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常習的な万引き事件

2020-06-23

常習的な万引き事件

万引きなどの窃盗事件を繰り返し行った場合の刑事上の問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事件】
神奈川県横浜市港北区在住のAさんは、これまでに何度も万引きをして窃盗事件の被疑者となっていて、うち2回については窃盗罪で起訴されて懲役刑を受けています。
刑務所から仮釈放により出所したAさんですが、それから1週間と経たないうちに横浜市港北区内のコンビニエンスストアで万引きをしてしまい、店員に止められ通報を受けて臨場した横浜市港北区を管轄する港北警察署の警察官に逮捕されました。

逮捕の連絡を受けAさんの家族は、横浜市内で刑事事件を専門としている弁護士に初回接見を依頼しました。

(事件は全てフィクションです)

【窃盗累犯】

Aさんはコンビニで万引きを行いました。
ご案内のとおり、万引き行為でまず検討される罪は窃盗罪です。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

しかし、Aさんは過去2度にわたって窃盗罪により懲役刑を受けています。

Aさんのように犯罪を繰り返すことを一般的には再犯と呼ぶことが多いですが、刑法上、そのような再犯と似た概念として累犯(法律上の累犯)があります。

刑法第56条第1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。

つまり、法律上の累犯は一般的にいうところの再犯の中でも、
①懲役の執行が終わった日,または
②懲役の執行が免除された日
の日の翌日から5年以内にさらに罪を犯して有期懲役に処せられた場合をいいます。

①の懲役の執行が終わった日とは,刑期が満了した日という意味です。

②の懲役の執行が免除された日というのは,懲役刑の言い渡しを受けたものの執行猶予期間を満了して刑罰権が消滅した日などが当たります。

犯罪を繰り返したからと言ってすぐさま累犯と扱われるわけではありません。
しかし、前述の用件を満たして法律上の累犯と扱われる場合、言い渡される刑罰は重くなります。

刑法第57条
再犯の刑は,その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。

この規定により、窃盗罪の法律上の累犯になった場合では法定刑の上限は10年以下の懲役ではなく20年以下の懲役となります。
なお、累犯と評価された場合には罰金刑にはならず、必ず有期懲役となります。

20年以下の懲役となるというのはあくまでも上限(長期)がそうなるということであって、実際に言い渡される刑期(量刑)はこれまでの被告人の生活や今回の犯行の内容などを総合的に考慮した裁判官の評価によって変わります。

窃盗罪の場合、刑法典に定められた再犯加重規定のほかに、盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(通称として盗犯等防止法といいます)の中に常習累犯窃盗罪(盗犯等防止法第3条)が規定されています。

常習累犯窃盗罪の構成要件は
Ⅰ.過去10年以内に3回以上6月以上の懲役刑を受けた(執行が免除された場合を含む)者が
Ⅱ.常習として窃盗を行うこと
となっています。

常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。
有期懲役の上限は20年なので、3年以上の20年以下の懲役ということになります。

Aさんは過去2度にわたって窃盗罪で懲役刑を受けています。

今回のコンビニでの万引きを行った日が少なくとも最後に受けた懲役刑の刑期満了日から5年以内であった場合,刑法第57条の規定によって刑が加重されることが考えられます。

また,世間で一般的に言われる,ただ単に犯罪を繰り返すことという意味での再犯に当たるAさんが不起訴や執行猶予を得られる可能性は限りなく低いです。

ただし,早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することによって,Aさんが再び刑務所に入らなければいけなくなるリスクを下げることができます。

窃盗の被害額が少額であること,被害者との間に示談が成立していること,前回の懲役刑の執行満了日や執行猶予期間満了日から期間が開いていること,そのほか考慮すべき事情があることなどの事実を積み重ねることで,執行猶予を得られる可能性をわずかでも高めることができます。

よって,再犯あるいは法律上の累犯に当たるような場合であっても,早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することの重要性は依然として高いです。

また,窃盗は精神的な病気が原因であることによって本人だけでは再犯を止めることができない場合もあります。
窃盗事件を多く経験した弁護士は,そのような状態からの改善のお手伝いをすることもできます。

万引き等窃盗の再犯者となってしまった方,常習累犯窃盗罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県港北警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

初回法律相談:無料
逮捕・勾留されている場合は弁護士が警察署等に接見に向かいます。(有料)

虚偽通報で業務妨害?

2020-06-16

虚偽通報で業務妨害?

