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空き巣の事後強盗・強盗予備事件

2021-10-01

空き巣の事後強盗・強盗予備事件

空き巣事後強盗強盗予備事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,金銭的に困窮していたことから,神奈川県川崎市幸区でも有名なお金持ちであるVさんの住宅に空き巣に入ることを計画しました。
Aさんは,Vさんに見つかってしまった場合には,持参した包丁で脅して逮捕を逃れようと考えていました。
空き巣に入ろうと計画していた当日,AさんがVさん宅の周辺を事前に調査していたところ,たまたま通りかかったか神奈川県幸警察署の警察官に声を掛けられてしまいました。
怖くなったAさんは,その場でVさんの住宅に空き巣に入ろうとしていたこと,また,念のために包丁を持参していたことを自白しました。
この場合,Aさんにはどのような犯罪が成立するのでしょうか。
(刑事事件例はフィクションです。)

【事後強盗罪・強盗予備罪とは何か】

刑法238条
窃盗が,財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪跡を隠滅するために,暴行又は脅迫をしたときは,強盗として論ずる。

刑法237条
強盗の罪を犯す目的で,その予備をした者は,2年以下の懲役に処する。

刑法238条は事後強盗罪を,刑法237条は強盗予備罪を規定しています。
この記事を閲覧してくださっている方は,強盗罪はご存じかと思います。
それでは,事後強盗罪強盗予備罪は,強盗罪とはどのような点が異なるのでしょうか。
また,刑事事件例のAさんには,結局何罪が成立するのでしょうか。

【事後強盗罪について】

事後強盗罪は,窃盗犯人が,①財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的,②逮捕を免れる目的,又は③罪跡を隠滅する目的で,暴行又は脅迫をした場合に成立します。

ここで,事後強盗罪は,手段として「暴行又は脅迫」が用いられているという点については,通常の強盗罪と違いはありません。
この手段として「暴行又は脅迫」が用いられていることに注目して,事後強盗罪は「強盗として論」じられています。

【強盗予備罪について】

強盗予備罪とは,強盗罪の危険性,反社会性の大きさを考慮して,予備行為,つまり強盗罪の準備行為を処罰するために規定された犯罪です。

強盗予備罪は,強盗罪の準備行為をした場合に成立しますが,具体的には,強盗の決意を外部的に表現するような行為をした場合に成立します。
強盗予備罪に該当し得る行為としては,強盗に使用する包丁,ナイフ等を携えて徘徊する行為等が考えられます。

ここで,既に述べた通り,事後強盗罪は,手段として「暴行又は脅迫」が用いられていることから,「強盗として論じる」とされています。
そのため,事後強盗罪を犯す目的も,強盗予備罪のいう「強盗の罪を犯す目的」に含まれると考えられます。

とすれば,事後強盗罪を犯す目的で,その予備行為をした者には,強盗予備罪が成立すると考えられます。
以上より,刑事事件例のAさんには,強盗予備罪が成立すると考えられます。

【強盗予備事件を起こしてしまったら】

以上の検討では,強盗予備罪の成立可否を検討しましたが,事後強盗罪の他にも,Aさんには銃刀法違反の罪が成立する可能性もあります。
このように,自分の行為にどのような犯罪が成立するのか直感的には分からない場合や,一つの行為に複数の犯罪が成立する場合がよく見られるため,一般の方にとっては,刑事事件についてよくわからず,大変困惑してしまうことも多いでしょう。
このような場合には,精神的な負担を和らげるためにも,また,刑事事件の速やかな解決のためにも,刑事弁護士に相談したり,実際に刑事弁護士をつけたりすることをお薦めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。

空き巣事後強盗強盗予備事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

神奈川県横浜市保土ヶ谷区の偽計業務妨害事件

2021-09-28

神奈川県横浜市保土ヶ谷区の偽計業務妨害事件

神奈川県横浜市保土ヶ谷区の偽計業務妨事件について、あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【刑事事件例】

神奈川県横浜市保土ヶ谷区に住むAさんは、以前交際していたVさんが保土ヶ谷区で経営する整骨院に、嫌がらせ目的で、約2時間にわたり数百回の無言電話を架けました。
後日、保土ヶ谷警察署から、上記の偽計業務妨害事件について話を聞かせてくれないかとの連絡がAさんの元に届きました。
(この刑事事件例はフィクションです。)

【偽計業務妨害罪とは】

刑法 233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑事事件例のAさんに問われうる罪は、刑法233条に規定されている偽計業務妨害罪です。
刑事事件例の中で、偽計業務妨害罪が成立するためには、Aさんが①「偽計」を用いて②「業務」を③「妨害」したということが言えなければなりません。
以下で、偽計業務妨害罪の3つの要件について簡単に説明します。

