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【解決事例】被害届取下げと告訴取消し

2022-10-09

【解決事例】被害届取下げと告訴取消し

名誉毀損の罪で捜査を受けたものの不起訴になったという事例をもとに、被害届取下げと刑事告訴取消しについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県茅ヶ崎市在住のAさんは、茅ヶ崎市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは交際相手Xさんと交際していたつもりでしたが、Xさんには交際相手Vさんがいることが発覚しました。
そこで、AさんはVさんが勤務する勤務先の問い合わせフォームにて、「お宅の社員であるVさんは誰とでも寝るので、皆さん性病には注意してください。」という内容のメッセージを複数回、書き込みしました。
Vさんからの相談を受けた茅ヶ崎市内を管轄する茅ヶ崎警察署の警察官は、捜査の結果Aさんによる犯行と断定し、Aさんの取調べを開始しました。

依頼を受けた当事務所の弁護士は、担当する警察官に被害届や刑事告訴の提出状況を確認したうえでVさんの勤務先である会社に連絡し、Vさんとの示談交渉に挑みました。
最終的に、示談をお受けいただくことができて、送致を受けた検察官はAさんに刑事処分を科さない「不起訴」の判断を下しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【名誉毀損罪について】

名誉毀損罪の条文は以下のとおりです。

刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

・公然性
名誉毀損罪は公然性をその要件としています。
Aさんは、問い合わせフォームにVさんの名誉を毀損する事実を記載し送っていますが、この点で公然性が認められるかどうかについては争いがありました。
もっとも、Aさんとしてはやってしまった行為は事実で、相談の時点では反省して被害者に謝罪と賠償をしたいというご意向でしたので、迷惑をかけたという点について謝罪と賠償を行う示談交渉を行いました。

・事実の摘示
名誉毀損罪のいう「事実」は、真実である必要はありません。
ここでいう事実は、ある程度具体的な内容であり、且つ、他人や法人などの名誉を傷つけるような内容である必要があります。
例えば、「○○さんは阿呆だ」などという表現については、具体的な事実を摘示していないため名誉毀損罪には当たりません。(侮辱罪の成立は検討されます。)
また、摘示した事実は真実である必要はないため、事例でVさんが実際には複数の者と関係を持っていなかったとしても、名誉毀損罪は成立します。

・親告罪
刑法232条1項は、「この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」と定めています。
これは親告罪と呼ばれ、被害者等による刑事告訴がなければ、検察官は被疑者に対する公訴の提起、つまりは起訴することができません。
起訴されなかった場合、刑事裁判には発展しないため、刑事罰を科されません。

【被害届取下げと刑事告訴取消し】

刑事事件に当たる行為で被害を受けた被害者(本人やそのご家族)が加害者(被疑者)に刑事処罰を求める場合、捜査機関に捜査を求めることができます。
その際、
被害届の提出
②刑事告訴
③告発
といった手続きが用意されています。

被害届の提出について、これは、犯罪被害を捜査機関に申告するという内容です。
②の刑事告訴とは異なり、厳しい刑事処罰を求めるという意味合いは含みません。
とはいえ、捜査機関の捜査の端緒(捜査を開始するきっかけ)にはなります。

②刑事告訴は、犯罪被害者等の告訴権者が、犯罪被害を捜査機関に申告することに加え、犯人の厳しい刑事処罰をも求めるものです。
前章で触れたとおり、名誉毀損罪などの親告罪では告訴がなければ検察官は起訴することができません。

③の告発は、告訴権者以外の者が犯罪の事実を申告して、被疑者・被告人の刑事処罰を求めるものです。
国税庁の査察部などが脱税等違反を認めた場合や、市民団体が公職選挙法や政治資金規正法などの政治犯罪等の場合に行われます。

告訴されている事件では、被疑者の弁護人は「刑事告訴取消し」を求める示談交渉を行います。
親告罪で刑事告訴取消しを求めることで刑事罰が科せられないということは繰り返しお伝えしたとおりです。

被害届が出されている事件では、被疑者の弁護人は「被害届取下げ」を求める示談交渉を行います。
被害届取下げは、被害届が取り下げられたからといって刑事罰が科せられないわけではなく、検察官は捜査の結果、被害者の意思に関わらず被疑者を起訴することができます。
しかし、被害届取下げの有無は、検察官が被疑者を起訴するかどうか判断するうえで極めて重要な要素です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの名誉毀損事件に携わってきました。
名誉毀損事件の場合、検察官による起訴がなされる前に告訴の取消しを求めることが効果的です。
神奈川県茅ヶ崎市にて、名誉毀損事件で被害届告訴状を提出され捜査を受けている方、あるいは名誉毀損罪に当たる行為か不安という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。

