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神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしてしまい逮捕された場合にはどのような罪に問われる?

2024-06-09

神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしてしまい逮捕された場合にはどのような罪に問われる?

神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしてしまい取調べを受けているという事例を想定して、弁護活動や示談交渉について弁護士法人あいち刑事総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】

神奈川県相模原市緑区在住のAさんは、相模原市緑区の会社に務める会社員です。
Aさんは事件当日、相模原市緑区の駅構内でトイレの個室に忍び込み小型カメラを設置しました。
トイレを利用したVさんが小型カメラに気づき、警察に通報したことで、相模原市緑区を管轄する相模原北警察署の警察官が捜査を開始し、Aさんによる犯行であると認め、Aさんを盗撮による性的姿態等撮影罪で通常逮捕しました。

《ケースはすべてフィクションです。》

【盗撮で問題となる罪】

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
第2条第1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
 1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
  イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
  ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
 2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
 3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
 4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
第2項 前項の罪の未遂は、罰する。
第3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。

神奈川県迷惑行為防止条例
第3条第3項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

今回のAさんの事例について、Aさんはトイレでのいわゆる盗撮をしたことで逮捕されました。
盗撮については、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)または各都道府県の定める迷惑防止条例に違反します。

まず、性的姿態撮影等処罰法について、これは2023年に新設された法律で、スカートの中やトイレなどの盗撮、あるいは性的な行為や性行為を撮影した場合などに成立する罪で、性的姿態等撮影罪と呼ばれています。
次に、各都道府県の定める迷惑防止条例の問題について、これは2023年の性的姿態撮影等処罰法の施行以前からあるものです。
Aさんの場合は神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしたことを想定していますので、神奈川県迷惑行為防止条例に違反すると考えられます。

【盗撮~性的姿態等撮影罪について~】

性的姿態等撮影罪は、
・正当な理由がなく
・性的な部位や性的な行為を
・密かに撮影する
場合に成立します。

また、いわゆる盗撮ではなくても
・突然撮影をしたり、酒に酔うなど意識がはっきりしない状況での性的な撮影
・16歳未満の性的な撮影
については、性的姿態等撮影罪が成立します。

また、未遂(被害者がカメラに気付いたりカメラがうまく作動しないなど実際には盗撮に至らなかった場合)も処罰されます。

【盗撮~迷惑防止条例違反について~】

盗撮は、従来どおり各都道府県の定める迷惑防止条例にも違反するおそれがあります。
神奈川県の定める神奈川県迷惑行為防止条例の場合、
・公共の場所や公共の乗り物の中で
・下着や服で隠された部分を見る、あるいはカメラなどを差し向ける行為
あるいは
・人を羞恥、あるいは人が不安を覚える方法で
・更衣室やトイレなどの衣服等を一部でも着けないでいるような場所において
・覗き見たり撮影したりする行為
が対象です。

【ケースの盗撮について】

ケースの場合、トイレという性器や肛門、臀部といった「人の性的な部位」を撮影する行為ですので、性的姿態等撮影罪に問われる可能性があります。
また、駅構内のトイレという、通常衣服等の一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を撮影する行為ですので、神奈川県迷惑行為防止条例にも違反することが考えられます。

1つの行為が2つ以上の罪に当たる場合は、いずれかの罪で処理されることになりますが、その場合は観念的競合といってより重い罪で処理されることになるため、性的姿態等撮影罪の量刑である3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処される可能性があります。
但し、実務では、被害者が特定されていない事件の場合、「正当な理由」があるのか否か確認できないとして、性的姿態等撮影罪ではなく神奈川県迷惑行為防止条例違反で処理することが考えられます。
例えば、Vさんがトイレの掃除などのために個室に入った人で、盗撮された被害者が特定されない場合など、

また、トイレに侵入したことによる建造物侵入罪の成立も検討されます。

【盗撮事件での弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに盗撮事件の弁護活動を数多く経験してきました。
主たる弁護活動としては、
・身柄解放活動
・不起訴や減刑を求める弁護活動
が挙げられます。

前者について、盗撮事件の場合は被疑者が逮捕される場合があります。
とりわけ、加害者が被害者の名前や連絡先を知っている場合などで、身体拘束しなければ被害者に接触して口止めなどをしてしまう恐れがあるとして、逮捕・勾留に踏み切ることが考えられます。
弁護士としては、家族の監督のもと、勾留の必要性がないことを主張して、勾留の回避・勾留決定の取消しや破棄を求める弁護活動が必要になります。

後者について、盗撮事件の場合は被害者がいます。
被害者が特定している場合、被害者に対し謝罪と賠償を行う示談交渉が必要不可欠になるでしょう。
また、窃視症の恐れがある場合には再犯防止のため依存症の専門医等の診断を勧めたり、家族全員で再犯を防ぐため相談する時間を設けて頂くなど、様々な対応が必要です。

