保護責任者遺棄致死事件で裁判員裁判

保護責任者遺棄致死事件で裁判員裁判

未成熟の子どもに対するネグレクトをして、子どもが亡くなってしまった場合の保護責任者遺棄致死事件での裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAは、横浜市保土ヶ谷区内の会社に勤める会社員です。
Aは再婚相手であるXと、Xの実子である3歳のV3人で生活していましたが、AはVのことを好ましく思っていませんでした。
そこで、Xが出張中にAとVが二人の二人きりになった7日間、AはVに全く食事を与えず風呂にも入れさせない、いわゆるネグレクトの状況に追いやりました。

出張から帰ってきたXは、自宅で死亡しているVを見つけ、警察に通報しました。
駆け付けた横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官は、Aのネグレクトで餓死した可能性があるとして捜査を進め、後日Aを保護責任者遺棄致死罪で通常逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【保護責任者遺棄致死罪について】

保護責任者遺棄致死罪は、保護を必要とする者を保護の無い状態にさらすことにより、死に至らしめた場合に成立する罪です。
保護を必要とする者については刑法218条に列挙されている①老年者②幼年者③身体障害者④病者が対象となります。

ケースについてはVが3歳ですので、②が問題となります。
幼年者(あるいは老年者)は年齢だけで決まるものではなく、「扶助を必要とする」者なのか否かによって判断されますが、一般的には7~8歳未満の者についてはこれに当たると考えられています。
そして、連れ子とはいえVの母親であることから、Aには保護する責任があると評価されます。
幼年者であるVは自分で食事を用意することなど出来ないため、保護責任者であるAがVに食事を与えなければならないにも関わらずネグレクトをしているため、保護責任者遺棄致死罪が適用されます。
保護責任者遺棄致死罪の法定刑は3年以上20年以下の懲役です。

刑法218条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

 同219条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 同205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

【裁判員裁判について】

裁判員裁判の制度が出来てから久しいため、その存在を知っている方も多いでしょう。
我が国では、どのような事件でも裁判員裁判になるわけではなく、刑事事件で且つ重大な事件でのみ適用されます。
重大な事件は、ケースの保護責任者遺棄致死罪のほか、殺人罪や強盗致死傷罪、営利目的の覚せい剤密輸などの事件などがあります。

裁判員裁判は、3人の職業裁判官(普段から裁判官として働いている裁判官)とは別に、一般人の裁判員6人の計9人で合議が組まれます。
裁判員は「衆議院議員の選挙権を有する者」の名簿の中から無作為抽出された候補者のなかから、検察側、弁護側立ち合いのもと選出されます。

裁判員裁判では通常の刑事裁判とは異なる手続きが加わるだけでなく、一般人である裁判員をも相手に説明をする必要があるため、言葉遣いを変えたり分かりやすい言葉に言い換える等してできる限り裁判員に理解してもらえる説明が必要となります。
よって、裁判員裁判になる可能性がある事件では、当初から刑事事件専門の弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて、ご家族の方が子どもに対するネグレクトをして保護責任者遺棄致死罪で逮捕された場合、まずは刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

刑事事件専門の弁護士が初回接見に行き、裁判員裁判での見通し等についてご説明致します。

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