【解決事例】人身事故で刑事裁判に

2022-10-06

【解決事例】人身事故で刑事裁判に

人身事故を起こしてしまった場合の罪と刑事裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県伊勢原市在住のAさんは、伊勢原市内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは伊勢原市内の路上を車で走行していたところ、前方不注意で信号機のない横断歩道を渡っていた通行人を跳ね飛ばしてしましました。
Aさんはすぐに110番通報し、臨場した伊勢原警察署の警察官は、Aさんを過失運転致傷事件で在宅捜査を開始しました。
被害者の怪我は全治6ヶ月を要する重傷でした。
また、Aさんには同種の人身事故事案での罰金刑の前科がありました。

ただ、Aさんは任意保険に加入していたことで今回も罰金刑で済むだろうと考えていましたが、裁判所から裁判手続きの書類が届いたため、慌てて当事務所の無料相談を受け弁護を依頼されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【人身事故で生じる責任】

車やバイクを運転していて事故を起こしてしまい、その事故が原因で被害者が死傷してしまった場合、俗にいう人身事故として取り扱われます。
人身事故の場合、刑事上の責任/民事上の責任/行政上の責任の3つの責任が問題となります。
以下で、その概要を説明します。

・刑事上の責任
刑事上の責任は、各種法律に規定されている罪を犯した場合に問題となります。
飲酒運転や無免許等の運転の場合を除き、運転手の不注意によって発生させた人身事故の場合には「過失運転致死傷罪」という罪に問われます。
この罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称、自動車運転処罰法)に規定されています。
人身事故が発生した場合、運転手(=被疑者)は逮捕される場合もありますし、逮捕されずに在宅で捜査を受けることもあります。
いずれの場合でも、被疑者は警察官や検察官からの捜査・取調べを受け、証拠が揃って検察官が起訴した場合、刑事裁判や略式手続により刑事罰を科せられることになります。

罰条:7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

・民事上の責任
人身事故の場合、事故により怪我をした方、死亡した方がおられます。
また、歩行者にあっては事故の衝撃で持ち物が壊れた、運転手にあっては車やバイクが損傷した、といった金銭的な被害を受けることがあります。
この場合、加害者側が被害者側にその損害を補償する必要があります。

自動車やバイク等を運転する場合、自動車損害賠償責任保険(通称、自賠責)に加入することが義務付けられています。
もっとも、自賠責の場合は補償の金額に上限があるため、任意保険に加入して対人・対物無制限にする等、予め対応されている方もおられるでしょう。

・行政上の責任
刑事上の責任、民事上の責任に加え、人身事故を起こした場合には行政上の責任を負うことにもなります。
御案内のとおり、自動車やバイクを運転する場合には運転免許が必要となるところ、交通違反や事故を起こした場合には反則点数が加点され、一定以上の点数に達した場合には免許停止や取消といった処分を受けることになります。
人身事故については、不注意の程度と被害者の怪我の程度により、加点される点数が異なります。
免許停止や免許取消といった行政処分は刑事事件のような裁判は行われず淡々と手続きが行われて通知書が届きますが、90日以上の免許停止や免許取消といった行政処分を受ける場合、聴聞(意見の聴取)という手続が行われ、弁明をする機会が与えられます。

また、乍ら運転や一時停止義務違反などの交通違反については、反則金を納付する必要があります。

【人身事故での弁護活動】

結論から申し上げると、人身事故を起こしてしまった場合、起訴される前に弁護士に相談をすることをお勧めします。
任意保険に加入しているから問題ないとお考えの方は多いですが、刑事事件のケアまでを行う保険会社(契約内容)は極めて少ないです。
そのため、刑事事件について弁護士に依頼し、被害者に対して謝罪と賠償を行い、「被害者としては被疑者(加害者)の処罰を求めない」という内容の示談書を締結することが有効です。

Aさんのように起訴されてから弁護を依頼される方の場合、刑事裁判にてAさんが反省していることや被害者への賠償が済んでいること、二度と同じような事故を起こさないよう車を廃車にした、等の諸事情を裁判官に対して主張し、執行猶予を求める、あるいは減刑を求める弁護活動が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、人身事故などの刑事事件を数多く解決して来た実績があります。
神奈川県伊勢原市内にて、人身事故で捜査を受けている、あるいは起訴されてしまったという場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合、弁護士による初回接見サービスを行います。(有料)

【解決事例】少年の盗撮事件で高校対応

2022-10-03

【解決事例】少年の盗撮事件で高校対応

少年が盗撮事件を起こしたものの審判で不処分になったという事例で、弁護士が行った高校(学校)対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県鎌倉市在住のAさんは、事件当時、神奈川県内の高校に通う17歳の高校生でした。
Aさんは休日、鎌倉市内の商業施設で、エスカレーターのすぐ前に立っていた女性のスカート内にスマートフォンのカメラを差し向けるかたちで盗撮行為を行ってしまいましたが、警備員がその様子を目撃していて警察署に通報しました。
通報を受けて臨場した鎌倉市を管轄する大船警察署の警察官は、Aさんを在宅で捜査することにしましたが、その際にAさんが通う学校にAさんの事件の連絡がなされました。
Aさんの家族は、被害者に申し訳ないという思いとともに、Aさんの少年事件としての手続きがどうなるのか、また、学校の処分はどうなるのか、不安になり弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談を受けたのち御契約となりました。

