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神奈川県相模原市中央区にて窃盗事件を疑われポリグラフ検査を受けた事例を想定し検討
神奈川県相模原市中央区にて窃盗事件を疑われポリグラフ検査を受けた事例を想定し検討
捜査機関が罪を犯したと疑っている一方、被疑者が否認しているという事件の捜査において、ポリグラフ検査(俗に言う「嘘発見器」)が時折用いられますが、その法的な位置づけや効力については多くの疑問が残ります。本記事では、窃盗事件を想定し、ポリグラフ検査の法的側面を探ります。神奈川県相模原市中央区を舞台にしたフィクションの事例を用いて、この複雑なテーマを解説します。
1: 窃盗事件の概要と法的背景
窃盗罪は、他人の財物を不法に取得する行為を指し、日本の刑法第235条に定められています。この罪の保護法益は、財物に対する占有・所持の権利であり、社会における財産的秩序の維持が目的です。
窃盗罪の成立には、他人の財物を意図的に奪取する行為が必要で、その行為が他人の占有を侵害することが求められます。
この法的背景を踏まえ、窃盗事件の捜査過程において、ポリグラフ検査がどのように位置づけられるのかを探ります。特に、神奈川県相模原市中央区で発生した架空の窃盗事件を例に、捜査の複雑さと法的な課題を解説します。
2: 事例:相模原市中央区における窃盗事件
神奈川県相模原市中央区で発生した架空の窃盗事件を例に、ポリグラフ検査の適用事例を探ります。
この事例では、Aさんが職場の更衣室で高価なジュエリーの窃盗の疑いで警察に呼び出されました。Aさんは犯行を否認し、自身の無実を主張しています。
捜査過程で、警察はAさんに対してポリグラフ検査の受検を提案します。この検査は、被疑者の心拍数や発汗量などの生理的反応を測定し、虚偽の発言を検知することを目的としています。
しかし、ポリグラフ検査は被疑者の同意が必要であり、その結果の法的な証拠能力には限界があります。
この事例を通じて、ポリグラフ検査の適用可能性とその法的な意味合い、捜査における役割を詳しく検討します。
3: ポリグラフ検査の法的基礎
ポリグラフ検査、一般に「嘘発見器」とも呼ばれるこの検査は、被疑者の生理的反応を測定し、虚偽の発言を検知することを目的としています。
この検査は、心拍数、呼吸、発汗などの生理的変化を記録し、質問に対する反応を分析します。しかし、この検査は科学的な根拠に基づいて「シロ/クロ」が分かるわけではなく、結果の解釈には主観が介入する余地があります。
日本の法制度において、ポリグラフ検査の結果は直接的な証拠としては認められていません。その理由は、検査結果が必ずしも信頼性が高いとは限らないためです。
また、ポリグラフ検査を行うには被疑者の同意が必要であり、強制的に実施することはできません。このため、検査の実施自体が被疑者の意志に依存するという特性があります。
法的な観点から見ると、ポリグラフ検査は捜査の補助的な手段として用いられることが多く、その結果をもって直接的な証拠とすることは難しいとされています。
4: ポリグラフ検査の実施条件
ポリグラフ検査を実施する際には、いくつかの重要な条件があります。
まず、最も基本的な条件は、被疑者の同意が必要であるという点です。日本の法律では、被疑者に対してポリグラフ検査を強制することはできません。被疑者が検査を受けるか否かは、完全にその人の自由意志に委ねられています。
次に、ポリグラフ検査は専門的な知識と技術を持つ技師によって行われます。この検査は、単に機械を操作するだけでなく、被疑者の心理状態を適切に評価し、質問を適切に設計する必要があります。ポリグラフ検査の機械の操作を行うのは科学捜査研究所職員です。
また、検査の前には、被疑者に対して検査の目的、方法、そして検査によって得られる情報の取り扱いについて詳細に説明する必要があります。これは、被疑者が検査に同意する際に、十分な情報に基づいた意思決定を行うことを保証するためです。
さらに、ポリグラフ検査の結果は、その解釈に主観が介入する可能性があるため、検査結果の取り扱いには慎重さが求められます。
5: ポリグラフ検査の信頼性と問題点
ポリグラフ検査の信頼性については、法律専門家や科学者の間で意見が分かれています。
一方で、ポリグラフ検査は、被疑者の生理的反応を測定することにより、虚偽の発言を検知する可能性があるとされています。これは、ストレスや緊張などの感情が生理的な変化を引き起こすという原理に基づいています。
しかし、この検査の信頼性には重要な問題点が存在します。生理的反応は虚偽の発言だけでなく、様々な要因によって引き起こされる可能性があるため、検査結果の解釈には大きな主観が介入する恐れがあります。
また、ポリグラフ検査は、被疑者が心理的なプレッシャーを感じる状況下で行われることが多く、その結果が被疑者の真実の意志を反映しているとは限りません。
さらに、ポリグラフ検査の結果が誤っている場合、無実の人が犯罪に関与していると誤認されるリスクもあります。
6: ポリグラフ検査の結果と刑事手続き
ポリグラフ検査の結果が刑事手続きに与える影響は、その信頼性と法的な位置づけによって異なります。
まず、ポリグラフ検査の結果は、直接的な証拠として裁判所に受け入れられるわけではありません。しかし、捜査機関によっては、被疑者が犯罪に関与しているかどうかを判断するための参考情報として使用されることがあります。
検査結果が被疑者に不利である場合、捜査機関は追加の証拠を集めるための手がかりとして利用することができます。一方で、検査結果が被疑者に有利である場合でも、それだけで捜査が終了するわけではありません。
また、ポリグラフ検査の結果は、被疑者の供述の信頼性を評価する際の一つの要素として考慮されることがあります。ただし、このような使用方法は、検査の信頼性に関する議論によって複雑な問題を引き起こす可能性があります。
7: 結論:ポリグラフ検査の適用と法的課題
ポリグラフ検査は、刑事捜査において補助的なツールとしての位置づけがありますが、その適用には慎重な判断が必要です。
この検査の最大の課題は、その信頼性と法的な証拠能力に関する問題です。科学的な根拠に基づいていないため、検査結果の解釈には主観が介入する可能性があり、誤った結果を導くリスクが存在します。
また、ポリグラフ検査は被疑者の同意が必要であり、その結果をどのように刑事手続きに反映させるかについては、法的なガイドラインが必要です。
今後の展望としては、ポリグラフ検査の科学的根拠をさらに検証し、その結果の取り扱いに関する明確な法的枠組みを確立することが求められます。
8: まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介
まとめ
本記事では、窃盗事件におけるポリグラフ検査の法的側面を探りました。ポリグラフ検査は、その信頼性や法的な証拠能力に関して多くの議論がありますが、刑事捜査においては重要な役割を果たすことがあります。
重要なのは、この検査が被疑者の権利を尊重する形で適切に実施されること、そしてその結果が法的な枠組みの中で適切に扱われることです。
