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リベンジポルノ防止法違反で示談

2019-12-10

リベンジポルノ防止法違反で示談

リベンジポルノをしてしまい、リベンジポルノ防止法違反で捜査を受けている場合の示談交渉等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市旭区在住のAは、横浜市旭区内の専門学校に通う21歳の専門学生です。
Aは、かねてより横浜市旭区在住のVと交際をしていましたが、Vの心変わりを機にVはAに交際を終えるよう迫りました。
Aはショックを受けたと同時に、「自分が不幸になったのだからVのことも不幸になるべきだ」と考え、交際中に撮影した性交渉の最中でVの性器が映っている動画を、Vの友人を含めた不特定多数の人が見られるような方法でSNS上にアップしました。
Vは、Aをリベンジポルノ防止法違反で刑事告訴したため、横浜市旭区を管轄する旭警察署の警察官は、Aをリベンジポルノ防止法違反で逮捕しました。
Aの家族は、リベンジポルノ防止法で被害者と示談をしたいと考え、刑事事件専門の弁護士に示談を依頼しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【リベンジポルノ防止法について】

携帯電話・スマートフォン・タブレット端末の普及や技術の発展により、個人が動画・画像を撮影することが容易になってきました。
これは、人々の生活が便利になっていく一方、用途を間違えると刑事事件に発展する可能性もあります。

ケースについては、AがVの同意の下で性器が映りこむ動画を撮影していますので、撮影行為自体は問題となりません。
また、例えば被害者に対して復縁を迫る目的で動画を公開する、あるいは公開すると告知する等の行為については強要罪・脅迫罪の適用が考えられますが、ケースについてはそれも見られません。
一方で、このように性器などが映りこんだ写真や動画を不特定多数の者に対して提供したり陳列(公開)したりする行為は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(通常・リベンジポルノ防止法)に違反する可能性があります。

リベンジポルノ防止法は、「私事性的画像記録」を①性交又は性交類似行為に係る人の醜態、②他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、③衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものと定義しています。
ケースについては①又は③に当たる可能性があります。
この私事性的画像記録を公然と陳列した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると定められています。(リベンジポルノ防止法3条1項・2項)

【リベンジポルノ防止法違反で示談交渉】

示談とは、加害者が被害者に対して謝罪を行い、必要に応じて賠償を行うことを指します。
弁護士が間に入る場合には示談を証明するものとして示談書という書類を締結することが一般的です。

示談書の内容は加害者―被害者の両当事者間で検討がなされますが、その中では謝罪や賠償金の明記のみならず、相互の接触禁止や加害者側の行動制限、被害者側の被害届取下げや告訴取消等を盛り込む場合も少なくありません。
リベンジポルノ防止法違反については、検察官は「告訴」がなければ公判請求(起訴)することができない非親告罪となるため、起訴される前に告訴が取消されれば裁判になることはないため、弁護士は起訴される前に示談交渉を行い、被害者との間で告訴取消を求める示談交渉を行うことが重要となります。

神奈川県横浜市旭区にて、ご自身やご家族の方がリベンジポルノ防止法違反で刑事告訴をされ、示談交渉について刑事事件専門の弁護士に無料相談したいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部へご連絡ください。

落書きをして刑事事件に

2019-12-09

落書きをして刑事事件に

他人の物や自宅に落書きをした場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市神奈川区在住のAは、横浜市神奈川区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは近隣住民とVの間で騒音についてのトラブルを起こしてしまい、口論になりました。
一夜明けても怒りが収まらないAは、Vの自宅の壁や、駐車場に置いていた自動車等に落書きをしました。

後日、Vは横浜市神奈川区を管轄する神奈川警察署に被害届を出したため、Aは捜査の対象となっています。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【他人の物に落書きをした場合】

・器物損壊罪
ケースについて見たところ、自動車に落書きをする行為については、器物損壊罪に当たる可能性があります。
器物損壊罪というと、何かを破壊するようなイメージをお持ちの方もおられるかもしれませんが、器物損壊罪の言う「損壊」については、単に物の一部または全部を破壊する行為のみならず、効用を損壊した場合にも適用されます。
その為、壊すだけでなく落書きについても損壊とされて器物損壊罪が適用される可能性があります。
刑法261条  前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

