神奈川県三浦市のチケット不正転売事件
【ケース】
神奈川県三浦市に住むAは、三浦市内の会社に勤める会社員です。
Aは、とあるライブのチケットを転売することで利益を得ようと思い、実際には行くつもりがないにもかかわらず、ライブのチケット10枚(一枚1万円)を購入し、オークションサイトにて一枚2万円を最低限としたオークションを行いました。
結果、10万円で購入したライブのチケット10枚が、計40万円で落札されました。
しかし、チケットを落札者に郵送する前に、不正転売しようとした疑いで警察署から連絡が来て、取調べを受けることになりました。
(フィクションです。)
【チケットを転売した場合の罪】
ご案内の通り、我が国で開催されるオリンピックの開会式まで、残り1年程となり、盛り上がりをみせているようです。
それに伴い、オリンピックのチケットの抽選申込みが先月までに行われ、来週木曜日に抽選結果が発表される予定です。
今回、オリンピックチケットの販売についての報道に際し、いわゆるチケットの転売対策についても併せて報道されています。
チケットの転売を巡っては、オリンピックに限らず、これまでコンサートやライブなど様々な場面で問題視されていました。
チケットの転売は、一般の消費者がチケットを手に入れにくくしているだけなく、場合によってはそのマージンが反社会的勢力の資金源になっている、とも言われてきました。
これまでも、各地方自治体によっては条例で転売を禁止していましたが、懲役刑が定められている都道府県もあれば罰金・科料しか規定されていない都道府県もあり、中には条例の制定が追いついていない都道府県もありました。
そこで、日本国内で行われる音楽やスポーツのチケット不正転売を統一して禁止するべく、昨年12月14日に議員立法である「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(略称・チケット不正転売禁止法)が交付され、本日令和元年6月14日から施行されます。
チケット不正転売禁止法は、特定興行入場券(転売禁止が明記されている、当日その会のチケット・指定券である、チケット購入時の名前や連絡先の確認作業を行う等の要件があります。)の不正転売を禁止し、その防止のための措置をとることで、興行入場券の適正な流通を確保することや文化・スポーツ・国民の消費生活を安定させる等のことを目的としています。
チケット不正転売禁止法の定める「特定興行入場券の不正転売」とは、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償転売であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。」と定められています。(同法2条4項)
そして、この法律は「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。」(同3条)「何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない」(同4条)と規定しています。
つまり、転売禁止が明記され、そのための措置が講じられているにもかかわらず、チケットの正規の価格より高い値段で転売する、あるいは転売するためにチケットを入手するという行為を禁止しているのです。
この条文に反してチケットの転売や転売のためにチケットを入手した場合、「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。(同法9条)
ケースのAは、不正転売を目的としてチケットを入手していますので、同法4条に違反する可能性があります。
【略式裁判を求めて弁護士へ】
略式裁判とは、明白で簡易な事件で、100万円以下の罰金又は科料(千円以上1万円未満)に相当する事件において、検察官の請求で行われるものです。
本来であれば、検察官が公判請求をすることで公開の法定で裁判を開かれることになりますが、略式裁判は被告人本人が納得して手続き(略受け)をして罰金・科料を納付するだけで事件が完了します。
通常の裁判で有罪判決を受けた場合と同様に、略式裁判であってもいわゆる前科はつきます。
しかし、通常裁判では数ヶ月から数年の時間を要する場合もあるほか、傍聴が可能な公開の裁判で事件についての話をすることを考えると、略式裁判に比べて負担がかかることが考えられます。
よって、通常裁判より略式裁判の方が良いと考えられる方も少なくないでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、施行されたばかりの法律に違反した事件についても対応が可能です。
神奈川県三浦市にてチケットの転売をしたことでチケット不正転売禁止法に違反し、略式裁判について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。