Archive for the ‘暴力事件’ Category

未成年者誘拐罪で逮捕

2020-09-22

未成年者誘拐罪で逮捕

9歳の女の子が誘拐された事件がありました。

横浜・小4誘拐「家に帰さない」 容疑者、女児を脅迫か
Yahoo!ニュース(神奈川新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

~未成年者誘拐罪~

この事件は38歳男性が、横浜市内に住む9歳の女の子を、同市内の路上で車に乗せて誘拐したというものです。
2人はオンラインゲームのチャット機能を用いて知り合ったとのことです。

男性は、2日半後に女の子と一緒に自宅から出掛けようとしたところを現行犯逮捕されました。

今回、逮捕容疑となった未成年者誘拐罪の条文を見てみましょう。

刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

この条文にある「略取」とは、暴行や脅迫をして無理やり未成年者を連れ去ることをいいます。
一方、「誘拐」とは、だましたり誘惑したりという手段を使って、未成年者を連れ去ることを言います。

今回の事件では、女の子を連れ去る際に、女の子の手足を縛るといった行為をしたという報道も一部でなされています。
しかし、事前に2人がインターネットを通じて知り合っており、車に乗せて連れ去る際に暴行・脅迫に当たるような手荒な行為はしていない可能性もあったことから、未成年者誘拐罪での逮捕となったと思われます。

~監禁罪も成立する可能性~

さらに男性は、自宅に女の子を連れ込んだ後、
「家に帰さない」
「静かにしろ」
などと脅すような発言をしていたという報道も出ています。

誘拐から保護までが2日半という長い時間であったことなどから考えても、未成年者誘拐罪とは別に、監禁罪も成立する可能性があります。

刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

この条文でいう「逮捕」とは、犯人を警察が逮捕するということではなく、人をロープで縛ったりして直接的に拘束することを言います。
一方、「監禁」とは、「逮捕」よりは間接的に、すなわち人を部屋に閉じ込めるなど一定の空間内に人を拘束することをいいます。

今回の事件では、家に帰りたがっていた女の子を上記の脅し文句を使ったり、あるいは常に監視を続けていたり、鍵をかけて簡単には部屋から出られないようにしたといった事情があれば、男性宅という一定の空間から出られないようにしたとして、監禁罪でも裁判にかけられる可能性があるでしょう。

未成年者誘拐罪と監禁罪はどちらも3か月以上7年以下の懲役です。
この両方で裁判にかけられて有罪となれば、懲役の上限が1.5倍となり、3か月以上10年6か月以下の懲役の範囲内で処罰されることになります。

~犯罪をしたら弁護士にご相談を~

逮捕された後の手続きはこちらをご覧ください。
刑事事件の流れ

今回のように広く世間を騒がせるような事件ではなくても、何らかの犯罪をしたとして、あなたやあなたのご家族が逮捕されたり、警察の取調べを受けるという場合、どんな罪が成立するのか、いつ釈放されるのか、取調べではどうのように答えたらいいのか、示談はどうやってするのか、どのくらいの処罰を受けるのかなど、分からないことが多く不安だと思います。

当事者の方々にとって少しでも良い解決に向け、事件内容に応じてアドバイスいたしますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

子供を車内放置し逮捕

2020-09-08

子供を車内放置し逮捕

子供を自動車の中に放置し、熱中症で死亡させたという事件がありました。

車内で姉妹死亡 前日夜から2人を放置か…26歳の母親を逮捕 香川県警
Yahoo!ニュース(KSB瀬戸内海放送)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

~保護責任者遺棄致死罪などが成立~

夏の暑い時期。
毎年必ず報道される事件が、子供を自動車内に放置して熱中症となったという事件です。
今年も上記ニュースの事件など、いたたまれない事件が起きてしまいました。

真夏の車内はエアコンが消えてから10分もかからずに熱中症の危険がある気温まで上がることがあります。
また、エアコンをつけていたとしても、何らかの事情によりエアコンが切れ、閉じ込められた子供が死亡することもあります。

このような事故が起きた場合、子供を放置した親に成立しうる犯罪としては以下のようなものがあります。

①熱中症の危険があるような車内に子供を車内に放置した場合には保護責任者遺棄罪
②実際に熱中症となった場合には保護責任者遺棄致傷罪
③子供が死亡すれば保護責任者遺棄致死罪