・軽犯罪法違反
他人の物に落書きをしたものの、例えば水で洗い流せば落ちるような落書きや、一般人であっても購入できるシンナーや薬品などを利用すれば容易に落ちるような落書きについては、原状回復が容易であるとして器物損壊罪には当たらない可能性があります。
仮に、ケースでAが容易に原状回復ができる程度の落書きをした場合について、器物損壊罪の適用ができない場合でも軽犯罪法に違反する可能性があることになります。

軽犯罪法33条 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者

※その他に、例えば選挙ポスターなどを傷つけた場合や公文書・私文書を傷つけた場合には器物損壊罪や軽犯罪法以外の罪に問われる可能性があります。

【他人の家・マンション等に落書きをした場合】

・建造物等損壊罪
ケースのAは、自動車のみならずV自宅の壁に落書きをしています。
自宅の壁に落書きした場合、器物損壊罪ではなく建造物等損壊罪が適用される可能性があります。
なお、例えば被害者宅の壁などを損壊させた結果住人等が死傷した場合については、建造物等損壊致死傷罪が適用されます。
刑法260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

・軽犯罪法違反
≪詳細は【他人の物に落書きした場合】の欄をご参照ください。≫

【落書き問題について、弁護士に無料で相談】

これまで見てきたとおり、落書きは単なるいたずらに留まらず、刑事事件化し、逮捕されたり刑罰を受けたりする可能性がある罪です。
たかが落書きと高を括るのではなく、弁護士に相談した上で自首・出頭したり、示談交渉等を進めたりする必要があります。
また、罪に問われた場合、それがどのような罪に当たるのかによって裁判での量刑に大きく影響する点にも注意が必要です。

神奈川県横浜市神奈川区にて、他人の物や建物等に落書きをしてしまい、被害届を提出された、あるいは提出されそうという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。
横浜駅近くの事務所にて、刑事事件専門の弁護士とのご相談が無料で行えます。
ご予約は0120-631-881まで。

麻薬などの薬物を所持した場合に問題となる罪

2019-12-06

麻薬などの薬物を所持した場合に問題となる罪

麻薬などの薬物を所持した場合に問題となる罪や刑罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県川崎市麻生区在住のAは、川崎市麻生区内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aはとある休日に友人らと酒を飲んでいたところ、麻生区内に住む友人Xから「良い薬あるよ」と言われました。
Aは禁止薬物だとまずいと思いましたが、同時に怖いもの見たさもあったため、とりあえずもらっておきました。
そのまま鞄に入れてしばらくが過ぎましたが、ある日、川崎市麻生区内を車で走行していたところ川崎市麻生区を管轄する麻生警察署の警察官に停止を求められ職務質問・所持品検査を行ったところ、当該薬物が見つかりました。
鑑定の結果、この薬物は麻薬取締法で所持が禁止されている麻薬であることが判明しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【麻薬とはどのようなものか】

先日、有名人が麻薬を所持していた嫌疑で逮捕・勾留されたというニュースが話題となりました。
麻薬は様々な種類がありますが、医療機関において鎮痛や鎮静などの作用を目的として処方されることもある反面、量や回数などをコントロールしなければ依存症に陥ったり、幻覚や幻聴を引き起こしたりする場合もあり、極めて危険な薬物です。

我が国の麻薬及び向精神薬取締法(通称:麻薬取締法)では、ヘロインやコカイン、MDMA(エクスタシー)、MDA(ラブドラッグス)、LSDなどの成分を有する薬物について、輸出・輸入・製造・譲渡・譲受・譲渡し・所持・使用等を禁止しています。
ケースの場合、麻薬を所持していましたので、麻薬取締法違反の行為に当たります。

麻薬取締法64条の2第1項 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、十年以下の懲役に処する。

【麻薬以外の禁止薬物を自己使用目的で所持した場合の罪】

・大麻
大麻とは、大麻草やその製品を指します。
大麻は液体や固体状の物を様々な方法で体内に取り入れることで、気分が良くなる一方で、乱用することで依存症に陥り、食欲の減退や幻覚が見られるなどといった症状が発生する可能性があります。
大麻は、大麻取締法で所持を禁止しています。

