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神奈川県座間市の児童買春事件

2019-06-18

神奈川県座間市の児童買春事件

【ケース】
神奈川県座間市在住のAは、18歳の専門学校生です。
Aは、SNSを利用して援助交際を求めている女性を探していたところ、17歳の女子児童Vが2万円を対価に性交渉をするという投稿を発見しました。
そこで、AはVと直接連絡をとって約束をして、座間市内のラブホテルにて2万円を支払い、Vと性行為をしました。

後日、Vが別の相手と性行為をしたことで座間市を管轄する座間警察署の警察官が捜査をしていたところ、VのスマートフォンにAとのやり取りが残っていたため、Aと保護者に対し、事情を説明したうえで座間警察署に来るよう伝えました。
Aの保護者は、児童買春をしてしまったAが審判で不処分になるか、弁護士に無料相談しました。

(フィクションです。)

【児童買春について】

売春と、その相手になること(すなわち買春)は、売春防止法3条で禁止されています。
しかし、成人が個人間で売春・買春をする場合、罰則規定が設けられていないため罪に問われることはありません。(管理売春等は罰則規定が設けられています。)
一方で、18歳未満の未成年者を相手にした買春については、児童買春にあたり、法律で禁止されているとともに罰則規定が設けられています。

児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」により禁止されています。
児童買春とは、18歳未満の児童に対して、対価を渡す(あるいは対価を渡す約束をして)、性行為や(医療目的などの場合を除く)胸や性器等を触る行為、自身の性器を触らせるなどの行為を指します。
児童買春をした場合の法定刑は五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金です。

【不処分を求めて弁護士へ】

Aは19歳ですので、少年法の定義する「少年」にあたります。
通常、少年事件の場合は、捜査機関の捜査が終わると家庭裁判所に送致され、最終的に家庭裁判所の審判によって処分が決定します。
家庭裁判所の審判で下される処分には、少年院送致や保護観察処分、都道府県知事又は児童相談所長送致、などがあります。
一方で、少年自身が充分に反省している、家庭環境の調整などにより少年の更生が十分に期待できる、などの事情から、処分をしない「不処分」と判断される場合もあります。
法務省が発表している平成30年版の犯罪白書によると、少年保護事件のうち一般保護事件(交通事件事故を抜いた事件)のうち不処分とされた事件は全体の16.7%です。

不処分の判断を受けるためには、少年が反省している点や、事件後に保護者が少年に対して真剣に向き合って更生に向けて取り組んでいる点などを、付添人弁護士がしっかりと主張する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、少年事件についても豊富な経験と知識を武器として、時には依頼者や少年に対しても厳しく接することで、少年の更生を図るとともに、施設送致や保護観察が不要だと判断した少年については、審判において不処分を目指します。

神奈川県座間市にて、20歳未満のお子さんが児童買春をしたことで警察署から連絡を受け、家庭裁判所の審判で不処分を求める弁護・付添人活動をお求めの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。

※無料相談は、ご予約のうえ事務所にご来所していただくものです。
ご予約は0120-631-881まで。

神奈川県横浜市中区の暴行事件

2019-06-17

神奈川県横浜市中区の暴行事件

【ケース】
神奈川県横浜市中区に住むAは、横浜市中区にある会社に勤める事務職の会社員です。
Aは、横浜市中区在住のVと交際をしていました。
しかし、Vの心変わりから、A宅に赴きAに一方的に別れを言い出しました。
腹が立ったAは、近くにあったハサミを用いてAの髪の毛数百本を切りました。

その後、Vは横浜市中区を管轄する加賀町警察署に被害届を提出しました。
加賀町警察署の警察官は、Aの行為は暴行罪に当たる可能性があるとして、Aを加賀町警察署に呼び出して取り調べを行いました。

(フィクションです。)

【髪を切って暴行罪?】

ケースのAは、Vの髪の毛を勝手に切っています。
この行為は、暴行罪に当たる可能性が高いです。
暴行罪(刑法208条)暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪における暴行は狭義の暴行と言われ、「人の身体に対する有形力の行使」を指すとされています。
これは、相手の身体に怪我させるような有形力(殴る蹴るなど)だけではなく、例えば胸倉を掴む行為などについても、裁判所は暴行罪を認めています。
髪を勝手に切る行為についても、暴行罪を適応する判例が多くあります。

・傷害罪(刑法204条)人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
傷害罪のいう傷害について、判例(生理機能侵害説)は「他人の身体に対する暴行により、生活機能の毀損すなわち健康状態の不良な変更を惹起すること」としています。
そのため、毛根から髪(や陰毛などの体毛)を抜く行為に対しては傷害罪を認め、髪を根元から切る行為に対しては暴行罪を認めている、ということになります。
ただし、下級審判例ではありますが、昭和38年の判例に傷害罪を認めた判例が実在します。
また、学説によっては、髪を切る行為は「外貌に著しい変化を生ずる」ものであり、傷害罪を認めるものもあります。

