Archive for the ‘財産事件’ Category

特殊詐欺の深層:事例と法的性質

2023-10-18

特殊詐欺の深層:事例と法的性質

詐欺罪は日常生活に潜む危険な犯罪です。
この記事では、最近の事例を交えながら詐欺罪について詳しく解説します。

詐欺罪とは何か

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる行為を指します。 この犯罪は、日本の刑法第246条1項によって規定されています。

成立条件

詐欺罪が成立するためには、以下の三つの要素が必要です。

  1. 人を欺く行為
    • 虚偽の情報を提供する、または事実を隠すなど。
  2. 財物の交付
    • 被害者が金銭や貴重品を犯人に渡すこと。
  3. 犯人の故意
    • 犯人が明確に人を欺く意図を持って行動すること。

刑罰

詐欺罪に対する刑罰は、最高で十年以下の懲役とされています。 この罰則は、被害の大きさや犯人の過去の犯罪歴によって変動することがあります。

注意点

詐欺罪は、一見単純な犯罪に見えますが、実際には多くのケースが存在します。 例えば、特殊詐欺やオレオレ詐欺など、多様な手口で行われています。

特殊詐欺の事例

特殊詐欺は、一般的な詐欺よりも巧妙な手口で行われる詐欺の一種です。 最近では、多くの特殊詐欺事件が報道されており、その手口も日々進化しています。

48歳男性のケース

最近の事例として、48歳の男性が逮捕されたケースがあります。 この男性は、市役所や金融機関の職員を装って、被害者に対して虚偽の情報を提供しました。 その結果、被害者からキャッシュカードをだまし取り、100万円を引き出したとされています。

手口の多様性

特殊詐欺には多くのバリエーションがあります。 例えば、「振り込め詐欺」や「オレオレ詐欺」など、犯人が用いる手口は多岐にわたります。

被害の拡大

特殊詐欺の被害は年々拡大しており、特に高齢者が狙われるケースが多いです。 高齢者は情報に対する警戒心が低く、また孤独感から容易に詐欺師に信用を寄せてしまうことが一因とされています。

警察の対応

警察も特殊詐欺には力を入れて対応しています。 防犯カメラの設置や、詐欺を未然に防ぐための啓発活動など、さまざまな取り組みが行われています。

「受け子」と「出し子」の役割

詐欺グループには多くの役割が存在しますが、特に「受け子」と「出し子」はその末端を担う重要なポジションです。

受け子の役割

「受け子」は、被害者から金銭や貴重品を直接受け取る役割を果たします。 このポジションは、被害者と直接対面するため、逮捕されるリスクが高いとされています。

出し子の役割

一方で「出し子」は、受け取った貴重品や金銭を現金化する役割を担います。 ATMでの引き出しや、貴重品を質屋に持ち込むなどの活動を行います。

リスクと報酬

「受け子」と「出し子」は詐欺グループ内でのリスクが高い一方、報酬も比較的高いとされています。 しかし、その報酬が高いからといって、このような犯罪に手を染めることは決して許されません。

インターネットでの募集

最近では、インターネットを使って「受け子」や「出し子」を募集するケースも増えています。 特に若者が狙われることが多く、一度手を染めると抜け出すのが難しいとされています。

被害者の対応策

詐欺に遭った場合、被害者がどのように対応すべきかは非常に重要です。 このセクションでは、被害者が取るべき対応策について詳しく解説します。

すぐに警察に通報

詐欺に気づいた場合、最も重要なのは速やかに警察に通報することです。 早期の通報が、犯人の逮捕や被害の拡大を防ぐ鍵となります。

証拠の保全

次に考慮すべきは、証拠の保全です。 通話履歴やメッセージ、または犯人とのやり取りが記録されたものは、後の捜査や裁判で非常に重要な証拠となります。

金融機関への連絡

詐欺によって金銭が引き出された場合、速やかに関連する金融機関に連絡を取ることが必要です。 これにより、さらなる被害の拡大を防ぐことができます。

被害届の提出

警察に通報した後、被害届を提出することで、正式な捜査が始まります。 被害届は、詳細かつ正確に記入することが求められます。

家族や友人への情報共有

詐欺被害は一人で抱え込まず、家族や友人にもその事実を共有することが推奨されます。 これにより、同様の被害が拡大することを防ぐことができます。

賠償と示談の難しさ

詐欺事件が解決した後、被害者が取るべき行動として賠償や示談があります。 しかし、これらのプロセスは一筋縄ではいかない場合が多いです。 このセクションでは、その難しさと対処法について解説します。

賠償の困難性

詐欺犯罪において、賠償を受けるためには多くの障壁が存在します。 犯人が逮捕されても、すでに被害金は使い果たされている場合が多く、回収は困難です。

示談のリスク

示談によって被害を取り戻す方法もありますが、これにはリスクが伴います。 犯人が再び詐欺を働く可能性があり、その場合、被害はさらに拡大する可能性があります。

法的手続きの複雑さ

賠償や示談には、多くの法的手続きが必要です。 専門の弁護士に相談することで、スムーズな進行が期待できますが、それには費用がかかります。

被害者の心理的負担

賠償や示談のプロセスは、被害者にとっても心理的に非常に厳しいものです。 そのため、心のケアも重要な対応策となります。

特殊詐欺事件の加害者側になってしまった場合の対応

この記事では主に被害者側の視点から詐欺罪について解説してきましたが、誰もが加害者になる可能性も否定できません。 特に若者が「受け子」や「出し子」になってしまうケースが増えています。