虚偽の事件を警察署に対して繰返し通報した場合に問題となる業務妨害等の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事件】
神奈川県川崎市中原区に住むAさんは,川崎市中原区にある会社に勤める会社員です。
Aさんはいたずら目的で,虚偽の犯罪を作り上げて110番通報することを繰り返し臨場した警察官を眺めることに快感を得ていました。
虚偽の通報を何度も行ったAさんは,偽計業務妨害罪の嫌疑で川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官から呼び出されました。
(フィクションです)

【虚偽通報とは】

虚偽の犯罪事実を警察などの捜査機関に申告することを虚偽通報といいます。

虚偽の通報を行った場合,偽計業務妨害罪(刑法第233条後段)や威力業務妨害罪(刑法第234条),軽犯罪法違反(第16号違反)に問われる可能性があります。

【業務妨害罪について】

偽計業務妨害罪は,虚偽の風説を流布し,または偽計を用いて他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です。

威力業務妨害罪は,他人の業務を妨害する手段として威力が用いられた場合に成立する犯罪です。

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の法定刑はどちらも3年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

今回のケースでは,Aさんは偽計業務妨害罪の嫌疑をかけられています。

偽計業務妨害罪では虚偽の風説の流布と偽計を手段とすることが構成要件となっています。

虚偽の風説の流布とは,客観的真実に反することを不特定または多数の人に伝播させる(拡散させる)ことをいいます。

偽計とは,人を欺罔,誘惑し,あるいは人の錯誤・不知を利用する違法な手段のことをいいます。

先に説明した虚偽の風説の流布も偽計の一種と理解されており,虚偽の風説の流布による業務妨害も偽計業務妨害と呼ばれます。

また,威力業務妨害罪にいう威力は人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることをいいます。

ここで,Aさんが行った虚偽の犯罪を警察に通報することが,偽計と威力のいずれに当たるのかが問題となります。

例えば,商業施設などに爆弾を設置したという虚偽の犯罪を通知し,その商業施設を休業させることは,一方では相手方を騙す偽計の要素を含んでいますが,他方で意思を制圧された被害者(商業施設を運営する法人)が本来行えたはずの業務を行えなかったという要素もあり,判例では後者が重点的に評価され威力業務妨害罪の成立が認められています(東京高判平成20・5・19東高刑時報59巻1~12号40頁を参照)。

しかし,警察に対して犯罪予告の虚偽通報がなされ,それがおよそ虚偽でないとは限らないということから徒労となる出動や警戒を余儀なくされた場合には,意思制圧の要素がなく偽計業務妨害罪が成立します(東京高判平成21・3・12高刑集62巻1号21頁)。

上記の判例の事案は虚偽の犯罪を予告した事案ですが,出動や警戒を余儀なくされる点は変わらないため,予告に当たらない場合も警察に対する虚偽の通報は偽計に当たる可能性があり,Aさんの行った虚偽の通報も,その具体的内容によっては偽計に当たると考えられます。

業務妨害罪が成立するためには業務の妨害があったといえなくてはなりません。

ここでの業務の妨害は,業務の外形的な混乱や支障が生じる現実に生じる危険があれば,現実に混乱や支障が生じていなくとも業務の妨害があったと認められます(抽象的危険犯)。

Aさんの通報内容が杜撰なものであれば警察も取り合うことなく,警察の活動に外形的な混乱や支障を生じる具体的な危険があったといえるかどうかは微妙なものになりますが,通報された内容を警察として確認するために現地へ人員を送らなければならなかったりするなど,その間本来であれば遂行されたはずの警ら活動などが遂行できなかった場合には,業務の妨害があったということになります。

よって,Aさんの虚偽の犯罪を警察に通報した行為は,偽計業務妨害罪に問われる可能性があります。

【軽犯罪法違反について】

虚偽の犯罪を警察に通報した場合,虚構の犯罪を公務員に申し出たとして軽犯罪法第1条第16号違反によって処罰される可能性もあります。

軽犯罪法違反の法定刑は拘留または科料です。

単に虚偽の犯罪を警察に通報した場合は,まず法定刑のより軽い軽犯罪法違反として捜査されることが考えられます。

同種の事案で偽計業務妨害罪が適用されるのは,注意されたにもかかわらず虚偽の通報を執拗に繰り返した場合や,回数に関係なく,その犯罪の内容によってより多くの人員や時間を割かなければならず業務の妨害の程度が多大であった場合など,違法性が法定刑の重さに相当すると考えられた場合に限られるものとなります。

Aさんのケースでは,Aさんは以前から警察に虚偽の通報を繰り返していたことから偽計業務妨害罪として捜査が開始されたものだと思われますが,このように既に捜査が開始された場合でも,弁護士に事件を依頼し適切な主張を行うことで被疑罪名が軽犯罪法違反に切り替えられることもあります。

【虚偽通報での弁護活動】

Aさんのケースのように,刑法典に挙げられた犯罪ではなく軽犯罪法違反にすぎないと考えられる事案では,軽犯罪法違反に当たるにすぎないという趣旨の主張を行います。

説明したように,軽犯罪法違反の法定刑は拘留または科料となっており,被疑者が犯した罪が拘留または科料に当たる罪である場合,被疑者が定まった住居を有しない場合や正当な理由がなく出頭の求めに応じない場合を除いて逮捕できないことになっていますので,単に処罰された不利益を低減するのみならず,逮捕されるリスクを下げることにつながります。

どの行為がどの構成要件に当たるかどうか,違法性の度合いがその犯罪で処罰するに値するものであるかどうかといった評価は法律のプロをもってしても難しい場合があります。

被疑者となってしまったら,正当な評価や処分を得られる可能性を高めるべく,できるだけ早く刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くおすすめします。