【カップルの間でのトラブルで刑事事件に】

仲の良いカップルや夫婦であっても、時としてトラブルを起こしてしまうこともあるでしょう。
また、カップルが別れる、夫婦が離婚する場合にトラブルが生じる可能性もあります。
そして、中には、カップルや夫婦間のトラブルにとどまらず、刑事事件として逮捕・勾留されたり書類送検されたりする場合もございます。
以下でいくつかの事例をご紹介します。
・カップルの喧嘩や夫婦間DVによる傷害事件(刑法204条)、暴行事件(刑法208条)
・復縁を迫る際に脅したことによる脅迫事件(刑法222条1項)強要事件(刑法223条1項)
・別れた後もつきまとうことによるストーカー規制法違反事件(ストーカー行為等の規制等に関する法律3条等)

小さなトラブルであれば弁護士に依頼をする必要はありませんが、ケースや上記で列挙したようなトラブルはもはや刑事事件ですので、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで、カップルや夫婦間で生じた刑事事件についても弁護経験がございます。
カップルや夫婦間で生じた刑事事件の一つに、事件後に加害者が被害者に接触しやすいという点があります。
そのため、弁護士は一般的な弁護活動に加えて、加害者が被害者に接触しないための調整などが必要になってきます。

神奈川県横浜市中区にて、カップルや夫婦間でのトラブルが原因で髪を切ってしまうなどして暴行罪で刑事事件化してしまった、あるいはその可能性がある方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。
※無料相談は予約制です。ご予約は0120-631-881まで。

神奈川県平塚市の色情盗事件

2019-06-16

神奈川県平塚市の色情盗事件

【ケース】
神奈川県平塚市に住むAは、平塚市内の会社に勤める会社員です。
Aは、会社での上司によるパワハラに近い言動や、将来に対する不安などから、ストレスが溜まっていました。
そんなある日、会社が終わって帰宅する途中、ふと平塚市内にあるコインランドリーに目を向けたところ、洗濯済みの洋服等が入っている洗濯機がありました。
Aはコインランドリーに入り、洗濯機を開けて洗濯物を見たところ、女性ものの下着や洋服が入っていました。
Aは、すぐに返せばバレないだろうと思い、それを見て自慰行為をする目的で下着や洋服など計5点ほどを盗みました。
しかし、コインランドリーを出ようとしたところで洗濯物の持ち主Vに鉢合わせをしてしまい、色情盗事件として警察に通報されました。
通報を受けて駆けつけた、平塚市を管轄する平塚警察署の警察官は、色情盗をしたAを現行犯逮捕しました。

Aが逮捕されたことを知ったAの家族は、勾留阻止を求めて弁護士に初回接見を依頼しました。

(フィクションです。)

【色情盗で問われる罪・関係する罪】

色情盗・色情狙いは、非侵入等の一種です。
非侵入等は侵入等(や乗り物盗)以外の窃盗犯を指し、色情盗の他にはひったくりやスリ、万引き盗などがあります。
一方で、侵入盗は空き巣などがあります。

・窃盗罪
コインランドリーで色情盗をしたことで最初に考えられるのは、窃盗罪です。
窃盗罪は、刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。
窃盗罪の成立要件は、故意であることと不法領得の意思があることです。
不法領得の意思とは、他人の物を自分の所有物として利用・処分することを言います。
ケースのAは下着等を持ち帰ろうとしていますので、目的が自慰行為をすることだったとしても、又は仮に後で返すつもりだったとしても、不法領得の意思が認められて窃盗罪が成立します。

・建造物等侵入罪
次に、色情盗をしたことでコインランドリーに不法侵入したとして考えられるのは、建造物等侵入罪です。
建造物等侵入罪は、正当な理由がないのに他人の建造物に侵入した場合にあたる罪です。
洗濯機を利用する目的でコインランドリーに入ることは「正当な理由」があると言えますが、色情盗目的でコインランドリーに入ることが「正当な理由」に当たるとは考えられません。
建造物等侵入罪の法定刑は「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」です。

ただし、窃盗を目的に建造物等侵入罪を犯した場合、牽連関係が認められ、建造物等侵入罪には問われない場合が一般的です。
そのため、色情盗による窃盗罪での立件が難しい場合以外に建造物等侵入罪が適用される事は考えにくいです。

