捕されてしまった場合,すみやかの刑事弁護士を選任して,寛大な処分・判決を得られるように,しっかりとした刑事弁護を受けることが大切です。
刑事弁護士を選任した場合,刑事弁護士により,示談交渉や置き引き事件窃盗事件)を担当する検察官・裁判官に対する働きかけを行ってもらうことができます。
実際に,弊所でも置き引き事件窃盗事件)の被害者の方と示談をし,不起訴処分を含む寛大な処分・判決を獲得したケースがあり,刑事弁護士の選任と刑事弁護活動はとても重要であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
置き引き事件窃盗事件)を含む刑事事件少年事件を専門とする刑事弁護士が,初回接見サービス初回無料相談等の刑事弁護活動を行っています。
置き引き事件窃盗事件)でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

SNSでのわいせつ誘拐事件

2021-05-18

SNSでのわいせつ誘拐事件

SNSでのわいせつ誘拐事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(成人)は,会員制交流サイト(SNS)で知り合った神奈川県横浜市栄区に住む10代の女子高校生(Vさん)を「一緒にいよう」などと誘い出し,神奈川県鎌倉市の自宅に滞在させました。
その後,Vさんの母親から「娘が家を出たきり,家に帰って来ない」と神奈川県栄警察署に届け出があり,神奈川県栄警察署の警察官がVさんの捜索に当たりました。
その結果,Aさんの自宅から出てくる二人が見つかり,Aさんは,神奈川県栄警察署の警察官により,わいせつ誘拐罪の容疑で逮捕されました。
(2020年3月26日に埼玉新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【わいせつ誘拐罪とは】

刑法225条(わいせつ誘拐罪)
…わいせつ…の目的で,人を…誘拐した者は,1年以上10年以下の懲役に処する。

わいせつ誘拐罪は,刑法225条に規定されている犯罪です。

わいせつ誘拐罪の「わいせつの目的」とは,姦淫その他被害者の方の性的自由を侵害する目的をいいます。
例えば,性交渉やわいせつな行為をする目的があった場合,わいせつ誘拐罪の「わいせつの目的」があったといえることになります。

また,わいせつ誘拐罪の「誘拐」とは,欺罔または誘惑を手段として,被害者の方の現在の生活状態から離脱させ,被疑者の方の実力的支配下に移して行動の自由を奪うことをいいます。
例えば,被害者の方に虚偽の事実を告知したり,甘言を用いて被害者の方の判断を誤らせたりして,被害者の方を連れ出したという場合,わいせつ誘拐罪の「誘拐」があったといえることになります。

以上,わいせつ誘拐罪の成立要件を満たす場合,Aさんにはわいせつ誘拐罪が成立し,1年以上10年以下の懲役が科せられることになります。

【SNSでのわいせつ誘拐事件の対応】

SNSでのわいせつ誘拐事件での刑事弁護対応の代表的なものとしては,示談対応身柄解放活動裁判対応などが挙げられます。

示談対応では,わいせつ誘拐事件の被害者の方に対して,正式な謝罪や金銭的賠償(被害弁償)を行います。
もちろん示談に応じてもらえるか否かはわいせつ誘拐事件の被害者の方の意思によって決まることになりますが,刑事弁護士が第三者的立場としてかかわることで,示談が円滑に行えるようにします。

身柄解放活動では,わいせつ誘拐事件逮捕・勾留されている被疑者・被告人の方が速やかに釈放されるよう,検察官や裁判官に対して,書面や面談にて逮捕・勾留が続くことで生じる不都合を訴えたり,身元引受人を立て今後の監視監督体制が整えられていることを伝えたりします。

裁判対応では,わいせつ誘拐事件の被告人の方やご家族の方に法廷に立ってもらい,今後どのように更生して(させて)いくのか,監督方法はどうするのかなど,わいせつ誘拐事件の被告人の方の情状になる被告人質問・証人尋問への受け答えをできるようにしていきます。
このとき,多くの場合は,わいせつ誘拐事件の被告人の方やご家族の方にとっては法廷に立つということ自体が初めての経験となるため,裁判期日に適切に受け答えができるように,刑事弁護士がサポートしていきます。

そもそも,わいせつ誘拐事件を含む刑事事件の被疑者・被告人の方やそのご家族の方にとっては,刑事事件に関わることが初めてという場合がほとんどです。
そのため,以上のような示談対応,身柄解放活動,裁判対応を任せる刑事弁護士を選任するときには,その刑事弁護士と信頼関係を築くことができるか,安心してわいせつ誘拐事件の対応を任せることができるのかということが重要になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
SNSでのわいせつ誘拐事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