ポリグラフ検査に関する法的な課題は今後も続くでしょうが、科学的根拠の検証と法的枠組みの整備が進むことで、より公正で効果的な刑事司法システムの実現に寄与することが期待されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件に特化した法律事務所です。私たちは、窃盗罪をはじめとする様々な刑事事件において、被疑者や被告人の権利を守るために尽力しています。
当事務所では、経験豊富な弁護士が、事件の初期段階から審理終結まで、一貫してサポートを提供します。また、ポリグラフ検査のような複雑な法的問題にも対応し、クライアントの最善の利益を追求します。
刑事事件に直面した際には、迅速かつ適切な法的支援が必要です。神奈川県相模原市中央区にて、窃盗事件を疑われていてポリグラフ検査を受けるよう求められた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部(あるいは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所八王子支部)の弁護士による無料法律相談をご利用ください。
神奈川県横浜市南区の窃盗事件を想定:逮捕から釈放までの法的プロセスと弁護士の重要な役割
神奈川県横浜市南区の窃盗事件を想定:逮捕から釈放までの法的プロセスと弁護士の重要な役割
この記事は、逮捕された人が勾留される可能性と、その際の勾留を争って釈放を求める過程について解説しています。勾留は、罪証隠滅や逃亡を防止する目的で行われ、刑事訴訟法に基づいて裁判所が決定します。勾留の理由には、定まった住居がないこと、罪証を隠滅する可能性、逃亡の恐れなどがあります。罪証隠滅の可能性は、犯罪事実の認定や量刑に重要な意味を持つ事実に基づいて判断されます。逃亡の恐れは、被告人の年齢、居住状況、職業、犯罪組織との関係などに基づいて評価されます。勾留の必要性は、事案の重大性や進行度合い、被疑者の個人的事情などを考慮して判断されます。弁護士は、これらの要素を具体的に検討し、釈放を求める主張を行います。
フィクション事例: 横浜市南区の事例を基にした釈放の経緯
神奈川県横浜市南区在住の被疑者Aさんは、事件当日、横浜市南区のコンビニエンスストアにて、万引き事件を起こして逮捕されました。家族はAさんが逮捕されたことを知り、弁護士に初回接見サービスを依頼し、その後弁護の委任契約を締結しました。
依頼を受けた弁護士は、Aさんが地域社会に深く根ざしており、定職に就いていること、家族がいることを強調し、Aさんを勾留する必要がなく直ちに釈放するべきであるとの意見書を示しました。
まず、担当検察官は意見書の内容を踏まえて検討しましたが、勾留の必要があると考え、裁判所に対し勾留請求を行いました。
さらに、弁護士は、勾留の判断を行う裁判官に対して同じ意見書を示しました。
結果として、裁判官はAさんの事件で拘留は不要であると判断し、Aさんは釈放され、自宅で過ごし乍ら警察官・検察官から呼び出された場合のみ出頭することができました。
勾留の基準: 刑事訴訟法における勾留の法的基準
刑事訴訟法における勾留の基準は、逮捕された被疑者が裁判を待つ間の身柄の扱いに関して重要な指針を提供します。
勾留は、罪証隠滅のリスクや逃亡の恐れがある場合に、裁判所が決定する措置です。
この決定は、被疑者の犯罪の重大性、証拠の状況、そして被疑者の個人的背景に基づいて行われます。
勾留の基準として、まず考慮されるのは、犯罪の性質とその重大性です。
重大な犯罪や反社会的な行為の場合、勾留の可能性は高まります。
次に、罪証隠滅のリスクが評価されます。
被疑者が証拠を隠滅する可能性がある場合、または証人への影響を与える可能性がある場合、勾留はより正当化されます。
また、逃亡の恐れも重要な要素です。
被疑者が定住していない、または逃亡する意図が明らかな場合、勾留は必要とされることが多いです。
しかし、これらの要素はケースバイケースで評価され、被疑者の個人的状況や社会的結びつきも考慮されます。
このように、勾留の基準は複雑であり、個々の事案の具体的な状況に応じて異なります。
罪証隠滅のリスク: 罪証隠滅の可能性の評価
罪証隠滅のリスクは、勾留を決定する際の重要な要因の一つです。
このリスクは、被疑者が証拠を破壊、変造、または隠匿する可能性がある場合に考慮されます。
罪証隠滅の可能性を評価する際には、被疑者の行動、犯罪の性質、そして証拠の種類とその保全状況が重要です。
被疑者が過去に証拠を隠滅しようとした歴史がある場合、または犯罪の性質が証拠隠滅を容易にする場合、勾留の理由となり得ます。
例えば、デジタルデータや書類など、容易に破壊や改ざんが可能な証拠が関与する場合、罪証隠滅のリスクは高まります。
また、被疑者が関与した犯罪が組織的なものである場合、他の関係者が証拠を隠滅する可能性も考慮されます。
このような状況では、被疑者の個人的な意志とは無関係に、証拠が失われるリスクが存在します。
罪証隠滅のリスク評価は、裁判所が被疑者の身柄を拘束するかどうかを決定する上で、公正な裁判を保証するために不可欠です。
この評価は、具体的な証拠や事実に基づいて慎重に行われる必要があります。
逃亡の恐れ: 逃亡のリスク評価の法的観点
逃亡の恐れは、勾留を決定する際のもう一つの重要な要素です。
このリスクは、被疑者が裁判を逃れるために逃亡する可能性があるかどうかを評価することに焦点を当てています。
逃亡のリスクを評価する際には、被疑者の個人的背景、社会的結びつき、そして犯罪の性質が考慮されます。
被疑者が定住していない、家族や仕事がない、または以前に逃亡した歴史がある場合、逃亡のリスクは高まります。
また、重大な犯罪に関与している場合や、重い刑罰が予想される場合も、逃亡の可能性が高くなります。
逆に、被疑者が地域社会に深く根ざしている場合、例えば家族がいる、安定した職業に就いている、地域での評判が良いなどの場合、逃亡のリスクは低く評価されることがあります。
これらの要素は、被疑者が裁判に臨む意志があることを示唆し、勾留の必要性を低下させる可能性があります。
逃亡のリスク評価は、被疑者の権利と社会の安全性のバランスを取るために重要です。
勾留の必要性: 事案の重大性と個人的事情のバランス
勾留の必要性を判断する際には、事案の重大性と被疑者の個人的事情のバランスが重要な要素となります。
このバランスは、公正な裁判を保証し、同時に被疑者の権利を尊重するために不可欠です。
事案の重大性は、犯罪の性質、被害の程度、社会への影響などによって評価されます。
重大な犯罪や多大な被害をもたらした事件では、勾留の必要性が高まります。
これは、社会の安全と正義の実現を確保するために重要です。
一方で、被疑者の個人的事情も重要な考慮事項です。
被疑者が家族を養っている、重い病気を抱えている、または社会的責任を持っている場合など、個人的な事情が勾留の必要性を低下させることがあります。
また、被疑者が初犯である、または軽微な犯罪に関与している場合も、勾留の必要性が低いと判断されることがあります。
このように、勾留の必要性は、事案の具体的な状況に応じて慎重に評価される必要があります。
裁判所は、公正な裁判の実現と被疑者の権利の保護の間で適切なバランスを見つけることが求められます。
弁護士の役割: 釈放を求める弁護活動の戦略と実践