加害者側になってしまった場合の対応

  1. 自首する勇気
    • 犯罪に手を染めた場合、一刻も早く警察に自首することが求められます。
  2. 弁護士に相談
    • 刑事事件に強い弁護士に相談することで、最も適切な対応が可能です。
  3. 家族や友人に相談
    • 犯罪に手を染める前に、信頼できる人に相談することも重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件に特化した法律事務所です。 経験豊富な弁護士が在籍しており、詐欺事件をはじめとした多くの刑事事件で高い解決率を誇っています。 何か問題が起きた際には、ぜひ一度ご相談ください。

脅迫罪と恐喝罪:事例を交えた成立要件と罰則の違いについて

2023-10-15

脅迫罪と恐喝罪は一見似たような犯罪に思えますが、実は成立要件や罰則が大きく異なります。この記事では、具体的な事例を交えて、それぞれの犯罪の成立要件や罰則について詳しく解説します。

1. 脅迫罪とは?

脅迫罪とは、他人に対して害を及ぼすような言動・行動を指します。 この犯罪は、日常生活でありがちなトラブルから大規模な事件まで多岐にわたります。 例えば、気に入らない相手に対して「殴るぞ」などとすごむような行為がこれに該当します。

法的には、脅迫罪の言う脅迫は「害悪の告知」を指します。 また、当該被害者だけでなく被害者の家族や友人などに対して行う害悪の告知も、脅迫罪として処理されます。

2. 脅迫罪の成立要件

脅迫罪が成立するためには、いくつかの要件が必要です。
まず、「他人を脅迫する行為」が必要です。
この「脅迫する行為」とは、暴力、人身攻撃、財産の損害など、相手に何らかの不利益をもたらすことを示唆または宣言することを意味します。
次に、行為者が「脅迫行為を故意に行った」ことが必要です。
「故意」とは、行為者がその結果を望んで行動した、またはその可能性を認識しながら行動した状態を指します。

3. 脅迫罪の罰則

脅迫罪の罰則は、刑法第222条1項で「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と規定されています。
具体的な罰則の内容は、犯罪の重大性や被害の程度、犯人の過去の犯罪歴などによって異なる場合があります。
例えば、複数回にわたって脅迫行為を繰り返した場合や、特に重大な被害を与えた場合は、その罰則は重くなる可能性があります。

また、脅迫罪は「非親告罪」とされています。
「非親告罪」とは、被害者が告訴しなくても、警察が独自に捜査を開始し、公訴を提起することができる罪のことです。
この点は、被害者が二次被害を恐れずに、安心して法的手段を講じることができるという点で重要です。

4. 恐喝罪とは?

恐喝罪は、他人に対して不正に財物を得るために脅迫する行為を指します。
この犯罪も脅迫罪と同様に多岐にわたりますが、主に財物を目的とした行為が該当します。

恐喝罪に関する法律用語を簡単に説明すると、「不正に財物を得る」は、金銭や貴重品などを不正手段で手に入れる行為を指します。
また、財物を受け取っていない場合でも、脅迫の結果財産上の利益を得た場合には、刑法第249条2項の言う恐喝罪が成立します。

また、恐喝をしようとしたものの、その前に被害者が警察官に相談するなどして実際には利益を得ていない場合でも、恐喝未遂罪が成立する恐れがあるので注意が必要です。

5. 恐喝罪の成立要件

恐喝罪が成立するためには、以下のような要件が必要です。

  1. 第一に「他人を脅迫する行為」が存在すること。
    • こちらも脅迫罪と同様に、不利益を与えることを示唆または宣言する行為が必要です。
    • ただし、恐喝罪の場合は主に「財物を不正に得る」ことが目的とされます。
  2. 第二に「その脅迫によって財物を得る」こと。
    • 脅迫された側が財物を渡した、または何らかの形で財物的な利益を譲渡した場合に成立します。
  3. 最後に、「行為者が脅迫行為を故意に行った」こと。
    • この「故意」も脅迫罪と同様、行為者がその結果を望んで行動した、またはその可能性を認識しながら行動した状態を指します。

特に注意すべき点は、恐喝罪では「財物を不正に得る」ことが一つの大きな成立要件であり、これが脅迫罪との一つの違いとなります。

6.恐喝罪の罰則

恐喝罪に対する罰則は、刑法により「10年以下の懲役」が規定されています。
この罰則は脅迫罪よりも一般的に重いとされており、これが脅迫罪と恐喝罪の一つの大きな違いです。
具体的な判決は、犯罪の状況、被害規模、犯人の過去の犯罪歴など多くの要素に基づいて決定されます。

また、恐喝罪も「非親告罪」とされています。
これは、被害者が告訴しなくても、警察や検察が独自に捜査や公訴を進めることができる罪です。
特に恐喝罪の場合、しばしば被害者が二次被害を恐れて沈黙することがありますが、非親告罪であることから、社会全体での防犯が可能となっています。