虚偽通報をしたことにより偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪あるいは軽犯罪法違反の被疑者となってしまった方,神奈川県中原警察署から呼出しを受けてしまった方は,お早めに刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

初回法律相談:無料

電凸による威力業務妨害事件で逮捕

2020-06-09

電凸による威力業務妨害事件で逮捕

いわゆる電凸をした結果威力業務妨害事件に発展して逮捕された場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県伊勢原市に住むAは、伊勢原市内でアルバイトをしている社会人です。
ある日Aは、伊勢原市内の会社Vにて、従業員の男性が逮捕されたというニュースを目にしました。
そこでAは、V会社に非通知で何度も電話をし、「お前の会社の社員管理はどうなっているんだ」「伊勢原市内から撤退しろ」「社長の顔と住所は知っているからな」などと、数日に亘り何度も電話を繰り返しました。
その間V会社の担当者はもう連絡をしないでください、と言いましたが、引続きAはV会社に電話を繰り返しました。

後日、伊勢原市内を管轄する伊勢原警察署の警察官は、Aを威力業務妨害罪で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【電凸と威力業務妨害罪】

電凸という言葉は、もとはインターネット上で生まれた言葉で、「電話突撃」を意味する言葉のようです。
近年のインターネット技術の向上により指先一つで情報が瞬時に手に入れられることから、何かしら不祥事や問題が発覚するや否や担当機関や関係機関に対して嫌がらせや脅迫の電話をするということが少なくないようです。
当然、電話で相手の立場や状況を確認したり自身の主張を伝えるということ自体が罪に問われるわけではありません。
しかし、ケースのように何度も繰り返し電話をするような行為については、罪に問われる可能性があります。

ケースの場合に問題となる罪に、威力業務妨害罪が挙げられます。
威力業務妨害罪の条文は以下のとおりです。
刑法234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
※刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を棄損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪は区別が難しいのですが、行為あるいは結果のいずれかが公然・誇示的、可視的であれば「威力」とされ、非公然・隠密的、不可視的であれば「偽計」であるという基準が一般的とされているようです。

また、電凸の回数が少なかったとしても、例えば「お前と家族を殺してやる」あるいは「おたくの建物に火を放つ」などと相手の生命や名誉を侵害するような言動をした場合には威力業務妨害罪や脅迫罪、強要未遂罪などが適用される可能性があります。

【威力業務妨害事件で逮捕されることも】

威力業務妨害事件は、被害者にとって自身の名誉や身体を傷つけられるのではないかという不安にかられ業務が遂行できなかったり、危険に備えるために警備費用がかかるなど、被害者側が大きな損失を被る可能性があります。
威力業務妨害事件が発生した場合、捜査機関は通話記録やIPアドレスなどをもとに捜査を行い、被疑者を特定します。
そして、威力業務妨害事件では捜査機関が被疑者を逮捕することも少なくありません。

電凸などによる威力業務妨害事件では通常逮捕が一般的です。
通常逮捕は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときに、裁判官があらかじめ発する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。
逮捕された場合、その時点から被疑者の身柄は拘束され、他者に連絡したり家に帰ったりすることは出来ません。
逮捕後、警察官などの司法警察員は被疑者の弁解を聞く「弁解録取書」という書類を作成することになります。
そして、司法警察員は被疑者を留置する必要がないと判断した場合すぐに釈放しなければなりません。
一方で、その後も留置する必要があると判断した場合、逮捕から48時間以内に検察官送致をされます。
検察官も、同様に被疑者に弁解録取という形で弁明を聞き、身柄拘束を必要と判断した場合には勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判官は勾留の必要性を判断した上で、勾留の判断を下します。
勾留は10日間ですが、1度に限り延長することが出来るため最大で20日間の身柄拘束が行われます。

威力業務妨害罪のような刑事事件で逮捕された場合、短い時間でその後の被疑者の身柄をどうするかという判断がなされるため、早急に対応が必要です。
神奈川県伊勢原市にて、ご家族の方が電凸を繰り返すなどして威力業務妨害罪で逮捕された場合、逮捕から出来るだけ早い段階で弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、逮捕後すぐにご家族がいる警察署に向かい、今後の手続きについてのご説明や見通しについてのご説明を行います。

酒に酔って他人の物を持ち帰ったらどんな罪?

2020-06-02

酒に酔って他人の物を持ち帰ったらどんな罪?