デリヘル女性への性的暴行事件

2021-05-14

デリヘル女性への性的暴行事件

デリヘル女性への性的暴行事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(60歳)は,神奈川県横浜市栄区の自宅において,デリバリーヘルスの20代女性(Vさん)の両腕を押さえ付ける等して性的暴行(性交等)を加え,左腕などに約10日間の怪我を負わせました。
その結果,Aさんは,神奈川県栄警察署の警察官により,強制性交等致傷罪の容疑で逮捕されました。
AさんとVさんは初対面で,Vさんの送迎を務める男性から神奈川県栄警察署に通報があったといいます。
(2020年7月28日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【強制性交等致傷罪とは】

刑法177条(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下,「性交等」という。)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする

刑法181条2項(強制性交等致傷罪)
第177条,第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し,よって人を死傷させた者は,無期又は6年以上の懲役に処する。

強制性交等罪は,13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交等をした者に成立します。
そして,強制性交等致傷罪は,上記の強制性交等罪を犯した者が,よって人を傷害させた者に成立します。
強制性交等致傷罪の成立要件である「よって人を傷害させた」というためには,性交等行為と傷害との間に相当な因果関係があればよいとされています。

刑事事件例でも,以上の強制性交等致傷罪の成立要件を満たした場合には,Aさんには強制性交等致傷罪が成立することになります。

【デリヘル女性への性的暴行事件の対応】

刑事事件例では,Aさんはデリヘルとして自宅に来ていたVさんに対する性的暴行事件強制性交等致傷事件)で逮捕されています。
このような性的暴行事件強制性交等致傷事件)で寛大な処分・判決を得るためには,被害者の方と示談をすることがとても大切になってきます。

刑事事件例のようなデリヘル女性への性的暴行事件強制性交等致傷事件)では,刑事弁護士が被害者の方が働いていた店舗や検察官を通して,被害者の方に連絡先を教えてもらえないかと聞いたりすることで,示談交渉の糸口を探します。

刑事事件例のようなデリヘル女性への性的暴行事件強制性交等致傷事件)では,被害者の方自身,性的暴行事件強制性交等致傷事件)の被害を受けたことで精神的負担を負っていたり,処罰感情が大きかったりすることが十分考えられます。
そこで,示談交渉に関する知識や経験が豊富な刑事弁護士が,被害者の方の感情や意思を損なうことなく,円滑に示談を進めていくことが非常に重要となります。

被害者の方との示談交渉と時を同じくして,刑事弁護士は,デリヘル女性への性的暴行事件強制性交等致傷事件)の被疑者・被告人の方の身体拘束の解放を目指します。
刑事事件例の性的暴行事件強制性交等致傷事件)のような重大犯罪事件では,被疑者の方が起訴された後のタイミングで行われる保釈がポイントとなると考えられます。
刑事弁護士は,起訴された後や第1回公判期日(裁判期日)が終了した後の時期などを参考に,裁判官・裁判所に対して保釈の請求をします。
保釈請求では,被告人の方のご家族の方のご協力を得た上で,身上関係が安定していることや,具体的に想定される罪証隠滅の余地,被告人の方が罪証隠滅に及ぶ主観的な意図,裁判に及ぼす悪影響などがない,著しく小さいこと等を主張していきます。

デリヘル女性への性的暴行事件(強制性交等致傷事件)は,重大犯罪であることを踏まえ,しっかりとした刑事弁護対応(示談対応身柄解放対応裁判対応)を取れるよう,刑事事件に強い刑事弁護士を付けることをお薦めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
デリヘル女性への性的暴行事件でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

トイレの盗撮事件が発覚

2021-05-11

トイレの盗撮事件が発覚

トイレの盗撮事件が発覚してしまった場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県横浜市金沢区のショッピングセンターの女子トイレに侵入し,使用されている女子トイレの上部から個室内を撮影しました。
個室内にいたVさんが悲鳴を上げたことから,Aさんによるトイレの盗撮事件が発覚し,Aさんは神奈川県金沢警察署へ連行され,トイレの盗撮事件に関する取調べを受けました。
(2020年7月28日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【トイレの盗撮事件は何罪になるか】

刑事事件例の被疑者の方は,トイレの盗撮事件を起こしています。
通常,トイレの盗撮事件の被疑者の方も,何等かの法律に違反する,触れる行為を行っている認識がありますが,具体的にはトイレの盗撮事件は何罪(どのような犯罪)になるのでしょうか。

この点,刑事事件例のようなトイレの盗撮事件であれば,①神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪や,②建造物侵入罪が成立する可能性があります。
以下では,神奈川県迷惑行為防止条例違の罪と,建造物侵入罪について解説します。

【神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪になりうる】

神奈川県迷惑行為防止条例3条2項(卑わい行為の禁止)
何人も,人を著しく羞恥させ,若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見,又は,正当な理由がないのに,衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見,若しくはその映像を記録する目的で,写真機等を設置し,若しくは人に向けてはならない。

