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神奈川県小田原市で野球賭博①

2019-06-11

神奈川県小田原市で野球賭博

【ケース】
神奈川県小田原市に住むAは、小田原市内の会社に勤める会社員です。
Aは賭け事にさほど興味を持っていたわけではないのですが、小田原市内に住む友人Xから誘われてX主催の野球賭博に参加するようになりました。
Xが開帳していた野球賭博は、プロ野球公式戦を対象に、各球場で行われている試合の勝敗や点数などを当てるという賭け事で、一回の掛け金は数千円から10万円ほどでした。
この野球賭博には数十人が参加しており、公式戦が行われる度に開帳されていました。
そして、Aも頻繁に参加するようになりました。

ある日、Aの自宅に小田原市を管轄する小田原警察署の警察官が来て、「野球賭博の件でAさんを常習賭博罪により逮捕する」と言って、Aを連行していきました。
Aの親族は、逮捕されたAの弁護活動を依頼し、野球賭博がどのような罪に当たるか、また、野球賭博をした場合の弁護活動にはどのようなものがあるのか、刑事事件を専門とする弁護士に相談しました。

(フィクションです。)

【野球賭博に関する罪について】

我が国では、原則として賭博行為を禁止しています。
具体的には、刑法の下記の条文が適用されます。

・単純賭博罪(刑法185条)
「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」
①一時の娯楽に供する物とは何か
一時の娯楽に供する物とは、例えば1回分の飲食費を賭けた賭け事などといった、一時的な娯楽のために消費される物を指し、これは賭博罪の対象にはなりません。
②懸賞や、くじ引き大会、ビンゴ大会、抽選会といったイベントは賭博罪に当たるのか
当事者双方にとって偶然の結果であることが要件になるため、雑誌の懸賞や商店街で行われるくじ引き大会のように、主催者側が一方的に負担を負っている場合には賭博罪の対象にはなりません。

・常習賭博罪(刑法186条1項)
「常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。」
常習賭博罪は常習的に賭博をしている場合に当たります。
「常習として賭博をした者とは」、反復して賭博行為をする習癖のある者を指します。
実際に常習と言えるかどうかについて、賭博の種類や賭けた金額等を総合的に判断しています。

・賭博場開帳等図利罪(刑法186条2項)
「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」
①賭博場開帳等図利罪とは何か
賭博場開帳等図利罪とは、自分が主催者となって、自身の支配の下で賭博をする場所を開設することを指します。
②営利を目的としていなくても賭博場開帳等図利罪に当たるのか
賭博場を開設することで手数料等の形で利益を得ていて場合はもちろんのこと、営利を目的としていなかったとしても、単に賭博場を開設したがけで、この罪に当たります。
また、賭博場を開設しただけで自分自身では賭博をしていなかったとしても、賭博場開帳等図利罪は適用されます。
③同じ場所に集まって賭博行為をしていない場合、賭博場開帳等図利罪に当たるのか
昭和48年の最高裁判決によると、プロ野球セントラルリーグの公式戦を対象とした野球賭博を行わせるために、とある場所に電話・帳面・プロ野球公式戦の日程表・スポーツ新聞などを備え付け、電話にて賭博の申し込みを受け付け、集計・整理をし、掛け金等の徴収などをした事件で、この管理を行っていた者に対して賭博場開帳等図利罪を適用しています。

【賭博罪の例外について】

明日のブログに掲載します。≫

【贖罪寄付について弁護士へ相談】

明日のブログに掲載します。≫

神奈川県横浜市中区の常習累犯窃盗事件

2019-06-10

神奈川県横浜市中区の常習累犯窃盗事件

【ケース】
神奈川県横浜市中区に住むAは70代の無職です。
Aは家族とも一緒に住んでいて、経済的に厳しい生活を強いられているわけではないのですが、これまでに4回窃盗罪で逮捕され、実刑判決を受けたこともあります。
直近では、2年前に窃盗罪で逮捕され、裁判では「懲役1年6月」の実刑判決を受けました。
それでもAは、横浜市中区内のスーパーマーケットに行き、財布に現金約2万円が入っているにもかかわらず食品を中心に商品7点を、レジを通さずに自己所有のカバンに入れてしまいました。
Aの帰宅後、Aの家族が不審に思いAを問い詰めたところ、Aが万引きしたことを認めました。

Aの家族は、神奈川県横浜市中区を管轄する伊勢佐木警察署へAを自首させたほうが良いのか、弁護士に相談しました。

(フィクションです。)