それぞれ刑法の条文を見てみましょう。

第218条
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

218条には、①保護責任者遺棄罪が定められています。
罰則は条文にある通り、3ヵ月以上5年以下の懲役です。

一方、219条に②保護責任者遺棄致傷罪③保護責任者遺棄致死罪が定められています。
刑罰が明確に定められていませんが、②は3カ月以上15年以下の懲役③は3年以上の有期懲役(余罪がない限り上限は20年)となっています。

夏の自動車内への子どもの放置は命に関わることですので、非常に重い刑罰が科されるおそれがあるわけです。

~逮捕後の手続きの流れ~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、途中で釈放になることも考えられます。

その後、釈放の有無に関わらず、刑事裁判で処罰が決まるという流れになるでしょう。

弁護士としては、ご本人が反省していること、子供を亡くしてすでに深く傷付いていること、前科がない(少ない)こと、家族が監督していけることなど、ご本人に有利な事情をできる限り主張し、早期釈放や軽い判決が出ることを目指します。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり取調べを受けると、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのかなど、不安が大きいと思います。

事件内容に応じてアドバイスいたしますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

ナンパ断られ暴行し逮捕

2020-09-01

ナンパ断られ暴行し逮捕

人に砂をかけて暴行の容疑で逮捕されたという事件がありました。

「ナンパ断られたので」 海岸で女性に砂、消防士長を逮捕
Yahoo!ニュース(カナロコ by 神奈川新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

~暴行罪での逮捕~

この事件は、鎌倉市の由比ケ浜海岸で、男性が女性に砂をかけたとして暴行の容疑で逮捕されたというものです。
男性は、「ナンパを断られて砂をかけた」と供述しているとのことです。

暴力を振るって相手がケガをすれば傷害罪が問題となります。
しかし今回の女性はケガはしなかったのでしょう。
ケガをしなければ暴行罪が問題となります。

ここで暴行罪の条文を見てみましょう。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪でいう「暴行」とは、専門的には、人の身体に対する不法な有形力の行使を言うとされています。
今回の事件の男性は、直接相手を殴ったり蹴ったりしたわけではありませんが、人に砂をかけるのは「人の身体に対する不法な有形力の行使」に当たり、暴行罪が成立するわけです。

ちなみに、有形力の行使は相手の身体に直接当たらなくても、暴行罪が成立しうるとされています。
例えば、足元に向かって石を投げつけるなど、身体に危険が及ぶ可能性がある状態になれば、実際に石が当たらなかったとしても、暴行罪が成立する可能性があるのです。

~ナンパを断られて犯行をした類似の事件~

最近、このような事件もありました。

ナンパ断られ、女子大生に抱き付く 容疑の40歳無職逮捕
カナロコ by 神奈川新聞

この事件は、40歳の男性が、横浜市金沢区内の路上で、女子大学生に対し「一緒に飲みに行かない」などと声を掛け、断わられたところ抱きついたというものです。

砂をかけたのと違い、抱きつくという行為をしていることから、強制わいせつ罪での逮捕となっています。

刑法176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

暴行罪は一番重くても懲役2年でした。
しかし強制わいせつ罪は6か月以上10年以下の懲役ですから、だいぶ厳しい流れになることが予想されます。

~示談に向けて弁護士にご相談を~

逮捕された後の手続きはこちらをご覧ください。
刑事事件の流れ

上記のようなナンパに絡んだ事件に限らず、被害者のいる事件においては謝罪・賠償して示談を締結することが、その後の処分や裁判の結果に大きく影響してきます。
比較的軽い事件では今回は大目に見るということで不起訴処分となり、裁判を受けず、前科も付かずに事件が終わることもあります。

とはいえ被害者の方は、直接加害者あるいはそのご家族と会うことに抵抗を感じ、示談交渉してもらえない可能性もあります。
また、何と言って示談をお願いしたらよいか、示談金はいくらにしたら良いか、示談書の文言はどうしたらよいかなど、わからないことだらけだと思います。

