【お客様の声】盗撮事件で審判不開始
盗撮事件で捜査を受けたものの審判不開始の決定を言い渡されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県川崎市多摩区在住のAさんは、事件当時川崎市内の高校に通う16歳でした。
Aさんは、川崎市多摩区の施設にて、女性用トイレの個室を盗撮しようと考えスマートフォンを設置したことで、川崎市多摩区を管轄する多摩警察署の警察官により取調べを受けることになりました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【トイレでの盗撮行為】
今回のAさんの事例は、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(通称、性的姿態撮影等処罰法)の制定以前の事件であることから、神奈川県迷惑行為防止条例に違反したとして捜査を受けました。
条文は以下のとおりです。
神奈川県迷惑行為防止条例3条3項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。
同第15条 第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
加えて、Aさんのように盗撮を目的としてトイレの個室に侵入する行為は、建造物侵入罪の成立も検討されます。
条文は以下のとおりです。
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
【審判不開始の決定】
Aさんは20歳未満の少年でした。
少年事件の場合、警察官・検察官の捜査が行われたのち、原則としてすべての事件で家庭裁判所に送致されます。
そして、送致を受けた家庭裁判所の裁判官は、殺人事件や強盗致死傷事件などの死刑・無期懲役や拘禁刑が用意されている事件等の重大事件を除き、原則として家庭裁判所の審判廷で少年の保護処分が決められます。
今回のAさんの事件では、審判不開始の決定が言い渡されました。
審判不開始の決定は、保護処分を課すための審判を行わないという決定です。
弁護士(少年事件では付添人という立場になります)は、今回の事件でAさんが反省していることや、家族の監督体制が整っていることなどから、Aさんには保護処分(少年院に収監されたり、保護観察官や保護司さんによる面談など)が不要であるという主張を行いました。
これは、単にAさんの処分を軽くするよう主張しているのではなく、Aさんの場合は保護者の監督がしっかりしていることから、あえて家庭裁判所が保護処分を課さずとも、Aさんが再び事件を起こしたり虞犯(深夜徘徊をするなど犯罪に繋がるおそれのある非行)をするおそれがない、ということを意見しました。
結果的に、裁判官は弁護士の意見と調査官の調査結果を踏まえ、Aさんに対し審判不開始を言い渡したと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに数多くの少年事件を担当し、今回のAさんのように審判不開始という結果になった事件も数多くございます。
神奈川県川崎市多摩区にて、家族が盗撮事件で捜査を受け、審判不開始の可能性について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による無料相談をご利用ください。