弁護士の役割は、逮捕された被疑者の釈放を求める際に不可欠です。
このプロセスでは、弁護士は法的知識と戦略を駆使して、被疑者の権利を守り、公正な裁判を確保するために活動します。
弁護士はまず、被疑者の個人的背景や状況を詳細に調査し、釈放の妥当性を裁判所に訴えます。
これには、被疑者の家族状況、職業、健康状態、社会的結びつきなどが含まれます。
これらの情報は、被疑者が逃亡のリスクが低いことや、社会にとって危険ではないことを示すために使用されます。
次に、弁護士は、事件の具体的な事実や証拠に基づいて、被疑者の釈放が妥当であることを主張します。
これには、証拠の不足、犯罪の軽微さ、または証拠が被疑者の関与を疑わしいものとする場合が含まれます。
さらに、弁護士は、裁判所に対して、勾留が被疑者の権利を不当に侵害することを訴えることがあります。
これは、特に被疑者が健康上の問題を抱えている場合や、家族を養う必要がある場合に重要です。
弁護士のこれらの活動は、被疑者が公正な裁判を受ける権利を保証し、同時に社会の安全と正義を確保するために不可欠です。
弁護士は、法的専門知識と戦略的思考を用いて、被疑者の最善の利益を代表し、釈放を求める重要な役割を果たします。
まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介
本記事では、横浜市南区で発生した窃盗事件を例に、逮捕後の法的プロセスと、特に勾留に対する弁護士の対応に焦点を当てました。
勾留の基準、罪証隠滅のリスク、逃亡の恐れ、そして勾留の必要性の評価は、刑事訴訟において極めて重要です。
弁護士の役割は、これらの要素を慎重に分析し、被疑者の権利を守りながら、公正な裁判を確保することにあります。
このような複雑な法的状況において、専門的な支援が不可欠です。
そのために、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件に特化した法律サービスを提供しています。
同事務所は、豊富な経験と専門知識を持つ弁護士チームにより構成されており、逮捕から裁判、そしてその後のプロセスに至るまで、クライアントに対して全面的なサポートを提供します。
横浜市南区のような地域社会においても、同事務所は、被疑者及びその家族に対して、信頼できる法的アドバイスとサポートを提供し、最良の結果を目指します。
神奈川県横浜市南区にて、家族が窃盗事件で逮捕されてしまい、勾留を回避し釈放を求めるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
窃盗罪と遺失物横領罪の違い
窃盗罪と遺失物横領罪の違い
刑法の微妙な違いは、具体的なケースを検討することで明らかになります。本記事では、他人の落とした物を見つけて所有する行為が、どのように法律によって解釈され、正直な間違いと犯罪行為を区別する状況について探求します。
法的枠組み
日本の刑法には、他人の財物を不正に取得する行為を罰するための複数の条文が存在します。
窃盗罪(刑法235条)は、他人の財物を盗んだ者を処罰するもので、最大で10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
一方、遺失物横領罪(刑法254条)は、他人の落とした物や所有者のいない物を横領した者に対し、1年以下の懲役または10万円以下の罰金若しくは科料で処罰されることを定めています。
これら二つの罪は、行為の性質と被害物の状況によって区別されます。
窃盗は他人の占有下にある財物をひそかに取る行為を指し、遺失物横領は誰の占有下にもない財物を取る行為が対象となります。
法律の専門家は、具体的なケースにおいてこれらの罪の適用を慎重に判断する必要があります。
事例を想定して検討
神奈川県厚木市に住むAさんは、ある日、厚木市内にある商業施設内のベンチに財布が置いてあるのを見つけました。
財布の中には現金1万円が入っており、Aさんはその現金をこっそりと自分のものにし、財布は施設のスタッフに届けました。
しかし、半年後に警察から連絡があり、Aさんは窃盗罪で捜査を受けることになりました。
この事例では、財布を見つけたAさんが直面した法的な問題が浮き彫りになります。
財布を届けた行為は善意に見えますが、中の現金を取った行為は法的にはどうなのでしょうか。
このケースは、窃盗罪と遺失物横領罪の境界を探る上で興味深い事例と言えます。
窃盗の問題
窃盗罪は、他人の占有下にある財物を秘密裏に持ち去る行為を指します。
この犯罪の成立には、「不法領得の意思」という他人の財物を自己のものとする意思が必要です。
今回想定している事例では考えられませんが、例えば、ゴルフ場でコンペに参加したような場合に、自分のものに酷似したクラブがあり自分のものだと誤信して自宅に持ち帰ったような場合には、不法領得の意思がないとして窃盗罪は成立しません。
次に、法律は、財物を見つけた場所や状況によって、窃盗と横領を区別します。
施設内で見つかった財布の場合、その施設が管理する財物とみなされることが多く、管理者の占有の意思に反して持ち去る行為は窃盗として扱われることがあります。
Aさんのケースでは、施設内で財布を見つけたにも関わらず、現金を取ったことが窃盗罪の適用を受ける根拠となりました。
横領:見つけたからといって所有できない
遺失物横領罪は、他人の占有かにない言わば落し物を持ち去る行為が該当します。
この罪には「占有の意思」という、見つけた物を自分の物として扱う意思が必要です。よって、例えば家の門の前にハロウィンのモニュメントを飾っていたとしても、それは意図して門の前に置いているわけであり、所有者の占有下である(支配が及んでいる)ことになるため、遺失物横領罪は成立しません。他方で、公園のベンチに財布を置いたまま家に帰ってしまった場合などであれば、その財布は所有者の支配下にはなく、占有が及んでいないと考えられるため、遺失物横領罪が成立すると考えられます。
遺失物横領罪の適用は、窃盗罪と比較して軽微な罪に分類されますが、適切な対応を行わなければ刑事手続きに従って罰金刑などの前科がつく恐れがあることに変わりありません。
法律は、遺失物を適切に届け出ることを義務付けており、見つけた物を自分のものにしてはならないと定めています。
Aさんのケースでは、正直に届け出たように見せかけながら、実際には遺失物を横領したという点で、より悪質と判断されると考えられます。
捜査と法的手続き
窃盗罪や遺失物横領罪の疑いがある場合、警察は捜査を開始します。
捜査の過程で、警察は目撃者の証言や監視カメラの映像、指紋などの物的証拠を収集し、犯罪の有無を判断します。
Aさんのケースでは、監視カメラが決定的な証拠となりました。
法的手続きにおいては、一般的に被害者が被害届を提出することで捜査が開始されます。(捜査の端緒)
この段階で、疑われる人物は弁護士に弁護を依頼する権利があり、法的なアドバイスを受けることができます。その際、逮捕されているか在宅で捜査を受けているかという点で違いはありません。
捜査が終了し、犯罪があったと判断されれば、検察官は起訴を決定し、裁判所での審理が始まります。
このプロセスは、被疑者にとっても、被害者にとっても、公正な裁判を保証するために重要です。
被告人の弁護