より良い事件解決に向けてアドバイスいたしますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

殺人未遂で不起訴処分

2020-08-18

殺人未遂で不起訴処分

殺人未遂の容疑で逮捕された男性が不起訴処分となった事件がありました。

病院で男性職員を刀のようなもので刺した殺人未遂容疑…逮捕の59歳男性「不起訴処分」に
(東海テレビ)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

~条文上は死刑もありうる重い罪~

この事件は、愛知県刈谷市内の病院で、作業療法士の男性の腹を刀物のようなもので刺したとして、殺人未遂の容疑で逮捕されたというものです。
被害者の男性は、命に別状はなかったということです。

被害者が死亡しなかったということで、殺人罪に問われる可能性はありませんが、殺人未遂罪であっても、条文上は最高で死刑判決も出すことのできる重い犯罪です。

刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

たしかに、殺人未遂罪で死刑判決が出ることは実際は考えられませんが、通常は長期間の懲役刑となることが予想される犯罪です。

ところが今回は不起訴処分

前提として、犯罪をしたことが明らかな場合であっても、全ての容疑者が裁判にかけられるわけではありません。
様々な事情を考慮して不起訴処分、つまり今回は裁判にかけずに、おとがめなしとなることはあります(国が罰しないということであって、被害者への損害賠償義務は別途生じえます)。

裁判にかけるかかけないかの判断は、検察官が行います。
今回は名古屋地方検察庁の検察官が、不起訴処分としたのです。

~どんな場合に不起訴になるのか~

起訴するか不起訴とするか、検察官は様々な事情をもとに判断します。

たとえば、比較的軽い事件であるか、被害者に謝罪や賠償して示談が成立しているか、被害者の処罰感情の強さ、勤め先を解雇されるなど社会的制裁を受けているか、前科があるか、といった点が考慮されます。

性犯罪などでは、被害者が裁判の場で証言することは大きな負担であることから、謝罪・賠償して示談が成立しているといった事情があれば、不起訴処分となることもあります。

もちろん、そもそも犯罪が成立していないことがわかったという場合にも不起訴処分となります。

今回の事件では、不起訴とった理由を名古屋地検は明らかにしていないため、わかりません。
殺人未遂罪であれば、上記「比較的軽い事件」に当たりません。
また、仮に容疑者は殺すつもりまではなかったのであれば殺人未遂罪こそ成立しないものの、傷害罪の容疑に切り替えて起訴することも本来はできたはずです。

それでも不起訴となったのは、たとえば裁判に耐えられない健康状態であるといった可能性や、精神疾患などを抱え、責任能力(物ごとの良し悪しを判断して、その判断に従い行動を制御する能力)がないとして犯罪が成立しないと判断された可能性などが考えられるでしょう。

~示談交渉は弁護士にご相談を~

殺人未遂に限らず、前述のように起訴・不起訴の判断をする際に重要な事情の一つとして、示談が成立しているかどうかが挙げられます。

また、起訴された場合の判決を軽くするためにも示談は重要となってきます。
そして被害者の方の被害を回復させることにもつながります。

とはいえ、被害者の方は直接加害者あるいはそのご家族と会うことに抵抗を感じ、示談交渉してもらえない可能性もあります。
また、何と言って示談をお願いしたらよいか、金額はいくらにしたら良いか、示談書の文言はどうしたらよいかなど、わからないことだらけだと思います。

より良い事件解決に向けてアドバイスいたしますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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110番通報を繰り返し逮捕

2020-07-22

110番通報を繰り返し逮捕

虚偽の110番通報を繰り返して逮捕されたという事件がありました。

「騒ぎ声うるさい」「警察官来ない」 7時間に110番通報228回 58歳容疑者逮捕 宮城
Yahoo!ニュース(毎日新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

~偽計業務妨害罪に~

この事件は、「騒ぎ声がうるさい」「警察官が来てないぞバカヤロー」などの虚偽の110番通報や暴言を、7時間にわたり228回繰り返したというものです。
駆け付けた警察官が容疑者の自宅周辺を確認しましたが騒音などは聞こえず、警告を与えた後も通報をやめなかったため逮捕したとのことです

このような行為をすると、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。

刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

嘘の内容の通報は、「偽計を用いて」に該当します。
また、警察官が無駄に現場に駆け付けたり、通報に対応しなければならず、「業務を妨害」したことになります。
したがって、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる可能性があるわけです。