【窃盗罪と常習累犯窃盗罪】

ご案内の通り、万引き行為は窃盗罪に当たる可能性があります。
・刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
通常、万引きをした場合は、この窃盗罪に当たる可能性があります。

しかし、ケースのように、複数回窃盗罪による有罪判決を受けている場合は、常習累犯窃盗罪に問われる場合があります。
常習累犯窃盗は、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条に規定されています。
・盗犯等ノ防止及処分に関する法律3条「常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル」
カタカナばかりで非常に読みづらい条文ですが、前条に掲げたる刑法各条の罪とは窃盗罪(刑法235条)、強盗罪(刑法236条)、事後強盗罪(刑法238条)、昏睡強盗(刑法239条)を指し、この罪又はこの罪の未遂事件で①常習性が認められ(反復してこれらの罪を犯す習癖がある)、②10年以内にこれらの罪で3回以上、6月以上の懲役刑かその執行猶予付き判決を受けた場合に、常習累犯窃盗にあたることとなっています。
常習累犯窃盗の法定刑は3年以上の有期懲役と定められていますので(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条)、裁判で有罪となった場合には懲役刑は3年から20年の間で言い渡される可能性があります。

常習累犯窃盗の要件のうち、②(10年以内にこれらの罪で3回以上、6月以上の懲役刑かその執行猶予付き判決を受けた)という部分については、さほど争いがありません。
一方で、①「常習性」については、争いがある場合が考えられます。
例えば、今年の1月に高知地裁が出した判決では、万引きを繰り返したとして常習累犯窃盗罪に問われた被告人に対して、クレプトマニア(後述致します。)を理由に「常習性」を認めず、より法定刑が軽い窃盗罪を適用した裁判例があります。

万引き行為が事実であることを前提に、弁護士としては法定刑が3年以上20年以下の懲役である常習累犯窃盗罪よりも10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が予定されている窃盗罪の適用を目指した弁護活動が必要になります。

【クレプトマニアと弁護活動】

クレプトマニアという言葉をご存知でしょうか。
クレプトマニア(kleptomania、窃盗症)は、お金を持っているにもかかわらず代金を支払わないで万引きをはたらく、あるいは、本当は欲しくない物をついつい万引きする、等といった症状を指します。
クレプトマニアの傾向としては、窃盗を犯すときのスリルや達成したときの快感や満足感を目的としている場合が多いようです。
今日では、都市部を中心にクレプトマニア専門の外来なども設けられており、治療プログラムに参加することでクレプトマニアを克服する方も少なくありません。

クレプトマニアの症状をお持ちの方に対して、懲役刑や禁錮刑を科すことではクレプトマニアの改善は望めず、専門医などによる治療が必要であると言われています。
そのため、クレプトマニアの症状をお持ちの方に対しては、実刑を回避する弁護活動が必要になります。

神奈川県横浜市中区にて、ご家族にクレプトマニアの症状が見られ、実際に万引きをしたことで常習累犯窃盗の罪に問われている方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。

不正アクセスで保護処分

2019-06-09

不正アクセスで保護処分

神奈川県川崎市に住むAさん(17歳)は、日頃から同区内に住む同級生のVさんにからかわれていたため、たまには仕返しをしてやろうと考えました。
そこで、AさんはVさんがよく遊んでいるオンラインゲームのアカウントに勝手にログインし、ゲーム内のアイテムを見境なく削除していきました。
翌日、アイテムが消えていることに気づいたVさんは、高津警察署不正アクセス被害にあったことを相談しました。
ほどなくしてAさんは不正アクセス禁止法違反の疑いを持たれたため、Aさんの両親は弁護士保護処分について聞いてみました。
(フィクションです。)

【不正アクセスについて】

不正アクセスは、他人のパスワードや指紋など(「識別符号」と呼ばれます)を用いたり特殊な操作をしたりして、本来であればアクセス権限がないコンピュータに侵入する行為を指します
日本では「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(通称:不正アクセス禁止法)が定められています。
不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為およびそれにつながる行為の禁止や、不正アクセス行為の防止に向けた国や公共団体の義務などを定めています。

不正アクセス行為を行った場合、不正アクセス禁止法違反により3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
上記事例では、AさんがVさんのオンラインゲームのアカウントに勝手にログインしています。
本来ログインに当たってはIDやパスワードが要求され、そうした情報を入力して勝手にログインするのは正に不正アクセス行為に当たると考えられます。
そうすると、Aさんの行為は不正アクセス行為に当たることになるでしょう。

