Archive for the ‘暴力事件’ Category

強盗致傷罪で執行猶予②

2019-11-23

強盗致傷罪で執行猶予②

強盗致傷罪執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
前回の記事では強盗致傷罪について説明したので、今回は執行猶予について説明します。

【ケース】

Aは、神奈川県横浜市緑区内の公園を散歩していたところ、ベンチの上にブランド物の財布が置いてあることに気づきました。
そこで、周囲に人がいないのを確認し、財布を持って足早にその場を去ろうとしました。
そうしたところ、背後から「何してるんですか。それ私の財布ですよ。」という声が聞こえ、その直後に掴んでいた財布に手を掛けられました。
Aさんはパニックになり、声の主Vさんから財布をひったくって逃走しました。
これにより、Vさんはバランスを崩して転倒し、全治1週間程度の怪我を負いました。
この件でVさんから被害届を受けた緑山警察署が捜査を開始し、後日Aさんは強盗致傷罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に執行猶予になる余地がないか尋ねました。
(フィクションです。)

【執行猶予の概要】

執行猶予とは、有罪となった場合に言い渡された刑について、その執行を一定期間猶予する制度のことです。
たとえば、「懲役3年、執行猶予5年」であれば、裁判の確定後(判決言い渡しの2週間後)から5年間は懲役刑を受ける必要がなく、執行猶予が取り消された場合にその日から3年間懲役刑を受けることになります。

執行猶予は裁判官の裁量により付されるものですが、そもそも執行猶予を付するかどうかの判断ができる事件自体が法律上限られています。
具体的には、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が言い渡される事件です。
その事件について、更裁判官が事件の内容や被告人の反省の程度などの事情を考慮して執行猶予に付するかどうかを決めることになります。
ちなみに、前科がある場合については執行猶予のハードルが一気に高くなり、内容次第では法律上執行猶予を付することができなくなります。
執行猶予というのは更生の余地があるか見るものなので、今回の事件のみで判断が下されるわけではない点に注意が必要です。

【強盗致傷事件において執行猶予となる余地はあるか】

強盗致傷罪の法定刑は無期または6年以下の懲役であり、その下限は執行猶予を付することができる「3年以下の懲役」を超過しています。
だからといって、執行猶予がつく可能性がないかというとそうではありません。

まず、有罪となった場合に言い渡される刑は、犯した罪の法定刑の範囲に限られるわけではありません。
たとえば、被害者との間で示談が成立している場合、被告人に刑の減軽を認めるべきだとして言い渡される刑の範囲が軽くなる可能性があります。
詳しくは刑法に規定されていますが、強盗致傷罪であれば示談の成立により刑の下限が3年の懲役となる可能性があります。

また、検察官の判断によりますが、最終的に裁判の対象とする罪が軽くなることもあります。
たとえば、逮捕の段階では強盗致傷罪だったものが、捜査の進展や裁判での証明の困難さなどにより起訴の段階で強盗罪になるというかたちです。
このように元の罪より軽い罪で起訴されると、責任を負う罪が変わることにより、執行猶予の可能性は高まります。

以上のように、たとえ逮捕の段階では重い罪が疑われていたとしても、事件の内容や進展次第では執行猶予の可能性が残っていることがあります。
まずは諦めずに弁護士に相談してみることが賢明だと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、執行猶予の獲得を目指して力の限りを尽くします。
ご家族などが強盗致傷罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

強盗致傷罪で執行猶予①

2019-11-22

強盗致傷罪執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回の記事では、強盗致傷罪について詳しく見ていきます。

【ケース】

Aは、神奈川県横浜市緑区内の公園を散歩していたところ、ベンチの上にブランド物の財布が置いてあることに気づきました。
そこで、周囲に人がいないのを確認し、財布を持って足早にその場を去ろうとしました。
そうしたところ、背後から「何してるんですか。それ私の財布ですよ。」という声が聞こえ、その直後に掴んでいた財布に手を掛けられました。
Aさんはパニックになり、声の主Vさんから財布をひったくって逃走しました。
これにより、Vさんはバランスを崩して転倒し、全治1週間程度の怪我を負いました。
この件でVさんから被害届を受けた緑山警察署が捜査を開始し、後日Aさんは強盗致傷罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に執行猶予になる余地がないか尋ねました。
(フィクションです。)

