元林野庁職員が収賄で逮捕

元林野庁職員が収賄で逮捕

元林野庁職員が、収賄容疑で逮捕された事件がありました。

元林野庁職員を収賄容疑で逮捕 発注業者の契約違反見逃しの見返りに現金元林野庁職員を収賄容疑で逮捕 発注業者の契約違反見逃しの見返りに現金
Yahoo!ニュース(毎日新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

~成立する犯罪は?~

この事件は、静岡県にある林野庁関東森林管理局大井川治山センターの元所長が、公共事業を発注した業者の契約違反を黙認するなどの便宜を図った見返りに、現金40万円を受け取ったというものです。

元所長は収賄の容疑で逮捕されていますので、まずは収賄罪の条文を見てみましょう。

刑法第197条1項(収賄、受託収賄)
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。

今回の元所長は、色付けした部分に該当するとして逮捕されたわけです。
ただし、この条文には続きがあります。

この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。

この部分は受託収賄罪と呼ばれ、刑罰がより重くなっています。
職務に関して便宜を図るための具体的な行為をする依頼を受けて、賄賂の収受・要求・約束をしたような場合に成立します。

逆に1つ目の(単純)収賄罪は特定の行為、例えば将来的に優遇してもらうことを望んで金銭等を渡すような、よりフワッとした場合に成立する犯罪です。

今回の事件では、業者の契約違反を黙認するという特定の行為が問題となっているので、今後、受託収賄罪で裁かれるといった展開もあり得ます(逮捕容疑とは別の罪名で裁判をすることも可能です)。

さらに、加重収賄罪という犯罪もあります。

第197条の3第1項(加重収賄)
公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。

加重収賄罪は、公務員が単純収賄や受託収賄をした上で、実際に不正行為をしたり、相当な行為をしなかった場合に成立します。
刑罰は1年以上の有期懲役となっています。
有期懲役の上限は原則20年ですので、受託収賄罪よりも重くなっています。

元所長が、契約違反をした業者に対し賠償請求をしたり、今後の入札に参加させないなどの適切な行為をしなかったのであれば、加重収賄罪で裁かれるということも考えられます。

~賄賂を渡した側の罪は?~

賄賂を渡した側の人には、本来は贈賄罪が成立するはずです。

第198条
第百九十七条から第百九十七条の四までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。

しかし今回の事件では、すでに贈賄罪の時効が成立してしまっていることから、立件されない見通しとのことです。

時効までの期間は一律ではなく、重い犯罪ほど長く、軽い犯罪ほど短くなっています(刑事訴訟法250条参照。殺人など、時効がない犯罪もあります)。
贈賄罪は最高でも懲役3年であり、懲役5年以下の(単純)収賄罪よりも軽くなっていることから、時効期間も短くなっています(時効期間3年)
今回は間に合わなかったということになります。

なお、(単純)収賄罪と受託収賄罪の時効期間は5年、加重収賄罪の時効期間は10年となっています。

~弁護士にご相談ください~

贈収賄に限らず、あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり、取調べを受けると、今後逮捕されるのか、逮捕された場合はいつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのかなど、不安が大きいと思います。

事件内容に応じてアドバイスいたしますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

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