【解決事例】大麻の営利目的栽培で執行猶予判決
大麻の営利目的栽培事件で捜査を受け執行猶予判決を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県横浜市泉区在住のAさんは、横浜市泉区の会社に勤める会社員です。
Aさんは自分で使用する目的で大麻を栽培しはじめたところ、採取量が多くなってきたため、友人数名に安価で販売し始めました。
ある日、Aさんの自宅に何者かによる通報を受けた横浜市泉区を管轄する泉警察署の警察官が来て、大麻数十株が押収され、Aさんは大麻取締法違反(栽培)で逮捕されました。
Aさんは当初国選弁護士に弁護をお願いしていましたが、営利目的栽培で起訴され実刑を受ける可能性がある旨の説明を受け、当事務所の弁護士に弁護を依頼するに至りました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫
【大麻の営利目的栽培について】
今回のAさんの事件では、大麻を営利目的で栽培したという嫌疑で捜査され起訴されました。
大麻を栽培するためには都道府県知事の免許を受ける必要があり、それ以外の者が大麻を栽培することは禁止されています。
免許を受けずに栽培した場合、大麻取締法に違反します。
大麻取締法24条
1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
Aさんの場合は営利目的での栽培で起訴されたため、大麻取締法24条2項が問題となりました。
当然、自分で使用するために栽培した場合に比べて厳しい刑事罰が科せられる可能性が高くなります。
【執行猶予について】
刑事事件で有罪判決を受ける際、被告人には死刑・懲役刑・禁錮刑・罰金刑・拘留・科料の刑事罰が言い渡されます。
このうち一定未満の刑事罰については、刑の執行を猶予し、猶予される期間中に再度の事件を起こし有罪判決を受ける等の事情がなければ、その刑の言い渡しは効力を失います。
今回は、執行猶予のうち刑法25条ないし27条に規定されている「刑の全部の執行猶予」について検討します。
この執行猶予については、判決の主文で
被告人を懲役●年●月に処する。
この裁判確定の日から●年間その刑の執行を猶予する。
などと表記されます。
この執行猶予は、どのような刑にでも附すことができるわけではありません。
執行猶予が言い渡される場合とは
・3年以下の懲役/3年以下の禁錮/50万円以下の罰金
であることが条件です。
また、どのような被告人に対しても附すことができるわけではありません。
その条件として
・前に禁錮以上の刑に処されたことがない
・前に禁錮以上の刑に処された場合でも、刑の執行が終わった日/執行猶予の期間が過ぎて刑の言い渡しが効力を失った日から5年以内に禁錮以上の刑が言い渡されていない
場合のほか(刑法25条1項各号)
・前に禁錮以上の刑に処された場合でも執行猶予が付されていて、今回の事件で「1年以下の懲役刑/禁錮刑」を言い渡す場合で特に情状酌量の余地がある場合(同25条2項)
に執行猶予判決を言い渡すことができます。
【大麻の営利目的栽培での弁護活動】
営利目的での大麻の栽培は、その期間、栽培した量や、売り上げ(単価)、などが特に重要になります。
Aさんの場合、友人数名に限定して販売していて、且つ、単価も相場に比べて安いものでした。
この点で、弁護士はAさんが大麻を栽培していたことは認め、その悪質性が低いことを主張しました。
最終的に、Aさんには辛うじて執行猶予付きの判決が言い渡されました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、大麻の営利目的栽培のような実刑判決を受ける可能性があるような重大事件についても数多く経験してきました。
神奈川県横浜市泉区にて、家族が大麻取締法違反(営利目的栽培)で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービス(有料)をご利用ください。