【置き引きから強盗致傷罪に?】

上記事例のように、置き忘れなどにより置いてある物を持ち去る行為のことを置き引きと呼ぶことがあります。
置き引きについては、被害者が被害品を身につけたりしていたわけではないことから、被害品への支配が及んでいたと言えるかどうかが問題となります。
この支配の有無は、成立する罪が窃盗罪になるのか、それよりも軽い占有離脱物横領罪になるのかという点で重要な意味があります。
支配があったかどうかは様々な事情を考慮して判断されますが、たとえば被害者が被害品から離れて間もないということであれば、窃盗罪となる可能性が高いでしょう。

上記事例において、Aさんは強盗致傷罪を疑われています。
この記事をご覧の方の中には、上記事例が強盗致傷罪と言えるほどのものなのか疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
以下では、なぜ今回のようなケースで強盗致傷罪が成立しうるのか見ていきます。

本来、強盗罪は、暴行または脅迫を加えて他人から財産を奪取した場合に成立する罪です。
そのため、窃盗の前に暴行または脅迫を加えていなければ、強盗罪が成立する余地はないように思えます。
ですが、強盗罪に類似の罪として事後後強盗罪というものが存在します。
事後強盗罪は、窃盗罪が以下のいずれかの目的で暴行または脅迫を加えた場合に成立するものです。
・盗んだ物が取り返されるのを防ぐ目的
・逮捕を免れる目的
・罪跡(証拠)を隠滅する目的
上記事例のAさんは、パニックになってはいるものの、財布を確保するか逮捕を免れる目的はあったと考えられます。
そして、財布をひったくるという行為は、不法な有形力の行使として「暴行」と評価される可能性があります。
そうすると、Aさんには事後強盗罪に当たると見込まれます。

事後強盗罪は「強盗として論ずる」とあることから、法定刑や他の罪との関係が強盗罪と同様になります。
他人に死傷の結果を生じさせた場合には、強盗致死傷罪となる余地が生じてきます。
ここでの死傷は、強盗の機会に生じてさえいれば、故意かどうかを問わないと考えられています。
上記事例では、AさんがVさんから財布を取り返されそうになり、それをひったくったことでVさんが転倒して怪我を負うに至っています。
このようなケースでは、強盗の機会に傷害が生じたとして、強盗致傷罪に当たる可能性はあるでしょう。

強盗致傷罪の法定刑は、無期または6年以上の懲役という非常に重いものです。
これに対して、執行猶予獲得のためにどう弁護活動を行うかについては、次回の記事で説明します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、強盗致傷罪を含む様々な犯罪の弁護活動を行います。
ご家族などが強盗致傷罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

神奈川県横浜市保土ヶ谷区の傷害事件

2019-11-11

神奈川県横浜市保土ヶ谷区の傷害事件

傷害事件を起こした場合に不起訴を獲得するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAは,横浜市保土ヶ谷区内にある会社に勤める会社員です。
Aは、会社にて上司Vからいわゆるパワハラを日常的に受けていて、精神的に参っている状況でした。
事件当日もVはAに対して高圧的な態度で無理難題を押し付けてきたところ、Aはついに怒髪冠を衝いてVの胸倉を掴んで横に倒したところ、転倒したVは机に手を打ち付けました。
Vは怒り狂って通報し、駆け付けた横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官はAを任意同行して事情を聴取しました。
その後、Vは病院に行き、全治1週間の擦過創(擦過傷)を負ったという診断を受けました。
Vは、Aから傷害を受けたとして傷害事件の被害届と診断書を提出しました。
Aは在宅で捜査を進められていますが、この事件が不起訴にならないか、刑事事件専門の弁護士に事件を依頼しました。

≪ケースはフィクションです。≫

【傷害事件について】

他人に暴行を加えた結果相手が怪我をしたという場合には、傷害罪が適用される可能性があります。
ケースで出てくる「擦過創(擦過傷)」とは、いわゆる擦り傷を指す診断名です。
ご案内のとおり、小さな擦り傷については放置していても自然治癒しますが、この場合も「傷害」と判断され、暴行罪(刑法208条・法定刑は「二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」)ではなく傷害罪が適用されます。
傷害罪の規定は下記のとおりです。

刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

【事件の流れ】

一般的な事件の多くは警察官が事件についての捜査をして、その事件を検察官に送致します。
身柄を拘束して捜査を行う事件の場合は、逮捕後48時間以内に身柄と書類を検察庁に送致する必要があります。
ただし、検察官送致が完了した後も、検察官の指示などにより追加で捜査を行い、書類を追送します。
一方で在宅事件の場合には時間の制限がないため、警察官はしっかりと捜査を行ってから検察官に書類を送ります。(書類送検)
書類送検までの期間は事件によって大きく異なりますが、数週間から数カ月かかることも少なくありません。

事件を受理した検察官は、書類を確認した上で取調べを行ったり追加で捜査をするよう警察官に命じます。

【不起訴とは】

検察官は、捜査が完了した後に被疑者を起訴するか否かの判断をします。
そして、被疑者を起訴(及び略式起訴)しないという判断を下すことを不起訴処分と言います。
検察官が不起訴処分を下す理由を以下でいくつか列挙します。
・被疑者死亡(被疑者が死亡した場合)
・罪とならず(刑事未成年など、法律に該当しない場合等)
・嫌疑なし(真犯人が見つかった場合等)
・嫌疑不十分(被疑者が犯人であることの裏付けが十分でない場合等)
・起訴猶予(起訴する証拠は揃っていても、検察官の判断で起訴しないと判断した場合等)

このような理由を根拠に、検察官は被疑者を起訴せず不起訴の判断を下すことができます。
不起訴になった場合には刑罰を受けることがなく、前科もつきません。
ただし、一度不起訴の判断を下された事件についても、検察審査会の判断などにより強制起訴される場合もあります。

【不起訴を求めて弁護士へ】

不起訴を求めるための弁護活動は、事件によって異なります。
例えば、被疑者が事件を認めている場合であれば示談交渉などが考えられますし、犯罪の事実や犯人性について否認している場合であればその旨の主張を行う必要があります。

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて傷害事件で在宅捜査を受けている状況で、不起訴を求める弁護活動をお望みの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
事務所にて無料相談を行い、不起訴を求める弁護活動についてご説明致します。

神奈川県川崎市中原区にて心中で失敗

2019-10-11

神奈川県川崎市中原区にて心中で失敗

心中をしようとして失敗した場合に問題となる罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【ケース】
神奈川県川崎市中原区在住のAは、妻Vと2人で生活する年金受給の高齢者です。
Vが10年前に病気になってからというもの寝たきりで言葉も発することができない状態で生活をしており、手伝いができる家族がおらず介護施設に入ってもらう余裕もないAは、ずっとVを介護してきました。
しかし、長年介護を続けた結果自身も病気と腰痛を患ってしまい、介護に疲れてしまいました。
そこでAは、Vが寝ている間に首を締めあげて窒息死させ、自身も三徳包丁で腕首を切って風呂水につけて死のうとしました。
Vを窒息死させるまでは完了したものの、手首を切って風呂水に浸けていたところ、A宅をボランティアで巡回している見守り隊のXがそれを目撃し、Xが要請した救急車で病院に搬送されました。

≪フィクションです。≫

【そもそも心中とは】

心中(しんじゅう)とは、もともと互いに愛し合った男女がそれを確かめるような形で髪を切ったり刺青を彫ったりすることが語源と言われているようです。
しかし、ご案内のとおり今日では心中と言うと相手や家族などと一緒に死ぬことを指します。
近年では、生活保護受給家庭など生活苦から家族全員が死を選択する一家心中や、介護の疲れから親や配偶者などを殺して自分も死を選択する介護疲れの心中などが報道されています。

【心中で問題になる罪】

心中にも様々なケースがあります。
心中のうち、例えばそれぞれが自分の意思でビル等から飛び降りたような場合は、自殺として特に刑罰を受けることはありません。
しかし、心中の相手を先に殺めてから自分も後を追うといった心中の場合、刑事事件に発展することも考えられます。
以下で問題となる可能性がある罪について解説致します。

①自殺関与罪
心中する相手が死亡する意思がないにも関わらず心中を唆したり、心中の際に相手の自殺を手助けしたりした結果相手が死亡した場合は自殺関与罪が適用されます。
自殺関与罪の根拠条文は刑法202条の前段部分です。

②同意殺人罪
心中する相手が死亡する意思があり先に自分を殺めて後追いしてくれと頼まれた場合や、心中する相手の死亡する意思を確認したうえで相手を殺めた場合には、同意殺人罪が適用されます。
同意殺人罪の根拠条文は刑法202条の後段部分です。