【勾留阻止を求めて弁護士へ】

刑事事件では、逮捕後48時間以内に検察庁に送致され、その後24時間以内に、検察官は①釈放するか②勾留請求をするか、選択します。
このうち②勾留請求とは、検察官がその後も被疑者の身柄を拘束する必要があると判断した場合に裁判所に対して行う請求です。
勾留請求をうけた裁判所は、勾留の必要性を検討したうえで、勾留決定するか勾留請求を却下するかの判断を下します。
勾留決定が下された場合は10日間(更に1度延長が出来るので、最大で20日間)勾留されることになります。

勾留の決定を取消す手続きはありますが(準抗告)、一度裁判官が認めた勾留決定を(別の裁判官が判断するとはいえ)覆すことは容易ではありません。
そのため、勾留を阻止するためには、勾留決定が下される前に、検察官や裁判官に働きかけを行う等勾留を阻止するための弁護活動が必要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまで数多くの勾留阻止のための弁護活動を行って参りました。
勾留決定は、平日でも土日祝日でも、72時間以内(実際にはもっと早くに手続き・決定がなされます)に行われるため、早期の対応が必要です。

神奈川県平塚市にて色情盗で逮捕され、勾留を阻止する弁護活動をお求めの方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

神奈川県横浜市中区で初回接見を希望

2019-06-15

神奈川県横浜市中区で初回接見を希望

【ケース】
神奈川県横浜市中区に住むAは、横浜市中区にてお酒をメインに提供する飲食店を営んでします。
ある日、横浜市中区在住のVが客として来店し、酒を飲んで酩酊状態に陥りました。
その日店にはAとVしかいなかったことから、Aは店をクローズ状態にして、反応のないVに対して性行為をしました。

性行為が終わった後しばらくして、Vは意識がハッキリとしてきて、Aから同意なく性行為をされたことを思い出しました。
そしてVは横浜市中区を管轄する横浜水上警察署に告訴しました。

後日、Aは横浜水上警察署の警察官によって通常逮捕されました。

(フィクションです。)

【同意のない性行為について】

強制わいせつやいわゆる強姦等をした場合、法律によって刑罰が科せられます。
これは、個人の性的自由を保護法益とするものです。

相手方の同意がないままに性行為をする強姦行為についての罪は、平成29年の刑法改正以前は「強姦罪」と呼ばれていましたが、法改正後は「強制性交等罪」という名称になりました。
法定刑は、平成16年の刑法改正により短期が2年から3年の懲役に、長期が20年に引き上げられ、平成29年の法改正により5年以上の懲役(最大20年)となりました。
また、平成29年改正以前は親告罪といって被害者の告訴が無ければ起訴できない事件でしたが、法改正後は告訴がなくても起訴することが出来るようになりました。

強制性交等罪は刑法177条で「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」と規定されています。
強制性交等罪に当たる行為は、暴行や脅迫を用いることで、被害者の反抗を著しく困難な状態にして性行為などをする必要があります。

他方、ケースのように被害者が泥酔して酩酊状態に陥った状況で性行為をした場合、準強制性交等罪が適用されます。
準強制性交等罪は刑法178条2項で「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。」と規定されています。
心神喪失とは、精神的な障碍によって正常な判断力を失った状態をいい、抗拒不能とは、心理的又は物理的に抵抗が出来ない状態をいいます。
ケースのような酩酊状態や睡眠、過度の精神遅滞の場合のような性行為を認識できない状態、あるいは騙されるなどして錯誤に陥れられることで性行為を認識してい乍ら自由意思に従って行動できない状態が対象となります。

【当事務所が行っている初回接見サービスとは?】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ご家族などが刑事事件を犯した疑いをかけられて逮捕・勾留された場合を対象に、初回接見サービスを実施しています。

捜査機関の方はその立場上、例え逮捕・勾留されている方のご家族であっても、どのような事件を起こして逮捕・勾留されているのか、説明してくれない場合が多いです。
そのため、逮捕された方のご家族の方はとても不安かと思われます。

初回接見サービスは、初回に限り、弁護契約を結んでいない方の事件で1回30,000円(税抜き)+交通費を頂戴することで、逮捕・勾留されている方の下へ接見に行き、状況を把握したうえで、初回接見に行った弁護士が事件の詳細や今後の見通しについてのご報告をさせていただきます。
もちろん、初回接見を依頼したからといって必ず弁護契約を結ぶ必要はありません。

神奈川県横浜市中区にて、ご家族が泥酔していて酩酊状態の人に対して性行為をしたことで準強制性交等罪に問われている、あるいはそのような状況さえ分からない、という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービスをご利用ください。
当事務所では、24時間365日初回接見サービスの受付をしており、原則として初回接見サービス費用のお振込後24時間以内に初回接見を行います。

