少年が大麻所持で少年審判に
少年(20歳未満の男性・女性)が大麻を所持していて、少年審判になる場合の弁護活動・付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県藤沢市在住のAは、県内の高校に通う高校生です。
Aは同じく藤沢市内に住む友人Xらと共によく遊んでいたのですが、ある日、Xの家で遊んでいたところ、Xから「葉っぱやってみないか」と誘われました。
Aは最初葉っぱの意味が分からず尋ねると「マリファナのことだよ」と言われ、興味を持ったAは実際に吸ってみました。
その後、AはXからお土産と言われ、マリファナ8グラムを渡されたため、友人らに見せびらかしていました。
それを見た友人の一人が不安になって保護者に相談し、保護者が藤沢市を管轄する藤沢北警察署に相談をしました。
相談を受けた藤沢北警察署の警察官は、Aの自宅を家宅捜索し、マリファナが見つかったことでAを大麻取締法違反で逮捕しました。
Aの保護者は、Aが今後どうなるのか不安に思い、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に初回接見を依頼しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【大麻を所持していた場合の罪】
大麻が合法化されている国もありますが、我が国においては法禁物にあたり、大麻取締法等でその所持や輸出入、譲り受け渡しが禁止されています。
大麻を所持していたことによる罪は以下のとおりです。
大麻取締法3条1項 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
同法24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
他人に売って儲けを得る目的など(営利目的)で所持していた場合は、更に重い「七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。」と規定されています。(同条2項)
【少年事件でも身柄を拘束される】
ケースのように、20歳未満の少年が事件を起こした場合、少年事件として取り扱いがなされ、成人の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。
とはいえ、少年であっても、捜査機関は被疑者として逮捕し、検察官に送致することが出来ます。
検察官は、警察官等から送られてきた書類と被疑者(少年)からの聴取内容を検討し、成人の刑事事件同様に勾留をするか、勾留に代わる観護措置を行うか、釈放して在宅で捜査を行うかの判断をします。
その後、捜査が終了した時点で、検察官は家庭裁判所に事件を送致しなければならないと定められています。
【少年審判について】
家庭裁判所に送致された少年に対し、裁判官は調査命令を下し、裁判所調査官が少年の調査を行います。
調査では、少年がどのような理由で事件を起こしたのか、少年の生活する環境はどのような状況なのかといった調査が行われます。
その際、必要に応じて、少年鑑別所に少年の身柄を拘束して鑑別や調査を行う観護措置決定という成人の刑事事件にはない手続きを取ることが出来ます。
最終的に、調査官は裁判官に調査報告を行い、裁判官はそれを踏まえて少年の審判を行うか否かを判断します。(在宅事件ではまちまちですが、少年鑑別所に送致された事件については通常、観護措置決定から3週間で審判が行われるという場合がほとんどです。)
少年審判では、成人の刑事事件とは異なり、不処分、保護観察処分、少年院送致、児童自立支援施設送致・児童相談所送致といった少年事件特有の判断が下されます。
少年法は「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的」としているため(少年法1条)、必ずしも少年の起こした事件と処分が比例するとは限りません。
付添人弁護士は、事件から少年審判が開かれるまでの少年の心の変化や更生への取り組み、保護者の監督や友人関係を清算した等環境の調整状況などを検討し、少年に対して適切な処分が何か、考え主張する必要があります。
神奈川県藤沢市にて、未成年であるお子さん(少年)が大麻を所持してしまい大麻取締法違反で逮捕され、少年審判に付される可能性があるという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。