刑法202条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

③殺人罪
いわゆる無理心中のように相手が死ぬ意思がない、あるいは乳幼児や高齢者のように意志そのものがない相手を殺害した場合や、追死する気がないのに追死すると偽って相手を殺害した場合には、殺人罪が適用される可能性があります。
ケースについても、Vは言葉を発することができず心中する意思も示していないため、いわゆる無理心中になり殺人罪が適用される可能性があります。
殺人罪の条文は下記のとおりです。

刑法199条 人を殺した者は死刑または無期若しくは五年以上の有期懲役に処する。

ただし、心中を計画・実行した被疑者も死亡したというケースについては、検察官が被疑者死亡などを理由に不起訴とします。

【心中の結果一命を取り留められてら弁護士へ】

心中をしようとして心中相手を殺めたものの自殺が成功しなかった、あるいは自殺を躊躇してしまったという報道は少なからずございます。
その場合、上述のような罪に問われる場合も考えられます。

神奈川県川崎市中原区にて、心中を計画したものの自分だけ助かってしまった等という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

神奈川県川崎市高津区の殺人事件

2019-09-19

神奈川県川崎市高津区の殺人事件

殺人事件で控訴をする、という場合の問題等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県川崎市高津区在住のAは、川崎市高津区にある会社に勤める会社員です。
Aには婚姻を前提に交際をしている川崎市高津区在住のVがいましたが、ある時Vの行動を不審に思ったAが探偵を利用してVの行動を調査したところ、Vが浮気をしていることが発覚しました。
AがVを問い詰めると、Vは「そんな面倒なことを言うなら浮気相手と結婚してもいいんだよ」と言いました。
その言葉に怒ったAは、台所から包丁を持ち出してVを数十か所刺しました。

その後、Aは怖くなって逃走しましたが、Vは消防に通報して駆け付けた救急隊員が警察署に通報し、川崎市高津区を管轄する高津警察署の警察官の捜査によりAを殺人未遂罪で逮捕しました。
後日Vは死亡したため、検察官はAを殺人罪で起訴しました。
そして、一審の裁判官はAに対して懲役7年の判決を言い渡しました。
Aは起訴内容を認めたものの、懲役7年は重すぎると考え、家族を通じて控訴審から対応できる刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。

(フィクションです。)

【殺人罪について】

故意に相手を殺した場合に殺人罪が適用されることはご案内のとおりです。
殺人罪の条文は下記のとおりです。

刑法199条 人を殺したものは死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

【控訴が出来る事件について】

控訴とは、通常地方裁判所又は簡易裁判所で行われた一度目の裁判に対して、14日以内に提起することで不服申し立てを行う制度です。(刑事訴訟法372条)
控訴審は札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡にある高等裁判所又は各高等裁判所の支部にて行われます。

どのような裁判でも控訴が出来るわけではなく、控訴するためには控訴の理由が必要です。
控訴の理由には、下記のような理由が挙げられます。

・法律に従って判決裁判所を構成しなかった場合。(刑事訴訟法377条1号)
・法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与した場合。(同条2号)
・審判の公開に関する規定に違反した場合。(同条3号)
・不法に管轄又は管轄違いを認めた場合。(刑事訴訟法378条1号)
・不法に控訴を受理し、又はこれを棄却した場合。(同条2号)
・審判の請求を受けた事件について判決をせず、または審判の請求を受けない事件について判決を下した場合。(同条3号)
・判決に理由を附せず、又は理由に食い違いがある場合。

・上記の場合を除き、訴訟手続き(刑事訴訟法379条)や法令の適用(同380条)に違反や誤りがあって、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。
・量刑が不当である場合。(刑事訴訟法381条)
・事実の誤認があってその後人が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。(刑事訴訟法382条)
・その他、再審の要件を満たす場合。(刑事訴訟法383条1号)

ケースについては刑が重いことから、刑事訴訟法381条の量刑が不当であることを主張することが考えられます。

【控訴について弁護士に相談】

控訴審では再び裁判をやり直すのではなく、一審の証拠に基づいて高等裁判所の裁判官が判断をすることになります。
しかし、ほとんどの裁判では控訴棄却となっているのが実情です。
平成30年の司法統計によると、刑事訴訟事件の控訴審は全体で5,710件ありました。
そのうち、控訴棄却は4,163件となっていて、破棄自判(一審の判決を取消して高等裁判所自身が判断を下すこと)は550件であり、全体の10%ほどしかありません。
つまり、控訴審で一審の判断が変えることは極めて難しいのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、控訴審からの弁護活動についても対応しています。
神奈川県川崎市高津区にて、ご家族が殺人罪で有罪判決を受けたものの刑が重すぎるため控訴を申し立てたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。
刑事事件専門の弁護士が初回接見を行い、報告の場で控訴の可能性等についてご説明致します。