~110番通報以外でも~

110番通報以外でも、この種のウソ・いたずら電話で偽計業務妨害罪が成立することがあります。
典型的なのはピザなどの宅配を他人の家に届けるよう勝手に注文するといった行為です。
注文を受けた店は、商品を届けても引き取ってお金を払ってもらうことができず、時間や商品が無駄となり、「業務を妨害」されることになるわけです。

新型コロナの影響で宅配サービスの利用が爆発的に伸びていますが、こういった犯罪が増加しないか心配なところです。

~逮捕された後の手続き~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

弁護士としては、ご本人が反省していること、前科がない(少ない)こと、家族が監督していけること、弁償して示談が成立させたことなど、ご本人に有利な事情をできる限り主張し、早期釈放や軽い処分・判決が出ることを目指します。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり、取調べを受けると、今後逮捕されるのか、逮捕された場合はいつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのかなど、不安が大きいと思います。

事件内容に応じてアドバイスいたしますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

虚偽通報で業務妨害?

2020-06-16

虚偽通報で業務妨害?

虚偽の事件を警察署に対して繰返し通報した場合に問題となる業務妨害等の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事件】
神奈川県川崎市中原区に住むAさんは,川崎市中原区にある会社に勤める会社員です。
Aさんはいたずら目的で,虚偽の犯罪を作り上げて110番通報することを繰り返し臨場した警察官を眺めることに快感を得ていました。
虚偽の通報を何度も行ったAさんは,偽計業務妨害罪の嫌疑で川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官から呼び出されました。
(フィクションです)

【虚偽通報とは】

虚偽の犯罪事実を警察などの捜査機関に申告することを虚偽通報といいます。

虚偽の通報を行った場合,偽計業務妨害罪(刑法第233条後段)や威力業務妨害罪(刑法第234条),軽犯罪法違反(第16号違反)に問われる可能性があります。

【業務妨害罪について】

偽計業務妨害罪は,虚偽の風説を流布し,または偽計を用いて他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です。

威力業務妨害罪は,他人の業務を妨害する手段として威力が用いられた場合に成立する犯罪です。

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の法定刑はどちらも3年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

今回のケースでは,Aさんは偽計業務妨害罪の嫌疑をかけられています。

偽計業務妨害罪では虚偽の風説の流布と偽計を手段とすることが構成要件となっています。

虚偽の風説の流布とは,客観的真実に反することを不特定または多数の人に伝播させる(拡散させる)ことをいいます。

偽計とは,人を欺罔,誘惑し,あるいは人の錯誤・不知を利用する違法な手段のことをいいます。

先に説明した虚偽の風説の流布も偽計の一種と理解されており,虚偽の風説の流布による業務妨害も偽計業務妨害と呼ばれます。

また,威力業務妨害罪にいう威力は人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることをいいます。

ここで,Aさんが行った虚偽の犯罪を警察に通報することが,偽計と威力のいずれに当たるのかが問題となります。

例えば,商業施設などに爆弾を設置したという虚偽の犯罪を通知し,その商業施設を休業させることは,一方では相手方を騙す偽計の要素を含んでいますが,他方で意思を制圧された被害者(商業施設を運営する法人)が本来行えたはずの業務を行えなかったという要素もあり,判例では後者が重点的に評価され威力業務妨害罪の成立が認められています(東京高判平成20・5・19東高刑時報59巻1~12号40頁を参照)。

しかし,警察に対して犯罪予告の虚偽通報がなされ,それがおよそ虚偽でないとは限らないということから徒労となる出動や警戒を余儀なくされた場合には,意思制圧の要素がなく偽計業務妨害罪が成立します(東京高判平成21・3・12高刑集62巻1号21頁)。

上記の判例の事案は虚偽の犯罪を予告した事案ですが,出動や警戒を余儀なくされる点は変わらないため,予告に当たらない場合も警察に対する虚偽の通報は偽計に当たる可能性があり,Aさんの行った虚偽の通報も,その具体的内容によっては偽計に当たると考えられます。

業務妨害罪が成立するためには業務の妨害があったといえなくてはなりません。

ここでの業務の妨害は,業務の外形的な混乱や支障が生じる現実に生じる危険があれば,現実に混乱や支障が生じていなくとも業務の妨害があったと認められます(抽象的危険犯)。