更に、仮に不正アクセス行為を通して財産上不法な利益を得た場合、電子計算機使用詐欺罪が併せて成立余地が出てきます。
そうなると、事件の重大さは当然高まり、処分は相応に重くなることが見込まれるでしょう。

【少年事件における保護処分】

少年(20歳未満の者)を被疑者とする刑事事件は、少年事件として通常の刑事事件とは異なる手続が行われます。
少年事件の最大の特徴は、通常の刑事事件のように刑罰が科されるわけではなく、少年事件に特有の保護処分というものが行われる点だと言えます。
通常、少年というのは心身共に未熟であり、自己の行いの重みを認識することなく非行に及ぶことがよくあります。
そこで、刑罰による制裁・矯正よりも、少年の健全な育成に向けた適切な取組みが行われるというわけです。

少年に対する保護処分の要否と内容は、少年事件を専門の一つとする家庭裁判所で決定されます。
保護処分には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3つがあります。
これらの保護処分を行う必要がない場合は、審判不開始あるいは不処分として何らの処分を行われないことがあります。
以下では、実務上よく対比されることもある保護観察と少年院送致について見ていきます。

①保護観察
保護観察官および保護司の指導・監督のもと、他の施設に行くことなく自宅などで更生を図る処分です。
少年院などの施設に行かずに行うため、基本的には両親をはじめとする家族の監督下で更生を目指すことになります。
それと並行して、保護司や保護観察官から適宜生活指導を受けることもあります。

③少年院送致
自宅などを離れて少年院に収容し、更生に向けた指導・教育を受けさせる処分です。
少年の中でも特に要保護性が高い者に対して行われるもので、少年の性格や非行などに応じて更に細かく分かれます。
世間一般のイメージもあり、少年院だけは避けたいというご要望が多いのは事実です。

以上で見たように、保護処分は少年ひとりひとりに応じて適切なものが選択されるものであり、いずれが適切かは各少年により異なってきます。
選択される保護処分の見通しも個々の事案により異なってくるので、もし何かお悩みであれば弁護士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に詳しい弁護士が、保護処分を含む少年事件のポイントをしっかりとお伝えいたします。
お子さんが不正アクセスをしてしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

落書きで建造物損壊罪?

2019-06-08

落書きで建造物損壊罪?

Aさんは、神奈川県内をバイクで散策しては、道路の設置物やトンネルなどにラッカースプレーで落書きをしていました。
ある日、Aさんが神奈川県足柄上郡内の公園にある公衆トイレの壁に落書きをしていたところ、その様子をたまたま通行人のWさんに目撃されました。
Aさんは、Wさんから「落書きは犯罪だよ。松田警察署に通報したからね」と言われ、慌ててその場を立ち去りました。
後日、Aさんは自身が逮捕されるのではないかと思い、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(上記事例はフィクションです)

【落書きに成立する罪】

外を歩いていると、たとえば歩道橋やトンネルの壁などに落書きがされているのが目に入ります。
落書きはその場所にすっかり溶け込んでいることもあり、落書きという行為につい寛容になりがちです。
ですが、建造物や道路の設置物に落書きをすると、以下のような犯罪が成立する可能性があります。
まず、考えられるものとしては軽犯罪法違反が挙げられます。
軽犯罪法1条33号は、「みだりに他人の家屋その他の工作物…若しくは標示物を汚した者」拘留または科料に処するとしています。
街中で見かける落書きは、スプレーやチョークなどで工作物等を汚す行為に当たると考えられます。
そうすると、上記事例のAさんも軽犯罪法違反に当たる可能性があります。
ただ、拘留は1日以上30日未満の拘置、科料は1000円以上1万円未満の金銭の納付であり、数ある罪の中ではごく軽いものと言えます。

場合によっては、軽犯罪法違反ではなく建造物損壊罪が成立する余地もあります。
建造物損壊罪における「損壊」とは、建造物の効用を害する一切の行為を指すと考えられています。
このことから、落書きにより目的物を汚損した場合でも、「損壊」に当たるとして建造物侵入罪に当たることはありえるということになります。
上記事例では、Aさんが公園の公衆トイレの壁にラッカースプレーで落書きをしています。
落書きをしたからといって、公衆トイレの壁が崩れたり薄くなったりするというのは起こりません。
ですが、公園という空間を構成する公衆トイレの壁が汚損されたことで、その公園が有する美観が害されるということは生じます。
そうすると、Aさんは建造物損壊罪として5年以下の懲役が科される可能性があるのです。

