Archive for the ‘財産事件’ Category
偽造切符を使い逮捕
偽造切符を使い逮捕
国土交通省職員が偽造した切符を使って逮捕されたという事件がありました。
【独自】鉄道局職員 偽造切符で乗車か 「青春18きっぷ」容疑認める
Yahoo!ニュース(フジテレビ)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~偽造切符使用で成立する犯罪は?~
この事件は、鉄道事業者を指導・監督する立場の国土交通省鉄道局の職員が、偽造した「青春18きっぷ」を使って電車に乗った疑いで逮捕されたというものです。
乗車したJR石川町駅(神奈川県)では気付かれませんでしたが、降車した東京駅の改札で駅員に気付かれて逮捕されたということです。
上記職員は、偽造有価証券行使罪と詐欺未遂罪の疑いで逮捕されています。
まずは偽造有価証券行使罪の条文を見てみましょう。
刑法
第163条1項
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
こちらが偽造有価証券行使罪の条文です。
有価証券とは、チケット・切符・金券・サービス券など、金銭的価値のある券などのことを言います。
偽造した青春18きっぷを使ったことは、「偽造…の有価証券…を行使」したということになるので、この犯罪が成立するわけです。
なお、その後の捜査で、逮捕された職員自身が切符を偽造したとみられているとのこと。
そうなると、有価証券偽造罪という別の犯罪も成立し、より重く処罰される可能性があります。
第162条1項
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
今回逮捕された職員も、今後、有価証券偽造罪にも問われることになるでしょう。
~詐欺罪・詐欺未遂罪~
続いて、詐欺罪や詐欺未遂罪の条文を見てみましょう。
第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
246条が詐欺罪の条文です。
中でも1項が、物やお金をだまし取った場合の条文で、2項は人をだまして財産的利益を得た場合の条文です。
今回の事件では、物やお金をだまし取ったのではなく、運賃の支払いを免れるという財産的利益が関係しているので、2項が問題となります。
そして、250条が未遂罪の規定です。
未遂の段階で処罰するかどうかは犯罪により異なりますが、詐欺・背任・恐喝など、刑法37章に規定されている犯罪は、未遂の段階で処罰されうることになります。
一般的には、未遂罪の方が処罰は軽くなります。
なお、今回は降車駅の改札で気が付かれたので、詐欺に成功していないということで詐欺未遂罪での逮捕となっています。
しかし、乗車駅で駅員を騙し、鉄道に乗って移動できたので、未遂ではなくすでに詐欺罪が成立しているという考え方もあり、裁判例が分かれています。
今回の事件でも、結局、詐欺罪で処罰を受ける可能性もあるでしょう。
~弁護士にご相談下さい~
逮捕された後の手続きの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。
あなたやご家族が、何らかの犯罪で突然逮捕されると、いったいどんな罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、被害者との示談はできるのか、取調べではどう受け答えしたらよいのか、勤務先からの処分はどうなるのかなど、不安だらけだと思います。
今後の見通しをご説明させて頂きますので、まずはお早めに、弁護士にご相談いただければと思います。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
親子3人が空き巣で逮捕
親子3人が空き巣で逮捕
親子3人が住居侵入窃盗で逮捕されたという事件がありました。
中学生の息子と両親を空き巣の容疑で逮捕…家族で犯行か 静岡・沼津市
Yahoo!ニュース(静岡朝日テレビ)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~空き巣を繰り返す~
この事件は、男子中学生とその両親が、静岡県内にある他人の住居に侵入し、キャッシュカードや現金約8000円が入った財布を盗んだ疑いで逮捕されたというものです。
この中学生と父親は先月、別の窃盗事件で逮捕され、証拠品を調べる中で、今回の事件が明らかになったということです。
この男子中学生は、他の場所でも現金約120万円と腕時計などを盗んだ疑いもあり、警察は、父親が指示をしたのではないかとみて捜査を進めているとのことです。
このように、空き巣を行った人や、それを指示した人は、住居侵入罪と窃盗罪に問われる可能性があります。
刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
特に窃盗罪の上限は懲役10年です。
犯行の回数や被害金額、侵入方法、実質的な首謀者なのかどうか、前科があるか、といった事情により結果は大きく変わって来ますが、長期間の刑務所暮らしとなる可能性も否定できないということになります。
ただし、今回の男子中学生の場合は、家庭環境の問題で、やむを得なく犯行をしたことが予想されます。