初回接見サービスのご予約は0120-631-881まで

神奈川県三浦市のチケット不正転売事件

2019-06-14

神奈川県三浦市のチケット不正転売事件

【ケース】
神奈川県三浦市に住むAは、三浦市内の会社に勤める会社員です。
Aは、とあるライブのチケットを転売することで利益を得ようと思い、実際には行くつもりがないにもかかわらず、ライブのチケット10枚(一枚1万円)を購入し、オークションサイトにて一枚2万円を最低限としたオークションを行いました。
結果、10万円で購入したライブのチケット10枚が、計40万円で落札されました。
しかし、チケットを落札者に郵送する前に、不正転売しようとした疑いで警察署から連絡が来て、取調べを受けることになりました。

(フィクションです。)

【チケットを転売した場合の罪】

ご案内の通り、我が国で開催されるオリンピックの開会式まで、残り1年程となり、盛り上がりをみせているようです。
それに伴い、オリンピックのチケットの抽選申込みが先月までに行われ、来週木曜日に抽選結果が発表される予定です。

今回、オリンピックチケットの販売についての報道に際し、いわゆるチケットの転売対策についても併せて報道されています。
チケットの転売を巡っては、オリンピックに限らず、これまでコンサートやライブなど様々な場面で問題視されていました。
チケットの転売は、一般の消費者がチケットを手に入れにくくしているだけなく、場合によってはそのマージンが反社会的勢力の資金源になっている、とも言われてきました。

これまでも、各地方自治体によっては条例で転売を禁止していましたが、懲役刑が定められている都道府県もあれば罰金・科料しか規定されていない都道府県もあり、中には条例の制定が追いついていない都道府県もありました。
そこで、日本国内で行われる音楽やスポーツのチケット不正転売を統一して禁止するべく、昨年12月14日に議員立法である「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(略称・チケット不正転売禁止法)が交付され、本日令和元年6月14日から施行されます。

チケット不正転売禁止法は、特定興行入場券(転売禁止が明記されている、当日その会のチケット・指定券である、チケット購入時の名前や連絡先の確認作業を行う等の要件があります。)の不正転売を禁止し、その防止のための措置をとることで、興行入場券の適正な流通を確保することや文化・スポーツ・国民の消費生活を安定させる等のことを目的としています。

チケット不正転売禁止法の定める「特定興行入場券の不正転売」とは、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償転売であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。」と定められています。(同法2条4項)
そして、この法律は「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。」(同3条)「何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない」(同4条)と規定しています。
つまり、転売禁止が明記され、そのための措置が講じられているにもかかわらず、チケットの正規の価格より高い値段で転売する、あるいは転売するためにチケットを入手するという行為を禁止しているのです。
この条文に反してチケットの転売転売のためにチケットを入手した場合、「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。(同法9条)

ケースのAは、不正転売を目的としてチケットを入手していますので、同法4条に違反する可能性があります。

【略式裁判を求めて弁護士へ】

略式裁判とは、明白で簡易な事件で、100万円以下の罰金又は科料(千円以上1万円未満)に相当する事件において、検察官の請求で行われるものです。
本来であれば、検察官が公判請求をすることで公開の法定で裁判を開かれることになりますが、略式裁判は被告人本人が納得して手続き(略受け)をして罰金・科料を納付するだけで事件が完了します。
通常の裁判で有罪判決を受けた場合と同様に、略式裁判であってもいわゆる前科はつきます。
しかし、通常裁判では数ヶ月から数年の時間を要する場合もあるほか、傍聴が可能な公開の裁判で事件についての話をすることを考えると、略式裁判に比べて負担がかかることが考えられます。
よって、通常裁判より略式裁判の方が良いと考えられる方も少なくないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、施行されたばかりの法律に違反した事件についても対応が可能です。

神奈川県三浦市にてチケットの転売をしたことでチケット不正転売禁止法に違反し、略式裁判について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。

神奈川県小田原市で野球賭博②

2019-06-12

神奈川県小田原市で野球賭博②

【ケース】
≪詳細については、昨日のブログをご覧ください。≫
神奈川県小田原市に住むAが、X主催の野球賭博に何度も参加していた、という事案です。
小田原警察署の警察官は、Aを常習賭博罪で逮捕しました。

Aの親族は、刑事事件専門の弁護士に逮捕されたAに対する弁護活動を依頼し、野球賭博がどのような罪に当たるのか、野球賭博のような被害者のいない事件ではどのような弁護活動があるのか、相談しました。

(フィクションです。)