【偽計業務妨害罪の各要件について】

偽計業務妨害罪の1つ目の要件は、業務を妨害した手段が「偽計」によるものであることです。
偽計業務妨害罪の「偽計」とは、人を欺罔し(騙し)、または人の不知、錯誤(勘違い)を利用することを言います。
刑事事件例においては、Aさんの無言電話が、予約受付の電話といったVさんの業務にとって必要な電話であるとの錯誤をVさんに生じさせることになるでしょう。
従って、偽計業務妨害罪の1つ目の要件である「偽計」の要件は満たされると言ってよいでしょう。
 
偽計業務妨害罪の2つ目の要件は、妨害の対象が「業務」であることです。
偽計業務妨害罪の「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業のことを言います。
刑事事件例においては、約2時間にわたり数百回の無言電話かけることで、Vさんの事業である整骨院に関する事務が妨害されることになると言えるでしょう。
従って、偽計業務妨害罪の2つ目の要件である「業務」の要件も満たされることになるでしょう。

偽計業務妨害罪の3つ目の要件は、業務が「妨害」されたということです。
偽計業務妨害罪の「妨害」の意義については、現実に業務遂行がされることは必要ではなく、業務遂行に対する妨害の結果を発生させる危険性があれば、それで偽計業務妨害罪の「妨害」の要件は満たされると考えられています。
刑事事件例に即して説明すると、嫌がらせ目的による数百回の無言電話によって実際にVさんの業務が妨害されていなくとも、そのような嫌がらせ電話をVさんが対応することにより、例えば他の予約の電話に対応することができなかったり、あるいはVさんの施術の妨げになったりする危険性があると判断されることになるでしょう。
従って、偽計業務妨害罪の3つ目の要件である「妨害」の要件についても満たされる可能性が高いと言えるでしょう。

以上より、Aさんには、偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いと言えます。

【偽計業務妨害罪でお悩みの方は】

刑事事件例のAさんはこれから保土谷警察署で任意の取調べが予定されています。
多くの方にとって、初めて警察で取調べを受けるというのは、大変緊張するものであると思います。
また、自身が逮捕されるのではないかとの不安を抱えたまま取調べを受けることで、自分の意図していないことを供述してしまい、事実とはかけ離れた供述調書が作成されてしまう危険性もあります。
 
このような事態に陥らないためにも、取調べに向かう前に、まずは偽計業務妨害罪をはじめとする刑事事件に精通した刑事弁護人に相談することをお勧め致します。
刑事事件に精通した刑事弁護人に事前に対して相談しておくことで、刑事事件についての見通しや、警察での取調べの対応等についてのアドバイスを得ておくことができます。
こうした刑事弁護人の事前のアドバイスにより、警察での取調べに対する不安を解消しておくことで、事実に反する調書が作成されるといった危険から回避することができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部には、偽計業務妨害罪をはじめとした刑事事件の刑事弁護に精通した刑事弁護人が在籍しております。
神奈川県横浜市中区の偽計業務妨害事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。  

神奈川県川崎市川崎区のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件

2021-09-24

神奈川県川崎市川崎区のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件

神奈川県川崎市川崎区のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県川崎市川崎区のバスターミナルで,近くにいた同市在住の女子高校生に対して,スマートフォンの通信機能「エアドロップ」を使い,卑わいな動画を送ってしまいました。
後日,Aさんは,神奈川県川崎警察署の警察官により,わいせつ電磁的記録等送信頒布罪の容疑で逮捕されてしまいました。
AさんとVさんはバスの利用客であったが,面識はなかったといいます。
実は,AさんはVさんの他にも,別の女子高校生に卑わいな動画を送りつけてしまったことがあるといいます。
Aさんは,今後どうすればよいか悩んでいます。
(2021年8月24日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【わいせつ電磁的記録等送信頒布罪とは】

刑法175条第1項
わいせつな文書,図画,電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し,又は公然と陳列した者は,2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し,又は懲役及び罰金を併科する。
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も,同様とする。

わいせつ電磁的記録等送信頒布罪は,刑法175条に規定された犯罪です。
わいせつ電磁的記録等送信頒布罪は,「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録を頒布」した場合に成立します。

わいせつ電磁的記録等送信頒布罪の法定刑は,「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し,又は懲役及び罰金」です。

【匿名の被害者と示談ができるか】

刑事事件例のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件のように,被害者の方がいる場合,被害者の方と示談することが考えられます。
また,刑事事件例のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件のように,被害者の方が複数いる場合,それぞれの被害者の方と連絡を取り,示談交渉を開始することが必要となります。