制度上、少年院などに入る可能性もありますが、児童養護施設などの福祉施設に入るという流れも十分考えられます。
今後、本人がしっかりと生きていくことができるよう、社会が手を差し伸べていく必要が極めて高いと言えます。
~犯罪は誰でも犯しうる~
この男子中学生は、一般的な家庭に生まれ育っていれば、犯罪に手を染めた可能性は低いでしょう。
しかし、家庭環境の悪さという、本人の意志とは関係ない理由により、犯罪をしてしまったことになります。
また、現在、特に不自由ない環境で生活している人であっても、たとえば、交通事故を起こして人を死傷させてしまい。自動車運転処罰法違反に問われるといったこともありえます。
このように、状況さえ整ってしまえば、誰でも犯罪をしてしまう可能性があるのです。
~お早めにご相談下さい~
あなたやご家族が、何らかの犯罪をしたとして突然逮捕されたり、事情聴取のために警察に呼び出されたといった場合、いったいどんな犯罪をしたのか、逮捕されるのか、逮捕されたらいつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けることになりそうか、被害者にはどうやって謝罪・賠償したらいいのかなど、わからないことだらけだと思います。
具体的な事情をお伺いした上で、今後の見通しをご説明したり、どのように動いて行くべきかアドバイス致しますので、ぜひお早めに弁護士にご相談下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
万引きで逮捕【窃盗罪】
万引きで逮捕【窃盗罪】
万引きをして窃盗罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【事例】
神奈川県横浜市に住むAさん。
お金を持っているにもかかわらず、誘惑にかられ、万引きを繰り返していました。
ある日、いつものように店員の目を盗み、商品をカバンに入れたAさん。
しかし、いわゆる万引きGメンがその様子を見ていました。
店の出口を出たところで、
「お客さん、会計してないでしょ!?」
と声をかけられたAさん。
店の事務所に連れて行かれ、駆け付けた神奈川県戸部警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~窃盗罪に問われる~
いつもしているように、万引きをしようとしたAさん。
今回は万引きGメンに見つかり失敗に終わった上、逮捕されてしまいました。
万引きは失敗に終わってはいますが、窃盗未遂罪ではなく、窃盗罪が成立する可能性が高いのですが、なぜでしょうか。
条文を見てみましょう。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
これが窃盗罪の条文です。
他人の財物を「窃取」(セッシュ)という、あまりみなさんが聞いたことのない言葉が使われていますが、簡単に言うと、他人が占有している物を、勝手に自分の占有下に移すことをいいます。
どの時点で自分の占有下に移ったと言えるかは状況によることになります。
たとえば、あまり大きくない商品であれば、カバンに入れてしまえば、未会計の商品が入っていることは周りから見てもわかりませんから、そのまま持ち帰ることが容易です。
したがってカバンに入れた時点で、勝手に自分の占有下に移したとして、窃盗罪が成立してしまうでしょう。
その後に、店員やGメンに声をかけられて失敗に終わったとしても、窃盗罪がすでに成立した後の事情にすぎません。
~クレプトマニア(窃盗症)~
Aさんのように、お金があるにもかかわらず、万引を繰り返してしまう状態のことを、クレプトマニア、または窃盗症と言います。
万引きが成功した時の達成感などから、悪いことだと分かりつつも、万引がやめられなくなってしまうのです。
薬物などと同様、依存症のような状態になってしまうわけです。
万引きの場合、たとえば初犯だと不起訴処分や罰金処分、2回目が執行猶予付きの懲役刑、3回目が実刑判決といったように、だんだんと重い結果となっていくことが多いです。
クレプトマニア・窃盗症になってしまうと、どんどん重い刑罰を受けることにつながってしまうのです。
少しでも軽い結果となるためには、被害店舗に弁償することの他、クレプトマニア・窃盗症の専門的なカウンセリングや治療を行っている病院を受診するなど、改善に向けて努力している姿勢を、検察官や裁判官に見せることが重要です。
そこで弁護士としては、示談締結に向けて被害店舗と示談交渉する他、専門的なカウンセリングや治療を行っている病院をご紹介することもあります。
こういった弁護活動により、今回の事件で不起訴処分などの軽い結果となる可能性を高めるだけでなく、真に更生して、再犯を防ぐお手伝いも致します。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、今後の流れがわからずに不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談をご利用ください。
常習的な万引き事件
常習的な万引き事件
万引きなどの窃盗事件を繰り返し行った場合の刑事上の問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事件】