酒に酔って他人の物を持ち帰る行為がどのような罪に当たるか、そしてどのような弁護活動が考えられるか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市中区在住のAは、横浜市中区の会社に勤める会社員です。
ある日Aは横浜市中区内で飲酒をした上で泥酔した状態で自宅に帰りました。
翌日、部屋で目を覚ましたAは、自室に自分の物ではない鞄があることに気が付きました。
二日酔いの頭で前日の記憶を呼び起こしたところ、恐らく落とし物を拾ったような気がしました。
Aは怖くなり、鞄を自室の押し入れに隠しました。
しかし後日、横浜市中区を管轄する横浜水上警察署の警察官がAの自宅に来て家宅捜索を行い、鞄や事件当時の衣服・靴などの押収を行いました。

Aは、自身がどのような罪に問われるか、刑事事件専門の弁護士に相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【他人の物を持ち帰ることで問題となる罪】

ケースのように、酒に酔って気が付いたら他人の物を持って帰ってしまった、という事例は少なからずあり、弊所でもご相談を受けることが暫しございます。
もしそれが友人同士での問題であれば直ぐに解決するかもしれませんが、まったく知らない他人の物を持ち帰った場合等では被害届を提出され、捜査を受ける可能性があります。

では、このように酒に酔って他人の物を持ち帰った場合にはどのような罪に当たるでしょうか。
遺失物横領
遺失物横領罪とは、落とし物等を拾って自分のものにするという、いわゆるネコババが対象となる罪です。
条文は以下のとおりです。
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金もしくは科料に処する。

「遺失物」というのは、占有者の意思に反してその占有を離れた物を意味します。
つまり、持ち主などが置き忘れたり落としたりした物が対象になります。
また、「横領」とは他人の物等を不法に自分のものにする行為を意味します。

窃盗
窃盗罪は、ご案内のとおり他人の物を盗む行為です。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

では、どのような場合に①あるいは②が適用されるのでしょうか。
まず①については、基本的に落とし物、忘れ物があります。
例えば、被害者である持ち主も酒を飲んで酔っている等して公共の場所に落としたり忘れたりしたという場合は①の遺失物横領罪に当たると考えられます。
一方で、②の窃盗罪について、たとえば持ち主が自分の近くの椅子においていたが、トイレに行った隙に持ち去った、といった場合には間違いなくこの罪に当たることでしょう。
その他に、例えば持ち主がバーなどで鞄を忘れていたときに持ち帰った場合、①にあたるようにも見えますが、すぐに取りに戻ってきた場合等であれば未だ持ち主の実力的支配内にあったとして占有を認められる場合もありますし、バーの経営者の占有を認めることが考えられ、遺失物横領罪ではなく①の窃盗罪を適用される可能性があります。

遺失物横領罪と窃盗罪は、遺失物横領罪の法定刑が「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金もしくは科料」であり窃盗罪の法定刑が「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と、刑罰に大きく開きがあります。
よって、酒に酔って他人の物を持ち帰ったことが遺失物横領罪にあたるのか、窃盗罪に当たるのかという点は非常に大きな問題です。
とはいえ、その判断は容易ではありません。
ご自身がそのような嫌疑をかけられている場合、刑事事件を専門とする弁護士に無料相談することをお勧めします。

神奈川県横浜市中区にて、ご自身が酒に酔って他人の物を持ち帰ったことで遺失物横領罪や窃盗罪の捜査対象になっている、という方がおられましたら、まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に無料相談されてはいかがでしょうか。
ご予約用フリーダイヤル:0120-631-881

お子さんの万引き事件で学校対応

2020-05-19

お子さんの万引き事件で学校対応

20歳未満のお子さんが万引き事件で逮捕された場合の学校対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市戸塚区在住のAは、横浜市戸塚区内の高校に通う17歳です。
Aは恋人に格好良いところを見せたいと思い、横浜市戸塚区内のリサイクルショップにて、自分の小遣いでは買えない洋服を複数回、計3万円分万引きしてしまいました。
在庫整理で万引きに気が付いたリサイクルショップは、横浜市戸塚区を管轄する戸塚警察署の警察官に相談をした上で被害届を提出しました。
戸塚警察署の警察官は、捜査の結果Aが被疑者である可能性が高いとして取調べを開始しました。
Aの保護者は、万引きをしたことが学校に連絡されるのか、連絡された場合の対応は可能なのか、刑事事件・少年事件専門の弁護士に無料相談をしました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【少年の万引き事件について】

ケースのような万引き事件が窃盗罪に当たることは、ご案内のとおりです。
窃盗罪は刑法235条で以下のように規定されています。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

20歳以上の者が万引きなどの窃盗事件を起こした場合、裁判になったり略式手続により(1カ月以上)10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑に処される可能性があります。

一方で、ケースのような20歳未満の少年については、成人事件とは異なる少年事件としての手続が行われます。
少年事件の場合、懲役刑や罰金刑といった刑罰を受けることはありません。(検察官送致(いわゆる逆送)の場合を除く。)
しかし、捜査機関は原則として、捜査した後の少年を家庭裁判所に送致しなければなりません。
家庭裁判所では、少年本人や保護者の方との面談を行ったり少年の心理状態の調査を行った上で、必要な場合に少年審判が行われます。
少年審判では、家庭裁判所の裁判官が不処分のほかに保護観察処分、各都道府県知事又は児童相談所長送致、少年院送致、検察官送致等の判断を下します。
処分の判断については、単に当該事件の問題だけではなく、少年の非行歴や保護者の方の監督体制など様々な調査結果を踏まえてなされます。