ここで,刑事事件例のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件のように,被害者の方と面識がない,被害者の方の連絡先を知らないという場合,匿名の被害者の方と示談ができるのかと疑問に思われるかもしれません。
しかし,刑事弁護士は,警察や検察を通して,刑事弁護士限りでわいせつ電磁的記録等送信頒布事件の被害者の方の連絡先を教えてもらえないか打診をすることができます。
刑事弁護士は,被害弁償や示談についての話をするために,刑事弁護士以外の者には連絡先を漏らさないという条件で,わいせつ電磁的記録等送信頒布事件の被害者の方の連絡先を教えてもらえる可能性があるのです。

刑事弁護士が被害者の方の連絡先を教えてもらうことができた場合,より良い示談結果が得られるように,早急に示談交渉を開始します。
刑事事件例のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件のように,被害者の方が複数いる場合,それぞれの被害者の方と連絡を取り,示談を締結する場合,その分の示談金の準備が必要とはなりますが,ご依頼者の方と刑事弁護士が綿密に連絡を取った上で,被害者の方と話合いをすることで,適切な交渉の落としどころを探ります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
神奈川県川崎市川崎区のわいせつ電磁的記録等送信頒布事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

神奈川県横浜市中区の置き配の窃盗事件

2021-09-21

神奈川県横浜市中区の置き配の窃盗事件

神奈川県横浜市中区の置き配の窃盗事件について、あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

神奈川県横浜市中区にあるアパートの一室に居住しているAさんは、隣の部屋に居住しているVさん宛の荷物がVさんの居室の玄関前に届けられている(置き配されている)のを見つけました。
その際、AさんはVさんの荷物の伝票に「家電」と記載されていることに気が付きました。
お金に困っていたAさんは、Vさん宛の荷物を自分の居室の中に持ち運んだ上で、フリマサイトで転売し、その転売により得られた代金を自身の生活費に充てました。
数日後、神奈川県警察山手警察署からAさんのもとに、任意の取調べに応じるよう連絡がありました。
(この刑事事件例はフィクションです)

【窃盗罪とは】

刑法 235条

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法235条は窃盗罪について規定しています。
窃盗罪の成立要件については、大きく分けて2つの要件があると言えるでしょう。
窃盗罪の要件の1つ目は、窃盗罪の条文に記載されているもので、「他人の財物を窃取した」と言うものです。
窃盗罪の要件の2つ目は、窃盗罪の条文に記載されていないもので、「不法領得の意思」と言われる、窃盗罪を犯してしまった人の内心に関わる要件です。

以下で、詳しく説明します。

【窃盗罪の要件その1】

窃盗罪の1つ目の要件である「他人の財物を窃取した」とは、他人の占有している財物をその占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転させる行為のことを意味します。
なお、窃盗罪における占有とは、「人が財物を事実上支配し、管理している状態」のことを意味しています。

これを刑事事件例に即して説明します。
まず、Vさん宛の荷物は財物と言えます。
そして、Vさんの居室の玄関前に届けられた荷物については、Vさんが事実上支配し、管理している状態と評価される可能性があるので、Vさんの居室の玄関前に届けられた荷物は、Vさんが占有している財物であると判断される可能性があります。
さらに、Aさんは、Aさんが事実上管理、支配している自身の居室にVさんの荷物を移動させていることから、AさんはVさんの荷物をVさんの意思に反して自己の占有に移転させたと言えるでしょう。
従って、Aさんが、Vさんの居室の玄関前に届けられた荷物をAさんの居室の中に持ち運んだ行為は、窃盗罪の1つ目の要件である「他人の財物を窃取した」に当たると言えるでしょう。

【窃盗罪の要件その2】

窃盗罪の2つ目の要件である「不法領得の意思」とは、「権利者を排除して、他人の財物を自己の所有物として①権利者排除意思、その経済的用法に従い処分する意思(②利用処分意思)」のことを言います。

窃盗罪の①権利者排除意思とは、平たく言えば、他人の物を自分の物と同様に扱う意思のことをいいます。
窃盗罪において①権利者排除意思が必要とされる理由は、返還の意思がある財物の一時使用の場合を窃盗罪の処罰の対象から外すためです。
他人の財物の無断一時使用行為は、この行為により生じる被害が軽微であるため、窃盗罪は成立しません。

すなわち、権利者(財物の占有者)を排除する意思が認められる場合は、窃盗罪が成立する可能性があります。
反対に、権利者(財物の占有者)を排除する意思が認められない場合は、返還の意思がある財物の一時使用であるとして、窃盗罪は成立しません。