大麻取締法24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

・覚醒剤
覚醒剤は主としてメタンフェタミンの成分を持つ薬物で、摂取することで多幸感を得られたり頭が冴える感覚に陥る一方、乱用することで依存症に陥りやすく、脱力感や疲労感が生じます。
また、使用を続けることで幻覚や妄想が現れたりすることもあり、自らの命を危険にさらしたり他人の命を奪ったりする可能性もあるため、大変危険です。
我が国では、覚せい剤取締法で覚せい剤の所持や使用を禁止しています。

覚せい剤取締法14条1項 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。

・シンナー
シンナーは塗料を薄めることで粘度を下げるために用いられる有機溶剤で、工事中の作業場や新築の建造物などできつい臭いがすることもあるかと思います。
このシンナーは、中枢神経麻痺作用があり、酒に酔ったような感じになると言われています。
昭和40年代には、シンナー遊びが流行し、シンナーを袋に入れて吸い込む若者が増加して社会問題になりました。
シンナーを乱用すると依存性が見られるほか、集中力や判断力が低下したり幻覚や妄想の症状が出るなど、危険な状態に陥ります。
シンナーに含有されるトルエンなどの成分は毒物及び劇物取締法の定める「劇物」にあたり、吸入目的での所持を禁止しています。

毒物及び劇物取締法3条の3 興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する毒物又は劇物(これらを含有する物を含む。)であつて政令で定めるものは、みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持してはならない。
同法24条の3 第三条の三の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

このほかにも、我が国では所持等が禁止されている薬物がございます。
神奈川県川崎市麻生区にて麻薬などの禁止薬物を所持していて捜査の対象になった、あるいはご家族が逮捕されたという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

未成年者が特殊詐欺で出し子

2019-11-30

未成年者が特殊詐欺で出し子

20歳未満の未成年者のお子さんが特殊詐欺事件でいわゆる出し子の役割をしていた場合の手続きの流れや弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市戸塚区在住のAは、横浜市戸塚区内の高校に通う高校生です。(未成年者)
Aは、同級生である横浜市戸塚区在住のXから「先輩から誘われたバイトで、楽なのに1万円貰えるぞ」と誘われました。
お金が欲しいと考えたAは、Xの先輩の指示に従い、受け取ったキャッシュカードを持って横浜市戸塚区内の銀行にあるATMへ行き、予めメモを受け取っていた暗証番号を入力してキャッシュカードの残金全額を下ろしました。
そして下ろした金を封筒に入れ、指定された住所に普通郵便で郵送しました。
その後もAは金儲けのため、上記の行為を4回に亘り繰り返しました。

後日、横浜市戸塚区を管轄する戸塚警察署の警察官がAの自宅に来て、Aを特殊詐欺の出し子をしたことを理由に通常逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【詐欺罪について】

詐欺罪に当たる行為とは、①加害者が被害者を騙すことにより(欺罔行為)、②被害者が騙されてしまい(錯誤)、③被害者が加害者に金品を渡したり財産上の利益を与えたりする行為があって(財物の交付)、④①~③に因果関係が認められた場合に成立する犯罪です。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

【特殊詐欺とは】

上述しましたとおり、詐欺罪は相手を騙してお金等を交付させる行為です。
その為、被害者と加害者の間で面識がある場合が考えられます。

しかし、近年報道されている振り込め詐欺等の事件では、面識のない不特定多数の者に対して連絡を取り、錯誤に陥った者や錯誤に陥る可能性のある者を対象に詐欺行為をはたらくケースが見られます。
これらの事件を特殊詐欺と呼び、各都道府県の警察署や警察庁は注意を呼び掛けています。

この特殊詐欺事件は一人で全て行う事件は少なく、大抵は「架け子」「受け子」「出し子」と言った役割分担がなされています。
ケースについては、仲間からキャッシュカードを受取り、それを利用して現金を出しているだけなので、一見すると詐欺罪には問えないように思えますが、特殊詐欺に計画段階から加担していたり、キャッシュカードが特殊詐欺によって得られたものである、あるいは何らかの不正な手段で受け取ったキャッシュカードであるという認識があれば、特殊詐欺の共犯者として罪に問われる可能性があります。
そして、特殊詐欺は上記のような性質上、お金に困っている若者などに声をかけて利用される場合が多く、主犯格は捕まらず受け子や出し子をしただけの若年層が逮捕される場合が少なくありません。