【学校対応で弁護士に依頼】

ここまで見てきた少年事件で問題となる点の一つに、所属する学校や会社との関係があるでしょう。
少年事件では、警察官などによる捜査段階や家庭裁判所の送致後の調査段階で、学校への連絡や照会が行われる場合があります。
まず捜査段階について、神奈川県では学校警察連携制度というものがあるため、県立学校(高等学校・中等教育学校・特別支援学校)については、警察から学校へ連絡が行くことが多いです。
次に調査段階では、少年が学校でどのような生活態度をとっているのかなどが重要になるため、家庭裁判所の調査官から学校に連絡が行く場合があります。

学校が少年事件について把握した場合、少年の教育に一層力を入れてくれることも考えられますが、退学を勧められるような場合もあります。
そのため付添人弁護士としては、捜査機関や家庭裁判所に対して学校への連絡をしないよう求めることや、学校に事件が発覚した場合に学校側に対してしっかりと説明を行い退学の必要性がないこと等を主張していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの少年事件を担当してきており、学校対応についても経験がございます。
学校対応については、事件後すぐに行うことが望ましいです。
神奈川県横浜市戸塚区にて、未成年のご家族が万引きで取調べを受けている、あるいは今後受ける可能性がある場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
少年事件の見通しや、学校対応について丁寧にご説明致します。

痴漢事件~強制わいせつと迷惑行為防止条例違反~

2020-05-12

痴漢事件~強制わいせつと迷惑行為防止条例違反~

【ケース】
神奈川県座間市在住のAは、座間市内の会社に勤める会社員です。
Aは座間市内で通勤のため列車に乗ってたところ、自分の前に好みのタイプの女性が立っていました。
Aは性欲に負けてしまい、女性のスカートの上から、その臀部(お尻)をなでたところ、Vは抵抗しなかったため、更にそのスカート内に手を差し入れ、下着越しにその臀部全体を撫でまわしました。
しかしAはVに手をつかまれ、神奈川県座間市内にある駅に下車させられました。
その後、Aは駅員の通報を受けて臨場した座間市内を管轄する座間警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです。)

【強制わいせつと迷惑行為防止条例違反について】

痴漢をした場合に成立する犯罪として、一般的なイメージとして各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反が挙げられますが、その態様によっては、強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。

強制わいせつ罪について

強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をする、あるいは、13歳未満の者に対し、わいせつな行為をすることによって成立する犯罪です。(刑法176条)

この場合の「暴行・脅迫の程度」は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度でよいとされています。
この点、強制性交等罪における暴行・脅迫は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものが必要となりますが、強制わいせつ罪は、その程度に至らなくとも犯行が可能であり、力の大小強弱は必ずしも問われず、被害者の意思に反してわいせつ行為を行う程度のもので足ります。

わいせつな行為は、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為をいいます。
例えば、陰部を手で触れる、陰部を手指でもてあそぶ、自己の陰部を強く押し当てる、女性の乳房をもてあそぶ、女性の意思に反して強いて接吻するなどは、わいせつ行為に該当します。
他方、単なる抱擁は、わいせつ行為には該当しません。(但し、暴行罪等が成立する可能性があります。)
また、女性の臀部をなでる行為は、その態様によってわいせつ行為に該当する場合としない場合とがあります。

【痴漢行為が強制わいせつ罪に該当する場合】

強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反の区別は、相手方の性的自由を侵害する程度に至っているか否か、つまり、その対象となる部位や態様の執拗さや程度によって判断されます。

相手方の陰部に触れる行為は、一般的に、強制わいせつに該当します。
しかし、相手方の臀部に触れる行為は、その態様の執拗さや程度によって異なります。

厚手の着衣の上から臀部をなでる行為は、一般的に、その接触の程度などからして、わいせつ行為には至っておらず、条例違反にとどまる傾向にあります。
しかし、下着の上から、または、直接臀部をなでる行為は、一般的に、その接触の程度などからわいせつ行為となる傾向があります。

このことから、上のケースを検討してみると、Aは女性のスカートの上から、その臀部をなでたところ、女性が抵抗しなかったことをいいことに、次は、そのスカートの中に手を差し入れて、下着越しに女性の臀部全体を撫でまわしていることから、Aの行為はわいせつ行為に該当し、強制わいせつ罪の罪責を負う可能性があります。

他方で、Aが女性のスカート内に手を差し入れ、下着越しにその臀部に手を触れた程度であった場合は、Aの行為はわいせつ行為に至っておらず、強制わいせつ罪ではなく、迷惑行為防止条例違反の罪責を負うにとどまるでしょう。

強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役です。
迷惑防止条例違反の場合と比べると、刑罰は重く、罰金刑もありませんので、起訴された場合には公判が開かれることになります。

自身の痴漢行為が、迷惑防止条例違反にとどまるのか、強制わいせつ罪となるのか明白でない場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談するのがよいでしょう。

また、痴漢行為のように被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かが起訴・不起訴の判断に大きく影響します。