刑事訴訟において被告人が取り得る弁護の戦略は多岐にわたります。
例えば、Aさんのようなケースでは、Aさん自身は財布を届けただけであり、その前後でAさん以外の人が財布の中身を抜き取った、と主張することが考えられます。
また、今回のケースでは当てはまりませんが、「遺失物を届ける意図があったが警察署が見つからず、後日届けるつもりだった」という事実を証明することで、遺失物横領の意図を否定する事例もあります。
弁護士は、被疑者・被告人の行動背景や心理状態、そして法的な解釈の余地を検討し、最も有利な弁護を構築します。
Aさんの場合、財布を届けた行為が善意に基づくものであったとする主張が、弁護の中心となり得ます。
しかし、証拠が強固である場合、弁護戦略はより複雑なものとなり、時には和解や司法取引が検討されることもあります。
刑事事件の弁護は、単に法律的な知識に基づくだけでなく、人間心理や倫理的な問題をも考慮に入れる必要があります。
それにより、法廷での公正な審理が期待されるのです。
弁護士に依頼し示談交渉
仮にAさんが罪を認めて反省し、被害者に謝罪と賠償をしたいと考えた場合、示談交渉を行うことになります。まず前提として、示談交渉そのものは、当事者間(加害者と被害者)で行うことが可能です。しかし、ケースのような窃盗罪や遺失物横領罪の場合は加害者が被害者の連絡先を知っている場合は稀であり、仮に連絡先を知っていたとしても無用なトラブルを招いたり適切な示談書の作成が臨めなかったりと、懸念材料が多々あります。そのため、弁護士に弁護を依頼して示談交渉を進めることをお勧めします。
神奈川県横浜市や近隣の川崎市、多摩市、相模原市、小田原市などで、他人の落し物を持ち去る行為により窃盗罪や遺失物横領罪に問われているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による無料法律相談をご利用ください。
特殊詐欺の深層:事例と法的性質
特殊詐欺の深層:事例と法的性質
詐欺罪は日常生活に潜む危険な犯罪です。
この記事では、最近の事例を交えながら詐欺罪について詳しく解説します。
詐欺罪とは何か
詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる行為を指します。 この犯罪は、日本の刑法第246条1項によって規定されています。
成立条件
詐欺罪が成立するためには、以下の三つの要素が必要です。
- 人を欺く行為
- 虚偽の情報を提供する、または事実を隠すなど。
- 財物の交付
- 被害者が金銭や貴重品を犯人に渡すこと。
- 犯人の故意
- 犯人が明確に人を欺く意図を持って行動すること。
刑罰
詐欺罪に対する刑罰は、最高で十年以下の懲役とされています。 この罰則は、被害の大きさや犯人の過去の犯罪歴によって変動することがあります。
注意点
詐欺罪は、一見単純な犯罪に見えますが、実際には多くのケースが存在します。 例えば、特殊詐欺やオレオレ詐欺など、多様な手口で行われています。
特殊詐欺の事例
特殊詐欺は、一般的な詐欺よりも巧妙な手口で行われる詐欺の一種です。 最近では、多くの特殊詐欺事件が報道されており、その手口も日々進化しています。
48歳男性のケース
最近の事例として、48歳の男性が逮捕されたケースがあります。 この男性は、市役所や金融機関の職員を装って、被害者に対して虚偽の情報を提供しました。 その結果、被害者からキャッシュカードをだまし取り、100万円を引き出したとされています。
手口の多様性
特殊詐欺には多くのバリエーションがあります。 例えば、「振り込め詐欺」や「オレオレ詐欺」など、犯人が用いる手口は多岐にわたります。
被害の拡大
特殊詐欺の被害は年々拡大しており、特に高齢者が狙われるケースが多いです。 高齢者は情報に対する警戒心が低く、また孤独感から容易に詐欺師に信用を寄せてしまうことが一因とされています。
警察の対応
警察も特殊詐欺には力を入れて対応しています。 防犯カメラの設置や、詐欺を未然に防ぐための啓発活動など、さまざまな取り組みが行われています。
「受け子」と「出し子」の役割
詐欺グループには多くの役割が存在しますが、特に「受け子」と「出し子」はその末端を担う重要なポジションです。
受け子の役割
「受け子」は、被害者から金銭や貴重品を直接受け取る役割を果たします。 このポジションは、被害者と直接対面するため、逮捕されるリスクが高いとされています。
出し子の役割
一方で「出し子」は、受け取った貴重品や金銭を現金化する役割を担います。 ATMでの引き出しや、貴重品を質屋に持ち込むなどの活動を行います。
リスクと報酬
「受け子」と「出し子」は詐欺グループ内でのリスクが高い一方、報酬も比較的高いとされています。 しかし、その報酬が高いからといって、このような犯罪に手を染めることは決して許されません。
インターネットでの募集
最近では、インターネットを使って「受け子」や「出し子」を募集するケースも増えています。 特に若者が狙われることが多く、一度手を染めると抜け出すのが難しいとされています。
被害者の対応策
詐欺に遭った場合、被害者がどのように対応すべきかは非常に重要です。 このセクションでは、被害者が取るべき対応策について詳しく解説します。
すぐに警察に通報
詐欺に気づいた場合、最も重要なのは速やかに警察に通報することです。 早期の通報が、犯人の逮捕や被害の拡大を防ぐ鍵となります。
証拠の保全
次に考慮すべきは、証拠の保全です。 通話履歴やメッセージ、または犯人とのやり取りが記録されたものは、後の捜査や裁判で非常に重要な証拠となります。
金融機関への連絡
詐欺によって金銭が引き出された場合、速やかに関連する金融機関に連絡を取ることが必要です。 これにより、さらなる被害の拡大を防ぐことができます。
被害届の提出
警察に通報した後、被害届を提出することで、正式な捜査が始まります。 被害届は、詳細かつ正確に記入することが求められます。
家族や友人への情報共有
詐欺被害は一人で抱え込まず、家族や友人にもその事実を共有することが推奨されます。 これにより、同様の被害が拡大することを防ぐことができます。
賠償と示談の難しさ
詐欺事件が解決した後、被害者が取るべき行動として賠償や示談があります。 しかし、これらのプロセスは一筋縄ではいかない場合が多いです。 このセクションでは、その難しさと対処法について解説します。
賠償の困難性
詐欺犯罪において、賠償を受けるためには多くの障壁が存在します。 犯人が逮捕されても、すでに被害金は使い果たされている場合が多く、回収は困難です。
示談のリスク
示談によって被害を取り戻す方法もありますが、これにはリスクが伴います。 犯人が再び詐欺を働く可能性があり、その場合、被害はさらに拡大する可能性があります。
法的手続きの複雑さ
賠償や示談には、多くの法的手続きが必要です。 専門の弁護士に相談することで、スムーズな進行が期待できますが、それには費用がかかります。
被害者の心理的負担
賠償や示談のプロセスは、被害者にとっても心理的に非常に厳しいものです。 そのため、心のケアも重要な対応策となります。
特殊詐欺事件の加害者側になってしまった場合の対応