神奈川県横浜市港北区在住のAさんは、これまでに何度も万引きをして窃盗事件の被疑者となっていて、うち2回については窃盗罪で起訴されて懲役刑を受けています。
刑務所から仮釈放により出所したAさんですが、それから1週間と経たないうちに横浜市港北区内のコンビニエンスストアで万引きをしてしまい、店員に止められ通報を受けて臨場した横浜市港北区を管轄する港北警察署の警察官に逮捕されました。
逮捕の連絡を受けAさんの家族は、横浜市内で刑事事件を専門としている弁護士に初回接見を依頼しました。
(事件は全てフィクションです)
【窃盗累犯】
Aさんはコンビニで万引きを行いました。
ご案内のとおり、万引き行為でまず検討される罪は窃盗罪です。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
しかし、Aさんは過去2度にわたって窃盗罪により懲役刑を受けています。
Aさんのように犯罪を繰り返すことを一般的には再犯と呼ぶことが多いですが、刑法上、そのような再犯と似た概念として累犯(法律上の累犯)があります。
刑法第56条第1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
つまり、法律上の累犯は一般的にいうところの再犯の中でも、
①懲役の執行が終わった日,または
②懲役の執行が免除された日
の日の翌日から5年以内にさらに罪を犯して有期懲役に処せられた場合をいいます。
①の懲役の執行が終わった日とは,刑期が満了した日という意味です。
②の懲役の執行が免除された日というのは,懲役刑の言い渡しを受けたものの執行猶予期間を満了して刑罰権が消滅した日などが当たります。
犯罪を繰り返したからと言ってすぐさま累犯と扱われるわけではありません。
しかし、前述の用件を満たして法律上の累犯と扱われる場合、言い渡される刑罰は重くなります。
刑法第57条
再犯の刑は,その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。
この規定により、窃盗罪の法律上の累犯になった場合では法定刑の上限は10年以下の懲役ではなく20年以下の懲役となります。
なお、累犯と評価された場合には罰金刑にはならず、必ず有期懲役となります。
20年以下の懲役となるというのはあくまでも上限(長期)がそうなるということであって、実際に言い渡される刑期(量刑)はこれまでの被告人の生活や今回の犯行の内容などを総合的に考慮した裁判官の評価によって変わります。
窃盗罪の場合、刑法典に定められた再犯加重規定のほかに、盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(通称として盗犯等防止法といいます)の中に常習累犯窃盗罪(盗犯等防止法第3条)が規定されています。
常習累犯窃盗罪の構成要件は
Ⅰ.過去10年以内に3回以上6月以上の懲役刑を受けた(執行が免除された場合を含む)者が
Ⅱ.常習として窃盗を行うこと
となっています。
常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。
有期懲役の上限は20年なので、3年以上の20年以下の懲役ということになります。
Aさんは過去2度にわたって窃盗罪で懲役刑を受けています。
今回のコンビニでの万引きを行った日が少なくとも最後に受けた懲役刑の刑期満了日から5年以内であった場合,刑法第57条の規定によって刑が加重されることが考えられます。
また,世間で一般的に言われる,ただ単に犯罪を繰り返すことという意味での再犯に当たるAさんが不起訴や執行猶予を得られる可能性は限りなく低いです。
ただし,早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することによって,Aさんが再び刑務所に入らなければいけなくなるリスクを下げることができます。
窃盗の被害額が少額であること,被害者との間に示談が成立していること,前回の懲役刑の執行満了日や執行猶予期間満了日から期間が開いていること,そのほか考慮すべき事情があることなどの事実を積み重ねることで,執行猶予を得られる可能性をわずかでも高めることができます。
よって,再犯あるいは法律上の累犯に当たるような場合であっても,早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することの重要性は依然として高いです。
また,窃盗は精神的な病気が原因であることによって本人だけでは再犯を止めることができない場合もあります。
窃盗事件を多く経験した弁護士は,そのような状態からの改善のお手伝いをすることもできます。
万引き等窃盗の再犯者となってしまった方,常習累犯窃盗罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県港北警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
逮捕・勾留されている場合は弁護士が警察署等に接見に向かいます。(有料)
酒に酔って他人の物を持ち帰ったらどんな罪?
酒に酔って他人の物を持ち帰ったらどんな罪?