7. まとめ

脅迫罪と恐喝罪は似たような犯罪に見えますが、法的にはいくつかの違いがあります。以下にその主な違いを一覧形式でまとめます。

  1. 目的
  • 脅迫罪:一般的には何らかの形で相手を怯えさせること。
  • 恐喝罪:主に脅迫によって財物を不正に得ること。
  1. 成立要件
  • 脅迫罪:脅迫行為、故意。
  • 恐喝罪:脅迫行為、財物の不正取得等、故意。
  1. 罰則
  • 脅迫罪:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金。
  • 恐喝罪:10年以下の懲役。
  1. 親告罪・非親告罪
  • 両罪とも非親告罪であり、被害者が告訴しなくても公訴が提起できる。
  1. 犯罪の対象
  • 脅迫罪:一般的には広範。
  • 恐喝罪:財物取得が主目的。

以上が脅迫罪と恐喝罪の主な違いです。
これを理解することで、具体的なケースにおいてどちらの罪に該当するのか、法的な観点から明確にすることができます。

8.弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部 紹介文

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、横浜市を中心に活動する法律事務所です。
特に刑事事件に特化した法的サービスを提供しており、高い専門性と豊富な経験を誇ります。
刑事事件に対応する際の緊迫感、そしてその解決に対する情熱をもって、私たちは日々業務に取り組んでいます。

1. 専門性

当事務所は刑事事件に特化しています。
一般的な事件から、複雑で専門的な知識が必要な事件まで、幅広く対応しています。
脅迫罪や恐喝罪など、特定の犯罪に関する詳細な法的知識も豊富です。

2. 経験豊富な弁護士陣

当事務所には多くの経験豊富な弁護士が在籍しています。
全支部で年間数多くの刑事事件・少年事件に携わっています。

3. クライアント対応

私たちは、クライアント一人ひとりの状況に合わせた親身な対応を心掛けています。
24時間365日、緊急時にはすぐに対応可能です。

4. 費用面の透明性

料金体系は明確で、事前にしっかりと説明します。
また、必要に応じて分割払いや無料相談も行っています。

5. 地域密着型

横浜市を中心に、地元の方々に密着したサービスを提供しています。
地域社会に貢献する活動も積極的に行っております。

6. 最新の法的動向に対応

刑事事件の法的動向を常にチェックし、最新の判例や法改正にも柔軟に対応しています。特に今般は、刑法の改正により強制性交等罪が不同意性交等罪に、強制わいせつ罪が不同意わいせつ罪に変わったり、これまで各都道府県の定める迷惑行為防止条例違反で処理されていた盗撮行為が新法の施行で性的姿態等撮影罪として処理されるなど、大きな変更が生じていることから、性犯罪事件を中心に最新の法的動向に対応できるかについては重要な点の一つと言えます。

7. 無料相談

在宅事件の場合、最初の相談は無料で、気軽に法的問題を相談できます。
どんな小さな疑問でも、専門的な観点からアドバイスを提供します。

私たち弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、クライアントの皆様が安心して法的問題を解決できるよう、全力を尽くします。

特殊詐欺事件とは?事例から学ぶ罪と罰条

2023-10-06

特殊詐欺事件とは?事例から学ぶ罪と罰条

特殊詐欺事件は近年、高齢者を中心にその被害が増加しています。しかし、どのような行為が特殊詐欺に該当し、何が罰されるのか明確でない方も多いでしょう。この記事では、具体的な事例を通して特殊詐欺の罪と罰条について詳しく解説します。

一般的な詐欺罪と特殊詐欺罪の違い

一般的な詐欺罪と特殊詐欺罪は、一見似ているように思えますが、実は大きな違いがあります。 一般的な詐欺罪は、嘘や偽の情報を使って主に対面で他人を欺き、財産を奪う行為です。 多くの場合、双方の信頼関係が前提に詐欺行為が行われます。対して特殊詐欺罪は、電話やハガキなどを用いて詐欺を行うもので、実際には会ったこともないような不特定多数の者をターゲットにして行う、より計画的かつ高度な詐欺です。

特に、特殊詐欺は高齢者が多く被害に遭うケースが多く、手口も巧妙であるために警戒が必要です。

特殊詐欺の場合、基本的に詐欺罪(刑法246条1項)が適用されますが、手口によっては電子計算機使用詐欺罪(刑法246の2)や窃盗罪(刑法235条)が適用されます。

特殊詐欺罪の代表的な手口:「おれおれ詐欺」

「おれおれ詐欺」とは、電話を使って高齢者などを狙い、自分をその人の親族であるかのように偽装します。 主に「会社の金を使い込んだのが発覚して今日の15時までに全額弁済する必要がある」など緊急事態が発生したと偽って、お金を要求するなどの方法が一般的です。

この手口は、相手の感情や緊迫感を利用しています。 そのため、相手が冷静になる時間を与えず、速やかにお金を振り込ませようとする点が特徴です。

法律的には、この「おれおれ詐欺」は、電話などを用いて被害者をだます手口であるとして、詐欺罪が適用されます。

特殊詐欺罪の代表的な手口:「振り込め詐欺」

「振り込め詐欺」は、偽の請求書や電子メールを用いて、相手にお金を振り込ませる詐欺手法です。 こちらも特に高齢者が狙われることが多く、インターネットの普及によって手口も多様化しています。