神奈川県迷惑行為防止条例3条2項では,人が通常衣類等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所(具体例としてトイレが挙げられます。)にいる人の姿態の映像を記録する目的で,写真機等を向けることを神奈川県迷惑行為防止条例違の罪として禁止しています。

刑事事件例のようなトイレの盗撮事件でも,トイレの盗撮を行った者には,神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性があります。

【建造物侵入罪になりうる】

刑法130条
正当な理由がないのに,…人の看守する…建造物…に侵入し…た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法130条では,正当な理由がないのに,人の看守する建造物に侵入することを建造物侵入罪として禁止しています。

刑事事件例のようなトイレの盗撮事件でも,トイレの盗撮を行うために建造物に無断で立ち入った者には,建造物侵入罪が成立する可能性があります。

【トイレの盗撮事件で逮捕されたら】

トイレの盗撮事件で逮捕された場合,刑事弁護士を付けて,早急にトイレの盗撮事件の被害者の方との示談交渉を開始することが大切です。
これは,トイレの盗撮事件を捜査し,起訴にするか不起訴にするのか,起訴するにしても正式起訴するのか略式起訴にするのかといった処分権限を持つ検察官が,トイレの盗撮事件の被害者の方との示談が締結できているかということを重要視するためです。

しかし,トイレの盗撮事件の被害者の方は,通常はその羞恥心を害されたことや精神的に損害を被ったとの認識から,処罰感情が強かったり,被疑者の方との直接の連絡を拒んだりする可能性があります。
そこで,トイレの盗撮事件を含む刑事事件に強い刑事弁護士を付けて,トイレの盗撮事件の被害者の方の処罰感情をくみ取りつつ,円滑に示談交渉を進められるようにするのが良いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
トイレの盗撮事件が発覚してしまった場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

殺人未遂事件で逮捕された

2021-05-07

殺人未遂事件で逮捕された

殺人未遂事件逮捕された場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

神奈川県横浜市中区に住むAさんは,友人であるVさんと,お互いの態度や話し方などを理由として不仲の関係にありました。
AさんはVさんの自宅を訪れ,Vさんに向けて車を発進させてぶつけ,さらに車を降りて殴る蹴る等の暴行を加え,その場から立ち去りました。
Vさんは打撲傷等の軽い怪我を負いましたが,命に別状はありませんでした。
Vさんは神奈川県山手警察署に殺人未遂事件の被害を申告し,Aさんは神奈川県山手警察署の警察官により殺人未遂罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは殺人未遂事件で執行猶予になる可能性はないのかと考えています。
(2021年4月26日に関西テレビNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【殺人未遂罪とは】

刑法199条
人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法203条
第199条及び前条の罪の未遂は,罰する。

殺人未遂罪とは,殺人罪の実行に着手したものの,殺人罪の結果が生じなかったために,殺人罪が未完成に終わった場合に成立する犯罪です。
例えば,殺意をもって,刃物で被害者の方を刺したものの,被害者の方が死亡しなかった場合,行為者の方には殺人未遂罪が成立します。

刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。

殺人未遂罪を犯した者には,殺人罪の刑を減軽した刑を科すことができます。
殺人未遂事件において,殺人罪の刑を減軽するかどうかは裁判所の自由です。

【殺人未遂罪の刑罰】

刑法68条
法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは,次の例による。
①死刑を減軽するときは,無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮とする。
②無期の懲役又は禁錮を減軽するときは,7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
③有期の懲役又は禁錮を減軽するときは,その長期及び短期の2分の1を減ずる。

殺人未遂事件において,殺人罪の刑を減軽する場合には,刑法63条に定めによって減軽を行います。
例えば,殺人未遂事件において,有期懲役刑を選択した上で刑を減軽する場合には,「その長期及び短期の2分の1を減ずる」ことから,2年6月以上10年以下の懲役刑が科せられることになります。
これは,有期懲役刑の長期は20年だからです(刑法12条)。

ここで,執行猶予は3年以下の懲役を科す場合に付けることができます(刑法25条1項)。
そうすると,殺人未遂罪の場合にも,刑が減軽されることにより,執行猶予が付く可能性があることになります。

【執行猶予とは】

刑法第25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その執行を猶予することができる。
①前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
②前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

殺人未遂事件執行猶予を獲得するためには,執行猶予を相当とするに足りる情状が存在することが必要です。
そのためには,刑事弁護士へ刑事弁護活動を依頼し,殺人未遂事件を起こしてしまった経緯や原因,自らが真摯に反省し,被害者の方に対する謝罪の意を示していること,被害弁償の意思があることなどを裁判所に伝える必要があります。
殺人未遂事件で執行猶予を得ることは一般に容易ではありませんが,まずは刑事弁護士に相談してみることをお薦めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
殺人未遂事件逮捕された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

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