弁護士は、少年事件での手続きでの対応に加え、高校への対応を行った結果、Aさんは不処分となり、高校にも在籍し続けることができました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【神奈川県でのスカート内盗撮事件について】

Aさんは神奈川県鎌倉市の商業施設、つまり公共の場所で、女性のスカート内を撮影するいわゆる盗撮行為を行いました。
この場合、神奈川県迷惑行為防止条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。

神奈川県迷惑行為防止条例3条 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
1項2号 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
同15条1項 第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

【少年事件で高校・学校対応】

少年事件を担当する弁護士にとって重要な弁護活動・付添人活動のひとつに、高校等の学校対応が挙げられます。

まず、神奈川県の教育委員会と神奈川県警察本部とは、学校警察連携制度により連携を図っています。
これは、公立の高校・中等教育学校(いわゆる中高一貫校)・特別支援学校が対象で、学校内で起こした非行を高校等から警察に、学外で少年事件を起こした場合に警察から高校等に、それぞれ連絡をするものです。

次に、仮に捜査段階で警察から高校等に連絡が行かなかった場合でも、家庭裁判所送致後の裁判所調査官による調査で学校照会が行われ、高校側に連絡が行く可能性があります。

いずれのかたちであっても、高校等が在学生の事件を承知した場合、処分する可能性があります。
処分は反省文の提出・一定期間の停学・休学・教室外登校など様々な方法が考えられますが、場合によっては退学処分を受けたり、退学勧告を受けたりして在籍できなくなる恐れもあります。

弁護士は、学校側に対して少年事件の手続きを一から丁寧に説明するとともに、少年に対する寛大な処分を求める主張をしていく必要があります。
状況によっては、処分に対する抗議を行ったり、地位の確認を求める訴訟の提起なども考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件だけでなく、少年事件も扱う弁護士事務所です。
少年事件では、学校対応等の成人の刑事事件には必要ない弁護活動・付添人活動が求められるため、時間をかけてしっかりと取り組む必要があります。
神奈川県鎌倉市にて、高校生のお子さんが盗撮事件などを起こしてしまい少年事件に発展し、学校対応が必要な場合、早期に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。
お子さんが逮捕されている場合には≪初回接見≫を行います。

【解決事例】恐喝事件で保護観察処分

2022-09-30

【解決事例】恐喝事件で保護観察処分

恐喝で問題となる罪と、保護処分の一種である保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横須賀市在住のAさんは、事件当時、横須賀市内の高校に通う高校1年生でした。
事件当日、Aさんは同級生Vさんに対して、怪我をさせない程度の暴力を振るい現金を要求し、実際に受け取りました。
後日、横須賀市内を管轄する田浦警察署の警察官は、Aさんを恐喝罪で通常逮捕しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【恐喝事件について】

現代では恐喝という言葉はなじみが薄いという方もおられるかもしれません。
恐喝罪の条文は以下のとおりです。

刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝罪は、他人に対して暴行や脅迫などを用いて被害者を脅し、その結果被害者の財物(財産的価値があるものを意味し、必ずしも現金である必要はありません。)を交付させた場合に成立します。

令和3年版の犯罪白書によると、令和2年における恐喝事件の検挙人員は1,515人でした。
統計を見ると、平成14年以降は減少傾向にあります。
少年事件に関していうと、検挙人員は395人でした。

【保護観察処分とは】

今回のAさんは、事件当時20歳未満だったため少年法のいう「少年」に該当します。(少年法2条1項)
より具体的に言うと、罪を犯した14歳以上の少年に該当するため、犯罪少年に該当します。

犯罪少年については、まずは捜査機関による捜査が行われます。
これは成人の刑事事件と同様で、捜査機関は必要に応じて逮捕・勾留することもできます。
(勾留に代わる観護措置という手続きもありますが、神奈川県ではそう多くない印象です。)

次に、捜査が終了した時点、あるいは勾留期間満了を迎えた時点で、少年は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、少年が犯罪に至った経緯について調べるため、家庭裁判所調査官による調査が行われます。
調査は、少年の学校での成績や態度のほか、少年本人や少年の保護者との面談などのかたちで行われます。
また、少年鑑別所という施設で一定期間生活し、その生活態度を確認したり心理検査を行うという観護措置の決定を受けることもあります(観護措置は在宅で行われる場合もありますが、原則として少年鑑別所で生活することになります。)。

家庭裁判所調査官による調査が終わった後、家庭裁判所の裁判官は審判を行う必要があるかどうか判断します。
少年に保護処分が必要でないと判断した場合、審判不開始の決定が行われ、手続きは終了します。
※以下で記載する%の数字は令和3年犯罪白書による、家庭裁判所で終局処理した少年【43,872人】をもとにした割合です。
審判不開始となった少年は約45%でした。
また、≪特定少年≫を含め、一定以上の重大事件については、少年に保護処分を課すのではなく刑事処罰を科す必要がある事案として、検察官送致(いわゆる逆送)されます。
逆送は約6%でした。

