神奈川県横浜市金沢区の居直り強盗で裁判
居直り強盗とはどのような罪なのか、裁判ではどのような弁護活動が考えられるか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市金沢区在住のAは、横浜市金沢区内の会社に勤める会社員です。
Aはギャンブルに負けて借金がかさんだことから、盗みを働くしかないと考えてしまいました。
そこで、Aは横浜市金沢区にある一軒家のV宅に行き、鍵を破壊して侵入して金目の物を物色していました。
そこに、仕事を終えたVが帰宅し、侵入していたAを見つけて「泥棒だ」と叫びました。
怖くなったAは、Vを殴りつけ、Vが持っていた財布入りの鞄を持ってV宅を出ました。
後日、Aは横浜市金沢区を管轄する金沢警察署の警察官に居直り強盗をしたことで通常逮捕されました。
(ケースの内容はフィクションです。)
【居直り強盗について】
夏目漱石の名著「こころ」には、「居直り強盗のごとく感ぜられたのです。」という一文があります。
つまり、居直り強盗という言葉を用いて、悪いことをしたにもかかわらず開き直って正当化するような言動や行動を表現しているのです。
そもそもの居直り強盗とは、窃盗をしようとしたところその現場を家主などに見られてしまい、その目撃者を脅したり、暴行を加えたりするような行為です。
居直り強盗と類似の罪として事後強盗罪があります。
・事後強盗罪…窃盗行為が終わって逃走をしようとした際に目撃者や制止しようとした者に対して暴行や脅迫を行う強盗
・居直り強盗…窃盗を目的とした物色の最中に目撃者や制止しようとした者に対して暴行や脅迫を行う強盗
以下で、ケースのように他人の家で窃盗をした場合に問題となる罪について検討します。
①住居侵入罪
まず、ケースのように他人の家に盗みをする目的で無断入室することは、住居侵入罪に当たる可能性があります。
住居侵入罪は正当な理由なく住居等に侵入する罪であり、窃盗目的での侵入は当然「正当な理由」に当たりません。
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
②建造物等損壊罪
住居侵入を目的に鍵を壊す行為は、器物損壊罪より重い建造物等損壊罪に当たる可能性があります。
刑法260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
③窃盗罪
家主などに見つかる前に物を盗んだ、あるいは目撃者に対して暴行・脅迫などをせずに逃走をした場合、窃盗罪が適用されます。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
④強盗罪
ケースのように、金目の物を物色しようとしている最中に家主などに見つかり、その目撃者に暴行や脅迫を加えたうえで物を盗んだ居直り強盗事件では、強盗罪が適用されます。
刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
【裁判での弁護活動について】
ケースのような居直り強盗事件では、逮捕・勾留されたのち、検察官によって起訴される可能性が極めて高いです。
起訴された場合、加害者は被告人という立場になり裁判が行われます。
居直り強盗事件の裁判では、通常住居侵入罪と強盗罪が牽連関係にあるとして、一番重い罪である強盗罪の法定刑の範囲(5年以上の有期懲役)で判決を言い渡されます。
強盗罪には罰金刑がなく、少なくとも5年は懲役刑に服することになるため通常は執行猶予も難しい罪です。(執行猶予は、3年以下の懲役刑・禁錮刑と罰金刑に対して付されます。)
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