共犯事件で共謀の存否を争う

共犯事件で共謀の存否を争う

共犯事件で共謀の存否を争う場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,強盗事件共犯者として,神奈川県都築警察署により,強盗罪共犯(共謀共同正犯)の容疑で逮捕されてしまいました。
しかし,Aさんは,「実際に強盗を行ったのは友人のBやCであり,自分はただBとCに頼まれたから,BとCの強盗を手伝ってやっただけだ」と主張しています。
刑事事件例はフィクションです。)

【共犯の種類について】

共犯とは,2人以上で犯罪を行うことをいいます。
この共犯には,実行共同正犯(刑法60条),共謀共同正犯(刑法60条),教唆犯(刑法61条),幇助犯(刑法62条)の4種類あります。

刑法60条(実行共同正犯,共謀共謀正犯)
2人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする。

①実行共同正犯とは,共犯者が共謀を行い,ここでできた計画や役割の割振りに従って,共犯者全員がそれぞれ犯罪の一部を分担して実行することをいいます。
②共謀共同正犯とは,共犯者が共謀を行い,ここでできた計画や役割の割振りに従って,共犯者の一部が犯罪を実行することをいいます。

実行共同正犯,又は共謀共同正犯を犯した場合,たとえ犯罪の一部しか分担していない,又は,謀議にしか加わっていないとしても,他の共犯者の行った行為によって生じた結果についても連帯責任を負うことになります。

刑法61条1項(教唆犯)
人を教唆して犯罪を実行させた者には,正犯の刑を科する。

③教唆犯とは,他人をそそのかし,その他人に犯罪を犯すことを決心させ,犯罪を実行させることをいいます。
教唆犯を犯した場合,そそのかした他人が犯した犯罪の分だけ,教唆犯人も責任を負うことになります。

刑法62条1項(幇助犯)
正犯を幇助した者は,従犯とする。

④幇助犯とは,他人の犯罪の実行を援助し,容易に犯罪を実行させることをいいます。
幇助犯を犯した場合,援助した他人が犯した犯罪の刑を減軽した分だけ,幇助犯人も責任を負うことになります。

【共謀共同正犯について】

以下では,上記の共犯の種類のうち,②の共謀共同正犯という種類について解説します。

最高裁判所大法廷判決昭和33年5月28日
共同共謀正犯が成立するためには,2人以上の者が,特定の犯罪を行うため,共同意思の下に一体となってお互いに他人の行為を利用し,各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし,よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。

共同共謀正犯(共犯)の成立要件は,①共謀と,②その共謀に基づき,共犯者の一部の者が犯罪行為を行ったことです。
共謀共同正犯(共犯)の成立要件である①共謀とは,最高裁判所の判決が示す通り,「2人以上の者が,特定の犯罪を行うため,共同意思の下に一体となってお互いに他人の行為を利用し,各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議」のことをいいます。
より具体的には,特定の犯罪を自分の犯罪として実現させようという意識と,お互いの行為を利用し補い合う旨の意思の連絡があれば,共謀共同正犯(共犯)の成立要件である共謀が認定できると考えられています。

【共謀の存否を争う場合について】

刑事事件例のように,犯罪に加担したことは認めるが,それは自らの犯罪を実現しようとしていたわけではなく,単に他人の犯罪の実現を援助しようとしていただけだと主張する場合,共謀共同正犯(共犯)の共謀の存否を争うことになります。
もし,共謀共同正犯(共犯)の共謀が認定できなければ,犯罪行為を行わなかった共犯者は,共謀共同正犯(共犯)ではなく,幇助犯として扱われることになると考えられます。

共謀共同正犯(共犯)の共謀の存否を争う場合,重要となるポイントは,
・犯罪の実現に利害関係があったどうか,具体的には,財産の利益の分配を受けたかどうか
・謀議の結果,共犯者自らが犯罪を犯すことになった可能性はあったかどうか
・他の共犯者との関係はどのようなものであったか
などであり,このようなさまざまな事実から,共謀共同正犯(共犯)の共謀がなかったということを推理して認定していくことになると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
共犯事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

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