酒に酔って他人の物を持ち帰る行為がどのような罪に当たるか、そしてどのような弁護活動が考えられるか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市中区在住のAは、横浜市中区の会社に勤める会社員です。
ある日Aは横浜市中区内で飲酒をした上で泥酔した状態で自宅に帰りました。
翌日、部屋で目を覚ましたAは、自室に自分の物ではない鞄があることに気が付きました。
二日酔いの頭で前日の記憶を呼び起こしたところ、恐らく落とし物を拾ったような気がしました。
Aは怖くなり、鞄を自室の押し入れに隠しました。
しかし後日、横浜市中区を管轄する横浜水上警察署の警察官がAの自宅に来て家宅捜索を行い、鞄や事件当時の衣服・靴などの押収を行いました。
Aは、自身がどのような罪に問われるか、刑事事件専門の弁護士に相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【他人の物を持ち帰ることで問題となる罪】
ケースのように、酒に酔って気が付いたら他人の物を持って帰ってしまった、という事例は少なからずあり、弊所でもご相談を受けることが暫しございます。
もしそれが友人同士での問題であれば直ぐに解決するかもしれませんが、まったく知らない他人の物を持ち帰った場合等では被害届を提出され、捜査を受ける可能性があります。
では、このように酒に酔って他人の物を持ち帰った場合にはどのような罪に当たるでしょうか。
①遺失物横領罪
遺失物横領罪とは、落とし物等を拾って自分のものにするという、いわゆるネコババが対象となる罪です。
条文は以下のとおりです。
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金もしくは科料に処する。
「遺失物」というのは、占有者の意思に反してその占有を離れた物を意味します。
つまり、持ち主などが置き忘れたり落としたりした物が対象になります。
また、「横領」とは他人の物等を不法に自分のものにする行為を意味します。
②窃盗罪
窃盗罪は、ご案内のとおり他人の物を盗む行為です。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
では、どのような場合に①あるいは②が適用されるのでしょうか。
まず①については、基本的に落とし物、忘れ物があります。
例えば、被害者である持ち主も酒を飲んで酔っている等して公共の場所に落としたり忘れたりしたという場合は①の遺失物横領罪に当たると考えられます。
一方で、②の窃盗罪について、たとえば持ち主が自分の近くの椅子においていたが、トイレに行った隙に持ち去った、といった場合には間違いなくこの罪に当たることでしょう。
その他に、例えば持ち主がバーなどで鞄を忘れていたときに持ち帰った場合、①にあたるようにも見えますが、すぐに取りに戻ってきた場合等であれば未だ持ち主の実力的支配内にあったとして占有を認められる場合もありますし、バーの経営者の占有を認めることが考えられ、遺失物横領罪ではなく①の窃盗罪を適用される可能性があります。
遺失物横領罪と窃盗罪は、遺失物横領罪の法定刑が「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金もしくは科料」であり窃盗罪の法定刑が「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と、刑罰に大きく開きがあります。
よって、酒に酔って他人の物を持ち帰ったことが遺失物横領罪にあたるのか、窃盗罪に当たるのかという点は非常に大きな問題です。
とはいえ、その判断は容易ではありません。
ご自身がそのような嫌疑をかけられている場合、刑事事件を専門とする弁護士に無料相談することをお勧めします。
神奈川県横浜市中区にて、ご自身が酒に酔って他人の物を持ち帰ったことで遺失物横領罪や窃盗罪の捜査対象になっている、という方がおられましたら、まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に無料相談されてはいかがでしょうか。
ご予約用フリーダイヤル:0120-631-881
お子さんの万引き事件で学校対応
お子さんの万引き事件で学校対応
20歳未満のお子さんが万引き事件で逮捕された場合の学校対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市戸塚区在住のAは、横浜市戸塚区内の高校に通う17歳です。
Aは恋人に格好良いところを見せたいと思い、横浜市戸塚区内のリサイクルショップにて、自分の小遣いでは買えない洋服を複数回、計3万円分万引きしてしまいました。
在庫整理で万引きに気が付いたリサイクルショップは、横浜市戸塚区を管轄する戸塚警察署の警察官に相談をした上で被害届を提出しました。
戸塚警察署の警察官は、捜査の結果Aが被疑者である可能性が高いとして取調べを開始しました。
Aの保護者は、万引きをしたことが学校に連絡されるのか、連絡された場合の対応は可能なのか、刑事事件・少年事件専門の弁護士に無料相談をしました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【少年の万引き事件について】
ケースのような万引き事件が窃盗罪に当たることは、ご案内のとおりです。
窃盗罪は刑法235条で以下のように規定されています。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
20歳以上の者が万引きなどの窃盗事件を起こした場合、裁判になったり略式手続により(1カ月以上)10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑に処される可能性があります。