【少年でも逮捕される】

少年法上の少年とは、20歳未満の男女を指します。
少年は、手続き上成人の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。
しかし、捜査段階では成人と同じ手続きがとられる場合が少なくありません。(勾留に代わる観護措置等、一部例外はあります。)

そのため、捜査に必要であると捜査機関・裁判所が判断した場合、たとえ少年であっても逮捕され、勾留される場合があるのです。
とりわけ特殊詐欺の出し子などであれば、共犯者が他にいることから、共犯者同士の口裏合わせ等による証拠の隠滅が考えられるため、逮捕・勾留され、接見禁止が付くことも考えられます。

神奈川県横浜市戸塚区内にて、少年である未成年のお子さんが特殊詐欺の出し子をしたっことで逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

放火をした場合に問題となる罪

2019-11-29

放火をした場合に問題となる罪

昨今報道等で話題となっている「放火」をした場合に問題となる罪やその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県三浦郡葉山町在住のAは、三浦郡葉山町内にて生活している年金受給者です。
Aは夫Vと共に生活しているのですが、Vは寝たきりの状態であるためいわゆる老老介護を行っていました。
そして、Aについても心身ともに疲弊し、軽度の認知症との診断を受けました。

ある日、AはVから「介護が出来ていない。」「これまで誰のおかげで生きてこられたと思っているんだ」等といった罵詈雑言を浴びせられました。
そこでカッとなったAは、寝たきりのVがいる自宅の入り口にストーブ用の軽油を撒き、ライターで火をつけました。
近隣住民が放火に気付き通報した結果、三浦郡葉山町を管轄する葉山警察署の警察官は、Aを現住建造物等放火罪で現行犯逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【放火についての罪】

ご案内のとおり、本年京都にて戦後最悪の放火殺人事件が発生しました。
日常生活に必要不可欠な「火」ですが、ともすれば自分や他人の生命を奪いかねない極めて危険な凶器にもなり得ます。
当然、我が国の刑法等は放火を処罰対象としていますが、放火した物が何かによって適用される罪が異なります。

・現住建造物等放火
ケースや京都で発生した放火事件のように、人が住んでいる住宅や人が仕事をしている職場などに放火をする行為は現住建造物等放火罪という罪に当たり、殺人罪同様の厳しい処罰規定を設けられています。
つまり、結果的に幸いにも死傷者が生じなかった場合であっても、殺人をした場合と同様の刑事処罰を受ける可能性があるということになるのです。

刑法108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

・非現住建造物等放火
人が住んでおらず、且つその時点で人がいない場所に放火した場合には非現住建造物等放火罪が適用されます。
これは、独身の方が自分の家に放火した場合や、他人を殺害してその証拠隠滅を図る目的等で家に放火した場合に適用されます。
ただし、公共の危険を生じさせずに(例えば、隣近所が遠く離れていて延焼の心配がない場合等)自分が所有する建造物に放火する行為は不可罰となります。

刑法109条1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
同条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

・建造物等以外放火
上記(現住建造物等放火罪・非現住建造物等放火罪)に当てはまらない物を放火した場合には、建造物等以外放火罪が適用されます。
ただし、こちらについても公共の危険を生じさせなかった場合には不可罰となります。

刑法110条1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
同条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

・森林法違反
放火した対象が森林だった場合、刑法ではなく森林法に違反する場合があります。
森林に放火する行為は、木の性質上燃えやすいことや木々が密集しているために燃え広がる可能性が高く、立地によっては消火活動も容易ではないため、極めて危険な行為です。

森林法202条1項 他人の森林に放火した者は、二年以上の有期懲役に処する。
同条2項 自己の森林に放火した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
同条3項 前項の場合において、他人の森林に延焼したときは、六月以上十年以下の懲役に処する。
同条4項 前二項の場合において、その森林が保安林であるときは、一年以上の有期懲役に処する。

【放火の罪で弁護活動】

繰り返しになりますが、放火は極めて危険な犯罪で、処罰も重いものになっています。
中でもケースのような現住建造物等放火罪については、裁判員裁判対象事件となっています。
ケースについて言うと、弁護士は逮捕後今後の見通しの説明や取調べでの対応についてのご説明をするほか、釈放・保釈を求める弁護活動を行います。
また、裁判になる可能性が極めて高いため、法廷で例えばAについては認知症の診断を受けているところ、放火をした時点で自分の行動を理解していたのか(責任能力の問題)や、責任能力があった場合には老老介護による疲れ等といった情状面を主張するといった弁護活動が考えられます。

神奈川県三浦郡葉山町にて、ご家族が現住建造物等放火で逮捕されて刑事事件を専門とする弁護士をお探しの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

ソープランド(性風俗)の営業で刑法犯に?