反対に、裁判官が少年に保護処分が必要であると判断した場合、審判が行われます。
審判は、成人の刑事事件とは違い、非公開の審判廷で行われ、事実認定などの手続きは緩やかであり、主として少年の再犯防止のためにどのような保護処分が行われるべきか検討されます。
裁判官は、調査を行った調査官意見書、少年鑑別所に送致された場合の鑑別所意見書、及び審判廷での少年の受け答えを踏まえ、少年に対する保護処分(あるいは児童相談所長送致)を検討します。
保護処分には、
・少年院送致
保護観察処分
・児童自立支援施設送致
があります。
また、審判が行われるまでに家庭環境が調整され、少年の内省が深まっている場合には、保護処分をしない不処分の判断を下すこともできます。(約18%)

保護観察処分について、割合としては約28%で、保護処分のなかでは最も高い数字です。
保護観察処分を言い渡された少年は、原則として20歳に達するまでの期間を保護観察期間と定められ、遵守事項を定められます。
遵守事項には、再び罪を起こさないことは勿論のこと、保護司(あるいは保護観察官)の面談を受けること、生活実態に関する資料の提出といったものがあるほか、特別遵守事項として性依存症などの処遇プログラムを受ける等、事案に即したルールが設けられます。
このルールに違反した場合、少年は少年院や刑務所に送致される場合があります。

保護観察処分は、他の保護処分と異なり、通常の社会生活を行いながら更生を図る制度であり、少年にとって負担が少ないと言えます。
しかし、保護観察処分に付するためには社会内で家族などの監督体制が整っていることが重要です。
今回の事例では、Aさんが事件について内省を深めていて、Aさんの保護者はAさんが二度と再犯に走らないための監督を約束していて、Aさんが保護者と良好な関係を築いているということを主張し、保護観察処分に至りました。

神奈川県横須賀市にて、お子さんが恐喝などの事件で逮捕されてしまい、保護観察処分を含めた終局処分の見通しについて知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が初回接見を行い、お子さんから事情を聞いたうえで今後の手続きや見通しについて御説明します。(有料)

【解決事例】盗難車で事故を起こし執行猶予判決

2022-09-27

【解決事例】盗難車で事故を起こし執行猶予判決

自動車を盗難したいわゆる盗難車で事故を起こしたものの執行猶予判決を言い渡されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市南区在住のAさんは、家庭内でのもめごとをきっかけに家を飛び出した際、体調が悪くなってしまいました。
スマートフォンや現金を持っていなかったAさんは、近くに停車中の他人Vさんの車に無断で乗り込み、その盗難車を運転して病院に向かおうとしましたが、電柱に衝突する自損事故(物損事故)を起こしてしまいました。
事故の目撃者が110番通報し、通報を受けて臨場した横浜市南区を管轄する南警察署の警察官はAさんを自動車を盗んだ窃盗罪で現行犯逮捕しました。

弁護の依頼を受けた当事務所の弁護士は、接見でAさんが自動車盗をしたことや盗難車で走行して事故を起こしたことを認め、反省していることを確認しました。
そこで、Vさんに対し謝罪と賠償の意向を伝え示談交渉を進めるとともに、Aさんの釈放を求め裁判所に保釈請求を行いました。
結果的に、裁判が始まる前にVさんとの示談は成立し、起訴後すぐにAさんの保釈は認められました。
裁判で弁護士は、Vさんとの示談が整っていることのほか、Aさんが罪を認め反省していること、自動車盗の目的が病院に急いでいくことであり盗難車を自分の車としてその後も乗り続けたり転売したりする目的ではなかったこと等を主張した結果、Aさんは執行猶予付きの有罪判決を受けることになりました。

≪個人情報保護のため、事件地や一部内容を変えています。≫

【自動車盗で現行犯逮捕】

他人の車を盗む自動車盗の場合、窃盗罪が成立します。
条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

なお、Aさんは盗難車で自損事故(物損事故)を起こしているため、これが器物損壊にあたるのではないかと考える人がいるかもしれません。
しかし、Aさんは故意に盗難車を壊したわけではなく、過失により盗難車が損壊してしまったという状況ですので、故意に他人の物を損壊した場合に成立する器物損壊罪は適用されません。
人身事故の場合は過失により人を死傷させた場合に過失運転致死傷罪が適用されますが、自損事故(物損事故)についてはそのような条文が用意されていないため、Aさんには自動車盗による窃盗罪のみが適用されました。

【執行猶予を求めて弁護士に】

刑事事件で起訴された被告人は、公開の法廷で裁判を受け、裁判官は裁判での証拠を踏まえて被告人に対し有罪か無罪か、有罪だった場合にはどのような刑事罰を科すかを検討し言い渡します。
今回の解決事例は自動車盗ということで窃盗被告事件として裁判が行われました。
よって、裁判官は裁判での証拠に則り、「10年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」の範囲内で、刑事罰を科すことができます。