一方で、ケースのような20歳未満の少年については、成人事件とは異なる少年事件としての手続が行われます。
少年事件の場合、懲役刑や罰金刑といった刑罰を受けることはありません。(検察官送致(いわゆる逆送)の場合を除く。)
しかし、捜査機関は原則として、捜査した後の少年を家庭裁判所に送致しなければなりません。
家庭裁判所では、少年本人や保護者の方との面談を行ったり少年の心理状態の調査を行った上で、必要な場合に少年審判が行われます。
少年審判では、家庭裁判所の裁判官が不処分のほかに保護観察処分、各都道府県知事又は児童相談所長送致、少年院送致、検察官送致等の判断を下します。
処分の判断については、単に当該事件の問題だけではなく、少年の非行歴や保護者の方の監督体制など様々な調査結果を踏まえてなされます。
【学校対応で弁護士に依頼】
ここまで見てきた少年事件で問題となる点の一つに、所属する学校や会社との関係があるでしょう。
少年事件では、警察官などによる捜査段階や家庭裁判所の送致後の調査段階で、学校への連絡や照会が行われる場合があります。
まず捜査段階について、神奈川県では学校警察連携制度というものがあるため、県立学校(高等学校・中等教育学校・特別支援学校)については、警察から学校へ連絡が行くことが多いです。
次に調査段階では、少年が学校でどのような生活態度をとっているのかなどが重要になるため、家庭裁判所の調査官から学校に連絡が行く場合があります。
学校が少年事件について把握した場合、少年の教育に一層力を入れてくれることも考えられますが、退学を勧められるような場合もあります。
そのため付添人弁護士としては、捜査機関や家庭裁判所に対して学校への連絡をしないよう求めることや、学校に事件が発覚した場合に学校側に対してしっかりと説明を行い退学の必要性がないこと等を主張していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの少年事件を担当してきており、学校対応についても経験がございます。
学校対応については、事件後すぐに行うことが望ましいです。
神奈川県横浜市戸塚区にて、未成年のご家族が万引きで取調べを受けている、あるいは今後受ける可能性がある場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
少年事件の見通しや、学校対応について丁寧にご説明致します。
取調べでの黙秘権について刑事弁護士に質問
取調べでの黙秘権について刑事弁護士に質問
ワンクリック詐欺を繰り返した事件で、取調べでの黙秘権がどのような意味を持つのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市多摩区在住のAは、川崎市多摩区の会社に勤める会社員です。
Aは生活苦からキャッシングなどで多額の借金を負っていました。
そこで、インターネットに詳しい友人と一緒にワンクリック詐欺のサイトを立ち上げ、そのURLを違法に購入したメールアドレス帳を用いて無作為に送信しました。
URLのリンクをクリックした場合、「ご登録ありがとうございます。」というメッセージが出て、「1週間以内に指定口座に会員登録料金5万円を振り込まなかった場合法的措置を取ります」として振込口座を書いていました。
その結果、メールを受け取った人の中から6人の者がメールを見て、それぞれが5万円を振込んだため、Aらは計30万円を手に入れました。
後日、被害者から被害届を受けた川崎市多摩区を管轄する多摩警察署の警察官は、Aらをワンクリック詐欺で逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【ワンクリック詐欺について】
ワンクリック詐欺は架空請求詐欺の一種です。
架空請求詐欺には、法務省を謳ったハガキ・封筒を送りつけてきたり、ケースのようにアダルトサイトに登録したと見せかけて支払わなければ法的措置を講ずるといった脅しをかけてきたりといった手法で、ありもしない契約をあるかのように見せて、契約する意思がない人に金を振り込ませる手法の詐欺です。
最近では現金を振り込ませるのではなく、ウェブマネーカードに振り込みをさせたり通販サイトのギフト券等を購入させ送らせたりして、利益を得る場合もあります。
これらの行為は詐欺罪に当たります。
詐欺罪は刑法246条1項と同2項があり、条文は以下のとおりです。
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
同2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
ケースのようなワンクリック詐欺では、料金を直接振り込ませたりギフト券を遅らせたりした場合については「財物を交付させた」として1項詐欺が、プリペイドカードの番号を伝えて指定した振り込まさるような場合は「不法に利益を得た」として2項詐欺が、それぞれ成立します。
【黙秘権とは】
黙秘権という言葉は広く一般に知られている言葉かと思います。
改めてご説明すると、被疑者には自分の意思に反して何も言わなくて良いとされるものです。
法的には、憲法38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められているほか、刑事訴訟法では刑事訴訟法198条2項で「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ自己の意思に話して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められています。
つまり、取調べで被疑者には黙秘権という権利が憲法上保障されていて、検察官や警察官は取調べを行う前に被疑者に黙秘権があることについて説明しなければならないと定められているのです。
黙秘権を使うことで考えられるメリットとしては、