神奈川県座間市にて、ご自身やご家族の方が痴漢行為をしてしまい、強制わいせつになるのか迷惑行為防止条例違反にあたるのかお知りになりたい場合は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

取調べでの黙秘権について刑事弁護士に質問

2020-05-07

取調べでの黙秘権について刑事弁護士に質問

ワンクリック詐欺を繰り返した事件で、取調べでの黙秘権がどのような意味を持つのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県川崎市多摩区在住のAは、川崎市多摩区の会社に勤める会社員です。
Aは生活苦からキャッシングなどで多額の借金を負っていました。
そこで、インターネットに詳しい友人と一緒にワンクリック詐欺のサイトを立ち上げ、そのURLを違法に購入したメールアドレス帳を用いて無作為に送信しました。
URLのリンクをクリックした場合、「ご登録ありがとうございます。」というメッセージが出て、「1週間以内に指定口座に会員登録料金5万円を振り込まなかった場合法的措置を取ります」として振込口座を書いていました。
その結果、メールを受け取った人の中から6人の者がメールを見て、それぞれが5万円を振込んだため、Aらは計30万円を手に入れました。

後日、被害者から被害届を受けた川崎市多摩区を管轄する多摩警察署の警察官は、Aらをワンクリック詐欺で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ワンクリック詐欺について】

ワンクリック詐欺は架空請求詐欺の一種です。
架空請求詐欺には、法務省を謳ったハガキ・封筒を送りつけてきたり、ケースのようにアダルトサイトに登録したと見せかけて支払わなければ法的措置を講ずるといった脅しをかけてきたりといった手法で、ありもしない契約をあるかのように見せて、契約する意思がない人に金を振り込ませる手法の詐欺です。
最近では現金を振り込ませるのではなく、ウェブマネーカードに振り込みをさせたり通販サイトのギフト券等を購入させ送らせたりして、利益を得る場合もあります。

これらの行為は詐欺罪に当たります。
詐欺罪は刑法246条1項と同2項があり、条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
同2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

ケースのようなワンクリック詐欺では、料金を直接振り込ませたりギフト券を遅らせたりした場合については「財物を交付させた」として1項詐欺が、プリペイドカードの番号を伝えて指定した振り込まさるような場合は「不法に利益を得た」として2項詐欺が、それぞれ成立します。

【黙秘権とは】

黙秘権という言葉は広く一般に知られている言葉かと思います。
改めてご説明すると、被疑者には自分の意思に反して何も言わなくて良いとされるものです。
法的には、憲法38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められているほか、刑事訴訟法では刑事訴訟法198条2項で「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ自己の意思に話して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められています。
つまり、取調べで被疑者には黙秘権という権利が憲法上保障されていて、検察官や警察官は取調べを行う前に被疑者に黙秘権があることについて説明しなければならないと定められているのです。

黙秘権を使うことで考えられるメリットとしては、
①主観面での争いがある(故意の有無が罪状に大きく影響する)場合などで、捜査機関に有利な調書を作成されない。
②主観面以外の証拠収集が困難な場合(捜査機関が客観証拠を収集できない状況にある)に被疑者にとって不利な証拠が作成されない。
③被疑者が事件についての記憶が曖昧な状態(うろ覚えな状態)で供述をしないことで、不合理な供述調書の作成を避けることが出来る。
といった点が挙げられます。

一方で、黙秘権を行使することで、取調べがより厳しいものになったり、身体拘束の判断を行う際に事実上の不利益な理由になる可能性があるというデメリットがあることも事実です。
黙秘権を行使すべきか否かについては事案によって判断が分かれるため、刑事事件専門の弁護士から説明を受けることをお勧めします。

【取調べ対応は刑事弁護士に依頼!】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、ご依頼いただいた事件での取調べ対応についても積極的に行っています。
在宅でこれから取調べを受ける方については勿論のこと、既に身柄を拘束されている方については早急に取調べ対応を行う必要があると考えられます。

神奈川県川崎市多摩区にて、ご家族の方がワンクリック詐欺で逮捕・勾留されていて、黙秘権についてお知りになりたい方がおられましたら、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
担当事務が24時間365日受付をしています。

少年の下着泥棒で釈放

2020-05-05

少年の下着泥棒で釈放

20歳未満の少年が、他人の家に干してあった下着泥棒したという事件で、逮捕された少年を釈放するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県茅ヶ崎市在住のAは、茅ヶ崎市内にある会社に勤める19歳の会社員です。
Aはある日の仕事から終わって帰宅している最中、茅ヶ崎市内の路上にて、一軒家の塀越しに女性ものの下着が干してあることに気が付きました。
Aは深く考えず、玄関から庭に入って干していた下着を盗んで家に持ち帰りました。

その後Aは何度か下着泥棒を繰り返していましたが、下着を盗まれたVは下着泥棒の被害に遭ったことに気が付き、茅ヶ崎市を管轄する茅ヶ崎警察署の警察官に被害届を提出しました。
その後の茅ヶ崎警察署の捜査により、Aによる犯行であることが発覚したため、茅ヶ崎警察署の警察官はAを下着泥棒をしたことにより通常逮捕しました。

