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公務執行妨害罪で無罪主張

2019-06-07

公務執行妨害罪で無罪主張

神奈川県大和市在住のAさんは、深夜に近所の公園付近を歩いていたところ、大和警察署の警察官に声を掛けられました。
目的は職務質問のようでしたが、警察官はAさんを不審者と決めかかって質問を行い、遂にはAさんが持っていた鞄を無理やり奪い取りました。
警察官は鞄のチャックを開けて中に手を入れたため、Aさんはそれを制止しようと鞄を掴んで強く引きました。
すると、警察官から「公務執行妨害罪だ」と言われ、現行犯逮捕されて警察に連行されてしまいました。
接見で一連の流れを聞いたAさんの弁護士は、今回の件で公務執行妨害罪が成立せず、無罪の主張ができるのではないかと考えました。
(上記事例はフィクションです)

【公務執行妨害罪について】

公務員が職務を行う際に暴行や脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
典型的なケースだと警察官を相手方とするものが思い浮かびますが、公務員であればその他にも様々な者が対象となりえます。
たとえば、私立病院に勤務している医師を相手方とするものもあれば、公務員の補助をする非公務員の民間人を相手方とするものもあります。

公務執行妨害罪は、国または公共団体の事務の円滑な遂行を妨げる点で違法だと考えられています。
そのため、暴行・脅迫の程度がさほど強くなくとも、公務の円滑な執行を妨げるおそれがあったとして公務執行妨害罪となる可能性があります。
上記事例においても、鞄を取り返そうとするAさんの行為が公務執行妨害罪における「暴行」と捉えられる可能性はあると言えます。

公務執行妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。
更に、仮に暴行により公務員に傷害を負わせた場合、公務執行妨害罪だけでなく傷害罪が成立することもあります。
これは、人の身体の傷害が公務執行妨害罪に当然に含まれるとは言えず、傷害罪として別個に評価すべきだという考え方によるものです。
その場合、傷害罪の法定刑である15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるおそれが生じてきます。

【違法な公務と無罪主張】

上記事例の警察官は、Aさんの鞄を奪い取ってチャックを開け、中に手を入れて物色しています。
警察官は犯罪を予防する一般的な責務を負っていることから、職務質問やそれに付随する所持品検査を行う権限が認められています。
しかし、そうした活動は、よほど軽微でない限り対象者の同意がなければできず、強制的に行うのであれば捜索許可状などの令状を要するところです。
そうすると、警察官によるAさんの鞄の物色は、本来行うことが許されない違法な捜査に当たる可能性があります。

以上を踏まえると、Aさんは公務執行妨害罪が成立せず無罪になる余地があると言えます。
その理由は、公務執行妨害罪の性質にあります。
先ほど説明したように、公務執行妨害罪は円滑な公務の執行を保護するために定められたものです。
しかし、国家が刑罰を科して人権を侵害することの重大さに鑑みれば、違法な公務まで公務執行妨害罪による保護の対象にすべきではないと考えられます。
こうした考えから、公務執行妨害罪が成立するのは、飽くまでも暴行・脅迫の対象が適法な公務の場合に限られるとされているのです。
ただし、そもそも無罪の主張というのは容易に受け入れてもらえませんし、警察官を相手方とする公務執行妨害罪については尚更です。
もし無罪の主張をお考えなら、ぜひ弁護士に事件を依頼してきちんと弁護活動をしてもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の名に恥じない弁護士が、無罪の獲得に向けて知識と経験を総動員します。
ご家族などが無罪にもかかわらず公務執行妨害罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

神奈川県横浜市泉区の覚せい剤取締法違反事件

2019-06-06

神奈川県横浜市泉区の覚せい剤取締法違反事件

【ケース】
神奈川県横浜市泉区在住のAは、海外旅行中に知り合った友人を通じて覚せい剤を密輸入し、横浜市泉区内の路上で販売していました。
ある日、Aの自宅に厚生労働省地方厚生局麻薬捜査部の麻薬取締官が来て、Aを逮捕しました。

(フィクションです。)

【覚せい剤の営利目的輸入について】

当然のことながら、無許可者による覚せい剤の輸入は法律で禁止されています。
覚せい剤を営利目的、すなわち、覚せい剤を販売する目的で輸入した場合、下記の法律に反する可能性があります。

覚せい剤取締法違反
覚せい剤取締法13条では、「何人も、覚せい剤を輸入し、又は輸出してはならない」と定められています。
これに反して、営利目的で日本に覚せい剤を密輸入した場合は、覚せい剤取締法41条2項により「無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。」と定められています。