①主観面での争いがある(故意の有無が罪状に大きく影響する)場合などで、捜査機関に有利な調書を作成されない。
②主観面以外の証拠収集が困難な場合(捜査機関が客観証拠を収集できない状況にある)に被疑者にとって不利な証拠が作成されない。
③被疑者が事件についての記憶が曖昧な状態(うろ覚えな状態)で供述をしないことで、不合理な供述調書の作成を避けることが出来る。
といった点が挙げられます。
一方で、黙秘権を行使することで、取調べがより厳しいものになったり、身体拘束の判断を行う際に事実上の不利益な理由になる可能性があるというデメリットがあることも事実です。
黙秘権を行使すべきか否かについては事案によって判断が分かれるため、刑事事件専門の弁護士から説明を受けることをお勧めします。
【取調べ対応は刑事弁護士に依頼!】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、ご依頼いただいた事件での取調べ対応についても積極的に行っています。
在宅でこれから取調べを受ける方については勿論のこと、既に身柄を拘束されている方については早急に取調べ対応を行う必要があると考えられます。
神奈川県川崎市多摩区にて、ご家族の方がワンクリック詐欺で逮捕・勾留されていて、黙秘権についてお知りになりたい方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
担当事務が24時間365日受付をしています。
少年の下着泥棒で釈放
少年の下着泥棒で釈放
20歳未満の少年が、他人の家に干してあった下着を泥棒したという事件で、逮捕された少年を釈放するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県茅ヶ崎市在住のAは、茅ヶ崎市内にある会社に勤める19歳の会社員です。
Aはある日の仕事から終わって帰宅している最中、茅ヶ崎市内の路上にて、一軒家の塀越しに女性ものの下着が干してあることに気が付きました。
Aは深く考えず、玄関から庭に入って干していた下着を盗んで家に持ち帰りました。
その後Aは何度か下着泥棒を繰り返していましたが、下着を盗まれたVは下着泥棒の被害に遭ったことに気が付き、茅ヶ崎市を管轄する茅ヶ崎警察署の警察官に被害届を提出しました。
その後の茅ヶ崎警察署の捜査により、Aによる犯行であることが発覚したため、茅ヶ崎警察署の警察官はAを下着泥棒をしたことにより通常逮捕しました。
Aの家族は、Aが逮捕されたと聞き刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に釈放を依頼しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【下着泥棒で成立する罪】
下着泥棒をした場合の罪には、以下のようなものが考えられます。
①住居侵入罪
AはVの家の庭に入っています。
これは、住居侵入の罪に当たる可能性があります。
住居侵入罪の条文は以下のとおりです。
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
「正当な理由」とは「違法に」という意味であり、下着泥棒目的で侵入する行為は「正当な理由」に当たりません。
また、ケースのAが入った庭のような塀で囲まれた場所を法的に「囲繞地(いにょうち)」と呼びますが、囲繞地についても「住居」に含まれます。
②窃盗罪
下着泥棒ということで、他人の物を盗む行為になります。
これは、窃盗罪に当たります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
③事後強盗罪
仮に、Aが下着泥棒をしている最中に目撃者が現れたとして、その人から捕まえられないようにしたり通報されないようにしたりする目的で相手に暴行を加えた場合、②より罪が重い事後強盗罪にあたる可能性があります。
事後強盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
同236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪と市、五年以上の有期懲役に処する。
【少年が逮捕された場合の釈放】
20歳未満が違法行為を起こした場合には成人の場合とは異なる少年事件として、手続きが進められていきます。
ただし、捜査段階では成人事件と同様の扱いがなされることも少なくありません。
少年が逮捕された場合、釈放されなければ勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に送致される場合を除き、警察署内の留置施設に身柄を拘束されることが一般的です。
留置施設の状況は警察署により異なりますが、原則雑居房になるため成人の刑事事件を起こした人と接触するという点で少年の教育上良くない話を聞く機会があるかもしれません。
一方で独居房の場合はほとんど誰とも話をしない生活になるため、とりわけ少年の場合には孤独に耐えかねるという方も多いでしょう。
少年を精神的苦痛から解き放つという点でも、捜査段階でしっかりと弁護士と打ち合わせをして取調べに挑む必要があるという点でも、少年事件では可能な限り早急に釈放を求める弁護活動を行う必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、未成年者であるお子さんが逮捕されたことで釈放を求める弁護活動をお求めになる方も多くおられます。
少年事件では、早期の釈放を求めるためにも、逮捕された後直ぐに早期に弁護士を付けることをお勧めします。
神奈川県茅ヶ崎市にて、未成年者であるお子さんが下着泥棒をしたことにより逮捕・勾留され、釈放を求める弁護活動をお求めの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
キャッシュカードを売って逮捕?