Aの家族は、Aが逮捕されたと聞き刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に釈放を依頼しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【下着泥棒で成立する罪】

下着泥棒をした場合の罪には、以下のようなものが考えられます。

①住居侵入罪
AはVの家の庭に入っています。
これは、住居侵入の罪に当たる可能性があります。
住居侵入罪の条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

「正当な理由」とは「違法に」という意味であり、下着泥棒目的で侵入する行為は「正当な理由」に当たりません。
また、ケースのAが入った庭のような塀で囲まれた場所を法的に「囲繞地(いにょうち)」と呼びますが、囲繞地についても「住居」に含まれます。

②窃盗罪
下着泥棒ということで、他人の物を盗む行為になります。
これは、窃盗罪に当たります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

③事後強盗罪
仮に、Aが下着泥棒をしている最中に目撃者が現れたとして、その人から捕まえられないようにしたり通報されないようにしたりする目的で相手に暴行を加えた場合、②より罪が重い事後強盗罪にあたる可能性があります。
事後強盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

同236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪と市、五年以上の有期懲役に処する。

【少年が逮捕された場合の釈放】

20歳未満が違法行為を起こした場合には成人の場合とは異なる少年事件として、手続きが進められていきます。
ただし、捜査段階では成人事件と同様の扱いがなされることも少なくありません。
少年が逮捕された場合、釈放されなければ勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に送致される場合を除き、警察署内の留置施設に身柄を拘束されることが一般的です。
留置施設の状況は警察署により異なりますが、原則雑居房になるため成人の刑事事件を起こした人と接触するという点で少年の教育上良くない話を聞く機会があるかもしれません。

一方で独居房の場合はほとんど誰とも話をしない生活になるため、とりわけ少年の場合には孤独に耐えかねるという方も多いでしょう。

少年を精神的苦痛から解き放つという点でも、捜査段階でしっかりと弁護士と打ち合わせをして取調べに挑む必要があるという点でも、少年事件では可能な限り早急に釈放を求める弁護活動を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、未成年者であるお子さんが逮捕されたことで釈放を求める弁護活動をお求めになる方も多くおられます。

少年事件では、早期の釈放を求めるためにも、逮捕された後直ぐに早期に弁護士を付けることをお勧めします。
神奈川県茅ヶ崎市にて、未成年者であるお子さんが下着泥棒をしたことにより逮捕・勾留され、釈放を求める弁護活動をお求めの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

キャッシュカードを売って逮捕?

2020-05-03

キャッシュカードを売って逮捕?

銀行のキャッシュカード通帳を他人に売ったり渡したりした場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市中区で飲食店に勤務するAには借金がありました。
借金の返済のために借金を繰り返すという状況だったAですが、遂に借金が返済できなくなり、インターネット上で「ブラックリストの方歓迎!即日融資」と書かれたサイトにアクセスして登録しました。
その後すぐに連絡が来て、「指定された銀行のキャッシュカードを指定された場所に送ることで10万円をお渡しします。」と言われました。
そこで、Aは自宅近くの銀行に行って口座を新設して、そのキャッシュカードを指定された場所に送りました。
更にその数日後、再びAに連絡が来て、「あなたの口座に10万円を振り込みました。」と言われました。
AがATMに行って通帳記帳をしたところ、知らない名義から162万円の入金があり、その後数日に分けて150万円がキャッシュカードにて引き出されていました。
Aは銀行に行ってキャッシュカードを紛失したとして、解約して現金12万円を受けとりました。

ところが後日、横浜市中区を管轄する山手警察署の警察官が自宅に来て、Aを逮捕しました。
逮捕された旨の連絡を受けたAがどのような罪に問われるのか、刑事事件を専門とする弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【キャッシュカードや通帳を売ってしまった場合の罪】

ケースのように、融資などを装って通帳やキャッシュカードを送らせるという事件が発生しています。
しかし、送ってしまった通帳キャッシュカードは、最終的に振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺に使われる蓋然性が極めて高いのです。
つまり、知らないうちにそれらの犯罪を手助けしてしまっているのです。
そのような事情もあり、通帳キャッシュカードを渡す行為自体が罪に問われる可能性があります。

①詐欺罪(特殊詐欺の目的を知っていた場合)
仮に「相手が特殊詐欺に利用する」ということを知ってい乍ら手助けなどをした場合、特殊詐欺についての共謀共同正犯・幇助犯になる可能性があります。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

②詐欺罪(銀行で新規口座を開設した行為)
相手の目的を知っていると否とに関わらず、「自分が使うつもりはないのに、銀行を騙して口座を新規開設して通帳キャッシュカードを交付させた」場合には、詐欺罪が適用されます。
銀行口座を開設した経験のある方はお判りでしょうか、銀行口座は名義人が利用することを目的に開設することを前提としていて、約款などに明記されているほか、行員から確認されることもあります。
自分が使わないにもかかわらず銀行で通帳やキャッシュカードを交付させる行為は相手を欺罔する行為に当たり、銀行を錯誤に陥れて財物(キャッシュカード通帳)を交付させているため、詐欺罪に該当します。

