殺人未遂で逮捕

殺人未遂で逮捕

夫への殺人未遂で逮捕されたという事件がありました。

夫を殺害しようとした疑い 27歳の女を逮捕 神奈川県警
Yahoo!ニュース(産経新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

~ナイフで腹部を~

この事件は、口論をきっかけとして、妻が夫の腹部をナイフで刺したという事件です。
「妻に腹を刺された」という夫からの通報によって、救急隊と警察が駆け付けました。
夫は命に別条がないとのこと。
妻は殺人未遂の容疑で現行犯逮捕されています。

まずは、殺人未遂罪の条文を見てみましょう。

刑法
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

199条が殺人罪の条文です。
死刑の可能性もある犯罪です。

一方、203条が殺人未遂罪の条文です。
殺人罪と比べ、死刑の可能性がなくなったり、下限が2年半の懲役になるといった可能性があります。

~殺意を否定~

逮捕された妻は、「足をナイフで刺そうとしたが、酒に酔っていてバランスを崩し、腹を刺してしまった」などと供述し、殺意を否定しているとのこと。
本当に殺意がなかった場合には、傷害罪が成立することになります。

第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

最高で15年の懲役ですから、十分に重い犯罪ではありますが、殺人未遂罪に比べると軽くなります。

殺意があったかどうかは、当時の犯行者の内心ですから、他人が客観的に判断することはできません。
そこで、犯行者の供述の他、犯行方法などにより推測されることになります。

たとえば、ナイフが大きいほど殺意があったと判断されやすくなりますし、手足ではなく頭部や腹部など重要部分を指した場合の方が殺意があったと判断されやすくなります。

今回の事件では、妻の供述によると、足を刺そうとしたが、酒に酔っていたため、結果的に腹部を刺したとのこと。
この供述が本当なのかわかりませんが、なかなか判断が難しい事件と言えます。

~正当防衛の可能性も~

さらに今回は、妻の供述によると、口論になって夫に首を絞められたため、足をナイフで刺そうとしたとのこと。
これが本当であれば、正当防衛の可能性も出てきます。

第36条1項
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

正当防衛であれば、犯罪は成立しないということになります。

また、たしかに首を絞められたのでだから抵抗するのは当然だが、ナイフで刺すのはやりすぎということで、過剰防衛となるパターンもありえます。

同条2項
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

過剰防衛の場合は犯罪が成立することになりますが、刑罰が軽くなります。

正当防衛か過剰防衛かの判断は、細かい事情によって変わってきます。
今回の事件で、仮に本当に夫が首を絞めていた場合、命の危険もあったかもしれません。
さらに、一般的には男女間に体力差があります。
そう考えると、凶器を使っていない夫に対し、ナイフで応戦したとしてもやりすぎではなく、正当防衛で犯罪不成立となることもありえます。

~弁護士にご相談ください~

今回は殺人未遂という重い事件でしたが、ケンカなどの傷害事件でも、正当防衛が問題となったり、あるいは相手に謝罪・賠償して示談したいというケースもあるでしょう。

具体的にどうやって示談を進めたらいいのか、また、どんな刑事手続きが待っているのか、どれくらいの刑罰を受けそうかなど、分からないことが多いと思います。

事件の具体的な事情をもとに、今後の見通しをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

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