キャッシュカードを売って逮捕?
銀行のキャッシュカードや通帳を他人に売ったり渡したりした場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市中区で飲食店に勤務するAには借金がありました。
借金の返済のために借金を繰り返すという状況だったAですが、遂に借金が返済できなくなり、インターネット上で「ブラックリストの方歓迎!即日融資」と書かれたサイトにアクセスして登録しました。
その後すぐに連絡が来て、「指定された銀行のキャッシュカードを指定された場所に送ることで10万円をお渡しします。」と言われました。
そこで、Aは自宅近くの銀行に行って口座を新設して、そのキャッシュカードを指定された場所に送りました。
更にその数日後、再びAに連絡が来て、「あなたの口座に10万円を振り込みました。」と言われました。
AがATMに行って通帳記帳をしたところ、知らない名義から162万円の入金があり、その後数日に分けて150万円がキャッシュカードにて引き出されていました。
Aは銀行に行ってキャッシュカードを紛失したとして、解約して現金12万円を受けとりました。
ところが後日、横浜市中区を管轄する山手警察署の警察官が自宅に来て、Aを逮捕しました。
逮捕された旨の連絡を受けたAがどのような罪に問われるのか、刑事事件を専門とする弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【キャッシュカードや通帳を売ってしまった場合の罪】
ケースのように、融資などを装って通帳やキャッシュカードを送らせるという事件が発生しています。
しかし、送ってしまった通帳やキャッシュカードは、最終的に振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺に使われる蓋然性が極めて高いのです。
つまり、知らないうちにそれらの犯罪を手助けしてしまっているのです。
そのような事情もあり、通帳やキャッシュカードを渡す行為自体が罪に問われる可能性があります。
①詐欺罪(特殊詐欺の目的を知っていた場合)
仮に「相手が特殊詐欺に利用する」ということを知ってい乍ら手助けなどをした場合、特殊詐欺についての共謀共同正犯・幇助犯になる可能性があります。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
②詐欺罪(銀行で新規口座を開設した行為)
相手の目的を知っていると否とに関わらず、「自分が使うつもりはないのに、銀行を騙して口座を新規開設して通帳やキャッシュカードを交付させた」場合には、詐欺罪が適用されます。
銀行口座を開設した経験のある方はお判りでしょうか、銀行口座は名義人が利用することを目的に開設することを前提としていて、約款などに明記されているほか、行員から確認されることもあります。
自分が使わないにもかかわらず銀行で通帳やキャッシュカードを交付させる行為は相手を欺罔する行為に当たり、銀行を錯誤に陥れて財物(キャッシュカード・通帳)を交付させているため、詐欺罪に該当します。
③犯収法違反(通帳やキャッシュカードを売った・渡した行為)
たとえ②のように口座の新規開設をしておらず、自分が使っていた口座の通帳やキャッシュカードであっても、他人に売ったり譲渡したりする行為は犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称、犯収法)に違反します。
該当条文は以下のとおりです。
犯収法28条1項 他人になりすまして特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるものを譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。(以下略)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまでキャッシュカードや通帳を渡してしまった、あるいは口座情報を教えてしまったという詐欺事件・犯収法違反事件での弁護活動についても経験がございます。
神奈川県横浜市中区にて、ご自身がキャッシュカードや通帳を売ってしまった、渡してしまった、あるいはご家族がそのような罪で逮捕されているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
執行猶予中の万引き事件 執行猶予は取消されるのか?