【野球賭博に関する罪について】

≪各罪の詳細については、昨日のブログをご参照ください。≫

・単純賭博罪(刑法185条)
・常習賭博罪(刑法186条1項)
・賭博場開帳等図利罪(刑法186条2項)
ケースについて見ると、Aは頻繁に野球賭博に参加しています。
よって、常習賭博罪に当たる可能性があります。
また、「常習として賭博をしていた者」と立証するだけの証拠がなかった場合、単純賭博罪が適用されることも考えられます。
ご案内の通り、単純賭博罪の法定刑は「50万円以下の罰金又は科料(千円以上1万円未満を納付するという刑罰)」であり、常習賭博罪は「3年以下の懲役」です。
常習賭博罪の場合、裁判になって有罪判決を受けた場合、執行猶予が付かない限り刑事収容施設に収容されるということになります。

また、野球賭博を開催しているXについては、賭博場開帳等図利罪が適用される可能性があります。

【賭博罪の例外について】

先述の通り、賭博は「原則」禁止されています。
では、なぜ競馬や競艇、パチンコといった賭け事が堂々と行われているのでしょうか。

時代は戦後、財政上の理由から、「特別法をもって」競輪・競馬・競艇・宝くじ・スポーツ振興投票(toto・BIGといったサッカーくじ)を公認しています。
(例)競馬⇒競馬法、競輪⇒自転車競技法、競艇⇒モーターボート競走法、宝くじ⇒当選金付証票法
※パチンコについては、特別法があるわけではありませんが、風俗営業法2条1項4号に「ぱちんこ屋」として規定されています。
パチンコは風俗営業法のいう「遊技」にあたりますが、遊技の結果に応じて現金又は有価証券を賞品として提供することや客に提供した商品を買い取ることは禁止されています。(風俗営業法23条1項)
また、パチンコの結果に応じて賞品を提供することも禁止しています。(同2項)
そのため、パチンコで勝った人はパチンコ玉を「特殊景品」と交換して、特殊景品を「パチンコ屋とは独立した古物商(景品交換所)」に売って現金を得ます。
そして、古物商は特殊景品をパチンコ屋に売ることで特殊景品がパチンコ屋に戻ってくるという、いわゆる三点方式がなされています。この手法について、今のところ賭博罪の合法性や違法性に言及した裁判例はほとんどありません。

その他、日本人が海外に行ってカジノなどの賭け事をする場合については、違法性が阻却されるとされています。

【贖罪寄付について】

傷害事件や窃盗事件といった「被害者がいる事件」については、示談をするなどして謝罪や賠償を行う弁護活動が考えられます。
しかし、野球賭博のような「被害者がいない事件」や、被害者がいる事件の場合でも「被害者が賠償を拒んでいる」事件については、賠償を行うことが困難です。
そこで、「被害者がいない事件」や「被害者が賠償を拒んでいる」事件では、賠償の代わりに贖罪寄付を行う、という手段があります。
贖罪寄付とは、上記のような場合に、反省などの意思を示す手段として用いられるものです。
贖罪寄付は、日本弁護士連合会や法テラスなどの機関が募っている寄付金です。
贖罪寄付をした場合、贖罪寄付を受け付けた機関から「贖罪寄付証明書」等の証明書が発行され、それを検察官や裁判官に提示することで判断や量刑に考慮してもらう、という仕組みです。
日本弁護士連合会のアンケートによると、贖罪寄付を紹介した弁護士のうち、回答者の8割が情状として考慮されたと回答しています。

【野球賭博などの刑事事件は当事務所まで】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、野球賭博のような被害者がいない事件についても対応しています。
野球賭博をしたことを被疑者が認めているのであれば、身柄解放活動や贖罪寄付などの情状弁護といった弁護活動を丁寧にご説明致します。

神奈川県小田原市にて野球賭博をしたことで常習賭博罪で逮捕され、贖罪寄付をお考えの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービスをご利用ください。

神奈川県小田原市で野球賭博①

2019-06-11

神奈川県小田原市で野球賭博

【ケース】
神奈川県小田原市に住むAは、小田原市内の会社に勤める会社員です。
Aは賭け事にさほど興味を持っていたわけではないのですが、小田原市内に住む友人Xから誘われてX主催の野球賭博に参加するようになりました。
Xが開帳していた野球賭博は、プロ野球公式戦を対象に、各球場で行われている試合の勝敗や点数などを当てるという賭け事で、一回の掛け金は数千円から10万円ほどでした。
この野球賭博には数十人が参加しており、公式戦が行われる度に開帳されていました。
そして、Aも頻繁に参加するようになりました。

ある日、Aの自宅に小田原市を管轄する小田原警察署の警察官が来て、「野球賭博の件でAさんを常習賭博罪により逮捕する」と言って、Aを連行していきました。
Aの親族は、逮捕されたAの弁護活動を依頼し、野球賭博がどのような罪に当たるか、また、野球賭博をした場合の弁護活動にはどのようなものがあるのか、刑事事件を専門とする弁護士に相談しました。