Aさんの通報内容が杜撰なものであれば警察も取り合うことなく,警察の活動に外形的な混乱や支障を生じる具体的な危険があったといえるかどうかは微妙なものになりますが,通報された内容を警察として確認するために現地へ人員を送らなければならなかったりするなど,その間本来であれば遂行されたはずの警ら活動などが遂行できなかった場合には,業務の妨害があったということになります。

よって,Aさんの虚偽の犯罪を警察に通報した行為は,偽計業務妨害罪に問われる可能性があります。

【軽犯罪法違反について】

虚偽の犯罪を警察に通報した場合,虚構の犯罪を公務員に申し出たとして軽犯罪法第1条第16号違反によって処罰される可能性もあります。

軽犯罪法違反の法定刑は拘留または科料です。

単に虚偽の犯罪を警察に通報した場合は,まず法定刑のより軽い軽犯罪法違反として捜査されることが考えられます。

同種の事案で偽計業務妨害罪が適用されるのは,注意されたにもかかわらず虚偽の通報を執拗に繰り返した場合や,回数に関係なく,その犯罪の内容によってより多くの人員や時間を割かなければならず業務の妨害の程度が多大であった場合など,違法性が法定刑の重さに相当すると考えられた場合に限られるものとなります。

Aさんのケースでは,Aさんは以前から警察に虚偽の通報を繰り返していたことから偽計業務妨害罪として捜査が開始されたものだと思われますが,このように既に捜査が開始された場合でも,弁護士に事件を依頼し適切な主張を行うことで被疑罪名が軽犯罪法違反に切り替えられることもあります。

【虚偽通報での弁護活動】

Aさんのケースのように,刑法典に挙げられた犯罪ではなく軽犯罪法違反にすぎないと考えられる事案では,軽犯罪法違反に当たるにすぎないという趣旨の主張を行います。

説明したように,軽犯罪法違反の法定刑は拘留または科料となっており,被疑者が犯した罪が拘留または科料に当たる罪である場合,被疑者が定まった住居を有しない場合や正当な理由がなく出頭の求めに応じない場合を除いて逮捕できないことになっていますので,単に処罰された不利益を低減するのみならず,逮捕されるリスクを下げることにつながります。

どの行為がどの構成要件に当たるかどうか,違法性の度合いがその犯罪で処罰するに値するものであるかどうかといった評価は法律のプロをもってしても難しい場合があります。

被疑者となってしまったら,正当な評価や処分を得られる可能性を高めるべく,できるだけ早く刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くおすすめします。

虚偽通報をしたことにより偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪あるいは軽犯罪法違反の被疑者となってしまった方,神奈川県中原警察署から呼出しを受けてしまった方は,お早めに刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

初回法律相談:無料

体液をかけて逮捕②暴行罪

2020-04-27

体液をかけて逮捕②暴行罪

体液をかけて逮捕された事件で、特に暴行罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事例】

神奈川県横浜市泉区在住の会社員Aは、ストレス発散を目的に、横浜市泉区にて通行中の歩行者Vに対してペットボトルを用いて自身の体液をかけたという事件です。
通報を受けて臨場した横浜市泉区を管轄する泉警察署の警察官は、Aを逮捕しました。
≪詳細は、前回のブログ「体液をかけて逮捕①器物損壊罪」をご参照ください。≫
(※令和2年4月14日YAHOO!ニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

【体液をかけて暴行罪?】

前回のブログでは、体液を人にかけることで器物損壊罪の成立の可能性があるということを取り上げました。
今回は、器物損壊罪以外に成立する可能性のある犯罪について触れていきます。

Aがかけた体液がVの所持品や衣服ではなくVの身体にかかった場合には、暴行罪が成立する可能性があります。

刑法第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

前回取り上げた器物損壊罪同様、「人に体液をかける」という行為と暴行罪という犯罪名が結びつかないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、この暴行罪に関しても、一般にイメージされている「暴行」と、暴行罪のいう「暴行」に違いがあるのです。