神奈川県横浜市港南区の事後強盗事件で保釈

2019-09-12

神奈川県横浜市港南区の事後強盗事件で保釈

万引きをするつもりが強盗事件に発展したという事件での保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市港南区在住のAは、現在無職です。
Aは、横浜市港南区のデパートへ行ったところ、欲しかったブランド物のバッグが販売されているのを目撃しました。
Aはバッグが欲しくなりましたが、お金がなかったために買うことが出来ません。
そこで、万引きしようと考え、ブランド物のバッグを店から持ち出してデパートを出ようと思ったところ、デパートの店員VがAに近寄り、「このバッグの会計をされていませんよね。ちょっと事務所まで来てください。」と言われ、出口の方を立ち塞がれました。
逃げなければと思ったAは、立ち塞がるVを突き飛ばし、万引きしたブランド物のバッグを持って逃走しました。
Vは突き飛ばされた際に足首をねんざし、腕に切り傷が残りました。

Vによる通報を受けて駆け付けた横浜市港南区を管轄する港南警察署の警察官は、逃走したAを発見し、事後強盗事件で緊急逮捕しました。
Aが逮捕されたことを知ったAの家族は、刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。

(フィクションです。)

【万引きのはずが強盗事件に?】

ケースについて見ると、まずはデパートで販売されていた会社が所有するブランド物のバッグを持って、会計をせずにデパートを出ました。
これは、ご案内のとおり万引きと呼ばれる行為です。
万引きは、刑法上の「窃盗」という罪に問われることになります。
窃盗罪の条文は下記のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

万引き事件は決して軽い罪ではありません。
検察官は、万引きした物の値段や万引きの回数、万引きを転売する等の事情などを考慮したうえで被疑者を起訴することもあります。
また、起訴の前後で逮捕・勾留される可能性もあります。

次に、ケースのAは店員Vに立ち塞がれたことから、Vを突き飛ばしてしまいました。
この場合、万引き(窃盗罪)ではなく、より重い事後強盗罪という罪に当たります。
事後強盗罪の条文は下記のとおりです。

刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

万引きだけで逮捕された場合の窃盗罪の法定刑が「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」であるのに対し、事後強盗罪の法定刑は強盗罪と同様の「五年以上の有期懲役(20年以下)」となります。

更に、Aが突き飛ばしたことでVが怪我をしていますので、(事後強盗致傷の罪に問われる可能性があります。
事後強盗致傷罪の条文は下記のとおりです。

刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処…する。

【事後強盗事件で保釈】

事後強盗事件では逮捕され、48時間以内に検察庁送致され、24時間以内に勾留決定が付いて最大で20日間勾留されます。
また、事後強盗事件の1件以外にも万引き等の事件を行った場合、1件につき1度、この手続きが繰り返されることもあります。
最終的に、検察官は起訴するか否かを判断しますが、起訴後も勾留は続く場合が一般的です。
被告人にとって、起訴後も勾留が続くことは心身にダメージを受けることに繋がるほか、身柄を拘束されたままでは裁判に向けた準備が難しいことも予想されます。
そのため、起訴された被告人の方に対しては、早期に保釈を請求することが求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで事後強盗事件などの刑事事件にて数多くの保釈を認められた実績がございます。
神奈川県横浜市港南区にて、ご家族の方が事後強盗事件で逮捕され、起訴後に保釈を望まれている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
刑事事件専門の弁護士がご家族のもとへ接見に行ってお話を伺ったうえで、今後の保釈の見通しなどについてのご説明を致します。

神奈川県横浜市南区の傷害事件

2019-09-10

神奈川県横浜市南区の傷害事件

傷害事件として立件される可能性がある方が正当防衛を主張する場合に問題となる点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市南区在住のAは、横浜市南区内の会社を経営する経営者です。
Aは横浜市南区にあるスナックの常連で、事件当日もスナックで酒を飲んでカラオケをしていました。
そこに、横浜市南区在住のVが入店し、Aのカラオケを聞いて「そんな汚い声で歌うな」などとAに対して暴言を吐きました。
AはVに対して「悪酔いしているなら帰れ」と言ったところ、VはAに対して近くにあった灰皿を投げつけようとしました。
そこでAは危険だと思い、灰皿を振りかぶったVの手を掴み、馬乗りになるようにして押さえつけました。
その際、打ちどころが悪かったVは腕を骨折しました。