この手法では、公共料金や税金、商品代金などを偽装し、一見正当な請求であるかのように見せかけます。 そのため、被害者は気づかぬうちに多額の金額を詐取されることがあります。

法律的には、まず嘘の請求書などを送る行為については、詐欺罪に該当します。

次に、振り込んだお金を引き出したり、別の口座に送金したりする「出し子」と呼ばれる者が登場します。この者に対しては、機械(銀行のATMなど)に不正の指令を出して利益を得る行為に当たるとして、電子計算機使用詐欺罪に問われることが考えられます。電子計算機使用詐欺罪の罰条も、詐欺罪と同じ「10年以下の懲役」で、罰金刑はありません。

特殊詐欺罪の代表的な手口:対面による「キャッシュカード等のすり替え」

特殊詐欺の中には、警察官や銀行職員などを装って被害者宅を訪問し、キャッシュカードが不正に使用されているなどの嘘をつく手口があります。この際、「安全のため私が預かります」などと言ってキャッシュカード等をだまし取る行為は、詐欺罪に問われます。他方で、「このキャッシュカードは使えないので封かんします。印鑑を持ってきてください」などと言い、被害者が印鑑などを取りに行っている隙に封筒をすり替え、被害者に気付かれないうちにキャッシュカードをだまし取る手口もあります。この場合は、詐欺罪ではなく、窃盗罪(刑法235条「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」)に処されます。

刑法における罰則:詐欺罪(第246条)

詐欺罪とは、嘘や偽の情報を用いて他人を欺き、財産を不正に取得する行為を指します。 この詐欺行為に対する罰則は、日本の刑法第246条に規定されています。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

具体的には、詐欺罪で有罪となった場合、懲役または禁錮による刑罰が科されます。 罰金については、直接の規定はありませんが、関連する別の罰則として適用される場合もあります。

一般的な詐欺罪と特殊詐欺罪の違いは、主に手口と被害の規模にありますが、どちらも基本的にはこの第246条1項に基づく罰則が適用されます。 特に、第246条1項は特殊詐欺の様々な立場の者に対して適用される可能性がある罪です。

特殊詐欺の厳罰化

特殊詐欺事件については、基本的に法改正などは行われておらず、罰条は変わっていません。しかし、未だ被害金額が増加傾向にあること、手口が巧妙になったり組織的に行われていること、一部は反社会的勢力の資金源になっていることなどを踏まえ、裁判で裁判官は厳しい刑事罰を科す傾向にあります。

たとえ初犯であっても、検挙されるまでに起こした事件の回数や被害金額次第では、前科前歴がない場合でも実刑判決に処されるおそれがあります。

特殊詐欺で弁護士に相談

特殊詐欺事件の場合、多くの加害者は事件の全体像を知りません。しかし、事件には多くの被疑者が関与していて、捜査機関も他の被疑者やそれぞれの役割・認識について慎重かつ入念に調べを進めていきます。そのため、特殊詐欺事件に関与した場合、逮捕・勾留されるのはもちろんのこと、長期間身柄拘束される・接見禁止により家族も面会できない・保釈も認められにくい・実兄になりやすい、といった様々な不利益が科せられます。

ご家族が特殊詐欺事件に関与してしまい詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪、窃盗罪で逮捕された場合、すぐに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【解決事例】万引きを繰り返し検挙

2023-07-15

【解決事例】万引きを繰り返し検挙

万引きを繰り返し検挙されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県相模原市南区在住の主婦Aさんは、事件当日、相模原市南区にあるコンビニエンスストアで万引きをした際、店員に現認されました。
店員の通報を受けて臨場した相模原市南区を管轄する相模原南警察署の警察官は、Aさんを万引きによる窃盗事件として在宅での捜査を開始しました。
その取調べでAさんは余罪についても聞かれ、同店舗を含め、過去にも万引きを複数回行ったことを認めました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【万引きについて】

小売店で陳列されている商品を盗む行為を、俗に万引きと呼びます。
万引きは店の管理責任者の意思に反して商品を自分のものにする行為であり、窃盗罪に問われる可能性が高い犯罪です。

(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【万引き事件での示談交渉】

万引きのような財産犯事件の場合、被害者がいることから、謝罪と賠償を行い示談書を取り交わすという弁護活動がもっとも有効であると言えます。
しかし、万引き事件では示談交渉が容易ではありません。
万引き事件の被疑者・被告人(加害者)の方の多くは安易な気持ちで万引きをしてしまいますが、店舗側にとっては死活問題であり、そのために防犯カメラを設置したり、棚卸作業の回数を増やし万引きの被害に遭っていないか確認したり、万引きの被害に遭っていることが分かった場合には防犯カメラの映像をチェックして被害に遭った日時や人物を特定したうえで被害届を提出するという場合もあり、更には被害者として取調べを受けるため仕事以外の時間帯で拘束されてしまうなど、かなり大きな負担を被ることになるのです。
そのため被害感情が大きく、
・示談交渉には一切応じない
・被害弁償は受けるが示談書の締結などは行わない
・示談書の取り交わしには応じるが、宥恕(厳しい刑事処罰を求めない)の約定には応じない
など、様々です。
弁護士としては、過去の経験などを踏まえ、被疑者(加害者)にとって最も有益な示談を成立させることができるよう、交渉を進めることになります。