暴行罪の「暴行」とは、他人の身体に対して不法な有形力の行使をすることを指します。
一般によくイメージされる、他人を殴ったり蹴ったりして直接的に暴力を振るうことももちろん暴行罪の「暴行」に当たります。
これに加えて、他人の身体に直接触れなくとも他人の身体に向けて不法な有形力の行使があればよいことから、例えば他人の身体に物を投げつけたりするような行為も暴行罪の「暴行」となりえます。

過去の裁判例では、他人に塩を数回振りかけたという行為が暴行罪に問われたケースで、「刑法第208条の暴行は、人の身体に対する不当な有形力の行使を言うものであるが、右の有形力の行使は、所論のように、必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受忍すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当するものと解すべき」とされ、塩を他人に振りかける行為が暴行罪の「暴行」に当たるとされました(福岡高判昭和46.10.11)。

このように暴行罪の「暴行」を考えると、体液を他人にかけるという行為でも暴行罪が成立する可能性があることがお分かりいただけると思います。

暴行罪は、器物損壊罪とは異なり親告罪ではありません。
そのため、被害者と示談ができたからといって必ずしも不起訴処分を獲得できるとは限りません。
しかし、被害者への謝罪・弁償ができているかどうか、被害者の処罰感情のおさまりがあるのかどうかといった事情は、起訴・不起訴を大きく左右します。
また、逮捕されてしまっているような場合には、釈放を求める弁護活動の際にも(被疑者にとって)有利な事情となりますから、器物損壊事件の際と同様に、刑事事件を専門とする弁護士に相談・依頼することが効果的でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕されているご家族の方に対し、1度に限り初回接見というサービスを提供しています。(有料)
初回接見では、逮捕されている方に詳細な事件の事情を伺った上で適当なアドバイスを行うほか、接見報告にて御依頼者様に今後の見通しなどについてご説明致します。
神奈川県横浜市泉区にて、体液をかけるなどした暴行事件でお困りの際は、遠慮なく弊所へお問い合わせください。
専門スタッフがご相談者様の状況ごとに合ったサービスをご案内いたします。
ご連絡先:0120-631-881

強盗罪と恐喝罪の違い

2020-04-19

強盗罪恐喝罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。 

◇強盗罪で逮捕◇

神奈川県横浜市に住むAさんは、ある日の夜中、人通りの少ない路上を歩いていたVさんの背後から、Vさんに対し、左手に持っていた刃物を突き付け、「金を出せ、騒ぐと殺すぞ」などと言いました。
Aさんはそのまま刃物を突き付けながら、Vさんんから現金2万円入りの財布を右手で受け取り、その場から逃走しました。
後日Aさんは、神奈川県警本部捜査第一課強盗罪通常逮捕されました。
(フィクションです)

◇強盗罪◇

強盗罪刑法236条に規定されています。

刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいますが、強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は、相手方の反抗を抑圧する程度に強いものでなければならないとされています。そして、程度であるか否かは

・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人、相手方の性別、年齢、体力

などを総合的に考慮して判断されます。

「強取」とは、上記の「暴行」「脅迫」により、相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。
通常は、犯人が被害者自身から直接財物を奪取することが多いと思いますが、必ずしもその必要はなく、反抗を抑圧された被害者から交付を受けてもよいとされています。

強盗の機会に、人を負傷させた場合は強盗致傷罪が成立するおそれがあり、法定刑は無期又は6年以上の懲役です。また、死亡させたときは死刑又は無期懲役です。なお、「人」とは必ずしも被害者に限らず、強盗を目撃した目撃者、目撃者から依頼を受けて犯人を捕まえようとした通行人なども含まれます。

◇恐喝罪◇

恐喝罪刑法249条に規定されています。

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に脅迫行為が行われることが多いと思われます。
ただし、暴行や脅迫の程度は、強盗罪と異なり「相手方の反抗を抑圧するに至らない程度」であることが必要とされています。
つまり強盗罪よりは、やや程度の落ちる脅迫行為である必要だということです。
規定上も、強盗罪と異なり「財物を交付させた」とあります。
つまり、相手方に一定の処分行為をする余地を認めているのが恐喝罪ということになり、よって、強盗罪よりも程度の弱い脅迫行為で恐喝罪が成立するとされるのです。