後日、横浜市南区を管轄する南警察署の警察官からの連絡を受けたAは、Vから傷害罪の被害届を受理した旨の説明を受けました。
Aは、自身の行為は正当防衛に当たるのではないか、刑事事件専門の弁護士に無料相談をしました。
(フィクションです。)

【傷害事件について】

傷害事件を起こした場合、傷害罪の適用が考えられます。
傷害罪は人の身体を傷害することで成立する罪で、判例の立場に立つと、傷害とは人の生理機能に傷害を与えること又は人の健康状態を不良に変更することとされています。(生理機能侵害説)
例えば皮膚の表皮が剥奪される行為でも傷害罪と認められるため、ケースのように相手が骨折した場合は傷害罪となります。

刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【正当防衛を主張】

ケースのように相手が危害を加えようとする前後に逆に危害を加えたという場合には正当防衛を検討する必要がある場合があります。
正当防衛の条文は以下のとおりです。

刑法36条1項 急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

急迫とは、現に権利侵害が行われている場合だけでなく、権利侵害が間近に迫っている場合も含まれます。
不正とは、違法と同じ意味と考えられています。
権利とは、一般的な権利だけでなく広く法律上保護に値する利益を含むと考えられているため、生命・身体・自由・名誉・信用・財産・肖像権・住居の平穏など様々です。

ケースについて見ると、Vが灰皿を投げつけようとしていたことから、A自身の身体を侵害する行為から防衛を図るためにやむを得ずした行為として処罰されないことが考えられます。

【正当防衛が成立しないケースもある】

ただし、正当防衛は必ずしも認められるというわけではありません。
例えば、条文では正当防衛の要件として「急迫不正の侵害」と定められているため、例えば殴られた後に殴り返すなどの行為については正当防衛として認められません。

また、たとえばケースのAがVを取り押さえたうえで腕を踏みつけるなどした結果Vが骨折をした場合、灰皿を投げつけようとした相手に対して押さえつけたうえで骨折するほどまでの力で腕を踏みつける行為は「防衛の程度を超えた行為」過剰防衛が適用される可能性があります。
過剰防衛の条文は以下のとおりです。

刑法36条2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減刑し、又は免除することが出来る。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、在宅事件の場合には全国13か所ある弊所の事務所にて、刑事事件専門の弁護士が無料でご相談を行います。
神奈川県横浜市南区にて傷害罪で被害届を出されてしまい、ご自身の行為が正当防衛に当たらないのか分からないという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

神奈川県横浜市金沢区の居直り強盗で裁判

2019-08-21

神奈川県横浜市金沢区の居直り強盗で裁判

居直り強盗とはどのような罪なのか、裁判ではどのような弁護活動が考えられるか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市金沢区在住のAは、横浜市金沢区内の会社に勤める会社員です。
Aはギャンブルに負けて借金がかさんだことから、盗みを働くしかないと考えてしまいました。
そこで、Aは横浜市金沢区にある一軒家のV宅に行き、鍵を破壊して侵入して金目の物を物色していました。
そこに、仕事を終えたVが帰宅し、侵入していたAを見つけて「泥棒だ」と叫びました。
怖くなったAは、Vを殴りつけ、Vが持っていた財布入りの鞄を持ってV宅を出ました。
後日、Aは横浜市金沢区を管轄する金沢警察署の警察官に居直り強盗をしたことで通常逮捕されました。

(ケースの内容はフィクションです。)

【居直り強盗について】

夏目漱石の名著「こころ」には、「居直り強盗のごとく感ぜられたのです。」という一文があります。
つまり、居直り強盗という言葉を用いて、悪いことをしたにもかかわらず開き直って正当化するような言動や行動を表現しているのです。

そもそもの居直り強盗とは、窃盗をしようとしたところその現場を家主などに見られてしまい、その目撃者を脅したり、暴行を加えたりするような行為です。
居直り強盗と類似の罪として事後強盗罪があります。
・事後強盗罪…窃盗行為が終わって逃走をしようとした際に目撃者や制止しようとした者に対して暴行や脅迫を行う強盗
居直り強盗…窃盗を目的とした物色の最中に目撃者や制止しようとした者に対して暴行や脅迫を行う強盗