しかし、比較的軽微な事件であり、前科がない場合など一定の要件を満たした場合には、有罪ではあるがその執行を猶予することができます。
これを、執行猶予と言います。
執行猶予には一部執行猶予というものもありますが、一般的に執行猶予と言うと全部執行猶予を指します。)
全部執行猶予について、例えば「懲役1年6月、執行猶予3年」の判決が宣告された場合、本来であれば1年6月の間、刑事収容施設(いわゆる刑務所)に収容されます。
しかし、3年の間に再犯して有罪判決を受ける等しなければ、刑務所に収容されることはありません。
但し、その間に再犯事件で有罪判決を受けた等の場合、執行猶予は取り消されるため、1年6月の間(に加えて再犯事件で宣告された刑の日数分)刑務所に収容されます。

執行猶予判決を求める場合、弁護士は被告人にとって有利な事情を積極的に主張し、裁判官の理解を求める必要があります。
神奈川県横浜市南区にて、ご家族が自動車盗などの窃盗事件で逮捕され、執行猶予を目指したいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービスを御利用ください。(有料)
刑事事件を専門とする弁護士が逮捕・勾留されている被告人のもとに接見に行き、罪を認めているのか否認しているのか、余罪はあるのか等を確認し、執行猶予付き判決の可能性を探ってまいります。

【解決事例】窃盗事件で勾留も7日目で釈放

2022-09-21

【解決事例】窃盗事件で勾留も7日目で釈放

窃盗事件で逮捕・勾留されたものの、勾留決定から7日目で釈放されたという解決事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市神奈川区在住のAさんは、横浜市神奈川区の会社に勤める会社員です。
ある日、Aさんの家族がAさんと連絡が取れなくなってしまったことから、神奈川区内を管轄する神奈川警察署に捜索願を出そうとしたところ、警察官から「Aさんは警察署に居るので安心してください。どうしているのかは答えられません。」と言われました。
Aさんの家族はAさんが逮捕・勾留されているのかどうかすら分からず、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービスを利用されました。(有料)
依頼を受けた当事務所の弁護士は当日中に初回接見を行い、Aさんが住居侵入と窃盗の事件で勾留中であることが分かりました。
同日中に依頼を受けた弁護士は、すぐにAさんの担当検察官に弁護人として選任された旨を通知しました。
そして、検察官を通じて被害者に示談交渉に応じてくださる意向があるか、連絡先を弁護人限りで教えてもらえないか確認したところ、示談交渉に応じてくださり連絡先を教えてくださいました。
弁護士はすぐに連絡をしてAさんが反省していることを伝え、謝罪の意と賠償の意向があることを伝えました。
Vさんは数日間検討されましたが、示談に応じてくださることになったため、すぐに示談締結の日程を組みました。
なお、示談締結の前に、担当検察官に「この示談書に調印をしていただく予定です。」として予め示談書を提示したうえで、Vさんとの示談締結を行いました。
そしてすぐに担当検察官に示談締結が終わったことを伝えたところ、担当検察官は当日中にAさんの釈放を指示しました。
勾留期間は勾留請求の日から数えて10日間で、更に10日間の勾留延長を行うことができるのですが、Aさんは勾留請求の日から数えて7日間で釈放されることとなりました。
また、釈放された時点では処分保留でしたが、その後検察官はAさんを不起訴としました。

≪個人情報保護のため、事件地や一部内容を変えています。≫

【住居侵入罪・窃盗罪】

他人の住居に侵入するかたちで他人の物を窃取した場合、住居侵入罪と窃盗罪にあたります。
条文は以下のとおりです。

(住居侵入罪)
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【早期の釈放に向けて弁護士へ】

住居侵入罪と窃盗罪に問われるような事件では、他人の住居などに侵入して行う窃盗事件では、被害者宅を知っているという性質から、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕され勾留される可能性が高いです。
勾留は原則として10日間ですが、一度限り延長できるため、起訴されるまでに最大で20日間勾留されます。
担当検察官は勾留期間中に被疑者を起訴するかどうか判断しますが、起訴された場合には、その後も「起訴後勾留」というかたちで身柄拘束が続きます。
起訴後勾留となった場合、保釈が認められ保釈金が納付できなければ、判決言い渡しまで身柄拘束が続く恐れがあります。

起訴される前に勾留を回避する、あるいは勾留に対し釈放を求めるためには、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張し勾留をしないよう求める、あるいは勾留の取消や不服申し立てを行う必要があります。
釈放を求める弁護活動は、刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの早期釈放に向けた弁護活動を行ってきました。
神奈川県横浜市神奈川区にて、ご家族が住居侵入罪窃盗罪で逮捕され、早期の釈放を求める弁護活動を希望する場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービスをご利用ください。