窃盗罪の①利用処分意思とは、具体的には、他人の物を、その物の本来の用途にかなった使い方をして、何らかの効用を受けることをいいます。
窃盗罪において②利用処分意思が必要とされる理由は、窃盗罪と器物損壊罪をはじめとする毀棄隠匿の罪とを区別するためです。

すなわち、利用処分意思が認められる場合は、窃盗罪が成立する可能性があります。
反対に、利用処分意思が認められない場合は、器物損壊罪をはじめとする毀棄隠匿の罪が成立することになります。

以上の①権利者排除意思と②利用処分意思の2つの意思が認められれば、窃盗罪における不法領得の意思が認められることになります。

これを刑事事件例に即して説明します。
まず、Aさんは、Vさん宛の荷物を返還する意思がなく、自身の居室の中に持ち運んでいるので、窃盗罪の不法領得のうち、①権利者排除意思は認められると言って良いでしょう。
さらに、Aさんは、Vさん宛の荷物を転売し、その売却代金を自身の生活費に充てていることから、窃盗罪の不法領得の意思のうち、②利用処分意思も認められると言って良いでしょう。
従って、Aさんには、窃盗罪の2つ目の要件である「不法領得の意思」が認められると言えるでしょう。

以上より、Aさんは窃盗罪の罪に問われる可能性があります。

【窃盗罪についてお悩みの方は】

刑事事件例のAさんのように、窃盗罪について警察から取調べが予定されている場合、まずは窃盗罪をはじめとする刑事事件に精通した刑事弁護人に相談することをお勧めします。
警察で窃盗罪について取調べを受ける前に、窃盗罪をはじめとする刑事事件に精通した刑事弁護人に相談しておくことで、警察での窃盗罪についての取調べに関する疑問や不安を事前に解消することが期待できます。

また、窃盗罪の被害に遭われてしまった方に対して窃盗罪の被害の弁償を考えている場合にも、窃盗罪をはじめとする刑事事件に精通した刑事弁護人に相談することをお勧めします。
窃盗罪をはじめとする刑事事件に精通した刑事弁護人を通して、いち早く窃盗罪の被害の弁償をし、窃盗罪の被害に遭われてしまった方と窃盗罪について示談を成立させることによって、早期に窃盗罪の刑事事件を終結させることが期待できます。

あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、窃盗罪刑事事件をはじめとした刑事事件刑事弁護に精通した刑事弁護人が在籍しております。
神奈川県横浜市中区で、置き配の窃盗事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。  

ツイッターの脅迫事件

2021-09-17

ツイッターの脅迫事件

ツイッターの脅迫事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,政治家のVさん(神奈川県綾瀬市在住)に対し,ツイッターで,実家を燃やすという趣旨の投稿をしました。
Vさんは,Aさんの脅迫事件を重く見て,神奈川県綾瀬警察署に脅迫事件の被害届を提出しました。
後日,Aさんは,神奈川県綾瀬警察署の警察官により,脅迫罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは,Vさんの政治的主張が気に入らず,このような脅迫事件を起こしてしまったといいます。
(刑事事件例はフィクションです。)

【脅迫罪について解説します】

脅迫罪は刑法222条に規定された犯罪です。

刑法222条1項
生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

刑法222条2項
親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も,前項と同様とする。

刑事事件例では,Aさんは,Vさんに対して,実家を燃やすという趣旨を告げています。
このAさんの投稿は,Vさんの「親族の生命,身体」「財産に対し」て,これから放火という「害を加える旨」を,SNSの投稿という方法により「告知」したといえます。

ここで,刑法の脅迫罪が成立するためには,告知する「害」は,他人を畏怖させるに足りる程度のものである必要があるとされています。
刑事事件例でいうところの「害」とは,実家を燃やすことですが,この「害」を告知された場合,通常,人は,「実家が燃やされてしまうのではないか」という気持ち,すなわち畏怖を抱くと考えられるます。
よって,他人を畏怖させるに足りる程度の「害」の告知であったと評価されると考えられます。

以上より,Aさんには,脅迫罪(刑法222条2項)が成立し,「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科されてしまう可能性があります。

【ツイッターの脅迫事件を穏便に解決する方法を解説します】

刑事事件例のようなツイッターの脅迫事件を穏便に解決するためには,今後の再犯を防止するための環境作り,監視監督体制を取っていることを示していくことが有効です。
刑事事件例のようなツイッターの脅迫事件では,SNSのアプリを全て消去したり,スマートフォン等を買い替えたりするというような今後の再犯を防止するための環境作りが考えられます。
ご家族の方の協力が得られるのであれば,Aさんが不審な投稿をするためにアプリをダウンロードしたり,サイトにログインしたりしていないかを逐一確認するといった監視監督体制が考えられます。

