神奈川県逗子市の脅迫・強要・恐喝・強盗事件
【ケース】
神奈川県逗子在住のAは、逗子市内の飲食店にて給仕などを担当している正社員です。
Aは、逗子市内の飲食店でいつも通り仕事をしていたところ、飲食店を利用していた逗子市内在住の客Vが酒を飲みすぎて泥酔してしまいました。
そして、Vは飲食店の玄関先で嘔吐してしまい、Aをはじめとした従業員は処理を迫られました。
腹が立ったAは、泥酔しているVの胸倉を掴み、「てめえのせいで商売あがったりだ。店先で吐かれては来るはずの客も来ない。100万円請求するぞ。」と言い、Vが100万円も持っていないと言ったところ「なら財布にあるだけのお金を渡せ」と言いました。
Vは恐ろしくなり、また、飲酒の影響で判断も鈍っていたため、財布に入っていた現金7万円をAに渡しました。
後日、逗子市を管轄する逗子警察署の警察官は、Aを通常逮捕しました。
Aの家族は、Aの行為が脅迫罪に当たるのか、強要罪にあたるのか、恐喝罪にあたるのか、強盗罪に当たるのか分からず、担当している刑事事件・少年事件専門の弁護士に質問しました。
(フィクションです。)
【ケースで考えられる罪について】
①金銭等が絡まない罪
≪脅迫罪について≫
刑法222条1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
脅迫罪は、相手を脅すことで成立する罪です。
脅迫罪は、相手に危害を与える旨の発言をする(害悪の告知と言います。)場合に適用される罪です。
時に「殺してやる」「ぶん殴ってやる」などと簡単に言ってしまう方も居られますが、その言動・行動が脅迫罪にあたる可能性があるので注意が必要です。
また、たとえ上記のように強い言い方でなくても、抗争中の相手に対して火災にあったわけでもないのに出火見舞いを送る行為が脅迫罪にあたるとした判例がございます。
≪強要罪について≫
刑法223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
強要罪は、脅迫罪のような「害悪の告知」に加えて、義務のないことをさせる、あるいは権利行使を妨害する、といった場合に成立する罪です。
別れ話をされた際にアベックである相手に対して「別れるなら殺してやる」「別れるなら交際中に撮った写真を次にできた彼氏・彼女に送り付けてやる」と言った場合や、一時期店員に土下座をさせる行為などがインターネット上で話題になっていましたが、これは強要罪にあたる可能性が高いです。
また、強要罪にあたる罪を目的として結果が伴わなかった場合には、強要未遂罪が問われます。
ただし、「義務のないこと」に金銭を交付する(渡す)等の行為は含まれません。
②金銭が絡んでくる罪
≪恐喝罪について≫
刑法249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
恐喝罪は、単なる脅迫にとどまらず、財物(お金等)を渡させる、あるいは借金などの債務を帳消しにさせる等の場合に成立します。
また、恐喝罪にあたる行為をしようとしたものの財物が得られなかった等の場合には、恐喝未遂罪が成立します。
≪強盗罪について≫
刑法236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
強盗罪は「暴行又は脅迫」を用いて他人の財物を取る行為を指します。
強盗罪も恐喝罪も、暴行や脅迫を加えることで相手のお金などを取るという点で似ています。
強盗罪と恐喝罪の違いは、暴行や脅迫の程度によるとされています。
例えば、激しい暴行を加えた、あるいは包丁などの刃物・拳銃などを使うことによって相手のお金などを取った場合、強盗罪が適用される可能性が高いです。
一方で、軽度の暴行や脅迫によって相手のお金などを取った場合、恐喝罪が適用される可能性が高いです。
また、強盗をしようとしたもののそれを遂げなかった場合は強盗未遂罪が適用されます。
ケースの場合、AはVに対してお金を要求して受け取っていますので、恐喝罪又は強盗罪が適用される可能性が高いです。
そして、過度の暴行や脅迫を加えていないと判断されれば、強盗罪ではなく恐喝罪が適用されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
自身の行為が恐喝罪にあたるか、強盗罪に当たるかについては、刑事事件を専門とする弁護士にその見通しを聞くことをお勧めします。
神奈川県逗子市にて、ご家族が起こした事件が脅迫罪・強要罪・恐喝罪・強盗罪のいずれにあたる事件なのか分からないという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見をご利用ください。