児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件
児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県横浜市旭区に住むAさんは,同区に住むVさん(15歳の女子高校生)に対して,Vさんが18歳未満であると知りながら,裸などの画像を撮影させ、会員制交流サイト(SNS)を通じて自分に送信させました。
Aさんは,神奈川県旭警察署の警察官により,児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)の容疑で逮捕されました。
(2020年7月30日に中国新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【児童ポルノ製造にはどんな類型があるのか】
児童ポルノ製造の類型には4種類あります。
児童ポルノ禁止法7条3項
前項に掲げる行為(注:児童ポルノの提供)の目的で,児童ポルノを製造し,…た者も,同項と同様とする(注:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する)。
1つ目は,児童ポルノを提供する目的で,児童ポルノを製造する場合です。
児童ポルノ禁止法7条4項
前項に規定するもののほか,児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより,当該児童に係る児童ポルノを製造した者も,第2項と同様とする(注:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する)。
2つ目は,児童に法定の姿態(後述)をとらせ,その姿態を写真等に描写することにより,児童ポルノを製造する場合です。
この児童ポルノ禁止法7条4項の「姿態をとらせ」る行為とは,被疑者の方の言動等により,被害者の方(児童)が姿態をとるに至ったことをいい,強制を要しないと考えられています。
この2つ目の児童ポルノ製造の類型は,被疑者の方の注文に応じて児童に姿態を取らせ,写真等を撮って送らせる行為であると考えることができます。
なお,「姿態」とは,①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの,③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものをいいます(児童ポルノ禁止法2条3項)。
児童ポルノ禁止法7条5項
前2項に規定するもののほか,ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより,当該児童に係る児童ポルノを製造した者も,第2項と同様とする(注:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する)。
3つ目は,ひそかに児童の姿態を写真等に描写することにより,児童ポルノを製造する場合です。
この児童ポルノ禁止法7条5項の「ひそかに」とは,被害者の方(児童)に知られないようにすることをいうと考えられています。
児童ポルノ禁止法7条7項
前項に掲げる行為の目的(児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し,又は公然と陳列する目的)で,児童ポルノを製造し…た者も,同項と同様とする(注:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する)。
4つ目は,児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し,又は公然と陳列する目的で,児童ポルノを製造する場合です。
【刑事事件例の児童ポルノ製造はどの類型か】
刑事事件例では,Aさんは,Vさんに裸などの画像を撮影させ、会員制交流サイト(SNS)を通じて自分に送信させています。
上記の児童ポルノ製造の類型の中では,2つ目の類型である,児童に法定の姿態をとらせ,その姿態を写真等に描写することにより,児童ポルノを製造する場合に当たります。
よって,Aさんには,児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)として,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されることになります。
【児童ポルノ製造事件を起こしたらどうなるのか】
児童ポルノ製造事件を起こしてしまった場合,児童ポルノ製造事件の被疑者の方はどうなるのでしょうか。
この点,前科などがない場合,執行猶予が付いた判決や罰金処分を得られる可能性があります。
執行猶予の付いた判決や罰金処分を得られた場合,実刑として刑務所へ収容されることはありません。
そして,執行猶予の付いた判決や罰金処分を獲得する可能性を高めるためには,児童ポルノ製造事件の被害者の方(児童)との示談をまとめたり,児童ポルノ製造事件の被疑者の方が反省していることを裁判所や検察官にしっかりと示していったりすることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件に関する経験豊富な刑事弁護士が在籍しています。
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