体液をかけて逮捕②暴行罪
体液をかけて逮捕された事件で、特に暴行罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
【事例】
神奈川県横浜市泉区在住の会社員Aは、ストレス発散を目的に、横浜市泉区にて通行中の歩行者Vに対してペットボトルを用いて自身の体液をかけたという事件です。
通報を受けて臨場した横浜市泉区を管轄する泉警察署の警察官は、Aを逮捕しました。
≪詳細は、前回のブログ「体液をかけて逮捕①器物損壊罪」をご参照ください。≫
(※令和2年4月14日YAHOO!ニュース配信記事を基にしたフィクションです。)
【体液をかけて暴行罪?】
前回のブログでは、体液を人にかけることで器物損壊罪の成立の可能性があるということを取り上げました。
今回は、器物損壊罪以外に成立する可能性のある犯罪について触れていきます。
Aがかけた体液がVの所持品や衣服ではなくVの身体にかかった場合には、暴行罪が成立する可能性があります。
刑法第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
前回取り上げた器物損壊罪同様、「人に体液をかける」という行為と暴行罪という犯罪名が結びつかないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、この暴行罪に関しても、一般にイメージされている「暴行」と、暴行罪のいう「暴行」に違いがあるのです。
暴行罪の「暴行」とは、他人の身体に対して不法な有形力の行使をすることを指します。
一般によくイメージされる、他人を殴ったり蹴ったりして直接的に暴力を振るうことももちろん暴行罪の「暴行」に当たります。
これに加えて、他人の身体に直接触れなくとも他人の身体に向けて不法な有形力の行使があればよいことから、例えば他人の身体に物を投げつけたりするような行為も暴行罪の「暴行」となりえます。
過去の裁判例では、他人に塩を数回振りかけたという行為が暴行罪に問われたケースで、「刑法第208条の暴行は、人の身体に対する不当な有形力の行使を言うものであるが、右の有形力の行使は、所論のように、必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受忍すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当するものと解すべき」とされ、塩を他人に振りかける行為が暴行罪の「暴行」に当たるとされました(福岡高判昭和46.10.11)。
このように暴行罪の「暴行」を考えると、体液を他人にかけるという行為でも暴行罪が成立する可能性があることがお分かりいただけると思います。
暴行罪は、器物損壊罪とは異なり親告罪ではありません。
そのため、被害者と示談ができたからといって必ずしも不起訴処分を獲得できるとは限りません。
しかし、被害者への謝罪・弁償ができているかどうか、被害者の処罰感情のおさまりがあるのかどうかといった事情は、起訴・不起訴を大きく左右します。
また、逮捕されてしまっているような場合には、釈放を求める弁護活動の際にも(被疑者にとって)有利な事情となりますから、器物損壊事件の際と同様に、刑事事件を専門とする弁護士に相談・依頼することが効果的でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕されているご家族の方に対し、1度に限り初回接見というサービスを提供しています。(有料)
初回接見では、逮捕されている方に詳細な事件の事情を伺った上で適当なアドバイスを行うほか、接見報告にて御依頼者様に今後の見通しなどについてご説明致します。
神奈川県横浜市泉区にて、体液をかけるなどした暴行事件でお困りの際は、遠慮なく弊所へお問い合わせください。
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