男性が男性に対して肛門性交なしで強姦?

2019-12-27

男性が男性に対して肛門性交なしで強姦?

男性が男性に対して性的な暴行を加えた事件で,肛門性交(いわゆるアナルセックス)を行っていなくても強姦事件に発展した場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県小田原市在住のAは,小田原市内の会社に勤める男性会社員です。
Aは,休日にSNSサイトを利用して男性と出会い,そこで出会った男性とアナルセックスをすることが少なからずありました。

事件当時も,Aは出会いサイトで出会った初対面の男性VをAの自宅に呼び,アナルセックスをしようとしました。
しかし,Vはアナルセックスをすることを断ったため,逆上したAは自分の性器を出し,Vに「咥えろ」「痛い目にあいたくないだろう」等と言い,Vの髪の毛を掴んで自分の性器を咥えさせるいわゆるフェラチオ行為を強要しました。
その後AはVを口止めした上で行為を終了しました。
後日,Vは友人らと相談した上で神奈川県小田原市を管轄する小田原警察署の警察官に相談したところ,強制性交等罪で被害届を提出することを勧められました。
そしてVは強制性交等罪で被害届を提出し,それを受理した小田原警察署の警察官は,Aを強制性交等罪で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【強制性交等罪(旧:強姦罪)について】

従来強姦罪として処罰対象となっていた強姦行為は,2017年6月の刑法改正により強制性交等という罪になりました。
法改正に伴い,主として以下の点で変更がなされました。

①被害者の対象拡大
強姦罪では,「十三歳以上の女子を姦淫した者」を処罰の対象としていましたが,強制性交等罪では「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をした者」と変更されました。
これにより,男性が暴行や脅迫を用いてアナルセックスやフェラチオ行為をされた事件についても,強制性交等罪で処罰することが出来るようになりました。

②非親告罪に変更
従来強姦罪は告訴が無ければ検察官が起訴することが出来ませんでした。
被害届や告発については,要するに「このような事件がありましたよ」ということを警察などの捜査機関に発信することですが,告訴は被害者をはじめ一定の地位にある人が「このような事件があった(被害を受けた)ため,被疑者を厳しい処罰を下して欲しい」という処罰感情を表すことになります。
告訴は要件が厳しく捜査機関も受理したがらない傾向にあると言われていますが,被害届はそのハードルが下がる形になります。

強制性交等罪は非親告罪となったため,告訴なしでも被害申告をすることが出来るため,検察官は起訴しやすくなりました。

③法定刑の引き上げ
強姦罪は法定刑が「懲役3年以上」となっていましたが,強制性交等罪は「懲役5年以上」に引き上げられました。
これは,法定刑の下限が単に2年引き上げられたというだけでなく,執行猶予が獲得し辛くなったという点で問題となります。

執行猶予という言葉はよく耳にすると思われます。
執行猶予は,有罪ではあるが一定期間その刑の言渡しを猶予するという制度です。
この執行猶予はいつでも付けられるわけではなく,刑法25条1項に当てはまる場合に検討されます。

刑法25条1項 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

強制性交等罪の法定刑には懲役刑しか定められていないのですが,下限が5年と定められているため,情状弁護などによる酌量減軽により下限以下の懲役刑の言い渡しを受けなければ執行猶予は付けられず,実刑になります。

被害者が女性の場合でも男性の場合でも,強制性交等事件は非常に重大な事件です。
神奈川県小田原市にて,強制性交等罪で被害届を提出された方,提出される可能性がある方がおられましたら,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡下さい。

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