そして,このような今後の再犯を防止するための環境作り,監視監督体制をしたうえ,刑事弁護士を選任して,刑事弁護士により検察官や裁判官にこれらのことを書面等で示していき,検察官や裁判官に何とかツイッターの脅迫事件を穏便に解決してもらえないかと説得していくことができると考えられます。

また,脅迫事件の被害者の方に正式に謝罪して,たとえ事後的であっても被害弁償金・示談金を支払うことで被害を回復させることも有効です。
刑事事件例のような脅迫事件では,脅迫事件の被疑者の方が直接的に被害者の方と連絡を取ると,かえって話がこじれたり,被害者の方の感情を逆撫でて二度と話を聞かないと連絡を拒否されてしまったりする可能性もあるので,刑事弁護士を選任して,第三者的立場に立って話合いを進めてもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ツイッターの脅迫事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

大食い企画の食い逃げ事件(詐欺事件)

2021-09-14

大食い企画の食い逃げ事件(詐欺事件)

大食い企画の食い逃げ事件(詐欺事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県箱根町にある「デカ盛りグルメ」の提供店において,通常の牛丼10杯分に相当する牛丼「馬鹿牛丼」を30分以内に完食すれば,代金は支払わなくよいという牛丼の大食い企画に挑み,失敗したものの,「車から財布を取ってくる。支払いはその後にする。」と従業員に伝えたまま戻らず,代金5000円を支払いませんでした。
企画挑戦前には,「代金5000円を準備していること。今まで同様の大食い企画に挑戦し,成功したことがあること。」等の条件が並ぶ「同意書」にサインをすることが求められました。
実はAさんは所持金が0円であり,はじめから代金を支払う意思はなかったといいます。
その結果,Aさんは,詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(2021年8月19日に弁護士ドットコムニュースに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【詐欺罪とは】

刑事事件例では,Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまっています。
しかし,Aさんの気持ちとしては,「たかが食い逃げではないか」と考えてしまうと思います。
そこで,以下では,詐欺罪の成立要件を見ていき,本当にAさんに詐欺罪が成立するのかを確認してみます。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の成立要件は,「人を欺いて財物を交付」させることです。
具体的には,詐欺罪が成立するためには,被害者の方を欺く行為→被害者の方の錯誤→被害者の方の財物の交付行為→被疑者の方の取得行為という一連の行為が必要であると考えられています。

詐欺罪の成立要件である「被害者の方を欺く行為」とは,被害者の方が真実を知っていれば財産の交付行為を行わないような重要な事実を偽ることをいいます。

ここで,刑事事件例の無銭飲食事件のように,最初から支払いの意思も能力もなく,食堂で注文して飲食する行為は,注文の際には支払意思があることが通常であると考えられているため,支払意思があるかのように装って注文するという行為であるとして,詐欺罪の成立要件である「被害者の方を欺く行為」に当たると考えられています。
その結果,料理を注文・飲食した時点で詐欺罪が成立すると考えられています。

【詐欺事件について】

刑事事件のように詐欺罪が成立する場合,詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役と非常に重い刑事罰となっています。
とすると,詐欺事件を起こしてしまった被疑者の方の気持ちとして,「たかが食い逃げではないか」と考えるべきではありません。

そこで,刑事事件に強い刑事弁護士に食い逃げ事件(詐欺事件)について法律相談し,被害者の方(刑事事件例のような詐欺事件では,被害店舗)に謝罪や被害弁償をして,重い刑事罰を避けるための刑事弁護を受けることを考えていくべきでしょう。

刑事事件例のような詐欺事件では,被害店舗の担当者・代表者の方と連絡を取り,提供された料理の代金を支払ったり,その他の生じた被害がある場合はその弁償をしたりすることが考えられます。
また,被害店舗への出入り禁止条項を取り入れるなど,被害店舗の意向も汲み取って,正式に謝罪を受けてもらい,示談を締結することになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
大食い企画の食い逃げ事件(詐欺事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

パワハラ事件(暴行事件)

2021-09-10

パワハラ事件(暴行事件)