【逮捕の可能性】

刑事事件と聞くと逮捕をイメージされる方は多いかと思いますが、実際のところ逮捕が行われるケースというのは全体の4割程度です。
そうした逮捕を伴う事件は身柄事件と呼ばれ、逮捕を伴わない事件は在宅事件と呼ばれます。
ニュースなどでよく聞く書類送検というのは、逮捕が行われないことで事件の記録だけが検察庁に送られることを指し、在宅事件に特有の用語と言えます。

ある事件で逮捕を行うかどうかは捜査機関次第であるため、逮捕の可能性について確実なことは言えません。
一応の目安を判断する要素としては、事件の重大性が挙げられます。
事件が重大かどうかは、犯した罪の重さ(法定刑)、被害の程度、犯行の悪質性などの様々な要素に基づき判断されます。
ただ、一般的には、重い罪であればあるほど逮捕の可能性が高まるといってよいでしょう。
たとえば、殺人事件を在宅で進めるというのはおよそ考えられず、被疑者が特定できた段階で逮捕を行うのが通常だと思われます。
逆に、軽い罪を犯しても逮捕の可能性は高くないと思われますが、それでも0になるということはおそらくありません。
絶対に逮捕されないと言い切ることができないのは歯がゆいものです。
もし自身のケースで逮捕の可能性がどの程度か不安に思ったら、ぜひお近くの弁護士に一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、逮捕の可能性や心構えについて丁寧にご説明します。
落書きが発覚したら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

公務執行妨害罪で無罪主張

2019-06-07

公務執行妨害罪で無罪主張

神奈川県大和市在住のAさんは、深夜に近所の公園付近を歩いていたところ、大和警察署の警察官に声を掛けられました。
目的は職務質問のようでしたが、警察官はAさんを不審者と決めかかって質問を行い、遂にはAさんが持っていた鞄を無理やり奪い取りました。
警察官は鞄のチャックを開けて中に手を入れたため、Aさんはそれを制止しようと鞄を掴んで強く引きました。
すると、警察官から「公務執行妨害罪だ」と言われ、現行犯逮捕されて警察に連行されてしまいました。
接見で一連の流れを聞いたAさんの弁護士は、今回の件で公務執行妨害罪が成立せず、無罪の主張ができるのではないかと考えました。
(上記事例はフィクションです)

【公務執行妨害罪について】

公務員が職務を行う際に暴行や脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
典型的なケースだと警察官を相手方とするものが思い浮かびますが、公務員であればその他にも様々な者が対象となりえます。
たとえば、私立病院に勤務している医師を相手方とするものもあれば、公務員の補助をする非公務員の民間人を相手方とするものもあります。

公務執行妨害罪は、国または公共団体の事務の円滑な遂行を妨げる点で違法だと考えられています。
そのため、暴行・脅迫の程度がさほど強くなくとも、公務の円滑な執行を妨げるおそれがあったとして公務執行妨害罪となる可能性があります。
上記事例においても、鞄を取り返そうとするAさんの行為が公務執行妨害罪における「暴行」と捉えられる可能性はあると言えます。

公務執行妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。
更に、仮に暴行により公務員に傷害を負わせた場合、公務執行妨害罪だけでなく傷害罪が成立することもあります。
これは、人の身体の傷害が公務執行妨害罪に当然に含まれるとは言えず、傷害罪として別個に評価すべきだという考え方によるものです。
その場合、傷害罪の法定刑である15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるおそれが生じてきます。

【違法な公務と無罪主張】

上記事例の警察官は、Aさんの鞄を奪い取ってチャックを開け、中に手を入れて物色しています。
警察官は犯罪を予防する一般的な責務を負っていることから、職務質問やそれに付随する所持品検査を行う権限が認められています。
しかし、そうした活動は、よほど軽微でない限り対象者の同意がなければできず、強制的に行うのであれば捜索許可状などの令状を要するところです。
そうすると、警察官によるAさんの鞄の物色は、本来行うことが許されない違法な捜査に当たる可能性があります。

