神奈川県三浦郡葉山町の公務執行妨害事件で略式手続
A(25歳男性・会社員)は、神奈川県三浦郡葉山町で行われた会社の忘年会に参加した際、上司のすすめでそれなりの量の酒を飲みました。
そのため、忘年会が終わった頃にはすっかり酔っており、自宅の最寄り駅で眠っていたところを警察官に発見されました。
その警察官に対し、Aは手に持っていた鞄を振り回したことから、Aは公務執行妨害罪の疑いで三浦郡葉山町を管轄する葉山警察署に逮捕されました。
Aと接見した弁護士は、おそらく略式手続により罰金で終わることを説明しました。
(フィクションです)
【公務執行妨害罪について】
刑法
第九十五条
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
公務執行妨害罪は、職務の執行に当たる公務員に対して、暴行や脅迫を加えた場合に成立する可能性のある罪です。
国または地方公共団体の事務を処理する公務員であれば広く対象となりますが、特に多いのは警察官や救急隊員に対する公務執行妨害罪です。
公務執行妨害罪における「暴行又は脅迫」は、間接的なものを含めて比較的軽微なものも含まれます。
そのため、上記事例で警察官らに怪我の危険がなかったとしても、Aには公務執行妨害罪が成立する余地はあると考えられます。
ちなみに、もしAの行為により警察官が負傷した場合、公務執行妨害罪と併せて傷害罪も成立することになります。
この場合にいずれか一方が他方に吸収されないのは、公務執行妨害罪が公務員の安全ではなく公務の遂行を直接に保護しているからだと考えられています。
もし公務執行妨害罪と傷害罪の両方が成立するとなると、その刑は当然ながら公務執行妨害罪のみが成立する場合より重くなるでしょう。
【略式手続とは何か】
公務執行妨害事件では、前科があったり暴行や脅迫の程度が著しかったりしない限り、数十万円の罰金で終了する可能性が高いです。
こうしたケースにおいて、検察官から略式手続による罰金刑を提案されることがあります。
略式手続とは、犯罪事実に争いのない比較的軽微な事件について、正式裁判を行わず書面審理のみで罰金を科す簡易な手続です。
略式手続が行えるのは100万円以下の罰金または科料を科す場合のみですが、裁判による物心両面での負担を回避できる点で特徴的です。
そのため、そうしたメリットを希望する被疑者としては、検察官による略式手続の申出に乗ることは十分考えられるでしょう。
他方、略式手続を選択すると、基本的に検察官が主張する犯罪事実に従う必要があるというデメリットがあります。
被害者や検察官の主張と食い違いがあり、特に無罪を目指す場合においては、こうしたデメリットが重大な影響をもたらすこともありえます。
略式命令を受けた日から14日以内であれば正式裁判を要求できますが、一応略式手続によると事実を争えなくなることは留意しておくとよいでしょう。
以上のように、略式手続はメリットとデメリットの両方が存在する少々難しい手続です。
もし不安なことがあれば、一度弁護士からアドバイスを受けておくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、略式手続のことも含めて刑事事件に関するあらゆるサポートを致します。
公務執行妨害罪についてもご相談いただいた実績がございますので、事件をご依頼いただければ充実した弁護活動をお約束できます。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(葉山警察署までの初回接見費用:39,900円)