パワハラ事件暴行事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

神奈川県南足柄市の会社に勤務するAさんは,部下社員にパワハラ行為をしたとして,暴行罪の容疑で取調べを受けました。
Aさんは,同じ課に所属していた20代社員のVさんが提出した書類を決済する際,「お前の育った環境を疑う。親の顔が見てみたい。」「頭がおかしいんじゃないか。」「お前のことだからこの程度だと思っていた。」などの暴言を浴びせ,業務の適正範囲を超えて精神的な苦痛を与えたといいます。
また,Vさんの態度が気にくわなかったなどとして、胸ぐらや顎をつかむ暴行を加えたといいます。
Vさんが後日,部長に暴行を含むパワハラを訴えたため,パワハラ事件暴行事件)が発覚したといいます。
AさんはVさんへの暴行罪の容疑を認め,「早く一人前にしたかった。指導のつもりだった」と話しています。
(2021年8月19日に埼玉新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【パワハラ事件(暴行事件)についてお答えします】

刑事事件例では,Aさんは,パワハラ事件暴行事件)を起こしてしまっています。
以下では,パワハラ事件暴行事件)を起こした被疑者の方やそのご家族の方が思い悩むと考えられる疑問にお答えします。

【パワハラは犯罪になりますか】

パワハラはその行為態様によっては,犯罪となります。
刑事事件例のようなパワハラに成立し得る犯罪の具体例としては,暴行罪侮辱罪が考えられます。

【暴行罪とは何ですか】

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪は,「暴行を加え」,その暴行により「人を傷害するに至らなかった」ときに成立する粗暴犯です。

暴行罪で注目すべき成立要件は,「人を傷害するに至らなかった」という要件です。
もし,「人を傷害するに至」った場合には,暴行罪ではなく,傷害罪が成立することになります。

傷害の有無は,例えば,診断書の有無によって判断されます。
被害者の方が暴行事件により診断書を取得することができなかった場合,傷害罪ではなく,暴行罪で被害届を提出することが考えられます。
その結果,警察は暴行罪ではなく,傷害罪で捜査を開始することになります。

刑事事件例では,Aさんは,Vさんの態度が気にくわなかったなどとして、胸ぐらや顎をつかむ暴行を加えています。
この場合,少なくとも,Aさんには暴行罪が成立する可能性があります。

【侮辱罪とは何ですか】

刑法231条
事実を摘示しなくても,公然と人を侮辱した者は,拘留又は科料に処する。

侮辱罪は,「公然と人を侮辱した」場合に成立します。

侮辱罪で注目すべき成立要件は,「公然と」という要件です。
侮辱の「公然と」とは,摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます。
そのため,純粋に一対一で相手を侮辱する場合は,刑法上の侮辱罪は成立しないと考えられます。
しかし,侮辱行為を行った状況によっては,「公然と」という要件が満たされ,侮辱罪が成立することが考えられます。

【暴行罪・侮辱罪で逮捕される可能性はありますか】

暴行罪侮辱罪逮捕される可能性はあると考えられます。

逮捕は,刑事事件を起こしてしまった方が逃亡したり,刑事事件の証拠を隠滅したりするおそれがあると,警察や検察,裁判所に認められてしまった場合になされます。
警察官や検察官が逮捕状を請求し,裁判所が逮捕状を発付した場合には,強制的に警察署の留置施設へ連れていかれてしまう可能性があります。

【暴行罪・侮辱罪で逮捕されてしまった場合,どうすればいいですか】

暴行罪侮辱罪で逮捕されてしまった場合で早期の身柄解放を望む場合は,刑事事件強い刑事弁護士に依頼し,身柄解放活動を行ってもらいましょう。
刑事弁護士の身柄解放活動の結果次第では,すみやかな釈放が期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
パワハラ事件暴行事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

談合事件で罰金となった刑事事件

2021-09-07

談合事件で罰金となった刑事事件

談合事件で罰金となった刑事事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

ごみ袋を製造,納入する業者を決めるための,神奈川県藤沢市の発注による指定ごみ袋の指名競争入札を巡り,Aさんが設立した会社を含む複数の応札業者が事前に口裏合わせや調整して落札業者を決めた上で応札したとして,Aさんは談合罪で略式起訴され,罰金の略式命令を受けました,
神奈川県警察は情報提供などを基に談合罪の容疑があるとして,Aさんの関係先を家宅捜索し,押収資料の精査や関係者の聴取を進め,後日,Aさんら数人を談合罪の容疑で書類送検しました。
横浜地方検察庁はAさんを談合罪で略式起訴し,横浜簡易裁判所が罰金50万円の略式命令を出しました。
(2021年1月21日に中國新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです)

【談合罪とは】

刑法96条の6第2項(談合罪)
公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で,談合した者も,前項と同様とする(作成者注:「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する」)。

刑法では,公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で,談合することを談合罪として規定しています。

