痴漢が準強制わいせつ罪で逮捕

痴漢が準強制わいせつ罪で逮捕

電車内で痴漢をした男性が、準強制わいせつ罪で逮捕された事件がありました。

東横線の電車内で女子大生の体を触った容疑 男を逮捕
Yahoo!ニュース(神奈川新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

~痴漢で成立する犯罪は?~

この事件は、東急東横線の電車内で、眠っていた18歳の女子大学生の下着内に手を入れて胸を触るなどした、というものです。
その様子を目撃していた男子大学生が、容疑者を取り押さえ、戸部警察署の警察官が現行犯逮捕するに至ったということのようです。

電車やバスなどで痴漢をした場合、①迷惑防止条例違反、②強制わいせつ罪、③準強制わいせつ罪などが成立する可能性があります。

一番多いのは、①迷惑防止条例違反でしょう。
神奈川県の条例を見てみます。

神奈川県迷惑行為防止条例
第3条1項
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。

罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
犯罪の中では比較的軽い刑罰が定められています。
服の上から身体を触ったといった場合には、この条文に違反したとして刑事責任を問われることになるでしょう。

しかし、一口に痴漢と言っても様々な犯行方法の事件があります。
下着の中に手を入れて直接体を触るといった、より悪質と言える事件では、②強制わいせつ罪に問われることもあります。

刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

罰則が、6ヵ月以上10年以下の懲役という重いものになっており、罰金で済む可能性もありません。

また、下着の中に手を入れて触るケースの中でも、今回のように相手が眠っている場合には、③準強制わいせつ罪という犯罪が成立することもあります。

刑法第178条
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

この準強制わいせつ罪というのは、睡眠・飲酒・薬物などの影響により、気を失わせたり抵抗できない状況にさせて、あるいは元から気を失っていたり抵抗できない状況にあることを利用して、わいせつな行為をした場合に成立します。
通常の強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いて無理やりわいせつ行為をした場合に成立するので、犯行方法が異なるわけです。

とはいえ、わいせつ行為をしたこと自体には違いがないので、罰則は176条の強制わいせつ罪と同じく、6ヵ月以上10年以下の懲役となります。

今回の事件では、被害者は電車で眠っており、気を失っている、抵抗できない状況にあったと言えます。
その被害者の下着の中に手を入れて身体を触ったので、準強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたわけです。

~お早めに弁護士にご相談を~

逮捕後の刑事手続きの流れについてはこちらをご覧ください。
刑事事件の流れ

痴漢などの犯罪で逮捕されると、ご本人もご家族も、どんな犯罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、いつ釈放されるのか、取調べではどう受け答えしたらよいのか、示談はどうやったらよいのか、報道されるのか、仕事・学校への影響など、わからないことも多いと思います。

事件内容に応じて、今後の見通しの説明やアドバイス致しますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

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