(フィクションです。)

【野球賭博に関する罪について】

我が国では、原則として賭博行為を禁止しています。
具体的には、刑法の下記の条文が適用されます。

・単純賭博罪(刑法185条)
「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」
①一時の娯楽に供する物とは何か
一時の娯楽に供する物とは、例えば1回分の飲食費を賭けた賭け事などといった、一時的な娯楽のために消費される物を指し、これは賭博罪の対象にはなりません。
②懸賞や、くじ引き大会、ビンゴ大会、抽選会といったイベントは賭博罪に当たるのか
当事者双方にとって偶然の結果であることが要件になるため、雑誌の懸賞や商店街で行われるくじ引き大会のように、主催者側が一方的に負担を負っている場合には賭博罪の対象にはなりません。

・常習賭博罪(刑法186条1項)
「常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。」
常習賭博罪は常習的に賭博をしている場合に当たります。
「常習として賭博をした者とは」、反復して賭博行為をする習癖のある者を指します。
実際に常習と言えるかどうかについて、賭博の種類や賭けた金額等を総合的に判断しています。

・賭博場開帳等図利罪(刑法186条2項)
「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」
①賭博場開帳等図利罪とは何か
賭博場開帳等図利罪とは、自分が主催者となって、自身の支配の下で賭博をする場所を開設することを指します。
②営利を目的としていなくても賭博場開帳等図利罪に当たるのか
賭博場を開設することで手数料等の形で利益を得ていて場合はもちろんのこと、営利を目的としていなかったとしても、単に賭博場を開設したがけで、この罪に当たります。
また、賭博場を開設しただけで自分自身では賭博をしていなかったとしても、賭博場開帳等図利罪は適用されます。
③同じ場所に集まって賭博行為をしていない場合、賭博場開帳等図利罪に当たるのか
昭和48年の最高裁判決によると、プロ野球セントラルリーグの公式戦を対象とした野球賭博を行わせるために、とある場所に電話・帳面・プロ野球公式戦の日程表・スポーツ新聞などを備え付け、電話にて賭博の申し込みを受け付け、集計・整理をし、掛け金等の徴収などをした事件で、この管理を行っていた者に対して賭博場開帳等図利罪を適用しています。

【賭博罪の例外について】

明日のブログに掲載します。≫

【贖罪寄付について弁護士へ相談】

明日のブログに掲載します。≫

神奈川県横浜市中区の常習累犯窃盗事件

2019-06-10

神奈川県横浜市中区の常習累犯窃盗事件

【ケース】
神奈川県横浜市中区に住むAは70代の無職です。
Aは家族とも一緒に住んでいて、経済的に厳しい生活を強いられているわけではないのですが、これまでに4回窃盗罪で逮捕され、実刑判決を受けたこともあります。
直近では、2年前に窃盗罪で逮捕され、裁判では「懲役1年6月」の実刑判決を受けました。
それでもAは、横浜市中区内のスーパーマーケットに行き、財布に現金約2万円が入っているにもかかわらず食品を中心に商品7点を、レジを通さずに自己所有のカバンに入れてしまいました。
Aの帰宅後、Aの家族が不審に思いAを問い詰めたところ、Aが万引きしたことを認めました。

Aの家族は、神奈川県横浜市中区を管轄する伊勢佐木警察署へAを自首させたほうが良いのか、弁護士に相談しました。

(フィクションです。)

【窃盗罪と常習累犯窃盗罪】

ご案内の通り、万引き行為は窃盗罪に当たる可能性があります。
・刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
通常、万引きをした場合は、この窃盗罪に当たる可能性があります。

しかし、ケースのように、複数回窃盗罪による有罪判決を受けている場合は、常習累犯窃盗罪に問われる場合があります。
常習累犯窃盗は、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条に規定されています。
・盗犯等ノ防止及処分に関する法律3条「常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル」
カタカナばかりで非常に読みづらい条文ですが、前条に掲げたる刑法各条の罪とは窃盗罪(刑法235条)、強盗罪(刑法236条)、事後強盗罪(刑法238条)、昏睡強盗(刑法239条)を指し、この罪又はこの罪の未遂事件で①常習性が認められ(反復してこれらの罪を犯す習癖がある)、②10年以内にこれらの罪で3回以上、6月以上の懲役刑かその執行猶予付き判決を受けた場合に、常習累犯窃盗にあたることとなっています。
常習累犯窃盗の法定刑は3年以上の有期懲役と定められていますので(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条)、裁判で有罪となった場合には懲役刑は3年から20年の間で言い渡される可能性があります。

