事後強盗罪の共犯事件

事後強盗罪の共犯事件

事後強盗罪共犯事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県鎌倉市の公園において,友人であるBさんを見つけました。
Bさんは,息を切らしており,手には高級ブランドバッグを持っていました。
すると,公園内にVさんが走りこんできて,Bさんに向かって,「この泥棒。バッグを返せ。現行犯逮捕してやる。」と言いました。
一切の事情を把握したAさんは,Bさんと意思を通じて,Bさんを逃がすために,共にVさんに暴行を加えて,その反抗を抑圧しました。
事後強盗事件に被害を受けたVさんは,神奈川県鎌倉警察署の警察官に事後強盗事件の被害を訴え,Aさんは事後強盗罪共犯(共同正犯)として,逮捕されました。
(フィクションです。)

【事後強盗罪とは】

刑法238条
窃盗が,財物を得てこれを取り返させることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪証を隠滅するために,暴行又は脅迫したときは,強盗として論じる。

事後強盗罪は,刑法238条に規定された財産犯です。
事後強盗罪を犯した者は,「強盗として論じ」られ,刑法236条1項の強盗罪に規定された「5年以上の有期懲役」に科せられます。

Bさんは窃盗犯人であり,逮捕を逃れる目的で,Vさんに対して事後強盗罪の「暴行」を行っているため,Bさんには事後強盗罪が成立すると考えられる一方,Aさんは,Bさんと共に,Vさんへの暴行という事後強盗罪の「暴行」を行っていますが,Aさんは暴行に加担したのみで,窃盗とは無関係です。
この場合でも,Aさんには事後強盗罪共犯(共同正犯,60条)が成立するのでしょうか。

刑法65条1項
犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは,身分のない者であっても,共犯とする。

事後強盗罪の性質は,窃盗という身分(性質,地位,状態)のある者しか犯すことにできない犯罪(身分犯といいます。)と考えることができます。
とすると,Aさんは,事後強盗罪という「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功した」といえることになります。
この場合,Aさんが「身分のない者であっても,共犯」(共同正犯)として扱われます。
そのため,Aさんには,事後強盗罪共犯(共同正犯)が成立することになります。

【事後強盗罪の共犯事件について】

刑事事件例のAさんのように,Aさんは,Bさんと共に,Vさんへの暴行という事後強盗罪の「暴行」を行っていますが,Aさんは暴行に加担したのみで,窃盗とは無関係という場合であっても,事後強盗罪共犯(共同正犯)が成立する可能性があります。

刑法60条
2人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする。

事後強盗罪共犯(共同正犯)が成立する場合には,その者には「正犯」として,事後強盗罪の刑罰である「5年以上の有期懲役」に科せられます。
そのため,たとえ犯罪(事後強盗)の一部にしか関与していないという場合であっても,自分には犯罪(事後強盗罪)が成立しないのだと安易に考えず,刑事事件に詳しい刑事弁護士に相談し,適切な刑事弁護活動を受けることをお薦めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
事後強盗罪の共犯事件でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

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