以下で、ケースのように他人の家で窃盗をした場合に問題となる罪について検討します。
①住居侵入罪
まず、ケースのように他人の家に盗みをする目的で無断入室することは、住居侵入罪に当たる可能性があります。
住居侵入罪は正当な理由なく住居等に侵入する罪であり、窃盗目的での侵入は当然「正当な理由」に当たりません。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

②建造物等損壊罪
住居侵入を目的に鍵を壊す行為は、器物損壊罪より重い建造物等損壊罪に当たる可能性があります。

刑法260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

③窃盗罪
家主などに見つかる前に物を盗んだ、あるいは目撃者に対して暴行・脅迫などをせずに逃走をした場合、窃盗罪が適用されます。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

④強盗罪
ケースのように、金目の物を物色しようとしている最中に家主などに見つかり、その目撃者に暴行や脅迫を加えたうえで物を盗んだ居直り強盗事件では、強盗罪が適用されます。

刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

【裁判での弁護活動について】

ケースのような居直り強盗事件では、逮捕・勾留されたのち、検察官によって起訴される可能性が極めて高いです。
起訴された場合、加害者は被告人という立場になり裁判が行われます。
居直り強盗事件の裁判では、通常住居侵入罪と強盗罪が牽連関係にあるとして、一番重い罪である強盗罪の法定刑の範囲(5年以上の有期懲役)で判決を言い渡されます。
強盗罪には罰金刑がなく、少なくとも5年は懲役刑に服することになるため通常は執行猶予も難しい罪です。(執行猶予は、3年以下の懲役刑・禁錮刑と罰金刑に対して付されます。)

神奈川県横浜市金沢区にて、ご家族が居直り強盗事件を起こして裁判になる可能性があるという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービスをご利用ください。

神奈川県川崎市宮前区の威力業務妨害事件

2019-08-07

神奈川県川崎市宮前区の威力業務妨害事件

【ケース】
神奈川県川崎市宮前区在住のAは、川崎市宮前区の会社に勤める会社員です。
Aは、川崎市宮前区内を自動車で走行中、信号機の設置されている十字路の道路で右折をしようと待っていたところ、赤信号ギリギリで乗客を乗せたバスが直進してきたため右折が出来ませんでした。
バスの運転に腹を立てたAは、そのバスが次に停留所で停車している所を見てバスの前に車を止め、バスに乗り込んで運転手Vの胸倉を掴み大声で怒鳴りつけました。
しかし、バスの乗客の1人が警察に通報し、駆けつけた川崎市宮前区を管轄する宮前警察署の警察官は、Aを暴行罪と威力業務妨害罪で捜査し始めました。
その際、捜査機関からは「相手は示談を受けないと言っているので、裁判になる可能性があるかもしれません」と言われました。

Aは、もうすぐ世間の中高生は長期休暇になるため、威力業務妨害罪で公判請求されて裁判になった場合に裁判を傍聴されるかもしれないと考え、弁護士に公判請求を回避できるか相談しました。

(フィクションです。)

【威力業務妨害罪について】

ケースのような事件では、威力業務妨害罪が適用される可能性があります。
威力業務妨害罪は刑法で下記のとおり定められています。

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

「威力を用いて」というのは、人の意思を抑圧するような勢力を指します。
つまり、ケースのような暴行・脅迫はもちろんのこと、立場の上の人が下の人に対してする威迫や団体で行動することで力を誇示する場合等にも、威力業務妨害罪が適用されることになります。
威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪との区別は公然性や可視的であるか否かでなされていると考えられています。
また、「業務」とは職業その他社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う事務又は事業を意味します。
つまり、ケースのように仕事をしている場合にそれを妨害する行為のみならず、労働組合活動や政治活動などについても業務に当たる可能性があります。

【裁判を避ける弁護活動】

我が国で行われる刑事事件の裁判は、原則公開の法廷で行われます。
これは、憲法によって定められているためです。

憲法82条1項 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。

つまり、刑事事件の被告人は、原則として傍聴人の前で事件についての尋問等を受け、判決が言い渡されます。
そのため、裁判を避けたいというも居られるでしょう。

公開の法廷で裁判を行わない方法としては、①不起訴・検察官不送致を目指す、②略式手続で処理される、などが挙げられます。
①については、何らかの理由で警察官が検察官に事件を送致しない場合や検察官が起訴しない場合で、例えば比較的軽微な事件において示談が締結出来た、起訴できるだけの証拠が固まらなかった、などといった場合に行われます。
また、②については、罰金刑又は科料(1000円以上1万円未満)が用意されている事案が簡易で明白な事件において取られる手続きで、検察官が簡易裁判所に請求して裁判所が書面のみで手続きを進め、被告人が指定された金額を納付することで手続きが完了する制度です。