以上を踏まえると、Aさんは公務執行妨害罪が成立せず無罪になる余地があると言えます。
その理由は、公務執行妨害罪の性質にあります。
先ほど説明したように、公務執行妨害罪は円滑な公務の執行を保護するために定められたものです。
しかし、国家が刑罰を科して人権を侵害することの重大さに鑑みれば、違法な公務まで公務執行妨害罪による保護の対象にすべきではないと考えられます。
こうした考えから、公務執行妨害罪が成立するのは、飽くまでも暴行・脅迫の対象が適法な公務の場合に限られるとされているのです。
ただし、そもそも無罪の主張というのは容易に受け入れてもらえませんし、警察官を相手方とする公務執行妨害罪については尚更です。
もし無罪の主張をお考えなら、ぜひ弁護士に事件を依頼してきちんと弁護活動をしてもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の名に恥じない弁護士が、無罪の獲得に向けて知識と経験を総動員します。
ご家族などが無罪にもかかわらず公務執行妨害罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

神奈川県横浜市泉区の覚せい剤取締法違反事件

2019-06-06

神奈川県横浜市泉区の覚せい剤取締法違反事件

【ケース】
神奈川県横浜市泉区在住のAは、海外旅行中に知り合った友人を通じて覚せい剤を密輸入し、横浜市泉区内の路上で販売していました。
ある日、Aの自宅に厚生労働省地方厚生局麻薬捜査部の麻薬取締官が来て、Aを逮捕しました。

(フィクションです。)

【覚せい剤の営利目的輸入について】

当然のことながら、無許可者による覚せい剤の輸入は法律で禁止されています。
覚せい剤を営利目的、すなわち、覚せい剤を販売する目的で輸入した場合、下記の法律に反する可能性があります。

覚せい剤取締法違反
覚せい剤取締法13条では、「何人も、覚せい剤を輸入し、又は輸出してはならない」と定められています。
これに反して、営利目的で日本に覚せい剤を密輸入した場合は、覚せい剤取締法41条2項により「無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。」と定められています。

・関税法違反
我が国に輸入してはいけない物を輸入する行為は、関税法に違反する可能性があります。
関税法110条1項では、「次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」として、その1号で「偽りその他不正の行為により関税を免れ、又は関税の払戻しを受けた者」と定められています。

【黙秘権について弁護士に相談】

黙秘権という言葉は、小説やドラマなどで聞いたことがある方も多くおられる事と思います。
憲法38条1項では、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められています。
刑事訴訟法では、更に具体的に規定されており、例えば取調べにおける黙秘権については「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨をあらかじめ告げなければならない」と規定されています。(刑事訴訟法198条2項)

歴史的に、取調べにおいて、時には取調官が被疑者の自白を引き出すために拷問を行い、時には自白を過信して冤罪を生むといったことはしばしありました。
戦後日本においても、黙秘権を行使できない状況下でなした自白が冤罪を生んだ可能性が高い事件は実在します。

例え弁護人であっても同席ができないとされている我が国の取調べにおいて、黙秘権をしっかりと理解して取調べに望むことは重要です。
その取調べについて、確かに、被疑者(容疑者)は取調べ前に取調官から黙秘権についての説明を受ける決まりとなっています。
しかし、実際の取調べでは取調官の方もあの手この手で情報を引き出そうとする中で、何をどこまで話し、その内容を黙秘すればいいのか、という疑問は常に残ることでしょう。
また、形式上黙秘権が認められていると説明する一方で、「こんな話で黙秘権を使った人はこれまでいなかった」「黙秘権を使うなら勾留が長引くだろうね」などと、ともすれば黙秘権を否定するような話しぶりをする取調官がいることも現実です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
これまで、逮捕・勾留された方の取調べについて、数多く対応して参りました。
当事務所の弁護士は、身柄を拘束されている被疑者(容疑者)の下へ頻繁に接見に訪れます。
弁護士接見では警察官の立会いなしで話をすることが出来ますので、取調べで聞かれた内容や話した内容をしっかりと確認し、毎回アドバイスを行います。
更に、接見で伺ったお話の中で不適切な取調べがあった場合、早急に抗議や異議申し立てを行う必要があります。

神奈川県横浜市泉区にて、ご家族が覚せい剤を営利目的で輸入したことで逮捕され、黙秘権を行使していると聞き弁護士をお探しの方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

神奈川県横浜市南区のストーカー事件②

2019-06-05

神奈川県横浜市南区のストーカー事件②

【ケース】

詳細は、昨日のブログをご覧ください。

神奈川県横浜市南区にて、Aが好意を持ったVに対し、拒まれたにもかかわらず約120回も電話をかけたり、Vの住むアパートの周りをウロウロしたりといった行為を繰り返す事件です。
Vは禁止命令等を申し出て、禁止命令等が下されましたが、それでもつきまとい等を繰り返したAはストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)違反で逮捕されました。