今回のAさんの事例では、被害店舗の責任者の方と繰り返し電話をして説明をした結果、Aさんの事件では(これまでに当該店舗で起こした万引き事件を含め)今回に限り厳しい刑事処罰を求めない「宥恕」の条項を含めた示談書の締結に応じてくださいました。
Aさんの事件を担当する検察官は、Aさんの取調べでの状況と示談書の内容などを踏まえ、Aさんを不起訴処分としました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまでに数多くの万引き事件の弁護活動を経験してきました。
神奈川県相模原市南区にて、万引き事件で捜査を受けている方や家族が万引き事件で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

【解決事例】施設内での落とし物をネコババした事件

2023-06-27

【解決事例】施設内での落とし物をネコババした事件

施設内での落とし物をネコババしたことで窃盗罪あるいは遺失物横領罪に問われたという事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県厚木市在住のAさんは、厚木市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、厚木市内にある施設の中にあるベンチに財布が置いてあることに気付きました。
そこでAさんは、現金1万円をネコババした上で、施設のスタッフに落とし物を拾ったと言って届け出ました。

半年以上たった後、Aさんの連絡先に厚木市内を管轄する厚木警察署の警察官から連絡が来て、お話ししたいことがあるので署まで来てほしい旨を言われました。
不安になったAさんは当事務所の弁護士による無料相談を利用し、その後弁護を依頼しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【ネコババで問題となる窃盗罪と遺失物横領罪】

今回のAさんの事例では、他人の落とし物である財布を拾いその中に入っていた現金1万円をネコババしたという点が問題となります。
落とし物のネコババで問題になるのは、窃盗罪と遺失物横領罪です。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(遺失物横領罪)
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

まず単純に考えると、落とし物の財布である以上、遺失物(≒落とし物)を持ち去っているということになるため、遺失物横領罪の適用が考えられます。
しかし、今回のAさんの事例では、落とし物を習得した場所が施設であるという点に注意が必要です。
建物の中に落ちていた落とし物の場合、その落とし物は施設の管理者が管理しているという評価がなされ、その管理者の意に反して落とし物を持ち出したとして窃盗罪が成立すると評価されます。
実際、Aさんの事例についても、窃盗罪として捜査を受けました。

窃盗罪と遺失物横領罪では、刑事罰が異なることから、ネコババ行為が窃盗罪に該当するか遺失物横領罪に該当するかという点は各事件の状況をしっかりと確認してから判断されることになります。

【窃盗罪や遺失物横領罪での弁護活動】

事例のような窃盗罪や遺失物横領罪が疑われる事件では、まず罪を認めているかどうかという点が問題となります。
もし「そもそも落とし物を拾ったりしていない」あるいは「確かにネコババはしたが被害者の言う被害金額とズレがある」という場合は、それらの点についてしっかりと主張していく必要があります。
特に被害金額のズレについては、被害者の方の記憶と実際に財布に入っていた金額とが異なっている可能性も考えられますし、被疑者(犯人と疑われている人)がネコババをした前後で別の被疑者がネコババをしていた可能性、被害者が噓の申告をしている場合など、様々考えられます。
いずれの場合でも、捜査機関としては被疑者に対して厳しい取調べを行う可能性があることから、取調べの前後で弁護士と打合せをして、自身の意に即した供述調書の作成を目指す必要があります。

ネコババについて認めている場合であれば、被害者に対して謝罪し賠償する必要があるでしょう。
これは示談交渉と呼ばれるもので、当事者(被疑者と被害者)同士でも行うことが出来ますが、被害者の中には被疑者に連絡先を教えたくない、あるいは直接連絡したくないという方もおられること、また、当事者同士では法的に効力のある示談書の取交しが難しいという点から、示談交渉は弁護士に任せた方が良いと言えるでしょう。

最終的に、捜査を行った警察官は検察庁の検察官に事件を送致します。
送致を受けた検察官は、補充の捜査を指示したり、自身で取調べを行ったりした後、被疑者を起訴(あるいは、書面のやり取りと罰金・科料の納付のみで手続きが完了する略式起訴)するか、不起訴にするかを検討します。
弁護士としては、被疑者の事件の内容・示談交渉の状況・前科その他の情状といった部分に触れつつ、できるだけ被疑者の意に即した処分を求めることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに数多くの財産犯事件(遺失物横領罪、窃盗罪、詐欺罪など)の弁護活動を経験してきました。
神奈川県厚木市にて、ネコババをしたことで窃盗罪遺失物横領罪の疑いで捜査を受けているという方、家族が逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

【解決事例】特殊詐欺事件で年齢超過による逆送事件

2023-04-18

【解決事例】特殊詐欺事件で年齢超過による逆送事件

特殊詐欺事件で逮捕・勾留されたのち、一旦は家庭裁判所に送致されたものの、年齢超過を理由に逆送されたという事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市栄区在住のAさんは、逮捕当時19歳でした。
Aさんは横浜市栄区にて特殊詐欺事件のいわゆる受け子役をしてしまい、捜査を行った横浜市栄区を管轄する栄警察署の警察官によって通常逮捕されました。
最初の逮捕から既に1ヶ月以上が経った後に依頼を受けた当事務所の弁護士は捜査機関に対し捜査にかかる時間や再逮捕といった見通しを確認しましたが、捜査が終結した後家庭裁判所の調査が行われることを考えると、Aさんが20歳の誕生日を迎えるまでに審判期日を設けることができないと判断しました。
そこで弁護士は、予めAさんとその保護者に今後の流れや刑事裁判の見通しについて説明をしました。
結局、Aさんは想定どおり家庭裁判所に送致されたのち20歳の誕生日を迎え、逆送されました。