2019-11-28

ソープランド(性風俗)の営業で刑法犯に?

ソープランド等の性風俗営業を行う場合に問題となる法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市磯子区在住のAは、横浜市磯子区のとあるマンションの一室にて、完全予約制のいわゆるソープランドを営んでいました。
しかし、それについて行政への届出を行っていなかったため、違法なソープランドという形で営業をしていたことになります。

横浜市磯子区を管轄する磯子警察署の警察官は以前からAのソープランドをマークしていて、いわゆる内偵捜査を行っていました。
そして、警察官は証拠が固まったとして、Aを風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風俗営業法)違反で通常逮捕しました。
Aの家族は、自宅に突然警察官が来たため、すぐに刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【性風俗営業で問題となる法律について】

街中でしばし、いわゆる性的な風俗営業をしている店舗を見かけることがあるかと思います。
性風俗営業は仕事として行われているという点で憲法22条の定める職業選択の自由によって保護されています。
一方で、誰でもどこででも営業して良いというのでは青少年の健全な育成やまちづくりといった観点から望ましくありません。
そういった事情などを踏まえ、我が国では、性風俗店舗を開設する際にはある程度の規制を受けます。

・「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(通称:風俗営業法・風営法・風適法)
性風俗に限らず、風俗営業(一部のバー・喫茶店、キャバレー、麻雀店、パチンコ・スロット店、接待飲食等営業等)については、風俗営業法上の許可や届出を要します。
ケースのような俗に言うソープランド(以前はトルコ風呂と呼ばれていたもの)については、風俗営業法上の「店舗型性風俗特殊営業」に定義されます。
店舗型性風俗特殊営業については、風俗営業法上27条1項で届出を要件としています。
この届出について、営業所所在地の都道府県の公安委員会は届出があった旨の書類を交付する必要があるのですが、それには風俗営業法28条1項・2項の定める「禁止区域」(例えば学校・図書館・児童福祉施設等の周辺)ではないこと等のルールがあります。

風俗営業法27条1項 店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、店舗型性風俗特殊営業の種別に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。(以下略)
風俗営業法52条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四 第二十七条第一項、第三十一条の二第一項、第三十一条の七第一項、第三十一条の十二第一項又は第三十一条の十七第一項の届出書を提出しないで性風俗関連特殊営業を営んだ者

・「売春防止法」
我が国では、昭和32年に施行された売春防止法により、対価を支払って性行為をするいわゆる売春行為が禁止されました。
そのため、ソープランド等の性風俗営業店に於て俗に言う本番行為(性行為)をすることは売春防止法に違反します。
そして売春防止法は、①実際に本番行為を行なった当事者だけでなく、②売春をさせたり売春をしていることを知っていながら資金提供や場所の提供する行為も禁止されています。
そして、②については処罰規定が設けられています。

売春防止法12条 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
同法13条1項 情を知つて、第十一条第二項の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、五年以下の懲役及び二十万円以下の罰金に処する。
同法13条2項 情を知つて、前条の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。

このように、神奈川県横浜市磯子区にてソープランド等の性風俗営業を行っている中で刑事事件化する可能性がある、又は刑事事件化してしまったという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

ひき逃げ事件で自首

2019-11-27

ひき逃げ事件で自首

車やバイクで走行中、歩行者や車等に接触する事故を起こして逃走するいわゆるひき逃げ事件となり、自首を検討する、という場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県相模原市緑区のAは、相模原市緑区にて自営業をしています。
ある日の深夜、Aは相模原市緑区にて営業を行ったのち、自家用車で相模原市緑区内の自宅に帰ろうとしている最中、相模原市緑区内の公道にて横断歩道ではない場所に於て近所に住む高齢者Vが車道を渡ろうとしていたものの、Aはそれに気づかずにブレーキをかけずVを撥ねてしまいました。
衝突したことでVに初めて気が付いたAですが、パニックになってその場から逃走を図りました。
しかし、一晩寝て冷静に考えたところ、これはひき逃げ事件になってしまうと考え、相模原市緑区を管轄する津久井警察署に自首しなければならないと思い立ちました。
そこでAは、当日でも無料相談ができて、自首した場合のメリット―デメリットや今後の見通しについて説明してくれる刑事事件専門の弁護士を探し、無料相談を依頼しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ひき逃げ事件について】