この記事では主に被害者側の視点から詐欺罪について解説してきましたが、誰もが加害者になる可能性も否定できません。 特に若者が「受け子」や「出し子」になってしまうケースが増えています。
加害者側になってしまった場合の対応
- 自首する勇気
- 犯罪に手を染めた場合、一刻も早く警察に自首することが求められます。
- 弁護士に相談
- 刑事事件に強い弁護士に相談することで、最も適切な対応が可能です。
- 家族や友人に相談
- 犯罪に手を染める前に、信頼できる人に相談することも重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件に特化した法律事務所です。 経験豊富な弁護士が在籍しており、詐欺事件をはじめとした多くの刑事事件で高い解決率を誇っています。 何か問題が起きた際には、ぜひ一度ご相談ください。
脅迫罪と恐喝罪:事例を交えた成立要件と罰則の違いについて
脅迫罪と恐喝罪は一見似たような犯罪に思えますが、実は成立要件や罰則が大きく異なります。この記事では、具体的な事例を交えて、それぞれの犯罪の成立要件や罰則について詳しく解説します。
1. 脅迫罪とは?
脅迫罪とは、他人に対して害を及ぼすような言動・行動を指します。 この犯罪は、日常生活でありがちなトラブルから大規模な事件まで多岐にわたります。 例えば、気に入らない相手に対して「殴るぞ」などとすごむような行為がこれに該当します。
法的には、脅迫罪の言う脅迫は「害悪の告知」を指します。 また、当該被害者だけでなく被害者の家族や友人などに対して行う害悪の告知も、脅迫罪として処理されます。
2. 脅迫罪の成立要件
脅迫罪が成立するためには、いくつかの要件が必要です。
まず、「他人を脅迫する行為」が必要です。
この「脅迫する行為」とは、暴力、人身攻撃、財産の損害など、相手に何らかの不利益をもたらすことを示唆または宣言することを意味します。
次に、行為者が「脅迫行為を故意に行った」ことが必要です。
「故意」とは、行為者がその結果を望んで行動した、またはその可能性を認識しながら行動した状態を指します。
3. 脅迫罪の罰則
脅迫罪の罰則は、刑法第222条1項で「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と規定されています。
具体的な罰則の内容は、犯罪の重大性や被害の程度、犯人の過去の犯罪歴などによって異なる場合があります。
例えば、複数回にわたって脅迫行為を繰り返した場合や、特に重大な被害を与えた場合は、その罰則は重くなる可能性があります。
また、脅迫罪は「非親告罪」とされています。
「非親告罪」とは、被害者が告訴しなくても、警察が独自に捜査を開始し、公訴を提起することができる罪のことです。
この点は、被害者が二次被害を恐れずに、安心して法的手段を講じることができるという点で重要です。
4. 恐喝罪とは?
恐喝罪は、他人に対して不正に財物を得るために脅迫する行為を指します。
この犯罪も脅迫罪と同様に多岐にわたりますが、主に財物を目的とした行為が該当します。
恐喝罪に関する法律用語を簡単に説明すると、「不正に財物を得る」は、金銭や貴重品などを不正手段で手に入れる行為を指します。
また、財物を受け取っていない場合でも、脅迫の結果財産上の利益を得た場合には、刑法第249条2項の言う恐喝罪が成立します。
また、恐喝をしようとしたものの、その前に被害者が警察官に相談するなどして実際には利益を得ていない場合でも、恐喝未遂罪が成立する恐れがあるので注意が必要です。
5. 恐喝罪の成立要件
恐喝罪が成立するためには、以下のような要件が必要です。
- 第一に「他人を脅迫する行為」が存在すること。
- こちらも脅迫罪と同様に、不利益を与えることを示唆または宣言する行為が必要です。
- ただし、恐喝罪の場合は主に「財物を不正に得る」ことが目的とされます。
- 第二に「その脅迫によって財物を得る」こと。
- 脅迫された側が財物を渡した、または何らかの形で財物的な利益を譲渡した場合に成立します。
- 最後に、「行為者が脅迫行為を故意に行った」こと。
- この「故意」も脅迫罪と同様、行為者がその結果を望んで行動した、またはその可能性を認識しながら行動した状態を指します。
特に注意すべき点は、恐喝罪では「財物を不正に得る」ことが一つの大きな成立要件であり、これが脅迫罪との一つの違いとなります。
6.恐喝罪の罰則
恐喝罪に対する罰則は、刑法により「10年以下の懲役」が規定されています。
この罰則は脅迫罪よりも一般的に重いとされており、これが脅迫罪と恐喝罪の一つの大きな違いです。
具体的な判決は、犯罪の状況、被害規模、犯人の過去の犯罪歴など多くの要素に基づいて決定されます。
また、恐喝罪も「非親告罪」とされています。
これは、被害者が告訴しなくても、警察や検察が独自に捜査や公訴を進めることができる罪です。
特に恐喝罪の場合、しばしば被害者が二次被害を恐れて沈黙することがありますが、非親告罪であることから、社会全体での防犯が可能となっています。
7. まとめ
脅迫罪と恐喝罪は似たような犯罪に見えますが、法的にはいくつかの違いがあります。以下にその主な違いを一覧形式でまとめます。
- 目的
- 脅迫罪:一般的には何らかの形で相手を怯えさせること。
- 恐喝罪:主に脅迫によって財物を不正に得ること。
- 成立要件
- 脅迫罪:脅迫行為、故意。
- 恐喝罪:脅迫行為、財物の不正取得等、故意。
- 罰則
- 脅迫罪:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金。
- 恐喝罪:10年以下の懲役。
- 親告罪・非親告罪
- 両罪とも非親告罪であり、被害者が告訴しなくても公訴が提起できる。
- 犯罪の対象
- 脅迫罪:一般的には広範。
- 恐喝罪:財物取得が主目的。
以上が脅迫罪と恐喝罪の主な違いです。
これを理解することで、具体的なケースにおいてどちらの罪に該当するのか、法的な観点から明確にすることができます。
8.弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部 紹介文
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、横浜市を中心に活動する法律事務所です。
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全支部で年間数多くの刑事事件・少年事件に携わっています。
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私たち弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、クライアントの皆様が安心して法的問題を解決できるよう、全力を尽くします。
特殊詐欺事件とは?事例から学ぶ罪と罰条
特殊詐欺事件とは?事例から学ぶ罪と罰条
特殊詐欺事件は近年、高齢者を中心にその被害が増加しています。しかし、どのような行為が特殊詐欺に該当し、何が罰されるのか明確でない方も多いでしょう。この記事では、具体的な事例を通して特殊詐欺の罪と罰条について詳しく解説します。
一般的な詐欺罪と特殊詐欺罪の違い