逆送された後は成人の刑事手続きと同様の手続きがとられました。
弁護士は、特殊詐欺の被害に遭われた被害者の方と示談交渉を行った結果、うち数件で示談が締結されました。
最終的にAさんは裁判を受けましたが、執行猶予判決を言い渡されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【特殊詐欺事件について】

今回、Aさんは特殊詐欺事件の受け子をしてしまいました。
その手口は、
①被害者宅を訪問して警察官を名乗り、詐欺に使われていると嘘をついてキャッシュカードを受け取った
②被害者宅を訪問して警察官を名乗り、詐欺に使われているからキャッシュカードを使用しないよう言い、封筒に入れた後、隙を見て封筒をすり替える手口でキャッシュカードを掠め取った
というものでした。
この場合、①については詐欺罪が、②について窃盗罪が、それぞれ適用されると考えられます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(詐欺罪)
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【年齢超過による逆送】

Aさんは事件を起こした時点でも、逮捕された時点でも、20歳未満でしたので少年法のいう「少年」に該当します。
少年の場合、警察官等・検察官の捜査機関による捜査が行われた後、全件で家庭裁判所に送致され、調査官による調査を経て、多くは少年審判での保護処分を課します。
但し、被害者が死亡するような一定以上の重大事件については、逆送(正確には検察官送致)の手続きにより再び検察官に事件送致され、検察官が成人と同じ刑事裁判にする必要があるか判断します。

今回のAさんの事件については、事件の内容だけを見ると逆送が必須とまでは言えないものでした。
但し、Aさんの場合は家庭裁判所に送致された後に20歳の誕生日を迎えました。
よって、以下の条文が問題となります。

少年法19条2項 家庭裁判所は、調査の結果、本人が20歳以上であることが判明したときは…決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

この規定により、Aさんは逆送されました。
送致を受けた検察官は、Aさんに刑事罰を科す事案であると判断し、Aさんを起訴しました。
そのため、Aさんは事件当時は20歳未満の少年でしたが、その後20歳になったため成人の刑事事件の手続きに附され、刑事裁判を受けた、という流れになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、このような年齢切迫と呼ばれる少年の刑事弁護・付添人活動の経験がございます。
Aさんのような事例では、少年のうちに審判を開けることができるか判断し、少年のうちに審判を受けることができると判断された場合には捜査機関に掛け合ったり少年や保護者に捜査・調査に協力するよう促し、できる限り少年事件として手続きが終わるように進めます。
他方で逆送が免れない事例では、刑事裁判になることを前提に、取調べをより慎重に受けるようアドバイスしたり示談交渉などの情状弁護の準備を行ったりと事前準備が必要です。
神奈川県横浜市栄区にて、お子さんが特殊詐欺事件で逮捕・勾留され、20歳の誕生日を目前に控えているという場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【解決事例】落とし物の財布からお金を抜き取り

2023-04-03

【解決事例】落とし物の財布からお金を抜き取り

落とし物の財布からお金を抜き取ったことで捜査を受けたものの不起訴になったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県川崎市高津区在住のAさんは、川崎市高津区内にある会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、川崎市高津区内の鉄道駅を利用しベンチに腰掛けたところ、椅子に落とし物の財布が置かれていることに気付きました。
Aさんが中身を検めたところ、現金2万円が収められていることが分かり、Aさんは出来心でその現金を抜き取り、財布は別の駅のトイレに捨ててきました。
しかし、その後すぐに自責の念にかられ、自首しようと考え、その手続きや見通し等を確認するため当事務所の弁護士による無料相談を受け、弁護を依頼されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【落とし物の財布から現金を抜き取る行為】

今回の事例で、Aさんは駅の落とし物である財布から現金を抜き取ったことが問題となりました。
落とし物を見つけた場合には警察官等や管理者(例えば飲食店で財布の落とし物があれば飲食店の店長)に申告する必要があります。
それをせずに自分のものにした場合には、窃盗罪や占有離脱物横領罪が問題となります。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(窃盗)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(遺失物等横領)
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

窃盗罪は、他人の財物を盗むことで、盗んだ物を自分のものとして使用する場合に成立します。
遺失物横領罪は、他人の占有下にはない落とし物を着服する場合に成立します。
落とし物が、公道など管理者がいないような場所に落ちていた場合には「遺失物」として遺失物横領罪が適用されます。
他方で、例えば飲食店の机に財布が落ちていた場合、落としてからしばらく経っていたとしても、飲食店側が管理していると評価されるため、窃盗罪が適用されます。

今回の事件については、駅のベンチに落ちていた財布の中の現金が問題となっているところ、落としてから時間が経っていて、落とし主と駅側の占有下にない(占有する意思がない)と評価され、遺失物横領罪が問題となりました。