・救護義務違反
日常生活でひき逃げという言葉を耳にすることは多いと思われますが、これは法律用語ではありません。
一般的にひき逃げとは「事故についての通報等を行わず」その場から逃走する行為を指します。

自動車やバイクの運転免許証を取得された方が自動車教習所等で必ず説明を受けるのが、運転者の救護義務です。
自動車等を運転する際、もちろん人身事故を起こさないようにすることが最も大事なことですが、万が一人身事故を起こしてしまった場合、運転手には被害者を救護する義務が課せられています。
ひき逃げをするということは事故の現場から逃走を図ることですので、救護する義務を果たさなかったということになります。
救護義務を怠る行為は道路交通法違反となり、刑事処罰の対象となります。

道路交通法72条1項 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。(以下略)
同法117条1項 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

なお、救護義務違反・報告義務違反は結果的に被害者が怪我をしなかった場合にも適用されます。

・過失運転致傷罪
過失運転致傷は、運転手の注意不足によって歩行者や自動車・バイク等に衝突してしまい、歩行者や衝突を受けた車両に乗車していた方が怪我をした場合に適用されます。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

【自首とは?】

自首という言葉も一般的に知られている言葉ですが、これは法律用語です。
自首は刑法42条1項で「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減刑することができる。」と定められています。
つまり、捜査機関が捜査を行った結果被疑者を特定する前の段階で、被疑者が自ら事件についての申告を行うことで、裁判において罪が軽くなる場合があるということです。
その他にも、自首することで逮捕のリスクを下げる等のメリットもございます。

自首はその要件が複雑であるため、刑事事件専門の弁護士にご自身の行為が自首に当たるのかを確認されることをお勧めします。
神奈川県相模原市緑区にて、ひき逃げ事件をおこしてしまい自首を検討している方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

強姦事件で同意を主張して否認

2019-11-26

強姦事件で同意を主張して否認

相手と性交渉をしたものの強姦だと言われ被害届を提出されたり告訴されたりした場合について、自身では同意があったとして否認する場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市緑区在住のAは、横浜市緑区内の会社に勤める会社員です。
Aは、仕事帰りに会社の同僚らと酒を飲んでいたところ、共通の趣味を有する異性のVと話が弾み、Aの自宅で飲みなおそうという話になりました。
そしてAはVと酒を飲みながら話をしていましたが、Vは次第に呂律が回らなくなり、意識が朦朧とし始めました。
Aとしてはその前後のやり取りなどからVと性交渉をしても問題がないと考え、Vの服を脱がせて性交渉を行いました。
性交渉後、Aは寝てしまい、よく朝目覚めたら自宅にVの姿がありませんでした。
その後、横浜市緑区を管轄する緑警察署の警察官が自宅に来て、Aを逮捕しました。
逮捕の際、警察官はAに準強制性交等の罪で逮捕すると説明しましたが、Aは同意の下で性交渉をしたと主張しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【強姦について】

いわゆる強姦は、以前は刑法上も「強姦罪」と規定されていましたが、平成29年の法改正により「強制性交罪」という名称に変更されました。
また、内容についても変更があり、①客体(被害者)が女性ではなく男性でも成立することになった、②検察官は被害者による告訴がない場合にも起訴できるようになった、③法定刑が「3年以上の有期懲役」から「5年以上の有期懲役」となったため、執行猶予付き判決が極めて出にくくなりました。(執行猶予付き判決は執行猶予3年以下でなければ付けることができません。)
強制性交等罪の条文は以下のとおりです。

刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者のも、同様とする。

また、ケースについて見ると、暴行や脅迫などをしていないもののVが酒に酔っている状況に乗じて性交渉を行ったと考えられます。
相手が拒絶できない状況で性交渉をした場合については、準強制性交等という罪に当たり、強制性交等罪と同じ扱いを受ける可能性があります。