神奈川県相模原市緑区にて、家族がトイレに侵入して盗撮事件を起こしてしまい、性的姿態等撮影罪や神奈川県迷惑行為防止条例違反で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて痴漢事件を起こしてしまった場合を想定―痴漢で問題となる罪と略式手続について

2024-06-06

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて痴漢事件を起こしてしまった場合を想定―痴漢で問題となる罪と略式手続について

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて痴漢事件を起こしてしまったという架空の事例に沿って、痴漢事件で問題となる罪と略式手続について検討します。

【ケース】

神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAさんは、横浜市保土ヶ谷区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、横浜市保土ヶ谷区を走行するバス車内にて、右前に立っていたVさんの臀部(お尻)に右手で触るという痴漢行為をしました。
Vさんはすぐに運転手に被害を申告し、Aさんは通報を受けて臨場した横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官によって捜査されることになりました。
Aさんはインターネットなどで痴漢事件の手続の流れについて調べたところ、略式手続の可能性があるという記事を目にしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【横浜市保土ヶ谷区での痴漢事件について】

今回Aさんが行った、Vさんの臀部に触れるという行為は、俗に痴漢と呼ばれ各都道府県の定める迷惑行為防止条例に違反することとなります。
ケースでは横浜市保土ヶ谷区での事件を想定しているため、下記の神奈川県迷惑行為防止条例が問題となります。

神奈川県迷惑行為防止条例3条1項 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
罰条:「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(同条例15条1項)

【略式手続とは】

通常の刑事手続では、検察官が裁判所に被疑者を起訴をし、起訴された被疑者は被告人という立場になり、裁判所の法廷で裁判が行われ判決が言い渡されます。
しかし、比較的軽微な事件(100万円以下の罰金又は科料に相当する事件)の場合、通常の手続を簡略化した略式起訴が行われる場合があります。
検察官が略式起訴を決め、被疑者の異議がなかった場合、検察官は簡易裁判所に書類を送り、書面にて処分を下します。
公開の裁判等は行われません。
略式起訴は通常の刑事手続きに比べ、公開の裁判を受けずに済み、その場合に必要な弁護士費用等の負担もなくなるため、被疑者・被告人にとって有利であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに数多くの痴漢事件に携わってきました。
神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて、痴漢などの刑事事件を起こしてしまい略式手続の可能性がある方は、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

神奈川県川崎市中原区での架空の事例を踏まえて検討:窃盗事件などで見受けられる微罪処分とは?

2024-06-03

神奈川県川崎市中原区での架空の事例を踏まえて検討:窃盗事件などで見受けられる微罪処分とは?

刑事事件で捜査をした場合、警察官などの捜査機関は原則として全件を検察官に送致する必要があります。
しかし、一定の軽微な犯罪の場合、警察官の判断で処分する微罪処分という手続があります。

【ケース】

神奈川県川崎市中原区在住のAさんは、川崎市中原区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、川崎市中原区の駅構内のトイレで被害者Vさんが置き忘れていた財布を見つけ、中に入っていた現金8.200円を抜き取りました。
後日、Aさんの家に川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官が来て、捜査を受けることになりました。
Aさんは弁護士に弁護を依頼して誠心誠意対応した結果、微罪処分となりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【微罪処分について】

まず、警察官をはじめとした捜査機関が刑事事件の捜査を行い、犯人の疑いがあるとされた人は「被疑者」という立場になります。
警察官等はまず被疑者の捜査(取調べや客観証拠の収集など)を行ったうえで、原則として、在宅事件の場合は書類を、身体拘束している事案であれば書類と被疑者の身柄を、検察官に送致しなければなりません。(全件送致主義)
送致を受けた検察官は、警察官などが作成した書類などを確認し、必要に応じて追加の捜査を指示した自ら取調べを行うなどして、被疑者を起訴するかどうか判断します。(起訴便宜主義)

但し、検察官が予め指定した軽微な事件について、警察官は検察官に送致しなくてもよいとされています。(刑事訴訟法246条但書)
これを、微罪処分と呼びます。
微罪処分となった場合の効果は検察官が行う不起訴処分と同様で、基本的に、その後刑事罰が科されることはありません。

微罪処分の条件(要件)は公開されていないものの、被害金額の軽微な窃盗事件や詐欺事件等一部の犯罪に限られます。

神奈川県川崎市中原区にて、置き忘れの財布などの中身を抜き取って窃盗罪や遺失物横領罪で捜査を受けていて、微罪処分について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。
ご予約はこちらから。