③犯収法違反(通帳やキャッシュカードを売った・渡した行為)
たとえ②のように口座の新規開設をしておらず、自分が使っていた口座の通帳キャッシュカードであっても、他人に売ったり譲渡したりする行為は犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称、犯収法)に違反します。
該当条文は以下のとおりです。

犯収法28条1項 他人になりすまして特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるものを譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。(以下略)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまでキャッシュカード通帳を渡してしまった、あるいは口座情報を教えてしまったという詐欺事件・犯収法違反事件での弁護活動についても経験がございます。
神奈川県横浜市中区にて、ご自身がキャッシュカード通帳を売ってしまった、渡してしまった、あるいはご家族がそのような罪で逮捕されているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

執行猶予中の脱法ハーブ所持・使用事件

2020-05-01

執行猶予中の脱法ハーブ所持・使用事件

以前に脱法ハーブを所持・使用して執行猶予付き有罪判決を受けたにも拘らず、執行猶予期間中に再度脱法ハーブを所持・使用して逮捕された場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県相模原市中央区在住のAは、相模原市中央区にある会社に勤める会社員です。
Aはダイエットを目的に合法ハーブと称するティーバックタイプのものをインターネット上で購入し、それを飲んでいました。
しかし、Aが購入していた合法ハーブとは、実際には薬機法に違反する成分を含む脱法ハーブ(危険ドラッグ)であり、相模原市中央区を管轄する相模原警察署により逮捕され、裁判で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けました。

ところが、判決を受けて半年後から、Aは再び同じ脱法ハーブを購入して飲用していました。
相模原市中央区を管轄する相模原警察署の警察官は、Aの自宅で別件の家宅捜索中に購入した脱法ハーブが見つかったため、Aを薬機法違反で現行犯逮捕しました。
Aは、接見に来た刑事事件専門の弁護士に、執行猶予期間中に再度事件を起こしてしまった場合どのような見通しになるのか、質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【脱法ハーブについて】

覚せい剤や大麻などと同様、社会問題になっている薬物の一つに危険ドラッグがあります。
そして、危険ドラッグには固形・液体様々な形状のものがあり、お香やアロマなどと聞こえの良い名称で呼ばれることも多いです。

ケースのような合法ハーブと称されるものについても、医薬品医療機器法(通称:薬機法)に違反する成分を含む脱法ハーブ(違法薬物)にあたるものがあり、これは危険ドラッグの一種です。
脱法ハーブは、大麻草で言うTHCのような精神作用を及ぼす成分を有する花や草というわけではなく、植物の形態をとっている物に合成化学物質を添付することで作られているのです。
脱法ハーブは大麻や覚せい剤、麻薬と言った我が国で禁止されている違法薬物と類似した化学構造を持つため、精神毒性作用や精神依存性を持つものがほとんどだと言われています。

脱法ハーブをはじめとする危険ドラッグは医薬品医療機器等法で所持や使用、輸出入、製造等が禁止されていて、Aのように所持や使用をした場合には起訴されて裁判になり、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金、又はその両方」に処される可能性があります。(薬機法76条の4、同法84条26号)

【執行猶予期間中の再犯】

執行猶予期間中に再度事件を起こしてしまった場合について、解説致します。

1、もう一度執行猶予が付く可能性が低い
そもそも執行猶予とは、裁判の判決にて言い渡されるもので、有罪であることを前提に、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言い渡しを受けた」際に、「一年以上五年以下の期間」を定めてその刑の執行を猶予するという制度です。(刑法25条1項)
あくまで猶予するだけで刑の言い渡しが無かったことになるわけではありません。
そして、執行猶予の対象者は①禁錮以上の刑に処されたことがない者、②①であっても刑の執行が終わった場合や執行の免除を受けた日から5年間が経過している者、③②の他に前回は全部執行猶予であり、今回が一年以下の懲役又は禁錮の判決で、「情状に特に酌量すべきものがある」ときが対象となります。
よって、ケースのAのように執行猶予期間中に再度事件を起こした場合、上記①~③に当てはまらない可能性が高く、執行猶予がつかないことになります。

2、執行猶予が付かなかった場合、前回猶予された刑についても服することになる
執行猶予期間中に再度事件を起こして禁錮以上の刑に処された場合、前回の事件についての執行猶予が取り消されます。(必要的取消)
例えばケースのAが今回の事件で懲役1年2月の実刑判決を受けた場合、前回の懲役1年が取り消されるため刑務所に行く期間は(未決勾留期間や仮釈放などを考慮せず)単純計算で2年2月になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
弊所では、執行猶予期間中に事件を起こしてしまったというご連絡も暫し頂戴します。
執行猶予期間中の再犯については、再度の執行猶予が取れるかどうか、取れないのであればせめて今回の事件が少しでも軽い刑罰にならないか、といった点がポイントになってくるかと思います。
神奈川県相模原市中央区にて、ご自身やご家族の方が刑事事件を起こしてしまったという場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

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