(フィクションです。)

【つきまとい等・ストーカーへの対応】

昨日付のブログにて、「ストーカー行為=つきまとい等を反復して行う」というご説明を致しました。
以下では、ストーカー被害に遭った場合に警察官がどのような措置を講ずることができるのか、ご案内します。
・警告
ストーカー規制法4条1項では、警察本部がつきまとい等に対しての警告を求める申し出を受けた際、実際につきまとい等が行われていて今後もそれが反復される恐れがある場合には、それ以上反復してつきまとい等を行わないよう「警告」が出来ると定められています。

・禁止命令等
各都道府県の公安委員会は、ストーカー規制法3条に規定されている行為があった場合につきまとい等を反復してする恐れがあると認められる場合には、被害者側の申し出や職権により、①さらに反復してつきまとい等を行ってはならないこと、②さらに反復してつきまとい等が行われる事を防止するために必要な事項、を命じることが出来ます。(ストーカー規制法5条1項各号)
これは禁止命令等と呼ばれます。
禁止命令等をするためには、原則として先に被疑者側(加害者側)の意見を聞く必要があります。(ストーカー規制法5条2項)
ただし、緊急の必要性がある場合には、先に禁止命令等をしたうえで、その後15日以内に聴聞を行うということもできます。
禁止命令等の効力は原則1年ですが、被害者側からの申出や職権により、1年ごとに更新することも可能です。

【ストーカーをした場合の罰則規定】

これまで見てきたストーカー行為ですが、この法律に違反してストーカー行為をした場合は刑罰に処される可能性があります。
ストーカー規制法18条では、「ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」と定められています。
ただし、先述の禁止命令等に違反してストーカー行為やつきまとい等を行った場合は、この限りではありません。
ストーカー規制法19条1項では、「禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。」と定められ、同2項では「前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。」と定められています。

【ストーカーで示談】

ストーカー事件では、被害者がいることから、弁護活動の一つに示談交渉が考えられます。
示談交渉は、被害者側が代理人弁護士をつけていない場合は基本的に被害者と直接行う必要があります。
しかし、ストーカー行為をした被疑者(加害者)が被害者と直接示談交渉を行うことは、現実的ではありません。
そこで、弁護士が間に入り、示談交渉を行うことが有効と考えられます。

ストーカー事件のような刑事事件で示談をすることができれば、検察官が被疑者(加害者)を起訴する可能性は低くなります。
また、金銭的な賠償をすることで、被害者の早期救済が望めるだけでなく、被疑者(加害者)にとっては民事訴訟を回避するというメリットもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、ストーカー規制法違反事件をはじめとする「被害者がいる事件」で数多くの示談交渉を行って参りました。

神奈川県横浜市南区にて、ご家族がストーカー規制法違反で逮捕され、示談交渉をお望みの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービスをご利用ください。

神奈川県横浜市南区のストーカー事件①

2019-06-04

神奈川県横浜市南区のストーカー事件①

【ケース】
神奈川県横浜市南区に住むAは、横浜市南区内を中心とした運送業のアルバイトをしています。
ある日、Aが配達のために横浜市南区内のマンションを訪ねたところ、Aの好みのタイプの女性Vが受け取りのために玄関先に出てきました。
AはVに好意を抱き、配達時に利用するラベルに記載されているVの個人情報を勝手に見たうえで、Vに電話をかけました。
電話を受けたVは、配達をしていたAからの連絡と知り、自宅を知られて気持ちが悪いと思い「電話してこないでください」といって切りました。
それでもAは、朝晩構わず、計約120回Vに電話をしたほか、Vの住むアパートの周りをうろつくなどしました。
困ったVは、神奈川県横浜市南区を管轄する南警察署の警察官に相談し、被害届を提出しました。

南警察署の警察官はAの行動を確認したところ、ストーカー行為等の規制等に関する法律に違反する行為であると判断し、Vに説明しました。
そこでVは、ストーカー行為等の規制等に関する法律に基づく禁止命令等の申し出を行い、Aに対する禁止命令等が下されました。
それでもAはVに対する連絡やアパートの周りをうろつく行為を止めなかったことから、南警察署の警察官は、Aを逮捕しました。

Aの家族は、ストーカー行為等の規制等に関する法律違反の場合に示談が可能なのか、刑事事件を専門とする弁護士に無料相談しました。

(フィクションです。)

