相手を殺害してしまったら殺人罪?傷害致死罪?

相手を殺害してしまったら殺人罪?傷害致死罪?

口論の末の暴行で、相手を殺害するつもりはなかったものの結果的に相手が死亡してしまった、という主張をしている場合について、殺人罪が適用されるのか、傷害致死罪が適用されるのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県海老名市在住のAは、神奈川県内の大学に通う大学生です。
ある日、Aが海老名市内の飲食店で交際相手と一緒に酒を飲んでいたところ、同じく海老名市内に住む酒に酔った会社員V(20代男性)が突然Aに対して「息が臭せぇんだよ」「ブスとブスが付き合って、何が良いんだよ」等と侮辱をしてきました。
自分のみならず交際相手をも傷つけられたAは、Vに対して「謝れ」と言いながら3回殴ったところ、Vは受け身も取らずに転倒し、頭部を椅子に打ち付けました。
結果その転倒が原因で、Vは死亡してしまいました。

通報を受けて駆け付けた、海老名市を管轄する海老名警察署の警察官は、Aを逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAの家族は、Aの行為が殺人罪に当たるのか、傷害致死罪に当たるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【殺人罪について】

殺人罪の条文は以下のとおりです。
刑法199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

殺人罪は、他人の生命を故意に断絶することで成立する罪です。
基本的に殺人罪は殴る蹴るの暴行やナイフ、銃などを用いて相手を傷つけることにより相手を殺人する行為が当てはまりますが、子どもに対して殺意を持って授乳をせずに死亡させるような行為についても殺人罪として認められる場合があります。

なお、刑法は一部露出説を採用しているため、胎児の身体が母体から部分的でも露出した場合には殺人罪の客体となりますが、まだ生まれる前の胎児を母体に対する暴行や薬剤を用いて殺した場合、殺人罪ではなく堕胎罪に当たります。
また、例えば金を奪う目的で故意に人を殺した場合等は、強盗殺人罪としてさらに重い罪に問われる可能性があります。(刑法240条)

【傷害致死罪について】

傷害致死罪の条文は以下のとおりです。
刑法205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

有期懲役は最大20年ですので、傷害致死罪では3年以上20年以下の範囲で刑罰が言い渡される可能性があります。

傷害致死罪は、暴行や傷害と死という結果に因果関係がある場合に成立します。

【殺人罪と傷害致死罪の判断】

殺人罪傷害致死罪の違いは、被疑者・被告人の死に対する認識の違いが挙げられます。
殺人罪は「人を殺した者」となっていることから、相手を殺害する意思をもって行為に及んだ場合に成立します。
対して、傷害致死罪は傷害罪の結果的加重犯であり、暴行や傷害の故意はあるものの、相手が死亡するという認識が欠けている場合に成立する罪です。

殺人罪傷害致死罪の判断については、これらの認識(故意)の問題が重要となってきます。
内心については被疑者の取調べで作成した供述調書等が証拠となります。
また、例えば以前からトラブルが発生していて強い怨恨があった等の動機や、事前に準備をしていたのか突発的な行為だったのか、一度の行為で殺害してしまったのか執拗に危害を加えたのか等、客観的な判断も証拠になる可能性があります。

自分では殺害する意思がなかったものの結果的に相手が亡くなってしまったという場合であっても、供述調書の内容や公判廷での質問に対する回答次第では、殺害する意思があったと評価されてしまう可能性があります。
神奈川県海老名市にて、ご家族の方が酔っ払い相手のトラブルの末暴行に発展し、結果的に被害者が亡くなってしまったという傷害致死事件の被疑者・被告人になっているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。

ご連絡は0120-631-881又はコチラまで。

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