【解決事例】喧嘩で刑事事件に発展した場合の示談交渉

2022-09-18

【解決事例】喧嘩で刑事事件に発展した場合の示談交渉

喧嘩で刑事事件に発展した場合に問題となる罪と、示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市金沢区在住のAさんは、横浜市金沢区内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは横浜市金沢区内の路上で通行人Vさんと肩がぶつかった―ぶつかっていないの口論に発展し、その後AさんはVさんの肩などを叩く暴行を加え、喧嘩に発展しました。
Aさんは怪我こそしていませんがVさんは軽傷を負っていました。
Vさんからの通報を受けて臨場した横浜市金沢区を管轄する金沢警察署の警察官は、Aさんを傷害罪で、Vさんを暴行罪で、それぞれ捜査しました。
警察署での取調べを終えたAさんは書類送検されたのち、担当検察官の取調べを受けた際、「弁護士を入れて示談する選択肢もありますよ。その場合、示談交渉の経過次第で終局処分を待ちます。」と言われ、当事務所の無料相談を受けて弁護を依頼されました。
依頼を受けた当事務所の弁護士は、検察官と交渉し、弁護士限りでVさんの連絡先を開示して頂くことが出来ました。
Vさんとの示談交渉の末、Vさんとの間で「本件示談の成立ののち双方は相手方の刑事処罰を求めない」旨の約定を設けた示談書の締結に至りました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【喧嘩で問題となる罪】

今回のAさんは、路上で見知らぬVさんとの間で些細なことで口論になり、喧嘩に発展しました。
喧嘩で問題となる罪には、以下のようなものが考えられます。

<暴行罪・傷害罪>
まず、相手に対する暴力行為では暴行罪・傷害罪が検討されます。
暴行罪は相手に対する不法な有形力の行使であり、暴行によって相手が怪我を負った場合には傷害罪が適用されます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

<殺人未遂罪・殺人罪>
暴行罪や傷害罪で収まらない場合の罪に、殺人未遂罪や殺人罪が挙げられます。
殺人罪は、喧嘩の結果相手を殺す、あるいは死ぬかもしれないという意思をもって相手に暴力行為を行うことで成立する罪です。
結果として被害者が死亡しなかった場合には殺人未遂罪が適用されます。

捜査機関としては殺人未遂罪や殺人罪には殺意の立証が必要です。
取調べで相手を殺す意思があったことを供述することや、客観的に見て相手が死んでしまうだろうと思われる行動(例えば、刃物を持ち出した、ゴルフクラブを持ち出した、相手の頭部を繰り返し殴った等)といった部分から評価されます。

<暴力行為処罰法違反>
もし喧嘩の際に刃物を持ち出した場合、暴力行為処罰法違反で検挙されることも考えられます。
これは、喧嘩の結果相手が死傷したか否かを問わず、成立する罪です。

暴力行為処罰法の条文は以下のとおりです。
非常に読み辛い内容ですが、「凶器を示し」て「刑法208条(=暴行罪)」「の罪を犯した」者に対して、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すると定めているのです。

暴力行為処罰法1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

<決闘罪>
事前通告をした上で戦いを行う、いわゆる決闘をした場合には「決闘罪ニ関スル件」に当たる可能性もあります。
ケースの場合、Aは決闘を挑んだうえ決闘を行っていたため、以下の条文は問題となります。

決闘罪ニ関スル件第一条 決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第二条 決闘ヲ行ヒタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス

【弁護士に示談交渉を依頼】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、Aさんのように「担当検察官から弁護士に依頼しての示談交渉を勧められた」という相談が日々寄せられます。
検察官の判断で、あるいは弁護士の交渉により、示談交渉の経過次第で起訴/不起訴の判断を待ってもらえる場合もあります。
神奈川県横浜市金沢区にて、路上で発生したトラブルで喧嘩に発展してしまい暴行罪や傷害罪で捜査を受けていて、示談交渉について知りたい、あるいは検察官に示談交渉を勧められた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。

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【解決事例】自転車事故で過失傷害

2022-09-15

【解決事例】自転車事故で過失傷害

自転車事故過失傷害事件に発展し保護観察処分を受けたという少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市磯子区在住のAさんは、横浜市内の高校に通う高校3年生でした。
事件当日、Aさんは横浜市磯子区内の歩道を自転車で走行していたところ、歩行者Vさんと接触してしまい、Vさんに骨折などの怪我をさせてしまいました。

Aさんの保護者は自転車事故に対応する保険に加入していたため、Vさんの治療費等についてはお支払することができました。
しかし、少年事件としては手続きが進められるため、Aさんは家庭裁判所での調査官面談を受けたのち、Aさんとその保護者は当事務所に依頼されました。

弁護士は、付添人という立場でAさんが反省していることや、保護者の監督が臨めること等を主張した結果、Aさんは保護観察処分を受けることになりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【自転車事故で過失傷害】

自転車は免許が不要で特に近距離を移動するうえでは便利な乗り物ですが、歩行者と接触した場合には被害者を死傷させてしまう恐れがある乗り物であるとも言えます。
道路交通法では、自転車は「車両」として定義されていて(道路交通法2条1項11号イ)、交通法規に従って走行する必要があります。