転売目的で万引きを繰り返し家宅捜索を受けたという架空の事例を踏まえて手続と刑事罰について検討

2024-05-30

転売目的で万引きを繰り返し家宅捜索を受けたという架空の事例を踏まえて手続と刑事罰について検討

逮捕されないか不安

自分で消費する目的ではなく、転売する目的で万引き行為を繰り返していたところ家宅捜索を受けたという架空の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県秦野市在住のAさんは、秦野市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、秦野市内の大型商業施設にて、万引き行為を繰り返してはインターネットオークションサイトで転売する行為を繰り返していました。
ある日、Aさんの自宅に秦野市内を管轄する秦野警察署の警察官が来て、裁判所から発付された令状を示し、家宅捜索が行われることになりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【いわゆる万引きで問題となる窃盗罪について】

ケースのAさんは、いわゆる万引き行為を繰り返していました。
万引き行為は窃盗罪に当たります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗をしてしまう方の中には軽い気持ちでやってしまう方もおられます。
しかし、窃盗罪は懲役刑も用意されている罪です。
そして、何より被害者である店舗オーナーにとっては重大な損失であることから被害感情は厳しいものである場合が多く、とりわけチェーン店の場合には示談はもとより被害弁償(買取り)にも応じないという場合が少なくありません。

更に、ケースの場合には窃盗を繰返し行っていて、その目的は転売です。
よって、この事案は極めて悪質と言えることから、たとえ初犯であったとしても公判請求(起訴)され裁判を受ける可能性があります。
但し、捜査機関は被疑者が「いつ・どの店で・どの商品を・何点窃取したか」を立証していく必要があります。
そのため、繰返し窃盗したからといって全てを立件されるわけではありません。

【家宅捜索とは?】

捜査機関が対象者の家や職場などを捜査するいわゆる家宅捜索は、正式には「捜索」と「差押え」という2つの手続きが行われているものです。
両者は強制処分ですので、原則として令状に基づいてのみ行われます。

まず、警察官などの捜査官は、裁判所に対し令状を請求します。
この令状は、捜索と差押えの双方を許可する「捜索差押許可状」という書類で発付される場合が一般的です。
捜索差押許可状の発付を受けた捜査官は、令状を執行することになります。
執行に際しては、処分を受ける者に対し、事前に令状を示す必要があります。
また、捜索・差押えに際しては立会人が必要です。

差し押さえられた物は、裁判等での証拠品として扱われます。
差押えの対象となるのは、例えば
・万引きの被害品
・犯行当時着ていた衣服
・スマートフォンやパソコンなどの電子端末
など様々です。

家宅捜索を受けたのち、在宅で捜査が続けられる可能性もありますが、家宅捜索で押収された証拠を元に逮捕状が発付され、後日逮捕されるという場合も少なくありません。

神奈川県秦野市にて、転売目的で窃盗行為を繰り返してしまい家宅捜索を受けた場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

神奈川県座間市で強盗致死事件を起こしてしまったら?少年事件でも実名報道される?架空の事例を踏まえて検討

2024-05-27

神奈川県座間市で強盗致死事件を起こしてしまったら?少年事件でも実名報道される?架空の事例を踏まえて検討

神奈川県座間市で発生したとする架空の強盗致死事件を踏まえて、成立する罪と少年事件での実名報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県座間市在住のAさんは、神奈川県内でアルバイトをする18歳です。
Aさんは友人らと遊ぶためにバイクを買いたいと考えていたのですが、アルバイトだけでは預貯金が貯まらなかったことから、職場で金庫を開ける時間に強盗しようと考えました。
事件当日、アルバイトのシフトに入っていないAさんは、職場のバックヤードを訪れ店長Vさんが金庫を開けたところで背後から所持していた包丁を突き付けて「金を出せ」と脅したところ、Vさんは声の様子からAさんだと気づき、怖くなったAさんはVさんの首筋に持ってきた牛刀を押さえつけ、Vさんが倒れ込んだ隙に金庫内の金を持って逃走しました。
後日、Aさんは強盗致死罪で逮捕・勾留され起訴されたことで、実名報道されることになりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【強盗致死罪と強盗殺人罪】

ケースのAさんはVさんを脅して金を奪い取っています。
これは、強盗と呼ばれる行為です。
強盗の罪については刑法に定められていますが、強盗はその結果によって罪名が異なり、刑罰が各々変わってきます。

・相手が怪我をしなかった場合

強盗事件を起こしたものの、相手には怪我を負わせることなく強盗した場合、強盗罪が適用されます。
強盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財産を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

・故意なく相手を怪我させてしまい、あるいは死亡させた場合

強盗事件などの場合、被害者は当然被疑者に対して抵抗することが想定されます。
もちろん、体格や性別などを考慮して抵抗しないことも考えられる一方で、抵抗をした場合、被疑者は怪我をさせるつもりはないものの結果として被害者に怪我を負わせてしまうということが当然に考えられます。
このような形で被害者が怪我した場合を強盗致傷罪、死亡してしまった場合を強盗致死罪として、それぞれ強盗罪より重い刑罰を用意しています。
条文は以下のとおりです。

刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

・故意に相手を怪我させ、あるいは死亡させた場合

強盗の被疑者が被害者を故意に痛めつけ怪我をさせたり死亡させた場合、強盗致死傷罪より更に罪が重い強盗傷人、強盗殺人罪として扱われます。
これは主観的要素であり、条文は強盗致死傷罪の場合と同じですが、実際に宣告される刑罰はより厳しいものになります。

【特定少年について】

少年法では20歳未満を「少年」として、成人の刑事事件とは異なる取扱いをしています。
この少年が罪を犯した場合には、以下のとおりの呼称となります。
・特定少年(18歳、19歳)
・犯罪少年(14歳~19歳)
・触法少年(~13歳)

2022(令和4)年4月1日施行の改正少年法により、特定少年という新たな定義が新設され、従来の犯罪少年とは異なる手続に付されることになりました。
今回の報道の事例の場合、18歳ということで、特定少年として取り扱われています。

【特定少年の実名報道】

少年法では、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」と定められています。(少年法61条)
これを推知報道の禁止と言います。

しかし、特定少年については「第61条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第461条の請求がされた場合…は、この限りでない。」と定められています。(少年法68条)
よって、少年が捜査を受けている時点では実名報道はなされませんが、18歳・19歳の少年について家庭裁判所が検察官送致(逆送)を行ったのち検察官が裁判所に公判請求(起訴)した場合、当該少年の実名報道をすることができるようになりました。

今回の事例では、Aさんは18歳を想定しているところ、起訴された場合には原則として禁止されていた実名報道を行うことが出来るようになります。

神奈川県座間市にて、18歳・19歳の特定少年に該当するお子さんが強盗致死罪などの罪で逮捕・勾留され起訴され実名報道される可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

架空の事例を用いて検討―神奈川県茅ケ崎市にて未成年の児童に対してお金を渡して性行為をしたらどうなる?

2024-05-24

架空の事例を用いて検討―神奈川県茅ケ崎市にて未成年の児童に対してお金を渡して性行為をしたらどうなる?

淫行

18歳未満の児童にお金を渡して性行為をしたことで問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県茅ケ崎市在住のAさんは、茅ケ崎市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、SNSで知り合った16歳のVさんと茅ケ崎市内で落ち合い、ホテルにて2万円を渡して性行為をしました。
その後ホテルを出たAさんとVさんですが、パトロール中の茅ケ崎警察署の警察官に職務質問を受け、児童買春の事実が発覚しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【児童買春の罪】

令和5年の改正刑法により、いわゆる性同意年齢の引き上げが行われ、16歳未満の児童との性行為は原則として不同意性交罪として処罰されることになりました。
また、16歳・17歳に対して性行為等をした場合
・児童や保護者に対して対価を渡していた場合には児童買春の罪に
・それ以外の結婚を前提にしていない性行為については各都道府県の定める青少年保護育成条例違反(今回のケースであれば神奈川県青少年保護育成条例違反)に
該当するとして捜査され処罰されることが考えられます。
今回のAさんの事例では、16歳の児童Vさんに対して2万円の対価を渡して性行為をしているため、児童買春の罪に問われます。
条文は以下のとおりです。

児童買春、児童ポルノ処罰法2条2項
この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
1号 児童
2号 (略)
3号 (略)

【事務所紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに数多くの児童買春をはじめとした性犯罪事件を担当してきました。
児童買春は厳密には被害者のいない事件とされる事件ですが、児童やその保護者に対し迷惑をかけたことへの謝罪と弁済を行う示談交渉を行うことで、不起訴処分となる事案もあります。
また、贖罪寄附の活用などが功を奏する事例もあります。
早期に弁護士に相談し適切な弁護活動を受けることが処分に影響することもあるため、神奈川県茅ケ崎市にて児童買春事件を起こしてしまった場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

スピード違反で刑事罰が科せられる場合とは?神奈川県海老名市での架空の事例を踏まえて検討

2024-05-21

スピード違反で刑事罰が科せられる場合とは?神奈川県海老名市での架空の事例を踏まえて検討

逮捕されないか不安

スピード違反が法的に問題であることはご承知のとおりかと思いますが、その速度によっては、刑事罰が科せられることがあります。
この記事では、神奈川県海老名市での架空の事例を踏まえて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が記述します。

【ケース】

神奈川県海老名市在住のAさんは、海老名市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、法定速度を制限とする国道(時速60km制限)の海老名市内の公道にて時速113kmで走行していたところ、移動式オービスによる取り締まりを受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【スピード違反による刑事手続について】