【ストーカー規制法について】

ストーカーという言葉は、広く一般に利用されている言葉です。
法律上ストーカー行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称、ストーカー規制法)によって何がストーカー行為に当たるか定義され、ストーカー行為を禁止されています。

ストーカー規制法は、平成11年に埼玉県桶川市で発生した桶川ストーカー殺人事件(被害女性が交際中の相手に別れ話をしたところ逆上され、ストーカー行為を繰り返された上に殺人事件に発展したという事件。)を契機に、議員立法によって成立されました。

【ストーカーの定義について】

ストーカー行為とは「同一の者に対し、つきまとい等…を反復してすることをいう」と定められています。(ストーカー規制法2条3項)
そして、「つきまとい等」の定義についてはストーカー規制法2条1項にて以下のような内容の規定をされています。

特定の人に対する恋愛感情や行為の感情、あるいは恋愛が成就しなかったことによる逆恨みのような目的で、行為を抱いた相手やその配偶者、家族等の関係者に対して、下記のようなことをすることを指すとしています。
①(1)つきまとい(2)待ち伏せ、(3)住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近での見張り、(4)住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
②行動を監視していると思わせるような事を言ったり、実際に知り得る状態に置いたりすること。
③面会、交際など、義務のないことを強要すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤(1)無言電話(2)拒否された後も何度も電話をかけたりFAXを送信したり、電子メールの送信等をすること。
⑥汚物、動物の死体など、極めて不快あるいは嫌悪感を催すような物を送付したり、そのような物が見える場所などに置いたりすること。
⑦名誉を害することを言う等のこと。
⑧(1)性的羞恥心を害することを言う等(2)性的羞恥心を害する文書や絵、DVDやBD、データ等といった物を送付する等(3)(2)のデータ等を送信する等。

≪明日のブログに続きます。≫

神奈川県鎌倉市の現住建造物等放火事件

2019-06-03

神奈川県鎌倉市の現住建造物等放火事件

【ケース】
神奈川県鎌倉市に住むAは、鎌倉市にて両親が経営する小さな工場で働いています。
Aは真面目に仕事をしているのですが、時に情緒不安定になってしまうことがありました。
情緒不安定になってしまったときは、癇癪を起こして家や職場を飛び出したり、大声を発したり、物を叩いて壊したりといった行動をとります。

ある日、Aはいつも通り鎌倉市内の工場で仕事をしていたところ、Aの父から仕事の手順について厳しいことを言われました。
その時、Aは情緒不安定になってしまい、工場兼自宅になっている場所に置いていた紙の束にマッチで火をつけました。
Aの父はすぐさま119番通報したため火はすぐに消し止められました。

消防局からの連絡を受けてかけつけた、鎌倉市を管轄する大船警察署の警察官は、Aを現住建造物等放火の罪で現行犯逮捕しました。

Aの家族は、刑事事件を専門とする弁護士に、情緒不安定になったAの刑事弁護活動が可能か、相談しました。

(フィクションです。)

【現住建造物等放火罪について】

ご案内の通り、故意に火をつける行為を放火と呼びます。
刑法における放火は、客体(火をつけた物)が何かによって法律を分けており、各々法定刑も異なります。
客体は、大きく分けて(1)建物か、建物以外か、(2)建物だった場合に①放火した段階で人が住居として使用している、又は人がいる建物か、②放火した段階で人が住居として使用しておらず、現に人がいない建物か、によって異なります。

ケースについて見ると、工場兼自宅に放火しているため、建物であり人が住居として使用している(加えて現に人がいる)と評価されます。
この場合、現住建造物等放火罪に当たる可能性があります。

刑法108条では、「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と規定されています。

現住建造物等放火罪にあたる放火は、人が生活している、あるいは人が現にいる建物に火を放つことで、当該建物や近隣の建物に燃焼して多額の財産や利益が失われるだけではなく、その場にいる人を死傷させる可能性すらある、極めて危険な行為です。
そのため、法定刑も殺人罪と同様の厳しい刑が用意されています。

【情緒不安定な方に対する弁護活動】

刑事事件の加害者になってしまわれた方の中には、知的障碍や発達障碍ではないものの、時折情緒不安定になってしまうという方などがおられます。
また、刑事事件が発生したことで病院に行って初めて、診断名がついたという方も居られます。

