覚せい剤の密輸を否認で控訴
自分では知らないうちに覚せい剤を密輸していた事件について,否認をしたにもかかわらず一審で有罪判決を受けて控訴するという事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市青葉区在住のAは,横浜市青葉区内にてアルバイトをしながら世界各国を巡ることを趣味としています。
Aが某国に渡航して観光をしていた際,某国の酒場にて知り合ったXという者と仲良くなりました。
XはAが日本に帰国する際,「実は日本にいる友人Yを宗教上のグッズを贈りたいのだが,某国の郵便事情では郵便が届かない可能性がある。」「宗教上の物だから中身は見ずに,できれば手渡しをするか,日本についてからYに郵送してほしい」と依頼されました。
Aは中身が食品や法禁物でないことを確認した上で,それをキャリーバッグに入れて日本に帰国しようとしました。
しかし,日本に着いたところ,横浜税関の職員に呼び止められ,キャリーバッグに覚せい剤が入っていることを指摘されました。
その後Aは,覚せい剤を密輸入した嫌疑で逮捕されました。
一審の裁判で,Aは所持していた物が覚せい剤であることを知らなかったことによる無罪を主張しましたが,実刑の判決を受けました。
そのためAは,控訴審に対応する弁護士を探しています。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【覚せい剤の密輸について】
我が国で平成30年に税関が摘発した違法薬物は1,493kgで,うち1,156kgが覚せい剤だったそうです。(財務省ホームページより)
ご案内のとおり,我が国では覚せい剤の所持・使用・密輸といった行為は禁止されています。
覚せい剤を密輸した場合に問題となる罪は以下のようなものがあります。
・覚せい剤取締法違反
覚せい剤を輸入する行為は,覚せい剤取締法に違反します。
覚せい剤取締法41条1項 覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者…は、一年以上の有期懲役に処する。
更に,覚せい剤を販売する等して利益を得る目的で輸入をしていた場合,営利目的輸入となり,罪が重くなります。
同41条2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
・関税法違反
我が国では,輸入が禁止されている物があり,それらの物を輸入(あるいは輸出)した場合には関税法違反に当たります。
関税法で禁止されている物には,銃砲類や爆発物,偽造紙幣やクレジットカード,児童ポルノ等があります。
覚せい剤も関税法で輸入が禁止されている物の一つですので(69条の11第1項1号),覚せい剤の輸入は関税法違反にあたることも考えられます。
関税法109条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号まで…に掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【控訴を求めて弁護士に依頼】
ケースのAは,一審で実刑判決を受けていますが,自身は否認をしています。
このように,被告人又は検察官の側に不服があった場合,控訴する必要があります。
控訴は全国8か所にある高等裁判所で行われます。
控訴はどのような場合でも行えるのではなく,一審にて①法令の適用に誤りが生じた場合,②判決に理由が附されていない,③量刑(刑罰の重さ)が不当,④理由に食い違いがある,⑤事実誤認,などと一定の理由がなければ公訴することが出来ません。
ケースについては無罪を主張しているため,⑤を理由に控訴することが考えられます。
控訴は一審の判決言渡しから14日以内に行う必要があります。
そのため,早期に刑事事件を専門とする弁護士に依頼をすることをお勧めします。
ケースのように,ご家族の方が知らずに覚せい剤を密輸入させられた結果覚せい剤取締法違反や関税法違反で有罪判決を受け,控訴したいという場合には,あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡下さい。
ご連絡先:0120-631-881