痴漢事件~強制わいせつと迷惑行為防止条例違反~
【ケース】
神奈川県座間市在住のAは、座間市内の会社に勤める会社員です。
Aは座間市内で通勤のため列車に乗ってたところ、自分の前に好みのタイプの女性が立っていました。
Aは性欲に負けてしまい、女性のスカートの上から、その臀部(お尻)をなでたところ、Vは抵抗しなかったため、更にそのスカート内に手を差し入れ、下着越しにその臀部全体を撫でまわしました。
しかしAはVに手をつかまれ、神奈川県座間市内にある駅に下車させられました。
その後、Aは駅員の通報を受けて臨場した座間市内を管轄する座間警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです。)
【強制わいせつと迷惑行為防止条例違反について】
痴漢をした場合に成立する犯罪として、一般的なイメージとして各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反が挙げられますが、その態様によっては、強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
強制わいせつ罪について
強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をする、あるいは、13歳未満の者に対し、わいせつな行為をすることによって成立する犯罪です。(刑法176条)
この場合の「暴行・脅迫の程度」は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度でよいとされています。
この点、強制性交等罪における暴行・脅迫は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものが必要となりますが、強制わいせつ罪は、その程度に至らなくとも犯行が可能であり、力の大小強弱は必ずしも問われず、被害者の意思に反してわいせつ行為を行う程度のもので足ります。
わいせつな行為は、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為をいいます。
例えば、陰部を手で触れる、陰部を手指でもてあそぶ、自己の陰部を強く押し当てる、女性の乳房をもてあそぶ、女性の意思に反して強いて接吻するなどは、わいせつ行為に該当します。
他方、単なる抱擁は、わいせつ行為には該当しません。(但し、暴行罪等が成立する可能性があります。)
また、女性の臀部をなでる行為は、その態様によってわいせつ行為に該当する場合としない場合とがあります。
【痴漢行為が強制わいせつ罪に該当する場合】
強制わいせつ罪と迷惑行為防止条例違反の区別は、相手方の性的自由を侵害する程度に至っているか否か、つまり、その対象となる部位や態様の執拗さや程度によって判断されます。
相手方の陰部に触れる行為は、一般的に、強制わいせつに該当します。
しかし、相手方の臀部に触れる行為は、その態様の執拗さや程度によって異なります。
厚手の着衣の上から臀部をなでる行為は、一般的に、その接触の程度などからして、わいせつ行為には至っておらず、条例違反にとどまる傾向にあります。
しかし、下着の上から、または、直接臀部をなでる行為は、一般的に、その接触の程度などからわいせつ行為となる傾向があります。
このことから、上のケースを検討してみると、Aは女性のスカートの上から、その臀部をなでたところ、女性が抵抗しなかったことをいいことに、次は、そのスカートの中に手を差し入れて、下着越しに女性の臀部全体を撫でまわしていることから、Aの行為はわいせつ行為に該当し、強制わいせつ罪の罪責を負う可能性があります。
他方で、Aが女性のスカート内に手を差し入れ、下着越しにその臀部に手を触れた程度であった場合は、Aの行為はわいせつ行為に至っておらず、強制わいせつ罪ではなく、迷惑行為防止条例違反の罪責を負うにとどまるでしょう。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役です。
迷惑防止条例違反の場合と比べると、刑罰は重く、罰金刑もありませんので、起訴された場合には公判が開かれることになります。
自身の痴漢行為が、迷惑防止条例違反にとどまるのか、強制わいせつ罪となるのか明白でない場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談するのがよいでしょう。
また、痴漢行為のように被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かが起訴・不起訴の判断に大きく影響します。
神奈川県座間市にて、ご自身やご家族の方が痴漢行為をしてしまい、強制わいせつになるのか迷惑行為防止条例違反にあたるのかお知りになりたい場合は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
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