刑法178条2項 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

【否認事件について】

否認事件とは、被疑者や被告人が被疑事実を認めていない状況の事件を指します。
否認には、そもそも犯人が別にいるという犯人性否認や、自身の行為が罪に当たらないことを主張する否認など様々です。

実際にやっていない事件の嫌疑をかけられた場合に否認することは当然のことのように思えます。
しかし、否認事件の場合には被疑者・被告人にとって事実上の不利益が生じる可能性があります。
例えば、認め事件であれば在宅捜査が進められるにもかかわらず、否認事件では証拠を隠す恐れや逃亡する恐れがある等の理由により逮捕・勾留される可能性があります。
また捜査機関は、否認事件で客観証拠が少ない場合等には自白調書を作成したいと考えることも少なくないため、より厳しい取調べが行われる可能性があります。
実際の裁判でも、我が国では刑事裁判の99%以上が有罪判決であるため(もちろん、この数字には認め事件が多く含まれていますが)無罪判決を獲得することは極めて難しいです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部には、否認事件でのご依頼についても少なからず寄せられてきます。
否認事件では、認め事件以上に必要な弁護活動がある上、早期の対応が必要となります。
神奈川県横浜市緑区にて強姦をしたことにより強制性交等罪、あるいは準強制性交等罪の嫌疑をかけられていて、逮捕されそう、あるいは既にご家族がそのような状況で逮捕されているが否認を続けているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

神奈川県横浜市中区の強制わいせつ事件

2019-11-25

神奈川県横浜市中区の強制わいせつ事件

接吻行為が強制わいせつ罪に当たるのか、お子さんが強制わいせつ罪に問われている際に学校に連絡が行くのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市中区在住のAは、横浜市中区内の高校に通う高校生です。
ある日Aが横浜市中区内にある公園を散歩していたところ、好みのタイプの女性V(横浜市中区在住)を目撃しました。
AはVに対して声掛けをするいわゆるナンパ行為をしましたが、Vは相手にしませんでした。
その際Aは、突然Vに対してキスをして、すぐにその場を離れました。

Vからの被害届を受理した横浜水上警察署の警察官は、捜査の結果Aを強制わいせつ罪で逮捕しました。
その後、弁護士による早期の身柄解放の結果Aは釈放されましたが、Aの両親は、Aの高校に事件についての連絡が行くことを心配しています。

(フィクションです。)

【キスをして強制わいせつ?】

強制わいせつ罪の条文は下記のとおりです。

刑法176条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

ケースについて見ると、「暴行又は脅迫を用いて」いるのかについては疑問が生じるかもしれません。
これについて、強制わいせつ罪の場合は被害者の意思に反してわいせつ行為を行なうに足りる程度の暴行であれば足りると考えられていて、それによると被害者の隙をついてわいせつ行為を行なうことも含まれます。
また、強制わいせつ罪の言う「わいせつな行為」には、陰部や女性の乳房を揉むような行為、下着のうえから臀部(お尻)をなでる行為等の他に、ケースのようなキスをする行為もわいせつな行為として強制わいせつ罪が適用される可能性があります。

なお、成人の強制わいせつ事件の場合、強制わいせつ罪の法定刑が「六月以上十年以下の懲役」しか用意されていませんので、弁護活動などが無かった場合は公判請求されて裁判になる可能性が極めて高いです。
また、少年の強制わいせつ事件の場合、事件の状況や回数、少年の生活環境などを検討した結果、観護措置決定が下されて鑑別が行われる可能性があります。

【学校への連絡について】

中学生、高校生のお子さんが強制わいせつなどの少年事件を起こした場合に保護者の方がご不安に思われる点の一つに事件の内容が学校に連絡されるか否かということがあるでしょう。

まず、学校に連絡が行くタイミングとしては、①捜査機関が捜査に必要と判断した場合、②学校・警察相互連絡協定に基づく場合、③家庭裁判所の調査官が学校照会をかけた場合などが考えられます。
例えば、学校内で発生した少年事件であれば、①の理由で捜査機関は学校に連絡する可能性が高いでしょう。
また、学外の事件で捜査に直接関係がない場合であっても、②の制度から(公立の中学校・高校を中心に)警察官から学校に連絡が行く場合が少なくありません。
これは、少年の再犯防止や健全育成のために行われているそうです。
その他、③の理由として、少年事件が家庭裁判所に送致された後、少年が事件前後でどのような生活を送っていたのかを確認する必要がある場合に行われます。

