薬物事件での即決裁判手続
覚せい剤等を使用していた場合などの薬物事件での即決裁判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【ケース】
神奈川県川崎市中原区在住のAは、川崎市中原区内にある会社の役員です。
Aは友人に勧められたことがきっかけで覚せい剤を使用していましたが、売人の逮捕をきっかけに捜査が進められた結果、川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官により覚せい剤使用の嫌疑で逮捕されました。
Aは被疑事実を認めていて、早い段階で執行猶予付きの判決が言い渡されないか、初回接見に来た弁護士に相談しました。
刑事事件専門の弁護士は、即決裁判手続について説明しています。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【即決裁判手続とは】
即決裁判手続は、事案が明白であり、軽微で争いがなく、執行猶予が見込まれる事件について、速やかに公判期日を指定して、相当な方法により審理を行い、原則として即日に執行猶予判決を言い渡す手続です。
即決裁判手続は、2004年の刑事訴訟法改正により新設されました。
覚せい剤取締法違反事件の場合、自白しており、所持や使用のような比較的単純な事案では、即決裁判手続に付される可能性があります。
即決裁判手続の要件
1.事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれるなど。即決裁判手続で審理するのが相当と認められる事件であること。(刑事訴訟法350条の2第1項)
2.死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮にあたる罪ではないこと。(同法350条の2第1項但書)
3.被疑者の書面による同意があること。(同法350条の2第2項・3項)
4.被疑者に弁護人があるときは、弁護人の書面による同意があるか、少なくとも意見を留保していること。(同法350条の2第1項)
これらの要件を満たす場合、検察官による即決裁判手続の申立てが行われます。
【即決裁判手続のメリット】
即決裁判手続は、起訴からできるだけ早い時期に公判期日が指定され、原則として1回の審理で即日執行猶予判決が言い渡されます。
そのため、被告人にとっては、起訴後速やかに公判期日が開かれ、執行猶予判決となるメリットがあります。
つまり、
①通常の裁判よりも早く公判期日が開かれるので、事件が終了するまでの期間が短縮される。
②通常の裁判は、少なくとも、公判期日1回と判決期日1回が設けられるので、2回裁判所に足を運ばなければならないが、即日判決言い渡しだと1回だけで済む。
③必ず執行猶予判決が言い渡される。
ので、被告人にとっては有利な制度となっています。
このようなメリットがあるため、争いがなく執行猶予が確実に見込まれるような事件であれば、捜査段階で検察官に即決裁判の申し立てをするよう働きかけるのもよいでしょう。
しかし、即決裁判手続では、被告人の出頭義務が緩和され、検察官の冒頭陳述も省略され証拠調べも適当と認める方法で行われるなど、手続が簡略化されています。
また、即決裁判手続により審理でなされた判決については、事実誤認を理由とする控訴・上告ができません。
このような重大な効果が生じるため、即決裁判手続に付すには、被告人および弁護人の同意が必要とされています。
弁護人は、即決裁判手続の趣旨、審理手続、メリットおよびデメリットを十分に被告人に説明した上で、同意するか否かの判断をするよう適切なアドバイスをすることが求められます。
【薬物事件で弁護士へ】
薬物事件を起こし、即決裁判手続や執行猶予にならないかとお考えの方は、薬物事件を含めた刑事事件に精通する弁護士にしっかりご相談ください。
刑事事件に精通する弁護士は、捜査段階から、取り調べ対応についてのアドバイスや再犯防止に向けた取り組みなどを行い、即決裁判手続を申し立てるよう検察官に働きかけます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、薬物事件を含めた刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
神奈川県川崎市中原区にて、ご家族の方が覚せい剤を所持したことによる薬物事件の被疑者になっている場合で即決裁判手続について知りたいという方がおられましたら弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部(フリーダイヤル0120-631-881)にご連絡ください。
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