常習累犯窃盗の要件のうち、②(10年以内にこれらの罪で3回以上、6月以上の懲役刑かその執行猶予付き判決を受けた)という部分については、さほど争いがありません。
一方で、①「常習性」については、争いがある場合が考えられます。
例えば、今年の1月に高知地裁が出した判決では、万引きを繰り返したとして常習累犯窃盗罪に問われた被告人に対して、クレプトマニア(後述致します。)を理由に「常習性」を認めず、より法定刑が軽い窃盗罪を適用した裁判例があります。

万引き行為が事実であることを前提に、弁護士としては法定刑が3年以上20年以下の懲役である常習累犯窃盗罪よりも10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が予定されている窃盗罪の適用を目指した弁護活動が必要になります。

【クレプトマニアと弁護活動】

クレプトマニアという言葉をご存知でしょうか。
クレプトマニア(kleptomania、窃盗症)は、お金を持っているにもかかわらず代金を支払わないで万引きをはたらく、あるいは、本当は欲しくない物をついつい万引きする、等といった症状を指します。
クレプトマニアの傾向としては、窃盗を犯すときのスリルや達成したときの快感や満足感を目的としている場合が多いようです。
今日では、都市部を中心にクレプトマニア専門の外来なども設けられており、治療プログラムに参加することでクレプトマニアを克服する方も少なくありません。

クレプトマニアの症状をお持ちの方に対して、懲役刑や禁錮刑を科すことではクレプトマニアの改善は望めず、専門医などによる治療が必要であると言われています。
そのため、クレプトマニアの症状をお持ちの方に対しては、実刑を回避する弁護活動が必要になります。

神奈川県横浜市中区にて、ご家族にクレプトマニアの症状が見られ、実際に万引きをしたことで常習累犯窃盗の罪に問われている方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。

不正アクセスで保護処分

2019-06-09

不正アクセスで保護処分

神奈川県川崎市に住むAさん(17歳)は、日頃から同区内に住む同級生のVさんにからかわれていたため、たまには仕返しをしてやろうと考えました。
そこで、AさんはVさんがよく遊んでいるオンラインゲームのアカウントに勝手にログインし、ゲーム内のアイテムを見境なく削除していきました。
翌日、アイテムが消えていることに気づいたVさんは、高津警察署不正アクセス被害にあったことを相談しました。
ほどなくしてAさんは不正アクセス禁止法違反の疑いを持たれたため、Aさんの両親は弁護士保護処分について聞いてみました。
(フィクションです。)

【不正アクセスについて】

不正アクセスは、他人のパスワードや指紋など(「識別符号」と呼ばれます)を用いたり特殊な操作をしたりして、本来であればアクセス権限がないコンピュータに侵入する行為を指します
日本では「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(通称:不正アクセス禁止法)が定められています。
不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為およびそれにつながる行為の禁止や、不正アクセス行為の防止に向けた国や公共団体の義務などを定めています。

不正アクセス行為を行った場合、不正アクセス禁止法違反により3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
上記事例では、AさんがVさんのオンラインゲームのアカウントに勝手にログインしています。
本来ログインに当たってはIDやパスワードが要求され、そうした情報を入力して勝手にログインするのは正に不正アクセス行為に当たると考えられます。
そうすると、Aさんの行為は不正アクセス行為に当たることになるでしょう。

更に、仮に不正アクセス行為を通して財産上不法な利益を得た場合、電子計算機使用詐欺罪が併せて成立余地が出てきます。
そうなると、事件の重大さは当然高まり、処分は相応に重くなることが見込まれるでしょう。

【少年事件における保護処分】

少年(20歳未満の者)を被疑者とする刑事事件は、少年事件として通常の刑事事件とは異なる手続が行われます。
少年事件の最大の特徴は、通常の刑事事件のように刑罰が科されるわけではなく、少年事件に特有の保護処分というものが行われる点だと言えます。
通常、少年というのは心身共に未熟であり、自己の行いの重みを認識することなく非行に及ぶことがよくあります。
そこで、刑罰による制裁・矯正よりも、少年の健全な育成に向けた適切な取組みが行われるというわけです。

少年に対する保護処分の要否と内容は、少年事件を専門の一つとする家庭裁判所で決定されます。
保護処分には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3つがあります。
これらの保護処分を行う必要がない場合は、審判不開始あるいは不処分として何らの処分を行われないことがあります。
以下では、実務上よく対比されることもある保護観察と少年院送致について見ていきます。