我が国で自動車や二輪車等を運転する場合、道路交通法をはじめとする法律に則って運転をすることが義務付けられています。
そのうち、運転をする速度については、道路交通法22条1項で「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。」と定められていて、具体的には道路交通法施行規則にて「法第22条第1項の政令で定める最高速度…のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道…以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては60キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては30キロメートル毎時とする。」と定められています。
よって、普通自動車の場合、法定速度である時速60kmを超える速度で運転することは禁止されています。(高速自動車国道については時速100km(同法27条1項1号))
また、時速40km等と最高速度を制限している道路においては、その速度を超えた速度で運転することが出来ません。
これに違反した場合、速度超過となり、道路交通法に違反することとなります。
故意に速度超過した場合の法定刑は「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」(道路交通法118条1項1号)です。

通常、超過速度が時速30km未満(高速道路では時速40km)の場合は交通反則告知書(俗に言う青切符)で処理されます。
一方で、超過速度が時速30km以上の場合、告知書(俗に言う赤切符)での処理になるため罰金となる可能性があります。
また、時速80km以上の場合には正式裁判になり、禁錮刑あるいは懲役刑が言い渡される可能性があります。

【スピード違反における弁護活動】

犯人性を争う

スピード違反の場合、警察官が緊急車両(パトカーや白バイ)ですぐ後ろを追尾して速度を測ったうえで停止を求めて処理する場合、移動式オービスなどで機械による測定後に停止を求めて処理する場合、固定式のオービスで測定して後日出頭の通知書が届く場合と、複数あります。
固定式オービスの場合など、自動車のナンバーと運転手の顔写真が自動的に撮影されたうえで、後日出頭するよう求められることになります。
しかし、運転手の顔写真が鮮明でないことも考えられるため、事件当日は車を貸す等していて別の者が運転していた可能性もあります。

認めて反省の意を示す

スピード違反を認めて反省している場合、その反省を具体的に示す必要があります。
例えば、自動車を廃車にする、運転免許証を返納する、交通贖罪寄附をする等が考えられます。
また、刑事裁判に発展した場合には、家族による情状証人等も必要になるでしょう。

その他合理的な主張

スピード違反の事実を争う(例えば、測定方法に問題がなかったか、等)場合や、スピード違反そのものは認めるものの合理的な理由があった(後続車両によるあおり運転から逃れる目的だった)等の主張も考えられます。
但し、主張そのものが認められるかどうかは評価が難しく、ともすれば不合理な弁解であると言われかねないため、まずは弁護士に相談した方が良いでしょう。

【スピード違反などの刑事事件は当事務所へ】

これまで見てきたように、スピード違反は速度によっては行政処分に留まらず刑事事件に発展する可能性があります。
今回のAさんのように、神奈川県海老名市にて、スピード違反をして刑事事件に発展した場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、事件の詳細や前後の事情などをしっかりと聞いた上で、取調べや裁判におけるアドバイスを無料で行います。

※当事務所は刑事事件・少年事件の専門ですので、交通反則金や違反点数(運転免許停止・取消処分)といった行政処分についてのご相談は出来ません。

刑事事件における初回接見サービスとは?メリットは何?国選弁護人が就いている場合でも受けられるの?

2024-05-18

刑事事件における初回接見サービスとは?メリットは何?国選弁護人が就いている場合でも受けられるの?

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、初回接見サービスを有料で行っています。
この意義について、ご紹介します。

【刑事事件について】

刑事事件は、刑法をはじめ、大麻取締法・ストーカー規制法・性的姿態撮影等処罰法・各都道府県の定める迷惑行為防止条例・犯罪収益移転防止法など、様々な法律に違反したことで警察官・検察官をはじめとする捜査機関から捜査を受け、事案によっては裁判を受けるということを意味します。

例えば道端で知らない人を殴打した場合、刑法の定める暴行罪(刑法208条)や傷害罪(刑法204条)に該当する行為で、警察官により捜査され、検察官に送致された後検察官が改めて捜査を行ったうえで、刑事裁判に付されて刑事罰が科せられる可能性がある、というものです。
ちなみに、罰金刑が科せられた場合、そのお金は国庫に帰属し、被害者が受け取るわけではありません。

この場合の被害者は、被疑者・被告人(加害者)に対し、損害賠償請求権があり、治療費や慰謝料、休業補償などの金銭を請求することができます。
これを民事事件と呼びます。

【刑事事件での初回接見サービス】

刑事事件の場合、在宅で捜査を受けることもありますが、捜査機関が捜査をするうえで必要と考えた場合には警察官に逮捕状や勾留状といった身体拘束のための令状を請求し、発付された場合には被疑者を身体拘束することができます。

その際、当事務所をはじめ、刑事事件・少年事件に積極的に取り組んでいる事務所では、初回接見サービスを行っている場合があります。
以下で申し上げるのは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部における初回接見サービスです。