例えば車やバイクを走行中に事故を起こして被害者が死傷したという場合、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律により、過失運転致死傷罪として処罰されますが、この法律は車やバイクと言った自動車を対象としていて、自転車は対象となりません。

自転車の運転中に被害者を死傷させた場合は、刑法の定める過失傷害罪/過失致死罪または重過失致死傷罪が適用されます。
両者の違いは、過失の程度がどの程度だったか、により区別されます。
不注意で生じた事故であれば「過失」として、重大な過失により生じた事故であれば「重過失」として処理されます。
条文は以下のとおりです。

過失傷害罪)
刑法209条1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
(過失致死罪)
刑法210条 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
(重過失致死傷罪)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

【保護観察処分について】

少年事件(あるいは薬物事件など刑事事件の一部)では、少年院や児童自立支援施設といった施設内での処遇のほかに、保護観察処分という社会内処遇が設けられています。
保護観察処分が言い渡された場合、御自宅で通常どおりの生活を送り乍ら、指定された日に保護司面談を行ったり振り返りシートを作成したりする必要があります。
保護観察中は遵守事項が定められていて、それに違反した場合には改めて審判を受けることになり、施設内処遇を含めた保護処分が課されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、少年事件・刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所御弁護士は、これまで数多くの少年事件に携わってまいりました。
神奈川県横浜市磯子区にて、お子さんが自転車事故を起こして被害者が怪我をしてしまい、保護観察処分を含め保護処分の見通しについて知りたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。

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【解決事例】恐喝事件で接見禁止一部解除・不起訴へ

2022-09-12

【解決事例】恐喝事件で接見禁止一部解除・不起訴へ

恐喝事件を起こしてしまった場合の罪と接見禁止一部解除や不起訴へ向けた弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市中区在住のAさんは、横浜市中区にある会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは友人らと一緒に横浜市中区にあるコンビニエンスストアの駐車場で遊んでいたところ、友人の一人が見知らぬ男性Vさんと目が合ったことがきっかけで因縁をつけることになり、Aさんらは集団でVさんを囲み、「山に行ってもらうか金を支払うか選べ」と言い、現金1万円を受け取りました。
数日後、Aさんのもとに横浜市中区を管轄する山手警察署の警察官が来て、Aさんを恐喝罪で通常逮捕しました。
自宅でAさんの逮捕を目の当たりにしていたAさんの家族は、事件の内容すら分からない中、当事務所の初回接見を利用し事件の内容を把握されました。
その後弁護活動の依頼を受けた当事務所の弁護士は、
接見禁止が付いているAさんについて、家族が事件に関与していないことを主張し、Aさんの家族だけは接見禁止の例外として面会できるよう申請し、認容
②示談交渉により被害者に対する謝罪と弁済の実現
③共犯者と関わらないことの制約、示談締結などの状況を踏まえ不起訴の意見を述べ実現
といった弁護活動を行いました。
恐喝罪は罰金刑が設けられていないため、Aさんは起訴されて前科がつくだけでなく実刑判決を受ける可能性すらあった事件でしたが、無事不起訴となったことで、その後の生活への影響を最小限にとどめることができました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【恐喝事件について】

恐喝事件について、条文は以下のとおりです。

刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝とは、被害者やその家族に対する暴行や脅迫をすることで、金や物を交付させる場合に成立します。
今回Aさんたちが行った行為は、Vさんに対して金を払わなければ山に置き去りにされるのではないかと思わせる等脅迫し、1万円を支払わせたというものですので、恐喝罪が適用されます。

なお、恐喝罪に似た罪として強盗罪があります。
強盗罪は、暴行又は脅迫を用いる点では恐喝罪と同じですが、「他人の財物を強取」することで成立するという点で、被害者が自ら金や物を加害者に交付する恐喝罪とは異なります。
強盗罪の罰条は「5年以上の懲役」であり、最大で20年の懲役刑が科せられる恐れがあるため、恐喝罪が適用されるか強盗罪が適用されるかという点は極めて重要です。

【接見禁止一部解除について】

まず原則として、逮捕された被疑者との面会は認められていませんが、勾留されている被疑者に対しては、留置施設での面会が認められています。
面会は制限があるものの家族は勿論のこと友人などでも可能です。

但し、勾留に際し裁判官が検察官の請求を踏まえて、あるいは裁判官の判断で、職権で接見禁止の決定を下すことができます。
接見禁止が認められた場合、弁護士以外は(たとえ家族であっても)面会は認められていません。
今回のAさんの恐喝事件は、一緒に事件を起こしたといわゆる共犯者が複数人いました。
共犯者がいる事件では、面会を認めると口裏合わせの恐れがあるとして接見禁止がつく場合が一般的です。
(例えば、事件を起こし勾留されたAさんの面会を行ったXさんが、その後にYさんの面会を行い「Aさんが罪はすべてYさんが被るよう言っていた」と言ったら、その後Yさんが「事件は単独犯です。」などと言って、Aさんが罪を免れようとする恐れがあります。また、Aさんが「証拠になる○○を捨てておいて」と言ったのちXさんが証拠を破棄する恐れもあります。但し、一般の方の面会では警察官が立ち会いますので、このような単純な口裏合わせはできません。)

