【解決事例】睡眠薬を飲ませてわいせつ行為

【解決事例】睡眠薬を飲ませてわいせつ行為

睡眠薬を飲ませて眠らせたうえでわいせつ行為をしたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県相模原市中央区在住のAさんは、相模原市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは出会い系サイトを通じて知り合った相手に対し、相模原市中央区の自宅で飲食するよう促し、その飲み物に睡眠薬を混入して被害者を眠らせ、その隙にわいせつ行為をするという事件を複数回起こしていました。

被害者のうち1名は事件当時の記憶があったことから、事件後に相模原市中央区を管轄する相模原警察署に被害届を出したため事件が発覚し、Aさんは逮捕されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【被害者に睡眠薬を飲ませる行為】

まず、Aさんは被害者に対して飲み物に睡眠薬を入れるという方法で飲ませ、被害者を眠らせました。
この行為は、傷害罪に当たると考えられます。

刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪というと被害者を殴る蹴るといった「暴行」を加えて「怪我をさせる」ようなイメージを抱きがちですが、傷害罪のいう傷害は「被害者の生理的機能を障害する行為」と判断する考え方が一般的です。
睡眠薬を飲ませる行為は、その量によっては後遺症が残るなどの怪我を負わせるような行為ではないと考えられますが、睡眠薬によって被害者の脳の活動を抑制させることになり、生理的機能を障害したといえるため、傷害罪に当たります。

【睡眠に乗じたわいせつ行為】

次に、Aさんは被害者の睡眠に乗じてわいせつ行為をしています。
このように、被害者の睡眠に乗じてわいせつ行為をした場合には準強制わいせつ罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

(準強制わいせつ)
刑法178条1項 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
(強制わいせつ)
刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪は、どちらもわいせつな行為をした場合に成立しますが、強制わいせつ罪の場合は(被害者が13歳以上の場合)「暴行又は脅迫を用い」ることで成立しますが、準強制わいせつ罪は「心神喪失若しくは抗拒不能」に乗じたりさせたりした場合に成立します。

準強制わいせつ罪の場合、例えば以下のような場合が考えられます。
・眠っている被害者に対してわいせつ行為をする
・酒に酔った被害者に対してわいせつ行為をする
・医師や整体師などが「医療等の行為である」と被害者に誤信させてわいせつ行為をする
・知的障碍などをお持ちの被害者に対してわいせつ行為をする

準強制わいせつ罪というと、強制わいせつ罪より軽いような印象を受けますが、法定刑は同じですし、むしろ被害者が抵抗できない中でわいせつな行為をしているという点で悪質な犯罪であると評価され、厳しい刑事罰が科せられる恐れがあります。

【睡眠薬を飲ませてわいせつ行為をする】

例えば、眠っている人や酔っている人に対してわいせつ行為をする場合には強制わいせつ罪が適用されますが、Aさんのように睡眠薬を飲ませて眠った被害者に対してわいせつ行為を行う場合、準強制わいせつ致傷罪の適用も考えられます。

(強制わいせつ致傷等)
刑法181条1項 第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

準強制わいせつ致傷罪の場合、法定刑は
・無期懲役
・3年以上20年以下の懲役
のいずれかです。

今回のAさんの事件は、被害者が複数名いて、且つ態様が悪質であるとして実刑判決が言い渡される可能性がある事案でしたが、裁判では「懲役3年、執行猶予5年」とギリギリで実刑判決を回避することができました。

神奈川県相模原市中央区にて、ご家族が被害者に睡眠薬を飲ませてわいせつ行為をしたことで逮捕された場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
まずは弁護士が逮捕・勾留されている方のもとへ接見に行く、有料の初回接見サービスをご案内致します。

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