【初回接見サービスの流れ・特徴】

初回接見サービスは、家族等が逮捕・勾留されている場合に、1度限り申し込むことができるサービスです。
0120-631-881にてご予約を頂き、初回接見費用(33,000円+みなし交通費)をお振込み頂いた後、原則24時間以内に弁護士が接見に伺います。
接見とは、被疑者・被告人の方が居られる警察署や拘置所などの留置施設に弁護士が直接赴いてお話を聞くことです。
初回接見サービスでは、弁護士が逮捕・勾留されている方から事件についての内容・認識や、既に弁解録取や取調べが行われている場合には捜査機関にどのような取調べを受けたか等確認したうえで、見通しや考えられる弁護活動について説明します。
また、事務所に戻った後は、初回接見サービスの依頼者にその内容を御報告します。
※守秘義務の都合で、報告ができない場合があります。

通常、弁護士に弁護を依頼する場合には、ある程度のまとまったお金を着手金などとして支払うことになります。
しかし、初回接見サービスは1度限りの接見についての依頼で、弁護士の説明や見通し、相性などを見極めた上でその後の弁護を依頼するかどうか、検討して頂くことができます。

【国選弁護人と私選弁護人の違いは?】

罪を犯したと疑われている被疑者の方が逮捕された後勾留された場合で、被疑者の方の資力(預貯金)が50万円未満だった場合等の条件をクリアすると、国の選んだ弁護士が弁護人として就くことになります。
これが、国選弁護人です。
国選弁護人は原則として弁護費用は発生しませんが、国が選ぶことになるため、必ずしも刑事事件・少年事件の経験が豊富な弁護士が選任されるとは限りません。
また、国選弁護人は被疑者・被告人の弁護人ですので、留置場の外にいるご家族に報告する義務はなく、家族の方は国選弁護人から何も連絡が来ていないという場合も少なくありません。

他方で私選弁護人は、御自身で選んでいただいて弁護を依頼することになります。
そのため、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士を選んで弁護を依頼することが可能です。
また、当事務所では、初回接見サービスを依頼して頂いた場合、被疑者・被告人の方との守秘義務に反しない限りすべて状況を御説明します。

【国選弁護人が就いていても初回接見サービスは受けられるの?】

国選弁護人が就いていて、私選弁護人に依頼した場合、私選弁護人が「弁護人選任届」を警察署・検察庁(起訴後は裁判所)に提出することで、国選弁護人は自動的に解任されます。
但し、その後に私選弁護人を解任した場合(私選弁護人が辞任届を提出した場合)には改めて国選弁護人が選定されます。

当事務所が行う初回接見サービスは、その時点では私選弁護人として弁護を依頼するわけではなく、弁護人となろうとする者(刑事訴訟法39条1項ほか)の立場で接見を行います。
そのため、初回接見サービスを受けた時点では国選弁護人が解任されることはありません。

神奈川県横浜市・川崎市のほか、神奈川県内で家族が刑事事件を起こしてしまった、あるいは起こしたとされてしまい、逮捕・勾留されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

(架空の事例を用いて検討)神奈川県秦野市にて警察官に暴行して公務執行妨害罪に問われたら?

2024-05-15

(架空の事例を用いて検討)神奈川県秦野市にて警察官に暴行して公務執行妨害罪に問われたら?

逮捕されてしまったら

神奈川県秦野市にて、警察官に対して暴行を加え公務執行妨害罪で現行犯逮捕されたという架空の事例を想定して、成立する罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県秦野市在住のAさんは、秦野市にある会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、秦野市内のコインパーキングに車を停めて休憩していたところ、秦野市内をパトロールしていた秦野警察署の警察官に声掛けされ、職務質問と所持品検査に応じるよう求められました。
Aさんは応じたくないと考えて拒否しましたが、警察官は粘り強く説得し、カッとなったAさんは警察官の肩を押し転倒させました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【公務執行妨害罪について】

今回のケースは、神奈川県警察に所属する秦野警察署の警察官に対し、暴行を加えた、という場合を想定しています。
公務員に対し暴行を加え被害者である公務員が怪我をしていないという場合、公務執行妨害罪と暴行罪の成立が考えられます。

(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(公務執行妨害罪)
刑法95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、職務の執行に当たる公務員に対して、暴行や脅迫を加えた場合に成立する罪です。
国または地方公共団体の事務を処理する公務員であれば広く対象となりますが、特に多いのは警察官や救急隊員、市区町村役場の窓口職員に対する公務執行妨害罪です。
公務執行妨害罪における「暴行又は脅迫」は、間接的なものを含めて幅広く認められる可能性があります。

なお、Aさんの行為は暴行罪にも該当しますが、
暴  行  罪:被害者個人の生命身体を保護法益としている
公務執行妨害罪:公務員の公務の遂行を保護法益としている
ことから、それぞれ目的が異なります。

最終的に公務執行妨害罪と暴行罪で起訴された有罪となった場合、一つの行為で複数の罪に該当する観念的競合の問題となりより重い刑が処されることになるため、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の範囲で刑事罰が言い渡されます。