以下では,談合罪が成立するための要件を見ていきます。

【談合罪の成立要件とは】

談合罪の「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的」とは,競売や入札において談合が行われず自由な競争に任せたならば形成されたであろう競落又は落札価格を,殊更に引き下げ(競売の場合)又は引き上げ(入札の場合)ようとする意図をいいます。

談合罪の「談合」とは,公の競売・入札(国又は公共団体の実施する競売・入札)に際し,競買人・入札人が相互に通謀(意思連絡を)して,特定の者を落札者にするために,他の者は一定の価格以下に値をつけないことを協定することをいいます。

談合罪が成立するための要件を満たした場合は,「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金」又は併わせてこれらの刑事罰が科されます。

【談合罪と独占禁止法との関係とは】

独占禁止法3条
事業者は,私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

独占禁止法89条(私的独占,不当な取引制限による競争の実質的制限の罪)
次の各号のいずれかに該当するものは,5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。
①第3条の規定に違反して私的独占又は不当な取引制限をした者

独占禁止法では,「事業者は,」「不当な取引制限をしてはならない」と規定されています。
また,独占禁止法では,「第3条の規定に違反して」「不当な取引制限をした者」は,不当な取引制限による競争の実質的制限の罪として,「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」に科せられると規定されています。

独占禁止法の「不当な取引制限」とは,法律上の定義としては,「事業者が,…他の事業者と共同して…相互にその事業活動を拘束し,又は遂行することにより,公共の利益に反して,一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」をいうとされていますが,簡単に言えば,カルテルや入札談合です。
刑事事件例のような入札談合は,独占禁止法の「不当な取引制限」に該当し得るといえます。

ここで,入札談合により,刑法上の「談合罪」と,独占禁止法上の「不当な取引制限による競争の実質的制限の罪」のどちらにも該当し得るという場合が考えられます。
これら2つの犯罪(刑法上の「談合罪」と,独占禁止法上の「不当な取引制限による競争の実質的制限の罪」)の関係はどうなっているのでしょうか。

この点については,独占禁止法96条1項が「第89条から第91条までの罪は,公正取引委員会の告発を待つて,これを論ずる。」とし,独占禁止法上の「不当な取引制限による競争の実質的制限の罪」は公正取引委員会による告発が必要となるという違いが挙げられます。
一方,刑法上の談合罪は,公正取引委員会の告発を待つことなく,警察や検察が摘発することができることになります。

このような背景から,Aさんは,神奈川県警察により,談合罪の容疑で書類送検され,横浜地方検察庁により談合罪で略式起訴されたのだと考えられます(罰金については,こちらをご参照ください)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
談合事件で罰金となりそうな刑事事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

自転車事故の道路交通法違反事件(救護義務違反事件)

2021-09-03

自転車事故の道路交通法違反事件救護義務違反事件

自転車事故の道路交通法違反事件救護義務違反事件)について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,神奈川県小田原市の道路で自転車を運転していたところ,うつむき加減で運転していたことから一時停止中の車に気付かず,慌ててハンドルを切ったものの,誤って衝突してしまいました。
Aさんが運転手の様子を確認すると,自転車事故の自転車事故後,被害者の方は怪我をしている様子はありませんでしたが,車には複数の傷が付いてしまっているようでした。
Aさんは自転車事故を起こしたことに動揺し,「すみません」と一言いうと、方向転換して、元来た道へ逃走してしまいました。
逃走する際,被害者の方から「ドライブレコーダに移っているからな」と言われたため,Aさんは自転車事故を起こしてしまったことを反省し,自首をしようかと検討しています。
(2021年8月11日にテレビ朝日に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【道路交通法違反(救護義務違反)とは】

道路交通法72条(交通事故の場合の措置)
交通事故があつたときは,当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(…「運転者等」…)は,直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において,当該車両等の運転者(運転者が死亡し,又は負傷したためやむを得ないときは,その他の乗務員。…)は,警察官が現場にいるときは当該警察官に,警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。…)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所,当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度,当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

道路交通法72条は,交通事故の場合の措置として,救護義務を規定しています。

道路交通法72条の規定はかなり長文のものとなっていますが,重要となるのは救護義務についてです。
道路交通法72条の救護義務は,交通事故があったときに「直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じ」る義務のことをいいます。

道路交通法117条の5
次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
1号:第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反した者(第117条の規定に該当する者を除く。)

上述の道路交通法72条の救護義務違反に違反した場合は,違反者は道路交通法違反救護義務違反)の罪が成立します。
道路交通法違反救護義務違反)の罪を犯した者には,「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」という刑事罰が科されることになります。