執行猶予中に万引き事件を起こすと執行猶予は取消されるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
◇執行猶予中の犯行◇
横浜市鶴見区に住む主婦のAさんは、令和元年12月1日、横浜簡易裁判所で、万引き(窃盗罪)の件で「懲役10月 4年間執行猶予」の判決の言い渡しを受けました。
しかし、Aさんは、それから4か月後の令和2年4月1日、横浜市鶴見区のスーパーで万引きをしたとして保安員に現行犯逮捕され、スーパーに駆け付けた警察官に身柄を引き渡されました。
一方、逮捕の通知を受けたAさんの夫は、妻が逮捕されてしまったことから執行猶予が取り消されて刑務所に行かなければならないのではないかと心配になり、刑事事件に強い弁護士に、Aさんとの接見を依頼することにしました。
(フィクションです)
◇「執行猶予」とは◇
執行猶予とは、被告人(起訴され刑事裁判を受ける人=Aさん)が有罪であることは間違いないものの、被告人に酌むべき事情が認められ、そのまま刑務所に服役させるには可哀そうなため、一定期間、刑務所に行くことを見送ることとし、その一定期間が経過したのちは正式に刑務所に行かなくてよいこととする、という制度のことをいいます。
Aさんは、令和元年12月1日に「懲役10月 4年間執行猶予」という判決を受けています。
この裁判でAさんに酌むべき事情が認められたことから、Aさんは執行猶予付き判決を受けることができたのでしょう。
そして、執行猶予がついたということは、Aさんは「懲役10月」という刑に服さず、社会内での更生が許されたわけです。
そして、その許された期間である4年間を何事もなく無事経過すれば、10か月刑務所に行きなさいという効力が消滅する、これが執行猶予の制度です。
なお、執行猶予期間の起算点は控訴期間(14日間)が経過した日の翌日、つまり確定日からですから、これをAさんの場合にあてはめると令和元年12月15日から(4年間)ということになります。
ということは、Aさんは、今回の万引き時(令和2年4月1日時)はいまだ執行猶予期間中であり、Aさんは執行猶予期間中に万引きを犯したということになります。
◇執行猶予の取消し◇
上記のように、執行猶予というのは、刑務所に行くことを免除したのではなく、あくまで「見送る」こと(猶予すること)にすぎません。
したがって、その執行猶予期間中に万引きなどの犯罪を犯せば、執行猶予が取り消される可能性が非常に高いのです。
刑法は執行猶予が取り消される場合として
①必要的取消し(必ず取消される)
②裁量的取消し(取り消される場合がある)
の2つの場合を定めています。
~必要的取消しについて~
執行猶予が必ず取り消されるのは、執行猶予期間中にさらに罪を犯し、その罪につき
禁錮以上の実刑に処せられた場合(刑法26条1号)
です。
ここで「禁錮以上」とは禁錮のほか懲役を含みますが罰金は含みません。
~裁量的取消しについて~
執行猶予が取り消される可能性があるのは、執行猶予期間中に罪を犯し、
・罰金に処せられた場合(刑法26条の2第1号)
・保護観察の遵守事項を遵守せず、情状が重いとき(刑法26条の2第2号)
などです。
~Aさんの場合は?~
万引きは窃盗罪にあたります。窃盗罪の罰則は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですから、Aさんが今回の万引きで起訴され刑事裁判で有罪とされれば懲役でも罰金でも処罰される可能性があるのです。
そして、懲役で処罰された場合は必要的に前の執行猶予が取り消され、罰金で処罰された場合でも前の執行猶予が取り消される可能性がある、ということになります。
もっとも、以上はAさんが起訴された場合の話ですから、起訴前の逮捕されただけの段階で執行猶予が取り消されるということはありません。
執行猶予期間中に再犯し、執行猶予が取り消されるのを避けたいという方は、今回の事件でまずは不起訴処分の獲得を目指す必要があります。
◇執行猶予中に事件を起こしてしまった方は◇
執行猶予中に事件を起こしてしまった方は、まず刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
『執行猶予中の犯行=実刑(刑務所に服役)』ではありません。
刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士は、わずかな可能性を信じ、お客様を権利を守るために全力で弁護活動を行っております。
執行猶予中の犯行であっても、諦めずに一度ご相談ください。
刑事事件のご相談は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお問い合わせください。