・関税法違反
我が国に輸入してはいけない物を輸入する行為は、関税法に違反する可能性があります。
関税法110条1項では、「次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」として、その1号で「偽りその他不正の行為により関税を免れ、又は関税の払戻しを受けた者」と定められています。

【黙秘権について弁護士に相談】

黙秘権という言葉は、小説やドラマなどで聞いたことがある方も多くおられる事と思います。
憲法38条1項では、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められています。
刑事訴訟法では、更に具体的に規定されており、例えば取調べにおける黙秘権については「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨をあらかじめ告げなければならない」と規定されています。(刑事訴訟法198条2項)

歴史的に、取調べにおいて、時には取調官が被疑者の自白を引き出すために拷問を行い、時には自白を過信して冤罪を生むといったことはしばしありました。
戦後日本においても、黙秘権を行使できない状況下でなした自白が冤罪を生んだ可能性が高い事件は実在します。

例え弁護人であっても同席ができないとされている我が国の取調べにおいて、黙秘権をしっかりと理解して取調べに望むことは重要です。
その取調べについて、確かに、被疑者(容疑者)は取調べ前に取調官から黙秘権についての説明を受ける決まりとなっています。
しかし、実際の取調べでは取調官の方もあの手この手で情報を引き出そうとする中で、何をどこまで話し、その内容を黙秘すればいいのか、という疑問は常に残ることでしょう。
また、形式上黙秘権が認められていると説明する一方で、「こんな話で黙秘権を使った人はこれまでいなかった」「黙秘権を使うなら勾留が長引くだろうね」などと、ともすれば黙秘権を否定するような話しぶりをする取調官がいることも現実です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
これまで、逮捕・勾留された方の取調べについて、数多く対応して参りました。
当事務所の弁護士は、身柄を拘束されている被疑者(容疑者)の下へ頻繁に接見に訪れます。
弁護士接見では警察官の立会いなしで話をすることが出来ますので、取調べで聞かれた内容や話した内容をしっかりと確認し、毎回アドバイスを行います。
更に、接見で伺ったお話の中で不適切な取調べがあった場合、早急に抗議や異議申し立てを行う必要があります。

神奈川県横浜市泉区にて、ご家族が覚せい剤を営利目的で輸入したことで逮捕され、黙秘権を行使していると聞き弁護士をお探しの方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

神奈川県横浜市南区のストーカー事件②

2019-06-05

神奈川県横浜市南区のストーカー事件②

【ケース】

詳細は、昨日のブログをご覧ください。

神奈川県横浜市南区にて、Aが好意を持ったVに対し、拒まれたにもかかわらず約120回も電話をかけたり、Vの住むアパートの周りをウロウロしたりといった行為を繰り返す事件です。
Vは禁止命令等を申し出て、禁止命令等が下されましたが、それでもつきまとい等を繰り返したAはストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)違反で逮捕されました。

(フィクションです。)

【つきまとい等・ストーカーへの対応】

昨日付のブログにて、「ストーカー行為=つきまとい等を反復して行う」というご説明を致しました。
以下では、ストーカー被害に遭った場合に警察官がどのような措置を講ずることができるのか、ご案内します。
・警告
ストーカー規制法4条1項では、警察本部がつきまとい等に対しての警告を求める申し出を受けた際、実際につきまとい等が行われていて今後もそれが反復される恐れがある場合には、それ以上反復してつきまとい等を行わないよう「警告」が出来ると定められています。

・禁止命令等
各都道府県の公安委員会は、ストーカー規制法3条に規定されている行為があった場合につきまとい等を反復してする恐れがあると認められる場合には、被害者側の申し出や職権により、①さらに反復してつきまとい等を行ってはならないこと、②さらに反復してつきまとい等が行われる事を防止するために必要な事項、を命じることが出来ます。(ストーカー規制法5条1項各号)
これは禁止命令等と呼ばれます。
禁止命令等をするためには、原則として先に被疑者側(加害者側)の意見を聞く必要があります。(ストーカー規制法5条2項)
ただし、緊急の必要性がある場合には、先に禁止命令等をしたうえで、その後15日以内に聴聞を行うということもできます。
禁止命令等の効力は原則1年ですが、被害者側からの申出や職権により、1年ごとに更新することも可能です。

【ストーカーをした場合の罰則規定】

これまで見てきたストーカー行為ですが、この法律に違反してストーカー行為をした場合は刑罰に処される可能性があります。
ストーカー規制法18条では、「ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」と定められています。
ただし、先述の禁止命令等に違反してストーカー行為やつきまとい等を行った場合は、この限りではありません。
ストーカー規制法19条1項では、「禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。」と定められ、同2項では「前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。」と定められています。

【ストーカーで示談】

ストーカー事件では、被害者がいることから、弁護活動の一つに示談交渉が考えられます。
示談交渉は、被害者側が代理人弁護士をつけていない場合は基本的に被害者と直接行う必要があります。
しかし、ストーカー行為をした被疑者(加害者)が被害者と直接示談交渉を行うことは、現実的ではありません。
そこで、弁護士が間に入り、示談交渉を行うことが有効と考えられます。

ストーカー事件のような刑事事件で示談をすることができれば、検察官が被疑者(加害者)を起訴する可能性は低くなります。
また、金銭的な賠償をすることで、被害者の早期救済が望めるだけでなく、被疑者(加害者)にとっては民事訴訟を回避するというメリットもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、ストーカー規制法違反事件をはじめとする「被害者がいる事件」で数多くの示談交渉を行って参りました。

神奈川県横浜市南区にて、ご家族がストーカー規制法違反で逮捕され、示談交渉をお望みの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービスをご利用ください。

神奈川県横浜市南区のストーカー事件①

2019-06-04

神奈川県横浜市南区のストーカー事件①

【ケース】
神奈川県横浜市南区に住むAは、横浜市南区内を中心とした運送業のアルバイトをしています。
ある日、Aが配達のために横浜市南区内のマンションを訪ねたところ、Aの好みのタイプの女性Vが受け取りのために玄関先に出てきました。
AはVに好意を抱き、配達時に利用するラベルに記載されているVの個人情報を勝手に見たうえで、Vに電話をかけました。
電話を受けたVは、配達をしていたAからの連絡と知り、自宅を知られて気持ちが悪いと思い「電話してこないでください」といって切りました。
それでもAは、朝晩構わず、計約120回Vに電話をしたほか、Vの住むアパートの周りをうろつくなどしました。
困ったVは、神奈川県横浜市南区を管轄する南警察署の警察官に相談し、被害届を提出しました。

南警察署の警察官はAの行動を確認したところ、ストーカー行為等の規制等に関する法律に違反する行為であると判断し、Vに説明しました。
そこでVは、ストーカー行為等の規制等に関する法律に基づく禁止命令等の申し出を行い、Aに対する禁止命令等が下されました。
それでもAはVに対する連絡やアパートの周りをうろつく行為を止めなかったことから、南警察署の警察官は、Aを逮捕しました。

Aの家族は、ストーカー行為等の規制等に関する法律違反の場合に示談が可能なのか、刑事事件を専門とする弁護士に無料相談しました。

(フィクションです。)

【ストーカー規制法について】

ストーカーという言葉は、広く一般に利用されている言葉です。
法律上ストーカー行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称、ストーカー規制法)によって何がストーカー行為に当たるか定義され、ストーカー行為を禁止されています。

ストーカー規制法は、平成11年に埼玉県桶川市で発生した桶川ストーカー殺人事件(被害女性が交際中の相手に別れ話をしたところ逆上され、ストーカー行為を繰り返された上に殺人事件に発展したという事件。)を契機に、議員立法によって成立されました。

【ストーカーの定義について】

ストーカー行為とは「同一の者に対し、つきまとい等…を反復してすることをいう」と定められています。(ストーカー規制法2条3項)
そして、「つきまとい等」の定義についてはストーカー規制法2条1項にて以下のような内容の規定をされています。

特定の人に対する恋愛感情や行為の感情、あるいは恋愛が成就しなかったことによる逆恨みのような目的で、行為を抱いた相手やその配偶者、家族等の関係者に対して、下記のようなことをすることを指すとしています。
①(1)つきまとい(2)待ち伏せ、(3)住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近での見張り、(4)住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
②行動を監視していると思わせるような事を言ったり、実際に知り得る状態に置いたりすること。
③面会、交際など、義務のないことを強要すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤(1)無言電話(2)拒否された後も何度も電話をかけたりFAXを送信したり、電子メールの送信等をすること。
⑥汚物、動物の死体など、極めて不快あるいは嫌悪感を催すような物を送付したり、そのような物が見える場所などに置いたりすること。
⑦名誉を害することを言う等のこと。
⑧(1)性的羞恥心を害することを言う等(2)性的羞恥心を害する文書や絵、DVDやBD、データ等といった物を送付する等(3)(2)のデータ等を送信する等。

≪明日のブログに続きます。≫

神奈川県鎌倉市の現住建造物等放火事件

2019-06-03

神奈川県鎌倉市の現住建造物等放火事件

【ケース】
神奈川県鎌倉市に住むAは、鎌倉市にて両親が経営する小さな工場で働いています。
Aは真面目に仕事をしているのですが、時に情緒不安定になってしまうことがありました。
情緒不安定になってしまったときは、癇癪を起こして家や職場を飛び出したり、大声を発したり、物を叩いて壊したりといった行動をとります。

ある日、Aはいつも通り鎌倉市内の工場で仕事をしていたところ、Aの父から仕事の手順について厳しいことを言われました。
その時、Aは情緒不安定になってしまい、工場兼自宅になっている場所に置いていた紙の束にマッチで火をつけました。
Aの父はすぐさま119番通報したため火はすぐに消し止められました。

消防局からの連絡を受けてかけつけた、鎌倉市を管轄する大船警察署の警察官は、Aを現住建造物等放火の罪で現行犯逮捕しました。

Aの家族は、刑事事件を専門とする弁護士に、情緒不安定になったAの刑事弁護活動が可能か、相談しました。

(フィクションです。)

【現住建造物等放火罪について】

ご案内の通り、故意に火をつける行為を放火と呼びます。
刑法における放火は、客体(火をつけた物)が何かによって法律を分けており、各々法定刑も異なります。
客体は、大きく分けて(1)建物か、建物以外か、(2)建物だった場合に①放火した段階で人が住居として使用している、又は人がいる建物か、②放火した段階で人が住居として使用しておらず、現に人がいない建物か、によって異なります。

ケースについて見ると、工場兼自宅に放火しているため、建物であり人が住居として使用している(加えて現に人がいる)と評価されます。
この場合、現住建造物等放火罪に当たる可能性があります。

刑法108条では、「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と規定されています。

現住建造物等放火罪にあたる放火は、人が生活している、あるいは人が現にいる建物に火を放つことで、当該建物や近隣の建物に燃焼して多額の財産や利益が失われるだけではなく、その場にいる人を死傷させる可能性すらある、極めて危険な行為です。
そのため、法定刑も殺人罪と同様の厳しい刑が用意されています。

【情緒不安定な方に対する弁護活動】

刑事事件の加害者になってしまわれた方の中には、知的障碍や発達障碍ではないものの、時折情緒不安定になってしまうという方などがおられます。
また、刑事事件が発生したことで病院に行って初めて、診断名がついたという方も居られます。

ケースのように、時として情緒不安定になってしまう方が逮捕・勾留された場合、ともすればパニックを起こすなどしてコミュニケーションが取りづらくなる場合もあることでしょう。
そのため、情緒不安定になってしまう方に対しての弁護活動では、信頼関係の築き方やコミュニケーションの取り方がとりわけ重要になる場合があります。
そして弁護士は、情緒不安定になってしまうご本人からじっくりとお話を聞いたうえで、ご依頼者様と話をして、今後の方針を固める必要があります。
そのうえで、例えば情緒不安定になっている状況で勾留することは妥当ではなく、診断や治療をするためにも早期に病院へ行く必要があることから、被疑者を早急に釈放するよう求める弁護活動が考えられます。

神奈川県鎌倉市にて、時として情緒不安定になってしまう方が現住建造物等放火罪を起こしてしまい身柄を拘束された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡下さい。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が初回接見を行い、今後の見通しや考えられる弁護活動をご説明致します。

神奈川県座間市の強制性交等罪(強姦罪)が時効に

2019-06-02

神奈川県座間市の強制性交等罪(強姦罪)が時効に

【ケース】
神奈川県座間市在住のAさんは、就職先で知り合ったVさんと親密になり、よくお互いの自宅を行き来しては食事をしたりしていました。
ある日、Aさんは酒に酔ってVさんと性行為をしたいと思い、Vさんが明確に拒否しなかったことからAさん宅で性交に及びました。
その後2人は疎遠になりましたが、5年経ってAさんが別の女性と結婚することになったところ、突然Vさんから連絡がありました。
連絡を受けてAさんがVさんと会ってみると、Vさんは5年前の性行為が強姦だったと主張し、座間市を管轄する座間警察署に被害届を出すと言い始めました。
その場はなんとか収めたAさんでしたが、もし被害届が出されたらどうなるのかと思い、時効のことを含めて弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです。)

【強制性交等罪について】

刑法第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

平成29年の刑法改正により、かつて強姦罪と言われていた罪は強制性交等罪と呼ばれるようになりました。
強制性交等罪となるに当たっては、①肛門性交および口腔性交の追加、②法定刑の引き上げによる厳罰化、③非親告罪化という重要な変更が加えられました。
これにより、被害者の性別に囚われない処罰、強姦事件の重大性の見直し、告訴を行う余裕がない被害者の救済が実現されるに至りました。
上記改正以外の事項は、改正前の強姦罪と同様だと考えられています。

強制性交等罪における「暴行又は脅迫」は、強姦罪と同様、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものでなければならないと考えられています。
ただし、実務上はその場の状況に関する様々な要素が考慮されるため、暴行等の程度が軽いことから直ちに強制性交等罪の成立が否定されるとは限りません。
ちなみに、既に生じている反抗不可能な状態を利用した性交等は、強制性交等罪と法定刑が同じである準強制性交等罪となります。

【強制性交等罪の公訴時効】

罪を犯してから相当程度の月日が経過している場合、その罪について公訴時効が完成している可能性があります。
公訴時効とは、検察官による公訴提起(裁判を行う意思表示)が許される期限を指します。
公訴時効の存在により、検察官は犯罪の終了から一定期間内に公訴提起を行わなければ、もはやその犯罪について裁判を行うことができなくなります。
これを被疑者の側から見ると、犯罪の終了から一定期間を経過すれば、その罪について有罪判決を受けて刑を科される余地はなくなるということになります。

公訴時効の期間は全ての犯罪において一律というわけではなく、犯罪の重大さによって異なる期間が定められています。
具体的には刑事訴訟法250条に定められており、①人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるものと、②それ以外とで分けて規定されています。

有期懲役には20年という上限が存在するため、強制性交等罪の法定刑は5年以上20年以下の懲役です。
そうすると、強制性交等罪は「長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪」(刑事訴訟法250条2項3号)であるため、公訴時効は10年ということになります。
上記事例ではまだ5年しか経過していないことから、強制性交等罪の公訴時効は未だ完成しておらず、起訴の危険があると言えます。
特に、被害届の提出を宣言されているのであれば、昔のことだからと油断せず早めに弁護士に相談すべきです。
時が経っているとなると証拠収集にも様々な影響が及ぶので、早いうちに動き出して損をするということはないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に強い弁護士が、強姦事件においても緻密な弁護活動を行うことをお約束します。
法令の知識はもちろん、取調べ対応や証拠収集などの実務上の知識にも詳しいので、どんな事件でも弊所弁護士なら充実した活動を行うことができます。
もし強姦をしてしまい強制性交等罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(座間警察署までの初回接見費用:38,700円)

神奈川県横浜市緑区の大麻栽培事件

2019-06-01

神奈川県横浜市緑区の大麻栽培事件

【ケース】
神奈川県横浜市緑区に住むA(20代女性)は、横浜市緑区内にある会社に勤める会社員です。
ある日Aは、知人から大麻を勧められて興味本位で使用したところ、大麻が好きになりました。
しかし、大麻は容易に手に入らず、大麻を購入するお金もほとんどありませんでした。
そこで、自分で大麻を栽培すれば安く使えると思い、横浜市緑区にある自宅のベランダで大麻草を栽培し始めました。

Aは、自分で使用する目的だけのために大麻草を栽培していましたが、横浜市緑区内に住む近隣住民XがAの自宅から独特の生臭い匂いが強くしたため、横浜市緑区を管轄する緑警察署の警察官に相談しました。
緑警察署の警察官による捜査の結果Aは大麻草を栽培していたことが判明したため、Aは大麻取締法違反で逮捕されました。

Aの兄は、弁護士から大麻を栽培して起訴される人の情状弁護の一つとして贖罪寄付があると説明を受け、贖罪寄付の検討をしています。

(フィクションです。)

【大麻の栽培について】

大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)やその製品を指します。
(ただし、大麻草の熟成した茎やその茎から作られる繊維、大麻草の趣旨やその製品は規制の対象外です。)
大麻製品には、乾燥大麻(マリファナ)や大麻樹脂(ハッシュ・ハシシ)、液体大麻(ハッシュオイル)などがあります。
マリファナは、大麻草を乾燥させたもので、紙巻きたばこのように紙に巻いて吸うほか、パイプやボング(水タバコ等に使われる装置)などといった方法で吸引することで効果を得ます。
ハッシュは、大麻草の樹脂などを磨り潰して固めた物で、そのまま着火するほかマリファナ同様に紙巻きたばこのような方法で着火して、吸引します。
ハッシュオイルは大麻草の成分を液体にして抽出するもので、モノによっては極めて薬理成分が高い場合があります。
最近では、電子タバコで使われる器具を使用して大麻を使って立件される事例もあるようです。

大麻は、研究者や医療関係者などの大麻取扱者をのぞき、その栽培や所持、輸出入が禁止されています。
大麻取締法3条1項では「大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない」と規定されています。
これに反した場合、「七年以下の懲役」に処されます。(大麻取締法24条1項)

【贖罪寄付で弁護士へ】

大麻取締法に違反して大麻を栽培したことで事件化して、被疑者・被告人がそれを認めていた場合の弁護活動として、情状弁護が考えられます。
情状弁護とは、被告人の刑事処分を軽くすることを目指す弁護活動です。
情状弁護には、例えば本人の反省や、被害者の被害を回復させる被害弁済など、様々です。
このうち本人の反省を示す方法の一つとして、贖罪寄付があります。
贖罪寄付とは、日本弁護士連合会や各都道府県の弁護士会、法テラスといった機関が募っている寄付活動です。
ケースのような薬物事案をはじめとした被害者がいない事件や、被害者がいるものの被害者側が被害弁済を断った事件などで贖罪寄付が用いられます。
集められた寄付金の使い道は各機関によって様々ですが、被害者救済などに役立てています。
そして、贖罪寄付をした場合、その証明書が発行され、その書類を裁判で情状証拠として提示することになります。
日本弁護士連合会のホームページによると、「寄付を紹介した弁護士に対する日弁連アンケートでは、回答者の約8割が情状として考慮されたと回答」しているそうです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
これまで、大麻を栽培するなどの薬物事案についての経験も豊富にございます。

当事務所の弁護士は、各事件の内容を検討して、贖罪寄付をすることで情状弁護に役立つのか、役に立つとして贖罪寄付の金額はいくらが妥当か等、助言致します。

神奈川県横浜市緑区にて、ご家族が大麻を栽培していたことにより大麻取締法違反で逮捕され、贖罪寄付を検討されている場合は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見をご利用ください。
初回接見費用のお振込後、原則24時間以内にご家族の方の接見を行った上で、ご依頼者様に対して接見に行った弁護士が事件についてのご説明を致します。

ご家族が逮捕された場合、神奈川県緑警察署までの初回接見費用:37,300円
在宅事件の場合、初回のご相談:無料

神奈川県横浜市都筑区で書類送検②

2019-05-30

神奈川県横浜市都筑区で書類送検②

【ケース】

≪詳細については、昨日のブログをご覧ください。

神奈川県横浜市都筑区在住のAが、横浜市都筑区内の路上で包丁を鞄に入れて持ち歩いていたところ横浜市都筑区を管轄する都築警察署の警察官から職務質問・所持品検査を求められた事案です。
後日、書類送検をされる予定になっています。

(フィクションです。)

【護身目的の包丁所持も違法?】

≪こちらも、詳細については昨日のブログをご参照ください。

包丁を携帯していた場合、銃砲刀剣類所持等取締法違反や軽犯罪法違反に当たる可能性があります。
銃砲刀剣類所持等取締法違反や軽犯罪法違反は「(業務その他)正当な理由」が無い場合に限られますが、護身目的は「正当な理由」に当たりません。

【書類送検について】

警察官・検察官といった捜査担当者が事件を立件する事件には、身柄事件と在宅事件の2種類があります。
身柄事件とは、被疑者(容疑者)が逮捕され、勾留される事件です。
捜査機関が、刑事事件を起こした被疑者(容疑者)の状況を検討したときに、身柄を拘束しなかった場合に逃亡する恐れがある、あるいは証拠を捨てたり被害者を脅したりするなどして証拠を隠滅する恐れがある等の恐れがみとめられると、被疑者(容疑者)が逮捕・勾留される身柄事件として捜査が進みます。
逮捕された被疑者(容疑者)は48時間以内に検察庁に送致され、その後24時間以内に10日間(その後更に10日間の延長が可能)勾留するための手続がなされる可能性があります。
勾留期間満了時までに検察官は起訴するか否かを検討し、起訴された場合には裁判が開かれます。

一方で、身柄事件にする必要がない事件については、基本的に在宅事件として捜査が進みます。
在宅事件は、身柄を拘束されずに捜査が進むため、出頭を命じられた日以外は基本的に通常通りの生活を続けることになります。
警察官(を含めた司法警察員)は証拠を収集した後、事件の証拠等の書類を検察庁に送致します。
これが、俗に言う書類送検です。
書類送検を受けた検察官は警察官等から送られた書類を検討したうえで必要に応じて追加で証拠を集めるなどし、最終的に起訴するか否かを検討します。

在宅事件では身柄を拘束されずほぼ通常通りの生活が出来るため、弁護士はいらないのではないかと思う方も居られるようです。
しかし、在宅事件であっても捜査は進められている可能性はあるため、いつのまにか書類送検されていた、いつのまにか起訴されていたということも考えられます。
そのため、在宅事件であっても、早急に事件を弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、書類送検前の事件についても書類送検後の事件についても、対応しています。

在宅事件のなかには、書類送検される前に事件が終了する場合がございます。
また、書類送検された後でも、すぐに不起訴を含めた処分が下る場合があります。
このように、早期に事件を解決するためには、書類送検前に警察官等に対してしっかりとご自身の主張をしたり、被害者がいる事件では被害弁償をしたりといった対応が必要となります。

神奈川県横浜市都筑区にて、警察官による所持品検査によって包丁を携帯していたことが発覚し、在宅事件として書類送検される可能性がある、という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。

無料相談のご予約は、0120-631-881まで。
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神奈川県横浜市都筑区で書類送検①

2019-05-29

神奈川県横浜市都筑区で書類送検①

【ケース】
神奈川県横浜市都筑区に住むAは、横浜市都筑区にて飲食店を経営する経営者です。
Aは経営者であるため、多額の現金を持ち歩くことも少なからずありました。
更に、以前多額の現金を持ち歩いていた最中、路上で強盗に襲われたという経験があります。
そのためAは、横浜市都筑区内にある刃物を取り扱う小売店にて包丁を購入し、護身の目的で鞄に入れて持ち歩いていました。
ある日の深夜帯、包丁を持って横浜市都筑区を歩いていたところ、横浜市都筑区を管轄する都築警察署の警察官に止められ、職務質問を受けました。
また、それに際して所持品検査を求められて応じたところ、鞄に包丁があることを指摘されました。
Aは警察官から「銃刀法違反の可能性があるから」と言われ、何度か任意で出頭して事情を聞かれたところ、最後の日に警察官からは「多分今月中には書類送検するから」と言われました。

Aは、銃刀法違反で書類送検された場合にはどうなるのか、弁護士に弁護を依頼したほうが良いのか、無料相談をしました。

(フィクションです。)

【護身目的の包丁所持も違法?】

昨日の早朝、神奈川県内にて包丁を所持した男が小学生や成人男性に怪我をさせ、うち2名が亡くなるという残虐な事件が発生しました。
どこで何が起こるか分からない時代において、各々が危機感を抱き、その対応策の一つとして護身のために何かしらの道具を持ち歩く、ということも考えられるでしょう。
その中には、防犯ブザーや笛などといった危険を周囲に知らしめる道具もありますし、相手に対する抑止や正当防衛のために護身用の道具も考えられます。
このうち護身用の道具については、持ち歩いていい道具なのか否か、検討する必要があります。
(中には、インターネット上で護身用具として販売している商品であっても、実際に持ち歩くことで違法とみなされる可能性もありますので、事前によくご確認されたうえで携帯されることをお勧めします。)

ケースのAについて見てみると、包丁を携帯しています。
包丁を所持していたことで問題になる法律は、下記が考えられます。
・銃砲刀剣類所持等取締法違反
俗に銃刀法違反と呼ばれるこの法律では、刃体の長さが6cmを超える刃物を携帯してはならないと定めています。

銃刀法22条  何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

護身の目的で刃物を携帯することは「業務その他正当な理由」に当たらないとされているため、護身目的で刃物を携帯することは銃刀法違反ということになります。
一方で、例えば、包丁を購入して包装を施された上でカバンに入れて自宅に持ち帰る場合や、板前などが職場と自宅の間で包丁を布で巻いた上でカバンに入れて携帯している場合であれば、「業務その他正当な理由」に当たると考えられるため、銃刀法違反にはならないと考えられます。

・軽犯罪法違反
持っていた包丁の刃渡りが6cm未満で上記の銃刀法に違反しなかった場合でも、軽犯罪法に違反する可能性が高いです。
軽犯罪法1条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
      二  正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

なお、拘留とは1日以上30日未満の間刑事施設に送られることで、科料とは1,000円以上10,000円未満を納付する刑です。

【書類送検について】

≪明日のブログに掲載します。≫

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神奈川県伊勢原市の堕胎事件

2019-05-28

神奈川県伊勢原市の堕胎事件

【ケース】
神奈川県伊勢原市に住むAは、同じく伊勢原市在住のXと交際していました。
ある日、Xは生理の周期に違和感を覚えて検査をしたところ、妊娠していることが分かりました。
Xは妊娠を望んでいなかったため、Aに自身の腹を殴って死産させるようお願いし、Aはそれを実行しました。

伊勢原市を管轄する伊勢原警察署の警察官は、Aが死産したという情報を掴み、Aを同意堕胎の罪で書類送検しました。

(フィクションです。)

【中絶と堕胎】

ご案内の通り、妊娠により宿した胎児を母体の外に出すことで生育できないようにする、という行為は、現実に行われています。

・中絶
我が国では、不妊手術や人工妊娠中絶に関する事項を定めることで母性の生命健康を保護することを目的とした「母体保護法」という法律が規定されています。
この法律の中で人工妊娠中絶は、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。」と定められています。
また、自然に起きる流産を自然流産と呼び、中絶を人工流産と呼ぶこともあります。
そして「胎児が、生命を保持することのできない時期」の基準については、厚生省(現在の厚生労働省)事務次官通知により「通常満22週未満」と定めました。(平成二年三月二〇日、発健医第五五号、各都道府県知事あて厚生事務次官通知)
すなわち、21週6日までの胎児については中絶をすることができることとされています。
その他にも、中絶をするための要件としては、①妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、②暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの、のいずれかに該当する場合にのみ、本人(妊娠している女性)とその配偶者の同意を得たうえで、指定医師のみが行うことが出来ることになっています。
また、医師は人工妊娠中絶をした場合、その結果を取りまとめて都道府県知事に届け出る義務があります。

堕胎
中絶を定めた母体保護法の規定に反した人工妊娠中絶(例えば、医師以外の者が中絶を行った場合や22週目以降に医師が中絶を行った場合)は、堕胎となり、刑事罰が課せられます。
なお、当然のことながら、故意以外の何らかの理由で妊娠12週目以降に死児として出産した場合を死産と呼びますが、こちらは堕胎とは異なり刑事罰の対象ではありません。

【堕胎罪の種類について】

堕胎
妊娠中の女性が自らの胎内にいる胎児を堕胎した場合、堕胎罪にあたります。
刑法212条には、「妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、一年以下の懲役に処する。」と定められています。

・同意堕胎及び同致死傷罪
妊娠中の女性から依頼を受けたり女性の同意を得たりしたうえで堕胎させた場合、同意堕胎罪にあたります。
また、それによって女性に怪我を負わせた場合や死亡させた場合には、同意堕胎致傷罪ないし同意堕胎致死罪にあたります。
刑法213条では、「女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させた者は、二年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」と定められています。
ケースのAは、妊娠中の女性に依頼されて堕胎させているため、この同意堕胎罪で処罰される可能性があります。

・業務上堕胎及び同致死傷罪
医師をはじめとした医療関係者が妊娠中の女性から依頼を受けたり女性の同意を得たりしたうえで堕胎させた場合、業務上堕胎罪にあたります。
また、それによって女性に怪我を負わせた場合や死亡させた場合には、業務上堕胎致傷罪ないし業務上堕胎致死罪にあたります。
刑法214条では「医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、三月以上五年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させたときは、六月以上七年以下の懲役に処する。」と定められています。

・不同意堕胎
妊娠中の女性の依頼や同意がない状況で堕胎させた場合、不同意堕胎罪にあたります。
刑法215条1項では、「女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、六月以上七年以下の懲役に処する。」と定められています。
また、不同意堕胎罪が未遂で終わった場合でも、不同意堕胎未遂罪が成立します。(同条2項)

・不同意堕胎致死傷罪
不同意堕胎の結果、妊娠している女性を死傷させた場合は、不同意堕胎致傷罪ないし不同意堕胎致死罪にあたります。
刑法216条では「前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」と定められています。
なお、傷害の罪の法定刑は「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」です。(同204条)

 

神奈川県伊勢原市にて同意堕胎罪で書類送検された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件を専門とする弁護士に、是非ご相談ください。

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