一般的な詐欺罪と特殊詐欺罪は、一見似ているように思えますが、実は大きな違いがあります。 一般的な詐欺罪は、嘘や偽の情報を使って主に対面で他人を欺き、財産を奪う行為です。 多くの場合、双方の信頼関係が前提に詐欺行為が行われます。対して特殊詐欺罪は、電話やハガキなどを用いて詐欺を行うもので、実際には会ったこともないような不特定多数の者をターゲットにして行う、より計画的かつ高度な詐欺です。
特に、特殊詐欺は高齢者が多く被害に遭うケースが多く、手口も巧妙であるために警戒が必要です。
特殊詐欺の場合、基本的に詐欺罪(刑法246条1項)が適用されますが、手口によっては電子計算機使用詐欺罪(刑法246の2)や窃盗罪(刑法235条)が適用されます。
特殊詐欺罪の代表的な手口:「おれおれ詐欺」
「おれおれ詐欺」とは、電話を使って高齢者などを狙い、自分をその人の親族であるかのように偽装します。 主に「会社の金を使い込んだのが発覚して今日の15時までに全額弁済する必要がある」など緊急事態が発生したと偽って、お金を要求するなどの方法が一般的です。
この手口は、相手の感情や緊迫感を利用しています。 そのため、相手が冷静になる時間を与えず、速やかにお金を振り込ませようとする点が特徴です。
法律的には、この「おれおれ詐欺」は、電話などを用いて被害者をだます手口であるとして、詐欺罪が適用されます。
特殊詐欺罪の代表的な手口:「振り込め詐欺」
「振り込め詐欺」は、偽の請求書や電子メールを用いて、相手にお金を振り込ませる詐欺手法です。 こちらも特に高齢者が狙われることが多く、インターネットの普及によって手口も多様化しています。
この手法では、公共料金や税金、商品代金などを偽装し、一見正当な請求であるかのように見せかけます。 そのため、被害者は気づかぬうちに多額の金額を詐取されることがあります。
法律的には、まず嘘の請求書などを送る行為については、詐欺罪に該当します。
次に、振り込んだお金を引き出したり、別の口座に送金したりする「出し子」と呼ばれる者が登場します。この者に対しては、機械(銀行のATMなど)に不正の指令を出して利益を得る行為に当たるとして、電子計算機使用詐欺罪に問われることが考えられます。電子計算機使用詐欺罪の罰条も、詐欺罪と同じ「10年以下の懲役」で、罰金刑はありません。
特殊詐欺罪の代表的な手口:対面による「キャッシュカード等のすり替え」
特殊詐欺の中には、警察官や銀行職員などを装って被害者宅を訪問し、キャッシュカードが不正に使用されているなどの嘘をつく手口があります。この際、「安全のため私が預かります」などと言ってキャッシュカード等をだまし取る行為は、詐欺罪に問われます。他方で、「このキャッシュカードは使えないので封かんします。印鑑を持ってきてください」などと言い、被害者が印鑑などを取りに行っている隙に封筒をすり替え、被害者に気付かれないうちにキャッシュカードをだまし取る手口もあります。この場合は、詐欺罪ではなく、窃盗罪(刑法235条「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」)に処されます。
刑法における罰則:詐欺罪(第246条)
詐欺罪とは、嘘や偽の情報を用いて他人を欺き、財産を不正に取得する行為を指します。 この詐欺行為に対する罰則は、日本の刑法第246条に規定されています。
刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
具体的には、詐欺罪で有罪となった場合、懲役または禁錮による刑罰が科されます。 罰金については、直接の規定はありませんが、関連する別の罰則として適用される場合もあります。
一般的な詐欺罪と特殊詐欺罪の違いは、主に手口と被害の規模にありますが、どちらも基本的にはこの第246条1項に基づく罰則が適用されます。 特に、第246条1項は特殊詐欺の様々な立場の者に対して適用される可能性がある罪です。
特殊詐欺の厳罰化
特殊詐欺事件については、基本的に法改正などは行われておらず、罰条は変わっていません。しかし、未だ被害金額が増加傾向にあること、手口が巧妙になったり組織的に行われていること、一部は反社会的勢力の資金源になっていることなどを踏まえ、裁判で裁判官は厳しい刑事罰を科す傾向にあります。
たとえ初犯であっても、検挙されるまでに起こした事件の回数や被害金額次第では、前科前歴がない場合でも実刑判決に処されるおそれがあります。
特殊詐欺で弁護士に相談
特殊詐欺事件の場合、多くの加害者は事件の全体像を知りません。しかし、事件には多くの被疑者が関与していて、捜査機関も他の被疑者やそれぞれの役割・認識について慎重かつ入念に調べを進めていきます。そのため、特殊詐欺事件に関与した場合、逮捕・勾留されるのはもちろんのこと、長期間身柄拘束される・接見禁止により家族も面会できない・保釈も認められにくい・実兄になりやすい、といった様々な不利益が科せられます。
ご家族が特殊詐欺事件に関与してしまい詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪、窃盗罪で逮捕された場合、すぐに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。
【解決事例】万引きを繰り返し検挙
【解決事例】万引きを繰り返し検挙
万引きを繰り返し検挙されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県相模原市南区在住の主婦Aさんは、事件当日、相模原市南区にあるコンビニエンスストアで万引きをした際、店員に現認されました。
店員の通報を受けて臨場した相模原市南区を管轄する相模原南警察署の警察官は、Aさんを万引きによる窃盗事件として在宅での捜査を開始しました。
その取調べでAさんは余罪についても聞かれ、同店舗を含め、過去にも万引きを複数回行ったことを認めました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫
【万引きについて】
小売店で陳列されている商品を盗む行為を、俗に万引きと呼びます。
万引きは店の管理責任者の意思に反して商品を自分のものにする行為であり、窃盗罪に問われる可能性が高い犯罪です。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
【万引き事件での示談交渉】
万引きのような財産犯事件の場合、被害者がいることから、謝罪と賠償を行い示談書を取り交わすという弁護活動がもっとも有効であると言えます。
しかし、万引き事件では示談交渉が容易ではありません。
万引き事件の被疑者・被告人(加害者)の方の多くは安易な気持ちで万引きをしてしまいますが、店舗側にとっては死活問題であり、そのために防犯カメラを設置したり、棚卸作業の回数を増やし万引きの被害に遭っていないか確認したり、万引きの被害に遭っていることが分かった場合には防犯カメラの映像をチェックして被害に遭った日時や人物を特定したうえで被害届を提出するという場合もあり、更には被害者として取調べを受けるため仕事以外の時間帯で拘束されてしまうなど、かなり大きな負担を被ることになるのです。
そのため被害感情が大きく、
・示談交渉には一切応じない
・被害弁償は受けるが示談書の締結などは行わない