【落とし物の財布から金を抜き取った場合の弁護活動】

落とし物の財布から現金を抜き取った場合、
・財布の落とし主
・(窃盗罪の場合には)占有していた管理者
が被害者になります。
そのため、被害者に対し謝罪と弁済を行うことが重要な弁護活動の一つになると考えられます。
示談交渉は当事者間で行うことが出来ますが、被害者の立場からしたら、見知らぬ加害者に連絡先等を教えることに抵抗があると考えられます。
また、示談交渉を行ったとしても、一般人の方に法的効果のある合意書(示談書)を作成することは容易ではないと考えられます。
示談交渉を行う場合には弁護士に依頼した方が良いと考えられます。

他方で、落とし物の財布から現金を抜き取った嫌疑で捜査を受けているものの心当たりがないという場合には、取調べで否認を貫く必要があります。
しかし、捜査機関は何かしらの理由があって被疑者として捜査を行っていることから、ともすれば厳しい態度で取調べを受けることも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、落とし物を着服してしまった・占有下にある財布などを持ち去ってしまったという相談を数多く受けてきました。
神奈川県川崎市高津区にて、落とし物の財布から現金を抜き取った遺失物横領罪をして自首や出頭を検討している方、取調べを受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

【解決事例】年齢切迫少年の詐欺事件

2023-03-18

【解決事例】年齢切迫少年の詐欺事件

20歳の誕生日を迎える間近の少年による詐欺事件、という解決事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市中区在住のAさんは、事件当時神奈川県内の大学に通う19歳でした。
Aさんは、いわゆる特殊詐欺事件を起こした嫌疑で、横浜市中区を管轄する伊勢佐木警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんは、逮捕された時点で、20歳の誕生日まであと2ヶ月ほどという状況でした。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【特殊詐欺について】

特殊詐欺は、オレオレ詐欺やワンクリック詐欺、還付金詐欺など様々な手口が見られ、その手口によって罪が異なります。
また、オレオレ詐欺などの場合はどのような方法で詐欺に関与したかという点でも、罪が異なります。

Aさんの事件については、指示役に従い被害者宅を訪れて銀行職員等になりすましてキャッシュカードを受け取ったという事件でしたので、いわゆるオレオレ詐欺の受け子と呼ばれる立場になり、詐欺罪の成立が検討されます。
条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

【年齢切迫少年について】

20歳未満の者が刑事事件を起こした場合、捜査が行われた後は「少年事件」として扱われ、成人事件とは異なる手続きが行われます。
20歳未満というのは、20歳の誕生日を迎える前の者を指します。
少年の捜査を行った検察官は、家庭裁判所にすべての事件を送致することになります。
送致を受けた少年は、重大事件を除き家庭裁判所で調査を行い、保護処分が必要と考えられた少年については審判で保護処分を決めます。

しかし、一定以上の重大犯罪を起こした場合や、20歳の誕生日を迎えた者については、家庭裁判所で保護処分を決めるのではなく、検察官に送致します。
これは、一度検察官から家庭裁判所に送られたのちに再度検察官に送致するため、逆送と呼ばれます。
逆送された少年に対し、検察官は起訴するかどうかの判断を下します。

Aさんのように、事件当時20歳の誕生日を迎える直前の少年を、俗に年齢切迫少年(年迫)と呼びます。
年齢切迫少年は、20歳の誕生日までに調査が行われ審判が行われる(あるいは審判不開始の決定を下す)ことがなければ、検察官に送致されます。
つまり、保護処分を受ける機会を失うことになるのです。

検察官に逆送された場合、原則として犯した事件の内容をもって起訴するかどうか判断されます。
少年事件として家庭裁判所が判断をした場合、少年の性格や特性などを踏まえて、保護処分が検討されます。

年齢切迫少年の場合、少年の性格などを踏まえて保護処分を課すことが望ましい場合、20歳の誕生日を迎える前に審判まで行われる必要があります。
そのためには、早期の調査官による調査を行うよう促し、捜査機関が作成した証拠(法律記録)を確認し、審判までに弁護人としての意見書を作成する必要があります。
年齢切迫少年の事件では、少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、年齢切迫少年の弁護活動・付添人活動の経験も豊富です。
神奈川県横浜市中区にて、お子さんが特殊詐欺などの事件で逮捕・勾留され、20歳の誕生日を迎える間近の年齢切迫少年である場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

【解決事例】恐喝事件での現場共謀

2023-03-12

【解決事例】恐喝事件での現場共謀

被害者からお金などを脅し取る恐喝事件について、直接的な加害者ではないものの、事件に関与したとして現場共謀により逮捕されたものの不起訴になったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市金沢区在住のAさんは、横浜市金沢区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、友人Xさんから「車を出してほしい」と言われ、二つ返事で了承しました。
AさんはXさんから指定された場所に車で行ったところ、Xさんの友人YさんとZさんがいて、3人を車に乗せました。
次に、Xさんの指示で横浜市金沢区のVさんの家に行って、Vさんを拾いました。
Aさんは良く分からない中で4人を載せて車を運転したところ、XさんはVさんに対して「お前が俺のスケに手を出したんだから、相応の対価は必要だよな」「(YさんとZさんを挿して)ワシの部下も動いてんだから、分かってんだろうな」等と言い、Vさんが「払います」と言ったところ、XさんはAさんに銀行のATMに行くよう指示し、VさんにATMで100万円を引き出させ、Xさんはその100万円を受け取り、Aさんは車代と称して10万円を受け取りました。