とはいえ、Aさんの家族の方は口裏合わせや証拠破棄などの証拠隠滅行為をしたいわけではなく、ただAさんの心身の状態が心配であり、制約があっても面会をしたいという意向でした。
そこで弁護士は、Aさんの家族が事件に関与しているわけではなく、証拠隠滅が疑われるようなことはしないと誓約していることを示した結果、裁判所はAさんの家族だけは接見禁止の例外として面会を認める、接見禁止一部解除の決定を下しました。

【不起訴へ向けた弁護活動】

恐喝罪は被害者に恐怖の念を抱かせ金などを出させる悪質な事件であり、厳しい刑事罰が科せられる恐れがあります。
恐喝罪には罰金刑や科料が設けられていないため、検察官が証拠を集め刑事罰を科すべき事案であると判断した場合、略式手続に附することはできず、必ず正式裁判になります。
刑事裁判では、家庭環境や事件の内容について不特定多数の傍聴人の前で話す必要があり、精神的な負担も大きいと考えられます。
そのため、不起訴に向けた弁護活動を求める方も多いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、今回の事例を含め恐喝事件で不起訴を獲得したという事例が少なからずございます。
神奈川県横浜市中区にて、ご家族が恐喝事件で逮捕され勾留されてしまい、接見禁止が付いてしまった場合に、接見禁止一部解除や不起訴に向けた弁護活動にはどのようなものがあるか知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービスをご利用ください。(有料)
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が逮捕・勾留されている方のもとに接見に伺い、事件の内容や余罪について丁寧に確認したうえで、経験に基づき今後の流れや見通しについてしっかりとご説明いたします。

【解決事例】トイレの盗撮事件で刑事事件化阻止

2022-09-06

【解決事例】トイレの盗撮事件で刑事事件化阻止

トイレの個室に小型カメラを設置した盗撮事件で刑事事件化阻止したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市中区在住の男性Aさんは、横浜市中区の会社に勤める会社員です。
Aさんは会社の女性用トイレに小型カメラを設置したところ、トイレ利用者によって小型カメラが発見され、会社内で問題となっていました。
Aさんは自ら自分が小型カメラを設置し盗撮してしまったことを認め、謝罪した後、刑事事件化を避けるべく当事務所の弁護士による相談を受け、弁護を依頼しました。

トイレにスマートフォンや小型カメラを設置するかたちでの盗撮事件の場合、被害者が多いことから示談交渉に難航する事案が少なくありません。
今回の事件では、トイレにカメラを設置された会社が代理人になってくれたため、会社を通じてのやり取りが行われました。
被害者の方が多いことから、お一人お一人の意向を確認し丁寧に対応していった結果、最終的に被害者の方全員が示談に応じてくださいました。
その結果、被害者全員が被害届を出さなかったことから、Aさんの事案は刑事事件化阻止というかたち解決しました。

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【トイレの盗撮】

今回のAさんの行為について確認すると、男性であるAさんは女性用のトイレに侵入し、小型カメラを設置して盗撮行為をしています。
この場合には、「女性用のトイレに侵入したこと」と「盗撮のためカメラを設置した」ことが問題となります。

①トイレに侵入した行為
まずトイレに侵入した行為について、これは建造物侵入罪が成立します。
条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

トイレは、建造物として評価されます。
盗撮をするために異性用のトイレに入る行為は、正当な理由とは言えませんので、建造物侵入罪が適用されます。

②トイレの個室にカメラを設置して盗撮する行為
次に、トイレの盗撮行為について検討します。
盗撮行為については、盗撮罪という罪はなく、
・各都道府県の定める迷惑防止条例に違反する場合は条例違反に
・迷惑防止条例に規定がない場合には軽犯罪法のいう「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」として軽犯罪法違反に
それぞれ該当します。

今回の事件は、神奈川県横浜市中区での事件ですが、神奈川県の迷惑防止条例では以下のとおり規定されているため、条例違反として処理されます。

神奈川県迷惑行為防止条例3条3項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

【盗撮事件での弁護活動で刑事事件化回避】

盗撮事件は被害者がいる事件ですので、被害者に対する謝罪と賠償を含めた示談締結が最も有効な弁護活動と言えます。
今回のAさんのように、刑事事件に発展する前に示談交渉を行い示談が成立した場合、刑事事件化を阻止することができる場合もあります。

とはいえ、盗撮の被害者やその家族の方の多くは、盗撮した被疑者に対し憎悪の念を抱いていて直接の接触を避けたいと考えるでしょう。
そこで、第三者で且つ法律の専門家である弁護士に弁護を依頼し、弁護士により丁寧な説明と示談交渉を行うことが重要です。

神奈川県横浜市中区にて、盗撮事件を起こしてしまい刑事事件化阻止したい、被害者に謝罪し示談交渉をしたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。

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