①保護観察
保護観察官および保護司の指導・監督のもと、他の施設に行くことなく自宅などで更生を図る処分です。
少年院などの施設に行かずに行うため、基本的には両親をはじめとする家族の監督下で更生を目指すことになります。
それと並行して、保護司や保護観察官から適宜生活指導を受けることもあります。

③少年院送致
自宅などを離れて少年院に収容し、更生に向けた指導・教育を受けさせる処分です。
少年の中でも特に要保護性が高い者に対して行われるもので、少年の性格や非行などに応じて更に細かく分かれます。
世間一般のイメージもあり、少年院だけは避けたいというご要望が多いのは事実です。

以上で見たように、保護処分は少年ひとりひとりに応じて適切なものが選択されるものであり、いずれが適切かは各少年により異なってきます。
選択される保護処分の見通しも個々の事案により異なってくるので、もし何かお悩みであれば弁護士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に詳しい弁護士が、保護処分を含む少年事件のポイントをしっかりとお伝えいたします。
お子さんが不正アクセスをしてしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

落書きで建造物損壊罪?

2019-06-08

落書きで建造物損壊罪?

Aさんは、神奈川県内をバイクで散策しては、道路の設置物やトンネルなどにラッカースプレーで落書きをしていました。
ある日、Aさんが神奈川県足柄上郡内の公園にある公衆トイレの壁に落書きをしていたところ、その様子をたまたま通行人のWさんに目撃されました。
Aさんは、Wさんから「落書きは犯罪だよ。松田警察署に通報したからね」と言われ、慌ててその場を立ち去りました。
後日、Aさんは自身が逮捕されるのではないかと思い、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(上記事例はフィクションです)

【落書きに成立する罪】

外を歩いていると、たとえば歩道橋やトンネルの壁などに落書きがされているのが目に入ります。
落書きはその場所にすっかり溶け込んでいることもあり、落書きという行為につい寛容になりがちです。
ですが、建造物や道路の設置物に落書きをすると、以下のような犯罪が成立する可能性があります。
まず、考えられるものとしては軽犯罪法違反が挙げられます。
軽犯罪法1条33号は、「みだりに他人の家屋その他の工作物…若しくは標示物を汚した者」拘留または科料に処するとしています。
街中で見かける落書きは、スプレーやチョークなどで工作物等を汚す行為に当たると考えられます。
そうすると、上記事例のAさんも軽犯罪法違反に当たる可能性があります。
ただ、拘留は1日以上30日未満の拘置、科料は1000円以上1万円未満の金銭の納付であり、数ある罪の中ではごく軽いものと言えます。

場合によっては、軽犯罪法違反ではなく建造物損壊罪が成立する余地もあります。
建造物損壊罪における「損壊」とは、建造物の効用を害する一切の行為を指すと考えられています。
このことから、落書きにより目的物を汚損した場合でも、「損壊」に当たるとして建造物侵入罪に当たることはありえるということになります。
上記事例では、Aさんが公園の公衆トイレの壁にラッカースプレーで落書きをしています。
落書きをしたからといって、公衆トイレの壁が崩れたり薄くなったりするというのは起こりません。
ですが、公園という空間を構成する公衆トイレの壁が汚損されたことで、その公園が有する美観が害されるということは生じます。
そうすると、Aさんは建造物損壊罪として5年以下の懲役が科される可能性があるのです。

【逮捕の可能性】

刑事事件と聞くと逮捕をイメージされる方は多いかと思いますが、実際のところ逮捕が行われるケースというのは全体の4割程度です。
そうした逮捕を伴う事件は身柄事件と呼ばれ、逮捕を伴わない事件は在宅事件と呼ばれます。
ニュースなどでよく聞く書類送検というのは、逮捕が行われないことで事件の記録だけが検察庁に送られることを指し、在宅事件に特有の用語と言えます。

ある事件で逮捕を行うかどうかは捜査機関次第であるため、逮捕の可能性について確実なことは言えません。
一応の目安を判断する要素としては、事件の重大性が挙げられます。
事件が重大かどうかは、犯した罪の重さ(法定刑)、被害の程度、犯行の悪質性などの様々な要素に基づき判断されます。
ただ、一般的には、重い罪であればあるほど逮捕の可能性が高まるといってよいでしょう。
たとえば、殺人事件を在宅で進めるというのはおよそ考えられず、被疑者が特定できた段階で逮捕を行うのが通常だと思われます。
逆に、軽い罪を犯しても逮捕の可能性は高くないと思われますが、それでも0になるということはおそらくありません。
絶対に逮捕されないと言い切ることができないのは歯がゆいものです。
もし自身のケースで逮捕の可能性がどの程度か不安に思ったら、ぜひお近くの弁護士に一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、逮捕の可能性や心構えについて丁寧にご説明します。
落書きが発覚したら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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