【弁護活動について】

公務執行妨害罪の場合、先述のとおり保護法益が公務員の公務遂行を目的としているため、暴行罪のように直接の被害者がいるわけではありません。
しかし、迷惑をかけたことに対する謝罪(謝罪文の作成や対面での謝罪)を行ったり、迷惑をおかけしたことに対する謝罪と賠償を行ったりすることがその後の刑事罰に影響する可能性があります。

また、行為の内容や前科・前歴の有無によって、不起訴処分・略式手続による罰金・刑事裁判のいずれも考えられます。
家族が逮捕・勾留された場合、すぐに弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県秦野市にて、家族が公務執行妨害罪で逮捕・勾留された場合弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

神奈川県横須賀市における架空の窃盗事件を踏まえて窃盗罪の成立要件と略式手続についてのブログ

2024-05-12

神奈川県横須賀市における架空の窃盗事件を踏まえて窃盗罪の成立要件と略式手続についてのブログ

神奈川県横須賀市で発生した架空の窃盗事例を題材に、この記事では窃盗罪の法的側面と、犯罪発生時の略式手続きについて掘り下げていきます。窃盗は単に財物を失うだけでなく、被害者の精神的な苦痛を引き起こし、社会全体の安全感を損なう問題です。このような犯罪に効果的に対処するためには、法律の知識が不可欠です。

導入: 窃盗の増加とその社会的影響

窃盗事件は、個人の財産損失だけでなく、地域社会全体の安全性と信頼性にも影響を及ぼしています。窃盗は、単なる財物の盗難以上の意味を持ち、被害者に精神的な苦痛を与えることがあります。また、窃盗犯罪の増加は、地域社会における安全への不安を高め、人々の生活品質に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、横須賀市で発生した架空の窃盗事例を通じて、窃盗罪の法的側面と、犯罪が発生した際の略式手続きについて解説します。

事例: 横須賀市でのフィクション事例

横須賀市在住のAさんは、横須賀市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、友人らとカラオケ店に行って遊んでいたところ、友人の一人が財布を椅子に置いたままにしていることに気付いたため、持ち主がトイレに立った隙に財布の中から現金2万円を窃取しました。
被害者は酒に酔っていたこともあり気付くのに遅れましたが、翌日になって現金が少ないことに気付き、横須賀市内を管轄する横須賀警察署の警察官に相談し被害届を提出しました。

この事例は完全に架空のものであり、実際の人物、場所、事件とは一切関係ありません。しかし、このような窃盗事件は日常生活の中で起こり得るものであり、法的な対応が必要となるケースです。

窃盗罪について: 定義と法的基準

窃盗罪は、他人の財物を盗む行為に対して科される刑罰です。日本の刑法第235条により、他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪として、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されると定められています。窃盗罪の成立には、財物の占有を侵害する意図が必要であり、単に物を拾った行為だけでは成立しません。

法律上、窃盗の対象となる「財物」とは、経済的価値を有する可動物を指します。この定義は、現金や貴金属だけでなく、衣服や電子機器など、所有者の経済的利益に直接関わるあらゆる物品を含みます。窃盗罪の重要な要素は、被害者の占有から財物を「窃取」する(ひそかに取る)行為にあり、これは基本的に秘密裏に行うことが含まれます。

窃盗の事例としては、店舗からの商品の盗難、人の財布からの現金の抜き取り、または不法に建物に侵入して物を盗むなどがあります。これらの行為は、社会的な信頼関係を損ない、被害者に経済的、精神的な損害を与えるため、法律によって厳しく罰せられます。

窃盗罪の判定には、具体的な状況や行為者の意図が詳細に検討されます。たとえば、遺失物を拾って自己の物とする行為も、特定の条件下では「占有離脱物横領罪」として処罰の対象となることがあります。また、預かっていた金品を自分のものにする行為は横領罪・業務上横領罪として処理されることもあります。このように、窃盗罪は多岐にわたる行為を含む複雑な犯罪類型であり、法律専門家による詳細な分析が必要とされます。

略式手続の概要: 略式手続の流れと適用条件

略式手続きは、比較的軽微な犯罪に対して用いられる、簡易な裁判手続きです。この手続きは、正式な裁判に比べて迅速かつ簡潔に行われることが特徴で、主に罰金刑や科料の科せられる事件に適用されます。

略式手続きの流れは以下の通りです。まず、検察官が事件の性質や被疑者の状況を考慮し、略式起訴の適用を決定します。次に、被疑者は、略式手続に同意する略受けという書類を作成します。その後裁判所は検察官からの申立てに基づき、書面審理のみで罰金や科料を命じる略式命令を出します。被疑者はこの略式命令に対して、一定期間内に異議を申し立てることができ、異議が申し立てられた場合は正式裁判に移行します。異議がなければ、略式命令はそのまま確定し、被告人は指定された罰金を支払うことになります。