弁護士としては、それぞれの事件について検討し、依頼者のご希望に沿った弁護活動を検討します。
ケースのように1度示談を断られた場合でも、その後も被害者の意向が変わっていないか確認したり、贖罪寄付など代替の道が無いか検察官と協議するなどして、出来る限り公開の裁判を回避する対応策を検討します。

神奈川県川崎市宮前区にて、威力業務妨害罪で事件が進められていて、公開の裁判で裁判を受けることを避けたいという方がおられましたら、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談下さい。

神奈川県三浦郡葉山町の器物損壊事件で逮捕

2019-08-06

神奈川県三浦郡葉山町の器物損壊事件で逮捕

【ケース】
神奈川県三浦郡葉山町在住のAは、三浦郡葉山町内で飲食店を営む経営者です。
Aは三浦郡葉山町にあるチェーンの飲食店で食事をしたのち会計をすると、自分が思っていた以上に高い値段の請求を言い渡されました。
不審に思ったAは明細を見せなければ支払わないと言ったところ、飲食店の店員は料金を支払わなければ明細は見せられない仕組みであると言いました。
それに腹を立てたAは、キャッシャーに置いてあった呼び鈴を出入り繰りの窓ガラスに向かって投げつけ、ガラスを割って呼び鈴は壊れました。
店員は警察に通報をして、駆けつけた三浦郡葉山町を管轄する葉山警察署の警察官は、Aを器物損壊罪で逮捕しました。

Aは勾留された後、面会に来た家族に「飲食店との間で示談をしたい」と言いました。
そこでAの家族は、器物損壊事件での今後の見通しや示談金の相場などについて、初回接見に行った弁護士に質問しました。

(フィクションです。)

【器物損壊罪について】

物を壊した場合に適用される器物損壊罪は、下記のような条文です。
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

前三条とは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建物等損壊及び同致死傷罪の3条を指します。

器物損壊罪は、刑法264条で「告訴がなければ公訴を提起することができない」と定められている、いわゆる親告罪です。
これは器物損壊罪の対象(客体)となる物が多様で、所有者にとって壊されたものの思い入れや重要性は異なるため、所有者に判断をゆだねることを目的としています。
つまり、器物損壊事件では被害者が加害者に対して厳しい処分を求める「告訴」を行わなければ、検察官は被疑者を起訴することが出来ません。

【弁護士に示談を依頼】

ケースのようなものを壊したことによる器物損壊事件のように被害者がいる事件での弁護活動の1つに、示談が挙げられます。
示談は、加害者が(直接・間接を問わず)謝罪と賠償を行うことで、示談交渉の内容によっては被害届の取下げ、告訴の取消しなどを盛り込みます。
被害届を提出されている事件では、示談により被害届を取下げたからといって必ずしも起訴されない・処罰を受けないという訳ではありませんが、警察や検察官は被害届を取下げたことを考慮に入れたうえで処分を判断する場合が多いです。
また、先述のとおり親告罪で告訴がない場合に検察官は起訴が出来ないため、親告罪では検察官が起訴する前に示談交渉して告訴を取下げてもらうことができれば、起訴を回避することが出来ます。

示談交渉は弁護士ではなくても出来るため当事者同士で示談をすることも可能です。
しかし、事件によって示談の内容や文言も変わってくるため、例えばインターネットで示談書を探してくるだけでは必要な文言を欠く可能性も否定できません。
また、例えば性犯罪などであれば被害者は加害者と直接の連絡を拒否する方が多いため連絡自体が困難ですし、ケースのようなチェーン店舗などの場合は本社と直接交渉をする場合も少なくなく、一般の方では上手くいかない場合もあります。
そのため、刑事事件の示談交渉は刑事事件を専門とする弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで器物損壊事件をはじめとした親告罪での示談交渉の経験が豊富です。
神奈川県三浦郡葉山町にて器物損壊事件を起こした、あるいはご家族が器物損壊事件を起こして逮捕・勾留されているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談・初回接見サービスをご利用ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら