神奈川県伊勢原市の堕胎事件

2019-05-28

神奈川県伊勢原市の堕胎事件

【ケース】
神奈川県伊勢原市に住むAは、同じく伊勢原市在住のXと交際していました。
ある日、Xは生理の周期に違和感を覚えて検査をしたところ、妊娠していることが分かりました。
Xは妊娠を望んでいなかったため、Aに自身の腹を殴って死産させるようお願いし、Aはそれを実行しました。

伊勢原市を管轄する伊勢原警察署の警察官は、Aが死産したという情報を掴み、Aを同意堕胎の罪で書類送検しました。

(フィクションです。)

【中絶と堕胎】

ご案内の通り、妊娠により宿した胎児を母体の外に出すことで生育できないようにする、という行為は、現実に行われています。

・中絶
我が国では、不妊手術や人工妊娠中絶に関する事項を定めることで母性の生命健康を保護することを目的とした「母体保護法」という法律が規定されています。
この法律の中で人工妊娠中絶は、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。」と定められています。
また、自然に起きる流産を自然流産と呼び、中絶を人工流産と呼ぶこともあります。
そして「胎児が、生命を保持することのできない時期」の基準については、厚生省(現在の厚生労働省)事務次官通知により「通常満22週未満」と定めました。(平成二年三月二〇日、発健医第五五号、各都道府県知事あて厚生事務次官通知)
すなわち、21週6日までの胎児については中絶をすることができることとされています。
その他にも、中絶をするための要件としては、①妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、②暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの、のいずれかに該当する場合にのみ、本人(妊娠している女性)とその配偶者の同意を得たうえで、指定医師のみが行うことが出来ることになっています。
また、医師は人工妊娠中絶をした場合、その結果を取りまとめて都道府県知事に届け出る義務があります。

堕胎
中絶を定めた母体保護法の規定に反した人工妊娠中絶(例えば、医師以外の者が中絶を行った場合や22週目以降に医師が中絶を行った場合)は、堕胎となり、刑事罰が課せられます。
なお、当然のことながら、故意以外の何らかの理由で妊娠12週目以降に死児として出産した場合を死産と呼びますが、こちらは堕胎とは異なり刑事罰の対象ではありません。

【堕胎罪の種類について】

堕胎
妊娠中の女性が自らの胎内にいる胎児を堕胎した場合、堕胎罪にあたります。
刑法212条には、「妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、一年以下の懲役に処する。」と定められています。

・同意堕胎及び同致死傷罪
妊娠中の女性から依頼を受けたり女性の同意を得たりしたうえで堕胎させた場合、同意堕胎罪にあたります。
また、それによって女性に怪我を負わせた場合や死亡させた場合には、同意堕胎致傷罪ないし同意堕胎致死罪にあたります。
刑法213条では、「女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させた者は、二年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」と定められています。
ケースのAは、妊娠中の女性に依頼されて堕胎させているため、この同意堕胎罪で処罰される可能性があります。

・業務上堕胎及び同致死傷罪
医師をはじめとした医療関係者が妊娠中の女性から依頼を受けたり女性の同意を得たりしたうえで堕胎させた場合、業務上堕胎罪にあたります。
また、それによって女性に怪我を負わせた場合や死亡させた場合には、業務上堕胎致傷罪ないし業務上堕胎致死罪にあたります。
刑法214条では「医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、三月以上五年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させたときは、六月以上七年以下の懲役に処する。」と定められています。

・不同意堕胎
妊娠中の女性の依頼や同意がない状況で堕胎させた場合、不同意堕胎罪にあたります。
刑法215条1項では、「女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、六月以上七年以下の懲役に処する。」と定められています。
また、不同意堕胎罪が未遂で終わった場合でも、不同意堕胎未遂罪が成立します。(同条2項)

・不同意堕胎致死傷罪
不同意堕胎の結果、妊娠している女性を死傷させた場合は、不同意堕胎致傷罪ないし不同意堕胎致死罪にあたります。
刑法216条では「前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」と定められています。
なお、傷害の罪の法定刑は「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」です。(同204条)

 

神奈川県伊勢原市にて同意堕胎罪で書類送検された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件を専門とする弁護士に、是非ご相談ください。

伊勢原警察署までの初回接見費用:39,700円
在宅事件の場合、初回のご相談:無料

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