強盗罪の「暴行」「脅迫」か恐喝罪の「恐喝」かは、上記で述べた基準(・犯行の時刻・場所その他周囲の状況、・凶器使用の有無、・凶器の形状性質、・凶器の用い方など犯行の手段方法、・犯人、相手方の性別、年齢、体力、・その他個々の事情など)をもとに判断され、個々の事案の具体的状況により結論は異なります。

◇刑事事件に強い弁護士に相談◇

刑事事件において、ある犯罪に当たると疑われても、ふたを開けてみると「実は別の犯罪だった」ということがよくあります。強盗罪についても同じことがいえ、「強盗罪で逮捕されたものの恐喝罪で起訴された」、あるいは、「強盗罪で起訴されたが裁判で恐喝罪と認定された」などという場合です。仮に、このような事態となれば、適用される刑罰も異なり、量刑もだいぶことなりますから、強盗罪が成立するか恐喝罪が成立するかは大きな違いということになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、強盗罪恐喝罪をはじめとする刑事事件、少年事件専門の法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

傷害致死事件で少年が逆送②

2020-04-15

傷害致死事件で少年が逆送②

喧嘩の末相手を殺めてしまったという傷害致死事件を起こした20歳未満の少年が逆送される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市金沢区在住のAは、横浜市金沢区の高校に通う高校生です。
AはXと交際をしていましたが、XがAの友人でもあるVと浮気をしてたことを知り、Vを押し倒して何度も殴った結果、Vは出血性ショックが原因で死亡しました。
警察はAを殺人罪で逮捕しました。

詳細については昨日のブログをご参照ください。
≪ケースは全てフィクションです。≫

【故意犯処罰の原則について】

刑法を初めとした禁止規定・処罰規定が設けられている罪について、我が国では故意犯処罰の原則があるため特別な規定がない限り、故意で起こした事件でなければ罪に問われないことになっています。(刑法38条1項等)

詳細については昨日のブログをご参照ください

【傷害致死事件について】

上記の故意犯処罰の原則から引き続きの内容になります。

ケースを見ると、Aは過失ではなく故意にVに暴行を加えた結果Vが死亡しています。
その為、検討されるべきは殺人罪(刑法199条)と傷害致死罪(刑法205条)が挙げられます。

まず、殺人罪については刑法199条で「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と定められています。
問題となる「人を殺した者」という点について、あくまで人を殺そうとして行動した結果相手が死亡することで成立する※ことを示しています。
そのため、殺人罪が適用されるためには、被疑者・被告人が相手を殺すという意思があったことが前提にあります。
※殺人罪の場合、結果的に相手が死亡しなかった場合にも未遂犯処罰規定があるため殺人未遂罪に問われます。

次に、傷害致死罪については、刑法205条で「身体を傷害し、よって人を死傷させた者は、三年以上の有期懲役に処する。」と定められています。
これは法律上傷害罪の結果的加重犯と呼ばれるものであり、相手の身体に暴行を加える故意があれば相手が傷害を負った場合でも成立し、相手の死についての予見可能性は必要としないと解されています。

よって、暴行の結果相手が死亡してしまったというケースのような事件については、被疑者の供述や犯行態様(凶器の有無や暴行の程度等)などの証拠を踏まえ、殺人罪に当たるのか傷害致死罪に当たるのかの判断がなされることになるのです。

【逆送の場合の弁護活動】

ケースの場合、被疑者が20歳未満の少年に当たるため、少年法が適用されます。
捜査機関が捜査を行い、それに際して勾留するという所までは成人の刑事事件と同じですが、捜査機関は必ず家庭裁判所に送致することになっています。
そして、家庭裁判所に送致された後は家庭裁判所調査官が少年の調査を行うとともに、必要に応じて少年鑑別所にて収容鑑別を行います。

多くの事件では、その後調査官が審判に付するべきか否かを判断し、審判不開始の判断を出した場合を除いて審判が行われ、最終的に不処分・保護観察処分・少年院送致・都道府県知事送致等の処分に付されます。
一方で、①年齢超過(20歳を超えてしまった場合)や②14歳以上で禁錮以上の刑が定められている犯罪で非行事実があり、罪質や罪状に照らして刑事処分が相当であると判断された場合には、家庭裁判所から検察官に送致され(逆送)、成人と同じような刑事手続きが進められる場合もあります。