ケースのように、時として情緒不安定になってしまう方が逮捕・勾留された場合、ともすればパニックを起こすなどしてコミュニケーションが取りづらくなる場合もあることでしょう。
そのため、情緒不安定になってしまう方に対しての弁護活動では、信頼関係の築き方やコミュニケーションの取り方がとりわけ重要になる場合があります。
そして弁護士は、情緒不安定になってしまうご本人からじっくりとお話を聞いたうえで、ご依頼者様と話をして、今後の方針を固める必要があります。
そのうえで、例えば情緒不安定になっている状況で勾留することは妥当ではなく、診断や治療をするためにも早期に病院へ行く必要があることから、被疑者を早急に釈放するよう求める弁護活動が考えられます。

神奈川県鎌倉市にて、時として情緒不安定になってしまう方が現住建造物等放火罪を起こしてしまい身柄を拘束された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡下さい。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が初回接見を行い、今後の見通しや考えられる弁護活動をご説明致します。

神奈川県座間市の強制性交等罪(強姦罪)が時効に

2019-06-02

神奈川県座間市の強制性交等罪(強姦罪)が時効に

【ケース】
神奈川県座間市在住のAさんは、就職先で知り合ったVさんと親密になり、よくお互いの自宅を行き来しては食事をしたりしていました。
ある日、Aさんは酒に酔ってVさんと性行為をしたいと思い、Vさんが明確に拒否しなかったことからAさん宅で性交に及びました。
その後2人は疎遠になりましたが、5年経ってAさんが別の女性と結婚することになったところ、突然Vさんから連絡がありました。
連絡を受けてAさんがVさんと会ってみると、Vさんは5年前の性行為が強姦だったと主張し、座間市を管轄する座間警察署に被害届を出すと言い始めました。
その場はなんとか収めたAさんでしたが、もし被害届が出されたらどうなるのかと思い、時効のことを含めて弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです。)

【強制性交等罪について】

刑法第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

平成29年の刑法改正により、かつて強姦罪と言われていた罪は強制性交等罪と呼ばれるようになりました。
強制性交等罪となるに当たっては、①肛門性交および口腔性交の追加、②法定刑の引き上げによる厳罰化、③非親告罪化という重要な変更が加えられました。
これにより、被害者の性別に囚われない処罰、強姦事件の重大性の見直し、告訴を行う余裕がない被害者の救済が実現されるに至りました。
上記改正以外の事項は、改正前の強姦罪と同様だと考えられています。

強制性交等罪における「暴行又は脅迫」は、強姦罪と同様、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものでなければならないと考えられています。
ただし、実務上はその場の状況に関する様々な要素が考慮されるため、暴行等の程度が軽いことから直ちに強制性交等罪の成立が否定されるとは限りません。
ちなみに、既に生じている反抗不可能な状態を利用した性交等は、強制性交等罪と法定刑が同じである準強制性交等罪となります。

【強制性交等罪の公訴時効】

罪を犯してから相当程度の月日が経過している場合、その罪について公訴時効が完成している可能性があります。
公訴時効とは、検察官による公訴提起(裁判を行う意思表示)が許される期限を指します。
公訴時効の存在により、検察官は犯罪の終了から一定期間内に公訴提起を行わなければ、もはやその犯罪について裁判を行うことができなくなります。
これを被疑者の側から見ると、犯罪の終了から一定期間を経過すれば、その罪について有罪判決を受けて刑を科される余地はなくなるということになります。

公訴時効の期間は全ての犯罪において一律というわけではなく、犯罪の重大さによって異なる期間が定められています。
具体的には刑事訴訟法250条に定められており、①人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるものと、②それ以外とで分けて規定されています。

有期懲役には20年という上限が存在するため、強制性交等罪の法定刑は5年以上20年以下の懲役です。
そうすると、強制性交等罪は「長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪」(刑事訴訟法250条2項3号)であるため、公訴時効は10年ということになります。
上記事例ではまだ5年しか経過していないことから、強制性交等罪の公訴時効は未だ完成しておらず、起訴の危険があると言えます。
特に、被害届の提出を宣言されているのであれば、昔のことだからと油断せず早めに弁護士に相談すべきです。
時が経っているとなると証拠収集にも様々な影響が及ぶので、早いうちに動き出して損をするということはないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に強い弁護士が、強姦事件においても緻密な弁護活動を行うことをお約束します。
法令の知識はもちろん、取調べ対応や証拠収集などの実務上の知識にも詳しいので、どんな事件でも弊所弁護士なら充実した活動を行うことができます。
もし強姦をしてしまい強制性交等罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(座間警察署までの初回接見費用:38,700円)

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