【まとめ】

自転車事故(道路交通法違反事件救護義務違反事件)を起こした場合,上で述べたように,法律の文言上は,懲役刑という重い刑事罰が科され得るということに注意しなければなりません。

「たかが自転車事故だ」と安易に判断せず,刑事事件に詳しい専門の刑事弁護士から話を聞いて,事の重大性や今後の対応について考えていく必要があります。

また,刑事事件例では,Aさんは,運転手の様子を確認し,自転車事故の自転車事故後,被害者の方は怪我をしていないこと,車には複数の傷が付いてしまっていることを確認しています。
しかし,これはあくまでAさんの目視による判断であり,実際は自転車事故の被害者の方が怪我をしているというケースも考えられます。

この場合,単なる物損事故ではなく,人身事故となり,道路交通法違反救護義務違反)のみならず,過失致傷罪などの犯罪が成立してしまう可能性もあります。
このことは,自分で安易な判断はせず,刑事事件に詳しい専門の刑事弁護士に助言を求めるべきであるといえる一例であるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
自転車事故の道路交通法違反事件救護義務違反事件)でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

無許可・無届出のフードデリバリーサービス

2021-08-27

無許可・無届出のフードデリバリーサービス

無許可・無届出のフードデリバリーサービスについて,弁護士法人あいち刑事事総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,フードデリバリーサービスの男性配達員をしていました。
Aさんは,国へ必要な手続きをせずに,250ccのバイクや軽自動車,普通自動車を使って料理を有償で配達しました。
Aさんは,神奈川県秦野警察署の警察官により秦野警察署内で,貨物自動車運送事業者法違反の容疑で話を聞かれたといいます。
Aさんは神奈川県秦野警察署の警察官に対して,「法律で禁止されていることを知らなかった」と話したといいます。
神奈川県秦野警察署の警察官は,Aさんに対して,「この後は検察に送るだけだから」と言われたといいます。
(2021年8月2日にSTVに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【貨物自動車運送事業法で定められていることとは】

貨物自動車運送事業法2条2項
この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは,他人の需要に応じ,有償で,自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって,特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。

貨物自動車運送事業法2条4項
この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。

貨物自動車運送事業法2条2項,4項では,一般貨物自動車輸送事業と貨物軽自動車輸送事業の定義が定められています。
これらの違いは,前者が「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)」を使用する場合を規定しているのに対して,後者が「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車に限る。)」を使用する場合を規定しているという点にあります。

貨物自動車運送事業法3条
一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない。

貨物自動車運送事業法36条
貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,営業所の名称及び位置,事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。

貨物自動車運送事業法では,他人の荷物を有償で運ぶ際,「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)」を使用する場合は,国の許可を得ることが義務付けられています(貨物自動車運送事業法3条)。
これに対して,「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車に限る。)」を使用する場合は,国への届出が必要であるとされています(貨物自動車運送事業法36条)。

【貨物自動車運送事業法違反の罪とは】

貨物自動車運送事業法70条
次の各号のいずれかに該当する者は,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
1号:第3条の規定に違反して一般貨物自動車運送事業を経営した者

貨物自動車運送事業法76条
次の各号のいずれかに該当する者は,100万円以下の罰金に処する。
9号:第36条第1項の規定に違反して,貨物軽自動車運送事業を経営した者

貨物自動車運送事業法に違反した場合は,刑事罰が科される可能性があります。
具体的には,貨物自動車運送事業法3条の規定に違反した場合は,「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」が科されます。
貨物自動車運送事業法36条1項の規定に反した場合は,「100万円以下の罰金」が科されます。

【「法律で禁止されていることを知らなかった」との弁解について】

刑事事件例では,Aさんは,「法律で禁止されていることを知らなかった」との弁解をしていますが,このような弁解は通るのでしょうか。

この点,昭和26年11月15日に出された最高裁判所判決では,「法の不知はゆるさず」,つまり違法性の意識の湯無は犯罪の成否に無関係であるとの考え方を採用しました。
その後,判例や学説で様々な争いがありましたが,今日では,国が合理的な方法で公知を図った以上,国民,特に業務者などが一定の行為をする場合には,その関係法規を知るように努めるべき義務があるとされ,法律を知らない場合であっても,基本的には犯罪が成立すると考えらえています。

そのため,刑事事件例のAさんがした「法律(貨物自動車運送事業法)で禁止されていることを知らなかった」との弁解は通らないことになります。
刑事事件例のAさんは,犯罪が成立してしまうことを前提に,寛大な処分寛大な判決を得るための刑事弁護活動を採るべきでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
無許可・無届出のフードデリバリーサービスでお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

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