・示談書の取り交わしには応じるが、宥恕(厳しい刑事処罰を求めない)の約定には応じない
など、様々です。
弁護士としては、過去の経験などを踏まえ、被疑者(加害者)にとって最も有益な示談を成立させることができるよう、交渉を進めることになります。
今回のAさんの事例では、被害店舗の責任者の方と繰り返し電話をして説明をした結果、Aさんの事件では(これまでに当該店舗で起こした万引き事件を含め)今回に限り厳しい刑事処罰を求めない「宥恕」の条項を含めた示談書の締結に応じてくださいました。
Aさんの事件を担当する検察官は、Aさんの取調べでの状況と示談書の内容などを踏まえ、Aさんを不起訴処分としました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまでに数多くの万引き事件の弁護活動を経験してきました。
神奈川県相模原市南区にて、万引き事件で捜査を受けている方や家族が万引き事件で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
【解決事例】施設内での落とし物をネコババした事件
【解決事例】施設内での落とし物をネコババした事件
施設内での落とし物をネコババしたことで窃盗罪あるいは遺失物横領罪に問われたという事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県厚木市在住のAさんは、厚木市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、厚木市内にある施設の中にあるベンチに財布が置いてあることに気付きました。
そこでAさんは、現金1万円をネコババした上で、施設のスタッフに落とし物を拾ったと言って届け出ました。
半年以上たった後、Aさんの連絡先に厚木市内を管轄する厚木警察署の警察官から連絡が来て、お話ししたいことがあるので署まで来てほしい旨を言われました。
不安になったAさんは当事務所の弁護士による無料相談を利用し、その後弁護を依頼しました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【ネコババで問題となる窃盗罪と遺失物横領罪】
今回のAさんの事例では、他人の落とし物である財布を拾いその中に入っていた現金1万円をネコババしたという点が問題となります。
落とし物のネコババで問題になるのは、窃盗罪と遺失物横領罪です。
条文はそれぞれ以下のとおりです。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(遺失物横領罪)
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
まず単純に考えると、落とし物の財布である以上、遺失物(≒落とし物)を持ち去っているということになるため、遺失物横領罪の適用が考えられます。
しかし、今回のAさんの事例では、落とし物を習得した場所が施設であるという点に注意が必要です。
建物の中に落ちていた落とし物の場合、その落とし物は施設の管理者が管理しているという評価がなされ、その管理者の意に反して落とし物を持ち出したとして窃盗罪が成立すると評価されます。
実際、Aさんの事例についても、窃盗罪として捜査を受けました。
窃盗罪と遺失物横領罪では、刑事罰が異なることから、ネコババ行為が窃盗罪に該当するか遺失物横領罪に該当するかという点は各事件の状況をしっかりと確認してから判断されることになります。
【窃盗罪や遺失物横領罪での弁護活動】
事例のような窃盗罪や遺失物横領罪が疑われる事件では、まず罪を認めているかどうかという点が問題となります。
もし「そもそも落とし物を拾ったりしていない」あるいは「確かにネコババはしたが被害者の言う被害金額とズレがある」という場合は、それらの点についてしっかりと主張していく必要があります。
特に被害金額のズレについては、被害者の方の記憶と実際に財布に入っていた金額とが異なっている可能性も考えられますし、被疑者(犯人と疑われている人)がネコババをした前後で別の被疑者がネコババをしていた可能性、被害者が噓の申告をしている場合など、様々考えられます。
いずれの場合でも、捜査機関としては被疑者に対して厳しい取調べを行う可能性があることから、取調べの前後で弁護士と打合せをして、自身の意に即した供述調書の作成を目指す必要があります。
ネコババについて認めている場合であれば、被害者に対して謝罪し賠償する必要があるでしょう。
これは示談交渉と呼ばれるもので、当事者(被疑者と被害者)同士でも行うことが出来ますが、被害者の中には被疑者に連絡先を教えたくない、あるいは直接連絡したくないという方もおられること、また、当事者同士では法的に効力のある示談書の取交しが難しいという点から、示談交渉は弁護士に任せた方が良いと言えるでしょう。
最終的に、捜査を行った警察官は検察庁の検察官に事件を送致します。
送致を受けた検察官は、補充の捜査を指示したり、自身で取調べを行ったりした後、被疑者を起訴(あるいは、書面のやり取りと罰金・科料の納付のみで手続きが完了する略式起訴)するか、不起訴にするかを検討します。
弁護士としては、被疑者の事件の内容・示談交渉の状況・前科その他の情状といった部分に触れつつ、できるだけ被疑者の意に即した処分を求めることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに数多くの財産犯事件(遺失物横領罪、窃盗罪、詐欺罪など)の弁護活動を経験してきました。
神奈川県厚木市にて、ネコババをしたことで窃盗罪や遺失物横領罪の疑いで捜査を受けているという方、家族が逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。
【解決事例】特殊詐欺事件で年齢超過による逆送事件
【解決事例】特殊詐欺事件で年齢超過による逆送事件
特殊詐欺事件で逮捕・勾留されたのち、一旦は家庭裁判所に送致されたものの、年齢超過を理由に逆送されたという事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県横浜市栄区在住のAさんは、逮捕当時19歳でした。
Aさんは横浜市栄区にて特殊詐欺事件のいわゆる受け子役をしてしまい、捜査を行った横浜市栄区を管轄する栄警察署の警察官によって通常逮捕されました。
最初の逮捕から既に1ヶ月以上が経った後に依頼を受けた当事務所の弁護士は捜査機関に対し捜査にかかる時間や再逮捕といった見通しを確認しましたが、捜査が終結した後家庭裁判所の調査が行われることを考えると、Aさんが20歳の誕生日を迎えるまでに審判期日を設けることができないと判断しました。
そこで弁護士は、予めAさんとその保護者に今後の流れや刑事裁判の見通しについて説明をしました。
結局、Aさんは想定どおり家庭裁判所に送致されたのち20歳の誕生日を迎え、逆送されました。
逆送された後は成人の刑事手続きと同様の手続きがとられました。
弁護士は、特殊詐欺の被害に遭われた被害者の方と示談交渉を行った結果、うち数件で示談が締結されました。