略式手続きの適用条件には、事件の簡易明瞭さや、刑事罰に罰金刑・科料が用意されていること、被疑者が罪を認めている場合などがあります。また、罰金額の上限は、一般に100万円以下とされています。略式手続きは、裁判所の負担軽減や、被疑者にとっての迅速な事件解決を目的としていますが、略式命令によっても前科がつくことになるため、その影響を十分に理解した上で対応することが重要です。

略式手続きは、法的な手続きの中でも比較的理解しやすい部類に入りますが、その適用や流れ、影響については、専門的な知識を持つ弁護士に相談することが望ましいです。
例えば、過去には略式手続を打診されたものの当事務所に依頼し、弁護活動をすることによって不起訴処分とされ前科を回避できたというものもございます。
これにより、被疑者は自身の権利を守りつつ、適切な法的対応を取ることができます。

窃盗罪と略式手続の関係: 窃盗罪が略式手続で処理されるケース

窃盗罪が略式手続きで処理される場合は、主にその犯罪行為が比較的軽微であると判断された時です。略式手続きは、簡易な事件に対して迅速かつ効率的に処理を行うための手段であり、罰金刑や科料によって解決されます。窃盗事件において略式手続きが適用される具体的な条件には、以下のようなものがあります。

  1. 被害額が比較的小さい場合: 窃盗された財物の価値が低く、社会的な影響が限定的である場合に略式手続きが選択されることがあります。
  2. 被疑者が犯行を認めている場合: 被疑者が自らの行為を認め、反省している様子が見られる場合、裁判所は略式手続きによる解決を選ぶことがあります。
  3. 初犯である場合: 犯罪歴がなく、今回が初めての犯行である被告人に対しては、略式手続きによる罰金刑が適用されることがあります。

略式手続きによっても、被疑者には前科がつくことになりますが、正式裁判に比べて手続きが簡略化され、迅速に事件が処理される利点があります。また、略式手続きは公開裁判が行われないため、社会的な名誉やプライバシーへの影響が抑えられる側面もあります。

しかし、略式手続きが適用されるか否かは、事件の具体的な状況や検察官の判断によります。そのため、窃盗罪で逮捕された場合は、早急に弁護士に相談し、適切な法的対応を取ることが重要です。弁護士は被疑者の権利を守るために、略式手続きの適用可能性を含めた最善の対策を提案してくれます。

事例における法的分析: 横須賀市の事例を法的観点から分析

横須賀市で発生した架空の窃盗事例において、Aさんが被害者の財布から現金2万を盗んだという行為は、日本の刑法第235条に基づく窃盗罪に該当します。

略式手続きの適用可能性について考察すると、被害額が比較的小さく、初犯である場合など、複数の要件を満たす場合に限り、略式手続きによる処理が考慮される可能性があります。略式手続きは、裁判所が発する略式命令により、罰金刑や科料によって事件が解決されます。この手続きは、事件の迅速な解決を図るとともに、裁判所の負担を軽減する目的があります。

しかし、略式手続きが適用されるかどうかは、検察官の判断や事件の具体的な状況に依存します。Aさんの行為の動機、被害額の大きさ、社会的影響、Aさんの過去の犯罪歴など、様々な要因が考慮されます。
また、被害者との間での示談が成立し、示談書で宥恕(ゆうじょ:被害者が加害者に対して厳しい刑事処罰をのぞまない意思)の文言が入っている場合には、不起訴処分になる可能性が十分に考えられます。

この事例を通じて、窃盗罪の法的な側面と略式手続きの適用条件について理解を深めることができます。また、法律上の問題に直面した際には、専門的な知識を持つ弁護士に相談することの重要性が浮き彫りになります。

まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介

本記事では、神奈川県横須賀市で発生した架空の窃盗事例を通じて、窃盗罪と略式手続きの法的側面について解説しました。窃盗犯罪は個人の財産だけでなく、社会の安全と信頼にも影響を及ぼす重大な問題です。

このような犯罪に直面した際には、専門的な知識と経験を持つ法律専門家の支援が欠かせません。ここで、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介をさせていただきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、窃盗罪を含む様々な刑事事件に対応する専門の法律事務所です。豊富な経験を持つ弁護士が在籍しており、被疑者や被告人の権利を守り、最適な法的サービスを提供しています。また、初回の法律相談は無料で行っており、事件に応じた適切なアドバイスとサポートを提供しています。

刑事事件においては、迅速な対応が求められます。あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、事件発生直後から弁護活動を開始し、被疑者や被告人の立場から最良の結果を目指して尽力します。また、家族が逮捕された場合の対応方法や、略式手続きの適用可能性についても、詳細な説明とサポートを行っています。

神奈川県横須賀市にて、窃盗罪をはじめとする刑事事件で加害者になった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

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