少年事件について学校に連絡が行くことによるメリットもありますが、少年にとって不利益になる場合も少なくありません。
そのため弁護士は、少年事件についての連絡が学校に行かないような対応を講じる必要があります。
例えば、学校へ連絡をすることによるデメリットを主張するほか、学校以外の第三者に評価を受ける方法について検討します。
また、実際に学校に連絡が行ってしまった場合でも、弁護士が直接学校に連絡して補足説明や状況報告を行うことで学内での不利益を可能な限り取り除く活動が考えられます。

神奈川県横浜市中区にてお子さんが強制わいせつ事件を起こしてしまい、学校に連絡が行くことに懸念を抱いている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に無料相談してみてはいかがでしょうか。

初回のご相談は無料です。(事務所にご来所して頂いてからのご相談となります。)
ご予約は:0120-631-881まで。

強盗致傷罪で執行猶予②

2019-11-23

強盗致傷罪で執行猶予②

強盗致傷罪執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
前回の記事では強盗致傷罪について説明したので、今回は執行猶予について説明します。

【ケース】

Aは、神奈川県横浜市緑区内の公園を散歩していたところ、ベンチの上にブランド物の財布が置いてあることに気づきました。
そこで、周囲に人がいないのを確認し、財布を持って足早にその場を去ろうとしました。
そうしたところ、背後から「何してるんですか。それ私の財布ですよ。」という声が聞こえ、その直後に掴んでいた財布に手を掛けられました。
Aさんはパニックになり、声の主Vさんから財布をひったくって逃走しました。
これにより、Vさんはバランスを崩して転倒し、全治1週間程度の怪我を負いました。
この件でVさんから被害届を受けた緑山警察署が捜査を開始し、後日Aさんは強盗致傷罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に執行猶予になる余地がないか尋ねました。
(フィクションです。)

【執行猶予の概要】

執行猶予とは、有罪となった場合に言い渡された刑について、その執行を一定期間猶予する制度のことです。
たとえば、「懲役3年、執行猶予5年」であれば、裁判の確定後(判決言い渡しの2週間後)から5年間は懲役刑を受ける必要がなく、執行猶予が取り消された場合にその日から3年間懲役刑を受けることになります。

執行猶予は裁判官の裁量により付されるものですが、そもそも執行猶予を付するかどうかの判断ができる事件自体が法律上限られています。
具体的には、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が言い渡される事件です。
その事件について、更裁判官が事件の内容や被告人の反省の程度などの事情を考慮して執行猶予に付するかどうかを決めることになります。
ちなみに、前科がある場合については執行猶予のハードルが一気に高くなり、内容次第では法律上執行猶予を付することができなくなります。
執行猶予というのは更生の余地があるか見るものなので、今回の事件のみで判断が下されるわけではない点に注意が必要です。

【強盗致傷事件において執行猶予となる余地はあるか】

強盗致傷罪の法定刑は無期または6年以下の懲役であり、その下限は執行猶予を付することができる「3年以下の懲役」を超過しています。
だからといって、執行猶予がつく可能性がないかというとそうではありません。

まず、有罪となった場合に言い渡される刑は、犯した罪の法定刑の範囲に限られるわけではありません。
たとえば、被害者との間で示談が成立している場合、被告人に刑の減軽を認めるべきだとして言い渡される刑の範囲が軽くなる可能性があります。
詳しくは刑法に規定されていますが、強盗致傷罪であれば示談の成立により刑の下限が3年の懲役となる可能性があります。

また、検察官の判断によりますが、最終的に裁判の対象とする罪が軽くなることもあります。
たとえば、逮捕の段階では強盗致傷罪だったものが、捜査の進展や裁判での証明の困難さなどにより起訴の段階で強盗罪になるというかたちです。
このように元の罪より軽い罪で起訴されると、責任を負う罪が変わることにより、執行猶予の可能性は高まります。

以上のように、たとえ逮捕の段階では重い罪が疑われていたとしても、事件の内容や進展次第では執行猶予の可能性が残っていることがあります。
まずは諦めずに弁護士に相談してみることが賢明だと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、執行猶予の獲得を目指して力の限りを尽くします。
ご家族などが強盗致傷罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

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