傷害致死罪の場合について平成13年から25年までのデータを見ると、刑事処分相当として逆送された事件は59.3%となっています。
逆送された事件が必ずしも起訴されるというわけではなく、略式手続きで終わる場合や家庭裁判所移送(少年法55条)となる場合もありますが、成人事件と同じように起訴されて刑事裁判になることもあり得ます。
逆送された事件での裁判では、成人事件と同じ定期刑を言い渡すことも出来ますし、少年が人格の可塑性に富んでいることから更生の可能性が高いことを理由に不定期刑を言い渡すことも出来ます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、少年が逆送された事件についても対応しています。
神奈川県横浜市金沢区にて、お子さんが傷害致死事件で逮捕され、逆送される可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
刑事事件・少年事件専門の弁護士が、お子さんのいる場所に初回接見に行き、逆送される可能性や見通しについてご説明致します。

傷害致死事件で少年が逆送①

2020-04-14

傷害致死事件で少年が逆送①

喧嘩の末相手を殺めてしまったという傷害致死事件を起こした20歳未満の少年が逆送される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県横浜市金沢区在住のAは、横浜市金沢区内の高校に通う高校生です。
Aには交際相手Xが居ましたが、喧嘩を機にしばらく連絡を取っておらず、その時期にXがAとXの友人であるVと浮気をしていました。
それに気が付いたAは、XとVとがいる場所をSNSで特定し、横浜市金沢区内にいるXとVとの前に現れ問答無用でVに殴りかかり、倒れたVに馬乗りになって頭部や腹部を殴りつけました。
その結果、Aは頭部から出血してしまい、驚いたAはその場から逃走しました。
しかし、Xの通報を受けて駆け付けた金沢警察署の警察官の捜査により、Aは横浜市金沢区内の路上にて緊急逮捕されました。
警察官は、臨場した時点でVが出血性ショック死していたことから殺人罪で逮捕しました。
一方でAは浮気相手であるVに腹が立って何度も殴ったことは事実だが、相手を殺す意思はなかったとして、殺人罪に当たるのか疑問を持っています。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【故意犯処罰の原則について】

我が国では、刑法の他に覚せい剤取締法、地方公務員法、といった特別法により、様々な禁止規定・処罰規定が設けられています。
そして、処罰をするためには故意がなければならないという「故意犯処罰の原則」と呼ばれるルールがあります。
刑法は38条1項で「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」と規定しています。
「罪を犯す意思」というのが故意と呼ばれるもので、他人の権利侵害や法益侵害を引き起こす結果が発生すること(構成要件)を認識しつつ、その行為をしたことで結果が発生することを意味します。
そのため、例えば素面の状態で自動車を運転している最中に運転を誤ってⒶ飲食店の看板と接触した場合と、Ⓑ通行人に接触した結果怪我をさせた場合について検討します。
まずⒶについて、文書や建造物以外の物を壊した際に検討される罪には器物損壊罪が適用されます。
器物損壊罪は刑法261条で「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められています。
しかし、故意犯処罰の原則がある以上、あくまで故意に他人の物を損壊しなければ器物損壊罪は適用されません。
よって、Ⓐについては器物損壊罪の適用はできません。

次にⒷについて、怪我をさせたことについては傷害罪を想像しますが、傷害罪は刑法204条で「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。
これも、故意犯処罰の原則がある以上、故意に傷害してはいないため、傷害罪には問えません。
最も、人を怪我させた場合については「過失」でも処罰する規定があるため、そちらで処罰することが可能です。
車の運転の場合、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)の5条で「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」と規定されています。
これは「過失」、つまり必要な注意を怠った結果発生した事故であり、これは「故意」がなくても適用・処罰することが明記されている罪ですので、Ⓑの場合はこれに当たります。

【傷害致死事件について】

明日のブログに続きます。

【逆送の場合の弁護士活動】

明日のブログに続きます。

神奈川県横浜市金沢区にて、お子さんが傷害致死事件で逮捕されたことで逆送について相談したいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
当事務所の弁護士が初回接見という形でお子さんのもとに接見に行き、今後の逆送での見通しなどについてご説明致します。

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