最終的にAさんは裁判を受けましたが、執行猶予判決を言い渡されました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫
【特殊詐欺事件について】
今回、Aさんは特殊詐欺事件の受け子をしてしまいました。
その手口は、
①被害者宅を訪問して警察官を名乗り、詐欺に使われていると嘘をついてキャッシュカードを受け取った
②被害者宅を訪問して警察官を名乗り、詐欺に使われているからキャッシュカードを使用しないよう言い、封筒に入れた後、隙を見て封筒をすり替える手口でキャッシュカードを掠め取った
というものでした。
この場合、①については詐欺罪が、②について窃盗罪が、それぞれ適用されると考えられます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。
(詐欺罪)
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
【年齢超過による逆送】
Aさんは事件を起こした時点でも、逮捕された時点でも、20歳未満でしたので少年法のいう「少年」に該当します。
少年の場合、警察官等・検察官の捜査機関による捜査が行われた後、全件で家庭裁判所に送致され、調査官による調査を経て、多くは少年審判での保護処分を課します。
但し、被害者が死亡するような一定以上の重大事件については、逆送(正確には検察官送致)の手続きにより再び検察官に事件送致され、検察官が成人と同じ刑事裁判にする必要があるか判断します。
今回のAさんの事件については、事件の内容だけを見ると逆送が必須とまでは言えないものでした。
但し、Aさんの場合は家庭裁判所に送致された後に20歳の誕生日を迎えました。
よって、以下の条文が問題となります。
少年法19条2項 家庭裁判所は、調査の結果、本人が20歳以上であることが判明したときは…決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
この規定により、Aさんは逆送されました。
送致を受けた検察官は、Aさんに刑事罰を科す事案であると判断し、Aさんを起訴しました。
そのため、Aさんは事件当時は20歳未満の少年でしたが、その後20歳になったため成人の刑事事件の手続きに附され、刑事裁判を受けた、という流れになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、このような年齢切迫と呼ばれる少年の刑事弁護・付添人活動の経験がございます。
Aさんのような事例では、少年のうちに審判を開けることができるか判断し、少年のうちに審判を受けることができると判断された場合には捜査機関に掛け合ったり少年や保護者に捜査・調査に協力するよう促し、できる限り少年事件として手続きが終わるように進めます。
他方で逆送が免れない事例では、刑事裁判になることを前提に、取調べをより慎重に受けるようアドバイスしたり示談交渉などの情状弁護の準備を行ったりと事前準備が必要です。
神奈川県横浜市栄区にて、お子さんが特殊詐欺事件で逮捕・勾留され、20歳の誕生日を目前に控えているという場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービス(有料)をご利用ください。
【解決事例】落とし物の財布からお金を抜き取り
【解決事例】落とし物の財布からお金を抜き取り
落とし物の財布からお金を抜き取ったことで捜査を受けたものの不起訴になったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県川崎市高津区在住のAさんは、川崎市高津区内にある会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、川崎市高津区内の鉄道駅を利用しベンチに腰掛けたところ、椅子に落とし物の財布が置かれていることに気付きました。
Aさんが中身を検めたところ、現金2万円が収められていることが分かり、Aさんは出来心でその現金を抜き取り、財布は別の駅のトイレに捨ててきました。
しかし、その後すぐに自責の念にかられ、自首しようと考え、その手続きや見通し等を確認するため当事務所の弁護士による無料相談を受け、弁護を依頼されました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【落とし物の財布から現金を抜き取る行為】
今回の事例で、Aさんは駅の落とし物である財布から現金を抜き取ったことが問題となりました。
落とし物を見つけた場合には警察官等や管理者(例えば飲食店で財布の落とし物があれば飲食店の店長)に申告する必要があります。
それをせずに自分のものにした場合には、窃盗罪や占有離脱物横領罪が問題となります。
条文はそれぞれ以下のとおりです。
(窃盗)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(遺失物等横領)
刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
窃盗罪は、他人の財物を盗むことで、盗んだ物を自分のものとして使用する場合に成立します。
遺失物横領罪は、他人の占有下にはない落とし物を着服する場合に成立します。
落とし物が、公道など管理者がいないような場所に落ちていた場合には「遺失物」として遺失物横領罪が適用されます。
他方で、例えば飲食店の机に財布が落ちていた場合、落としてからしばらく経っていたとしても、飲食店側が管理していると評価されるため、窃盗罪が適用されます。
今回の事件については、駅のベンチに落ちていた財布の中の現金が問題となっているところ、落としてから時間が経っていて、落とし主と駅側の占有下にない(占有する意思がない)と評価され、遺失物横領罪が問題となりました。
【落とし物の財布から金を抜き取った場合の弁護活動】
落とし物の財布から現金を抜き取った場合、
・財布の落とし主
・(窃盗罪の場合には)占有していた管理者
が被害者になります。
そのため、被害者に対し謝罪と弁済を行うことが重要な弁護活動の一つになると考えられます。
示談交渉は当事者間で行うことが出来ますが、被害者の立場からしたら、見知らぬ加害者に連絡先等を教えることに抵抗があると考えられます。
また、示談交渉を行ったとしても、一般人の方に法的効果のある合意書(示談書)を作成することは容易ではないと考えられます。
示談交渉を行う場合には弁護士に依頼した方が良いと考えられます。
他方で、落とし物の財布から現金を抜き取った嫌疑で捜査を受けているものの心当たりがないという場合には、取調べで否認を貫く必要があります。
しかし、捜査機関は何かしらの理由があって被疑者として捜査を行っていることから、ともすれば厳しい態度で取調べを受けることも考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、落とし物を着服してしまった・占有下にある財布などを持ち去ってしまったという相談を数多く受けてきました。
神奈川県川崎市高津区にて、落とし物の財布から現金を抜き取った遺失物横領罪をして自首や出頭を検討している方、取調べを受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。