被害に遭ったVさんは、横浜市金沢区を管轄する金沢警察署の警察官に相談しました。
後日、AさんとXさん、Yさん、Zさんは同じタイミングで恐喝罪で逮捕されました。

【恐喝罪について】

今回問題となっているのは、主としてXさんが、Vさんに対して金を要求し、従わなければ危害を加えるような発言をしています。
そして、Vさんから100万円を受け取りました。
この場合に問題となるのは、恐喝罪です。
条文は以下のとおりです。

刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

【現場共謀と幇助犯】

今回の事件について、恐喝のいわゆる主犯格はXさんでした。
かたやAさんは、車でVさんの家に行き、Vさんを車に乗せた時点では、Xさんが恐喝するということを知りませんでした。

ここで問題となるのが、Aさんは恐喝事件に関与したが、それは共犯者に該当するのか、単に手助けをしただけの幇助犯に当たるのか、という点です。
条文では、以下のとおり規定されています。

(共同正犯)
刑法60条 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

(幇助犯)
刑法62条1項 正犯を幇ほう助した者は、従犯とする。
(従犯減軽)
刑法63条 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

よって、AさんがXさんの共犯者として正犯と評価された場合、Xさんと同じ程度の罪に問われます。
また、AさんがXさんの手助けをしただけの幇助犯として評価された場合、Xさんに比べて刑は減刑されます。
共同正犯(共犯者)として扱われるか、幇助犯として扱われるのかは、事件についてどこまで知っていてどのような役割を果たしたのか、という点で分かれます。
Aさんは、車にVさんを載せた時点ではまだ恐喝事件について知らなかったと言えます。
しかし、車内で恐喝事件が行われていて、Xさんの指示に従い銀行のATMにVさんを連れて行っているという状況から、現場共謀が認められ、Aさんも共犯者として共同正犯の罪に問われる可能性がありました。

今回のAさんの事件では、弁護活動の結果Aさんは不起訴になりましたが、もし共犯者として共同正犯の罪で起訴された場合、幇助犯として評価するべきであるとの主張を行う可能性がありました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県横浜市金沢区にて、家族が恐喝事件で逮捕され、現場共謀が認められる可能性があるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【解決事例】特殊詐欺の手伝いをした幇助事件

2023-03-03

【解決事例】特殊詐欺の手伝いをした幇助事件

特殊詐欺の手伝いをしてしまい幇助犯として逮捕・起訴された方の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市中区在住のAさんは、自営業で生計を立てていました。
Aさんは投資に失敗して生活苦になり、いわゆる闇バイトに応募しました。
そこでのAさんの立場は特殊詐欺の指示役の指示に従い、同じく闇バイトに応募したXさんが横浜市中区のVさん宅を訪問して現金300万円を受け取る段取りになっているから、XさんがVさんの家に行く前にAさんがVさんの家の周りを警戒し、警察官によるいわゆる「騙されたフリ作戦」に遭わないように見張りをしていました。
しかし、横浜市中区を管轄する山手警察署の警察官に職務質問を受け、その際に事件に関与していることが発覚したため、Aさんは特殊詐欺を手助けした幇助犯として逮捕されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【特殊詐欺事件について】

電話で銀行職員や警察職員、家族などに成りすまして金やキャッシュカードを騙し取るいわゆる特殊詐欺事件は、その手口が知られて久しいですが、今なお被害に遭われている方が多数おられます。
警察庁組織犯罪対策第二課生活安全企画課の発表した「令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値版)」によると、令和4年の特殊詐欺認知件数は全国で17,520件、被害総額は361.4億円です。
これは、一日の平均被害額が1億円近くに及ぶことを意味します。

【幇助犯とは】

今回、Aさんが担った事件の役割は、見張りです。
Aさんは被害者に電話を架けたわけでも、金を受け取ったわけでもないため、Aさんの行為によって直接的な被害が生じたわけではありません。
しかし、見張りという行為によって、特殊詐欺に直接関与した「実行犯」を手助けしたことになります。
特殊詐欺事件に限らず、犯罪を手助けする行為を「幇助」と言います。
幇助をした者は「幇助犯」として、刑法で以下のとおり規定されています。

刑法62条1項 正犯を幇助した者は、従犯とする。
刑法63条 従犯の刑は正犯の刑を減刑する。

幇助犯は正犯の刑を減刑される、言い換えると、直接実行行為に着手していなかったとしても、手助け行為自体で刑事罰が科せられるということになります。

【家族が幇助犯として逮捕されたら弁護士へ】

幇助犯としての事件の場合、事件にどの程度関与したのか、どのような経緯で関与したのか、関与する際に力関係がなかったか(主犯格に無理やり手伝いを押し付けられる等なかったか)といった具体的な内容次第で、罪の重軽が大きく分かれます。
幇助犯として家族が逮捕されたり起訴されたりした場合、刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼し、幇助した内容や程度を子細に確認し、適切な主張を行っていく必要があるでしょう。

神奈川県横浜市中区にて、家族が特殊詐欺事件の幇助犯として逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービスをご利用ください。

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